縮刷版2022年6月上旬号


【6月10日】 それは漫画かそれとも少年野球か。大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平選手がボストン・レッドソックス相手の試合に投手として登板し、7回を1失点で切り抜け13連敗からの勝利に道筋を着け、そしてその大谷選手が今度は打者として逆転の2ランホームランを放ってチームを勝利へと導いた。もちろん自分も勝利投手に。大リーグのサイトは「ワンマンショウ」といった大見出してその活躍をトップで伝え、そしてレッドソックスのお膝元の新聞、ボストン・グローブも大谷選手の写真をサイトに掲載してその偉業を伝えている。

 少年野球なら投手で4番は当たり前だし高校野球でも桑田真澄選手をはじめ投手で強打者というのはザラにいるけど、分業が進んだ現代野球のそれもプロの最高峰たる大リーグで、二刀流がまかり通っているだけでも不思議なのにその最高峰たる先発からの勝利投手&打者としての逆転ホームランを同時に成し遂げるなんて普通はあり得ないし普通でなくてもあったらおかしい。そのおかしいことを期待どおりにやってしまうから大谷選手は何があっても大リーグの選手たちから敬意をもって讃えられている。いくら審判が判定を渋くしたって気にせず臨んで結果を出すんだからもはや審判団も認めるしかないだろう。あとは大谷選手を大リーグの顔として売り出しファンを獲得してNFLとかNBAの後塵を拝し気味の人気を再燃させるしかない。

 中野方面に出かけるついでに阿佐ヶ谷まで脚を伸ばして「ぱすた屋」でペスカトーレ。函館名物のイカスミナポリタンも考えたけれども真っ黒のをそれから出かける前に食べる気力は流石に起こらなかった。食べれば美味しいことは分かっているので提供されている月内に再挑戦しよう。ペスカトーレは見た目は先月に食べた群馬名物の激辛ベスビオにそっくりなんだけれど、黒く焦げた唐辛子が乗ってないだけで味がまるで変わってしまうところが面白い。唐辛子も食べている時は大変だったけれどすぐにスッと引いたから悪くなかった。でも普通に食べられるペスカトーレの方が嬉しいかなあ、とか言いつつ普段はかけないタバスコをかけたのだった。やっぱりベスビオ、癖になる。

 阿佐ヶ谷のスターバックスでちょっとだけ仕事をしてから中野へと出て中野サンプラザで開かれるSCANDALのツアーグッズからTシャツを購入。大昔に千葉市文化会館だかどこかで開かれたライブでTシャツを買った記憶があるけれど、SCANDAL自体を見るのもそれ以来な感じでいったいどんなバンドになっているのか皆目見当が付かないのだった。Tシャツはデザインもおしゃれで最近はロックでもなくアイドルでもない路線に行っているのかと想像。まあそりゃあ全員が30歳を超えて来ているからいつまでもギャルな路線はとれないだろう。

 とかいいつつライブが始まっているとそれこそ昔の制服風のコスチュームでも勤まるくらいに全員が若々しくて声も若々しくてそれでいて演奏のレベルが上がってとても良い感じに仕上がっていた。新譜「MIRROR」をひっさげてのライブということでアルバムをまだ聴いてなかった身にはどれが新曲か分からなかったけれど、印象からそれまでのビートに乗ってギターサウンドが響くハードロックとはちょっと違った、メロウでナロウな印象の楽曲が最近の曲だとしたら音楽性にも広がりと奥行きが出てきた感じ。HARUNAの声は相変わらず元気でそれでいてバラードもこなすところに重ねた年月も見えた。

 MAMIのギターも相変わらずに鳴りひびく。そしてTOMOMIのベースの巧さよ。重低音がぐんぐんと響いて会場内を煽るのに、当人はふらふらとしたりくるくると回ったりしながら弦も見ずフレットも見ないで平気で弾いている。昔から巧かったけどどんどんと巧くなっているなあ。海外ツアーで見初められてどこかのハードロックバンドに引き抜かれて世界デビューしたって不思議はないけど、それをやられてしまうとSCANDALの癒やしが減じてしまうので今すぐにはあげないよ。ドラムのRINAもずっと叩き続けてそして歌まで唄ってと大変。外さないビートでなおかつ突き抜ける音をあの体型でやってしまうんだから凄い。やっぱりSCANDALは一流だ。

 総じて演奏し続けていたけれど、アンコール前のシングル曲「one more time」ではHARUNAがギターを下げてマイクだけ持って踊りながら歌ってた。かつてダンスと楽器のアイドル的なユニットとして慣らしただけあってダンスはお手の物。それは今も変わらないところを見せてくれた。全員が踊る曲も見たかったなあ。「瞬間センチメンタル」とか「太陽と君が描くSTORY」とか「HARUKAZE」とか懐かしいヒット曲もやってくれたので昔を思い出せた。観客席はそんな昔から来ている人もいれば若い人もいて女性も多かった。さらに若い人にも広がって欲しいけれど入ってくる入り口はあるんだろうか。音楽番組がなくなりPVと配信がメインの中でガールズロックがファンを獲得するチャネルが何か気になる。こちらとしてもその一助になるよう口コミに努力だ。次もまた行こう。


