縮刷版2009年1月下旬号


【1月31日】 んがっ栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんがっ……まだ引きずっていずけれどもどうにもならない以上はどこかで区切りを付けねばならぬと気をとりなおして「エクセルサーガ」。美咲のコスチュームが素晴らし過ぎ。本体もスリムだけれどもピッタリのコスチュームにつつまれると丸みのある部分はしっかりと丸くそしてしっかり細腰となって顕現してくれてたりして、怪人が出会えば跪いて許しを請い、それでも赦されずけ飛ばされてもなお歓喜に身を奮わせながら彼岸へと渡って構わないだけの素晴らしさを持っている。関わらないことを諦めたというからにはもっと本格的にその姿を拝ませてくれると信じて良いのか、信じなければ栄ちゃんなき後の「ヤングキングアワーズ」を見ていく気力も湧かないよ。

 黒黒シリーズ。「黒神 The Animation」はガキが引きずっていて見苦しいというか、超常現象に巻き込まれた時の諦観なんぞライトノベルやSFで予習しておけと言いたくなるけど現実に、会社が潰れそうだの会社が潰れかけているだの会社が潰れるかもしれないだの会社が潰れ甘食だのといった日常茶飯事な事態であってもおそらく我が身に降りかかれば結構な悩ましさを惹起するもの。ましてや命を奪われかけ怪物たちに襲われ美少女が大飯ぐらいでミニチュアダックスフンドは可愛いとなれば少年が混乱し悩み憤っても仕方がないのかも。とりあえずずっと胸元に入ったまんまのプニプニが羨ましいということで。

 んで「黒執事」。原作未読なためにオリジナルなのか本編にあるのか判然とはしないけれども単発の怪談ものとしては良く出来たエピソード。嘘は嫌いだといいながらも嘘でうけた怒りや悲しみを忘れようと自分に嘘をつく。その行為を認めて気づき嘘のない世界へと旅立つ際にもしっかり嘘を疲れたけれどもそれは優しい嘘だった、ってことなのか。嘘そのもののに良い悪いがあるんじゃなくって、嘘をつかれた方が良いか悪いかを決めるんだ。シエルはたったひとりでは靴ひもも結べない子。もしかしたらトイレも手伝ってもっている? とか考えるととっても耽美な空気がわき上がる。あと、子供がひとりでは出来そうもないことは……シャンプーか。洗ってもらっているのかな。

 たまにはちゃんと映画館で劇場アニメでも見なくちゃと今日から始まった「チョコレート・アンダーグラウンド」を見に亀有MOVIXへと向かう。何せあのプロダクションI.G.が制作しているんだからきっと、絵もリアルに3DCGと2Dとを合成させて奥行きを出した上に動きも超絶的といった感じのハイエンドさを予想していたかというと、すでにウェブにあったプロモーション映像を見てちょっと違うぞと想像していたかからむしろ、よく動いていた方なんじゃないかと逆に思ったといった具合に映像芸術としてのアニメーションとしては、普通でそれ以上でも以下でもない。ただし難しいテーマでも壮大な世界でも複雑なドラマでも分かりやすくして親しみやすいビジュアルで伝えるインターフェースとしてのアニメと思うとなかなかに意義深い作品かも。

 アレックス・シアラーの童話が原作だから内容については周知か。健康第1を訴え食べる物も呑む物もすべてが健康に配慮されたものにすべきだと訴える政党が政権をとったら街からチョコレートもお菓子もジュースも普通のパンまでもが消えてしまってみんな大弱り。だけれど面だっては口にはせず、暴れもしないで言いなりになている。なぜなら暴れると逮捕されるから。そんな政党がどうして台頭したかというと、誰もが政治に無関心になっているなかで、何となく耳障りの良い政見が広まってきてそれでいいんじゃない的な態度が蔓延し、反発する人も別に対抗するほどのものでもないと棄権なんかをしているうちにその党が、政権政党になってチョコレートを始め健康に悪いものを禁止すると言い出し、権力を強め反抗者を弾圧し始めて気がつくとどうしようもなくなってしまった。

