縮刷版96年11月上旬号


【11月10日】 スポーツ新聞各紙は競馬が1面で2面3面はだいたいが日米野球。サッカーJリーグの鹿島アントラーズ優勝とか、三浦和良の得点王とはか中の方に追いやられていた。まあ鹿島の優勝は前節の水曜日にほぼ決まっていたから、話題の鮮度という意味で今1つ古くなってしまった話題かもしれないけれど、せめてもう少し大きく扱ってもらって欲しかったなー、などどぶつぶつ言う。いよいよ来年が正念場ってとこかJリーグ。ワールドカップ予選に負けた時は・・・・死ぬね。

 中野の「まんだらけ」まで遠征して、遠野一生さんの「形而上のマリア」(フロム出版)とか内田美奈子さんの古い作品とかを買いあさって帰る。遠野さんの単行本はこれでだいたい揃ったかな。内田さんは「赤々丸」のころの絵柄なので、最近の「BOOMTOWN」しか知らない人には、とても同じ人の漫画だとは思えないだろー。どっちかってゆーと最近の絵柄の方が好きなんだけど、今はたぶんどこにも連載持ってないよーだから、あの絵柄の新作を読めるのは、当分先のことになりそー。とても残念。

 それにしても「まんだらけ」、お昼時だとゆーのに大勢の客が店内ところ狭しと歩き回って本を物色し、買い取りカウンターには何冊も本を抱えた少年少女が列をつくって結構なにぎわいを見せていた。本を売り払うことが出来ない人間にとって、本を売る人の行動を見るのはいささかの寂しさが伴うのだが、あーゆー人たちがいるから絶版になってしまった本を掘り出すことができる訳で、その当たり気持ちに折り合いをつけながら、買った本を抱えて店を出る。店員のコスプレほとんど解らん。1人アヤナミの格好をしたのがいて、まあまあ似ていなくもなかっただ、制服の色が緑色だったのはなんでだろー?

 地下鉄東西線を葛西駅で途中下車していつもの河内屋酒販でバーボンを買う。20年物のくせに2980円とゆー特価品の「BARRETT’S」まだ何本か残っていたけど、前と同じのを買うのも芸がないので今日は「オールド・フォレスター・ボンデッド」を選ぶ。2480円。定価の半額ってとこかな。飲んだことがないので味は知らないが、まー普通のバーボンだろー。2週間くらいで1本空けてしまうとゆーのは、ペースが早いのかそれとも遅いのか。こんな調子で飲み続けていたら、春には立派な酒飲みの一丁上がりだね。

 西武百貨店で「トイ・ストーリー」に出ていた「バズ・ライトイヤー」のおもちゃをビデオ売場で見かけて欲しくなるが、手持ちがないので我慢する。ビデオ売場には大型のラックに「トイ・ストーリー」のビデオがぎっしり。ディスカウント系でははやくも3000円を切る値段で売られていたから、正価販売の店はちょっとキツイと思う。ちょっと離れたところにCICビクター期待の「リトルフット」のビデオも売られていた。ポンキッキーズの合間にCMが流れていた程度で、マクドナルドとか森永製菓とかとのタイアップをガンガン打ってる「トイ・ストーリー」に比べて知名度が今ひとつ。これから本格化するクリスマス商戦で巻き返せるだろーか。


【11月9日】 津田沼の「まんがの森」に買い出しに行き、テレビでアニメの放映が始まった「逮捕しちゃうぞ」の原作本をまとめ買いする。学生時代だったらたった1冊買うのにも綿密な資金計算を行って、計画的に買っていた数百円の漫画本を、今は10巻本が20巻本でもどさっとまとめ買い出来る。いい身分にはなったと思うけど、その分1冊1冊に対する思い入れが薄れていくような気も一方にあって、情熱的に漫画本をむさぼり読んでいた昔を、ふと懐かしく思う。とか。

 とまれ藤島康介さんの「逮捕しちゃうぞ 第1巻−第7巻」(講談社パーティーKC、各420円)は、噂に違わず80年代後半を代表する傑作漫画で、テレビでのアニメ化を機に、今の藤島さんの絵柄でもう1度描いてくれないものだろーかと、虫のいいことを考えてしまう。「ああっ女神さま」もそのうちどさっと揃えるかもしれない。キャラをやった「サクラ大戦」はプラットフォームがないから当分パス。ちょっと悔しい。

