縮刷版97年10月中旬号


【10月20日】 紛らわしくて大袈裟な嘘が信条で、耳ピアス眉ピアスを鼻ピアス金髪碧眼と書くくらいは誤差の範囲と平に御容赦をお願いするものの、明かな誤りはただすということで、最新の狂乱西葛西日記によれば、メディアワークスから(多分)絶賛発売中な「オルタ・カルチャー」で、「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミズム」や「SF」といった項目をセレクトしたのは、筆者の山形浩生さんではなく編集部なのだそーな。

 どーして編集部がこの項目をセレクトして、なおかつ山形さんへ執筆を依頼したのかは謎らしい。ともかくも頼んだ編集部の期待に外れない内容だったことは、世間での関心の持たれ方を見ればなんとなく推察できる。勝手に「SFクズ論争」以上の熱いバトルを期待しているのだが、さて小谷真理巽孝之さんチームは、なにかアクションを起こしているのだろーか。「SFマガジン」誌上でバトられても、世間的には話題のワの字にもなりはしないので、ここは是非とも日経あたりが前の時みたく突発的に巨大な紙面を裂いて、写真入りで反論を掲載してはくれないだろーか。「知的資産創造」(って何だ?)誌上じゃあちょっとバトルは無理だろーし。

 「どこへ行っても同じなのかもしれない。『ここより他の場所』がないのはわかっている。しかし、アスピリンでも飲んで一日ベッドに横たわって天井をながめている(あたしはそういう状態が一カ月近くつづくことがよくある)よりも、旅をしなければならないと思いこむ方が、はるかに不健康ですばらしいことなのだ」(「鈴木いづみコレクション6」156−157ページ)−鈴木いづみのあらゆる虚飾を剥ぎとって、事の真相を貫き通す眼力にはつねづね感嘆させられることしきりなのだが、今の自分の気分とゆーか周囲の雰囲気を、こう見事に言い表されてしまうと、もはや言葉などいらない、とにかく「不健康」でもいいから事に及ばねばならないのだろうという、ある種の強迫観念にかられる。

 「理想郷」という意味の言葉を冠して、口でゴムヒモをくわえ合うという苦行を行うことで日々の糧を得ていた修験者たちも言っていた。「止まっていてはだめなんです。もっと動けうごけ、そして働けはたらけ」と。たいして違いはないけれど、「ここより他の場所」はないけれど、だからとって探す努力というか気概まで失うには、きっとまだ絶対に早すぎる。なんてことを書いて溜飲を下げていること事態、実は「天井をながめて」夢に微睡(まどろ)んでいるのだということを、知っているからなおさら始末が悪いのだが、とりあえず砂粒の1つ分でもいいから、進む気持ちを心に積み上げて、もう10年以上もの昔から、そして10光年のはるか彼方から還って来た鈴木いづみの声に、耳を傾けようと思う。ああ寝不足だと頭が逆に冴えるなあ。

 昼から日米港湾協議絡みのレクが続く。日本の港を牛耳っている悪しき制度を改善しろってな米側の要求をどうのむかって協議が続いていて、いっこうに改善されない事態に米側が制裁措置を発動するってなオプションまでついて、もつれにもつれた協議がほぼ決着したのが土曜日のこと。アメリカで会議に加わって帰って来た担当者の、決着がまとまったことを受けてそのいばることいばること。理不尽なアメリカの制裁措置に屈せず、日本の要求を米側に認めさせるまで頑張り通したことを、とても自慢してくれちゃって、聞いていてまさに「勝てば官軍」ってな言葉が頭に浮かんできた。

 しかし、法的に見て理不尽かつ違法な制裁措置で日本の海運会社が被った制裁の課徴金については、理不尽だからと突っぱねるんではなく、とりあえず払っちゃえばってな論旨のコメントが事務次官の方から出て、おやおやじゃああの理不尽な要求だからと突っ張っていた態度は、あくまでも交渉をまとめるためのポーズであって、いったん収まった以上はあとは制裁によって実害を被っている当事者が解決しなさいよってことなのかと、釈然としない思いにかられる。結局は日本は交渉の中身でほぼ主張を通した一方で、制裁金については海運会社が支払うってことで向こうの顔を立て、向こうは発動した制裁の矛先を治めるために形ばかりの制裁金を聴取してちゃんちゃん、違法だ条約違反だと騒いでいたことも、うやむやのうちになかったことにしてしまおうってことらしい。まるで大岡裁きの「三方一両損」。これが外交か。僕はやっぱり官僚にも(なれないって)外交官にも(もっとなれないってば)向いてない。

 「週刊将棋」の連載漫画「Up・Setボーイズ」は依然として「幕張」めいたギャグの応酬が続いていて、「くっそお、あんまり腹が立って超サイヤ人になっちまうトコロだった・・・」ってなセリフがそれっポい。将棋漫画らしく将棋盤を出して上に駒が並んでいるってな構図が未だに登場しないところが、もしかしたら将棋ファンには不評なのかもしれないけれど、他のページに山ほど将棋盤が出ているだもん、漫画くらい将棋はダシにしてラブコメでもスポコンでもやって頂きたいものです。「Up・Setボーイズ」は根っこが「幕張」だから難しいかもしれないけれど、眼鏡っ娘の生徒会長はますますストーリーに絡んで来そうな雰囲気だし、絶対に眼鏡を外すと美人だから、乳が大きいかは別にして、それからアダルトチックは抜きにして、それなりにラブコメちっくな展開は期待できそー。

 読売新聞にHIROMIXの「光」と「JAPANESE BEAUTY」に関する書評会議の模様が掲載される。インターネット上の会議室の辛辣な意見交換から、大人に操られているだの仕掛けにのっかているだの、ポエムみたいで大人が見るとたえられないだのといった部分をものの見事にこそげ落として、HIROMIXという写真家も持つ同時代性の魅力を伝える誌面構成に仕立て上げたのは、まさに編集の妙味とゆーか、ゲラ段階での手入れの妙とゆーより他にない。人の話はやっぱりライブが面白いよね。手に入る人は新聞を読んで、それからヨミネットの「マルチ読書」の「マルチ読書委員会」にある実際の読書会議録を読んで比べてみるといい。絶対に驚くから。IDとパスワードを要求してくるけれど、「guest」で入れるよ。

 悪いがひとつだけ引用させてもらう。香山リカさんは実際の会議でこう書いた。「そして、ヒロミックスはそういう自己愛的な若者のひとりではあるけれど、オトナにそそのかされたりしながらそれなりに必死に、みんな苦手な『仕事の継続』や『批評に耐えること』をしようとしていて、そこが若者にとって『希望の星』なのかもしれない。屈折してますよね」。これが新聞紙面ではこうなる。「ヒロミックスはそういう若者のひとりではあるけれど、それなりに必死で仕事を続け、批評に耐えようとしている。そこが若者にとって『希望の星』なのかもしれません」。

 どうだろう。後者だけ読む圧倒的多数の人間は、香山さんが「HIROMIX頑張ってるんだよねだから人気なんだよね」と擁護しているようにしかとらないだろう。ライブでは口がすべって手がすべるってことがあって、それを後になって修正するのはかまわないけれど、ここまで論旨をスリかえられると、なんだかなあとゆー気になってくる。こんな紙面になるのだと分かっていたら、僕だって「談話室から」に引用されたような、辛辣な会議批判はしなかったよ。なんかハシゴ外された気分。リカちゃん不信になって来たあ。荒木経惟さんにパンチラ写真撮られてたころは、可愛いかもって思ってたんだけどなあ。


