縮刷版2017年6月下旬号


【6月30日】 連載では最終回を読めなかったゆうきまさみさんの「薄暮のクロニクル」の第11巻が出ていたんで買って読む。そうか羊殺しの事件は茜丸の猟奇というよりは別の誰かの思惑も絡んでいたってことか。でも600年とかってスパンで長生きしては殺しまくってきた茜丸の本性の方が圧倒的で、そこに半ば幼い心を刺激されてつい傾いてしまっただけで、やがて長じて分別もできた後ではやっぱり問題だと思い荷担を拒否したって言えるのかも。黒幕というより共犯者というより介在者。その正体は……良い人に見えて違うけれどでも良い人っているんだなあ。というわけで完結した「薄暮のクロニクル」。身長がまた1センチくらい伸びていたような伏木あかりは誰と結婚して子をなしたんだろう。それを嘆いたかそれともひとり、やっぱり置いて行かれてしまう寂しさに涙したなろうか、魁。不死の王でもバンパイアでも生きるということは、生き続けるということは辛いものなのだ。

 こっちも単行本が出ていた「蒼き鋼のアルペジオ」第14巻は北良寛のところを魚のお土産持参で訪れたイ402のメンタルモデルを相手に問答が繰り広げられては敵として認識していたメンタルモデルへの考えを改める必要が生まれたのか、あるいは怒りはあっも相手がそういうものだと認めざるを得ない中で次の展開を考えるべきだと思ったか、北良寛はイ402に怒らず追い返しもしないでその希望するところの第4施設消失事件に関する真相へと近づく方策として、海洋技術総合学院での学園祭開催を了解する。といっても先立つものがなくてはできないイベントに、メンタルモデルたちも協力を約束して海の幸1万トンを届けることになった模様。漁を禁止されていたズイカクが本気を出して挑んだ漁ではいったい何が獲れるのか。マグロにカツオにタラバガニにアワビにサザエにハマグリにほか諸々。焼いても刺身にしても美味しそうな海の幸がずらりと並んだ学園祭で、「なんで焼きそばとフランクフルトがないんだ」と連れないことを言ったら即座に死刑かなあ、ズイカク的には。

 そして「ヤングキングアワーズ」に連載中の「蒼き鋼のアルペジオ」の最新エピソードでは、タカオと対峙したあれはアタゴだったっけ、気がつくと夢見たいな世界にいてそこでイ401の技術・機関担当をしているヤンキーっぽさが漂っている四月一日いおりが実は良いところのお嬢様で、父親に監視されつつも半ば見逃されるように屋敷を出てはイ401で航海に出た千早群像のところにかけつけ乗り込むまでが振り返られている。どうやったらあの物静かそうなお嬢様がとも思ったけれど、乗り込む場面ですでに“本性”めいた元気さを表しているからずっとそうだったんだろう。そのアグレッシブさと優秀さを見込んで群像が声をかけた、と。橿原杏平も英雄の息子めいた扱いだった群像を牽制しつつ、火器管制の優秀者を認められたことにコロんだからなあ、それだけ人たらしってことか、千早群像は。メンタルモデルたらしでもあるけれど。いったいどれだけ撃沈したんだ、物理的にも、心理的にも。

 遠く英国はロンドンで片渕須直監督の「この世界の片隅に」が公開されたそうでネットを見るとあれやこれやとレビューも出てきてそれのほとんどが星4つとか5つといった高評価。「火垂るの墓」とか「はだしのゲン」と比べてみるレビューも結構あるけど、ああいったものとは違った戦争の最中の日常に生きている女性を描いたもので、それがだんだんとカウントダウンされていって来たる8月6日であり、8月15日といったものへと近づくにつれて恐怖といったものが感じられるといった具合に、日本人がこの映画を見て感じたことであり、原作者のこうの史代さんや片渕須直監督が作品に込めたものがしっかりと伝わっているといった感じ。そういう風に描かれていて、そうなるように演出されているとはいえ、やっぱり遠く日本の出来事であり、第2次世界大戦では敗戦国として非難された国の戦争に対する自省を抜きとした思いでも、ちゃんと伝わったのは喜ばしい。次はいよいよ大国アメリカ。そこではどんな評価を受けるのか。公開が待ち遠しい。

 権力の側に疑問があったら徹底的に追究するのが記者でジャーナリストって奴であって、それをうんざりだと権力の側が思うのだったら追究は決して間違ってはおらず、むしろ強めながら続けるべきなんだけれど、そこで権力の側が言い訳のように繰り出してくる言説をこそ金科玉条の正論だととらえ、讃えつつ徹底しての追究は正しくはないのだといった雰囲気を醸し出している記事があったとしたら、それを書いた記者なりジャーナリストは言論の自由の番人だろうか、それとも言論を不自由な方向へと持っていこうとしている側だろうか。とある新聞の記者が普段は誰も面倒くさいのとどうせ返ってくる答えは木で鼻をくくったようなものになるからと思って質問しないことを、徹底して繰り返し追究していることに対して別の新聞がそうした行為は勉強不足だから出直して来いとでも言い足そうな権力の側に与して、そうした質問はイカガナモノカといった雰囲気を漂わせる記事を繰り返し書いている。

 お行儀が悪いかもしれないし浅学さがあるのかもしれないけれど、それでも尋ねているのは権力の側がより深くコミットしていてその真偽についても知り得る可能性が高い相手。だから公の場に登壇して来た時に繰り返し尋ねることは決して間違ってはいない。そうすることでしかオーソライズされた言質が取れないのなら探求し続けるべき、ってのが普通の頭なんだろうけれど、批判して誹謗するような記事を掲載し続けて、周囲の憎悪を煽って分断させようとするのはやっぱり相当に頭がポン酢ってことななろう。結果、起こることは言論の自由を行使するような言葉によって言論がスポイルされる自体。本末転倒感も甚だしいけれど、そうした無謀で無法がまかり通ってしまうのが今の安倍政権って奴なんだろうなあ。現場にいたら気がおかしくなりそう、自分は善なのか悪なのかに迷いすぎて。

 人を殺めてしまったけれども当人にはそうした人を殺める気などまったくなくって、ただ流れの中でつい起こってしまったことで今は撤回して反省しているので罪には問われません、なんてことは絶対にない。意図があろうとなかろうと殺人という行為そのものは引っ込められない。あとはだから量刑に従いつつ赦免についても検討が行われるのが普通の法律に対する理解なんだけれど、これが稲田朋美防衛相となると、防衛大臣としてそこに立って、、自分の職責の範囲内にある自衛隊を応援してねといったことを選挙演説で言ったことは公職選挙法には違反しておらず、そして実際には記録され得るだろう“罪”をなかったことにしてしまおうといったスタンスを取り始めている。そんな都合の良い話があるかって誰もが思いそうだけれど、時の権力の中枢がそうしたご都合主義を認めている感じがあって、稲田防衛省もそうした流れに乗って動いている。もう罷免もされず辞任もないだろうなあ、次なる決定打が出るくらいでなければ。出るかなあ。


【6月29日】 伝説になっても不思議はないんだけれど、見ている層が重ならないのか話題が近隣に流れてこない「覆面系ノイズ」の第12話「とどきますように」は、フェスに出てステージに立って別のステージに立っている桐生桃のバンド「SILENT BLACK KITTY」に負けないように、そして桃に声が届くように最初から最新曲の「ノイズ」をぶっ飛ばしていったアリスの演奏の凄まじさが、楽曲の持つ素晴らしさと相まって、テレビ画面の中にフェス会場もかくやと思わせるくらいの興奮の音場を作ってくれた。たぶんCGで描かれているんだろうライブシーンの「in NO hurry shout」も、作画と変わらないモデルでよく動いていたし。

 ライブのド直前になってもう会わないと告げてアリスを動揺させるだけさせた桃の行為は、借金まみれで自分いたかってくる穀潰しな母親が、アリスにちょっかいを出すのを避けようとした優しさなんだろうけれど、それを説明されても受け止められる頭なんてなさそうな直情径行のアリスなだけに、桃も最初から説明をせずただ別れを告げるだけ。それもまた最悪なコミュニケーションで、向かい合っているはずなのに反発し合っている2人が、いつかどこかで重なることなんてあるんだろうか。そこが歯がゆいけれどもドラマとしては面白い。アリスが好きでたまらないユズこと杠花奏が、それを告げて反発し合っている2人の間にでも入り込む隙間がないというか、入ったらはじき飛ばされてしまうというか、そんな磁場が出来ている。

 だからこそ苛立つユズだけれど、ライブの途中で自分の音楽を嫌っている母親を見つけて動揺してピックを落として弾けなくなったりするあたりはまだまだ子供。そこでアリスがしっかりとユズのパートを弾いてみせたあたり、にかっ飛ばしているようで冷静なアリスの芯の強さってのも見え隠れする。逆にアリスが止まってしまいそうな時は、ユズがギターをかき鳴らして引き戻してもっと叫べもっと歌えと煽る、そんな良い関係はうん、恋人同士ってより同じバンドに属するベストメンバーって感じだなあ、悲しいけれども恋人未満ってことで。「カナリア」のイントロはやっぱり格好良くって、アニメーションの中の観客じゃなくても総毛立った。そんな興奮を実際のライブで感じられる日は来るんだろうか。早見沙織さんボーカルでバントはプロでイノハリの曲を繰り広げるライブ、観たいなあ、聴きたいなあ。

 2日目のコンテンツ東京2017はVRなんかを追いかけすぎて昨日は観られなかったライセンシング ジャパンをまずは見物。キャラクターとかをどうやって展開するかを見せる展覧会で、入ってすぐに円谷プロダクションがあってMAN IN ULTRAが結構増えていたのに気付く。大人向けのウルトラのデザインだけれど、五十年も経つと番組をリアルタイムで観てヒーローに憧れた世代から下、ウルトラヒーローや怪獣のレトロでフューチャーなデザインを良しとして、それらが取り入れられたものを格好いいとか可愛いと受け入れる世代が出てきているってことなんだろう。