【6月9日】 日付が分かると同時に「犬王」の手拍子サイリウムOKな上に大友良英さんと後藤幸浩さんが音楽談義をしてくれる“狂騒”上映のチケットを確保。アヴちゃんと森山未來さんと脚本の野木亜希子さんが登壇した舞台挨拶付きの上映を見たばかりだけれど、そこで登壇者がお進めしていたまだ脚が生える前の犬王の愛らしい動きだとか、顔を取り戻したのに能面みたいな犬王が無音の中を舞うシーンを確かめつつ、手拍子でもってスクリーンの中のフェスを外に引っ張り出した空間に身を置いて、いっしょに楽しみたかったのだった。どんなフェスになるかなあ。歌えたらもっと最高なのに。

 博多の人口のほとんどが殺し屋だというとんでもない設定の「博多豚骨ラーメンズ」(メディアワークス文庫)とキャラクターを少し引き継いだ木崎ちあきさんの「百合の華には棘がある」(メディアワークス文庫)。ハッカー青年が実は国会議員の御曹司だとう設定を生かして野党の新鋭国会議員として政界へ送り込みつつ、起こる事件を探偵女子を動かし探らせ弱みを握ったり悪を懲らしめたりしていた。

 そんな中に加わったのが刑務所から出たばかりの元格闘家女子。昏睡させられ襲われ書けたところを抵抗したら相手が転んで打ち所が悪く死んでしまったという業務上過失致死で3年を食らって出所したら働く場所もなく食べ物にも困っていたところを探偵女子に助けられ、そのまま居着いて政治家の関わる事件に首を突っ込んでいく。その先に格闘家女子を過去に襲った不幸な事態の原因も発見。さらに宗教団体のテロの裏にあった謀略までもが浮かび上がってちょっとしたスパイ大戦へと発展していく。博多でにわか侍の活躍が見られた前のシリーズとは違ったサスペンス。これは続きが楽しみだ。

 「ハケンアニメ!」の舞台となった大泉学園にある日本最大のアニメーション会社の前に立ってる映画館で、「ハケンアニメ!」が上映最終日を迎えてしまうのでこれは聖地でやっぱり見たいとはるばる遠征。たぶん前の東映アニメミュージアムが閉館になった日に行って大塚康生さんをみかけて以来となる大泉学園でさて昼食でもとろうと見渡して、チェーン店ではつまらないと通りがかった中華料理屋「祥龍房」に入ったらこれがなかなかにボリューミーな豚キムチチャーハンを食べさせてくれた。これはなかなかリーズナブル。また生きたいけど遠くて行けそうもないものの、同じ名前の店が各所にあって同様にボリューミーな街中華を食べさせてくれるそうで、今度近場に行ってみよう。水道橋かなやっぱり。

 タリーズとロッテリアで時間を潰してから「ハケンアニメ!」。個人的には4回目。決して大きなシアターではなかったけれど、それでも半分くらい埋まっていたのはなかなかで、これで上映を終えてしまうのはお膝元でもあるだけに勿体ない気がしてならなかった。幸いにして本家のお膝元となる丸の内TOEIではまだしばらく続くみたいなんで、そっちであと1回くらいは見てみたい。上映最終日が決まればそれも行って拍手喝采したいなあ。あと4回目にしてやっと気づいたトウケイアニメーションにあった箱に書かれてあった「スイキュー!」の文字。どんなアニメだ。


【6月8日】 リストラを喰らってメンタルが粉砕されていた時期だったこともあって2019年から行かなくなって3年目。久々に秋葉原へと出向いて交差点で手を合わせてくる。4年ぶりで供えてあった花とかは少なくなっていたけれど、それでもちゃんと思って訪れて手を合わせていく人もいたいするところに、自分たちの街の秋葉原で起こった、自分が巻き込まれたかもしれない事態で亡くなられた、自分の分身のような方々を悼む気持ちは減じていないことがよく見えた。あるいは自分が起こしたかもしれない事件への複雑な思いを抱えた人のきっといただろうことも。きっと来年も行くだろう。その次の年も。可能な限りそこで自分だったかもしれない被害者と加害者を思うのだ。

 取り囲むメディアは前に比べて減ったとは言え、やっぱりそれなりに来ていて交差点の献花に手を合わせる人を狙おうと待ち構えていた。自分はすっと行ってさっと手を合わせてそのまま通り過ぎたから反応は見えなかったけど、朝とか大変だっただろうなあ。それはお仕事だから良いとして、いわゆる霊前とも言える場所でしゃがみこんで退屈そうにしていたり、立ってはいても熱心にスマートフォンを見ているのは弔意としてどうなんだろう。誰かのお葬式に取材に行ってスマホを見てたりしゃがみ込んで写真をとってたら蹴飛ばされるか祟られるだろう。そうした“常識”から治外法権にいると思っているところに、メディアの人々からの乖離があったりするのだろう。もうどうしようもないのかなあ、この惨状。

 これは面白い。「薬屋のひとりごと」の日向夏さんによる新作「聖女に嘘は通じない」(フロンティアワークス)は国の外交の顔を鳴る神子(聖女)を選ぶ試験が行われ、そこに教会で孤児達の面倒を見ながら街に出てはギャンブルに精を出して金を稼いでる神官のクロエに、なぜか白羽の矢があたって候補者として成金侯爵の息子だけれど結構やり手のの騎士に連れて行かれる。そこではすでにお嬢様的な態度の候補者は、圧倒的な美少女の候補者や、ぼわんとして動物好きの候補者や、女の子が可愛い服を着るのを見るのが大好きな候補者がいてそこにクロエは新たに加わることになった。