 それにしても先週は酷い作画だったアニメ「逮捕しちゃうぞ」。スタート時につかみで放映した「OVA版」のよーなクオリティーは無理としても、せめて作画とストーリーで魅せて欲しいと思って今週分を見ると、少しはまともになっていて嬉しかった。視察人蟻塚警視正のエピソードは原作本と全然違ってたけど、まあ納得できるストーリーとオチになっていた。二日酔いの夏美の顔がなかなか。毎回これくらいのクオリティーは維持してくれないと、怒った美幸と夏実がモデルガンとダンベル持ってTBSになぐり込むぞ。っても僕が美幸か夏実のコスプレしてなぐり込むのは恥ずかしい(って、そーゆーレベルの問題でもないが)から、誰かに頼もう。誰に頼もう?

 サッカーのヴェルディ川崎対鹿島アントラーズの試合は、ヴェルディの圧勝。一方的な試合なのに見ていて楽しいのは、きっと鹿島が名古屋グランパスエイトをこてんぱんにしたのが悔しかったのと、ヴェルディが実に楽しそうに攻めていて気持ちよく見ることができたからなのだろう。ちなみにグランパスはセレッソ大阪に勝利して2位に滑り込みセーフ。清水エスパルスを倒してサントリー・カップ優勝だ。ピクシぃー、帰ってこいよぉー。

 津田沼に行った時に、「本の雑誌」で制服のかわいい本屋さんとして紹介された「昭和堂」に寄って制服を見てくる、じゃなかった「インターネット中毒者の告白」(J・C・ハーツ、大森望・柳下毅一郎訳、草思社、1957円)を買って帰る。ちなみに「昭和堂」の制服は白い開襟シャツにネイビーのジャンパースカートで、D以上のカップの人は開襟シャツの一番上のボタンがはじけ飛びそーになっていてその上の広く開いたところからは以下削除。気になる人は津田沼まで行ってその目で確かめて下さい。


【11月8日】 来週の月曜日が休刊日なので会社にいっても新聞のための仕事がない。仕方がないので来週の火曜日付けの原稿を書いたり、身辺整理をして時間を過ごす。ちなみに火曜日付け原稿とは、来週火曜日から新宿NSビル地下で始まる「デジタル・コンテンツ・フェスティバル’96」とゆーイベントの紹介記事ね。

 このイベントは、AMD(マルチメディア・タイトル制作者連盟)とゆー団体が中心になって去年から開いているもので、中心メンバーは「GADGET」のシナジー幾何学、「渡良瀬橋」のオラシオン、エキスパンドブックのボイジャー、「イエローズ」のデジタローグ、「ルーブル美術館」のインフォシティといった、それはもうCD−ROM業界の隅々にまで名前の轟いている会社の人たち。もちろんイベントにはブースを出しているから、新作とかのデモががんがんと見られるかもしれない。気の向いた人、お近くの人が是非お立ち寄りを、などとフジサンケイグループ主催のイベントのピーアールをしてしまう。

 なぜか唐突に会社で「ペーパーダイエット運動」とゆーのが始まって、身辺にあるいらない紙の資料とかを全部捨てなさいとゆーお達しが出たので、足下に2年くらい積み上げていた資料をどさっと捨てる。いつか使うかもしれないなどと思って結局使わずの2年間。捨てたとたんに必要になるってことがよくあることなので、来週当たりはばたばたするかもしれない。

 それにしても新聞社って、よくもこんなに紙の資料が集まるなって思うくらいに、毎日のように紙の資料とかが送られて来る。おまけに発表会では、必ず紙の資料がたっぷりと手元に配られる。いくら捨てても毎日のように配られたり送られてきたら、すぐに山になるのは必定。かといってしばらくは捨てられないのが人情で、かくして「ペーパーダイエット運動」の2週間後には、元の黙阿弥状態が出現することになるのである。しゃーないけど、いかんなあ。

 笠井潔さんの連作短編集「道 ジェルソミーナ」(集英社、1700円)とようやく読み始め、1日もたたずに読み終える。前の矢吹駆シリーズほどには、途中で挫折しなかった。時代を現代に据えて、主人公もごくごく普通の探偵にして、事件もごくごくありふれた(といっても現実に起これば話題になること必定の)内容になっているから、すんなりと没入でき、すんなりを読み終えることができた。主人公の私立探偵「飛鳥井」は笠井さんといっしょの年齢のいわば分身。まもなく50を迎えるとうおじさんたちが、今という年代をどんな風にとらえているのかが、いわゆるサラリーマンの愚痴とは違った視線でとらえられていて興味深い。そーいやー笠井さん、また近く新刊が出るみたいなので、ボーナス前の身にはちょっとツライ。


