縮刷版2021年3月下旬号


【3月31日】 「エデン」というアニメーションがNetflixから5月27日に配信開始となる予定で、人類が死に絶えた世界でロボットたちだけが暮らしている中に、新生児が現れたものの人間を危険視するロボットたちに見つかったら大変ということで、2体のロボットが新生児を街から外へと運び出し、育てることにしたというストーリーからどうして世界から人類が消えてしまったのか、ロボットが育てるといってもいわゆる人間のような愛情を持って育てることは可能なのか、自分だけが唯一の人間だということで育てられた少女には成長過程の心理に何か問題は生じなかったのか、なんて興味が今から浮かんでしまう。

 ロボットと人類の逆転した勢力関係めいたシチュエーション。それと同じような設定のドラマが「エデン」よりも一足早くHBOmaxというワーナー系の配信サービスと提携したU−NEXTから4月1日に配信スタートとなる。あのリドリー・スコットが製作総指揮を務めテレビシリーズながらも監督までした「レイズド・バイ・ウルブス 神なき惑星」というドラマで、その試写が原宿であったんで出かけたら古い原宿駅が消えていた上に、大きなユニクロが駅前に出来ていてすっかり様変わりしていた。地下にあったオシュマンズでスポーツグッズを見ようとしたのに……。それにしても人が多かったなあ、原宿。こりゃあやっぱり第4次あるわ。

 さて「レイズド・バイ・ウルブス」は何か地球でごたごたがあって宗教系の人たちが地球を船で脱出しようと試みる一方で、男型と女形に見えるアンドロイドが2体、シャトルえいた乗りもので地球から遠く離れた惑星へと降下というか墜落をして、そこでシャトルを深い井戸みたいな穴に落としてしまったものの持ち出した機材をつかって住居をつくりつつ、持ちこんだ受精卵から赤ちゃんを人工子宮めいたところで培養し、どうにか生み出すところまでもっていって6人の子供たちとして一緒に暮らし始める。もっとも過酷な艦橋で子供が生きるのは難しいらしく、1人消えまた消えてといった具合に5人がいなくなり、最後に死産からの復活で息を吹き返したキャンピオンという子供だけが残る。

 いろいろと便利な道具も使い知識もあるファーザーとマザーのロボットたちに挟まれ成長しては生き続けていたキャンピオンたちだったけれど、ひとりではいずれ先細りは必至というところで、敵対する相手でもミトラ教団にひきとってもらうべきだというファザーと、ミトラ教団は敵だと訴えるマザーとのあいだで諍いも起こってなかなか大変。そこにミトラ教団の移民船がやって来ては何人か調査団めいた人たちが降りてきて起こる対立から、始まる新しい生活はいったいどこへと向かうのか。2話までではまだま先が見えない。

 そもそもが地球でどうして兵器のロボットが人間たちを追い詰めていたのかが分からない。「ターミネーター」的な反乱なのか、それとも科学派と宗教派の対立が激化しただけなのか。ファーザーとマザーはどうして受精卵を持って地球を脱出しては惑星ケプラー22bまでやって来て子供たちを育てようとしたのか。ミトラ教団はどれだけの規模で宇宙に移民船団を送り出しているのか。その教義は何で人類をどうしようとしているのか、等々の謎もあって先が見えないけれど、いえるのはやはり人類が賢明に繁殖していこうとする一方で、ロボットたちがそれをどういう“感情”で眺めているかということ。

 愛情なのかプログラムなのか。マザーの狂信的とも言えそうなキャンピオンら子供たちへの関心は、プログラムを超えてロボットの魂めいたものにも触れていそう。全10話な上にセカンドシーズンも決まったとかでどういう主題が浮かび上がってくるか気になるし、「エデン」と展開を比べてみたいけれど、HBOmaxもU−NEXTも入ってないから見られないなあ。ワーナー系のドラマに個人的な需要があるか、そしてDC系の映画が個人的に見てみたいかといったあたりが契約の鍵となりそうだけれど、それだったdANIMEストアの方が先かなあ、圧倒的だものなあアニメにかけては。

 アメリカの方でハフポストとバズフィードの統合が話題になっていたけれど、日本でもハフポストとバズフィードジャパンの統合がいよいよ発表になったみたいで、朝日新聞が日本では出資していて、どちらかといえばレガシーメディア的な視点からのネットならではの機動的な記事が多いハフポストと、意識高い系&バズ狙いネタ系記事が並立している賑やかなバズフィードジャパンの食い合わせって巧くいんくだろうかとちょっと迷ったりする。ハフポストの硬派な感じがいやでバズフィードに移籍した人もいたりしそうだしなあ。そうしたネットメディアのヒャッハーな感じが、いっそう激しくなるのかそれとも淘汰がかかって低調さを増すのか。ちょっと見物。どっちにしたって50過ぎた自分にゃあまり関係なさそうなメディアだし。オタク系少ないし。


【3月30日】 AnimeJapan2021では幾つものステージが平行して進んでいたを配信していたから、聞いた人も分散されていた上にやっぱり生で会えないならと聞かずに済んだ人も大勢いただろうから、人気の声優さんが出演していても、何百人がその場所で聞いているのと比べてあまり届いていないような気もしないもない。なのでほとんど記事になっていない感じがするけれど、「月とライカと吸血姫(ノスフェラトゥ)」という牧野圭祐さん原作のライトノベルのアニメ化を告知するステージで、主役のイリナを演じる林原めぐみさんがステージに参加できない代わりにメッセージを寄せていた。

 その内容が、が声優という職業人でありアーティストが役に向かう上で何を大切にしているかが凄く伝わる内容だったので、これは絶対に伝える必要があると、記事中に抜粋を入れた。曰く「『ご依頼を頂いた際は、なぜ今この役が私、というのが正直な気持ちでした』という言葉から始まるメッセージで林原は、作品を読み込んで、イリナという少女が、人類による宇宙開発でも大勢出たであろう使命や大義名分の下で犠牲になった命のひとつと感じ取り、『そんな命の存在を、被害者としてではなく、他者と心を通わせることで、未来につなぐ。そんな彼女の底に秘める強さを担うべく、私の肉声がお役に立てるのなら』と引き受けたことを明かした」。

 役に自分の特徴がある声をただ乗せるのではなく、あくまでも声の部分を担ってその役が表現しようとする存在感なり放とうとしているメッセージを表現しようとした、といったニュアンスか。だから今、トップクラスにある声優でありながらも「どうか、林原めぐみが演じるイリナとしてではなく、ただただイリナという一人の少女の生き方、そして、この世界の成り立ち、友情 ほんのりとした気持ちの行き来を楽しんでもらえたら嬉しく思います」と言ったんだろう。人気声優の名前を起用することでその声に作品を染め上げ声優のファンを誘おうなんて意図が割と跋扈しているように見える今時分に、ここまで役を大切にできるからこそ今なおトップランナーであり続けるんだろうなあ。学ばねば。