 他の候補者は実は2年前にも同じように集められていたけれど、その時にいた候補者の1人がボウガンで撃たれ死んでしまったことから延期となっていた。クロエはいわば欠員補充の形で参加したことになってそして、本当の目的としての犯人捜しを始めることになる。聖女は異能があるか得意なことがあるかするらしく、クロエはそれがギャンブルで慣らした嘘を見抜く力。そして聖女候補の中にいるかもしれない犯人を、その能力で以て探し始めるという展開は一種のミステリーとなって誰が嘘をついているか、そしてどうして候補者を殺したのかといった真相へと迫っていく。

 その構成も面白ければキャラクターも個性的。おつきの騎士は剣の腕より金の力で解決を図り、侍女は可愛い物が大好きで見ると鼻血を出すと行った具合。それでもコメディには走らずしっかりと政情から心情から条件として考慮された展開となっているから、推理しつつ明かされる真相に驚ける。その結果はなかなかにシビアあけれど、良い人が悪い場合もあれば悪い人が良い場合もあってバランスはとれているからちょっと安心。続きは描かれそうにもないけれど、楽しいキャラクターたちをこれで終わらせるのは勿体ないから、修行に入ったクロエたちが巻き込まれる事件に候補者たちが再結集なんて展開を呼んでみたいかも。待ってます。

 「犬王」の舞台挨拶付きイベントがあるので新宿へと向かおうとして途中で思い立って新宿御苑に寄ったら、新海誠監督の「言の葉の庭」に登場した東屋が柱の傾きが発生した関係で工事予定とあって立ち入り禁止になっていた。座ってビール……はだめだからノンアルコールとチョコで時間を潰したかったのに。傾いているから柱あけ直して元通りにしてくれるとは思うけど、これを機会とこぎれいな建物に変えてしまったら映画の聖地が消えてしまうことになる。ただでさえ映画のようなトークンではなくバーコードによる改札になってしまった新宿御苑が、これ以上変わってしまうのは寂しいので元通りの再建を願いたい。

 「犬王」のイベントではアヴちゃんが自分は平家の末裔だってことを教えられたと話して場内大湧き。好きな踊りでは1番最後の、無音で顔を取り戻した犬王がけれども無表情で待っている姿に切なさを感じたと話してた。人間なのに能面みたいなその表情から、一変して元の顔に戻るラストがだから余計に嬉しくなるのだ。そんな「犬王」では脚本の野木亜希子さんが書き下ろしたショートストーリーが収録された小冊子が11日から配られるとか。ほかに字幕入りの上映とか、オーディオコメンタリー付き上映もあるそうで、行って歌詞を感じながら見たいし、コメントを聞きながら見たいし、二次創作めいたお話しに想像を膨らませながら見たい。あと数回は行かざるを得ないなあ。


【6月7日】 朝からアップル界隈が騒がしかったのは新型のMac Book Airが発表になったからみたいで、自社製チップのM2を搭載したマシンは薄くて軽くて速いといった三拍子が揃ったものになっているようで、値段も20万円とかしないならちょっと使ってみたい気も生まれて来た。一時期シャープのメビウスとかを使った後、もう20年くらいはThink PadのXシリーズを使っていいて、今もX280を使いながらちょっと前に買って置いたX390にいつ乗り換えようかと思いながら、データ移行の面倒くささとソフトのインストールの手間を考え、逡巡していたりする。

 そうこうしているうちにThink PadのXシリーズは3ケタシリーズが消えてX13とかいったネーミングになっていたりして、こだわりも薄れていた今のこの機会にMacに切り替えてみても悪い話ではないけれど、やっぱり気になるのがキーボードのタッチ。字を書く人間にとって大事なそれを切り替えるのって結構勇気がいるのだった。とはえい最初はマックだった訳で、LC575と買って28年くらいになるんだろうか。ノートブックの性能の悪さからモバイル以降時にウィンドウズに乗り換えたけれど、そろそろ宗旨を変えてもというか戻しても悪くないかなあ。ほら、基本なんでも経費に出来る訳だし。あっと10万円超えれば減価償却対象か。ちょっと考えよう。

 見かけたのはたぶん、2代目の「AIBO」が発表になった会見の時と、それから秋葉原でスタートアップ企業が集まった時に「ガッチャマン クラウズ」に登場するトミーカイラを作っていた会社を支援する人として登場した時。今をときめくソニーのトップだという時代と、ソニーを去って悠々自適におさまらずいろいろと新しいことを探している時代の両方ともスタイリッシュでエネルギッシュなビジネスパーソンといった雰囲気を感じさせてくれた。<

 あとは茶目っ気。これがたぶん重要で、ただカチカチに固まって戦略を立てて正しい方向に行くだけじゃなく、先は見えないけれどもたどり着ければ凄いことが待っていそうな分野へと道を切り開く時に、深刻そうな顔をするより明るくて楽しげな表情でいた方が、周りもついていくし失敗しても次があるさと割り切れる。だからこそ取締役から社長になって撃ち出したインターネットの事業で今のネットワークで大きな利益を稼ぎ出すソニーの今を作ったとも言えるし、ゲーム事業を後押しして今のソニーの屋台骨を支える存在へと押し上げることができたとも言える。

