縮刷版2011年1月上旬号


【1月10日】 キバヤシが飛び込んできて叫ぶ。「わかったぞ! 『マヤの予言』とは2012年のロンドン五輪で日本代表の吉田麻也選手が、中国代表を一蹴し、スペイン代表を沈め、ガーナ代表を撃破し、アメリカ代表もアルゼンチン代表も共に粉砕して、決勝で久々の英国代表に勝利して、世界の大陸を制覇することだったんだあ」「な、なんだってー」。というくらいに驚きに溢れていたらしいアジアカップのサッカー日本代表によるヨルダン戦だけれど吉田選手がそこそこやるのは名古屋グランパスの頃からの周知の事実だったんで、別に驚きはしなかった。

 むしろ日本代表が、あれだけのメンバーをそろえてこの程度の戦い方しかできなかったことが愕然。そりゃあしばらく試合から遠ざかって、メンバーもぶっつけ本番めいたところがあったけれど、それでも日本代表クラスで世界でも活躍する面々。コンディションの悪さを置いてそれなりに機能してくれるのかとは思ったものの、動きこそ悪くはなくても突破はできず得点を奪えないままロスタイムまで相手にリードを許すていたらく。ラストに長身の吉田選手の飛び込みでどうにか追いつきはしたけれど、あれがなかったら次にシリア戦に引き分けてしまって、哀れ予選で敗退だなんてことになったかもしれない。

 オシム監督ですら4位であれこれ言われたのに予選敗退ではザッケローニの立場はなかった。ここで踏ん張り上にいければ吉田選手が救世主として崇め奉られるかもしれない。でもって救世主然と押し立てた2012年のロンドン五輪でマヤの予言が発動し、日本代表を崩壊に追い込む悪鬼と化す、ってそれではさっきの言葉と矛盾するか。さても果たしてどうなるか。それより何よりもっと有名になって欲しいもの。オランダのVVVで頑張っているけど、そこからもう1つ上のフィールドへ進んで世界に知られる選手になっていって欲しいなあ。センターバックで世界的なリーグで成功した選手ってまだいないもんなあ。

 全国の施設に伊達直人と名乗る人物からランドセルが贈られている事柄に関連して、同じ梶原一騎さんの創造したキャラクターの中から我をもと名乗りを上げたのが「巨人の星」の花形満。財閥の御曹司だけあってフトコロも豊かな彼はランドセルなんて細かいと、自らの名前が冠されたスポーツカーのミツル・ハナガタ2000を全国の施設に寄贈したんだけれどもスポーツカーだけあって燃費は悪いし少ししか乗れないし、置く場所もなくそもそも施設の子供は誰1人として免許なんて持ってなくって扱えないというこの始末。どうしたものか。

 駄目だよそれではと同じく「巨人の星」から名乗りを上げたのが星飛雄馬で、自分がかつてそれによって剛速球投手になれたからと全国の施設に大リーグ養成ギプスを置いて回ったところ10年後、施設で育った少年たちの多くが野球を始め高校球児となって時速170キロメートルの剛速球を軽く投げるようになって、日本の野球の底上げに大きく貢献したことは20年後の歴史のテストで出るから覚えておくように。ちなみに「あしたのジョー」の矢吹ジョーは血染めのグローブを置いて回ったんだけれど子供たちはみな怖がって手に取らず、そのまま燃えないゴミで出してしまいましたとさ。流行らないなあハングリーは。

 「フリージング」って新番組のアニメーションが始まっていたんで見たら能登だった。能登かわいいよ能登な能登麻美子さん。それが割と渋めで怖い目の声を出して接触禁止の女王と言われているバトル美少女を演じてる。戦う相手も美少女ばかりでそれも大半がミニスカートだから吹っ飛ばされたり飛び上がったりすれば当然見える。もう見えまくっているんだけれどこれが別のシーンで胸元とかひっぺがされると途端に黒い霞みがでっかくかかってしまうのは、画面に対する面積の問題かそれとも布と肉とではやっぱり扱いに差があるということか。所詮は絵なのに。その絵についてこうして蕩々と語る奴らも多いってことがやっぱり画面に黒を引く原因にもなっているんだろうけれど。いろいろと難しい。話は怪物と戦う美少女&サポートの少年の物語。それがどう進展していくのか。迫力あるんで見ていこう。「IS」といい今冬シーズンの戦闘美少女物はクリエイティブに恵まれたなあ。

 マスコミに権威は必要かと言われれば必要で、それは権威という言葉からまず浮かぶ偉そうさという意味合いではなく、常に確かさを持って振る舞い信頼を得続けているという意味での権威のことであって、それがあるから視聴購読されるに値し、紹介された些事も信頼という価値を得て世に流布される。読売新聞の記事で山崎正和さんがそういう意味合いで使いたかったかは分からないけれど、言わんとしたことはだから決して間違いではない。あるいは掲載している媒体に向かって襟を正せと言いたかったのかもしれない。

 とはいえ信頼という意味合いでの権威を、偉そうさと勘違いし果てた今日にマスコミが権威を口にしても誰も信用されないといった状況が現にある。一方でネット上の言説においける信頼という意味合いでの権威は、多くの場合属人的にならざるを得ない。一般がその座に至る苦労ははかり知れず、畢竟有名人の言説に権威が付与され多数が群がる。そうした信頼の群生が関連し合いながら、何とはなしに信頼の権威を形成していく中で、受け手もまた信頼を相手に頼るのではなく、自ら調べ考える必要が出てくるというのが昨今のメディア状況といった奴なのだろう。うーん。言ってて意味分からなくなって来た。いずれにしても社説でないものを社説といって非難する言説に信頼はなく、従って権威も生じないってことだけは確かだけど。



 それからどう見たってディスプレーが内臓された電子机で書類もテキストもそこに映し出せて見られそうな机なのに、そこ上にドカンと書類が積み上げられてさあ読めって迫られる状況が果たしてアリなのかと考える。でもとっても面白いから嫌になるというかそれがまた面白いというか「IS」は、まずもって動きが良いしキャラクターの表情が良いしテンポが良いし何より設定がおよそアニメを好きそうな人たちのツボに刺さる。

 本当は女子しか操れないISをなぜか操縦できてしまた世界でも唯一の男子が訓練学校に入学して、幼なじみになぜか絡まれイギリスから留学してきた女子にも絡まれその後には中国から来たりドイツから来たりする女子にも絡まれていくというハーレム展開で主人公のうらやましさに感情を入れ、なおかつ普通はできなことができてしまう主人公を我が身に重ねて憧れることによってぐっと見に引き寄せて物語を見ることができる。実にライトノベル的で同世代的。だから設定としても展開としてもそんなに凄みはなさそうなのに、作品が売れるしアニメにもなるんだろうなあ。お見それしました。1巻2巻辺りでとまっていたけど読み直そう。そして我が身に一夏を重ねよう。無理だって。

 そして「夢喰いメリー」は山内重保監督だからどこまで暗く悲劇的な展開へと向かって夜中の心を沈み込ませてくれそうだけれどそこは原作の漫画ああって明るめなキャラクターもいるから、バランスが捕れて夜中に不思議な世界をかいま見せてくれそう。夢の世界に引っ張り込まれやすい少年が、夢から現れて来た少女と出会って起こる何かを相手にしたバトルってこと? 元の漫画よりも独特なテイストで世界観がデザインされてて「ソウルイーター」ほど様式的ではないにしても、不思議なビジョンを見せてくれそう。こいつは期待。

 あるいは悠木碧アワーとでも言えば良いのか金曜深夜。時間帯がズレて重なって放送されることになった「GOSHICK」と「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公がともに「紅」で「ダンス・イン・ザ・ヴァンパイアバンド」のヒロインを演じた悠木碧さんなんだけれども「GOSHICK」のヴィクトリカが今までの悠木さんに近いちょいツンケンとしたところぞんざいなところがある声だとしたら、「まどか☆マギカ」の方はおそらく大昔に見ていた「おねがい! マイメロディ」の末の妹に近いほのぼのとした感じ。そういやあ番組の制作発表でまだ前の名前で登場した悠木碧さんを見ていたなあ、あのころは小さくて可愛かったなあと年齢を見たら今度の誕生日で19歳とか。人って成長するんだなあ。