 とつとつと畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズなんかを読み出して、若だんなの病弱ぶりにちょっと珍しい主人公像だと思った一方で、今時のこのリモートワーク全盛の時代に、ずっと家にいながら知り合いのあやかしたちと仲良くなってその働きを取り入れるようにして遠くから情報を集めネットワークを形作って問題点を洗い出し、解決を探るようなところがあって今というこの時代が江戸時代と重なって見える気がした。新型コロナウイルスもある意味で目には見えない妖怪変化。その影響が色濃い社会にあって命へのプレッシャーも強い中、時分を守りながらも最大限の働きをしようと頑張る姿は、これからの生き方を考える上でちょっと参考になる気がした。無理矢理かな。まあいいや。

 磯光雄さんから本田雄さん前田真宏さん鶴巻和哉さんを経て今石洋之さんへと日本のアニメーターの系譜なり特徴を語るアフターシックスジャンクションでの井上俊之さん。とてつもない動きを表現する磯さんなりアニメ的な表現とリアリスティックな表現の間をうまく取り持った本田さん、庵野秀明の思うところをちゃんと表現できる鶴巻さんにリアリスティックへと向かいすぎた日本のアニメをカートゥーン的なところに戻した今石さん等々、それぞての特徴を語られ手がけた作品を並べられるとなるほどそうだなあと思えてくる。とはいえ1990年代には名を成した人ばかりでもあって、それが20年経っても第一線として語られ続けるのもなかなか厳しかもしれない状況を、打破するものすごい20代のアニメーターって誰なんだろう。久野遥子さんとか? 気になります。

 そんな名前をどんどんとあげる井上俊之さんが還暦ながらもトップランナーというのがひとつやっぱり象徴でもあるのかも。そんな井上さんは宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」にも参加しているそうで「魔女の宅急便」とかで見せたアクションは健在かが気になるところ。そして「君たちはどう生きるか」では本田師匠が作画監督で参加しているそうで今敏さん「千年女優」とか庵野秀明監督「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に参加していたあの絵が宮崎アニメでどうなるか。気になる所であります。一方で井上さんがプロダクションI.Gで作っていた「鹿の王」がアップしたとかで、いよいよ公開に向けて動きそう。細田守監督の新作もあって超激戦な2021年にぶつけて大丈夫かとは思うけど、いい加減良に出さないと尖ったアニメで鳴るIGの沽券に関わるから、どんどんと出して欲しいなあ。待ってます。


【3月29日】 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のキャストが勢ぞろいした舞台挨拶で、最も印象に残ったのが緒方恵美さんの、自分だけが取り残されているような感じでいるとかいった話だった。すでに見た人なら分かるけれども緒方さんは最後の碇シンジのセリフを言ってない。碇ゲンドウを含めて他のキャラクターたちを幸せの中へと送り出し、そして碇シンジ自身も誰かに託すよういんして送り出して自分はひとり、エヴァの世界に残っていっしょにたゆたっていくといった感じになっているんだろうか。

 それがホストとしての役回りなのかもしれないけれど、総監督自身もひとつの決着を迎えた中で自分だけがその世界を漂い続けるのって、やっぱり不思議な気分なんだろうなあ。いつかまた皆が帰ってくるのを待つような気分もあるのかな。だったら戻ってあげないと。あるから3周目。あるいは4度目。あと印象に残ったのは三石琴乃さんと山口由里子さんの仲の良さ、だろうか。エヴァがきっかけで収録が終わってからもお茶して帰るようになったとか。一方では葛城ミサトと赤木リツコだけれど一方ではボア・ハンコックとニコ・ロビン。強そうだ。

 そんな「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の興行収入が60億円を突破したそうで、観客動員数も400万人とシリーズで最高を記録したとか。確か最高が「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の52億円くらいだったから、それをたった21日の上映で抜いてしまったことになる。ここからいったいどれくらいいくかというと、舞台挨拶をひとつのピークにして下がっていく可能性もある一方で、だんだんと露出が進んで内容に関するコメントも出始めて、それで興味を誘われて見に行く人も出てくるかもしれないから、80億円くらいはひとつ目標にできそう。100億円はそこでムーブオーバーがあるかどうか。むしろだからネタバレ上等でこんなシーンがあるんだと明かして誘う動きが強まっていくんじゃないのかな。どうだろう。

 知らなかったけれども京都国際高校という学校が春のセンバツ高校野球に出場していて、その効果が結構話題になっていたとか。理由は元々が韓国系の学校で、それゆえに校かも韓国語で中に「東海(トンハ)」という言葉が出てくるとかで、日本が日本海というあの内海を韓国では東海と呼んでいて、そう読んで欲しいと世界にも呼びかけていることから日本ではそれを良くは思っていない人たちがいたりする。世界一般がどう呼ぶかはともかく、一国がそう呼びたいと呼ぶ分には構わないし、ましてや効果にそう盛り込んで歌うことを誰が咎めることなんで出来やしない。にも関わらず一応は全国紙を標榜している新聞が、1面のコラムでもって「あの校歌を聴かなくて済んだんだ!」と喜ぶ人の言葉を紹介して、校歌を侮辱し学校を侮蔑しているからたまらない。

 いったい何の権利があってそんな暴言を吐けるのか。韓国の悪口なら何を書いても喜ばれるっていう頭が抜けきらないんだろう。だからひょろっと書いたけれども国が他国に要求するのとは違い、自分たちの矜持をそこにい乗せているのを厄介扱いするその態度。そうした校歌を歌って咎められないこの国はなんて寛容だって書いているけど、あえて1面のコラムで取りあげ侮辱する態度の何が寛容か。そんなヘイトな意識にあふれた紙面がいつまでも受け続けるはずも無い。遠からずきっとどうにかなるだろう。すでにどにもならなくなっているけれど。やれやれ。

 「東京BABYLON2021」ってアニメがちょっと前に衣装を他のブランドから拝借してほとんどそっくりにデザインしていたことで問題になっていたけれど、他にもいろいろと盗用があったとかで、これはいけないと製作委員会がストップをかけて制作が中断となった模様。手がけていたGoHandsから制作を取りあげて他に回すことになるんだろうけれど、かっちりと出来てた制作体制を改めて構築するとなると、そしてデザインだとかからやり直すとなると2021年中には放送は難しいだろうなあ。ってことはタイトルも変わるんだろうか。「東京BABABYLON2022」とかそんな感じに。しかしやっちまったなあGoHands。立ち直れるんだろうか。「K」とか嫌いじゃないだけにその路線を突き詰めていって欲しいもの。さてはて。