【10月19日】 仕事のためには少々恥ずかしい思いもしなければならない。西武百貨店であの名品「手のひらピカチュウ」を購入、「包みますか」の声に面と向かって「結構です」と言い切り、(えーまさかじぶんでたのしむの? もしかしてからだのあそこにのっけて”ピカピカチュウ”とかいわせてよろこぶんじゃないの?)ってな女性(妙齢)店員の張り付いた笑顔に送られながら、レジを背にして屋上へと向かう。

 屋上では人のいないのを確認して「手のひらピカチュウ」を取り出しズボンをおろしてピカチュうをあそこに・・・置きません。カバンから昨日作った「ミニ四駆」を取り出し、昨日買った「コロコロコミック」と先週買った「ハイパーヨーヨー」と、そしてさっき買ったばかりの「手のひらピカチュウ」をちゃんと地べたに置いて、並べてそれっぽい写真を撮る。本当は「ビーダマン」も加えたかったんだけど、お金がないし作ってる暇もないのでごめんなさい、ファンの人。でもどこで誰が遊んでいるんだろーか、「ビーダマン」って。

 レジで張り付いた笑顔に歓待を受けたとき、なぜかカウンターの上に「てんしのたまごっち」がどっさりと置かれているのを発見。聞くとたまたま入荷したばかりだそーで、そうこうしている内に子供が集まってきてガシャガシャと買って帰っていった。「たまぴっち」1つゆっくりと育てられない身分だけに、買ってもムダだと思ってその時は見逃したけど(お金もなかったし)、後になればなるほどどうして5つくらい買い占めておかなかったんだ、そのまま総武線で秋葉原へともっていけば、1つ4000円くらいでたぶん売れたんじゃなかろーかと、とってもイケナイ考えが頭に浮かんで離れなくなった。貧乏だけに返す返す残念だったら残念だ。

 昨日に続いて出勤。まるで忙しい新聞記者みたいだって、本来ならば忙しい新聞記者なんだけど、なにせ土日は出さない”日刊”新聞で、さらに根っからの怠惰な性格なので、ふだんはほとんど週末は完璧に休んでいた。今週は土曜日は朝から出勤。これも日本船主協会と日本港運協会とそして運輸省が悪いんだ、ってどうして彼らに怒っているのかを説明すると、慣れない運輸関連の記事を書くより頭を使わなくっちゃいけなくなりそーなのでパス。とにかく来週はゆっくりと休めることを切に願う。だから20日から始まる日米航空交渉も、さっさと片づけるかさっさと物別れってね。

 で今日の出勤は、明日から始まる企画の原稿をチェックしにいったもの。怠惰な記者が合間にへろへろと取材した、本筋から大きくはずれたニッチねらいのエンターテインメント関連記事なので、きっと世間に一切の衝撃を与えないだろー。もっとも、仮にものすごく画期的な内容でも、やっぱり世間に衝撃は与えないんだけど。売ってないからキオスクじゃあ。某助教授死亡のウワサが流れた時だって、ウチの新聞にゃあちゃんと記事が載っていたのに、そして遺稿とも書いてなかったのに、世間は死亡説を信じたもんなあ。ネットより見られてないのか? うーん。

 つまらないので「ハイパーヨーヨー」を取り出して会社内でブン回していると、おじさん(俺も惰けど)が寄ってきてやっぱりな「コカ・コーラのおまけで流行ったよね」的言説をぶつけて来た。ええそうですとも、大流行しましたよねえ、あの時は。欲しくてほしくて仕方がなかったのに、結局1つも当たらなかったのが運の尽きで、結局ぜんぜん上手くならずに今を迎えてしまいました。仮に30歳前後ですごく「ヨーヨー」の上手い人がいたら、10中の8、9は「コカ・コーラ」が火をつけた「ヨーヨーブーム」の洗礼を受けている人だろー。取材先で歳の頃それくらいの係長さんとか主任さんとかに見せてやらせてみると、妙にうまかったりするかもしれんなー。

 僕の場合は、ブン回しているのも実は伸びきった紐の先にヨーヨーがくっ付いた状態で、グルグル回しているだけ。犬の散歩も引きずっているだけで、東京タワーももちろんヨーヨーは止まった状態。でも遠目で見てるだけじゃわからないじゃないですか、だから僕がヨーヨーのショーをやる時は、観客の人は20メートル以上離れてもらいます。「ブーン」って音は録音しておけばいーし、回転している雰囲気はマンガみたいな効果線をヨーヨーの面につけておけばオッケー。よっし来週の大森ベルポートでの全日本選手権には、この技で出場するぞ。


【10月18日】 続きを少々。「プラモデル&ラジコンショー」(これが正式な名称じゃないけどまあそんなもんあので)のバンダイのブースに展示されていた「ウルトラホーク1号」と「ジェットビートル」は、特撮シリーズの超マシンを完成品モデルで提供するとゆーバンダイでも新機軸の商品の第1弾と第2弾。いきなりなウルトラシリーズで、それも人気の高い両機をモデル化してくるところが小憎らしいとうかなんというか。

 朝の6時に運輸省から電話。ワシントンで開催中だった日米港湾荷役協議が合意に達したので午前9時からレクチャーがあるとゆーお知らせで、しばし微睡(まどろ)むものの、やがて飛び起きて頭も洗わずに服を着替えて地下鉄に飛び乗る。港湾協議がまとまらないってことで、なんでもアメリカの政府機関が日本の海運会社の船をアメリカの港に入れない・出さないって突っ張りそうになっていた、そんな瀬戸際だったとかで、とりあえず交渉がまとまったことで、アメリカに向かうパワーレンジャーの人形も、アメリカから来るスポーンの人形も、とりあえずちゃんと到着するし発送されることになった。

 せっかくのフィギュアブームなんだもん、やっぱスポーンの人形が出遅れて売れなかったら困るって、マーベルあたりがアメリカ政府に脅しをかけたんだろーね、早く交渉をまとめろって。「スターウォーズ」が人気のあった今年の春あたりに、こんな騒動が起こったら、きっとベイダー様がホワイトハウスに乗り込んで、「アイムユアファーダー」とか言いながらクリントンに早く止めろ出ないと売れ残っちゃうわ、ってなことを叫んで暴れ回ったんだろーなー。あるいはキャプテンアメリカがキャプテンアメリカの名において、クリントンを成敗してやるとも言ったとか言わなかったとか。あれ、キャプテンアメリカがマーベルだったかは知らないけれど。

 まあなんか書かなきゃと通信社の原稿や昔のスクラップを見ながらつらつらと午後の4時までかけて原稿を書き、会社に送ってから銀座のからなべ屋でサーモンカレーで遅い昼食・早い夕食をとる。さすがに昨日みたいに大盛りカツミックスは食べられなかったけど、サーモンもこれでなかなかしゃきしゃきしていてオツでした。なんか同じものを食べると続けて食べるって習慣ができてしまったみたいで、ちょっと前は銀座のからなべ屋の向かいにある開店寿司でばっかり夕食を食べていたっけか。カレーにもあきたら次はなんだろーと考えているけれど、本当だったら行きたい松屋も吉野屋もつた屋も近所にないから、やっぱ運輸省の地下売店で売ってるお弁当ってことになるんでしょう。ここんとこ3日続けて買ってたし。

 しかし運輸省の地下売店、いろんな商人がやってきてはめいめいに店を開いて2−3日で河岸を変えていくんだけど、先日なんかどこかのグッズ屋が店を開いていて、カスタムナイフだとかヘンケルの爪切りだとかビクトリノックスのスイスアーミー・ナイフだとかハーレーダビッドソンのバックルだとか鼻毛バリカンだとかを並べて売っていた。いったい何屋だったんだ。2カ月くらい前には篭(かご)に入った鈴虫を、もちろん生きたまんま売っていた店も出ていて、ほかにもカブト虫とかクワガタ虫とかを売っていたっけ。