【11月7日】 ウイスキーを駆けつけ3杯飲んだら眠くなって寝てしまった。起きたら午前2時。そこから京極夏彦さんの「絡新婦の理」(京極夏彦、講談社、1500円)の続きを読み始めて、午前4時頃に読み終え、結末の哀しさにひとり布団で涙する。しくしくしく。次作は「塗仏の宴」かあ。いったいいつ頃読めるんだろーか。

 会社に向かう途中で本屋に寄って、西原理恵子さんがビッグコミックスピリッツに連載している「ぼくんち」(小学館、1000円)の単行本第1巻を買う。なんというかまあ、出てくる登場人物が、いわゆる一般的な規範での普通の人ではない人ばかりで、どうやって西原さん、こういった人たちの生態なり思考なりを体得したのかと、感動と畏怖をもって本を読み進む。

 ほのぼのとした絵柄の凶悪で猥雑なキャラクター、けれどもあったかいストーリー。まさに奇跡の書としか言いようがない。売れるかなー。売れて欲しいなー。でも売れすぎて「ぴーてーえー」とかに糾弾されるのもやだしなー。それにしても「スピリッツとりあたまコミックス」って分類はなんだろー。

 橋本内閣の組閣が始まるが、政治部を持たない新聞なので今一つ編集局内は緊張感に乏しい。もちろん官邸前にテント村なんか建てられないから、もっぱらテレビど時事通信の速報で組閣の状況を確認して、あーこいつがなんとか大臣、えーなんとか大臣のこの人だれー、ってな話をみんなでしている。にしても菅直人の次の厚生大臣が小泉純一郎とは意外っちゃー意外。その他は「話題性」という点ではいまいち乏しいメンバーなので、おそらくはしばらく、小泉さんの手腕にすべての注目が集まるだろー。カイワレを食うかな。

 西澤保彦さんの「麦酒の家の冒険」(講談社、780円)を読んでいて、無性に「エビスビール」が飲みたくなって、帰りがけに自販機で買って返る。500ミリリットルのロング缶は、もちろん「麦酒の家の冒険」に登場するものといっしょ。いつもだったら350ミリリットルのレギュラー缶1本でおなかがいぱいになってしまう(だっていっしょに食べるから)のに、今日は麦酒だけで夕食代わりにしてしまったので、500ミリリットルを一気飲みしても、まだまだお腹がいっぱいにならない。

 じゃあ、また買いに行くかってゆーと、今日受けた健康診断で体重がちょっぴり(ずいぶん)増えていたので、ここはぎゅーっと股間を押さえて我慢して、明日の夕食にまた1缶、明後日の夕食にまた1缶のペースを守ることにしよーと誓う。今だけの誓いだから、明日にはきっと忘れてる。だってぼく「とりあたま」なんだもん。


【11月6日】 アスキーを抜けた人たちが作った会社「アクセラ」の発表会に行く。会社のある青葉台まで渋谷駅から道玄坂を越えてとことこと徒歩で向かう。大きなターミナル駅から徒歩で15分程度にあるとゆー点では、新宿から15分ほど歩いた初台にあるアスキーとなんだか状況が似ているが、まさかそこまで意識して本社を決めた訳ではないだろー。天気がいいのと気温が高いのとで、秋冬用の背広ではちょっと汗が出る。途中に古本屋の「まんだらけ」が近くにあることを思い出して立ち寄りたい誘惑にかられたが、たぶんまだオープン前だろーと思ってあきらめる。

 ドミニコ会修道院やらマレーシア大使館やらがある南平台町とは道路を挟んで向かいにあたる青葉台3丁目にある瀟洒なビルが目指す「アクセラ」の本社。近代的なイメージの建物で、脱藩組が細々と会社を設立したとゆーイメージが大違いだったことを思い知る。会見では小島社長と小笠原取締役がそろって登場して、最近ゲーム会社に第3者割り当て増資を実施したことを話す。ゲーム関連の情報誌を出す出版社が、ゲーム会社から出資を仰ぐのは報道の中立性に影響を及ぼしかねないことだとの懸念もあるにはあるが、それをいったらウチの会社だって大小とりまぜて150社ほどの企業の出資を仰いでいるわけだから、あまりい大きなことは言えない。