 でも演技の方が進化と深化の両方向から凄みを増している感じ。ヴィクトリカだってミナ様と決して一緒って訳ではないし「紅」の紫ともまた違う。どこか気だるげだけれど寂しさも持った1人の少女。床でごろごろと転がっている描写の可愛らしさとも相まって、人気となっていってくれそう。一方のまどかはデパートの改装中のフロアでなぜか同級生の少女に襲われ、そこを同じ学校の少女に助けられたりするという、突然の変化に戸惑っている様子だけれど、身の回りで何が起こっているのかを知った後で戦いへと巻きこまれる中、強さを発揮していくことになるんじゃなかろーか。そんな変化を悠木碧さんが声にどう込めるのか。注目、というか注聴。けど1番驚いたのはまどかの母親の変化ぶり。起き出してから顔を洗って化粧すると顔も声も変わるんだ。女性って、凄い。

 せっかくだからと池袋まで出向いて「サルにもできるiPhone同人誌の創り方」のサイン会に並ぶと1番だった。どういうことだ。安倍吉俊さんって「lain」で超有名なイラストレーターで漫画家の人とカワサキタカシさんとの共著でサイン会にはお二方が揃って登場して並んでサインをしていただくという僥倖。「lain」を見てからずっとファンですとか「ユリイカ」の安倍吉俊特集号に原稿を書きましたとかいったことは一切言わずに無言で本を出してサインを頂きそのまま帰っていった胡乱な奴としてすぐに記憶から忘れ去られていったことだろー。それが一期一会ってものだ。サイン会にはさっと見て40人くらいはいたのかな。秋葉原でもやるみたいだけれどそっちはもっと賑わいそう。どんな人がいるか見に行くか。


【1月8日】 まず形から見て吊り橋だと辺りを付けつつ、吊り橋にしては一般的なものとはちょっと違う塔の形から、A字Y字といったタームを入れてそれが斜張橋だとう形式だと確認。そこから、日帰りできる距離にある場所だといったヒントから神奈川千葉群馬栃木茨城あたりを含めて関東一円の橋を調べて、当たったのが埼玉県にある秩父橋。そこからさらに検索で辿って写真を眺めていって、遂に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」という4月からフジテレビのノイタミナ枠で始まるアニメーションの舞台となっていそうな場所がそこだと行き当たる。だって光景、まるで一緒だし。

 あとは岡田麿里さんという脚本家と、そして長井龍雪さんという演出家とが「とらドラ」と同様にタッグを組んで描く世界が、果たしてどいういったものになるかを想像し、7日の夜に行われた発表会で小学生くらいの知り合いが、高校生くらいになると疎遠になってしまうよねっていった物語へのヒントめいた言葉から想像して、秩父を舞台に成長してしまった少年少女がまだ幼かった頃の楽しさを振り返るなり、振り返ろうとしても決して後戻りできない時間の重さを確認するなりしつつ、生きていくって話になるんじゃないかと推察する。

 そうした話で、この山間部がどんな風に印象的描かれるんだろー。その描かれ方如何によっては埼玉県に、鷲宮やら久喜やら行田やら上尾やら所沢に続いて新たな“聖地”が誕生するんじゃなかろーか。観光課の島田さんはまたマップに新たな地域を描き足さなきゃいけなくなりそー。それから「埼玉ちょ〜でぃーぷな観光協会」のアップデートとかも。それにしても埼玉県って多いよなあ、千葉県は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でちょろりとモノレールが登場したくらいで、それすらもうまく連動して盛りあがっているって感じがしないのに、埼玉といったら鷲宮神社に去年よりさらに2万人も多い47万人が来るくらいだからなあ。秩父橋にはどれだけの人が訪れるのか。そこでどんな新たな運動が起こるのか。ちょっと楽しみ。

 夜の10時まで発表会が合った翌日に朝の10時から始まる展示会へと出かけるのがさらりまんの世界って奴で、到着した幕張メッセの任天堂によるNINTENDO3DSの体験会は、会場から駅まで続く長蛇の列、ができているかと思ったら割と会場前まですんなりとたどり着ける感じ。これが次世代ワールドホビーフェアだと大量の人間でもって行列が数百メートルに及ぶだけに、あるいは人気がまだないのかって心配も浮かんだけれども、そんなに派手に宣伝していた訳でもなく、タイトルだってそれほど揃っていないイベントはあくまでも体験会。それでもいち早く試してみたい人が集まるって性格のものだけに、この入りでも十分っていったところかも。

 実際に並んでいたタイトルは、任天堂がゼルダにニンテンドッグスに何とかってタイトルとほかちょこちょこ。コーエーテクモにバンダイナムコにコナミにカプコンにレベルファイブといったところでスクウェア・エニックスとかおらず派手に見せるってよりも3Dってどんな感じ? ってところを見て貰うのが目的だった模様。実際のところ壁に埋め込まれるように並べられた3Dが3D映像を流しているのをのぞくように見るコーナーだけで、なるほどこれが3Dって感じられるようになっててこれだけで十分って気もしたけれど、プレーしてみるとまた違った3Dならではの奥行き感なんかも分かるから、試してみたい人は入って朝早くに入ってながめてみるのが良いかも。10日まで。

 せっかくだからと転戦して、東京ドームで始まったふるさと祭りってのを見物。1500円の入場料が必要だけれど、あのグラウンドの上にずらりと居並ぶ屋台では全国各地の名産品が売られたり作られたりしてとても賑やか。歩いているだけでおなかが空きそうになるけれども、それほど裕福ではないのでまずはと辺りをつけてのぼり目がめて突進して、津山のホルモンうどんって奴を試食。お台場でも食べられないことはないけれど、ここん家のはホルモンがごろごろっとしてデカい上にソースも焼きたてならではの香ばしさ。現地で食べればこんな感じになるんだろうかと想像させてくれた。いやあ美味いわ。こんな店が津山には33件あるんだよなあ、って33件は関係ないか、どうしてもそんな数字が浮かんでしまう。

 ふらふらと見ていて愛知県では手羽先の山ちゃんが出ていてそんなもん淡路町に行けば店あるじゃんとけっ飛ばし、あきたこまちの格好をした超美人が佐世保バーガーのコーナーで買い物をしていたりする姿を遠目に眺めつつどんぶり博覧会は行列がすごかったんで寄らず、しょっつるベースで海鮮がたっぷり載ってて美味しかった男鹿やきそばとか買ってあと東北のどこかの牛肉メンチも買ってさらに宮城の牡蠣飯弁当を買ってそれで打ち止め。きりたんぽ焼きとか竹輪焼きとか並んで食べていたらきっとお腹がいっぱいになる代わりに財布が空っぽになってしまっただろうから、その辺りは見極めないと大変かも。結構長い期間やっているんで時間があったらまた入って混んでた北海道の物産とか、どんぶり博とかを見てこよう。平日とか夕方は入場料が安くなるみたいだし。見切り売りとかもあるのかな。あれば良いな。


【1月7日】 やっぱり買ったアニメーション版「BLACK LAGOON」の新シリーズ第3巻は、くそ尼ことエダが尼僧姿で描かれたオーバージャケットに入って、ファビオラが可愛く銃を持っていたりするデザイン。本編でロベルタ復讐編が終わってファビオラが元の鞘へと収まりコロンビアへと戻っていたのと比べると、エダはCIAのエージェントとしての姿を改めて露わにしただけでなく、チャンを相手にCIAの威光を電話越しに語って聞かせ、飛行機の中でロベルタ相手に1歩も引かないタイマンぶりを見せたりと、その本領を徐々に発揮して、単なる暴力教会の用心棒ではないところを見せて来ている。