 金融だってインターネットがあっての物だね。違うとすればコニカミノルタから買収したカメラ事業くらいだけれどこれだって1990年代のイメージセンシングへの投資があったから保っているところもある。AIBOだとかクオリアといった方面は成功したとは言いがたいけれど、ソニーというブランドに先進のイメージを持たせる役には立った。これがあったからこそ安い家電のイメージがまとわりついたサンヨーのように消えず、何をやっているか今ひとつ煮え切らないパナソニックのように安閑としないでソニーを日本でも屈指の優良企業のままでいさせたんだろう。

 出井伸之さん。若くはないとはいえ亡くなる歳でもなかった。こうして平成の経営者が去って行き、残るのはネットで一山当てた、新しいプロダクツもサービスも生み出さないフリーライダー経営者ばかりで日本の未来やいかに。まあソニーだってプロダクツに関してはテレビはじり貧でイヤホンも高級化に走る一方。ライフスタイルそのものを作るプロダクツは生み出せていないものなあ。プレイステーション5が未だ先進を走る状況から、次の時代に覇権をとれるプロダクツは生まれようとしているのか。それは何なのか。気になって眠れないかもしれないなあ。

 強い強い井上尚弥選手がボクシングの試合に出ていたのをAmazonPrimeビデオで観ていたら、過去に最強と言われていたWBCの世界バンタム級チャンピオンを倒してWBA世界バンタム級スーパー王座とIBF世界バンタム級王座を守って3団体の統一王者に輝いた。日本では初とか。これにあとWBOを加えれば4団体統一となるんだけれどそれに相手が応じてくれないとなるともはや防衛戦だけになってしまうから、階級をスーパーバンタム級に上げて新しく挑戦を始めるんだろう。パンチにスピードがあって破壊力もありそう。とにかく迫力の試合を今は地上波じゃなくネットが配信する時代なんだなあ。その方が世界で観られてチャンピオンとしても嬉しいんだろう。ボクシングは強く経済はヘタる日本の今を観た気分。AmazonPrimeビデオは次、どんなスポーツを提供してくれるんだろう。


【6月6日】 「湯川専務」としてセガ・エンタープライゼスの家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」のCMに出演していた湯川英一さんが亡くなっていたとの報。自虐的な内容とともに大うけしたけれどもスタートダッシュで台数が揃えられず出遅れたことの責任をとらされ常務に降格された時、それが人事として正式に発令されたものだったことがどうしても引っかかって、プロモーションを手がけていたあろう秋元康さんとそれを諾々と受け入れたセガが一変にきらいになった。

 ソフト担当でハードは管掌していなかった湯川さんが目立っているからと責任を取らせて笑うのは、働いている人たちにとって絶対に良くないと思ったから。そんなガバナンスを平気でやらかす会社が後にどうなったか、って考えるとやっぱりという気がしてしまう。プロモーションは巫山戯ても経営で巫山戯てはいけないという例。でも今は巫山戯た経営が持てはやされる時代だからなあ。やれやれ。

 湯浅政明監督を迎えて阿佐ヶ谷ロフトAで行われた「犬王」の作画を語るイベントで、犬王が足利義満の別荘で演じた際に竜が動き回る部分で竜の影が伸びたり縮んだりする映像を作る際、「10番目の感傷(点・線・面)」という作品を使ったってことにちょっとだけ触れていた。タイトルからはピンと来なかったけれど、光が動いてそれが鉛筆とかの影を壁面に映し出す作品と聞いて、アーツ千代田3331で見かけたあれかと思い出したけど、作者の名前までは調べなかったら今日になって新潟県にある美術館で、クワクボリョウタさんが手がけた「LOST#6」という作品が壊されたといったニュースが出てきて、その作品が光でもって影を映し出す作品だった。

 そしてクワクボリョウタさんこそが「10番目の感傷(点・線・面)」の作者だと分かってなるほどここに繋がるかと思ったのはさておいて、たぶん部屋にごそっと置かれた品々を間違えて蹴飛ばしてしまった程度かとニュースを見たら、踏み荒らしたとあってこれは意図的な破壊だと気がついた。修学旅行で出かけた中学生のやんちゃな奴らが部屋に転がるおもちゃのような物をみて、蹴飛ばしていてエスカレートでもしたんだろうか。でもそれは作品であって先日ルーブル美術館で行われた「モナ・リザ」にケーキをぶつけるのと同じ所業。「モナ・リザ」はガラスに守られて無事だったけどこちらはむき出しの作品が破壊されてしまった。

 そこにある品では再現は不可能らしいけれども偶然に頼るインスタレーションではなく光と影を計算して作り出す作品だから、設計図通りに部品が揃えば再現は出来ると思うもののその手間とコストが大変。コストについてはどうにかするとして手間については踏み荒らした中学生を呼びだして展示室に入れてアーティストといっしょに作品の再現に取り組ませれば、どれだけの労力で作られた作品かが分かって教育にもなるんじゃないかなあ。明和電機の土佐正道社長は自分の作品が壊されたらそうするってツイートしてた。応じるかは別だしクワクボリョウタさんの腹の虫がそれで治まるかも分からないけれど、いたずらに罰するだけではない道を見つけて欲しいもの。気にしていこう。