 しかしすでに社員が100人(含む役員・契約・アルバイト)もいると聞いてびっくり。設立されたばかりの出版社で、おまけにまだ雑誌を1誌しか出していないのに、この大所帯は何だろーと訝る。今期の売り上げ見通しが5億円から10億円といったところ。それでいて今期末までには150人程度まで増える予定とゆー。来年度はゲームが出るから売り上げは50億円くらいまで増えるそーだが、その時には社員も200人程度まで増えているとか。このペースで拡大し続ければ、再来年度には売り上げが100億円を突破して、たちまちのうちに中堅出版社・中堅ゲーム会社の仲間入りとなるのだが果たして・・・・。

 夜は帝国ホテルでIFPIの会見に出る。世界のレコード会社が加盟する団体の理事会が日本で開かれていて、そこで決まったことを宣言として話すとゆーから行ってみれば、宣言などとゆーまとまったものではなく、先だってWIPO(世界知的所有権機構、だったかな)のなんとか部会の議長提案について、いくつかの事項を確認しただけとゆー内容だった。外国人の質問に外国人が答えている間、通訳が日本レコード協会の会長の横で専属で通訳していたため、内容がまったく解らず頭に来る。

 名古屋グランパスエイトは鹿島アントラーズに相手にボロボロな試合。ディフェンスが崩されてしまって欲しいままに点を与える一方で、こっちは攻め込んでいながらなかなか点が取れない。去年もそーだったが、天王山とゆー1戦を落として優勝戦線がら脱落するのがグランパスの悪いところ。去年はそれでも天皇杯で快進撃できたが、今年は監督も変わってしまってるから、きっと絶対連覇は無理だろー。森山はともかく小倉をサブに回すのは何故だろーか。望月ってそんなに良い選手なのだろーか。謎。

 京極夏彦「絡新婦の理」(講談社ノベルズ、1500円)はよーやく500ページを越えたところ。あとまだ軽くちょっと長めの新書1冊分くらい残っているが、小説としてまとまりが良いのか、語り口が巧みなのか、それほど長さを感じさせない。それでもきっとあと2時間はかかるので、これまた講談社ノベルズから出た西澤保彦さんの「麦酒の家の冒険」(780円)に取りかかれるのは明日以降になりそー。エビス麦酒のぐしゃっと潰れた表紙がなかなかにグッドな本なので、早く読みたいなー。


【11月5日】 朝の3時頃までかかってグループ企業向けの原稿を仕上げる。先々週までやっていたよーな人に言えない恥ずかしい仕事ではなく、12日から新宿NSビルで始まる「デジタル・コンテンツ・フェスティバル’96」の紹介記事。去年はちょっとばかし寂しい内容の展示だったけど、1年たって時代はまさに「コンテンツ」一辺倒。それだけに2回目を迎えた今回は、フジサンケイグループがバックについて、大々的に開くことになっている。とまあ、一応宣伝めいた言葉で結ぶ。事実か否かはその目で確かめてみてちょ。

 いったん寝てからまた起きて早出。会社のワープロで原稿を完成に持ち込んでフロッピーに落としてから、正業の方の記者発表会へと向かう。エレクトロニック・コマース絡みのソフト群を発表するとゆー富士通と、中小企業が使っている機械の操業を最適化するソフトを開発するとゆー三菱総合研究所。30分づつ顔を出して会社に返って原稿に仕立て上げる。それにしても眠い。

 午後にはいって神楽坂のユニコーン・インターナショナルとゆー会社へ。ワイルドライフの映像で知られるプロダクションだけど、昨今のマルチメディアブームのご多分に漏れず、この会社でもデジタル絡みの事業をいくつか始めていて、今回は2次元のビデオ映像を3次元にしてしまうとゆー、夢のよーなソフトの発表が行われた。3次元といっても、赤と青のセロファンが貼られたインチキな眼鏡で見るものではなく、微妙にずれたモニターの映像を、液晶シャッター眼鏡で見るとゆーちゃんとしたものだった。