 その資格がラングレーから直接派遣された局員なのか、それとも採用されて働いているエージェントか、軍事的な才覚も合わせもったパラミリタリーなのかは分からないけど、日本を舞台に大立ち回りを演じ、ロベルタ相手に軍隊仕込みの腕前を披露してみせた姉御ことバラライカの素性はだいたい明らかになっても、エダはまだまだ本領を発揮したって感じじゃないんでこの後、ずっと止まってしまっていったどこまで話が進んでいたのか忘れてしまいかけてる漫画版「BLACK LAGOON」の方で、たしかでこ眼鏡がピンチになっていたエピソードが進んで次のエピソードになった暁には、そっちで1本、出自とか経緯なんかも含めて描いてやって頂きたいもの。若い頃とかやっぱり可愛かったのかなあ。そりゃ無理か。

 不動の中盤を形成して不動っぷりからジェフユナイテッド市原千葉の攻撃を落ち着きのある物にしてしまった責任者とも言える中後雅喜選手がセレッソ大阪に移籍していたと思ったら、攻撃は熱いんだけれどそれが中央付近でしか発揮されなくって悩ましかった倉田秋選手もガンバ大阪へと復帰し中盤から前のオフェンスに変化が見られるかなあと感じていたら、さらに谷澤達也選手までもがなぜか同じJ2に落ちてきたFC東京へと移籍。っても初年度はまずまずだったものの年を経るごとに体型が横に膨らみ気味になっていて、前ほどのドリブルでズバズバ抜いていく切れ味が見られなかっただけにここでひとまず居場所を変えて、新たなプレーを模索するってのも悪くはないのかもしれない。とはいえ覚醒されたらそれはジェフ千葉にとってもヤバいから、ここはおめでとう頑張ってと送り出しつつサイドでこねて封じられるいつもながらの谷澤選手を、見せてジェフ千葉に貢献してやって欲しいもの。頼みます頼みます。

 いよいよ始まった東浩紀さんによるアニメ「フラクタル」の番外編小説「フラクタル/リローデッド」を読もうとダ・ヴィンチを買ったら、しりあがり寿さんがあの美人がどっかんでばっつんでよいよいな「HOOTERS」に行った話を漫画で描いていた。その内容はと言えばしりあがり寿さんが「HOOTERS」に行ったら描きそうな内容で、楽しげな場所に行った暗い人がよりダークな方向へと思考を向けていくって展開に、おそらく今の僕も行けばこうした居場所の無さ感を味わい打ちのめされた挙げ句、家に戻って「塊魂」をやりながら人間をコネる夢に浸るんだろうなあって考える。正月早々暗いなあ。

 そんなしりあがり寿さんが前に「HOOTERS」へと行ってVIPルームの壁に様々なキャラクターの絵を描いた他の漫画家たちのように、イラストなりキャラクターなりを描いたかどうかは不明、といってもヒゲのOLを描かれてもやじさんきたさんを描かれても店にとってはどうもな感じだし、黙って接客されて死について聞いて嫌な顔をされて帰ってきただけだって考えるのが妥当かも。そういえばとり・みきさんとか「HOOTERS」の漫画を描くって言っていたけどそれっても「コミック・リュウ」に載ったんだろうか。チェックしてなかったよ。他の江口寿史さんとか山本直樹さんは漫画に描いたんだろうか。漫画家さんたちが「HOOTERS」に行って感じたことを描いた漫画のアンソロジーとか出たらちょっと読みたいなあ、あのカルチャーを日本の文化であるところの漫画がどう捉え処理するか。興味津々。

 もそも池上遼さんが「HOOTERS」に行った経験を漫画にしたら、やっぱり金髪碧眼のフーターズガールが張り付いた笑顔のまま近寄ってきては、いきなりキックを放ってトレーをテーブルにかざしたり、バク宙しながらつま先のナイフでオニオンをスライスしたりするんだろうなあ。それを筋骨隆々の来店客がかわして抱きしめいい仲になる、と。あるいは本宮ひろ志さんが「HOOTERS」に行った漫画を描くとやっぱりドアをバーン開けて、学生服姿の安田一平が入ってきて、飯だ飯出せと叫んで女の子たちがきゃーと叫んで寄ってきて、接待してそのうちの1人とトイレあたりで良いことして、じゃあと良いながら去っていくんだろうなあ。羨ましい。

 水木しげるさんが「HOOTERS」に行った漫画を描くと、ねずみ男が入ってきてぷわーんと臭いを散らして他の来店者たちを驚愕させ、そんな中を鼻をつまんで恐る恐る寄っていった女の子をつかまえては、びびびびびっとビンタをくれてやったりするんだろうなあ。目に浮かぶ。っていうかそんな他の漫画家たちの絵柄を真似たパスティーシュならとり・みきさん辺りがさらりとやって見せてくれそうな気も。前に「時をかける少女」でやったみたいな。田村信さん風だとやっぱりできんボーイたちがテーブルでぶらぶらさせては近寄ってきたHOOTERSガールがずざざざさっと床を滑り、大友克洋さん風だと店内に光が破裂して六本木あたりが壊滅するという。見たいなあ。見たいかい?

 美男美女と金持ちが闊歩する赤坂の東京ミッドタウンで敗残者の気分に浸りながら時間を過ごして乃木坂へと向かいソニーミュージックのホールでノイタミナの2011年のラインアップ発表会を見物したらヤマカン山本寛監督がいつもどおりだった。なかなかに深いなあ。でもって花澤香菜さんが時々激しく叫んでた。元気な人だ。東浩紀さんはネクタイがピンク色だった。どういう理由だ。でもって「フラクタル」はやっぱりフラクタルが関わってきそう。「放浪息子」は既に試写を見ているからその感動は十分。主題歌をエンディングのライブもあって出足は良さそう。そんな派手なパフォーマンスに対抗するにはやっぱり山本監督と東さんが歌わなければいけなかったんじゃなかろうか。うん。

 そして4月以降のラインアップも発表になって異形の映像を作る中村健治監督がピコグラフのmebaeさんをキャラクターデザインに迎え世界観とか物語のほうで異形を見せるっぽい「C」ってのをスタート。東京証券取引所が写っていたからマネーに関わる話になるんだろうけどそれが現実と別の世界とが重なるような展開へと向かうのかな。さらに長井龍雪監督を引っさげ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」がスタート、ってタイトル長すぎるんで縮めて「あの花」。身近すぎ。夏の終わりに高校生たちが集まり小学生の時の思い出に付いて語り合う話? なのかは知らない。ほのぼのとしてそう。好きな人は好きかも。7月以降ではあさのあつこさんの「NO.6」とそれから「うさぎドロップ」がスタート予定、どちらも原作物だけれど果たしてどんな感じになるか。充実のラインナップに期待が持てそうなノイタミナ。とはいえしかしやっぱりDVDとかブルーレイを買うとなると絞られて来るんだろうなあ。「放浪息子」あたりがやっぱり来るんだろうなあ。


【1月6日】 ふと気がついたら猫のたま駅長をやっている和歌山県は和歌山電鉄貴志川線にある貴志駅が猫の形になっていて、これで例えば猫のたまがお隠れになった後にもはや誰も人間の駅長を任命できなくなるどころか、猫以外の犬とか虎とか麒麟とか鳳凰なんかも、駅長に任命できなくなってしまった感じ。そりゃあずっと生きていてくれれば有り難いんだけれども相手は猫、人間に比べて寿命が短い動物だけにいつかはそういう人が訪れる。そんな日のためにあるいは次の猫を準備しているのか、ちょっと和歌山電鉄に聞いてみたくなった。