 外から運輸省に帰って来たら、表をなんか篭さげて歩いているおっさんが大勢いたから、タダで鈴虫でも配っていたのかと思ったら、売り物だったんですねえ。このまま例えば安売りビデオ王系のあやしいいビデオ屋とか、冬コミ前のコスプレ用衣裳のオーダー受け付けなんかをやっていたら面白いし、もしかしたらアルバイトのお姉ちゃんたちから、結構な受注があるかもなんて思うけど、さすがに運輸事務次官が「姫宮アンシーの制服姿を1着」なんて注文してたらブキミなので、やっぱり来なくていーです。

 企画原稿のカットに使おうかどうしようかと思いながら、「ミニ4駆」を買って組み立てる。もちろん「爆走兄弟レッツ&ゴー」に出てくると思った「HURRICANE SONIC」だ。シールを上手く貼れなかったり、被せたカウルがタイヤと接触していてガジガジいったりと、初心者ならではの失敗もたくさんしたけれど、とりあえずまあそれなりの見栄えのものができたので、明日にでもヨーヨーやビーダマンといっしょに写真を撮ろう。いわく「『コロコロコミック』仕掛けの玩具たち」。でも折角作ったミニ4駆、どっかで走らせてみたいなあ、そうだ明日会社の中を走らせて意表をつこう。社長室にコースを突っ込んで走らせてみるのも一興かと。田宮さんコース貸して下さい、サンケイホールいっぱいにコースを広げて遊ぶから。

 もうページをめくれば「たまごっち」に「ボンバーマン」に「クラッシュバンデクー」といったキャラクターが目白押しな「コロコロ」の中でも、たぶん未だに抽んでた人気を誇っているんだろーなー、「レッツ&ゴー」とそして「ミニ4駆」は。しかし目敏い編集部は、いよいよ「ヨーヨー」の漫画もスタートされるみたいで、次のイチオシってな感じで、世間が「ヨーヨー」の大流行に気が付く日も、そう遠くはないだろーなー。1つでもいーから買っておいて良かった。あとは「デジモン」探さなきゃ。


【10月17日】 東京ビッグサイトで開催中の「プラモデル&ラジコンショー」に行く。海の向こうのワシントンでは、日本のお役人様とアメリカ人の役人野郎が侃々諤々と港湾荷役問題にカンする議論を重ねている最中。本来の職分から言えば、朝から運輸省に張り付いて、ワシントンでどんなことが話し合われたのかを逐一情報収集し、制裁を受けている日本の海運会社に行ってどうするんだと話をし、責任の一端を持つはずの港湾荷役事業者がいれば行って怖がらなくても良いといわなくてはならないのだが、そこは社長局長部長次長平庶務ネズミその他の期待もかかる企画のために、嫌いなプラモデルでもガレージキットでもラジコンでも、見に行かなくてはならないのだ。ああ、なんてかわいそうに、ニコニコ。

 一般を閉め出してのバイヤー対象の公開日だけに、会場は空いていてゆったりと目玉商品を見ることができた。まずはなんといってもバンダイのブース。入ると右手にガンダム関係がズラリ並んでいて、「おれの自爆ショーを」とか言いながら(言わない言わない)ヘビーアムーズがぐるぐると回っていた(回ってない回ってない)。奥に進むと、その値段も壱萬圓と超お買い得な「究極版エヴァンゲリオン初号機」が、こちらは本当に台の上に乗ってぐるぐると回っていて、バイヤーたちの目を釘づけにしていた。同じコーナーで、案内の兄ちゃんが「量産機最終戦使用」を手にもって「これは売れますよ」とおばさんの来場者を言いくるめようとしていたけれど、もう買わないよねえ、映画も終わっちゃった今となっては、悪逆非道な量産機なんて。綾波顔にもなってロンギヌスの槍を抜こうと身もだえするギミック付きならいざしらず。

 で「究極版初号機」。最新号の「モデルグラフィックス」で図面が紹介されていたけれど、実物はまずその箱の大きさに圧倒され、箱に入った黒い人型にこれは何だとハテナマークが頭に激しく点滅する。ボールジョイントでフル稼働って聞いていたから、てっきり骨格が入ってそこに装甲版を重ねていくタイプだと思っていたら、骨格は軟質素材でぐるりと覆われ、そこにプラスチックの外側を貼り付けていくようになっていた。外側部分のディティールも、これまでの「LM−HG」よりさらにグレードアップがされていて、たとえばフトモモの肉付きとか、ふくらはぎの張り具合が、ただのプラスチックなのに一種の力強さを見せていた。これだけ立派だと、買ってももったいなくって作れないよー。

 プラモデルのショウだとゆーのに、会場はなぜかフィギュアが花盛り。バンダイにしてからが、「サクラ大戦」と「キューティーハニーF」と「スレイヤーズTRY」のキャラクターフィギュアを「リミテッドモデル・フィギュア」の名称でリリースするそーな。「サクラ大戦」はセガから「リアルモデル」のシリーズが出ているけれど、なんかねえ、バンダイの方が出来がよいんだわ。でもまあ、セガの方はさくらも紅蘭もアイリスも普段着姿だったから、戦闘服姿のバンダイ版じゃあ使えない(何に?)と思ったら、セガ版を買えばいいのかも。そこがいちどは合併しようとした会社の、うまく棲み分けてるってところかな。

 となりのグンゼ産業では、ルパン三世関連のフィギュアがあれこれ。すごかったのはあの「カリオストロの城」の名場面、ルパンがクラリスの前にひざまずいて万国旗をすすすすすっと伸ばしていくシーンが、見事に再現されたフィギュアが鎮座ましましていたこと。ほかにもオートジャイロの上にルパン、下に銭形でこれから飛び立とうとしている場面とかのフィギュアもあって、30過ぎたロートルのアニメファンには、たまらない光景が広がっていた。


 ミンメイはテレビ版のステージ衣装と劇場版のステージ衣装と水着姿があったかな。もっとハイレグっててもいーはずなのに、なんかフィギュアの方はスクールっぽくっておとなしい。それが好きな人はいいけれどね。クローディアは椅子に座って足を組んでいて、すきまからもうしっかり見えるんですよ、「黒」だけど。いや別にたわしが描いてあるわけじゃありません。フォッカーは似てないぞ、あとマックスが見あたらないのはどーしてだ。6分の1ミリアってことは元がたしか数メートルはあったからきっとフィギュアは1メートルくらいに・・・なってないよね、当たり前だけど。

 フィギュアはほかにもイマイから麻宮騎亜さんの「アセンブラ」と天下御免な「科学忍者隊ガッチャマン」から「大鷲の健」アーンド「白鳥のジュン」がリリース、それから京商からは「ルームメイト」の「井上涼子」と「ドキドキ プリティリーグ」の「野々原千晶」に続いて、「悠久幻想曲」の「メロディ・シンクレア」アンド「マリア・シンクレア」がデビューすることになっている。「悠久幻想曲」はほかにもワークアソシエイションから何点か発売が決まっていて、知らない間にじくじくとキャラクター人気が盛り上がっていたことに、今さらながら気付かされた。良かったですねえ、内村さん。

 見たぞ関節稼働の綾波レイ。自由にさわれる綾波が3点飾ってあったけど、みんながいじり倒したせいか関節がゆるゆるになっていて、重みでうまく立たなかった。壁に立てかけるとなんとか正面を向くので、やっぱりお約束に3人シェーをやって置いておく。近く制服アスカと「学園ゲリオン」バージョンの綾波も同じシリーズからデビューするみたい。でもパンは食ってないからちょっとつまらない。パテでフルスクラッチするか、って大げさな。おっとウテナとアンシーももガレキの専門ショップからだけど2種類がデビューだ。これからどんどんと出てくるとすれば、きっと冬のワンフェスはウテナ一家が幅をきかせて、エヴァ一家をちょっとだけ片隅に追いやるんではなかろーか。悠久幻想曲も頑張ってね。