 肝心なのはもとが2次元の映像だったとゆー点。ふつうこーしたずれた画像は、2台のカメラで撮影して2台のLDで再生して、すっげースピードで代わる代わるに映し出したもの。これをシャッター眼鏡を通すことによって、右目と左目に微妙に角度を変えた画像を見せて、立体感を出す。けれどもユニコーンが代理店となって販売するソフトは、同じ映像を微妙に時間をずらしてモニターに映し出し、シャッター眼鏡を通して右目と左目にずらして伝えて、立体感を出すことになっている。原理はよく解らないが、すくなくともなんとなく立体に見えた。でも画面からぐーっと飛び出して来て見に迫るとかいった立体感はないから、あんまり面白くない。医療研修なんかで内視鏡を通して撮影した映像を立体化して見せると、奥と手前のポリープの違いが解っていーかもしれんとは販売元の弁。それにしてもデモで見せられた手術の映像がグロかった。

 東京証券取引所に行ってソニー・ミュージックエンタテインメントの中間決算発表会へ。ついにとゆーかやっととゆーか、公の席上で始めてSMEがDVDを来春に出すとゆー言辞を発した。誰の何とゆータイトルになるかは未定。でも業界最大手が出すんだから、ただのビデオに字幕とか副音声を付けただけってことはないよねー。下期のリリース情報ではやっぱり浜田省吾が注目株。新譜だけでなくってベスト盤も出すとか。あとは久保田利信の新譜とか、NOKKOにジュディマリに鈴木雅之あたりが売れ筋。あとは小室哲哉がリマスターしたTMNのシングルベストが出るそーで、小室ネタ切れが落ち込みかと思われたSMEにとっての、起死回生の1枚になるかどーかはやっぱり出てのお楽しみ。TMNは好きだったなー、まだTMネットワークって言ってた頃だったけどね。

 神田神保町で新刊を探し、目的の1冊を見つける。もちろん京極夏彦さんの新作「絡新婦の理」(講談社ノベルズ、1500円)。1400円の「コズミック」より120ページ以上も分厚いのはさておき、ページの末尾をすべて句読点か、最低でも改行にしている当たりは、前の「鉄鼠の檻」よりも凝っている。100ページあたりではなんだか学園ミステリーっぽくなっているが、きっと違うんだろーね。今晩はきっと寝られない。明日もきっと眠い。


【11月4日】 寒さで明け方目が覚める。窓を開けると冷たい空気が流れ込んで来た。庭の木々は葉が落ち始めていて、もう11月なのかとゆーことを改めて実感させられる。昨シーズンは年末になっても年が明けてもなんだか暖かく、コートを着た日が都合30日程しかなかったが、今年はなんだか寒い冬になりっそーな気がする。フトコロはもともと寒いが。

 読売新聞社会面に富山県山田村に関する記事。村民の希望者全員にパソコンを配った村として、一躍全国にその名を轟かせた山田村だったけど、プロバイダーとなる村が猥褻な画像、暴力的な表現を村民に見せないよーにするために、アクセス規制を行おーとしたところ、検閲にあたるといって大学教授らが反論したとゆー内容。なるほど元栓の部分で締めてしまえば情報は手元に届かなくなるのは必定だが、郵便局がどこそこ宛の手紙、どこそこ発の手紙をシャットするのと同じ意味を持つよーな気がして気味が悪い。

 アクセス状況を村が把握することによって、村民が何を見ているかが解ってしまうってのも、決して世帯数の多い村じゃないだけに、行政側・住民側ともに居心地が悪いだろーね。もし仮に、クライアント側でアクセスを制限するよーにするソフトの利用を、パソコンを配布する際の条件として義務づけたら、これも「検閲」にあたるのだろーか。ちょっと謎。

 することがないので、自転車を転がして「ブックオフ」に行ってうろうろ。吉野朔実さんのハードカバー本「天使の声」(集英社)と、内田善美さんの「星の時計のLiddell」の第2巻が300円均一の棚に入っているのを見て哀しくなる。が、どちらも手元にあるので救出はしない。代わりにあさりよしとおさんの「中空知防衛軍」(徳間書店)を100円で、また菅浩江さんの「不屈の女神 ゲッツェンディーナー」(角川スニーカー文庫)を300円で買って帰る。「エイリアン通り」や「ぼくの地球を守って」の全巻まとめ買いは今回もパス。ちょっと読んでる暇がない。正月だな、そっちは。

 あさりさんは再読。菅さんの方は出た時に見てパソコンゲームのノベライゼーションかと思って買うのを躊躇していた作品だったけど、新書の「氷結の魂」(徳間書店)と同様に、だんだんと本屋の店頭で見かけなくなっていたので買うことにする。「ブックオフ」にしては、あんまり割り引かれてなかった。おー表紙は赤井孝美さんじゃないか。でもやっぱりセンチメンタル・センシティヴ・シリーズの続きが読みたいぞ僕は。もちろんおおのやすゆき(大野安之)さんの表紙で。