 それともたま駅長の退任とともに猫型の駅舎も改築するのか、いっそ駅長のたまにこのまま頑張ってもらっていつか尻尾が1本から2本と割れて、ねこまたとして永遠の駅長に就任してもらうってことを画策しているのか。そもそも猫がねこまたになるのって、どいういったプロセスが必要なのかも分からないけどとりあえず、伝承ではあんどんの油を夜にペロリペロリと舐めているのがねこまたなんで、駅舎にあんどんを置いてたま駅長に舐めてもらうっていうのがひとつの手かも。ねこまた駅長が出たら出たで毎年1人、駅員が行方不明になったりするってこともあるのかなあ。それでも観光のためのコストを割り切り、人身御供を派遣し続けたりしそう。日本にはまだまだ不思議なところがあるのです。

 やっと見た「BLEACH」のアニメはお正月使用でかるた取り。とりあえず乱菊さんはあの衣装で前屈みになってと反則技炸裂だけれども、これを「ちはやふる」で千早がクイーンを相手にやっても利かなさそうだしむしろ逆に相手に返され見かけはともかく中身おっさんな千早を幻惑させてしまうかも。都道府県大会あたりだと相手は男女を問わないから可能かもしれないけれども、千早のあのスタイルではなあ。そしてBパートは織姫の寂しげなお正月。そうか1人暮らしだったのか。そんな織姫に気遣いを見せるルキア。なるほどちゃんと真っ当に思考できるんだ。あれで家庭も複雑だし、いろいろ考えるところがあるんだろう。来週はまた妙な格好で出てくるけれど。でも見どころはやっぱり乱菊さん。必録画。

 「週刊少年ジャンプ」に連載の原作の方は、藍染相手のど派手な戦いをおえてふぬけになってた一護同様に展開もどこか手探り状態。新たな敵が出たとしても藍染ほどとは思えないし。やっぱりすぐに地獄の構造そのものに、挑むような展開を持っていった方が盛りあがったんじゃないかなあ。でもそれやるとインフレが激しくなるから悩みどころか。同じようにマリンフォード編を過ぎて停滞が著しい「ONE PIECE」は強敵も見えないまま文字通りに沈みかかっているけれども、ようやくたどりついた魚人島で出合いとかありそうで少しは期待。とはいえ敵が……。戦って負けてそれでも立ち上がって勝つパターンを早く感じさせて欲しいよなあ。あるいはロビンちゃんの活躍とか。それがあれば着いていけるんだけど。

 台湾角川ライトノベル大賞で金賞を受賞した久遠さんって人の「華葬伝」を上巻まで。人の魂が迷って悪鬼となってしまった存在を、死神たちが狩りだし浄化するって部分は「BLEACH」っぽさがあるけれども、基本的に剣豪ストーリーになっていった「BLEACH」とは違ってこちらは神が消え、輪廻の鎖が途切れて転生できなくなった魂の扱いに困ってしまっている状況が舞台となっている分、やや複雑。そうした状況をそれぞれ特性をもった5人の死神、というかここでは義人と呼ばれる人々が集まり守護しようとしているんだけれど、その関係性がなかなかつかみづらくって展開を追うのにちょっぴり難渋。

 しっかりと世界観を組み立てキャラクターも練り上げ書かれてあるんだけれど、そうした隙のなさがとっつきにくさとなっている感じ。その意味ではビーンズ文庫の直球ってよりはむしろ異世界ファンタジーも多数取りそろえている中央公論新社の「C☆NOVELS」に近いような印象も受ける。あと漢字が多くって目がちかちか。老眼だし。とはいえそうした世界観を練り上げキャラクターを作り上げて物語りを紡ぎあげる腕前は確かだし、日本のいわゆるライトノベル的なフォーマットにおさまらない自在さ、深さ、重さを持っているって点では意義深い1冊。ここでもって1つ、ハードルを設定してこれを超えられるくらいの濃さを持った作品を募りつつ、一方で久遠さんの力を日本の読者にもすんなり受け入れられるようなチューニングを施していった暁には、ビーンズ文庫もさらに凄い女性向けレーベルとして屹立していくんじゃなかろーか。下巻もさっさと読もう。


【1月5日】 いつか見た光景が繰り返されるのか。日本の女子サッカーの歴史を築き上げて来たと同時に、日本の女子サッカーが近年世界でも強くなっていった、その強さの源でもあった日テレ・ベレーザから、象徴ともいえる沢穂希選手が岡山にあるINACレオネッサに移籍との報。それに留まらず、ストライカーとして今なお現役の日本代表の大野忍選手や、サイドバックからミッドフィルダーまでこなす男前の近賀ゆかり選手と、なでしこジャパンのレギュラークラスがそろってベレーザを出ていくとか。これが男子だったら、ひとつの事件としてスポーツ新聞だけでなく、一般紙すら揺るがせるニュースとなったに違いない。それくらいの重大事だ。

 なるほど母胎の東京ヴェルディを含んだクラブが、経営難から大きく収支の改善を余儀なくされていることは承知している。トップチームからも選手の離脱が起こっているか、これから起こっているだろうことは想像に難くない。けれども、女子に限っているならプロ契約しているような選手は一部であって、その存在がもたらす世間的な知名度なり、スクールにやってくる生徒の集客効果なりを考えれば、それほど問題になる額とは思えない。けれども、事態はそうした収支バランスを考慮にいれてもなお、沢穂希選手を抱えていられないくらいに悪化しているってことなんだろー。でなければ、戦力的にも心理的にもダメージの大きすぎるこうした放出を、行うことなんてことはとうてい考えられない。

 思い出すのは、Jリーグバブルが過ぎ去って後、何人も1億円プレーヤーを抱え我が世の春を謳歌したヴェルディが、象徴とも言えるカズ選手やラモス選手を外に出し、名の知れた選手たちを次々と切っていった経緯。武田修宏選手ですらヴェルディにおられず、外に出てはチームを渡り歩く羽目となった。結局ヴェルディで無事に引退できたのは北沢豪選手くらいといった状況。のみならず、それ以降のヴェルディはリーグ戦での優勝から遠ざかり、挙げ句にJ2へと落ちて1度は復帰したもののまた落ち、今へと続く長い停滞の時間を過ごしている。全国大会で活躍しているユースやジュニアユースといった下部組織の強さを思えば、そのままうまく世代交代だってできたはずなのに、そうはいかなかったところに、人心が離れてしまったチーム運営の難しさがある。

 同じことが女子のベレーザでも繰り返される可能性はゼロではない。むしろとてつもなく大きくありそうで、今でさえ圧倒的な強さが少しづつ削られ、高校生チームにすら敗れてしまうような事態が起こっているチームが、さらに弱体化してなでしこリーグの1部から落ちてしまう可能性、そして、それでは運営している意味がないと解散に追い込まれる可能性も、浮かんでは消えずに残ってしまう。ベレーザが解散なら、その下のメニーナだって存在意義を失う。上に憧れがいないチームに人は来ないものだから。それは、メニーナで育ちベレーザで鍛えられた選手たちが多く集うなでしこジャパン、日本代表の停滞にもつながらないかという心配も浮かんで、いてもたってもいられない。

 ただ、最近のなでしこジャパンのメンバーを見ると、一時のような日テレ・ベレーザ&TASAKIペルーレ偏重でもなく、浦和レッドダイヤモンズレディースがいたり新潟アルビレックスレディースがいたり、INACレオネッサがいたり湯郷belleがいたりと、多彩さを増していたりする。大学生も入り海外組も結構いたりして、それが集まっても決して連携がとれないということはなく、それなりの試合を見せてしっかり結果も出している。そうした選手たちが、各チームでこれから育ってくるか否か、それだけ各チームの下部組織が充実しているかといった懸念はあるものの、これを過渡期と見てそして、INACに沢選手がいくことでそちらの底上げも計られれば、ベレーザの停滞をカバーして日本全体の底上げから、さらに世界トップを狙うところへの上昇も期待できたりする。ヴェルディが弱体化しても、男子の日本代表は弱くはならなかったのだから。むしろ強くなったのだから。