 バスで浜松町に出て貿易センタービルの地下のからなべ屋でカツミックスの大盛りを食べたらお腹がはちきれそーになる。電車に乗って渋谷へ。取材まで時間があったので「まんだらけ」をのぞくと綾波レイが「ガンダムW」のテーマソングとエンディングを唄っていた。なんでやねんね。九州のトモロ氏が大嫌いと宣言した(その2)、たぶん劇場版アニメ「ファブスタース物語」のLDに4万円の値段がついていたのがびっくり。ビデオは1000円で投げ売りだったのに、でも別の店だけど、あるいは全然違うソフトだったとか。そーこーしているうちに時間が来たので入り口の自販機でポッカの「プリンシェイク」を買って、中途半端に7回ほど振って飲むと、半ドロなプリンがノドにボタボタと雪崩落ちて来て超ナイス。行った人は是非ともお試し下さい。

 池尻大橋にあるCGスタジオで取材、いろいろと話をききながら社内を回ると、CGデザイナーの少年たち(若いんだよね)のモニターの上に、エヴァやらガンダムやらあれやこれやのフィギュアがちょこんと乗っていたのに、やっぱりな会社なんだなーと嬉し羨ましくなる。こーゆー会社で壁にグラフがでっかく貼ってあって「今日のお仕事達成率」が赤く棒状に引っ張ってあったら、やっぱりヤダよね。あと朝礼やるCGスタジオとか社歌のあるCGスタジオとか社長がバニー服着てる、ってのはあってもちょっと面白いかも。ともかくお仕事してればあとはどうぞってな雰囲気に、カタ目の仕事が相次ぐなかで、とてもとても憧れてしまうのです。

 いろいろとおさわがせした御礼にと、バンダイのブースでもらった「究極版初号機」が写真で載ってるポスターをあげたら、1枚をめぐって皆が争奪戦になった。ついでにウェーブが出した「FFS」のプラモデルの小さいポスターもあげて帰る。やっぱり取り合いになったのかな。池尻大橋付近のCGスタジオでこれらのポスターを見かけたら、それは僕の置きみやげです。サイン入れときゃ良かったかな。


【10月16日】 なんてゆーカテゴリーなんだろーか「別冊宝島」みたいなペラペラ表紙にザラ紙(もうちょっと良質だけど)印刷の出版物は。活字ムック? 雑本? うーんどっかで誰かがうまいカテゴリー分けをしてくれているのかもしれないけれど、その辺事情にうといからよく知らない。ともかく「別冊宝島」みたいな活字を中心としたワンテーマの出版物がなんだか勢いがあるみたいで、ゲームやコミックやヤング・アダルトが得意なメディアワークスまでもが、「オルタブックス」とゆー名称でこっちの分野に参入して来た。それもいきなり「天皇の伝説」なんてタブー系の(中身がそうだとは限らないしたぶん違うんだろーけど)をリリースするなんで、某初台の会社の同種のシリーズよりは、もう少し気合いが入っているのかもしれない。

 ほかにも「間違いだらけの英会話選び」「警察の警察による警察のための交通取り締まり」と喧嘩系なラインアップを揃えているけれど、しかしいちばん凄いのは「000」のナンバーが振られた「オルタカルチャー」ではなかろーか。よーするに「サブ」とはちょっとちがった「オルタナティブ」なカルチャーに関連した用語集なんだけど、その項目のセレクトの仕方が半端じゃないほど歪んでる。今もパッと開いたページに登場していたのが「ダメな人」。アイドルマニアの最終形態を指すこの言葉が生まれたのは、東京パフォーマンスドールが登場した頃で、当初は「外道」と呼ばれていたものが、制服向上委員会の登場をきっかけに「ダメな人」へと変わったのだとか。うーんおじさんさっぱり判らない。別のページには「ネムキ」。かの「観葉少女」「百鬼夜行抄」が連載されている朝日ソノラマの隔月刊の漫画雑誌だけど、これが「オルタ」であり「コロコロコミック」「WIRED」もオルタであって「GON!」なんかは入っていないところを見ると、ますます「オルタカルチャー」ってなんなのかが分からなくなる。まあ定義出来ないところが「オルタ」なのかもしれないけれど。

 変わった名前の項目も多くって、例えば「100円で雑誌」ってのは例の駅前なんかに店を出している拾い物雑誌の即売コーナーのこと、「テレビ東京の深夜アニメ」ってのは言葉そのままだから誰でも分かるね、じゃあ「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミズム」は。いや本当にこれがこのままちゃんと項目として載ってるんだってば、「オルタカルチャー」には。中身はつまりそのまま「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミニズム」についての文章なんだけど、いきなり冒頭から「山口さんちのツトムくん」のメロディーに乗せてうたうとピッタリな「巽さんちの小谷真理、このごろすこーし変よー」とゆー詞、そして本文の冒頭が「そもそも小谷真理が巽孝之のペンネームであるのは周知で」なんだもん、いやーもう喧嘩売ってるとしか思えないし、売るためにわざわざこれを「項目」として挙げたとしか思えない。

 同じ筆者が担当した「SF」の項目にも、やっぱり「いま出ているSFマガジンの書評欄で、評者どもが一様にほめているのが小谷真理という男の『聖母エヴァンゲリオン』で」とあって、もうこれは完全に確信犯的に項目をセレクトして文章を書いている。書いている人はもうお分かりでしょう、野村総合研究所で都市開発なんかの仕事に携わっていて、かつて上司だった広報の人によれば金髪に鼻ピアスで会社に来ているとゆー山形浩生さん。ここからいかな喧嘩が始まるのかはヤジウマ的には見物ではあるけれ。小谷さんちの巽くんがどんなメディアどんな場所で果たして反論を書いてくるのか、それに山形さんが応酬するのかは正直いって未知数。しかし男で巽孝之さんと名指しされた以上は、小谷真理さんにもやっぱなにか返して欲しいね。「それはね、レイプされてるのよ!」(「オルタカルチャー」120ページ、「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミズム」より引用)でもいーからさ。

 大日本印刷から「季刊本とコンピュータ」の第2号が届く。ありがとう。これも刊行ペースと特集の濃度から、雑誌とゆーよりはムックを読んでいるよーな気がするけれど、ちょっぴりなオフザケにタブーやら揶揄やらのテイストをまぶして情報通にもなれる(なった気になれる)前述のよーな出版物とは、真面目さの度合いがちょっと違う。とゆーより真面目すぎて読んでいてとても居住まいを正される。正座して読んで足がしびれて立った瞬間机の角で小指を売って七転八倒する。まあそんなカタさがまだまだ詰まっていて、店頭で雑誌として売るのはちょい苦しいんじゃなかろーかとゆー気にさせられる。

 興味を持っている人にとってはこれほど役に立ち、かつ情報濃度の濃い雑誌はないだろー。電子図書館にしても電子出版にしても、コンピューターとかデジタルの側からではなく本屋やら読者の側から議論されているのが本好きにはありがたい。そして長な出版人たちをお歴々に揃えながらも決して活字にこだわっておらず、電子出版ならではの利点を見いだしてその成長性を模索しよーとする姿勢が感じられてとても嬉しい。でもパソコン系のCD−ROMはちゃんと紹介するけれど、ゲーム専用機向けCD−ROMにはカケラも触れていないところに、どこか「電子出版」とゆーのを高尚なものに位置づけているよーな思考が感じられるのが気にかかる。「25人が勧める私の3枚」の設問で、「ゲーム専用機のソフトや非売品は除く」とした合理的な理由はなんだろー。いつか聞いてみよー。関係ないけど259ページのデジタローグの広告が凄い。額にGマークつけてニカリンコしている禿で髭が、かの有名な江並直美サンです。マックワールドとかでハッピ着てチラシ配ってるんで見つけたらおでこペチペチしちゃい・・けません。かみつきま・・・・せんけど。