 平成ウルトラシリーズをリアルタイムで見ていた子供も、1期からは20年でいい大人になり、2期からだって15年くらいで20代で後半か。そんな世代がクールな意匠としてウルトラを受け入れていても不思議はない。それから「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」あたりで怪獣というものに目覚めた子供が、今は思春期から上の若者層になっていて、ウルトラといったものを血肉に持っている。長く番組がなかった次代をくぐり抜けてどうにか浸透し始めた遺伝子が、途絶えなくなったウルトラマンの新作に刺激されて盛り上がっていけば、毎年のように新作を続けなくてはいけないスーパー戦隊とか仮面ライダーとは違った、伝統を弾きつつ革新もあって大人から子供まで楽しめるキャラクターとしてまた盛り上がるかもしれない。

 金子製作所というあまり聞き慣れない会社が出ていたので近寄ると、「KARONEKO」というキャラクターを出していた。女の子のネコでなかなかに可愛くて気になったけれど、それ以上に気になったのは金子製作所がいったいどういう会社かってことで、近づいて尋ねると何と精密加工技術の会社だった。そこが作りだしたマスコット的なキャラクターの評判が良かったか、もっと評判を良くしたいと考えたか、本格的にキャラクターとしてライセンス展開をするために展示会に出展したそーな。初めて見たのもだから当然で聞き慣れなかったのも仕方が無い。文具とかにすぐにでも展開できそうなキャラクターだけれど、良い話はあっただろうか。しばらくして登場してきたら応援したい。そういえば今は諏訪姫フィギュアで知られるPLUMももともとは金型の会社だったっけ。ライセンシング ジャパンに出ていたけれど、そういった無関係に見える会社からの進出、これからも増えて行くのかな。

 こっちも意外な展開というか、杉本屋製菓っていうお菓子メーカーがあって漫画というかアニメで話題になった「だがしかし」の中に登場した「まけんグミ」を作っている会社なんだけれど、そこがなぜか美少女キャラクターを出していて、そのパッケージがついた商品も並べていた。人呼んで「魔剣戦士グミ」ってことで、「まけんグミ」を擬人化したキャラクターとして展開していたら評判になって、オリジナル漫画を作ってコミックマーケットで配布し公式設定資料集を販売してと、そっち方面での盛り上げを計っていたらしい。ライセンシング ジャパンに出展したのはいよいよ本気で展開していくことになったからなのか。シールを作ったりステッカーを作ったりしつつカードゲームだとかスマホゲームなんかへの利用を働きかけていくっぽい。グミっぽさはないけれども可愛いから別に良いのだ。駄菓子系では「うまい棒」なんかがコラボレーションをいっぱいやっているけれど、これは商品をそのまま擬人化だからちょっと路線は違うか。どこまで広がるか。

 いやもう季が違っているから仕方が無いby了稔和尚といったレベルをとうに超えて、このあたりで何とかしないと周辺も含めて大崩壊していくんじゃなかってくらい、悲惨で悲劇的な文言が躍っていたりする社会の木鐸系某メディア。例の稲田朋美防衛相による選挙応援での自衛隊もヨロシクといった発言を、表向きは批判しているように見えつつその本質とも言える公職選挙法違反の疑いについてはなおざりにして、ただ問題を「防衛相・閣僚としての立場と一自民党議員としての選挙応援演説の峻別を怠ったことである」って範囲に押し込んで、次からはもうちょっと気をつけようぜって感じに擁護している。そして返す刀のように民進党の議員あたりを批判しているけれどもちょっと待て、そこで言う問題のどこが法律に触れるのか、触れていればとっくに官憲が動いているはずなのに、未だ何もないのはつまりその疑惑は疑惑でないってことだろー。

 でも批判したい側は明確な情報が出ないか出したくない状況を良いように利用して、未だに疑惑が存在するかのようにかき立てる。酷い印象操作なんだけれどそれは平気でやるくせに、我らが総理大臣が虐められると印象操作だといった反論を擁護するから始末に負えない。そんな筋の通らないこと甚だしい、というかつまりは安倍ちゃんとその仲間をお守りすることが基本のスタンスから出てくる言葉には矛盾がいっぱい。

 だいたいが峻別できなかった時点で諸々の違法性が取りざたされてしまっている訳で、それを指摘すること自体がまるで擁護になっていなんだけれど、それには気付かないのか気付かないふりをしているのか。言いたいことが言えて満足なんだろうなあ、当人と周辺は。でも世間はそのでたらめに気付いている。今はまたかで収まっているけれど、それが親分も含めて阿呆と思われ始めたら、いっしょにされたくないと切り捨てられるんじゃなかろーか。真実を知りたいから記者会見で尋ねた記者に、官房長官が真実を調べてきてから聞けと言った無茶を真に受けて質問した記者をなじり、それを何度も繰り返していたりするからなあ、もはや同じ業界からもいっしょにされたくないと言われ、追い出される日が近いかも。やれやれ。

 少数者に対して常に備えるコストというのは大変かもしれないけれど、少数者だからそうしたコストを支払わせていると萎縮してしまい身を縛ってしまうことになるのも悲しくて、そして少数者は常に健常者とは違ったハンディを肉体のみならず心にも覚えて暮らしていかなくてはならないというのも辛い話。騒いで引っかけて叩いて直してもらうといったアクティブ過ぎる行動への賛否はもちろんあるけれど、騒がず引いて逆に叩かれ何も直らない社会であり続けてしまう可能性が妙に高かったりする現状で、何をどうすれば誰もが萎縮せず威張りもしないでスムースに暮らしていけるのかを、改めて考えてみる機会にして欲しいと思ったよ。例の件。


【6月28日】 せっかくだからとコンテンツ東京2017を見物に。といっても昼にコーエーテクモウェーブのVR筐体「VR センス」の発表会があるんで全部は見られそうもないんで、とりあえずコーエーテクモウェーブのブースに行って「VR センス」を試しに遊んでみる。前の発表会の時は「ジーワンジョッキー」とホラーゲームの体験ができて、あと「真・三國無双」のプレイステーションVRでのデモンストレーションがあったけれども今回の発表で新しいコンテンツが登場。それでも「デッドオアアライブ エクストリーム」だからもう全国民的水着ファンが立ち上がったといった感じ。どこが立ちあがったかは言わない。

 試すと現れるかすみちゃん。ブランコで斜めに移動していくその瞬間いふわっと風が吹き香りが漂う。これがかすみちゃんの香りかあ。そして今度は向こうからこっちへとブランコで迫ってくる。アップになる×××。思わず伏せ字にしたくなるくらに見たそうなものが見えそうになる。さらには間近にすっくと立ってシャワーを浴びるかすみちゃん。そのボディを下から見上げる用意していると、ぱらぱらと顔にシャワーから飛び散ったような水しぶきがかかる感じがあった。映像のクオリティが高いとそんなところまで錯覚するのか。

 違う違う、「VRセンス」には風を出し香りを漂わせミストを吹き付け椅子を動かし体にタッチする機能が組み込まれていて、コンテンツの進み具合に合わせてそうしたギミックが作動してより深い没入感を得られるようになっている。風とかは今までもサーキュレーターを回して吹き付けるものがあったけれど、香りとなるとVRではベンチャー企業の「VAQSO VR」が開発したデバイスをVRヘッドマウントディスプレイに装着するのがあったくらい。コーエーテクモウェーブの「VR センス」はそうしたギミックをボディに仕込んでいるのが特長。もしも「ジーワンジョッキー センス」をやったとしたら今度は中山競技場を走る馬の馬糞の香りとかするに違いない、いやそれはないかターフの土の香りかな。

 気になったのは発表会で前は使われていたプレイステーションMOVEの使用がなくなっていたことで、「ジーワンジョッキー センス」だと馬にくれる鞭なんかをMOVEで再現していた。でもそれをやった襟川陽一さんだかが元より大きな体をぶんぶん動かした結果、筐体の中にMOVEが当たってしまうことがあったとか。これは危ないこれはダメだってことで襟川恵子さんが陣頭に立って造り直してコントローラーを使うようにしたとか。剣を振り回す「超 真・三國無双」なんかもMOVEではなくコントローラーの操作になるのかな。まあでもその分を香りや風なんかで保管すれば没入感は変わらないか。危険だと分かるとすぐに変えて発表会に間に合わせる指導力と開発力はやっぱり凄いなあ、コーエーテクモ&襟川夫妻。だからこそ今なおトップに立って栄枯盛衰の激しいゲーム業界で高収益企業を維持し続けていられるんだろう。

 香りといえば「VAQSO VR」の方でも旧葵プロモーションことAOI Proのブースに出展してあったVR プライベート ツアーっていう大型の装置の中で使われていてそれなりの効果を上げていた。これはいわゆる歩くことが出来るVRって奴で、幅広のコンベヤに似た大型の装置の上に乗ってVRヘッドマウントディスプレイのFOVEを装着して、装置から伸びる手を自分の手で握ってそして映像が始まると、洞窟の方へと向かおうとする女性が現れ、その手を自分が握っていることに気が付く。女性がとことこと歩き出すのに合わせて足下が後に流れ出すんで前へと足を踏み出して進んでいくと女性が自分を引っ張ってくれているような感覚になる。

 そして狭い洞窟に入ると向こうから風が吹いてきたのは、筐体の上に取り付けられていた扇風機が回ったから。そして女性の香りらしきものが漂ったのは、FOVEに取り付けられた「VAQSO VR」が動作したからで、そんなギミックもピッタリのシーンで起こると本当に風が吹いて女性から薫っているように感じるからやっぱりVRは凄い。仮想であっても現実。人間って騙されやすい生き物なのかも知れない。やがて洞窟を抜け、海岸に出ると波打ちぎわまで歩いて行くと今度は潮の香りが漂ってくる。手を引いていた女性が自分の横に位置を移した場面もあって、そこでは握っていたロボットアームが横に動いて女性の動きを表現している。面白いギミック満載のVR。コンテンツ東京2017に行かれる方は絶対に試してみるべきVRだ。

 歩くという点ではハシラスが出していた人間メリーゴーラウンド的VRも面白かった。以前から馬に乗って走り回るVRだとか、トランポリンの上で跳ねて進んでいくVRとかいった、装置との組み合わせにより強い没入感を得られるアトラクションタイプのVRを数多く作ってきたVRベンチャー企業でも有数の会社で、そこがコンテンツ東京2017には全く新しいものを持ち込んで来ていた。中央から伸びたアームの先に車輪がついたガイドが装備されていて、そのガイドに入って歩いて行くというのが基本的な姿勢。つまりは人間メリーゴーラウンドで、そんな状況でVRヘッドマウントディスプレイを装着すると、自分が暗い森の中にいることに気がつく。