 そうしたビジョンを抱きつつ、今はメニーナで学びベレーザに集まる選手達がそのままの力を維持して活躍し、また、先達たちの頑張りに刺激された全国の女子サッカー選手たちが高校で学び大学でも頑張り、それぞれのチームにも集って切磋琢磨を繰り広げることによって、日本の女子サッカー全体が、しっかりと強くなっていくことを願いたいし、そうした環境を日本サッカー協会や、各地域の協会が作り維持していくだけのサポートを、しっかり行っていってくれることを願いたい。しかしなあ、スポンサーになった企業にとっては、看板でもあった選手がいなくなるのって嬉しいことなのかなあ、そうしたところまでちゃんと話が届いてのこの事態なのかなあ。あまりに急だし、そして動きが激しすぎる。何かよんどころない事情でもあったのかなあ。うーん。そのうちどこかに出るだろう。

 やばいかもしれない「フラクタル」。同じノイタミナ枠で直後に放送される「放浪息子」の出来が素晴らし過ぎる。ほんわか漂い、じんわり染みる少年少女たちによる少年少女についてのアイデンティティの葛藤が、少年少女に留まらず世代を問わず気恥ずかしさという衣を剥ぎとって、それぞれの心の底にある迷いとか、憧れとか、後悔とか、期待なんかをさわさわと刺激してくる。そうした心理へのささやきかけが強いから、1度見たらまた見ずにはいられなくなる。ってことはなんだ、「フラクタル」だって毎週見られるってことになるじゃんか。いやいやだから続けて見るとは限らない。あの静謐な世界の前に来るのがとんでもないものだったら、逆にテレビを沈黙させられてしまうかも。やっぱりやばいぞ「フラクタル」。

 小学生とか中学生の男の子と女の子がぶちあたる自己の性アイデンティティの問題について描かれていたり、友だちとの関係が微妙に遠ざかったり近づいたりする様子が描かれていたりするあたり、世代的に直撃の中学生とか高校生、小学生あたりに見て欲しい作品だって気もあるけれど、そうした事象のど真ん中にいる当事者じゃあ、キャラクターたちの覚える迷いは自分たちにとっての戸惑いにしかならないだろうから悩ましい。むしろ世代を離れて事態を客観視できるハイティーンからミドルエイジが見て、自分という存在についてのアイデンティティの再自覚を促しつつ、すべてが自分と同じとは限らない、他者への理解を得てもらう方に働くのが、時間帯とかも含めて最善の受け止められ方なのかもしれない。

 AICなのに絵が萌えでも巨乳でもパンチラでもなく、原作の志村貴子さんが描くパステル調水彩画調の淡さでもって全体が統一されている点が凄い。それからキャラが線画で描かれているのに漫画のような平面さではなく、ちゃんとそれぞれに厚みがあって高さがあるような立体感を覚えさる。なおかつそんあキャラがしっかりと動いているんだから凄すぎる。手で全部描いているんだとしたら、っていうかそうなんだろうけれど、だとしたら何という技術力。これだからやっぱり日本のアニメは侮れない。侮ったことなんてないけれど。そんなテクニカルな凄さの上に、淡々としながら情感をふるわせるストーリー。シナリオも演出もたぶんいろいろ考え抜かれているんだろうなあ。この凄さにさてはて、ヤマカンは「フラクタル」でどう挑む? そんな超対決が毎週見られるノイタミナ2011年1月期は13日深夜から。まあ「フラクタル」のSF的な展開も、「放浪息子」の」にとりんの可愛さもぜんぶひっくるめて、更科さんの高笑いがかっさらっていくんだけどな。千葉紗子さん。おそろしい子。

 アクアシティお台場に来ていた津山ホルモンうどん研究会の出店は今もまだあってしっかりとホルモンうどんを焼いていたんで、お台場のフジテレビまで行ったついでに食べてみたけど、これが津山でも出されているものそのものなのか、それとも東京向けにアレンジされたものなのかはちょっと不明。ホルモンの量自体もこぢんまりとしていてどっさりって感じじゃないし、味もこってりってよりは普通にさっぱり。もやしなんかがいっぱいあって食べ応えってよりは歯ごたえがあったりしれ、あんまりB級グルメって雰囲気はしない。あんかけスパだって本場名古屋のものに比べると、東京のものってどこかお上品になってるし。とはいえ東京でホルモンうどんがたべられる数少ない場所らしいんでこれをそれだと信じて食べるほかなはなそう。それとも他に店とかあるのかな。8日から東京ドームで始まる食べ物の見本市にやってきたりするのかな。


【1月4日】 そういやオアゾにある丸善丸の内本店の4階に店を構えている松丸本舗で本の福袋なんてものが売られていて、3日の夜に寄ったらもうほとんどが売り切れ完売となっていて、残っていたのが美輪明宏様のものとかヤマモトヨウジさんとかコシノジュンコさんとか杏さんとか岐阜県の和紙とかいっあたり。やくしまるえつこさんのなんてあったんだあ、とラインアップを見て気づいたけれどもアフターフェスティバル、買えずに残念無念を歯がみしつつ残ったものを眺めてうーん。

 なるほどヤマモトヨウジさんのは中にストールが入って1万5000円だから悪い気はしないなんだけれど、冬以外は使うに困るストールだけにちょっと遠慮。コシノジュンコさんの7万円のっていったい中に何が入ってるんだ? 見てみたいけど見たらお買いあげとなるだろうから自重。ここはやっぱりていねいな色紙が入った美輪様のが妥当性って意味では妥当なのかもしれないなあ。このシリーズで例えば柳下毅一郎さんのを作ったらやっぱり「映画、フットボール、殺人」がテーマになっておまけにはエド・ゲインの墓場の砂とかが付いてくるんだろうか。それはそれで。

 そうかまた2万人も増えたのが埼玉県久喜市の鷲宮神社。「らき☆すた」の放送開始前が9万人しかいなかった参拝客が翌年には30万人となり次に42万人まで増えて去年が45万人。そこからやや歩留まっているようには見えるけれども既にして参拝まで2時間並びとかいった状況は、来場できる限界を超えつつあるとも言えるだけにあまりの長蛇の列に参らず帰った人なんかも含めれば、あるいは50万人って大台を越えていたかもしれないなあ。3日間でこれはもはやコミックマーケット規模。それが「らき☆すた」ってオンリーコンテンツを土台にしてやってくるんだから凄いというか。

 それはちょっと飛躍が過ぎるかもしれないけれども、放送前の9万人がこの47万人まで増えたきっかけにあるのは明らかに「らき☆すた」な訳だから、決して無関係とは言えないんじゃなかろーか。あとは目立ちすぎて妙なことにならないことを祈るばかりだけれども、そうした無茶によって何かが失われることを肌身に知っているファンが多く、また反発が無茶を招く可能性を知ってか知らずか温かく見守ってくれる地元の体制もあるんで、このまま大きくゆがむことなく成長なり安定していってくれるだろうと信じよう。目指せ来年こそ50万人超え。

 依田巽さんという人から「開運メッセージ」なんてものが謹賀メールとして送られてきて本当に運が開けるのかと瞬間ためらったことは心のなかに閉まっておくとして、中をのぞいてそれがGAGAのプロモーションだと判明、そして2011年のラインアップを見て、「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」って作品がもの凄く気になって気に入った。原作は劇作家の前田司郎さんでなぜか五反田の百貨店にある屋上から地獄に旅行に行くという話で、現地でのちょっぴり怖くてそして楽しい話なんかが描かれながらもその奧に、死んで生まれ変わるだろう子供達のちょっぴり優しくて悲しい話なんかも描かれていて目に涙がにじんだって記憶がある。