 夕飯はブイトーニのリングィーネに「金鶏印の銀座カリー」をかけたカレースパ。インディアンスパともゆーね。「金鶏印の銀座カリー」は、レトルトじゃなくってフレーク状態になったルーの方を使ったけど、炒めた挽き肉に水をかけ、そこにルーをぶち込んで5分間だけ煮込んだだけだから、3分間待つレトルトと調理時間はさして違いがない。味はまあまあ。人参とかジャガイモが入っていないから出来る芸当だね。でもフライ用の冷凍ポテトとか水煮のグリーンピースなんかを使えば、野菜入りでも5分で出来そーな気がするなー。


【11月3日】 家に一日いっぱなしとゆーのも健康によろしくないので、神保町に行って新刊漁りでもしよーと家を出る。地下鉄を乗り継いで神保町に入ったのが昼少し前。期待していた程には新刊は出ておらず、神保町の三省堂でH・R・ウエイクフィールドの短編集「赤い館」(国書刊行会、2400円)を買って池袋へと向かうことにする。

 あちこちのホームぺージでサンプルが届き始めたという京極夏彦さんの新刊を探すが、さすがに店頭には並んでいない。うつらうつらと新刊の棚を眺めていると、荒俣宏さんの新作長編が並んでいるのが見えたので、さっそく購入した。「幻想皇帝 アレクサンドロス戦記 第1巻」(角川春樹事務所、1600円)とゆー本は、そのタイトルが示しているよーに、稀代の英雄アレクサンドロス大王の生涯について描かれた小説だが、アレクサンドロスにも増して日本では絶大な人気を誇る英雄、織田信長との関わりという視点が導入されている点が面白い。

 アレクサンドロス大王と聞いて、そーいえば新書で同じよーにアレクサンドロス大王を主人公に据えた小説が刊行されていたことを思い出して、新書売場に行って「崑崙の東 アレクサンドロス異聞」(アスペクト、880円)とゆー本を購入する。作者の武上純希さんは、ヤング・アダルトの小説だけでなく、「闇のパープル・アイ」や「ウルトラマン・ティガ」のシナリオライターとしても知られた人。起承転結が不可欠なシナリオの世界に生きる人だけあって、小説もキャラが立ち、わくわくとする展開に満ちていて、読んでいる間は堪能できた。壮大希有な設定にしては、短すぎるとゆー感想も抱いたが、とりあえずはイントロだと思うことにして、次作、次々作への期待を、ここに強く表明する。

 しかし偶然は恐ろしい。アレクサンドロスにまつわる2冊の小説を読んだその夜に、エジプトのアレクサンドリア沖で、アレクサンドロスの部下だったプトレマイオス1世が建てたといわれるファロスの大灯台の遺跡が発見されたとゆーニュースがテレビから流れて来た。世界の7不思議の1つに数えられる大灯台が見つかったとあっては、謎好き好奇心旺盛な性格としては、とても放ってはおけない。しばし成りゆきを注目したい。

 昨日の予言どおり、日米野球は大リーグ側が圧倒的なパワーを披露して圧勝する。残り試合も変わらず突き進むだろー。イチローの怪我は全治1週間だとかで、もしかしたら残りの日米試合には出られないかもしれず、そーだとしたらとても残念なことに思う。パリーグの東西対抗も欠場したよーなので、パイプ椅子から転げ落ちて得た負傷は、やっぱり相当に痛かったのだろー。せめて野茂が登板する第6戦(だったよね)には復帰して、野茂のふくれあがった自尊心に、深く釘を差し込んでやって欲しい。


【11月2日】 幕張メッセで開かれているプレイステーション・エキスポとE3に行こーと思って目を覚ましたら昼過ぎ。おまけに雨が降っていたので止めにして、家でひたすら読書することに決める。その前に本屋に行って新刊を見回し、キオスクに寄って新聞を買い、イトーヨーカ堂に寄って夕飯の食材を仕入れる。スニーカー屋を冷やかして新しいスニーカーが入っていないか眺めるが、NIKEのエアモアアップテンポの新作があったくらい。前は欲しくてたまらなかったエアズームフライトが安くなっていたけれど、すでに気持ちが冷めてしまっていて、買おーとゆー気にはなれなかった。やっぱり欲しいと思った時に買うのが大事だよね。