【3月28日】 エヴァだエヴァだ、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の舞台挨拶が全国的にライブビューイングされるので、朝早く起きてTOHOシネマズ日本橋へと向かう。さすがに新宿バルト9の実施会は外れてしまったけれど、昔と違ってこうして全国に中継されるようになったのはありがたい。振り返れば1997年の春エヴァこと「新世紀エヴァンゲリオン シト新生」の公開時、舞台挨拶があって新宿ミラノ座ではなく渋谷東急の回を取材に行ってたんだっけ。前夜祭での盛り上がりも含めた熱気に東映の人も喜び、製作総指揮の角川歴彦さんも上機嫌だったらしい。

 結果は18億円くらいで東映の3億円いけばといった予想を大きく上回り、そして夏エヴァこと「新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に。」は25億円となって足して当時のアニメ映画の記録を塗り替えるような勢いを感じさせてくれたっけ。とはいえ振り返って「Air/まごころを、君に。」では虎ノ門ホールでの試写は見たけれど、舞台挨拶を取材したって記憶がないから単純に担当が運輸省に変わって行かなかっただけなのか、それとも内容が内容だけに舞台挨拶が行われなかったのか、今となってはちょっと分からないけれど、少なくとも終わって「どうでしたー?」と聞ける内容ではなかっただけに、舞台挨拶は行われなかったのかもしれない。

 今回の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」での舞台挨拶が24年ぶりだということで、調べると、渋谷東急での春エヴァの舞台明日は見たという人が大勢いながら夏エヴァは出てコナいところをみると、やっぱり行われなかったのかもしれない。その意味では24年前の最後の顔合わせを見ていたのはある意味で貴重だし、それを記事にしたというのも一種、経験としてそれなりに意味があったのかもしれない。ただ記録では新宿ミラノ座の朝の舞台挨拶では参加していた林原めぐみさんはおらず、緒方恵美さん宮村優子さん三石琴乃さん長沢美樹さんが参加していたらしい。

 今回の舞台挨拶にはその4人も含めて実に大勢のメンバーが参加。もちろん林原めぐみさんもいてアヤナミレイという役に前のポカポカとしていた綾波レイが入ってしまって最初はいろいろ言われたって話をしていた。似て違う存在であるなら当然に声も違ってくる訳で、それをちゃんと考えているところに林原さんの声優としての心構えが感じられる。「月とライカと吸血鬼」でも同じようにその役がなぜ自分にと考え、作品を読み込んで社会情勢も踏まえて自分がその役を担う意味があるって感じて引き受けたってコメントを寄せていたし。そう聞くと改めて声から感じ取れる感情なり経歴を探ってみたくなる。

 長沢さんは前の伊吹マヤからもそして「エヴァンゲリオン新劇場版」からも変わったマヤから「これだから若い男は」とうセリフが自分の中で使えるものになったって話してた。確かにインパクトあったからなあ、苦い意味でも良い意味でも。それは「Q」を見て「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を見てようやく分かることだけど。宮村優子さんはエヴァ絡みのイベントに出るのって何年ぶりくらいになるんだろう。相変わらず可愛らしい声を出していて、この声が今も決して第一線にあり続けている感じではない状況の不思議さを改めて思う。山口由里子さん。落ち着いた声だった。

 岩男潤子さんは「PERFECT BLUE」のイベントでも霧越未麻役として登壇した姿を見ているから始めてではないけれど、「Q」では出なかっただけに生きて家族を持って暮らしていた様が嬉しかったみたい。相田ケンスケ役の岩永哲哉さんに日向マコト役の優希比呂さんに加治リョウジ役の山寺宏一さん渚カヲル役の石田彰さん、そして碇ゲンドウ役の立木文彦さんと旧作から続く人たちがずらりと並んで懐かしいやら嬉しいやら。25年という月日を経てなお声優として第一線に立ち続けていることへの感嘆も浮かぶ。これに欠席した青葉シゲル役の子安武人さん、鈴原トウジ役の関智一さんもいるからなあ。

 そうそう、やっぱりあの「スズハラトウジ」と書かれたシャツをシンジが「Q」で着た時に、やっぱり大変なことになっているんじゃないかと洞木ヒカリ役の岩男潤子さんは感じたらしい。アスカ役の宮村優子さんもシンジや仮称アヤナミレイを連れてL結界密度の高い中を歩いている時も、向かっているのが第3村とは思わなかったらしいから、やっぱり出演者たちも気が気でなかったんだろうなあ。だからこその涙声。分かる。そんな旧作からのメンバーに加えて今回はヴィレから北上ミドリ役の伊瀬茉莉也さん、多摩ヒデキ役の勝杏里さんが登壇。伊勢さんは今回はいっぱい喋るからって言われたそうで、確かにいっぱい喋ってくれてある意味で映画の聞き所になっている。「激やばですー」とか「エヴァっぽい何かです」とかいったギャル語が出る度に緊張感あふれるシチュエーションが妙にホッコリするのだった。

 そんな会見も山寺宏一さんが入るとさらに笑いが起こるのはやっぱり人柄か。「エヴァでは1度も声を張ってない」と言っていたけど確かに。ニヒルで韜晦している感じで訥々と喋っては消えていったそのキャラクター。でも「エヴァの加治リョウジとアンパンマンのチーズが代表作」にされるほどの当たり役になっているのは、それだけ作品の認知度が広い上にその中での役の重さもあるってことなんだろう。「攻殻機動隊」のトグサも当たり役だけど脇役なんだよなあ、やっぱり。個人的には山寺さんらしさが溢れているのは「フォトン」のパパチャリーノ・ナナダンだと思っているんだけれど。

 どこまでもシリアスな役をやってもどこかにギャグが混じってしまう声質だけに、デスラーくらい世界設定が確立されていないとどうしても浮いてしまうのだ。万能の天才はそれだけに苦労もあるのだろう。などといった感じで勢ぞろいしたメンバーから、しっかりと言葉を引き出していた舞台挨拶。メディアも入らず観終わった後でのトークだったからネタバレオッケーでかつ危ない掛け合いも大丈夫だったんだろう。こういうのこそ記録として残しておいて欲しいけれど、出るのはメディアが取材したものばかり。せめてこうやって個人的に記録して、24年後にあるかもしれない3周目の「エヴァ」の舞台挨拶の糧にしよう。

 電気毛布がそろそろ暑すぎを生み出しているのか、夢で家の(それがなぜか母方の祖父母が暮らす家で本家と離れと呼ぶには大きい家が大きな前庭を囲んで建っている)近所まで出歩いて自販機で500ミリリットル缶でコーラ以外の何かを買おうとうろうろしているんだけれどこれというのが見つからず、コンビニに入ったら牛乳しかなく出たら昔の知り合いらしい人から今、文庫の編集をしているのならどんなユニフォームなのか教えてくれと言われ、いや作っているのは文庫だからユニフォームはつかないと返したけれど納得が得られたどうか分からないまま離れて、酒屋のようなタバコ屋のような店で棚をのぞいてもコーラしかないので、前に置かれた自販機から1リットル入りくらいの瓶に入ったUCCのミルクコーヒーを買って帰ってそして家の離れで死んでいる誰かを、庭の焚火で燃やそうかどうかを悩んだところで目が覚めた。人間って謎だ。