 そんな原作を前田司郎さんが自身で脚本を描き、それを栗山千明さんに男装のはすっぱなミュージシャンなんて役を演じさせた本田隆一さんが監督するというんだからこれが面白くないはずがない! 主演も格好いいんだけれどもどこかコミカルな雰囲気を持っているって点でオダギリジョーさんと双璧の竹野内豊さんとそれからあんまり知らない水川あさみさん。周辺をもはやメイクなしでも地獄な雰囲気が漂う片桐はいりさんに荒川良々さんにでんでんさんに山里亮さんといった、個性に溢れ過ぎな面々が固めていたりするからこれで面白くならないはずがない! さてもどんな物語になるのか。そして地獄のあの温泉はどうやって表現されるのか。期待して公開を待とう待とう。

 栗山千明さんと言えば正月明けにアーティスト活動を本格化させるって話が記事になって広まっていたりしたんだけれどそんな話をしてくれた場所で栗山さんが是非に演じてみたい役ってのを確か挙げていて、それが「×××HOLiC」の壱原侑子さんだって話を聞いてなるほどビジュアルがピッタリだよなあと思ったらそうではなくってあんまり動かなくって良い役だからって説明されたのがちょっぴりおかしかったというか。普段は座敷でのったりしていて何かことあれば現れ解決してしまうという美味しい役。ロケとかに行く必要もなさそうでそれでいてメインを張れるんだからこりゃあ役者冥利に尽きる、ってんじゃなくって役者的に美味しいって思われて不思議はない。なあるほど。でもそのビジュアルがピッタリなことも事実なんでいつか誰か実写で作ることがあったら是非にキャスティングを。

 朝日新聞にヤマカンこと山本寛監督が登場しているってんで見たら何か顔立ちが丸かった。気のせいか。いやいや僕が前に見た時は昔ながらの細面だったからその後にちょっぴり丸くなっていたのか、それとも写真の角度の関係でそう見えるだけなのか。うーん。どっちにしたって忙しくって痩せているかストレスで太っているかのどちらかだろうからやっぱりなかなかに厳しい戦いを強いられているんだろうなあ。朝日の記事なんかを読むとどこか孤軍奮闘めいて風車に槍で挑むドン・キホーテの如き印象。それは僕が取材した時も同じ感じて本当に本当にどうしようもない暗闇から、「フラクタル」という光明を見出しこれを輝きに変えようと戦っている雰囲気が漂っていた。

 萌えアニメについてはその表現そのものが悪いというよりも萌えアニメだから萌えなきゃいけないって同調圧力がアニメを見る人たちの間に満ちているんじゃないのかなあ、って印象に危惧を抱いている感じがあった。自分の感性でアニメをとらえ自分の言葉でアニメを語るんだったらまだしも、そこらじゅうにある言葉をかき集めてそれをヤマカンのサイトまで出向いていってぶつければ、自分の感性を削り自分の言葉をひねり出して作品を作り批評を書いている人間としてはそりゃあ萎える。けれどもそこでとらわれてしまってはもはや未来はないと決意し決起して作り始めている「フラクタル」が、さてはてどれくらいのものになるのかは放送が始まってからのお楽しみってことで。っていうかほとんど語ってくれていないんだよなあ。そっちは「思想地図β」の東浩紀さんと岡田麿里さんの対談を読んで考えよう。


【1月3日】 結局のところ3日経っても未だに浜崎あゆみさんと結婚したマニエル・シュワルツなる人物がどんな映画で大活躍をしていた俳優なのかが分からなかったりするけれども、それもそのはずマニエル・シュワンツとは実は日本でいうところの中島春雄さんか薩摩剣八郎さん、最近だったら破李拳竜さんといったところが名前としてあげられる着ぐるみアクターで、最も得意としているのが同じオーストリア出身のアーノルド・シュワルツェネッガー。御歳60歳を越えていまだ若々しい体躯と行動力を見せているシュワちゃんだけれど実はあれは中にマニエル・シュワルツが入っていて、ちょうどシュワちゃんが「トータルリコール」でおばさんが割れると中から現れたように、今のシュワちゃんを割ると中からマニエル・シュワルツが出てくるという。嘘だけど。

 でもやっぱりそう考えるしか日本が誇るビッグアーティスト様が選んだ相手としてなかなかに見合わないんだよなあ、いや日本だったらハイパーメディアクリエーターが大女優とどうとかってことがあるけれども、1980年代から映像の最前線で活躍して来たハイパーメディアクリエーターの方が、昨日今日出てきて1本2本の映画でちょっと知られただけの女優よりも、個人的にははるかに格上に見えているんでむしろ今のどこかうさんくさいおっさん扱いするメディアの方が、何かに毒されているようにしか思えない。たしかにうさんくさげに見えるけれど、というか最近何やっているかあんまり知らないけど、でもまあちゃんとやることやっているみたいだし。

 そこから見ればマニエル・シュワルツはあまりにも名前が知られていなさ過ぎ。クルム伊達君子さんのクルムが何者か? って以上にやっぱり訳が分からないけどそこはそれ、恋に国境もなければ性別もなければ種目の違いもなくって相手がたとえ三角定規であってもそれが好ましいと思えば存分に思っていい。ましてや相手は歴とした人間で見た目もそれなり。ならば日本の歌姫に選ばれるに相応しくないはずがない、って言いたいけれどもでもやっぱり……。それだけにこれからの動勢にも耳目が集まる。そういえば日本の大女優が娶って放り出した寿司職人ってのもいたなあ、なんてことを思い出しつつ見守っていこう。今度は誰の中に入るんだろう?

 関東ローカルの大学が集まって、五輪種目にもなければ世界選手権とも無縁のかけっこをして楽しんでいる姿をテレビでも一切見ない冬がもう幾年月。学生達が頑張っている姿に感動があるってロジックも分からないでもないけれども、出身学校が出ているわけでもなければ絶対に出られないようにもなっているその仕組みと、それから頑張っているといっても陸上競技の記録として平凡以下でしかないその走りっぷりのどこに感動を寄せれば良いのかがなかなかつかめない。まあでもそれなりに重ねてきた歴史が重みとなってそこに感動を吸収する機構を生み、それをテレビというメディアが増幅して伝えている状況があるだけに、引き寄せられ吸い込まれていく人がこれからも増えこそすれ、減ることはないんだろうとは予想できる。せいぜい頑張ってかけっこして感動してくださいとだけ言っておこう。それで柏原竜二選手って世界の陸上競技的にどれだけの選手なん?

 まあこちらだって出身校とは無縁ではあるけれども、決してつながっていない訳ではなくなったこともあって俄然興味が出てきた、アメリカンフットボールの社会人と学生のそれぞれのチャンピオンが争い日本一を決める「ライスボウル」を東京ドームへと見物に行く。すいません嘘をつきました。大学生のチアリーダーの姿を正面から存分に拝める日本でも数少ないイベントのライスボウルを見に行く。こちらが正解。まあ半分冗談で半分本気としても、もともとがアメリカ発祥のチアリーダーはアメリカンスポーツの応援をしているところがよく似合う。

 だったら野球だってアメリカ発祥だから甲子園のチアリーダーだって似合ってるんじゃないのとか、言われそうだけれどもスタンドの傾斜で上半身だけ動かすあれのどこがチアリーダー? 平場でダンスしてアクションするのが本流だとしたらそれができるのはやっぱりアメリカンフットボールの場をおいて他にない。その集大成ともいえるライスボウルはチアリーダーたちにとっても一世一代の晴れ舞台、気合いの入った演技を見せてくれるって意味からも行って見ておくに限るのだ、って拳を振り上げ演説したってやっぱり女子が踊る姿を見たいだけだろって意見にも納得いたします。実際そうだしな。