 つまりは昨今の政治への無関心がすべての破滅への扉を開きかねない状況を、思いっきり風刺している内容で、そんな状況に大人たちは諦めムードでいたのに子供たちは反旗を翻し、勇気を振り絞って政権の打倒に乗りだしたそんな態度に自分たちが黙っていたのがいけなかったんだと気づいた大人たちも手を上げ始めるという、とっても扇動的で啓蒙的な話だったりして今の右にも左にも寄れないけれども前に進むのは面倒くさい、八方ふさがりの政治的空白を生みだし黙認してしまっている大人たちが見ると、御免なさい僕たちが悪かったんですでもどうしようもないんですごめんなさいって気分が湧いて居心地が悪くなる。

 とはいえ黙っていたって世界は悪くなる一方。ならばこは子供たちを無理にでも映画館に引っ張っていって、「チョコレート・アンダーグラウンド」を見せて、自分も含めた大人たちのだらしなさみっともなさに気づかせ、世の中に前向きで、大人の無関心に憤るような気持ちを心の中に芽生えさせておくことが10年後、20年後の世界の変化につながると思うんだけれど、健康に良い人参なんて大嫌だ、チョコ喰わせろと我が儘なことを言う人間が増えても困るしなあ。

 ストーリー的にはもう結構な期間をチョコ禁止令が出ていて、それが隅々まで行き渡っているはずなのに、前はチョコを売っていながら今は売っていないことが明白の店に来て、結婚記念日はチョコで祝いたいのにどうして売っていないのかと残念がる夫婦がいたりしたのが不思議。まさか外国からの旅行者? チョコ禁止はその街だけ? 健康増進が第一義となった世界の有様が隅々までどうなっていて、人心がどう変わっているかを勘案した時に、そうはならないはずだって展開があったりするところが幾つかあるけれど、つまりテーマを言い表したいが為に、ところどころに事の理不尽さを思わせるエピソードを強引であろうとも挟み示すことが、寓話として重要って判断か。原作がそのあたりをどこまで構築しているのか気になって着た。読んでみるか。

 しかし初日2回目で5人とは映画がいくら啓発的でも世の中を動かす力にはなりそうもないのが残念というか。うち1人がぼくであとは男の子と女の子の2人づれと母と息子の2人連れ。見てギャグとか笑っていたから楽しかったんだとは思うけど、そんな子供に配慮するなら「KEEP OUT」とか「HEALTHY FOOD」とかって英語の言葉には字幕を被せるなりして意味を分からせてあげようよヘキサゴン・ピクチャーズ。オープニングの健康食品を讃える歌も妙に歌詞が聞き取りづらくて後の揶揄する替え歌につながらないんでここも字幕を、って言っても遅いかなあ。

 見てくれの悪さや振り絞れない勇気を言い訳にして引っ込み黙して逃げ回っているだけの自分自身も含めた人間たちに断言する。第15回「電撃小説大賞」で大賞を受賞川原礫さんの「アクセルワールド 01 黒雪姫の帰還」(電撃文庫)を読め。ボーイ・ミーツ・ガール。その邂逅から接触し、結合を経て戸惑いに至り苦衷を舐めるも復活し、飛翔し、憎悪を崇拝へと転じて愛情をつかみとる物語の最初から最後までが素晴らしく、そして最高に面白い。もう出なくなって久しい豪屋大輔さん「A君(17)の戦争」にも見られた逆転の構図。完全版が出た古橋秀之「ソリッドファイター」が早くに見せてくれたバーチャルとバトルのビジョン。そして何よりすべてを赦し、認め、心を奮わせ気持ちを前へと向かわせる物語の半端ないパワーが、万人をそのワールドへと誘い、そのメッセージに感涙させるだろう。断言する。「アクセルワールド 01 黒雪姫の帰還」は絶対に壮絶に面白い。発売日を刮目して待て。4冠王こと真藤順丈さんの「東京ヴァンパイア・ファイナンス」(電撃文庫)もまずまずでっせ。


【1月30日】 ひとつひとつのシーンはとっても丁寧で格好いいのに瞬間のインパクトってところがどうにも足りないのはたぶん、あり得ない絵を描いて驚かせるデフォルメの意識があんまり込められていないからなのかもと見てきた「鉄腕バーディーDECODE」だけれど、監督の赤根さんは前の「ノエイン」あたりじゃあもうとてつもなく凄まじい動きを描き出したこともある人だからやってやれないものでもない、って考えながら見ていた最新「鉄腕バーディーDECODE2」でもしかしたら非日常のリアルをこれでは徹底しようとしているんじゃないかって思えてきたのはナタルがぶん殴られている場面に飛び込んできたバーディーが、車両の外へと出て歩いているところを拳銃で撃たれたのに顔がのけぞりひっくり返っただけで派手に吹っ飛ばず目から火花も出なかった。