 やあ久しぶりだな「はれときどきぶた」見るのも。相変わらずのハイテンションに、九州のトモロ氏が大嫌いと宣言した「アニメージュ」でも、近く大々的に取りあげる予定があるとか。8%とか9%とかって視聴率は、確かにゴールデンでは悪い数字かもしれないけれど、でもテレビ東京なんだもの、「ポケモン」に次ぐアニメでは2番目の視聴率をあげているんだもの、長い目で見てやって下さいよ白川隆三社長@SPE・ビジュアルワークス。聞いたところではもーすぐもーはい「はれぶた」のビデオが出るそーで、1巻に4話がはいって確かえーっと2980円だったかな、3980円だったかな、とにかくどえりゃー吃驚な値段でリリースされるから、絶対に買わねば。評判になる前の放映分の一ケタ話とかって、きっと見逃した人も多いだろーから、結構売れるだろーね。


【10月15日】 企画の原稿をやっつける。本業(運輸省担当なのだよ、ワシは)の合間をぬってしゃこしゃことネタ集めにかけずり回ったものの、もとよりカネもコネもないエンターテインメントの業界だけに、ほとんど趣味と耳学問と想像力だけで補って書いた企画。それだけに、中身はまるで砂漠の蜃気楼かオホーツクのオーロラか、とにかく滅多に見られず見ても瞬間に消えてなくなりそうな薄いうすい原稿で、これで年間企画なんていばりんぼしてたらアカンと自己嫌悪に陥っていたら、上の方ではなんとかまあそこそこにそれとなく・・・・・だったので(なにがだったのか)、とりあえずは安心する。

 ハリウッドに行かずに書く映画の記事とか、小室哲哉にも合わずに書く音楽の記事とかっ、京都に行かずに書くゲームの記事(ゲームは僕の担当じゃないけれど)って、ちょっと凄いと思いませんか、別の意味で。でもねえ、10回分の企画についた予算が一桁万円なんだもん、北野監督とか小室哲哉さんに支払うギャラなんてとても出ません。まあとりあえず来週からスタートするので、愛知県図書館とか愛大の図書館で読んで笑って下さい。

 本業の方では港湾問題を巡る日米協議がワシントンで続いているとゆー話を朝からどやどや。とっても頭の良い人たちが、今月の10日から乗り込んでいって続けている協議だとゆーのに、今にいたるまで交渉が全然進捗していないってのは、例の何カ月たっても何年たっても隔たりがいっこうに埋まらない、日米航空交渉と同様。役人いったいなにしにアメリカまで行ってんだ遊んでんのか的疑問がわいてくる。

 日米港湾協議ってのはなんじゃいって人に解説すると、日本の港の労働者がときどきスネてストするんで船主は荷おろしが滞る、これじゃあいかんてんで、ヤ系の人が港湾労働者をたばねて窓口になって船主と交渉してやるよってことになって、それが何十年も続いているってな日本のしきたりが、ヤンキーなアメリカから見ると不当なものに映ったんで、改善してくれなきゃ制裁するよって脅かしていた話。んじゃあってことで、関係者が集まっていろいろと改善策を話し合っていたんだけど、結局合意ががまとまらないままアメリカによる制裁措置が発動されちゃったっ。

 制裁自体はとっくに発動されて、その課徴金が10月15日までに支払うことになってるってことで、慌てて土壇場の会議に持ち込んだ訳なんだけど、結局まとまらない話が急にまとまるはずがないので、やっぱりな堂々めぐりの対立が今日まで続いている。問題があるとすれば、課徴金が貸せられたことによって、日本の船の輸送コストがあがってそれが料金にはねかえって国民経済的に影響を受けるかもしれないってことくらいだけど、だったら別に他の料金の安い船をつかえばいーことなだけだし、明日から米とか酒とかの値段が、ポポポイッと跳ね上がるものでもない。

 あんまり身に迫ったものじゃないから、世間の関心もとっても薄く、ただメディアだけが「日米では初の課徴金支払いだ」「戦争だ」って騒いでいる。そもそもの根本は、日本の港の不透明さにあるわけで、そこがどんな状況になっているのかを説明してかないと、普通の人のフトコロに響く話にはならない。でもやったら怖いからねえ、そのあたりを突っ込んで説明するのは。かくして上っ面な日米紛争ばかりがクローズアップされた報道が、しばらく続くことになるでしょう。ああ他人事みたいな物言い。

 ムツカシイ話をすると眠くなるので、まるで「ノルウェイの森」のよーなクリスマスカラーで刊行された文庫版「恨ミシュラン」上下巻を読む。うーん相変わらずの西原さんのドクゼツぶりには、おじさんとっても尻が熱くなってきます。いったい何軒くらい行ったことがあるんだろーとリストをずらずらと見ていたけれど、神田は薮蕎麦じゃなくってまつやの方が好きだったし(安いんだよここ)、洋食は煉瓦亭じゃなくてたいめいけんがシマだったからなあ(こっちはちょっと高い)。掲載分で行った経験のある店は神田川本店といせ源くらいかな。

 もっとも神田川本店は某西方の元国有鉄道の奢りでウナギのコースを食べただけで、とても店の雰囲気とか味とかを確かめている余裕がなかった。玄関はともかく、中はそんなに高級で政治的な店には見えなかったよね。いせ源もどっかの保険屋の金でアンコウ食ったよなー、下足番のおっさんはそんなに不愛想じゃなかったなー。あれ、その時にはもう死んでいたのか。薮蕎麦にいせ源に鳥鍋のぼたんを入れた外神田トライアングルにある店でも、甘味所のなんとかとゆー店は天然風で値段も味もまずまず、あとまつやは昼間っから日本酒飲んでそばがき食って幸せな平日、ってのをいつかやってみたい。自由業になれば・・・・今後は金がないか。

 西原さんの漫画にひんぱんに登場するのが青木光恵さん。とっても酷いことを言われても、ついていきます香港までってな具合に、西原さんといっしょにあちらに行っては食べまくり、こちらにいっては飲みまくっているのは凄い精神力としか言いようがない。もっともまあ、ときどきキレてピングーをトイレに逆さに吊すところを見れば、それもうなずけるんだけどね。もうママかあ。香港から西原さんが青木さんに成り代わってかけた電話の向こうから、「金がないぞおお」「どこにかくしたあ」とうなった人はいったい誰?