 んでもって今年やって来た学生チームは立命館大学。関西だから関東ローカルの箱根徒競走とは無縁なんでそっちにチアリーダーがかり出され、応援のボリュームが落ちるってこともないようで、総勢で50人近くはいたチアリーダーたちがAKB48よろしく一糸乱れぬアクションを見せてくれる様を、間近で見られて正月早々に心を洗われた気分。あと隣で応援団の吹奏楽団が演奏していて、パンツスタイルのスーツ姿の女性団員がたとえばポニーテールで眼鏡だったり、あるいはセミロングだったりといった風貌で笛やラッパを吹いている姿を横目で見られて、これもこれでなかなかなにフェティッシュな光景でやっぱり心を洗われた。

 もしも就職活動の面接で好きなこと熱中したことを演って見せてってコーナーがあって、そこでスーツ姿の女子がフルートとかオーボエとかトランペットとかテナーサックスとか演奏し始めたらそのフェティッシュな姿にきっと内定出しちゃうだろうなあ、僕限定で。タイトスカートの女子がチェロを弾く、ってのもこれはこれで。でも面接の部屋にチェロを持って来るのはさすがに重たくて面倒か。とはいえ何か演っての声でわかりましたとスーツを脱いでチアリーダーの格好になって演技を始められるとさすがに赤面してしまいそうだから、やっぱり楽器くらいに止めておいてくれた方が心も安まるってことで。そんな面接ならしてみたいかも。面接なんかする機会もなさそうだけれど。つかこっちが面接に行かなきゃいけない羽目だってすぐ来そうだけど。ああ世知辛い。

 んでもって試合は圧倒的ではないか我がオービック・シーガルズは。って今回に限っては我がではなくって立命館側から見ていたけれども社会人準決勝の鹿島ディアーズ戦も決勝のパナソニック電工インパルスの試合もギリギリから逆転しての勝利だったオービック・シーガルズが、この試合に限っては相手に得点を許さないままタッチダウンを積み重ねて終わってみれば24対0の大差で勝利。とはいえ1つのクオーターで1タッチダウンすら奪えていないあたりに立命館大学パンサーズの守備の良さ、そしてオービック・シーガルズの攻撃のまずさってものも伺えて、それだけに立命館大学パンサーズが攻撃の時にクオーターバックのパスが乱れたり、クオーターバックを潰されたりして前に進めず得点を重ねられなかったことが惜しまれて仕方がない。あと少し攻めればフィールドゴールで得点して、相手に迫れたのになあ。勿体ない。まあでも一昨年には日本一になってるし、常連としてライスボウルに出てきているから、メンバーが代われば違う戦い方も見せてくれるだろう。その頃にはチアリーダーも代わって麗しさも倍増……ってそれでは今回がどうだったのって話になりかねないのでこの辺で。


【1月2日】 「カミカツ」という小説を読む。田舎から料理修行に出てきた少年が、世界最大のカミカツ作りに挑もうと決心。伸ばしても伸ばしても味が落ちず噛みごたえもたっぷりな豚肉の育成から始め、さくっと口当たりが良くなるパン粉を作るために小麦を探して世界を旅して歩く冒険を経て、直系100メートルものカミカツをカラリと揚げるのに必要な、隅々まで一定に温度が上がっていく特殊な鍋を作る材料を探して小惑星にまで行き、そして高純度の油を生成するためにプラントまで立ち上げた挙げ句、いよいよ挑んだ世界最大のカミカツを一口囓った彼女が言うには「あたし脂っこいの苦手なの」。

 そんなお料理冒険SFラブコメディこそが翅田大介さんの「カミカツ」、なわけはなくって正式タイトル「戦え! 神群活動保全課 カミカツ!」(HJ文庫)は、神様が一気に堕天し人間社会に混じるようになってそして、世界でも多神教というか八百万的に神様仏様精霊幽霊の類を受け入れてしまうが故に住みやすい日本へと、神様たちが集まって来て起こるさまざまな問題を解決するべく、警視庁の中に立ちがった「カミカツ」という部署に、引っ張り込まれることになった少年と、そして神様に成り上がった女の娘がペアとなり、怪しい教団が企む事件に挑むというストーリー。どこか同じシコルスキーさんがイラストを描いている「カンピオーネ」的でもあるけれども、神様の力が弱まっている点が違いと言えば違いか。むしろ堕ちる神にあらがって神に成り上がった人間の方が恐ろしいといった設定が、人間に潜む強欲さとある種の可能性なんかを感じさせもしたりする。少女と血でつながった少年の将来やいかに。乞うご期待。

 7秒先に誰かがあげる悲鳴が聞こえたら、あなたは助けに動くかそれとも留まるか。淺沼広太さんの「7秒後の酒多さんと、俺」(ファミ通文庫)の主人公は、チューニングがあった人間の7秒後の声を聴けてしまう能力の持ち主で、それが原因となって学校でつまはじきにされてしまって誰も能力を知ってる人がいない学校に、新年度の新学期から1週間が経った時期に転校。そして初めての登校日に、道路でトラックに水をかけられ困ってしまう少女の声を聴いてしまって当惑した。別に事故に遭うわけではなく、少女は水でびしょびしょになるだけ。それでも留まっていられなかった体が、少女とトラックの間に割って入って水を全身で受け止め、少女を救う。その少女こそが酒多さん。クラスもなぜかいっしょになって、そこで酒多さんが驚異的なドジっ娘だと知る。

 ひっくりかえってはしっちゃかめっちゃかを繰り返しかねない酒多さんの、止むことなく発信され続ける7秒後の悲鳴を聞き続け、少年は支えたり引っ張ったりして酒多さんをピンチから救い出す。中にはガスコンロの爆発を止めたりと、命や身体に影響のありのうな事故からも救ったりするけれど、それを酒多さんに言うことはない。代わりに酒多さんにつきまとっている、ちっこいけれども口は乱暴な少女にだけは打ち明ける。聴くと彼女は学校でひとりぼっちだったところを酒多さんとだけ仲良くなり、彼女がドジをするたびに寄り添い助けてきたのだとか。それが少年の能力でドジをみせなくなったことから、少年に敵意を燃やしてつっかかっていた。少年の力を知ってもやっぱりつっかかることはやめなかったけれども、2人とあと1人、口調は乱暴でコミュニケーションが苦手だけれども写真の腕前は抜群の少年も巻き込んで、4人で仲良くやっていく。

 7秒後のピンチをなかったことにすると、果たして歴史は変わってしまうのか? というパラドックスについての言及はとくになく、それによって酒多さんの運命が大きく変わっていってしまうこともない。7秒後の声が聴けたからといって儲けられるものでもなく、力としては1人のキケンを救えるかどうかといった程度のこと。そこで問われるのはそうした事態が起こった時に、自分という人間の秘密というか弱点というか、以前に嫌われていた要因ともいえる力を繰り出してみせて平気でいられるか、という覚悟の部分でそこについて少年は、覚悟は見せなかったにしてもキケンは冒して酒多さんを救おうとする。ひるがえって自分だったらどうするか、と言われれば相手が酒多さんなら助けてあげくたもなるけれど、常に助けてあげないと危なっかしいドジっ娘が相手なだけに、消耗もきっと激しいだろうなあと思うと、あんまり関わりになりたくない気も。さてもはてもどうしたものか。迷うより動け、っていうことか、やっぱり。

 そういやあテレビとかまるで見ていないなあ。というかテレビなんて見る暇もなく眠り続けて起きたら昼前だったんで支度をして、まずは湯島聖堂をのぞいたらあんまり人がいない。学問の神様なのにこの時期にどうしてと思って思い返してそいうやあ賑わうのは湯島天神の方だったと思い出し、歩いていったら坂の下から大行列ができていて入るまで1時間とか言われたんでまた来ようと引き返す。でも歴史からいったら菅原道真よりも孔子の方が全然時代的に前な訳だし歴史に与えた影響でも孔子の方が上な訳で、有り難みで入ったら孔子が祀られている湯島聖堂の方が上じゃないのとか考えてもみたけれど、ここは和の国日の本の国。日本が生んだ学問の神様の方がやっぱり上に来るってことなのかも。あるいはより東大に近いって意味からも。とりあえず湯島聖堂でお守りは仕入れたんで高校受験を迎える甥に送ろう。