 家に帰って罐珈琲を飲みながらメロンパンを食べ、それから莫言とゆー中国の作家の「酒国」(藤井省三訳、岩波書店、2884円)とゆー本を読み始める。「中国のガルシア・マルケスと呼ばれる莫言が、現代中国お混迷を描く衝撃的作品」を腰巻きに書かれていて、ラテンアメリカ文学に惹かれる身としてわくわくしながら読み進める。惹句に違わずこの「酒国」、腐敗にまみれた現代中国に対する告発の思いを、現実と非現実が入り交じった不思議な世界で登場人物たちが遭遇するエピソードの数々に織りまぜて、巧みに描写していて面白い。読み終えるまでに4時間。なかなかに疲れる、けれどもためになる小説だった。読み終えるとなんだか人肉が食べたくなるだとか、酒が飲みたくなるだとかいった副作用はあるけれど。

 TBSで放映中のアニメ「逮捕しちゃうぞ」のオープニングがいきなり変わって驚いた。作画もこれまでに比べてずいぶんと落ちているよーな気がした。今まではもしかしてOVA版をそのまま流していたのだろーか。今日から登場の葵クン、痴漢逮捕のために女装してそれが癖になってしまった警察官で、170センチを越える身長なのになかなかの「美女ぶり」を発揮していた。こんな警官いるかいなとは思うけど、少し前に実際に、女装して痴漢逮捕に精出した警察官の話が新聞紙上を賑わせていたから、全国数万人と言われる警察官の中には、もしかして本当にいるかも・・・・って訳はないよね。

 日米野球は野茂の登板シーンだけをビデオで放映する怠慢ぶりだった日本テレビ。確かに野茂の登板は魅力だったし、清原との対決もなかなかに緊張感があったけど、大リーガーの打撃とか、大リーガーを押さえ込む日本のピッチャーとかを無視したのは許せない。ちゃんと6時から中継すりゃーいーじゃねーかよー。しかしやっぱり大リーガー、打つわ打つわで圧倒的な打棒を見せて今日は勝ち。残り試合はきっと全部勝つだろーね。

 Jリーグ、名古屋グランパスエイトはPK戦でよーやく勝てたみたい。でも鹿島アントラーズも買ったし横浜フリューゲルスも買ったよーなので、順位に変更はたぶんない、よね。しかしやっぱり点取れないぞグランパスエイト。大岩は初得点だそーな。いったいぜんたいフォワード陣はなにやってんだ。今がトンネルと思って出口をひたすら待ちたい気持ちだけど、前を照らすストイコビッチは試合に出られないままワールドカップ予選に行ってしまうだろーから、このトンネル、このシーズン終了まではとてもじゃないが出られそーもない。いっそ天皇杯にかけるか、去年みたく。でもナビスコカップの悲惨さがあるしなー。もやもや。


eva1 【11月1日】 東京會舘で開かれた「新世紀エヴァンゲリオン」劇場版の製作発表会見に出かける。ちょうど同じ時間に、幕張メッセではプレイステーション・エキスポの会場で「藤崎詩織デビュー会見」が行われていたが、悪いが私は「ときめきメモリアル」には何の思い入れもないのだ。それにしてもキングレコード、同じ日同じ時間にある発表会の案内を同時に送ってくるとは、記者にいったどーしろとゆーのだろーか。もしかしてどっちの会見に行ったかで、記者の2次コン度とかエヴァ度とか詩織ん度などを量っているのではなかろーな。

 さて東京會舘。スタートの15分前に会場に入ると、もう人、人、人の山でさすがに注目されている映画だとの実感が得られた。だいたい200人くらいは入っていたのではなかろーか。雛壇の正面はもうカメラマンたちでいっぱいだったので、仕方がなしに一番奥の一番前の席に陣取って、すぐ前にあるスクリーンとスピーカーを気にしながら、会見が始まるまでの時間を過ごす。でっかい音がいきなり出てきたらやだもんね。

eva2  時間になってメンバー登場。角川書店の角川歴彦社長を筆頭に、キングレコードの社長とか、テレビ東京や東映のエライ人とかが入り口に近い方にならび、自分の座っている側には手前から宮村優子さん、林原めぐみさん、三石琴乃さん、そしてシンジ君役の緒方恵美さんら声優陣が着席した。なんてラッキー。宮村さんとは3メールくらいしか離れておらず、うつむきかげんで圧し黙ったまま、髪の毛をいじくりまわす姿がよく見えた。役所とはずいぶんと印象が違う。真面目そー。