 仕事から戻ってTverでサッカー日本代表とブラジル代表の親善試合。シュートを放った瞬間に停まるとかTver回戦が弱すぎだろう。それとも自分のモバイル環境が細いのか。それでもだいた観られて日本代表が相手ゴールの近くまで攻め込めてもそこでボールを持ちすぎて奪われ良いところを作れない一方、ブラジル代表はワンタッチで繋ぎドリブルでも突破してどんどんと攻め込んでいくところに大きな違いがあると分かった。

 スコアは0対1でそれもネイマール選手によるPKではあっても、枠内シュートがブラジルの22に対して日本は5、そして枠内シュートが日本は0というところに歴然とした力の差がある。それで喜んでいるようでは本番で引き分けても勝ち上がれ歯しないだろうなあ。冨安選手と前田大然選手と三笘選手と南野選手といった持てて切り込めて受け渡しができる選手をちゃんと揃えよう。久保健英選手は……申し訳ないけどいらないなあ。


【6月5日】 映画「響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」が公開された3か月後に起こった事態で多くのものを失って、もう立ち上がれないのと大勢の人を心配させて、それも仕方がないと諦めさせた京都アニメーションは、その後もちゃんと立ち上がって数々の作品を世に送り出し、大丈夫だっていうことを見せてくれている。そして3年生編がアナウンスされていた「響け!ユーフォニアム」シリーズも、3年を経てようやく立ち上がることができた模様。アンサンブルコンテスト編とそして久美子の3年生編が、相次いでアニメーション化されることが発表された。

 アンサンブルコンサートは2年生になった久美子たちが関西大会から先に進めなかったことを踏まえつつ、部長となった久美子が滝先生と相談して、少人数の編成で演奏する大会に出場することを決めてその代表を選ぶ演奏会を部内で開くことを描いたもの。それまで目立たなかったマリンバとか他の楽器の面々が名前を出して登場して、3年生になってから起こるいろいろな事態に備えさせてくれる意味合いもあって短いながらも厚みがあった。それを映像でみられるのはちょっと嬉しい。ジョイナス先輩無きあとの貴重なメガネ枠で、妹が癖のある釜谷つばめの正確無比なマリンバの演奏とか、ここでお披露目されるわけだし。ワクワクしかない。

 そして3年生編は、部長になった久美子がユーフォニアムのリーダーとしての地位も安泰かというとそこにとてつもないライバルが登場。さらには癖のある1年生がどっさりと入り面倒臭い2年生も含めてしっちゃかめっちゃかの中、久美子にとっては最後の全国大会に向けた1年が始まるというこれもドラマティックなストーリーが待っている。最後の最後まで気が抜けない展開をどう描くのか。久美子ら4人の結束は少し前の北宇治高校吹奏楽部の定期演奏会で確かめた。ならばあとはその結束を描く人たちの頑張りに期待するしかない。キャラクターも楽器も思いを受け継ぎ素晴らしいものを描いて魅せてくれるに違いない。期待して待とう。

 せっかくだからと渋谷にいって「攻殻機動隊SAC_2045」の展覧会をちょっとだけ見物。絵がある訳ではなくってイリヤ・クブシノブさんがデジタルで描いた絵をいろいろと投射する窓みたいなものが並んで、固定させず移動しながら絵が移り変わっていく空間になっていた。そこにARらしきものが展開されてスマホ越しに見ると何か見えたけれども光の粒子が飛んでいたくらいで面白みにはちょっと欠けた。それとも操作が悪かったんだろうか。VRでは電脳世界に入り込んだような気分が少し味わえたけど、これも以前に試した攻殻VRほどの迫力はなかったかなあ。素子出ないし。まあご祝儀。ニューバランスを頭に乗せた素子のTシャツもあったけど高いからパスだ。

 あの夏、かたわらを通り過ぎていった、なにか大きなものが何だったのかが分かった。それは、ひとつひとつが自分はどこに向かっているのかを思って、歩き続けてきた道の集まりだった。いろいろと話題の河瀬直美監督による映画「東京2020オリンピック SIDE A」。集まった道のそれぞれが、どこかへと向かって歩いていったそのく先を見せてくれた。観たTOHOシネマズ渋谷でそこそこ入ってた。半分位高齢者。その人たちの期待をはぐらかして、映画は個に目を向けて何かに沿わせず、何にも阿らないそれぞれのオリンピックを淡々と描き出した。勝利も敗北も棄権も参加もその人のものとして映し、良かったねと思わせた。

 柔道。女子バスケットボール。ソフトボール。スケートボード。サーフィン。陸上女子200メートル。陸上女子マラソン。空手型。日本が金に輝いたソフトボールや銀を獲得した女子バスケットボールはなるほど華々しさを伝えていたけど、そこからむやみに感動を抉りだそうとはしていなかった。女子バスケットボールはむしろ、カナダから参加した選手が生まれたばかりの子供も連れて来日し、母乳を与えながらプレイに臨んだ姿を見せる一方で、出産後に復帰したものの開催延期で再び引退した日本の元選手を対比させ、自分がそうありたいと思ったからそう生きることの強さ、そういうものだからと認め身をなぞらえさせた優しさのどちらが正しいのではなく、そこに人それぞれの行き方があるのだと教えてくれた。静謐な中に蠢動する表現への思いを感じられる映画。悪くない。