 せっかくだからと上野に回り、ドクターマーチンのショップで1万2800円と定価よりずいぶんと安くなっている10ホールのブーツを仕入れる。聴くと定番の物に比べて革の感じがちょい違い、磨かれた感じになっている以外は作りも革の質も同じだとか。んでもって1万円近く安いんだったらこれで十分な気もしないでもないけれど、それともほかに何か秘密でも潜んでいるんだろうか。まあ気にしない。それから不忍池の弁天様にでもお参りしようとのぞいたら、そこも行列ができていたんで今日はパス。なんでまた行列なんかと考え教がまだ正月2日あと気が付いた。そりゃあ混むわ。明日はきっと空いているだろうから弁天様と湯島天神を見てから行こうライスボウルへ、立命館大学のチアリーダーの活躍を見に。そっちかよ。


【1月1日】 萩尾望都さんの新刊が出ていたんで読んだら、光瀬龍さんの原作で書いた「百億の昼と千億の夜」に登場した悉達多こと仏陀のシッタータと、ナザレのイエスが56億7000万年の後から別の宇宙へと転生して、東京の中央線沿線にあるアパートで同居し始めたって話。転生してもやっぱりナザレのイエスだけあって、天界の言うがままにいろいろと計略を巡らせ、人間から意志を奪い天界という名の監理社会へと導こうとするのを、シッタータがそれはダメだと言ってチョップを放ちイエスを止めようと部屋の中で取っ組み合いの大喧嘩をしていると、隣の部屋に済んでるお姉ちゃんが「うるせー」と言って壁を蹴破って怒鳴り込んで来て、誰だと見たら普段はコンビニでバイトしながら、乾闥婆や迦楼羅なんかと組んでロックバンド「八部衆」を組み、ライブハウスでパンクロックを演奏しているロックシンガーの阿修羅王だったという、そんな夢を見たけれどもこれはかなうんだろうか。かなって欲しいかも。

 「NHK紅白歌合戦」も見ず「行く年来る年寄る年波」も見ないで眠って起きたら朝になっていたんでとりあえず、近所の寺へと初詣に行って鬼子母神にお参りして厄を払い屋台をながめていたら「ハートキャッチプリキュア」のキュアムーンライトのお面が登場していたんで欲しくなったけれども果たして大人が買っても良い物なのか、ちょっと迷って手を出せず。普通はどうするんだろう? やっぱり買うものなんだろうか? つかあれっていったい幾らくらいするものなんだ? 40年以上買って貰ったことがないから分からないよ。夏あたりではまだキュアサンシャインまでだったからこの冬にかけて生産が間に合ったってことなのかな。子供向けって意味ではやっぱりブラッサムとマリンが人気だろうからやっぱり知らずに品切れとなって来年はもう見かけなくなってしまいそう。やっぱり買っておいた方が良いのかなあ。

 いつものイイダコのたこ焼き屋がなかったんで普通のたこ焼きをむさぼりつつ、手元のiPadで検索して相手のアタッカーの攻撃はクロスが多いと分析して……って別にデータバレーは入れてないからそういうことはせず、普通に乗り換え案内のアプリで見たら1時間半ほどで鷲宮神社まで行けることが分かったんで京成中山から電車に乗って関屋まで出てそこで東武線に乗り換え鷲宮へ。関屋駅と牛田駅が近接しているってのは路線図を見てもない情報で、普通だったらJRで西船に戻ってそこからぐるりと武蔵野線で南越谷へと行っていたところだったけれどもそこは流石に乗り換え案内、最短で5分の乗り換え時間をピタリと指定し何十分も待つことなしにジャストインタイムで鷲宮駅まで連れて行ってくれた。便利なもんだ。

 路線図をほぼ暗記していてあそこんらここで乗り換えだって分かった気になって、携帯のナビタイムに頼って動いている人たちをどこかジト目で見ていたところもあったけれども、なるほど路線図だけでは分からないところもあるってこと。携帯のナビタイムに依存している人の気持ちも少しは分かったけれど、あれを使っていると横にナイジェル・マンセルが立っているような気になるし、そもそも携帯持ってないんでこれからも使わなさそう。もしもナビタイムが横にキュアムーンライトが立って誘ってくれるようなものだったら、使う気も起きたかもしれないなあ。うっかり乗り間違えると冷ややかな声で「だめよ」「ばかね」と罵倒してくれるんだ。

 さて鷲宮神社はさすがに元日だけあって行列が鳥居から延びた道路をちょい行って角を曲がったその先まで延びていて、後に続いて待つこと待つこと待つこと待つこと1時間半から2時間くらいでようやく拝殿へ。賽銭箱の間口が最大で4人くらいで1組が10秒だとしても1分でせいぜい20人だから1時間で1200人で2時間なら2400人というさばっぷりでは三が日で45万人が訪れるという鷲宮神社に昼間っから行列ができるのも当たり前ってことで。

 まあそれでも混乱も起こらずしずしずと行列が進んでいくのは関東最古の大社様っていう伝統もあり、また注目されている場所で騒がしいことをするのは御法度というオタクな人の優しさなんかもあるからなんだろうけれど、そういう場所に入ってきてはオタクっぽさを勘違いして騒ぎ立てる一般メディアもあったりするからたちが悪いっていうか何というか。地元商工会が頑張って開いた「らき☆すた」関連のイベントにはあんまり顔を出したって記憶のない人がやって来てテレビに向かってさもその地の女神様がごとき雰囲気を見せていたりするのを見るにつけ、地道な運動ってものが歯がゆく思えて仕方がなくなってしまう。

 けれどもそんな地元の盛り上げがあったればこそのこの大にぎわい。10万人がやっとの場所だった鷲宮神社に40万人とか50万人がやってきて、県内2位の参拝客を集めるくらいになったのは、そこがそういう場所なんだと思いたいファンの意識を地元が汲み上げ、そんな意識にマッチするようなイベントを打ち、それも絶えることなく打ち続けては地元にそうした人たちを歓待するムードを作り上げ、ファンも行っていい場所なんだと思うようになったから。そうした意識の連鎖が輪となってふくらみ広がっていった結果、10万人が50万人になるようは爆発的な変化が起こった。

 そうした過程を一切鑑みないでただ妙な輩が集まり盛りあがっている場所だ、ってな認識でドカドカ乗り込んできては妙な奴らがいっぱいいるぜ的取り上げ方のみ、してしまうメディアの登場がもたらすものは一般において反発であり辟易とした感情であり、ファンにとってはもう居てはいけない場所なんだという罪悪感。その相乗が招く停滞から衰退を心配してしまうけれども今はそうしたメディアの“横暴”を、指摘しパージし浄化するだけのシステムが違う場所にできているからここは我関せずと持ちこたえ、来年の60万人突破へと向かって欲しいもの。そうなるといよいよコミケ規模。それも「らき☆すた」オンリーだと思うとやっぱり凄いかも。

 参拝を終え4人ならんだ巫女さんの1番右の笑顔が綺麗な人から福富銭だか何かをもらってお札を買ってそれから屋台を見物。毎年出ているおいなりさんと鰻巻を食らってそれから埼玉新聞と商工会のブースで去年は注文して後に送ってきたはずなんだけれども部屋のどこかに行ってしまって姿が見えない埼玉新聞を読んでいるこなたのねんどろいどろ買ってガラガラの福引きを回したけれども白玉で、紙袋をもらって退散。残りの玉の数を見せて貰ってこれなら確率的にすっげえと思っても白玉を引いてしまうところが運のなさというか、ここで運を使い切らなかったところにあるいは年末に向けて良いことがある現れなのかと予想もしたけど、きっと1年経っても運なんて巡ってこないんだ。そいういう風にできている。


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