 合図とともにその中を歩き始めると、だんだんと場所が変わっていって墓場の中とか鳥居の中とか怖そうな場所へと近づいていく。はた目には狭い場所をぐるぐると回っているだけに見えるけれど、VRヘッドマウントディスプレイを着けたプレイヤーは森の中をややカーブするような形で歩いている感じ。歩く速度が速い関係からか遠心力がかかっていて、東大の無限回廊みたいに本当に真っ直ぐ歩いているような感覚にはならないけれど、小さな円ではなく大きな弧を描いて進んでいるくらいの騙された感覚にはなれる。乗せるコンテンツとかいろいろと変えていくことによって、面白い場所を進むVRなんてものが作れそう。京都の街並みとかなんて再現されたら楽しいかなあ。いっそパリとか。

 霊が見えるというか残留思念が感じられるといった能力を持っていて、それを抑えるために眼鏡をかけているぶっきらぼうな俺っ娘の如月零と出会った何事にも無関心な高校教師の一貴。行動心理学を使って矛盾をついたり誘導したりして、零の見たものを裏付けるようなことをして謎解きにあたる一種のバディものとして登場した風島ゆうさんお「零の記憶」の第2巻「零の記憶 瞬く星と見えない絆」(スカイハイ文庫)が登場してこれもまた深いというか、一貴の心理学的推理と誘導がピタリとハマって孤児院を運営する教会の娘が山で視察され、そして殺したのはその孤児院に暮らす少年で、けれども教会の娘の口にお菓子を詰め込んだあと、離れて崖から落ちて死んでしまう。

 状況から犯人は少年しかありえないけれど、その兄は違うと信じて零たちに相談。結果、浮かび上がった犯人がなるほどそういう性格かと思わされて意外なところに意外な動機が眠っているものだと驚かされる。人間は誰もが純情でも純朴でも熱血でもなく、そして感情が豊かで他人思いでもないのだなあ。零と一貴の補完関係が強まり感情的な繋がりも芽生えて言いコンビが出来上がった。このまま続いていくのかな。それだと一介の高校生の周りで悲惨な事件が起こりすぎってことになるか。まあでもそれが小説っていうものだから。期待の新鋭の期待のシリーズにこれから期待。

 取れてしまったら行かんとあかんなあ。ってことで舞台「けものフレンズ」の来年1月の再上演で申し込んでいたチケットが3公演分とも当選。初日初演と楽日千秋楽という趣味性の出た回とあとダブルキャストの後半戦が始まってイワビーの中の人が戻ってくる休み明け初演といった感じで、それぞれに趣がありそうだけれど果たして全部行けるかどうか。来年のことだから鬼が笑いそうだし、それ以前に住む場所とか失って路頭に迷っていそうだし。それでもチケットだけは握りしめて世界を彷徨いつつ当日は会場に戻って舞台を見て泣き勇気づけられそして彷徨うための力にしよう。今から待ち遠しいなあ、来年1月が。


【6月27日】 わーい、って喜びに小躍りをした東武動物公園での「けものフレンズ」とのコラボレーションふたたび。今度は舞台を夜の動物園にしてフレンズたちのパネルを並べてイルミネーションで彩るんだとか。東武動物公園といえばホタルを育成していて見せていて、そのための施設なんかもあったりするからそれを見てそして動物たちがほたるの如くに光る姿を楽しむのも面白そう。土曜日の夜とか行ったら涼しいかな、屋台とか出ていて美味しいカレーとか食べさせてくれるかな、なんて想像はしたけどそんな場所に行ったところで1人では。浴衣姿のヒトのフレンズとか傍らにいないものかなあ、無理だなあ、しゃあないからパネルのフレンズに浴衣を着せて持ち運ぶか。

 新聞はこぞって藤井聡太四段の新記録となる29連勝をトップに掲げて大々的に報じている。囲碁と違って日本ローカルのゲームでそれに勝ったからといって世界の何が変わる訳ではないけれど、日本においては名人位だけで400年の歴史があって親しまれ怖れられていた勝負。そこでまだ中学生の少年がデビューしてから29連勝を続けているのはやっぱり過去に例を見ない事態として大きく扱っても構わないんじゃなかろーか。これでさらに連勝を重ねていってそれも1面トップで扱うとなるとちょっと問題だけれど。次に大きくなるのは負けたときと、タイトルホルダーに挑んだときと、羽生善治三冠と対局した時かな。後はお昼ご飯にうな重を頼んだ時か、対局者の後からのぞいて盤面を逆さに見るひふみんアイに続いて食事にうな重食べるひふみんストマックをも継ぐことになる訳だから。

 VRが本格的に普及していくためにはコンテンツの充実が必要ってことで、360度の全天周カメラで撮影した動画をスマートフォンにアップして、VRヘッドマウントディスプレイをそうタクしてVR空間で編集・制作した上でスマートフォン向けに展開できるようにするコンテンツ管理システム「VRider DIRECT」ってのをアルファコードって会社が開発したという発表会を聞きに行く。その場で360度カメラで撮影した動画が、すぐさまスマートフォン上でVRゴーグルめいたものを使って見られるVRコンテンツになったのはちょっと驚いた。これがフリーな動画アップロードサイトとして使えれば、街中のあらゆる出来事がVRになって蓄積されていくんじゃなかろーか。

 ただし今のところ「VRider DIRECTO」は事業者向けのソリューションといった感じで、加工するためのサービスなんかもそれに含まれている模様。アニしろVRヘッドマウントディスプレイを装着して手にコントローラーを持って、VR空間に入ってそこで矢印ななかのガイドを置き、文字を空間に貼り付けて観光ガイド的なVRコンテンツを作っていける。これまでだとパソコンのモニター上なんかでそれっぽく作っていたものが、VRとして再生されるのと同じ条件で作っているから、ユーザーにとって見やすく扱いやすいVRコンテンツに仕上がりそう。

 そして映像だけでなくサウンドなんかも埋め込めるみたいで、音を発生させたい場所なんかに埋め込むことによって例えば右の方から音が聞こえてきて、見るとそこで何かが鳴っているとかってコンテンツを作れる。さらにはVRヘッドマウントディスプレイに匂いが発生するデバイスを取り付け、コンテンツと連動した匂いを流す「VAQSO」とも連携していて、VR空間内で見たものの匂いを感じさせるようなコンテンツも作ることができる。花畑があったり食堂があったり綺麗な女の子がいたりするような場所に花の匂いやから揚げの匂いや女の子の匂い……ってやっぱりシャンプーかなあ、そんな匂いを発生させるような仕掛けを入れておくことで、そっちを向くとデバイスから匂いが流れ出し、より没入感を深めてくれる。

 VR観光案内なら施設の公式サイトへのリンク、製品のプロモーションなら製品案内やキャンペーンのサイトなどへとリンクするためのボタンを埋め込むこともできるとか。あとは主に実写を使ってのVRコンテンツ制作に向いたシステムだけど、3DCGのモデルを取り込み空間内に配置する機能もあるため、ゲームやアニメーションなどのCGキャラクターが登場して観光地をガイドしてくれるようなコンテンツも作れそう。観光・旅行、不動産、自治体、メディア、EC通販なんてところが採用して、ガンガンと面白いVRコンテンツを展開していけば、それは見たいと思ってVR再生環境を整える人も増えてきそう。観て観ないと分からない面白さを、知ってもらうためにまず見たくなるものを作る。そのためのシステムとして活用され、VRコンテンツ元年的な年を築くか。今後に注目。

 正式タイトルは長いからもう「つづきみ」に省略したい「僕たちは新作アニメのプロモーション映像を3時間かけて一気観したらどのくらいつづきをみたくなるのだろうか?」を見物にバンダイナムコエンターテインメント本社のある三田へ。相変わらず阿呆みたいな本数が放送されるアニメーションだけれどその中身はまったく阿呆ではなくどれもこれも面白そう。そして予告編を見せられることで少なくとも第1話は録画をした上で見てみたいなって思えて来るから、こういった半ば強制的にプロモーションを見せられる場ってのは意味のあるものなのかもしれない。局を超えて地上波で流せばアニメーションの振興に繋がるんじゃないかなあ、クールごとに局を変えていけば不公平感も無くなるし、ってTOKYO MXが圧倒的に多い番組の宣伝を民放キー局は流せないかなあ、やっぱり。

 半年前の時は「ACCA13区監察課」と「幼女戦記」が観たくなって結局を全部みたけれど、最終的にはその時にまるで引っかからなかった「けものフレンズ」が覇権を握ったりするからまあ、アテにはならないとして今回で言うなら「賭ケグルイ」がギャンブルに血道をかける女子も含めた学生たちの捻れ歪んだ表情なんかでそそられたし、16歳になったら国が遺伝子なんかも含めて愛称ばっちりの相手を強制的にマッチングさせて少子化を泣くそうとしている世界が舞台になった「恋と嘘」がラブロマンスの背後にSF的設定があって面白そう。それはディストピアかというと結婚相手を見つけてくれるならユートピアじゃんと思うんだけれど、やっぱり相手が誰かは気になるか、美少年美少女ばかりではないし、でもそれも50を超えるとどうでもよくなるから気にするなって大人が諭せば良いのかな。

 橘正紀さんが監督をしていた記憶の「プリンセス・プリンシパル」が黒星紅白さんのキャラクターデザインで19世紀の東西に分断されたロンドンっていう架空の世界が舞台になっていてそこで5人の少女たちが特異な能力を駆使してスパイとして活躍する話ってことで美少女版「ジョーカーゲーム」かなって思ったり。スマートフォン向けゲームが原作らしい「18if」はそういえばアニメジャパンでPVをVRで観たっけって記憶が浮かんだ作品で、総監督があの「ハッスルとき玉くん」の森本晃司さんってあたりに期待感が漂う。とはいえ監督が毎話違うとかでアンソロジー的な作品に仕上がりそう。「ナイツ&マジック」はヒーロー文庫ってレーベルとしてはマイナーな原作なのにアニメーションはめちゃハイクオリティ。その凄さが原作にも跳ね返ってレーベルを底上げすることにつながるかも。他にも多々あったけど今日はこの辺で。いやあ、アニメって本当に面白いですねえ。