【6月4日】 庵野秀明セレクション「ウルトラマン」4K上映を前にTOHOシネマズ池袋で見た「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島は、前半の苛立つブライトとか相手の士官の浮つく声音に、安彦良和さんの描く漫画的な口の形や表情が重なって感情移入を妨げ、そして半ば遭難で半ば虜囚の身なのに問わず手前勝手に振る舞うアムロの態度が共感を阻害して、見ていてどうにも居たたまれなくなった。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」でも感じた部分ではあったけれど、より激しくなったのは最後だからと安彦良和監督のやりたいようにやらせたからかなあ。

 好きならハマれたかというとそこはやっぱり漫画とアニメーションという表現の差もあり、乗っていない音声の替わりを絵で描いた表情で行う漫画になおかつ音声まで乗せたらクドくなって当然といったところで、過剰な波動に圧倒されて入り込もうとする気持ちが妨げられる。それでも、後半の三つ巴なモビルスーツ戦になってからは状況が進んだこと、表情や声になれたこともあって観られるようになった。

 モビルスーツ戦に関しては、CGI演出を頑張ったYAMATO WORKSの森田修平さんがアカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされるくらいの世界的な腕前でもって、スリリングな映像を作り出してくれたからなのか引きつけられた。ストーリーに関してもあの島にククルス・ドアンが残り続けた理由がしっかりと描かれていて、単なる脱走兵による贖罪の日々とは違った意味性を感じられた。サザンクロス隊の当て馬ぶりは可愛そうだったけれど、生き残らせて本編に絡ませるにもいかない存在ならああいった結末もしかたがない。だったらコアブースターは何なんだ。いやGファイターじゃないなら劇場版準拠といえるけど、だったらあの描写はなになんだ。1.5倍のゲインがあったのか。気になった。トニーたけざきさんも驚きだっただろう。良かったねえ、セイラさん。

 阿佐ヶ谷ロフトAで「アニメスタイル」のイベントとして「『犬王』の作画を語ろう」が開かれたので見物に行って最前列で聞く。湯浅政明監督を脇に置いて亀田祥倫さんと中野悟史の両総作画監督が主にどんな仕事をしたかを話す内容から、なかなかに厳しいスケジュール感で進んだ制作の状況が垣間見え、そうした結果として作り出された映像の素晴らしさに改めて頭が向かう。最初は原画として呼ばれながら作画監督を任され総作画監督にまでなってしまった亀田さんはヒップホップみたいな犬王のダンスを描いたみたい。いろいろな映像をミックスしてロトスコープ気味に作ったみたいだけれどそこにアニメーターならではの手癖も乗ってヌメヌメではないイキイキとした生命感が表れている気がした。

 そんな亀田さんが描く友有の並びの悪い歯を見せ歌う場面がさらに「ポリゴン数が多い」感じに描かれたという原画があって、まだ若い人がスケボーで通い帰りながら作ったそうでクールでスタイリッシュでそれでいて泥臭いアニメーターが生まれて来ていることを知る。若い人では女性で犬王が池の上を優美に舞うシーンとかを描いたアニメーターがいて、湯浅さんに自分のポートフォリオを見せて加わりサイエンスSARUの作品に関わり上で前を上げて「犬王」で湯浅さんが褒めるアニメーターに成長したとか。そういう人がぐんぐんと現れているんだなあ。同じことが老舗でもちゃんと起こっているんだろうか。気になった。

 演出の人の突拍子もないキャラクター性も愉快だった。傍若無人だけれどマッチョではなくナードな感じ。きっと庵野秀明監督もこんな執着だったんだろう。将来が楽しみ。逆にベテランも凄い人たちが松本憲生さんも含め関わっているんだけれど、自分に納得ができないのかそれとお生来の性格なのかクレジットに名前を載せることを嫌がる人もいたとか。結果としてクレジットを見てもその人が参加していたと分からない作品が増えていく。そして口頭では参加したことが語られていく。アニメスタッフのデータベースに端っこで関わっている身として、どちらを“正史”とすべきか迷う。せめてパッケージには名前を入れておいて欲しいなあ。順番も謙遜で位置を迷いながらもがっつり関わっているというから、クレジットの順番が軽重にもならない問題への対応も考えないといけないなあ。


【6月3日】 シュワ!とばかりに古谷敏さんいよる生スペシウム光線ポーズを目の当たりに出来て嬉しかった、庵野秀明セレクション「ウルトラマン」4K特別上映 in TOHOシネマズ池袋。ゲストにウルトラマンの中に入って演技をしていた古谷敏さんを招き、清水崇さんがいろいろと訪ねていくトークショーが行われて、古谷さんからまずは「シン・ウルトラマン」について自分への愛を感じてくれている描き方だと喜んでいた。

 モデルになっただけでなく、モーションアクターも務めたことが「シン・ウルトラマン」のクレジットに書かれてあって御年78歳にしていったいどれだけの演技をしたのか、気になったけれどもそこはまだオフレコらしく多くは話してくれなかった。ただ、披露してくれたスペシウム光線のポーズを見るにつけ、そのやや前屈みになった角度だとか指先まで神経が通った腕の組み方が、まさに「シン・ウルトラマン」で見たまま。ウルトラマンのウルトラマンたる部分において、そのモーションをキャプチャしたんじゃないかととりあえずは確信している。いつか詳細が明らかになる時を期待しよう。