【10月14日】 「ファイブスター物語」に急に凝りはじめた関係で、ついついモーターヘッドが表紙になった「ニュータイプ」を買ってしまう。たぶん創刊号以来か、いや最近1冊くらい買ったかな、どっちにしても長な「アニメージュ」党で本来は「アニメック」派だった身としては、滅多に買わない雑誌に違いない。実のところはベラベラと読んで、永野護さんが絡んでいる意外は「アニメージュ」と情報量においてさしたる違いはないなあとゆー気がして、結局そこらあたりかあるいはコラムの執筆者によって、アニメファンは買い分けていることになるのかなーと考える。どーなんだろーか。

 しかしいきなりビルドアップ・エンターテインメントの採用広告が1ページで出ていたのはびっくり。あんまり表だって派手に活動している会社ではないだけに、案内だけみて人が集まるのだろーか、もしかして他のなんたらアニメーション学校とかと、同列に考えられやしまいかと心配する。やってる仕事は特撮関連のモデリングやCGといった最先端の分野で、映画「河童」なんかに参加したり、「サクラ大戦」で光武が発進していくとこなんかのCGを、確か手がけていたはず。今は99年の全米放映を目標に、CGIを使ったアクションヒーロー物のTVシリーズ「スピードファイター」を作っていて、社長の人も月の半分はアメリカに行っている。

 昔はワンフェスとかでならした人だけに、会社の中にもフィギュアやらエステバリスやらがごろごろ。前に訪問した時「これだけ上手くつくれないんだけど」と言ったら「練習しましょう」と返されて、瞬間「頑張らねば」と思ったけど、おのが不器用さを知っているだけに、せいぜいがバンダイのLM・HGを素で組んで、飾って楽しむくらいが関の山なんだろー。しかしビルドアップ、社員旅行がフロリダってのがちょっと豪毅。相当に癖のある人がそろっているだけに、さらりまんな人には大変かもしれないけれど、腕に覚えのある人だったらなんか楽しい仕事ができるかも。社長のテキーラ3本につき合わされたら、いかな豪毅な若者でも死んじゃいそーだけどね。

 いつの頃からかはやりはじめたベルギーワッフル。屋台とか店頭とかに長蛇の列が出来ていたら、それはたいていベルギーワッフルだと思って良い。最近じゃあコーヒースタンドの「プロント」あたりもベルギーワッフルをはじめたみたいで、カウンターにごさっと積んであって、周囲に甘ったるい香りを放っている。実際食べると死ぬほど甘くって、まるで砂糖を食べているよーな気になるけれど、ちょっぴりお焦げっぽくなった部分が、カリカリとして結構イケるので、機会があったら屋台の方も並んで買ってみよーかと思う。

 でも哀しいかな嬉しいかな日本人は、日本古来の「ベルギーワッフル」にこそ伝統の味を見いだして、涙にくれるのであった。JR船橋駅の駅ビル1階に出来たその店は、鉄板の上で溶いた小麦を焼き上げて、それはもう極上の日本風ベルギーワッフル(なんか矛盾した言葉)を焼き上げてくれる。脇におかれたトレイから、箆(へら)で粒餡(あん)がボツボツと落とされ、上からパタンを焼かれた小麦粉が被せられて待つこと数分。やがて型から取り出された日本風ベルギーワッフル(だから変だってば日本語が)は、小麦色した短い円柱状の内部にぎっしりとつまった粒餡が、ワッフルも顔負けの甘い香りをはなって道行く人の足を止める。90円とゆーリーズナブルな値段も嬉しく、かじればそこから甘い餡がしたたり落ちて、人々を至福の境地へと誘うのであった。日本人ならベルギーワッフルなんて放っておいて、やっぱり「今川焼き」(「大判焼き」「太鼓饅頭」「大回転焼き」etc)を食べようぜ。

 ちかごろ面白い漫画が少ないとお嘆きの貴兄に吉報。「週刊将棋」で先々週号から始まった漫画「Up・Setぼーいず」は、中学時代の将棋でライバルに勝つために、そろって同じ高校へと進学した3人組だったが、なんでも賭将棋をやった部員がいたとかで廃部の危機に直面していて、3人が生徒会長に直談判していくとゆーとりあえずの導入部。「ふたりっ子どうなるんですかあ。何万円も賭けたんじゃないんでしょ?」と食ってかかってみたり、「思い知らせてやれ、おまえがどれだけバカだったか」と焚付けられて「そーだ、バカのボクがこんあに」と返すやりとりなんかが、どこか「幕張」していて楽しめる。

 だいたい生徒会長が美人でスマートで秀才でおまけに「眼鏡っ娘」ってのは決定的。これで実は将棋が強かったりするんだろーなと考えてみたりもするけれど、そんなお約束な展開を踏まえてもなお、ヒロイン(なんだろーね)の眼鏡パワーでオタク要素のある将棋ファンを、きっと惹きつけて止まないだろー。でもそもそもがおじさん将棋ファンくらいしか読まない「週刊将棋」に、こんな学園コメディー将棋漫画なんか載せちゃっていーんだろーか。不評で打ち切りって線も考えられなくもなく、そうなったら永遠に人々の目から消え失せて幻の傑作(推定)になりかねないので、しばらく「週将」を買い続けることにしよー。竜王戦も始まるし。

 しかし思い切ったなソニー・コンピュータエンタテインメントは。普通だったら優秀なクリエーターは抱え込んで作れなくても飼い殺しにするのに、ここは稼げるクリエーターにバーチャルじゃない本当の会社をあてがって、独立採算の天国と地獄が板子一枚で接する世界で、どんどんとソフトを作ってもらうことにしたらしい。16日に設立されるのは「アークザラッド」の赤川良二さん、「IQインテリジェントキューブ」「がんばれ森川君2号」の山元哲治さん、「ワイルドアームズ」の金子孝弘さんがそれぞれ取締役になった3つの会社。SCEが100%出資だから、まさかセガ向けとかのソフトは作らないだろーけど、それまでの実績に乗って安穏としていられなくなっただけに、きっとしゃかりきになってソフトを作って来るだろー。競争意識も働くだろーし、下で息を顰めていたクリエーターは上のどいんと上がって来るだろーし、うーんSCE、いつも既成概念にとらわれない面白い方法を考え出すなー。


【10月13日】 日曜日の日本経済新聞に「新株発行及び株式売出しの中止のお知らせ」の公告が出ていたからたぶんと思っていたら、やっぱり店頭公開を中止せざるを得なかったみたいだね角川書店。学習研究社くらいしか株式を公開している会社がない出版業界で、大手の総合出版社としては初めてともいえる株式の公開に注目が集まっていたようだけど、低迷の続く株式市況ではやっぱり無理だったとゆーことか。JR東海のよーに国策として上場してがっぽりと市場の資金を九州していった企業もあって、その割を食ったってこともあるのかな。あるいはなもっと複雑な事情があるとか。

 一連のお家騒動で社長が春樹さんから歴彦さんへと変わった後、痕跡の払拭にしゃかりきになって取り組んで来た角川書店。雑誌は好調映画は快調業績は絶頂と、ここんとこ良いこばかりが続いていたけれど、その総仕上げともいえる店頭公開に躓(つまづ)いたってのはなにか良くないこどとでも起こる兆候か。それともジャンプの前の体の沈め込みに過ぎないのか。マルチメディアとか映像とか、とにかくお金のかかる新規事業へとあれこれ首を突っ込みはじめているだけに、公開による資金調達ができないってことは、やっぱり相当な痛手なんだと思うけど。

 「株式を公開してはじめて、角川書店は過去を払拭して新しく生まれ変わることができるんだ」って、そんなことを「春エヴァ」の打ち上げの時に歴彦さんから聞いた記憶もあるだけに、関係者が残念がる気持ちも判らないでもない。がしかし、来年の2部上場を目指すってのはちょっと大袈裟かも。だって来年になったら株価が持ち直すって保証はまったくないんだもん。今までの何倍も早いスピードで世の中が動いている時期だけに、躓(つまづ)いた石はやっぱ相当に大きかったのかなー。

 「噂の真相」を買う。うーん過去から続く文庫戦争における角川書店の暴れっぷりが伝わって来る記事だけど、その向こうを行く角川春樹事務所というか角川春樹社長の爆裂ぶりもすさまじい。さらにその角川春樹さんとつるんで自分の旧著を文庫化させた森村誠一さんの業師ぶりは脅威的で、そんな海千山千な出版人たちを相手に仕事をしている文庫担当者の精神の強靭さに、電話の1本も相手に嫌われたらどーしよーとびくびくしながらかけている人間は、ただただ驚嘆するばかり。返品率80%の本ばかりを作っている扶桑社文庫の人には、あんまり関係のない話なのかもしれない。別の意味で胃は痛いだろうけれど。