 口が軽いのは今に始まった訳じゃないけれど、文字通りの軽口に過ぎないどころか言えば世界が震撼したって不思議は無い妄言暴言をそれなりな立場にある人たちが発しては、その責任を負うことなくイイマツガエタとばかりに逃げようとしているところに、この国の未来のなさを深く覚える。潔く正直に、って道徳で教えていないのか。防衛大臣が都議選の応援に出て「防衛省、自衛隊としてもこの候補を応援したい」って公の組織を私物化したかのような発言をしたという。もう辞任物でそうでないなら罷免物なんだけれど、朝霞だか練馬だかの駐屯地も近いしそこで働いている住人たちも多いから、そうした人たちが応援してくださいねっていった話だとごまかそうとしている。これだって公務に就く人たちを束ね一枚岩にしようとしている職権の濫用で、即座に否定して謝ればよかったのが無理な言葉を通すためにさらなる無理を重ねている。国でも同じようなことがより大きなレベルで起こってたりする状況に、いったいどんな未来を観れば良いのか。明日は晴れると良いんだけれど。


【6月26日】 「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 発進篇」では前の「宇宙戦艦ヤマト2199」でヤマトガールズとして一世を風靡した森雪や原田真琴や岬百合亜や桐生御影といった面々がそろってヤマトに乗船できずにしばらく展開から退場の模様。最後にどうなるかはまだ分からないけれど、その活躍が見られないというのはファンにとっては悲しいことなのかもしれない。そんな中で1人、山本玲だけがコスモタイガー隊を率いて月からしっかり参戦したのはつまり彼女だけがアンダーアーマーと契約していたからだといった見方も出来るのか出来ないのか。立場的に最後まで死なない可能性なんてのも取り沙汰されていて、ここは彼女にあやかりアンダーアーマーを着るヤマトガールズが続出するかもしれない。コスモタイガーにあのマークを入れるとか? それはさすがに商標違反か。もしかしたら西条未来がひとり乗船できたのも下着がアンダーアーマーだったからなのかも。ちょっと見てみたい。見られないってば。

 まさかあそこでソーラン節とややるなあ谷口悟朗監督は。「ID−0」が最終回を迎えて地球人類が持つオリハルトを回収すべく現れた膨大な移動天体ラジーブの群れを相手にもはや人類もこれまでと思ったところに、オリリアンとなったアリスかあるいは母親のジェニファーが現れ意識だけの体となって直接ラジーブ経由でそれを差配する誰かに語りかけようとる。もはやこれまでといった瀬戸際からの大逆転に、徹底したSF的なアイデアを繰り出してみせるところがさすがの展開。大風呂敷を広げた割には美少女戦士と美青年戦士と美青年ヒールとのバトルになっている「正解するカド」よりもSFとして受けそうな気がする。SF大賞的には今度のに入れられるんだよなあ、これ。菅浩絵さんのノベライズも出たしSF的評価がグッと上がってくれると面白いなあ。

 アニメミライでの短編から足かけ何年になるんだろう。「リトルウィッチアカデミア」というタイトルが生まれてクラウドファンディングで続編が作られ、それでひとまず終わりとはならないでテレビシリーズが作られていった展開を、好ましく思う一方でOVA版にあったあっけらかんとした楽しさが、変化してしまうんじゃないかといった不安もあって、実際にアッコの性格がどこか猪突猛進で自分勝ってて我が侭で、実力もないくせに自分を大きく見せたがるところがあって、ちょっとウザいとも思っていた。後半戦に入っても、クロワ先生にすがってアーシュラ先生を蔑ろにして突っ走るところがウザったく、結果として、アーシュラ先生を呪いにまみれさせてしまった。

 けれどもクロワ先生が暴走の果てに世界を危機に陥れようとしたとき、アッコだけが諦めないで立ち向かっていってその暴走を止めようとした。そしてクロワ先生の過ちがミサイルに取り憑いて発射されててしまい、隣の国へと飛んでいっては世界を戦争へと叩き込みかねない状況に陥った時、魔女でも追いつけないと誰もが諦めたそのミサイルに絶対に届くはずだと言い張って、ルームメートのロッテとスーシ−、部屋は違うけれども仲良くなったアマンダとコンスタンツェとヤスミンカ、そしてアッコは勝手にライバルだと思っていて、そして相手も実は目標にするべき相手かもとアッコのことを思い始めているダイアナが多段ロケットよろしくほうきをつなげて舞い上がり、1人また1人と魔法の力を発動させてはるか成層圏を行くミサイルへとアッコとダイアナを送り届ける。

 なんという格好良さ。なんという美しさ。信じる心が魔法の力になるんだという訴えが、見事に形となって結実したそのシーンを見てそうだよ諦めないで続けることが大切なんだって改めて思えて来る。アッコたちの頑張りを映像で見ていた人たちもそうだし、そんなシーンをテレビを介してアニメーションとして見ていた僕たちもそう。万国共通にして万人に響くメッセージを持ったアニメーションだったんだなあ、「リトルウィッチアカデミア」は。それでも強大な魔物と化したミサイルを相手に、ダメージを被って落下していくアッコを拾い上げたのがいつか出てきた流星丸。そうか伏線ってここで回収されるんだ。そんな感動もこれありの展開の中、アマンダとアッコが寄り添い2人で放った大技が、全てを浄化して世界を癒やして魔女への信頼を取り戻しつつハッピーエンドへと誘っていく。

 ここまで完璧にハマった展開もそうはない。世界にこれで再び魔法が溢れるようになって、どこでも魔法が使えるようになったかは分からないけれど、少なくともルーナノヴァの周りではちゃんと使えるようになっている様子。なおかつアッコにもちょっとだけ成長の後が。あれは単純に吸われただけで再び醸成すれば使えるようになる類のもので、大してアーシュラ先生にかけられた呪いは呪いだから解除されるまでは飛ぶことは出来ないのかもしれないけれど、アッコの努力が実を結んだ様子を見ると呪いだって努力と根性で吹き飛ばせそうな気がしてきた。髪を赤に戻したアーシュラ先生がシャイニィ・シャリオとなって再び舞う時も夢見つつ、今はアッコが無事に卒業できる時を願いたい。そんな日常が再び映画として描かれたりすると嬉しいんだけれど。嬉しいんだけれど。

 気がつくとiOSのアップデートから置いてきぼりにされていた初代iPad miniを何とかしたいと思いながらも、新型がでるんじゃないかとためらって手が出なかったiPad mini4を購入していろいろとセットアップ。ポケモンGOを開いたらちゃんと動いていたりして、ああやっぱりメモリーがデカいって良いことだなんて思ったりもして、これならもうちょっと早く買い換えるべきだったなんて思ったかというとそういう時にはお金がなかった。だから今のこの瞬間に買い換えるしかないのだった。貧乏っていやだなあ。誰のせいだってそりゃあ赤字を保有株とか土地とか打ってお化粧しているだけの経営陣、って言いたいけれどもだったらお前がやれと言われたって何も出来ないから仕方が無いか。いやでも論調だけは買えてもうちょっと普通に読まれるようにはできるんじゃないかなあ、1面から社物を流していては、いつか起こった系列産業紙の惨状の二の舞いになるぞと。

 そんな社物で喋った岩盤規制を打ち砕いて全国に獣医学部を作るぞって話について、勝手なことを言うなといった声が出始めているのを聞いたのかどうなのか、安倍ちゃんは裏に回ってそれはあんまり周りが五月蠅いから、ついカッとなって言っただけだなんて話したらしい。しっかりと日本テレビの「バンキシャ!」が報じていて、国を左右しかねない政策を感情にまかせて公衆の面前で口走る輩に国を任せておいていいのかって論争を呼んでいる。ところがそこは信者の多い安倍ちゃんだけあって、こうした報道を捏造とかいう輩もいっぱい現れた。本人の声じゃないってメモなり記憶の起しなんだから声つくわけないじゃん。新聞記事のコメントから声聞こえてくるかっていうの。でも信じない人は信じない。これは信じられない気分にメディアが追い込んで来たこともあるんだけれど、さすがにこれで捏造じゃないよと思いたい。そして本気ならやっぱり正気からズレていると認めたい。はやくどうにかしないと大変なことに……もうなっているか。やれやれ。

 そして世間は朝から晩まで藤井聡太四段の連勝記録が成るかについて大騒ぎ。やれ昼ご飯に何を食べたか夕食にはワンタン麺が届かなかったとか周辺について喋っているけれど、肝心なのはその将棋がどれほどかってことでabemaTVの将棋チャンネルで生中継をやっていたので見たらこれはやっぱり凄かった。対局相手の増田康宏四段の玉が最後、逃げそうになるのを下から銀で抑えて逃がさず、そして上から金と桂馬で抑えつつ横から馬がにらみを利かせてもうどこへも行けない状態へ。そこへと到る過程で自玉も攻められてはいたんだけれど、ちゃんとかわして逆転につながる飛車を置いてこれには増田四段もどうしようもなかったみたい。91手での単手数での投了が彼我の差って奴を如実に表している。どこでどう間違えてこんなに圧倒されたか、増田四段も分からないような気がしている。週刊将棋があったらすぐにでもコメントが分かるんだけれど、それもない今は将棋世界か近代将棋の特集を待とう。今までは若手かロートル相手だった勝利も集王戦第5組の優勝者というある意味でのタイトル持ちを破ったことで大いに勝ちが上がった。もはや本物と言えるか。あとはA級8段を相手にどこまで粘れるか。それとも勝ってしまうか。次は竜王戦4組優勝の佐々木勇気五段。ここに勝ったら本物だ。


【6月25日】 友人だったはずの、そして共感し合っていたはずのシマザキ・セツナが身に覚えの内盗作騒動で糾弾されて疲弊して、SOSにも似たメッセージを贈っているのを無視するか、自分はそんな気持ちになったことがないから分からないと袖にして知らん顔。そうこうしているうちに追い詰められたシマザキ・セツナが遺言ともいえるメッセージを送ってきたのを開封もしないで無視している間に彼女は電車に飛びこみ命を絶って、それを聞いて過去のつながりの一切合切を消してしまったチンケでカスで小心者の水篠颯太が知り合いだったシマザキ・セツナがどんどんと有名になっていくのが認められなかったと吐露したのを、聞いてどうして松原崇やまりねや中乃鐘昌明駿河駿馬といった創作者たちは弱虫めと嘲らず、超えられる悼みに共感してしまうのか、なんて思った「Re:CREATORS」。