【3月27日】 ガルパンだガルパンだ。「ガールズ&パンツァー最終章第3話」の舞台挨拶のパブリックビューイングがついた上映があるのでユナイテッドシネマ豊洲へと行く前に朝からAnimeJapan2021を見に東京ビッグサイトへ。新型コロナウイルス感染症の感染予防のためにリアルな開催はなくなって、ステージイベントや会場内に設えられたスタジオでのイベントをネット中継して見てもらうという完全オンライン開催になったけれど、会場での取材も可能だったんでいったいどんな風になっているかを、見ておくのもひとつの時代の証人ってことで朝から電車を乗り継ぎ東京ビッグサイトへ。

 例年だったら東館の隅から隅へとステージの間を大勢の人波をかき分けして移動する必要があったけれど、今回東館は確か東京オリンピックのために閉鎖されているから、どこで開催するんだろうと気になっていたら新しくできた南館だった。西館のさらに海縁のところに移動のための通路ができていて、歩いて行った先の前は駐車場だった上に出来た南館は新しくって小ぎれいで、それなりに広さもあって結構なスペースとして使えそう。ただし西館みたいにフロアが2つはないから東館を埋められるかどうか、調べてみないと分からない。全館が開放となった暁には大いなる戦力にはなりそう。

 そんな会場で割と近めに設えられていたステージのまずはレッドでNetflixの発表を見物。とりあえず「Yasuke−ヤスケ−」というかつて織田信長に仕えた黒人という弥助をモデルにしたアニメシリーズが、小池健さんのキャラクターデザインで相当にスタイリッシュな感じになりそう。監督はアメリカ人だけれど日本に移住してMAPPAに通っているんだとか。そこまでしてやっぱり日本で作りたいんだ。そいういう国であり続けられるならこれはとても嬉しいこと。そうでなければ未来はないから、他に成長産業のないこの国には。

 とはいえ、一方で日本以外の国とコラボレーションした作品も登場して来た。ボンズがオレンジと組んで作っている「エデン」で、中国の美術にオーストラリアの音楽を使い作り上げたアニメ。ストーリーはすでに明らかにされているとおり、人間が死に絶えた世界でたったひとり、見つかった少女をロボットが育てるという話。他に人間がいない中で人間の最後を看取るしかない展開は寂しいけど、そうはならないと信じて見ていこう。ほかに津田健次郎さんが元ヤクザの主夫を演じる「極主夫道」もいよいよ配信開始とか。監督が今千秋さんだけに「BACK STREET GIRLS−ゴクドルズ−」なみのギャップにあふれた笑いを楽しめるだろう。期待しよう。

 Netflixのステージの後は「ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉」のステージを見物。ちょうどNetflixで第1話の配信があって見たらゴジラが怪獣というよりある種の民俗学的伝承の中にあってちょっと正体が分からない。とうより骨になってるし。一方で国と関係ありそうな得体の知れない組織も絡んでゴジラを何やら保存している。どういう展開になるんだろう。円城塔さんがシリーズ構成をやっているだけにきっと相当に入り組んだ展開になるんだろう。未来とか過去とか量子論とかいろいろ絡んで。それだけに目新しい楽しみを味わえそう。見守ろう。

 午後には「月とライカと吸血鬼(ノスフェラトゥ)」のアニメ化記念イベントが。あの林原めぐみさんが声を担当するってことで相当な期待がかかった作品だけれど、林原さんは「スレイヤーズ」のイベントがあったからかこちらには来ず。ただメッセージを送ってくれてそこで最初はどうして自分がその役として声をかけられたのか分からず迷ったけれど、かつて宇宙開発が行われた時に大勢の人が名誉だとか国の美名の影で苦労し命すら散らしていて、けれどもそれすらも美化されて伝えられている状況に思うところもあり、そんな状況について吸血鬼をモチーフにした物語で語られていることもあって、改善なりに自分の声が役立つならその役を担いたいと言っていた。美しい。そして素晴らしい。言われたまま役をやるのではなく、それがどういう役なのかを考えて引き受けているんだなあ。

 「転生したらスライムだった件」のステージもあって、ヴァルドラ役の前野智昭さんも来場していて第2期にヴェルドラなんて出ていないのにどうしてと思ったら、そこは7月からスタートする第2期の後半のワルプルギス編だか何かで復活がありそうだから、ってことは小説を読んでいる人には周知か。「転スラ日記」の放送も始まるみたいでそっちも期待しつつ会場を出て向かうはユナイテッドシネマ豊洲。3回目の「ガールズ&パンツァー最終章第3話」を見て果たして自分の予想は当たっているかと調べたけれど、最後のシーンはやっぱりそのままな感じでちょっと大変そうなことに変わりはなかった。

 いや、あそこでちょろっと覗いている頭は誰のものだ。本当に撃破されてしまったのか。黒森峰のエリカは何か伏線になっていないのか。考えに考えればやっぱりいろいろと考えられるのかもしれない。いずれにしても主役は主役であるから主役なのであってそこに問題が出ることはあり得ないだろう。河嶋桃の大学進学もかかっているし。どうなるか。って思いつつ舞台挨拶は知波単の面々がズラリ。久々に生で見た瀬戸麻沙美さんは相変わらず綺麗だったし、地声は「ちはやふる」の千早だったけれど演技だと西隊長とか「呪術廻戦」の釘崎野薔薇になるんだよなあ。不思議不思議。3種類あるという色紙もコンプリートしたんで次は音が最大級なところを探してあと1回くらい見ておこう。パンツァー・フォー!


【3月26日】 ガルパンだガルパンだ。「ガールズ&パンツァー最終章第3話」が公開されたので朝1番の新宿バルト9での上映を見に行ってあまりの濃密さに頭が追いつかず、そのまま2回目のチケットを買って最前列で見直す。すでに分かっていることを言うなら「第2章」でBC自由学園を撃破した大洗女子学園の戦車道チームは、第2戦で知波単学園を相手に楽勝かと思われたものの、そこはコアラの森学園を撃破して第2戦に上がって来ただけのことはあって、突撃だけの戦術を改めて転進という名の戦略的撤退を戦術に組み込み、敗れそうになったらひらりとかわし、そして小隊を作って別方向から迫らせるようにして、逆に大洗女子学園を追い詰める。

 もっともそこは戦術に長け戦略も得意な西住みほが副隊長という名の隊長を務める大洗女子学園。ひっくりかえして知波単学園を追い始める。すでに戦いは長引き夜に入って月明かりの中を進むそれぞれの隊列が、いつ見えるかといったところで終わった第2章に続く第3章は当然ながら知波単学園が相手だけれど、果たして勝てるかどうなのかってヒヤヒヤさせつつそこはやっぱり主人公チームだけあってちゃんと勝ち上がる、とだけは言っていいのかもしれない。どういう勝ち方をしたかは映画を見てのお楽しみとして、他のチームのどこが勝ち上がるかもしっかり見せてくれた第3章。