 拳銃の弾丸が顔にあたれば穴があくか吹き飛ぶってのが日常だけれどバーディーの場合は頑丈極まりないアルタ人の連邦捜査官であれこれガードされているから弾丸くらいははね返す。その硬度に対して発射された拳銃の弾丸が与える衝撃ってのを勘案すると、あんな感じにぶったおれるくらいで吹き飛ばないし逆に平気の平左と経っている訳でもない、ってことなのかもしれない。中空を跳躍して撃ってきた相手にパンチを浴びせる場面も背後の瓦礫を手の固さとパワーでぶち抜けば、どんな感じに崩れるのかを勘案して見せただけ。筋力体力といったパラメータは宇宙人に関して非日常的にいじってあるけど、重力をベースに加速度硬度衝撃力のパラメータは現実世界の範囲に留めて絵を描いたらあんな感じになるのだ。

 っていった意識が透徹されてのあの絵ってことだと考えて見れば、迫力不足もむしろリアルと思えてくる、とか。いやそうなのかは知らないけれど。とりあえず戦闘服姿になったバーディーのぷにぷにっぷりはなかかなかに媚味。というかちょい太り気味? あれだけ食べても捜査官時代ほどには仕事してなきゃ貯まるよね。展開はとりあえずナダルの復讐劇に留まっていてどちらかといったらアフターストーリー的展開で、それで12話をやられてもなあって気もするけれどもいずれ背後に蠢くクリステラ・レビが現れゴメス再登場と相成って、地球を巻き込み宇宙すら凌駕する規模での壮大なストーリーが現れてくると信じて見よう、最後まで。DVDも買っちゃってるしなあ。付き合うしかないんだよなあ。

 「ヤングキングアワーズ」の2009年3月号を買って「ジオブリーダーズ」を読む。栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんが栄ちゃんがっ。

 ってことで余りに悲しくなったので土曜日曜を静かに家で過ごして黙祷を捧げることにする。しないけど。でもなあ、本当に「魔像の十字路」と化して来たなあ、田波くんは飛葉ちゃんとは正反対に何にもしない観察者だけれど「魔像の十字路」ん時だって終盤に飛葉はヘロヘロになっていたところをヘボピーの死とかで目覚めたんだっけ、それでもオヤブンは途中で自らを犠牲にして飛葉や両国、ユキたちの乗った魚を木の上に登らせた。蘭東栄子ちゃんの行動もそれととっても重なるんだけれど「ワイルド7」の場合は自分達が逝っても飛葉がいさえすれば世界を変えられるって信じる気持ちが周囲にあった。神楽総合警備の場合はそこまで田波を盛り立てる必要もないのになあ。やっぱり意地って奴かなあ。ともあれ最後まで良い脚を見せて頂きました。合掌。

 シャズはだからどっちなんだと迷うけど、表紙とか中のイラストの細い腰ににあわないぷっくりぶりが目の前にあるのだったらたとえそれが泡の外側だったとしても気にしないのが男子道。定金伸治さんの大河ノベルズ「四方世界の王」(講談社BOX)の第2巻「あるいは50を占める長子」はただの書記学生だったナムルが同級のシャズに引っ張り回された挙げ句に年を2分する争いに巻き込まれてはその裏で、シャズがあれやこれやと手を引いていることを知り、なおかつシャズがハンムラビ王子と同質の存在だったことを知っておったまげる。

 とはいえシャズがハンムラビ王子の皮を被っているのかハンムラビ王子がシャズのふりをしているのかが分からない。気にはしたけど気にする間もなく再びの混乱に引っ張り込まれて豪商の家に暮らすナムルの思惑を離れたところで、別の都市と都市とをめぐる争いが持ち上がって北の豪傑が暗躍し、西では少年のような少女のような姿の王子がへらへらとしながら才覚を発揮し名を上げる。さらにそれを上回る王も登場して対峙が始まった四方世界を手中に収めるのは誰なのか。シャズは離れた都市へと出向いて女子としてどっかに寄宿しているとかで、それを追いかけ向かうナムルの間に繰り広げられるだろう冒険が、どこに向かうのかって辺りが次の巻では注目か。それとも一気呵成の大乱へと発展するのか。これは楽しみなシリーズ。毎月読めるのが滅茶苦茶嬉しいぜ。