 20世紀フォックスで「タイタニック」関連のカラーポジをもらった後、六本木の地下鉄出口のすぐ上に出来た新しいビルの2階にある本屋をうろうろ。向こうに青山ブックセンターがあって、そっちの充実振りには常々感嘆していたけれど、新しい本屋も新刊と雑誌はまずまずの揃えで、向かいの角にある本屋と3カ所で、これから厳しい闘いが繰り広げられることになると予想する。コミックも新刊はまあまああるし、まだビニールカバーがかかっていないから、時間つぶしには最適かも。でもなぜかたくさん置いて有るエロ漫画にだけは、しっかりとビニールがかかっているのは何故なんだ。これこそ昼間っから六本木界隈で読む奴ぁ・・・俺が読むか。ビニール正解、ってことで。

 「月刊モデルグラフィックス」は「ワンフェス」の特集。のっけからアスカと委員長の水着バージョンと、やっぱり今年もエヴァ人気が炸裂していたことを伺わせる内容の特集だけど、その他にも冒頭から5ページほどはすべて対象が女性キャラのフィギュアだったりする辺りにも、流行の傾向が現れているよーで面白い。本当にこーいった女性キャラばかりが売れているんだろーか、作るんだったらやっぱりロボットの方が楽しいんじゃなかろーか、とは言いつつ行ってしっかり「ラフィール」と「スポール」だけ買って帰って来た僕じゃあ説得力ないね。

 海洋堂とかウェーブとかボークスのエラい人たちを集めた座談会は、これまで遠巻きにガレージキットの業界をうかがって来ただけの僕にも、事情とそれから問題点がよく判る大変に濃くってためになる記事だった。ただキャラばっかりをガンガンとのせて番組のエッセンスをふりまくだけのアニメ雑誌とは、ちょっとスタンスが違うなあー。ワンフェスでもやっぱり女王様なんだろー水玉螢之丞さんの「不完全レポート」には、写真では救われなかったガレキたちが水玉さんのかーいーイラストで紹介されていて超グッド。ちゃんと「ラフィール」も紹介されていたけれど、「赤井度が低い」と書かれていたのが可哀想。可愛いくて好きなんだけどね、そんなに可愛く作れないと判っているから、未だに作れずにいるくらいに。


【10月12日】 ひたすら企画のための原稿書きの日。にしていたのだが、朝から逃避行動が出てしまい、近所を散策しては本屋に入って股間アップが得意な雑誌「スポーツアイ」などを立ち読みし、イトーヨーカ堂に行って「サクラ大戦」のガシャポンを遊んだりして時間を浪費する。もういらない「アイリス」に「すみれ」が出て茫然とし、企画のために撮影しておいた写真がプリントから上がって来て、中を確かめて腕前の不確かさに愕然となってさらに逃避行動に拍車がかかり、たいして趣味でもない「G−SHOCK」のムックを見たり、時計屋に寄って品物を探したりして、あとで絶対に後悔するとは思いつつも、時間をムダに過ごす。やっぱ俺、会社の仕事嫌いだわ。判っていたけどさ。

 古本屋に寄るものもちろん逃避行動だが、時間をかけてじっくり見た割には収穫がなく、なにも買わずに後にする。平井和正さんの「犬神明」のセットとかは、もしかしら買いなのかもしれないけれど、買っても今はたぶん読めないし、これから読めるとゆー気持ちも薄いので見送る。逃避行動するくらいなら普段読めない本でも読んだり庭でも掃除すれば良いものを、何か役に立つことをしてはいけないよーなプレシャーがあって、結局役立たずの行動ばかりで夕方までの時間を潰す。やっぱ俺、気が弱いわ、もちろん判っていたけどさ。

 そうは言っても仕事をしないと先には進めないことは判っていたので、取っておいたノートを開くと、ミズがのたくったよーな字で断片しか書いていないため中身がまったく判らず、さらに気分の落ち込み度が上がる。ノートは参考にならないし、資料は膨大すぎてどこにどれがあるのかすぐに出てこない。結局うすらぼんやりとした記憶だけを頼りに、くちくちと原稿を書き継ぐが、それでもなんとか仕上がってしまうあたりが哀しい。妥協の産物を読まされる人たちには申し訳ないけれど、読者の大半が知らない世界のことを書いてあるってことだけでも、まあ評価してやって下さい。ガレキとかポケモンとかなみろむとかエヴァとか、ね。

 思い起こせば気分の滅入りは夕べの「幻想ミッドナイト」を見たときから始まっていたのかなあ。飯田譲治さんを起用しての期待のドラマとゆー割には、なんか脚本も演出もショボくって、絵的にはもっとチープな「世にも奇妙な話」の方が、まだ面白いんじゃないかと思えてしまう。筒井康隆さんの「怪物たちの夜」を素材にしたドラマの冒頭に、小林亜星さんと筒井康隆さんが登場して将棋を指していたのはつかみとしてはオッケーだったけど、寺内貫太郎やサイデリアで手慣れた小林さんおテレビ向け演技に比べると、筒井さんの演技は舞台向けって感じがして、どうもうまくかみ合わない。

 かみ合っていないといえば、特殊技術を使った怪物たちの表現だけど、造形、動きともリアルな割には、全体のトーンから妙に浮いてしまっているよーな気がして、見ていて興ざめしてしまう場面が度々あった。心理的な恐さでぞくりとさせる部分と、オドロなクリーチャーで見せる部分とのバランスの悪さは、前作の鈴木光司さん原作「夢の島クルーズ」でも感じたことで、どうせだったら徹底的にオドロでのぞむかぞくりで押すかして頂きたい。しかし角川書店、ドラマ化される短編を集めたアンソロジーを「幻想ミッドナイト」のタイトルでいち早く発売したのは鮮やか。ラインアップから期待するのは京極夏彦さんの作品だけど、ストーリーはともかく本人出演とかで話題を集めそうで、今からイヤーンな気分が増している。でも出るのかなあ。

 などと日記を書くのも実は逃避行動の最たるもので、本当はまだ仕上がっていない原稿のために、これから夜を徹してのぞむ覚悟だけはできている。できてはいるけれど、まあなんとなく仕上がりそうだなとの予感もあるため、あっけなく沈没しては明日の朝になって大慌てしそうな予感もまたある。ってこんなこと書いてる間に仕事しろ仕事しろ仕事しろ・・・ああ、だめだ。読みかけのコミックするが微笑みかける、見かけのビデオが優しく誘う。アスタマニャーナ、明日があるさ。ああ、やっぱ俺、ラテンに生まれるべきだったんだ。これはさすがに判らなかったけど。


【10月11日】 朝起きて身支度を整えてから家を出て、電車に乗って東京横断に挑む。総武線を本八幡から都営新宿線に乗り換え、そのまま直通で京王線で多摩センター駅に。到着した時にはちょうど正午を回っていて、駅構内にあるカレースタンドでしばし腹ごしらえ。そこからさらに小田急線に乗り換えて、ワーナーマイカルが店を出したとゆー「新百合ケ丘駅」へと向かう。降り立つとそこには四角い箱型の建物が。最上階付近にあの「WB」の文字が掲げてあって、これが噂のマルチプレックスシアター、ワーナーマイカルなのかと感動する。でも、巨大な駐車場の向こうにそびえ立つドーム型のシアターってな勝手な妄想を思い描いたことからすれば、なんだか大きなデパート内コミュニティシアターって感じがしてちょっとガッカリ。厚木はもっとでっかいのかなー。UCIの大津はどーなんだろーか。