 スタッフでは庵野秀明総監督にメカ担当の山下いくとさんが出席。貞本義行さんは仕事が忙しくって欠席だった。まあ男には興味がないからどっちでもよかったけど。さて雛壇に並んだ人たちから、順に簡単な挨拶があって、しょっぱなの角川社長がガンダムを25年前と言うなど、ちょっぴりとっちらかって始まった。キングレコード、テレビ東京、東映と製作陣の挨拶が順に終わって、庵野総監督の番になる。庵野さんは開口一番「今もそこで脚本を書いていたほどですから、言えることは1つだけです。頑張ります」。それだけでマイクを次に回してしまった。会場内から拍手がぱらぱら、むしろ大丈夫だろーか、脚本はホントに間に合うんだろーか、井上ひさしさんみたくなっちゃうんだないだろーかとゆー不安が広がった。

 声優さんたちの挨拶で林原めぐみさんの声を聞く。そーか地声はリナ・インバースがマジになった声か、緒方恵美さんは見かけ宝塚男役トップスター(長与千種がちょっと入ってるかも)なのに、声はぜんぜん女性だったとか、いろいろと発見があった。三石さんはよく解らない。少なくとも月野うさぎではなかった。

 そして質疑応答。口火を切ったのは角川「ニュータイプ」の永遠のライバル、徳間書店は「アニメージュ」編集長のワタナベさんだった。まずキャラクターについて「新キャラは出るの」と聞くと、庵野さんは「24話で最後の使徒を倒しちゃったからねえ。代わりにエヴァンゲリオンの残りの5号機から13号機まで一気に出します」と答えて会場を湧かせた。続いてワタナベさんが「カヲルくんはどうですか。パンフレットにもでかでかと出ていますが」と聞くと、庵野さんは「彼、死んじゃいましたからねえ」とつれない返事。復活の予定もないらしー。水玉蛍之丞さん。残念です。

 別の人の質問に移って、「新しいメカは出ますか」と聞かれて、山下いくとさんが庵野さんに「新しいメカいりますう?」と振ると、庵野さんは「考え中です」と即答。畳み掛けて山下さんが「さっき、5号から13号って言いましたねえ」と不安げな声音でおずおずとお伺いをたてると、それにうなずく庵野さん。山下さんの心境を慮って、会場内にハーッという空気が流れる。おもちゃ屋さんは喜んだかもしれない。

 最後に劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」の内容について。予定では1話から24話までをダイジェストにまとめた「総集編(EVANGELION:DEATH)」と、新しいクライマックスシーンを描きおろした「完結編(EVANGELION:REBIRTH)」の2部構成になる予定。サブタイトルの「シト新生」は、よーするに「死と新生」でもあるとゆーことね。相変わらずの凝りよー。時間は各編60分で、時間の制約上「総集編」はエッセンスを凝縮したものになるとか。全く知らない「エヴァ度ゼロ」の人は、やっぱりビデオやフィルムブックでの「予習」が必要かも。

 気になるのはプレスシートのジャケットに、さっきの質問にあったよーにカヲルくんが大きく描かれているのと、鈴原トウジがプラグスーツ姿でシンジ、レイ、アスカたちと並んで立っていること。カヲルくんは「死んじゃいましたからねえ」だったが、トウジの方はもしかしたらもしかしたで、何か役が振られているのかも知れない。でも脚本まだだし、ただ描いてみただけって可能性の方が8割くらいのよーな気がしないでもない。どーなんだろーか。

 ちょっと「エヴァ」から離れて、平井和正さんの「月光魔術團」の新刊が出ていて買う。あとがきで「エヴァ」について平井さんが、言霊がまだ見ろとはいってないとかなんとか発言していたのが印象に残った。話の方では、にーなこと蜷川が小さな金髪の女の子にいいよーにあしらわれている様がなかなか。メイは1回も出てこないが、かわりに全身けむくじゃらの得体の知れないキャラクターが出てきて、生徒会長殿とアブナイひとときを過ごす。リーミイは相変わらずの過激度。章ごとの扉に入っているカラーのイラストもなかなかエッチで力が入ってる。しかしやっぱり話の先はぜんぜん見えない。平井さん、いったいい僕らをどこに連れていこーとしれいるのですか?


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