 上映される「ウルトラマン」の4作品についても解説があって、最初の第18話「遊星から来た兄弟」についてはザラブ星人が返信した偽ウルトラマンの頭が重いのほか固く、相手が普段いっしょに組んでスタントをしていた人でなかったこともあって距離感がつかめずチョップがあたってしまって、つい痛がってしまったという。本当は没なのに使われたことが今でも意外なよう。醜態は見せたくないというプロのスーツアクターを感じさせた。

 第26話「怪獣殿下(前編)」については庵野秀明さんが「ウルトラマンが美しくやられていく様」を讃えて選んだそうだけれど、それについてゴジラのスーツアクターとして有名な中島春雄さんから、美しく戦い美しくやられるようにと言われたことを実践したのだとか。なるほど上映された対ゴモラ戦でウルトラマンは暴れず悲壮さともちょっと違った名流れるようなやられっぷりだった。しかし前編だけしか上映しないのは殺生だよなあ。どうやってゴモラを倒したんだっけ。気になって夜寝られない。

 第28話「人間標本5・6」のダダ戦については、相手が人間型ということもあってプロレス技を意識したとか。なるほどいきなりレッグシザースで倒し、途中でネックシザースで転がしといった具合にプロレスで見られる技を繰り出していた。でもその細身で長い手足から繰り出される技は、パワフルなプロレスとは違った優雅さを感じさせる。そこが単なる怪獣プロレスを超えた美を見る人に感じさせたんだろうなあ。

 古谷さんだからこそのウルトラマンという訳。それについては成田亨さんからも「ウルトラQ」から続いてのスーツアクターとしての付き合いもあって、ウルトラマンを表現する上で古谷さんだからこそ作れるんだと言うことを訴えてくれていたとか。そんなウルトラマン役を途中で降りることも決めていた古谷さんだけれど、渋谷から円谷プロのある成城まで乗ったバスに乗ってきた子供たちの口からウルトラマンの話題しか出なかったことから、子供の夢を壊してはいけないと気を入れ替えたという。

 子供についてはあの円谷英二監督から、古谷さんが中に入ったウルトラマンが話しかけている有名な写真に関連して話があって、よく聞き取れなかったけれども子供に愛される存在になって欲しいという要望があったらしい。他には「息は苦しくないか」「目は見えるか」といった労りがあったとか。それも中島春雄さんから聞いていた、スーツアクターに優しい円谷さんに触れて古谷さんも嬉しかったみたい。ニコニコとして振り返っていた。

 上映4本目の第34話「空の贈り物」は実相寺昭雄監督だけあってウルトラマンがバトルし倒す展開とは違うものの、そんな実相寺監督が撮る怪獣へのこだわりが記憶に残っているとのこと。スカイドンは重たいという設定だけれど着ぐるみとしては軽かったとか。それを重そうに表現するのは以外や楽だったとか。重たいものを軽そうに扱うよりはそりゃあ楽だろうなあ。そして見た映像はスプーンが! 今も鮮明に覚えている『ウルトラマン』屈指のギャグシーン。4Kで見られて良かった良かった。もう1回くらい劇場に行って見るかなあ。


【6月2日】 エンターテインメントとは関係のない取材仕事で藤沢市へ。横須賀線を戸塚で降りて横浜市営地下鉄のブルーラインに乗り換えて湘南台まで行くと結構な規模の駅舎で、さすがは小田急線も停まるターミナル駅だと感心する。とういか慶応大学の湘南藤沢キャンパスってこの湘南台からバスで行くのか。東京から通うとするととてても大変そう。かといって近所に下宿すると遊びいくのは東京はもとより横浜だってなかなか遠い。どういうキャンパスライフなんだろう。気になった。

 慶応ボーイといえばお洒落の権化でもあるんだけれど、都心の三田に比べれば日吉もなかなかローカルな上に、さらにローカルな藤沢の海から遠い場所にあって慶応ボーイだなんて自慢できるのかはちょっと謎。とはいえ一方でSFCといえばハイテクな起業も結構あったりする最先端のキャンパスでもあって、都心だから偉いといった時代でもないことをある意味で証明しているとも言えるのだった。マサチューセッツ工科大学だってニューヨークやワシントンにある分けじゃないからなあ。

 取材先まで歩いて行けそうだったので湘南台駅を西口から慶応大学湘南藤沢キャンパス方面へとつらつら。良い天気の中を自衛隊機が飛んでいったけど近所に基地でもあったのか。途中に巨大ないすゞ自動車の工場があったけれど昔は格好いい乗用車を作っていた会社も今はトラックくらいしか作ってないんだと思い時のうつろいを感じる。取材先では@時間半くらい滞在。営業車を5台以上転がしている事業所は、運転する人のアルコール検査を毎日乗る前と帰ってきた後にやらなくちゃいけなくなっていることを知る。新聞社も支局に寄っては記者が乗用車を転がし取材しているけれど、同じように検査を義務づけられるのか。飲酒運転で事故を起こして解雇された記者もいたりするだけに気になった。