 自分たちだって最初から有名だった訳ではなくて誹謗中傷も浴びながら、それでも書きたいことを書き続けてプロフェッショナルとしてそれなりの居場所を得た。途中で誰かを蹴落としたかもしれないし、今だって上を行く先輩や追いついてきそうな後輩たちを妬みつつ怖れているかもしれないけれど、そこで足を引っ張ることはせず、かといって誹謗されているのを無視することもなしに自身が創作を続けることで追いつこうし、追い抜かれまいとがんばってそしてお互いに切磋琢磨している。そんなプロのクリエイターから見れば追い抜かれたからといって嫉妬し無視し、そして死んだらサヨウナラと決め込んだ水篠颯太に創作を語る資格なんてない、この場から立ち去れと言ってやりたくなるようなガキに見えたんじゃないのかなあ。

 でもそこは大人だからなのかプロとしての鍛えられた心身が言わせたのか、水篠颯太の懺悔を聞き入れ(聞き流していたのかも)そして新しい創作によって軍服の姫君とこアルタイルを包囲し弱体化させる戦略をとろうとする。つまりはキャラクターや作品の枠組みを超えたバトルロイヤル。そこに引っ張り込むことによって集団でフルボッコにするって感じだけれどここで不思議なのは、原作者がすでにいないキャラクターが二次創作によって人気になってもせいぜいがネットの中だけでの人気であって、プロたちが小説に漫画にアニメに登場させているキャラクターの認知度にかなう訳がないんじゃないかってこと。でも軍服の姫君は縦横無尽に力を変化させてはセレジアもメテオラも退ける。

 どうしてそんなに強いのか、ってところに秘密を感じるべきかそんなものはないのか。分からないけれども残る展開の中で語られるのを期待したい。あと現れたのはセレジアにとって因縁の君となるカロン。それがどうしてアルタイルの側についたのか。その言説に従えばセレジアともども元の世界に帰れると思ってしまったのか。違うのに。正義って奴は本当に融通が利かないのかも知れないなあ、アリステリアもずっとアルタイルの側だし。でも創造主とあって話してその衒った言説の裏にある真剣を感じて少しは変わったか。最強なだけにそうした変心の可能性が気になった。築城院真?が今回は不登場。どこで何を為ているのやら。メイド喫茶でアルバイト? ちょっと接待されてみたい。

 せっかくだからと幕張メッセで開かれている次世代ワールドホビーフェア2017夏を見物に行く。雨が降っていてもしっかりと子供たちが来て中は人でいっぱい。見渡してやっぱりベイブレードは人気でデュエルマスターズにも人だかりが出来ていてと、タカラトミーが贈る子供向けの2大コンテンツが未だ健在なところを見せてくれていた。あとはハイパーレスキューか。車がロボットに変形するところはトランスフォーマーでもあるんだけれど、マイケル・ベイ監督による映画のシリーズがちょっと大人向けになっているのに比べて、変形は凝っていながら子供向けとしの立場を保っているところに続く人気ぶりってのも分かる。子供は数年で世代が変わるから飽きたり陳腐化したりってことはそうはない。ちょっとづつ改良しながら諦めないで長く続けることが定番として売上を固める秘訣なのかも。

 そんなタカラトミーはレベルファイブの「スナックワールド」も手掛けている感じで玩具のコーナーに人だかりが出来ていた。レベルファイブといえばずっと「妖怪ウォッチ」で妖怪メダルはバンダイが手掛けてすごい売上を稼いでいたけれど、その勢いも今はちょと後退している感じでバンダイが出していた「妖怪ウォッチ」のブースの規模も前に比べて小さくなっていた。栄枯盛衰。ただ気になったのはバンダイが玩具では「妖怪ウォッチ」くらいであとはバンダイナムコエンターテインメントがゲームを出しバンプレストが「ポケットモンスター」のぬいぐるみを出していたくらい。「ハイパーヨーヨー」みたいな玩具を出して一斉を風靡していたメーカーにしてはちょっと寂しい印象を受けた。

 もちろんバンダイは「機動戦士ガンダム」があり仮面ライダーシリーズがあり「スーパー戦隊シリーズがありプリキュアシリーズがあってウルトラマンシリーズも持っていてと、人気のキャラクターを軸にした玩具を数多くハンドリングして相当な売上を立てている。「コロコロコミック」の漫画なり特集なりと連携して売っている品物が中心に展示される次世代ワールドホビーフェアに出展しなくても全然平気って言えば言えるんだけれど、どこかキャラクターの人気に乗っかり玩具の面白さは二の次っぽいところもある戦略は、キャラクターの人気に左右されがちなところもあって玩具メーカーとしてちょっと危ういというか本筋からズレて言っているとも言えなくもない。

 ゲームは未だに活況とはいえ「妖怪ウォッチ」がアニメ人気の停滞とともに玩具もどこか停滞気味に見えるのがその現れで、売上だってやっぱり下がっている。今は元気なライダープリキュア戦隊の将来はどうなんだろう、って思うとやっぱり玩具としての遊びの面白さに、コロコロ的キャラクターを乗せて広めるような戦略を整え次世代ワールドホビーフェアにいっぱい出た方が良いって気がしないでもない。次世代ワールドホビーフェアの印象では半分くらいを占めていたタカラトミーは今がその辺り、有卦に入っているのかも。これに売上が伴えば玩具市場で名実共にナンバーワンを名乗れるんだけれど。次世代ワールドホビーフェアで見えた光景が今後の玩具市場での覇権争いにどういった影響をもたらすかを今後ちょっと観察していこう。

 いったい何週連続で来ているんだイオンシネマ幕張新都心。岩浪美和さんが持ちかけ劇場が入れたスーパーウォーファー6連装でもって今までよりもさらに重低音が響くことになったらしい「ガールズ&パンツァー劇場版」が1週間限定で上映されるってんで見ておかなくちゃいけないとチケットを確保して幕張メッセから歩いて劇場へ。そして見た「ガールズ&パンツァー劇場版」ULTIRAバイブレーションセンシャラウンド/9.1chはなるほど冒頭から繰り広げられる大洗攻防戦で砲弾が走行に当たる音が響き発射される音が轟いてなかなの迫力。とはいえそんな音にちょっと消されてセリフに聞き取りにくいところがあった気がした。

 大洗攻防戦が終わって打ち上げとなって大洗学園の廃校が告げられ大混乱の中で引っ越して西住みほが故郷に帰り生徒会長が戻って廃校撤回の条件となる大学選抜戦へと到る幕間的な場面では、ちゃんとセリフも聞き取れたからそこにレベルを合わせた関係で、戦闘シーンではセリフが沈んでしまったのかもしれない。立川の爆音なんかではそういったところでセリフは聞こえてくるんだろうか。いつか行って確かめたい。今もまだ上映してたっけ。まあでもすべてのセリフをほぼほぼ知っている映画なんで、ちょっとくらい聞き取りづらくても展開はちゃんと分かるからこれで良いのかも。観戦に来た西住しほさんの座りっぷりとか、ヴォイテクに乗って進む島田亜里寿の向こうに見えるケイのホットパンツとかを大スクリーンで堪能。ホットパンツがパッケージだと差し替えられているそうなんで見るには劇場に行かなくちゃいけないのだった。今度はいつ見られるかなあ、4DXが近くあったっけ。要チェック。

 マジかトランプ大統領&ホワイトハウス。定期的に行われている報道官との会見にカメラを入れることを拒否したそうで、語られた言葉こそが重要な訳だから写真も映像もなくたって平気と言えば平気なんだけれどやっぱりテレビというメディアでは映像があってこそのもので、そこで伝えられる言葉以外の声音であったり表情といったものもやっぱりメッセージを含んでいる。それを伝えていたものが伝えられなくなるのは報道にとって大きな後退といえるし、認めてはいけないものでもある。けれどもホワイトハウスが認めない以上は勝手には振る舞えない。どうすれば良いってところでCNNが法廷画家を入れて得で伝えるって反撃を繰り出してきた。もちろんそれは完璧ではないし代替にもほど遠いけれど、諦めないで伝え続ける姿勢こそがまずは重要。後退せずひるまないで阿呆には無茶で応えていけば、どれだけ阿呆なことをやっているかも世界に伝わるだろう。そうなってからでは遅いと気付いて改めるか、阿呆として倒れさていくか。いよいよ分水嶺。いやもはや瀬戸際か。


【6月24日】 なんだ出入り出来るんだ閉鎖空間とやら。だったらヤハクィザシュニナだって追撃できただろうにしなかったのは、とりあえず体面を維持して人類を引っ張り込むことを優先させたってことなのか。でもその間に真道幸路朗は着々と新兵器を開発してヤハクィザシュニナに挑む準備を整えていて、そして来週はいよいよ激突といった感じ。そこに徭沙羅花が今度はスーツをハニーフラッシュしたのかどうか不明ながらも異方スーツ姿でヒロイン立ちして立ち会って、2人で強敵に挑むみたいだけれど勝負の行方やいかに。好奇心旺盛な品輪彼方博士が真藤たちの目的を聞いて不思議な顔をしていたんで何か仕込んだかな。自分を異方に連れて行けと言うのかな。そんな「正解するカド」。ただの人類を守って超越者同士がバトルする話で終わらせるのかそれとも。

 午前5時前に起きようと思ったけれども仕掛けた目覚ましが午前5時過ぎになっていたのでそれでとりあえず1発で目を覚まし、支度をして家を出てから総武線に乗り本八幡で乗り換え都営新宿線で新宿三丁目まで。そこから歩いてすぐの新宿ピカデリー前に到着するとすでに行列は出来ていたけれど、開場の午前7時まで15分ほどという割にはあまり伸びていないような気がしたのは上映時に売る限定版のブルーレイディスクがちょっとだけ遅れるもののバンダイビジュアルのオンライン通販でも買えるようになったからなのか、それともやっぱり熱量が「宇宙戦艦ヤマト2199」の時とは違ってそこまでしてでもと思う人が少し減っているからなのか。