 企画のために使う写真をバシャバシャと何枚か撮影していると、コンコースの上で開かれていた花の展示即売会を座って物色している女の子が1人、今年の流行とかゆー前身の左側にスリットの入ったスカートのお陰で、足が付け根までぼろりとのぞいていて、とってもラッキーな画像を目にすることができた。つまり「白」だったってことで、その前を2回ばかり、行ったり来たりしながら横目でチラチラと「白」を見て、強く網膜へと焼き付ける。キュロットとかパンツとか袴(はかま)じゃなく、スリットスカートを流行にして頂いた天の神に、心から感謝の祈りを捧げたい。ありがとう。でも流石にカメラは向けられなかった。やったら犯罪だもんな。焼き付いた網膜の画像を現像できる日は来るんだろーか。いや目ごとをカメラにとっかえてしまう技術は発明されるんだろーか。

 時間があったのですぐ横のイトーヨーカ堂に入ると、なにやらステージがしつらえられていて13時から新進歌手のプロモーションがはじまるとの案内が。なんでもクラウンレコードから何年か前にデビューした、堀越学園卒業の演歌歌手ってことらしく、演歌につきものの着物もたすきも身につけておらず、ロングスカートに茶髪のストレートヘアで、コブシの効いていない歌を披露してくれた。集まった客層はどう見ても買い物に来たオバサンがほとんどで、いわゆる可愛い系の演歌歌手の歌なんぞ、絶対に聞きそーもない人ばかり。途中で引き上げて来たけれど、歌の後で繰り広げられたサイン会には、いったいどれだけの人が並んだだんろーか。でも女の子だから、近所を歩いているおっさんたちがニヤけて立ち寄ったかもしれないなー。

 仮にサインするのが美人歌手でもアイドル声優でもない、カルトな人気の漫画家だったらどーだったかとゆー実例を見るために、小田急線で新宿を経て山手線で池袋にある大型書店「ジュンク堂」へと向かう。4時からとり・みきさんのサイン会がスタートするとゆーのに、5分前になってもそれらしい人間の行列が出来ておらず、大丈夫だろーかサイン会がはじまって店員がエプロンはずしてリング状に並びはじめるんじゃなかろーかと不安になる。がしかし、そこはさすがにカルトであろーと人気者。4時のスタート時には階段の終わりまでズラリと行列が並んで、自分の順番がくるのを、せわし顔で待っている姿が見受けられた。えっ、「ジュンク堂」の最上階まで続く階段がぎっしりかって? ノンノン、1階から地下1階まで続いているだいだい30段ほどの階段、だよ。

 それでも店の表で、たぶん版元の河出の担当者らしき背広の兄ちゃんが、一所懸命案内のチラシを大声をあげて配った甲斐があったのか、スタートして5分でとぎれるとゆーこともなく、なんとか終わりまで列は保ったみたい。せかくなので1冊所望してサインをしてもらってから、時間があったので西武百貨店で買ったばかりの「ハイパーヨーヨー」を取り出して遊びはじめるも、ぜんぜん遊べないのが哀しい。パシッと伸ばしてちょいと引き戻しても、ヨーヨーが戻ってくれないのはきっと力が足りないからなんだろーけれど、戻ったからといってそれだけの品物が、どーしてこれほど売れているのか、おじさんにはさっぱり解らない。だったらなんで買ったの、ってことになるけれど、だってあれだけ売り切れ続出の品物が、店頭にどっさりかかっていて、前に子供が群がっている様を見ると、むらむら来ちゃうじゃないですか。精神が子供? そうですそのとおりです。いいわけはしません。ほら犬のさんぽー。東京タワー、って古いなあ。

 17時から始まったトークショウは頼んだコーヒーが最後まで出ず、2度と「ジュンク堂」では本なぞ買うものかと、心の奥底の閻魔帳にでっかく「バツ」を付ける。本屋自体に責任はないが連帯席にだ、坊主にくけりゃ袈裟までだ。ショウの方は来場者の質問にとりさんが答えていく形式で、田北かんせいくんとは何者かとゆー、ファンなら知ってるけどそーでない人にはやっぱり不思議な事柄への答えにはじまって、アイディアのためにアイディア帳を作っているけれどそれを見るときは調子の悪い時とか、単行本とゆー形式にはこだわりがあって1冊の単行本でまとまる長さの漫画が好きだとか、媒体によってタッチが変わってしまうのは編集サイドからみるとあんまり良くないころだけど当人はわりとこだわって意識的にやっているとか、まあそんな話がとつとつと続いた。どんな質問にも丁寧に、それから論理的に答えていく姿からは、一見インプロビゼーションなギャグの背後にある、膨大な計算と情報が垣間見えた気がした。

 エッセイなどの文章の仕事については、最初は面白がって書いていたけれど、日々のフラストレーションをギャグに代えて漫画を書いていたものが、文章を書くことでガス抜きされてしまうとゆーか、言葉が消費されていくとゆーか、まあそんあ意味あいもあってだんだんと文章を書くことの危険性を感じ、いまは例えば漫画の話は書かないとゆー制約を、自らに課しているのだとか。とりみきさん脚本のパトレイバーについては、さしたる情報はなかったこともなかったけれど釘を刺されたので以下略。質問はしなかったけれど、同じ「コミックビンゴ」にかつて「週刊少年チャンピオン」でギャグ漫画家としてともに権勢を振るった鴨川つばめさんが描くよーになったことについて、どう思っているのか(嬉しいor哀しいorおかしい)聞いてみたかったなー。次は山上たつひこさん復帰か。

 会場に加野瀬未友さんが来ていたので、終わった後で近所のレストランで意見交換、最新のアニメ作家とか漫画家とかゲーム業界の状況を聞く。政治的な情報に詳しい記者が社内にいて、あれこれそっち方面の情報は入ってくるけれど、自分的には政治よりも好きなコンテンツのことは、クリエーターどうしの横のつながりがないこともあって、なかなか情報が伝わってこない。そうか「アニメージュ」の裏表紙に堂々の広告を出している「ネクスト戦記 エーアガイツ」の裏にはそーゆー理由があったのか。ツマらないのもうなずける、うんうん。「まんだらけ」のコスプレ店員のカラオケはやぱり評判が悪いのか、はいはい。「ノエル2」にはそんなに攻略本の申し込みが集まっているのか。個人的にはあんまり絵が好みじゃないんだけどなー。パイオニアLDCの開発企画部長さん、「ノエル1」を大きく紹介してあげたよしみで、ウチから攻略本出させてよ、って出すだけの甲斐性はとてもないけどね。

 スパゲティ1枚で2時間半ほど話してから散会、家にかえってテレビをつけるとやっぱり負けてやがったサッカーワールドカップ最終予選日本代表は。アウェイで相手に有利なジャッジが出るのは当たり前で、そこんとこころを攻撃で圧倒すればいーのに、相変わらずな点と点を結んでいくゆったりとしたボール回しで相手に護られる余地を与えてしまい、パスも中途半端で全部カットされて前線へカウンターのフィード、ピンチの連続の中で外からすこーんと蹴ったシュートが、日本のゴールネットを揺らしてしまった。日本といえばオフサイド連発でいらいらも最高潮、結局1点返して勝ち点1は確保したけれど、残りをすべて勝つのは絶対に無理だから、ホームで2試合を残したUAEが、たぶん2位を確保するだろー。こうなれば後はギャグに徹して、オール30歳以上で固めたチームを結成して、美技を披露しつつ華々しく散って欲しい。ラモス復帰に柱谷復帰にそうだなフォワードは国会議員の釜本でどーだ。これなら韓国だって外交問題を気にしてつっかかって来れないだろーから。顔も韓国選手の100倍は怖いし。柱谷も加われば1万倍は怖くなるし。


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