 取材を終えて必要な写真もあったので湘南台から小田急で藤沢へと出てそこから片瀬江ノ島まで行って橋を渡り江ノ島に行く。いったい何時依頼の訪問になるんだろう。ずっと昔、「Just Because」が流行った頃に登場したモノレールに乗って大船から江ノ島へと出てそこから渡った記憶があるけれど、まだ仕事をしていた時代だから軽く3年は経っていそう。その後コロナになって寄りつくことすらはばかられたけど、今は人出もそこそこ回復して島に入って神社までの参道も人でいっぱいで、食堂も人が並んでた。なので生しらす丼はお預け。今年は海の家も出るみたいだし本格的な復活も期待できそう。この環境が去年だったらオリンピックも盛り上がったのになあ。やっぱり2年延期すべきだったんだよ。それを安倍元総理が……。ポン酢の世話は大変だ。

 帰りは前に乗ったモノレールを逆に江ノ島から大船まで。降りて食道でメンチカツ定食を食べてそして横須賀線から横浜経由で家まで戻ってお務めを終える。ネットを開くと日本SF作家クラブへの新入会員が発表されていて、「宝石商リチャード氏の謎鑑定」の辻村七子さんや斜線堂有紀さんの名前が入っていた。斜線堂さんはともかく辻村さんはミステリの人じゃないって反応も多そうだけれどこれがどうして、デビュー作となった「螺旋時空のラビリンス」はガチガチな時間SFで、そして「マグナ・キヴィタス」はガチガチのロボットSFだったりするのだった。集英社オレンジ文庫で出てSFファンには決して届いているとは言いがたいけれど、これで興味を持って手に取る人が増えればSFマガジンで紹介してきた身として嬉しい。SFも書いてくれると信じよう。


【6月1日】 「トップガン マーヴェリック」を見てトム・クルーズが来ていたフライトジャケットの格好良さに撃たれたものの、買うだけのお金もないので昔取り寄せた放出品でアラミド繊維製のフライトジャケットCWU−36Pに、せめてこれくらいはとミリタリーショップから取り寄せたパッチを張ってトップガン使用に仕立て上げる。アイロンプリントらしくマジックテープがついてないのでユザワヤでマジックテープのシールを買って来てパッチの裏に貼り付け、パッチの形に切り取って完了。前から張ってあったパッチを外してくっつけとりあえずトム・クルーズ気分を満喫する。

  そうえいば大昔に何かの記者発表会でお土産にアルファ製MA−1のトップガン仕様をもらったことがあって、割と来ていたけれどファスナーがいかれて着られなくなったので捨ててしまったのだった。あれのパッチを外せば使えたかどうか気になるところだけれど、縫い付けだったし無印「トップガン」と新作の「トップガン マーヴェリック」では張ってあるパッチも違うみたいなんで応用は利かなかっただろうと想像。その時にDVDがついていたかどうかは覚えてないけど、「トップガン」そのものを見た記憶がないのできっとフライトジャケットだけだったんだろう。作りすぎて余ったかな。今でも中古で買えたら面白いんだけれど。

 とある新聞社の決算が出て、一応は全国紙を名乗ってはいるものの北海道から東北北信越に中部中国四国九州あたりに拠点がなかったりするのでもはや都市圏紙としか呼べない新聞だけに売上高も800億円を割り込み単体では500億円前後となかなかに厳しい状況が垣間見えた。上半期だけだと赤字になっていたけれど、そこは販管費を連結で78億円ばかり削り、単体でも70億円くらい圧縮して上半期以上の減少を達成。さらに固定資産売却益を11億円乗せてとりあえず、営業利益、経常利益、当期利益を黒字にしたみたい。それでも配当を出せば留保なんて出来ないから大変。だからといって配当を出さないと存在価値すらなくなるグループ末端の悲哀。経営って難しい。いやそれはせめて売上げ減を止めてから言えって話か。うーん。

 FIFAワールドカップ2022カタール大会に向けて動き始めたサッカーの日本代表が、キリンチャレンジカップに出場するにあたって背番号を決めてこれがひとつ本番での規準になるとしたらラモス瑠偉選手や中村俊輔選手あたりが背負って価値づけてきた10番はリヴァプールの南野拓実選手が背負うことになるみたい。プレミアリーグでの出場がなかなか出来なかったもののカップ戦では大活躍して海外のクラブチームでプレーする日本人選手の中でも抜群の存在感を示したからこれは妥当。フォワードでもゴン中山選手が確か10番だったこともあるから大丈夫だろう。シューズもアディダスだし。

 ハムストリングスさえ痛めなければプレミアリーグにずっと出て大活躍できただろうアーセナルの冨安健洋選手はディフェンスってこともあって16番。右サイドバックはだったら誰ってことだけれど2ばんが山根視来選手で3番が谷口彰悟選手と国内組。4番の板倉選手に5番の長友選手と比べ冨安選手が落ちるとも思えないからそこは好みなのかもしれない。センターバックが決まっている吉田麻也選手は22番だし。謎めくのは11番の久保健英選手でマジョルカでも今ひとつだし代表にもフィットしていないのにこの厚遇は誰の差し金か。フォワードなら前田大然選手と古橋亨梧選手と三笘薫選手で十分なきもするけれど、そこはやっぱり知名度、なんだろうなあ。まあ森保一監督が本番で使うかは分からないけれど。


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