 居並ぶのはかつて知ったるチームばかりで、プラウダ高校と黒森峰女学園ではカチューシャが手で影絵を作って通信する遊びを続けていたけれど、第2章と違ってちゃんと喋って嬉しかった。中の人が復帰したからか。そしてノンナとクラーラがロシア語で会話をしてそこにカチューシャが「日本語で話しなさいよ」と突っ込むお約束も楽しめた。戦いでは西住まほの後を引き継いだエリカが第1戦では守った伝統に挑もうとしたそのやり方は、もしかしたら重要な意味合いを持つかも知れないとちょっっと思ったのは、あまりに衝撃的な結末を迎えたから。そうであって欲しい、そうであってくれないと困るといった思いから、そういう布石はあったのだろうかと確かめにまた見に行くことを心で誓う。

 第2戦ではあとアンツィオ高校が聖グロリアーナ学園と戦う中で小さい戦車を重ねて守ったり攻めたりしていて楽しそう。それで第1戦は勝てたけれども今度は相手がダージリンではなあ。ってかダージリン確か3年生なのにまだ出てるの? それは大洗女子学園も一緒か。サンダース大学附属高は継続高校が相手で物量と機動力で責め立てるけれどもそこはロシアを相手に継続戦争を戦い抜いたフィンランドの伝統を受け継ぐ戦車道チームだけあって、ゲリラ戦を仕掛けてはサンダース大学付属校を翻弄。そんな戦いの中で繰り出されたその必殺技はいったい何だ。そしてどっちが勝ったんだってことも含めて見てのお楽しみってことで。

 言えるのは敵がどんな戦術を繰り出しどんな装備を持っているかを徹底的に調べたがる秋山憂花里が敵となる学校がどんな試合を繰り広げ、どうやって勝ったかを調べてないはずはないってことで、それで第3戦の対戦相手が第2戦で使った手口をそのまま応用してうるなら、絶対に裏をかいていると思いたい。だったらいったいどうやって。そんな伏線はあるのかってことも含めてもう1度、見に行くことにしよう。明日は舞台挨拶の中継もあることだし。

 舞台挨拶といえば「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の大人数による登壇がある上映に申し込んでいたけれど、膨大な量の応募があったんだろう見事に外れて生では行けず。とはいえこちらもパブリックビューイングがあるみたいなんでそっちを見に行くことにしよう。他にも見たい映画はないでもないけれど、圧倒的に面白くって快楽に浸れるアニメ映画以外をなかなか見る気になれなくなっているのはちょっと問題かなあ。見たいと思っていた「野球少女」はいつのまにかもう終わってしまったいたいで残念。「騙し絵の牙」も面白そうなんだけれど見たら見たでいろいろ考えてしまいそうだしなあ、リアルが近いとどうも心が萎える。まだまだ気分は低空飛行。せめてアニメで浮き世の気分に浸りたい。


【3月25日】 岩清水梓キャプテンがトーチに火を移して始まった東京オリンピック2021の聖火リレーはとりあえずなでしこジャパンのメンバーが走ったみたいだけれど、一方で笑福亭鶴瓶師匠とかランナーの辞退を表明したそうで相次ぐそうした辞退者を、いったいどうやって埋めるのかが気に掛かる。いったいそもそも本当に東京オリンピックは開催されるのか。そこではいったいどんな開会式が開かれるのか。こうも大騒ぎになっている中で、佐々木案とやらをそのまま実行したらやっぱり酷い非難を全世界から浴びること確実だろう。

 そうした視線への配慮をまったくしないで、内輪の論理で押し切ろうとするこの国に未来はあるのか。MIKIKOさんが自分たちの世代で断ち切らなきゃと思ったとしても当然の奇矯さ。発売になった週刊文春が伝えているのは前週の内容をより濃くしたもので、執行役員社長補佐なのに代表権がついた取締役だという外国人が聞いたらなんだそりゃ的な役職でもってオリンピックを仕切ろうとしている電通のナンバー2がいて、その意向によって同期の桜を持ち上げたいあまり、あの森喜朗前組織委員会会長ですら認めていたMIKIKOさんの案を排除に動いたというからもうグチャグチャ。

 挙げ句に例のオリンピッグ案が露見した訳だから電通にはよほど真っ当なプロデューサーがいないんじゃないかって思われてもしかたない。いや、いつかの長野オリンピックでは新井満さんが一応は電通側でイメージ監督として立ち、音楽監督に小澤征爾さんを迎えそして総合プロデューサーには浅利慶太さんを据えてあの、いろいろ言われたけれども今となっては簡素で静謐で日本らしい土俵入りから御柱立てときて巫女か女神か伊藤みどりかによる聖火点灯へと持っていって僕には感動を与えてくれた。
 今にして思えば名前を聞いて誰でも知ってて世界に出しても恥ずかしくな人たちが並んだ長野に対して今回はどうだ? 山崎貴監督? 野村萬斎さん? 世界は知らないだろうなあ。むしろMIKIKOさんの方がPerfumeやBABYMETALの公演で世界にファンがいたりする。そうした人でありIOCも認めた人を排除していったい何がやりたかったんだ。何をやってあげたかったんだ。結局のところ私欲とか私利を前面に立てて世の中にアピールすることを、恥と思わない人が増えてしまったってことなんだろうなあ。まさにわきまえないというか。そんな中で精いっぱいにわきまえて自分を精いっぱいに出そうとした人が排除されるこの国に、未来は果たしてあったりするのか。悩ましい。

 そんな深刻な問題が奥にしっかりあったりするにも関わらず、マラソンランナーだった増田明美さんはなぜか表面で話題になった渡辺直美さんに対する侮辱も甚だしい演出プランを、ことおあろうに世界に向けて何かをアピールしなくてはいけない立場にあるリーダーが発したことを問題視せず、内輪でのブレーンストーミングでの発言ですぐに誤ったんだから悪くない、むしろそれをそとに告げ口した人が悪いだなんて言い始めた。いやいやそもそもがどんば場でもわきまえるべき発言をしてしまった人が非難されるのは当然で、そして誤ったとしてもその後にすべてを手中に収めて先に頑張っていた人を排除した人間を、非難しないのはどういう心理から来ているんだろう。さっぱり訳が分からない。そんな発言を咎めもせずそのまま掲載する新聞も新聞だし。いろいろ歯車がズレている。