 分からないけれどもそれでもグッズの行列なんかを見るとやっぱり人気は相当にまだまだありそうな「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 発進篇」を舞台挨拶付きで見るために館内へ。もらった原画はあとで塗り絵に使うとして、初めて見た作品の方はとりあえず「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 西条未来発進篇」だった。誰だ西条未来って言わない。すでに「宇宙戦艦ヤマト2199」のシリーズにも登場していた通信士の女の子で、森雪が席を外れた時に後に入って受け答えをしていた人で聞き取ろうとするときに髪をひっかけ耳を出すのが決めポーズ。そして受け答えもどこか淡々として状況を描写していくような口調で媚びる訳でも投げる訳でもないそのテイストにファンが続出したというか、気になているのは自分くらいというか。

 そんな西条未来さんが「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」の時にも増しての登場。何しろ……って理由はちょっと説明しづらいけれども発進篇という言葉の通りに発進したヤマトの艦橋クルーとして通信席にしっかり座ってすべての通信を担っている。途中でもそのスレンダーな割に出るところの出たボディをすっくと立たせていたりもして、耳のアップだけじゃない魅力ってやつを全方位に魅せてくれた。もしかしたらこの作品で西条未来を見てファンになった人も多いかも知れない。いっそこのまま座り続けてくれとすら。でもそれだと作中の最大のヒロイン、森雪の出番がなくなるからきっと替わってしまうんだろうなあ。あるいは森雪は別のシーンで活躍するとか。

 その森雪がいろいろあった過程で古代進を相手に「どういうこと?」と聞くシーンがもう底冷えするような凄みがあって今回の映画の中でも最大級の見どころかも知れない。あるいは犬も食わないって奴のことだけれどこれを食おうものなら犬だってセイウチだって腹から凍えてカチンコチンになってしまうだろう。それくらいの冷えっぷり。信じていたのにどうしてと言った嘆きすら超えて信じていたのにコノヤロウといった憤りをグッと呑んで凝縮させたといった演技は聞き所。そして走り去っていく森雪のスカート姿のお尻がちょっと丸かったのも瞬間だけれど見どころか。

 ともあれ発進までの展開があり発進してからのドンパチがあってさらに途中下車でのドンパチの最中に大変なことが起こって以下は次章といった感じの第二章。西条未来さんの発信があったこの加えてもう1人、桂木透子さんって謎めいた美女がいたりしてこれはいったい何者だといった興味でこれから先を引っ張って言ってくれそう、って声が前に出ていた人じゃんってあたりで正体への想像も浮かぶけれど、その割には飛び込み過ぎじゃんとも思わないでもないだけに真相は不明。ただガトランティスのロボットに囲まれた時になぜかロボットが射殺を躊躇していた感じもあるからやっぱりってことなのかも。いやいやでもガミラスの少女を抱きかかえて危険な中を「隊長さん」って良いながら走ってきた姿はちょっといじらしかったから、あの尊大きわまりない人とはやっぱり違うのかもしれない。果たして。

 たった3年でどうやってあれだけの資材を投入し、人材をかき集めてアンドロメダを始めとした戦艦群を地球が作り上げられたのか、って不思議を整えるためにぶっ込んで来た設定がなかなかの興味。それが本当ってことはつまり悟空が修行をしたときみたいなことが出来るってことなんだけれど、1年が1日程度で大人だったら違いも見えない変化とは違って10年20年30年というスパンなだけにそこに生身で関わったら昨日の少女が明日のおばさんになってしまう。そうした辺りは配慮されて無人での作業になっていたのかな、どうなのかな。

 イスカンダルが無償の愛で提供してくれた起死回生のテクノロジーにそんな裏があるとか思いたくはないし、もしもあったのだったらちょっと問い合わせをしてスターシャさん17歳おいおいにどうなってるんですかと聞けばどうにかしてくれたのかもしれないけれど、これは好機と取り入れ使ってしまったところに人間の欲深さって奴が垣間見える。それは地球に限らずガミラスも同様か。とはいえガミラスにはまだロマンがありそうで、地球が止めようとした古代たちのヤマトによるテレザード行きを促しサポートした。デスラーだってある意味ロマンティストだった訳でそんな種族に比べると、地位にしがみついて汲々としている地球人類って幼い存在なだってことなのかも。

 10月公開の第三章は何か純愛ものだそうで、だからといって古代と森雪がいちゃいちゃするとか思えないのは宇宙に愛をと叫んでいたおっさんが「私が来た!」とばかりに現れたから。いったい何を突きつけてくるのか。どんな愛が見たいのか。分からないけれどもそう求めてくるなら魅せてやれ、ヤマトでも最大級の愛の姿、古代進と島大介の仲むつまじさって奴を。見れば大帝だって大喜び。それともあの白い女は間近で確かめるために乗り込んだ? そして見て鼻血で白い服を赤に染める? あるかもなあ。

 ついた嘘を正当化しようと嘘を重ねる安倍ちゃんの悪癖がまたもや炸裂。お友達の学校だから獣医学部の認めたんじゃないと言うために、国家戦略特区を全国に広げ獣医学部を乱立させて構わないと放言。アベノミクスだって成功を言い続けるために失敗を認めなかった挙げ句のこの惨状。特区でもそれをやってしまったら、日本という国が大変なことになるのに何で誰も止めない? だいたいがここでお友達ののためじゃないぞと言っているのは、そう思われて迷惑しているだろう相手のことを慮った訳ではなく、それで攻められている自分を労ってのこと。もしもこれで獣医学部がいっぱいできたら、四国の学校になんて学生が集まらなくなる訳で、支えてお願いしてようやくこぎ着けたのに何でなだと、お友達の学校は今ごろ唖然呆然としているんじゃなかろーか。

 もう無茶苦茶としか言いようがないその言動だけれど、振り返って見ればこの国は戦争中に陸軍を批判して「竹槍では間に合はぬ 飛行機だ」と書いた新聞記者を、もう37歳なのに招集して大正時代に受けた徴兵検査を引っ張り出すのは不自然だと批判されて、だったらと同じくらいの年寄りを250人も招集して硫黄島に送って玉砕させた程だから、無茶を通すためにより無茶なことを平気でやって不思議は無いか。さらに言うなら記者は海軍の意向を書いたものであって、それで海軍に守られ硫黄島送りとなった再招集には入らず、海軍の報道班員となって生き延びた。割を食ったのは250人の年寄りたち。それに倣うなら四国の獣医学部は守られ他の新設既設を含めた獣医学部は乱立させられ競争させられた挙げ句、まとめて玉砕させられるのかもしれない。やれやれ。


【6月23日】 Rotten Tomatoesって映画のレビューを集めたサイトがあって良い映画だとフレッシュの称号が与えられ、酷いとロッテンすなわちトマトのへたがぶつけられて沈められる。そんな良いと悪いの割合でトータルとしてのフレッシュかロッテンかが決められるんだけれど、夏にもアメリカで公開される見通しの「この世界の片隅に」については日本での上映があってしばらくは東京国際映画祭なんかで見た人のレビューが載っていた程度で、トータルでも6つのレビューしか紹介されていなかった。それらのすべてがフレッシュ評価でトータルでは100%フレッシュ。天然果汁絞りたてみたいな評価にさていったい公開が近づいたらどうなるんだろうかといった関心も浮かんでいた。

 何しろ日本における戦争を扱った映画で呉への空襲があり広島への原爆投下があってそれによって日本は被害を受けたわけだけれど、アメリカにとってそれは真珠湾から続いていた戦争のお返しであって決して加害といった意識が先には来ない。そんな地でいったい戦争責任をおおっぴらには訴えていないこの映画がどういった評価を受けるのかは、片渕須直監督もずっと気にしていたところで、公開に先駆けて渡米して説明する必要があるかもしれないって確かインタビューで話していた。その実現のために行われたクラウドファンディングは結構な額が集まったんで、片渕監督にはぜひに渡米して戦時下の日常について話し、それは普遍のことなんだを分からせてもらいたい。

 とはいえ公開も迫って英語圏ではイギリスでの公開が迫っている。そういうこともあっていよいよ有力紙にもレビューが載り始めたみたいで、Rotten Tomatoesのレビューも1つふえ2つふえといった感じになってきている。その1つが世界最古の日刊紙として名高いイギリスのザ・タイムズ掲載のレビューで、評価は星4つととてつもなく高い。内容についてはサイトからでは冒頭しか読めないから、どう分析されているかは分からないんだけれど、評価からするなら結構良いことが書かれているんだろう。そしてこちらは金融経済紙の優とも言えるフィナンシャルタイムズにやっぱりレビューが掲載。これもまた星4つと高評価。日本の戦時下では8月6日とかに恐怖が一気に高まるようで、淡々と描かれていた日常がくるりと変わる映画って感じの紹介なのかも。英語分からないんで詳細は不明。

 アメリカのハリウッドリポーター誌にも「この世界の片隅に」のレビューが掲載されていた。これも高評価だと思うけれど星については不明。戦争のど派手な描写とかポートレート的なビジョンとかを求めている人には物足りなく映るかもしれないけれど、でもすずさんとか若い女性たちの日々を描いたこの映画は、戦争の事実だとか数字だとかを示すよりも、欠けているものをずっとよく示しているんだよとかいったことが書かれているっぽい。そういう感覚は誰しもがこの映画から抱いたものだから、なるほどしっかり伝わっていると言えそう。

 あとザ・カンバセーションというサイトに掲載された記事は映画のレビューというよりは、こういった種類の映画が作られるまでの資金調達面の困難さであり、2Dによるアニメーションという技法を採用したことへの言及であり、SNSを使っての口コミの宣伝でありといった、「この世界の片隅に」というちょっと変わったポジションにある映画がどうやって作られ、どうやって世に広められていったかって話が紹介されている。日本ではヒットしていく過程の中で語られたことだけれど、アメリカなんかでも得たかを紹介した記事っぽい。改めて説明されることによってその特別さってのを分かってもらえそう。こうしたレビューがあって前説もあればアメリカでもイギリスでも、技法への興味と内容への関心から大勢が見て評価してくれるかな。そうありたいと思いたい。アカデミー賞への道、いよいよ。