角川書店が中心にあるKADOKAWAの代表取締役社長にドワンゴの夏野剛さんが就任することが決定。川上量生さんがちょっとつまづいて停滞してしまった替わりにドワンゴを引き受けたものの、会社的にはホールディングのカドカワの下にあるKADOKAWAのさらに下といった孫会社的位置づけで、そこで苦労させられるのかと思っていたらカドカワがKADOKAWAを取り入れてKADOKAWAになってフラットにした上で夏野さんを引き立てて、そして川上さんを脇に置いたまま夏野さんがトップに立つことになった。デジタル関連の提携だとかM&Aだとかで手腕を発揮しているから、デジタルも含めたコンテンツプラットフォーマーとして発展していく上で重要な立場にあるんだろう。一方でコンテンツそのものに対して思い入れとか感覚とか、果たしてあるかが気になる所。そこは代表取締役になる山下直久さんが面倒を見るとこになるのかな。本当の現場は誰が責任者になるんだろう。面白い本が出てくれればそれはそれで大丈夫だし、角川歴彦さんがトップ中のトップにいる間は大丈夫なんだと思いたい。さてはて。


【3月24日】 あっとカナダオリンピック委員会が東京オリンピックへの選手の派遣を取りやめたのは2020年の記事だった。1年前だけれどその後に選手の選考が進んだという話もないから、派遣の中止は今も続いているってことでやっぱり7月のオリンピックは開催できる方向にはなさそうだなあ。25日だからもう明日に迫った聖火リレーも第1走者に予定されていた女子サッカー界のレジェンド、澤穂希さんが急に参加を辞退したそうで、誰が替わりに走るのかってところでいろいろ大変そう。

 いちおうなでしこジャパンのメンバーが当時の佐々木則夫監督も含めて“第1走者”ってことになっているから誰かが替わりに走るんだろうけれど、大勢が辞退する中、それにいろいろと理由が付随していたりする状況から、走るのにも面倒がつきまといそう。そういえば高知県を走る予定だった広末涼子さんも聖火ランナーを辞退したそう。芸能人の場合は仕事が入ったからとかいろいろ理由はつけられるんだろうけれど、それを言うなら聖火ランナーだって仕事だと考えるならそれをドタキャンするのもある意味で失礼なこと。それでも辞退することに“正義”のレッテルが貼られるなら、後に続く人もどんどんと出てくるんだろう。誰が代わりに走るのか。やっぱりUberEatsの配達員かなあ、背中にトーチをぶっ差して。

 スエズ運河で巨大なコンテナ船が座礁したとかで、それくらいどうだと思って画像をみたら超巨大なコンテナ船が斜めに運河をせき止めてダムよりも巨大な存在感でそびえ立っていた。本当に流れだってせき止められそう。タグボードで引っ張ろうにもサイズ感が違い過ぎるし座礁した部分をショベルカーで掘り起こそうにも砂丘を耳かきですくうくらいの役者不足。いったいどうやって救い出すのか。これで転覆でもされたらコンテナを拾い上げるのもひっくり返った船を立て直すのも不可能に近いよなあ。爆破でもするんだろうか。気になります。

 スエズ運河でタンカーが止まれば中央線では列車が停止したというかされられたというか。陸橋部分に撮り鉄が入り込んでカメラを構えていたそうで、そりゃあ見れば運転手だって止めざるを得ないよなあ。入り込んで撮ったところで誰に見せても線路に吐いているだろうと分かる写真を誉めてはくれないし、逆に非難を浴びるだけなのにどうして入り込むんだろう。前へ前へと戦場カメラマンが出て行くように列車へ列車へと近づいていくのかもしれないけれど、命をかけても戦場カメラマンの写真は良いものなら評価されても、撮り鉄の写真は前に出ればそれは批判されるだけ。分かっていてもやってしまうのは内輪で自慢し合う関係の中、マウントの取り合いができる場所でもあるのかも。そうしたサークルなり心理なりを潰さないと収まらないだろうなあ。やれやれだ。

 フジメディアホールディングスと日本テレビホールディングスの株式が20%を超えて外資に所有されているという件で、総務相の会見に出た記者というか岩上安身さんのところの人がいったいどうなっているんだと尋ねたとか。テレビ局側が良い訳に使っているといわれる名義をかきかえずにいるため議決権的には20%未満になっていて問題はないという状況についても、そうした宙ぶらりんな手法を認めていること自体が抜け道であって問題だと詰めているから、黙ってやり過ごすことはできなさそう。

 かといって書き換える訳にはいかないから売って下さいとはいえないテレビ局に対して何ができるのか。元々は菅義偉総理を追い詰めようとして東北新社をイジっていた誰かがいた感じだけれど、それに乗っかっていたららとんだところに飛び火したもの。分かっていてやったのかそれとも知らなかったのか。テレビ局だって飛び火すると分かっていたから大騒ぎはしたくなかっただろうけど、大丈夫なテレビ局が騒いだらそれに乗り遅れる訳にはいかないだけにいろいろと身動きが取りづらそう。どうなるものか。こちらも今後に大注目。

 そういえば話していたっけWIT STUDIOの中武哲也さん。東京アニメアワードフェスティバル2021の会場で開かれた学生のアニメーションを上映して講評するYOUNG POWER2021のプログラムで、WIT STUDIOがストップモーションアニメーションのスタジオを作って若いアート系のアニメーション作家とコラボレーションをするってことを。それが「PUI PUI モルカー」の見里朝希監督だったのは、WIT STUDIOが手がけた「けだまのゴンジロー」にも参加していたことから可能性はあったけれど、こんなに早く作品まで作っていたとは驚いた。

 ライムスター宇多丸さんが出演しているアフター6ジャンクションに出演した見里朝希さんから話もあって、さっそくWIT STUDIOのYouTubeチャンネルで作品が公開されていた。「Candy Caries」は以前に東京藝術大学大学院映像研究家アニメーション専攻の1年次で作った「Candy.zip」と同じプラバンを加工して透明感を持たせたつるつるとした素材を使って平面だけれどちょっと立体感を持った人形なり背景を自在に動かし、虫歯ちゃんが宿主の口の中で暴れたり飛び出したりする動きを自在に見せていた。「Candy.zip」よりさらに動きも素材の扱いも洗練されていた感じ。動きの設計から見え方までをしっかり把握した上で、作り並べて撮り動かしていったんだろう。凄い才能。それを商業スタジオが抱え込んで何を作らせる? 「とつくにの少女」を手がける久保雄太郎さん米谷聡美さんともども、アニメーション作家に目を掛け何かに挑むWIT STUDIOから目を離せない。


【3月23日】 寒いのか、寒気がするのか分からないけど用心のために家でごろごろ。シンボリルドルフとかCまで上げたけれどなかなかBに上がらないのはサポートカードがまだ弱いからなのか。かといってウマ娘もまだコンプリートできていないんでそっちを引くことも忘れない。ってことで引いたらようやくビワハヤヒデが出て来たので、育て始めたけれどこれがなかなか堅物で、学問だ知識だという割には感情の起伏が激しいのか調子を崩してそのたびに、ご機嫌をとらなくちゃならず鍛錬が減って最後まで突破できずD止まり。まあ溜めたスキルもあるから次には進めるかもだけど、URAファイナルズまで進んだのは2度だけだし、なかなか難しいゲームだなあ。でも頑張る無課金で。それが信念。

 どうだったかと貞本義行さんによる漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の最終巻を読み直す。そうかそこまでは「Air/まごころを、君に。」と同じだったけれども冬月コウゾウが碇ゲンドウにある種の嫌悪を抱いていた描写があったりするところが違ってた。あと、最後の最後、たゆたうLCLだか何かの海の中で決断したことが違っていて、ひとりで生きていくんじゃなく、大勢で繋がっていくことを選んだ結果というあたりが「シン・エヴァンゲリオン劇場版」で見せてくれたあの結末と似ている感じ。とはいえ「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が地元の駅へと戻ってそこで生きていこうと駆け出す感じなのに対し、漫画版は地元の駅から東京へと出てアスカと出会いケンスケと出会いきっとトウジとも出会って新たな繋がりを育んでいこうという感じ。

 果たして地元にどんな家庭があるのか見えないけれど、ごくごく普通の日常へとリセットできたのなら父と対話が出来たんだろう。見守っている母親は? そこは謎。それは「シン・エヴァンゲリオン劇場版」でも同じか、いやいやある種しっかりと決別なり決断を経てひとりで立ってそして彼女と生きる覚悟は持ったってことだからやはり違うか。山下いくとさんによる小説版はどんな“未来”になっているんだろう。Amazonのキンドルアンタイトルドに入っているし、全巻購入するならそっちに入り直して読み直すか。それぞれのエヴァンゲリオンのそれぞれの結末。比べてみよう。

 冬月コウゾウ「IOCはシナリオを書き換えたようだな」。碇ゲンドウ「ああ」。といった感じにIOCは「世界的な状況の悪化を考慮して、理事会は今日、IOCのシナリオ立案で次の段階に入った」と表明したとのこと。BBCによれば「これらのシナリオは、2020年7月24日に五輪開幕という現在の運営計画の修正に関するもので、五輪の開幕日の変更にも関係する」ということだから、いよいよもって今夏の開催に関してIOCは本気で延期を考えて来た感じ。中止というのはないらしいから半年後か1年後か、そんな時期にでも無理に開催しろって話になるんだろうけれど、半年後だと北京の冬季五輪とも重なるからちょっと厳しいか。

 1年だとサッカーのワールドカップと続けて開催。そっちはそっちで大きなお金が動くだけに、両方を1度にやってしまうことで一種の禊ぎを果たそうとしているのかも。いずれにしても日本のオリンピック組織委員会は最後通牒を突きつけられた格好、一方でカナダのオリンピック委員会がもしも今年の夏に開催されたら、そこに選手団は派遣しないと発表したらしい。これはカナダ1国に限らず英連邦の各国に広がりそうな動きで、欧州にも広がった時に参加はアジアの極東と中東くらいだけになって世界からそっぽを向かれそう。スポンサーも降りて放映権も入らない状況でそれでも開催する覚悟はあるのか。ないだろうからやっぱり言うなりになって1年延期の線でいくんだろうなあ。とりあえずは25日の聖火出発があるかどうか。総理が出ないといったあたりに延期の線も見え隠れするなあ。

 「PUI PUI モルカー」が第12話の最終回を迎えて久々にポテトのオーナーが登場、って見里朝希監督のお姉さんの見里瑞希さんだけど仕事で疲れ果てたのが午後の10時には寝てしまったらモルカーたちが勝手にパーティーを始めて大騒ぎ。途中で目が覚めたもののすぐに寝てしまって目覚めたら部屋にぎっしりとモルカーたちがいたというところから、ぐるりと回って第1話につながってモルカーたちの大渋滞になるっていう展開を、発売されるBlu−rayの無限モルカー仕様でもって視聴できることになるんだろう。一斉に出た上に夜の乗りをそのまま引き継いだDJモルカーが大騒ぎして起こった大渋滞って感じ? そこから始まる大冒険。それを見ていたら何周でもできそう。面白い作品を作ったなあ、見里さん。次は何を作るんだろう。モルカー2期も期待したいところ。見守ろう。


【3月22日】 竹町さんの「スパイ教室」の短編集が出ていたので読む。グレーテが無理矢理クラウスと結婚しようと書類を偽造して役所に行くと、クラウスが誰かとすでに入籍していたという話から、一体誰だということになって「灯」に所属する少女スパイたちが順に過去のクラウスとの逸話を振り返って行くという話。「花園」のリリィの毒はあれで結構恐れられていいるんだなあ。そしてアネットは爆破大好き。何でもかんでも改造をしては爆発物に変えて平気な心のなさは、スパイには向いているけど主観で動かすヒロインにはちょっと向いていない。母親と再会した時に周囲がいくら気を揉んでも、当人は平気で吹っ飛ばしていたあたりにその信ずが見える。短編でもいろいろ吹き飛ばしていて楽しい。弁当箱とか。

 とりあえず誰が任務で入籍したかは明らかにされたけれど、そで特定個人との仲が深まったとは言えないからヒロイン争いななお混沌。どうしてもリリィに関心が向かうのは第1巻でヒロインだったからだけど、不良に見えて性格的には1番まともなジビアがこれでグッと出て来て対抗馬になるかというと、美貌でグレーテかお嬢様然としてサラか妹系でエルナかやっぱりいろいろ気になるスパイたち。アネットだってあり得ないとは思いつもビジュアル的には髪型も眼帯も抜きんでていて冷酷さでもピカイチだからスパイに相応しいとクラウスが選ぶかどうか。これからの展開が気になります。新顔登場とかあるのかな。

 「ミナリ」の監督になっていたのか、ハリウッド版「君の名は。」の監督さん。リー・アイザック・チョン監督はアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞といった主要な部門にノミネート。日本人監督が未だなし得ていない境地へと至ったクリエイターならきっと見て楽しめるものになるだろうと思うけれど、まだ見ていない「ミナリ」が割と淡々とアメリカに移民した家族の物語を描いた半自伝的な物語らしいと聞くと、ダイナミックな転換があってオタク心をくすぐる設定がある「君の名は。」をどう料理するかは気になるところ。転移の部分をなくして憑依か何かにして時空をこえてやりとりする見知らぬ男女の物語にしてしまいそうな気がするなあ。