 これはもう漫画より酷い捨て身のギャグであり、その身を所属企業もろとも吹っ飛ばそうとする自爆テロなんじゃなかろーか。そもそもが2度にわたって国会議員を相手に根も葉もない噂話を真実かのごとく書いては名誉毀損で訴えられ、そのいずれもに敗れている人間が、とある媒体でもってフェイクニュースを批判するような言説を堂々と語ってしまっている。そこに恥といった日本人の美徳とされる情緒はないのか。ないんだろうなあ、あったら裁判で敗れた瞬間に筆を折っているはずだから。でもそうするどころか同じ事を繰り返し、なおかつそんな人間に未だ筆を与えている。21世紀最大の不思議とも言えるかも。

 そんな人物が書いたフェイクニュースを批判するコラムの冒頭で、森友学園の籠池さんが手にしていた札束が上と下だけ本物で中はただの紙だった話を、テレビで見たかネットで読んだかして、そうした行為なりそれを行う人間をフェイク扱いして掲げつつ、森友学園なり加計学園問題をフェイクニュースと断じていたりする。けれども、籠池さんは自分で分かってその場ではそれを出しただけであって、札束自体はちゃんと持っていたらしいと既に検証されていて、ネットにもそうした話が出回っていた。

 籠池さんがフェイクやっていたという話は打ち消されてしまっていて、つまりはフェイクでなかった話なんだけれど、それがフェイクだと言われていたのを信じてフェイクだと断じたことが、実はフェイクだったというフェイクに躍らされる典型を、自身がやってしまっていた。これは恥ずかしいといったレベルを通り越した惨めでみっともないレベル。穴があったら頭から埋まりたい気分になるのが普通だけれど、そんな気などさらさら浮かべず明日も似たような話を繰り返すんだろうなあ。やれやれだ。

 ガイナックスから独立してカラーを設立した庵野秀明監督が、古巣のガイナックスが自分の版権で稼いだ金を払ってくれるはずだったのが払ってくれなくて訴えた話に判決が出て、いくらかを回収する権利を得たって感じだけれど無い袖は振れないガイナックスは何かを担保として差し出すことになるのかな、それとも祓ってもらう気は案外になくて損金として処理して財務体質を改善してもらってそこで新しい作品を作ってもらおうとしているのかな。ああいいった世界は裏も表も複雑なんで事情は不明。ただここでいよいよ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の続編と言われて久しい「蒼きウル」の映画制作がスタートしていることがガイナックスによって明かされて、長く待たされ続けているファンにとっては朗報以上の大僥倖。ただし実現すればであってその辺り、尻に火が着いて本気で動き出すのかどうなのか。注目したい。アニメスタイルが開く山賀博之監督のイベントに行けば聞けるかも知れないけれど、チケット取れそうにないんだよなあ。報告を待とう。

 アヌシー国際アニメーション映画祭で長編アニメーション部門の最高賞を獲得した湯浅政明監督の「夜明け告げるルーのうた」が今も上映されている池袋のヒューマックスシネマズで、湯浅監督の舞台挨拶があるってんで見物に行くとテレビ局が取材に来ていた。とってもありがたい話ではあるんだけれど、だったら賞を獲る前にもいっぱいいっぱい紹介してくれよと思わないでもない。スタートダッシュに躓いて上映館はぐっと減ってこれで賞がなかったら、今週末からの復活上映もなくほとんど見られない映画になっていた可能性があった訳だから。そうした映画が賞をとったことで大勢に見られるようになって湯浅監督もスタッフも喜んでいるんだろうなあ、賞を獲ることについては自身があったみたいだけれど、呼ばれてそれが1位か2位か何位か知らなかったというから不思議な人。衒いって奴? そんな舞台挨拶にはサプライズで、ルーの声を演じた谷花音ちゃんとカイ役の下田翔太くんが花束持って登場。谷花音ちゃんはルーみたいに可愛かった。ここから再スタートとなってどこまで行けるか。フジテレビはだからもっと宣伝したまえよ。


【6月22日】 なんかいきなりキャトルミューティレーションって言葉がツイッターのトレンド入りしてい、いいたい何事が起こったんだと騒ぐ人が大勢登場。元はどーやら大間九郎さんって作家で漫画原作者の人が打ち合わせで、編集さんからキャトルミューティレーションを出すのはやめてと言われ、だってそれは一般教養じゃないかと言ったら怒られたといった話をツイートに書いたこと。受けていやいや一般教養だろうといった声が出たり、それってUFOに牛が引っ張、り込まれることだったっけといった声が出たりして、違うそれはアブダクションであってキャトルミューティレーションは牛とか動物から内蔵とか血液とかが抜かれることだといった話も出て来て、そんな違いを書いたイラストなんかも流れ始めた。

 ここまでの騒ぎになればもうキャトルミューティレーションも世間一般に知れ渡っただろー。でもネットの一部で盛り上がっていたって世間は知らないことの方が多いと考えると、牛の干からびた死体が発見されたNHKのニュースで「キャトルミューティレーションだとみられます」とアナウンサーは言わないだろーなー。ライトノベルくらいなら大丈夫な気がするんだけれど、そんな事件が出てきた松屋大好さんの「宇宙人の村へようこそ 四之宮農業高校探偵部は見た!」(電撃文庫)を読み返したらキャトルミューティレーションに近い事件が起こっても、キャトルミューティレーションとゆー言葉は使われていなかった。そっち方面ではやっぱり未だ禁句なのかも。でも講談社文庫では青柳碧人さんの「浜村渚の計算ノート」シリーズには登場したらしい。それがラノベと一般文庫との差って奴か。いやいやそれは。

 昨日見た第25回3D&バーチャル リアリティー展では、何かルームランナーとかストッパーとかエアロバイクにVRを組み込んだものが出展されていて、せっかくだからとステッパーを試してみたら足踏みをすることによって森の中をどこまでも歩いて行けた。ルームランナーとエアロバイクはそのマシンでは既定の路線を進んでいくだけだったけれど、ステッパーについてはハンドルを倒すとそっちの方に進んでいく感じ。そうやってゴールまでたどり着ければクリアってことでゲーム的な楽しさもある。普通にステッパーを踏んでいるだけではダレてしまうところを、風景を加えクリア要素を乗せることで挑む気持ちを引っ張り出す。そんな効果があるのかも。

 そういえばコナミが当時はまだピープルだった今のコナミスポーツを買収してグループにした頃、コナミのゲーム技術とピープルが作っていたフィットネス機器の技術を組み合わせて、ゲーム性を持ったマシンなんかが出てくるって期待も浮かんでいたし、実際に幾つか作られたみたいだけれどその後、製品として世に広まったって感じでは無かった。走るとかいったストイックな行動に、ゲーム的な架空のビジョンは必要ないって思った人が多かったのかもしれない。ただVRみたいに完全に、違う世界に没入できる技術は現実へ出るのに壁を持ったハンディキャッパーにとって知らない世界に足を踏み入れるきかっけになる。そうした人たちに向けたフィットネスなりリハビリのVRなんかが今後、登場してくる可能性はあるのかも。見守っていきたい。

 VR見物が今日も続く。船橋からだと1本で行ける押上駅の真上にして、そびえ立つ東京スカイツリーの下に位置する東京ソラマチに、コニカミノルタプラネタリウムが新しいVRアトラクションを設置するってんで見物に行く。やっぱり少ない台数を何時間待ちかで回すようなものかと思ったら、何と車イス席も含めた26席に座ったプレイヤーが同時に同じコンテンツを楽しむといったもので、30分で結構な人数を回せるところにアトラクション施設としての優秀さをちょっと感じた。そこはやっぱり多人数を相手に星空を見せるプラネタリウムを上映してきたコニカミノルタプラネタリウム。そうした運営のノウハウと映像資産に新しいVRという技術を乗せて、新しい層を確保していこーとしているんだろー。老舗光学機器メーカーも進化しているななあ。

 さてそんなVirtuaLinkといった名称のシステムは、卵の一部をカットしたような形のポッドに座って、そこでプレイステーションVRを装着して楽しむもの。横に座った誰かがペアとなって宇宙空間へと飛び出して、視線によってチャージしたエネルギーボールみたいなのをガイド役のキャラクターに投げさせ星座を作り地球を組み立てる。ただ星空を見せるだけでなくってそ、こにPSVRならではのゲーム要素も乗せてあってプラネタリウムとの差別化は出来ていそう。あとVRってものが何なのかを体感してもらう施設としても有効で、ソニー・インタラクティブエンタテインメントがPSVRを提供したのも、業務用への普及とそして施設を通じてのプロモーションによって一般層にも手を伸ばしてもらうといった狙いがあったのかも。コーエーテクモウェーブのVRセンスへの提供もそんな感じだったっけ。こうした施設への展開を経てPSVRも日本で普及が進むか。それにはやっぱりちゃんと買えるようにしてくれないと。そこが肝心、何にも増して。

 ノーエビデンス、ノーファクト、ノージャーナリズム、イエスフェイク。ここまで酷いと憐れみすら覚える。とあるメディアで最近再開された、北海道が中国に侵略されているぜって企画で以前に載せた記事を振り返っているんだけれど、その時も上っ面だけ撫でて印象だけを並べて危ない危ないと騒いではいても、具合的な侵略の事例がひとつも挙げられていなかった。それらを1年経って振り返るんだから、もうちょっと深掘りしてあるのかと思いきや、まったく調べた形跡がなく印象だけを繰り返して並べた感じで、前より酷さが増していた。

 トマムリゾートに関しては、中国資本になったというのは確かにそうで、発表だってされている。でもだからといって、どうして「『中国資本が買うという話は聞いていたが、これほど進んでいるとは思わなかった』とした上で、『中国資本がこれほど大規模に動いているとなると、1万人規模の大規模なチャイナタウンができる可能性がある』と驚きを隠さない』ということになるのかが分からない。アメリカ資本のリゾートができたからといってアメリカ村にはならないし、日本人が海外で買収したリゾート案件が日本人村にならないように、リゾート地の資本が中国だからといっチャイナタウンになるとは限らない。そういうものだ。

 そもそもが日本のリゾート地にチャイナタウンができたからといっていったい何が問題なのか。そうした問題の具体例なりを、煽るだけじゃなく理性と知性をもって語って警告するわけでまく、ただ中国人が来るといった言葉を並べて中国人嫌いな人たちの歓心を買おうとする、単なるヘイトな記事になっている。これは公器としてまともじゃない。そしてスイス牧場に関するパート。怪しげな中国人が経営しているじゃないかって記事を書いて、すぐさまそこは日本人がが経営していて、なおかつ問題を躍起になって告発している元道議の父親と知り合いらしいという話を投げかけられながらもそれには答えず、指摘されたように登記簿を取って調べもしないで、現地まで行って中に入れませんでしたといった話を並べているだけ。子供の使いよりも酷い。