 東宝からはアメリカ的な映画にして欲しいって話があるそうだけれど、そこで東宝が面に出ていることが気になる部分。新海誠監督的には、じゃないんだ。韓国系の移民としてアメリカに生まれて田舎に育って都会に憧れる少年としてのリー・アイザック・チョン監督が脚本を書くからにはやっぱり田舎に生まれて都会に憧れる少女が中心になって行きそうな予感。隕石の落下という悲劇によって否応なしに都会へと出ることになるけれど、そんな暮らしから思い出す田舎での生活時に何か起こっていたこを、都会でふとすれ違った青年から何か感じで思いだしていく、なんてことになったりして。まあそれもそれで「君の名は。」っぽいか。いずれにしても次回作があるリー・アイザック・チョン監督だから、公開されても2025年とかになったりするんだろう。気長に待とう。

 テレビというかチューナーにしているBD/HDDレコーダーが壊れたままでテレビが見られないので庵野秀明総監督が登場しての「プロフェッショナル 仕事の流儀」はお預け。再放送もないだろうから一生見ることはなさそうだけれど、見ていた人から胃が痛いとか心が折れそうといった感想が続々と挙がっているのを見ると、仕事をする主体として行き詰まった時に悶々としてしまう苦しみと、そして仕事の相手が自由奔放に振る舞ってはちゃぶ台返しも辞さないフリーダムな人間でイライラさせられる戸惑いが、合わせ浮かぶような展開だったんだろうなあ、きっと。今の神経でみたらちょっとダメージ喰らったかもしれないので、抑えておいて正解ということにしておこう。

 ネットなんかに上がってくる感想で印象に残ったのは庵野監督には映画でも特撮でもアニメでも何でもいろいろと見てきた映像のイメージ画ぎっしりとあって、それをビジュアルに落とし込んで自分の作品として見せようとするところがあって、ある意味で二次創作だといったもの。なるほどどこかで見たような格好いいレイアウトなり構図なりパースなりが続いて気持ちよくさせてくれるのは、そうした記憶が刺激されるからなのかもしれないけれど、それを過去の作品ではなく自分の作品の自分のキャラクターでやってイメージどおりに行くかとなると難しい。感覚と現実とのギャップを埋めるのにきっとみんな苦労したんだろうなあ。だからこそ「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は気持ちが良い構図がいっぱいあるんだ。タラップをおりる北上ミドリのお尻越しに伊吹マヤ整備長がパソコン叩いているような。


【3月21日】 3度目の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を見て思ったのはやっぱり音楽でニーノ・ロータが手がけた「太陽がいっぱい」のテーマソングと、それからロバータ・フラックの歌で知られてネスカフェではマデリン・ベルが歌った「やさしく歌って」と、あとサイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」に感じが似た楽曲がかかることで、とりわけ「太陽がいっぱい」は旋律がだいたい似通い構成もほぼ取り入れながらも途中で下がったり曲がったりする感じがあって一致はしないところに、何か意図でもあるんだろうかと思ってしまう。

 「太陽がいっぱい」に描かれた、何かに成り代わって一攫千金を目指そうとする男の挫折は、そのまま碇ゲンドウのゼーレに成り代わってシナリオを書き換え追うとしたながらも果たせなかった生涯に重なるとか? でも響くのは碇シンジとアヤナミとそして式波・アスカ・ラングレーがL結界密度の濃い中を歩き回って第3村の近くまでたどり着くシーンで流れているから、もうちょっと単純に人生の中で裏街道を歩んでいる者たちのさすらう気持ちを表したものだってことなのか。

 いずれにしても反応している人は反応しているからやがていろいろと話題にはなるんじゃないかなあ。それとも今となってはアラン・ドロンも「太陽がいっぱい」もそれほど知られていないってことなのかなあ。昔は映画の主題曲として「太陽がいっぱい」と「アラビアのロレンス」と「風と共に去りぬ」と「東のエデン」と「ゴッドファーザー」と「ベン・ハー」あたりは普通に教養として知っていて当然だった気もするけれど、今はディズニーの主題曲ですらそれほど知られているとは言えないし。せいぜいが「スター・ウォーズ」とか「レイダース」あたりか。洋画がディズニーのアニメかマーベルやらDCの実写版ばかりになっている昨今、主題曲が世に響いて覚えられるなんて機会もなくなってしまったのかも。

 千葉県知事選が行われて前千葉市長の熊谷俊人候補が当然。まあ順当だろうけれど立憲民主党だけじゃなく日本維新の会が推薦に入っているところがどうにも気になって仕方が無い。まあ千葉市長の時も穏当な上に合理的な施策でもって千葉市を守り立てていたから、県知事になっても維新が進めるような水道の民営化だの公共施設の売却だの助成の停止だのを相次いで行って、人気ばかりをとろうとはせず誠実に県政を運営してくれると思いたいけれど、ここで国会議員に色気を見せて維新にすり寄り票を集めて代表の座すら目指そうなんて考えて、言うなりになられては拙いんでそこはしっかり見て行きたい。

 千葉で維新と言ったら問題発言の多発によって後任を取り消された元アナウンサーが千葉県内の選挙区にいたりして、復活を狙っているだろうからそこに県知事から鞍替えするように降りていったら一方で潰せはしても後にいろいろと尾を引きそう。とはいえ自民党の候補を相手に勝ってしまったからには自民党から出る訳にもいかないだろう状況で、国政に関与して野党としての混ぜっ返しじゃなく与党として政策にその実力を反映させられるにはどんな道があるのかを、考えると立憲民主党から新風を注ぎ込む存在として出馬し当選して党首になり連立の中で総理に……ってそれもまた荒唐無稽か。今はとにかく千葉県政をしっかりと運営して税金を安くするか、居心地を良くして下さいなと千葉県民からのお願い。そういや生まれて半分以上をもう千葉県民してるんだ、自分。

 東京オリンピック・パラリンピックに海外からの観客は入れないという判断が出たそうで、大勢の人との交流を目的にボランティアに応じた人も、持ち前の語学力が活かせなくって可哀想だと思いつつもオリンピックとしてはそした観客を当て込んで、チケットも販売していただろうから売れなかった分をいったいどうするのかがちょっと気になる。日本人とかに転売しようったってきっとお高いだろうからすぐに売れるものでもなし。かといって無観客でやったら世界に顔向けも出来ない中で組織委員会がどんな判断を下すのか。スポンサーになっている企業に交わせて社員を動員するとか? それも新たな出費となってこのコロナ禍で収益がダウンしている企業にはダメージも大きいよなあ。

 あるいは文部科学省あたりが全国の小中学校に号令をかけて子ども達をサクラの観客として並べるとか? それではお金にならないか。まあ開会式だの陸上だのといった人気競技は日本人でもお金保ちが見たいだろうからそっちに買ってもらうとして、女子サッカーとか日本ではそれほど人気もなさそうな競技については観客が来られなくなった分をそこそこの価格で出してくれたら、応援くらいにはかけつけても良いんだけれど。そもそも開催されるかどうかって判断もあるけれど、そこはいずれ遠からず決着が出るだろう。何しろ聖火ランナーのスタートまであと少しだ。始まってストップじゃカッコつかないから。


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