 それで取材と言えるのか。それで検証と言えるのか。まったくもって不思議としか言いようがない。別の雑草雑木が繁っていた土地について、雑草が刈られたけれども特に何かが進んでいる訳ではないといった話に関して、「こんな証言も耳にした。「『卵形の旧式のヘリが低空飛行で行ったり来たりしている。普通はヘリの下に会社名などを書いているが何も書いていない』『スーツ姿の中国人のような若い男女が何人か2台の車に乗り、豊糠方面に来た』」と書いている。誰かが言っていたという噂の、それも中国人のようなって確定はしていない情報を材料に、中国人が買い占め転売しようとしているだなんてストーリーを仕立てるとかもうジャーナリズムからはほど遠い。これはダメだと思わないのか。思わないんだろうなあ、中国人が北海道を買っているというストーリーを作って、そうしたことを嫌がる人たちの情動を誘って、自分たちの周囲を盛り上げられればとりあえず勝ちって考えみたいだし。そんなのばかり。やれやれだ。


【6月21日】 柊ばかりになっていた名取周一の式がちゃんと前からの笹後と瓜姫も出るようになってトリオ漫才みたいなところを見せてくれるのが嬉しい。もちろん笹後と瓜姫と名取という。柊は後から加わったこともあて立ち位置がちょっと微妙というか、生きたまま解放されるきっかけをつくった夏目貴志にも少し心を許しているようで、生真面目な夏目の側からちょっと惚れっぽくて怖いところもある名取への醒めた視線を見せる時がある感じ。だから夏目が何か隠しているから探って来いと名取が行かせたのも柊ではなく確か瓜姫だったっけ。

 そんな関係性が見られて嬉しかった「夏目友人帳・陸」。豪邸に暮らしていた祓い屋の老人が残した部屋を探して残された書籍なり情報なりを持ち帰ろうとして大勢の祓い屋たちが集まって来たけどそこで専門化でもない夏目が真摯な心と持っていた能力とが混じり合ったから面の入り口にたどり着いてしまう。でも開けられなかったところを裏の入り口から的場一門が入ろうとして阻まれ奪われるくらいならとその部屋の遺産だけが燃やされてしまう。ああ勿体ない。

 でも直前に表を守っていた龍に気に入られたか夏目には焼け残った紙が残されそれがまあまあの呪符だった模様。集めて大喜びの名取に笹後に瓜姫に柊だったけれど、そんな展開の途中で夏目が遂に名取に友人帳のことを言ってしまった。表ではニコニコとして理解をしめしていたけれど、内心ではそんな危険なものならなぜ燃やしてしまわないといった具合に夏目の心名取知らずのところを見せて考え方の違いを鮮明にしていた。そんなすれ違いがいずれ対立へと向かうこともあるのか。その時に柊はどちらに着くのか。ちょとt気になった。あとレイコではない夏目に顔のよく似た男性を門番の龍が見かけていたといった話。いったい誰だ。夏目の父でもレイコの夫でもないならそれは誰なのか。明らかにされる時を待とう。原作ではどうなってるんだろう。

 雨の降る中を渡橋ビッグサイトまで出向いていって3D&バーチャルリアリティー展を見る。といっても産業用との3DモデリングツールやVRシステムの展示会でゲームそのものってのはなし。それでも仮想空間を体験させるツールなだけにゲームにも使えそうなアイデアってのが幾つかみうけられた。たとえば積木製作ってところが出していた高所作業トレーニング用のVRは、両足にトラッカーを取り付けてVRヘッドマウントディスプレイを装着すると居場所が15階建てというからだいたい45メートルから50メートルくらいのビルの屋上になって、そこで窓枠みたいなものを受け取って外壁越しに下にいる誰かに渡す作業をする。ところがちょっと頭を乗り出すと身は真っ逆さま。50メートルの高さから転落する恐怖を味わうことになる。

 めちゃ怖いって訳ではないけれど、やぱり高い場所から落ちるというのは知っていると心がすくむ。そういう恐怖を体感させておくことで、自分が実際に高い場所に行った時にどんな注意をはらうべきかを心身に覚え込めるといった寸法。慣れて何度落ちても死なない自分に安心なんってことにはならないと思うけど、そのあたりどうなんだろう。聞くと実際に高い場所で作業経験のある職人さんほど足がすくむという。そして子供の方が平気で自分から飛び降りたりするという。現実の転落とそれに伴う死を知っているからプロは怖がるんだろうし、落ちて死ぬといった認識の乏しい子供は平気で走り回る。克服よりも注意の喚起を目指すVRって言えそう。仮想空間はそこに溺れるためだけではなく、そこから身を引くための鍛錬にも使えるってことで。

 ARを出しているところもあってマイクロソフトのHololensを並べて何かを見せていたりしたけれど、どうやってその場所にそのデータを見せていたのかってあたりでいろいろ苦労があったみたい。マーカーとか置けないし位置情報は取りづらいし形状認識ではデータが思い。値段も高いんで今ひとつ使い勝手が思いつかないんだよなあ。画期的コンテンツって出てこないんだろうか。そんなARとは違ってシェルパってところが出していたdream ARという次世代AR技術は何とマーカー入らず。Googleが開発したAR技術のTangoを活用していて、センサーデバイスによって空間を認識し、そこに相応しい物体やキャラクターなどを出現させるという。

 例えば床面のように平たい場所だと認識すれば、そこに家具の椅子を並べて自在に動かし配置を検討するってことが出来る。ちょとめをそらして平台みたいな場所があれば、そこに花瓶だの何だのを探し出して配置していける。決して途中に刺さったりはしない。完璧なまでのシミュレーションモデルを作れる訳ではないけれど、何となくそんな配置を考えたい時のイメージ作りには役立ちそう。あと路上にキャラクターを出現させて、いっしょに記念撮影するエンターテインメント分野でも利用できそう。GPSなんかで位置をだいたい与えておいては、その辺の路上にすっくと立たせて微笑ませる。それだけで現実空間にキャラが登場したように見える。何かのIP(知的資産)を組み合わせればキャラクターめぐりみたいなコンテンツも作れそう。問題はTangoが利用できるデバイスか。スマホの進化がちょっと待たれるかも。

 これが狂っているんじゃなかったら、世間の方が狂っているってことになるかもしれないなあ。公明党の公式ツイッターアカウントが共産党を論って3Kだと誹謗し実績を横取りしただの公安調査庁にマークされているだの北朝鮮に甘いだのと罵倒している。それらのすべてが虚偽という訳ではないけれど過分な言説でもあって、並立させているオウム真理教の残党のような徹底マークとは違うし公党としての認識も持ちつつ過去の経緯も含めた見守り方になっている。北朝鮮にリアルな危険がないというのはそのとおりで、実験をしようとそれを使える状況のないことは北朝鮮だって知っているだろう。手持ちのカードがあるということが外交なりの駆け引きに繋がるからやっているだけで、それを戦争的なリアルな危険と言う方が間違い。そうした解釈をせずに共産党だからと批判する。

 なるほど過去から今にいたるまで、理念の思想と理想の教義との対立から共産党と公明党というより創価学会が対立をしていることは確かだけれど、ともに公党となって国会に議席を持っている政党ならば誹謗中傷による印象操作ではなく政策なりビジョンといた言論でもって堂々、戦うのが筋ってものだろう。でもそうすると今の公明党はただでさえ筋の悪い自民党にくっついてどんどんとダメージを見に残している状況で、堂々とした論陣なんて張れはしない。だから誹謗中傷に逃げて公明新聞なんかで内輪を鼓舞して溜飲を下げている。そうした内輪の引き締めとして乗せるなら下品だけれどまった許せるけれど、公式ツイッターという一種のメディアで公然と公知させてしまってはやっぱり拙い。

 それは国会でぶちまけることに劣らず等しいくらいの無茶だとも言えるけれど、そうした指摘を受けながらもいやいや普段からこんな感じに罵倒して誹謗して中傷してまですよと言えてしまう担当者は、ネットの位置付けを安易に考えているか、思考がとっちにどっぷりと閉まっているかだろう。真っ当な大人ならこれはヤバいと引っ込めるのに長く引っ込めなかったあたりにも、党としてその思考が危険水域に足を突っ込んでいることが伺える。きっとすがっている政権与党の自分たちさえ良ければ他は罵倒しても構わないといったマインドに染まりつつあるんだろー。そしていずれ離れた時に思想はボロボロとなって支持も得られず衰えていく。それともそうした衰退を狙っての自民党からの持ちかけか? 逆に自分たちがポン酢をやることで連立した与党として思考が横暴になっていることを顕在化させているだけってことも……それはないかなあ、真剣に真面目に安倍ちゃんは偉く共産党はカスだと言う言葉の汚い大人たち。見てこどもたちは本当に信教できるのか。未来は暗い、とてつもなく。

 それでもまだやっぱり羽生善治三冠がデビューしてしばらく圧倒的な強さを見せていた時ほどの煌めきを、藤井聡太四段からは感じられないのは過去の栄光にすがりたい年寄りの戯言なのかもしれないけれど、デビューして続く強さがある程度は序列化された棋戦で修羅が住む三段リーグを抜け出たばかりの新鋭が勝ち進むのは割とあることで、それに将来の羽生善治三冠級かもしれない頭脳が乗れば神谷広志八段が達成した将棋の公式戦での28連勝くらい達成して不思議はないって思えなくもない。

 問題はだからここから竜王戦なら決勝トーナメントに入っての対戦なり、棋戦での予選が進んで上位陣と当たったときにそれまでどおりの強さが発揮できるかで、そこれ連敗を喰らうとすっと神通力も抜け、普通の強さに戻るかもしれない。そこから羽生三冠くらいの天才ならではの普通か、6段まで上がれれば上等の棋士の普通かは藤井聡太四段次第。その手筋が悪手でも裏に何かあると読ませ間違いをした羽生三冠の無類の強さに匹敵するオーラを、あるいは名人経験者を連破しタイトルホルダーを粉砕する強さを見せてくれたようやく本物だと認めたい。次は誰でどうなる? フィーバーは続く。


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