【1月29日】 そういやあ昨日だったか、家を出る時に戸口を見たらメール便でオートレースの主催団体みたいなところから封筒が。何だとろと考え即座に去年のスーパースター王座決定戦に関連してウェブサイトで募集していた、森且行選手が主役になったポスターのプレゼントに応募していたことを思い出す。けどポスターにしては小さい封筒。開くと森選手を写真家のアラーキーこと荒木経惟さんが撮ったクリアファイルが1枚と、あとオートレースについてホリプロのタレントとグラビアアイドルか誰かが解説したDVDが入ってた。これはご親切に。

 露出の多い競馬とか五輪に選手も出す競輪だったらいざしらず、オートレースってのがどういう仕組みでどんな感じに繰り広げられているのかってやっぱりあんまり知られていない。だからこそ作られたDVDってことだろうけど、個人的にはすっげえ大昔にあれは「月刊少年ジャンプ」だったかそれとも「週刊少年マガジン」だったか、はたまたまったく別の雑誌だったか思い出すのも一苦労だけれど、ともかくマンガでオートレースの老選手が取りあげられていたのを読んで、そこでオートレースが普通のバイクレースとはまるで違っていて、マシン自体もハンドルが左右対称ではなくいびつになっていて、左足にあれは重りかそれとも靴底を守るガードだかを履き、ずっと体もバイクも傾けて走り続けるものなんだって知った記憶がある。あれはどの選手の評伝マンガだったんだろう。老レーサーだった記憶があるんだけど……。

 少なくとも森且行選手がオートに移籍してちょっとばかり業界が注目されるよりは前のこと。だから移籍した時にまた凄い世界へと飛び込むんだなあと驚いたけれど、それから数えて13年か。いよいよもってグレード1というSGほどではないけれども頂点といって良いレースで森選手が優勝したってニュースが同じ日に飛び込んできたのは、何かの縁みたいなものを感じるけれどもあれだけのスーパースターに縁なんてあるはずもないからそれは当方の勝手な思いこみ。とはいえ去年あたりからオートのメーンキャラクターとなって宣伝活動に勤しんできた森選手。人気やビジュアル先行だなんて言われ続けていたけれど、そんな評判にメラメラと反発心を燃やし向上心を高めたのか、前後してメキメキと勝ち星を重ねるようになってそして、2008年度の下期には川口オートレースでトップ、全国でも17番手という位置にまで来て、トップレーサーの仲間に入れる位置までたどり着いた。

 大きなレースで落車とか出場停止とかを食らう風があったけれどもそれもなくなり2008年の賞金額では全国10位とベストテン入り。G2もとってさあいよいよSGだってところでやっぱり癖が出たのか落車してしまったけれど、立ち直りトップレーサーに食い下がる戦いを見せてそして年が明けても好調を持続し、遂に念願のG1制覇へと相成った。これをグレートと言わずして何を言う? ってくらいの事なんだけれどもスポーツ新聞ではレース面の片隅にせいぜい写真が入って30行くらいの小さな記事で紹介された程度。1面に持って来いとか言わないし、芸能面で紹介するなんてそれこそモータースポーツの世界に生きる人間に対して失礼だけれど、せめてあと少しくらいの濃度で情報を出してくれれば、見守ってきたファンもオートの関係者も嬉しかったんじゃなかろーか。でもまあ、森選手だからそこまで扱われた、ってこともあるのかな。2月は船橋で待望のSG。そこで勝って今度は1面を確保だ。させない奴らがいたとしても。

 これで中継があったらどれだけの分量でもってぶったたかれたことだろうか、サッカー日本代表のアジアカップ最終予選対バーレーン戦。まるで気にせずまあ勝つんじゃないのって気分で眠って起きてニュースを見たら何のことはない、負けていやがった。0対1。調べると相手のフリーキックを内田篤人選手がまるで競れずにほとんどフリーで打たれたボールがキーパーの頭を越えてゴールイン。コメントで気が抜けていたとか言ってる内田選手は反省だけじゃあなくってしばらく外に出てくれた方が綱紀の引き締めにもなって良いんじゃないかって気がして来た。だって練習試合じゃないんだよ、公式戦だよ、そこでたとえコンディション的にユルんでたって気持ちでユルめる相手じゃない。それができてこそのトッププロなんだけれどそれができなかった。攻撃だって攻め上がってもクロスははるか彼方へと跳んでいくことも散見されるだけにもうちょっと、仕事が出来るようになってから来てくれとお願いしたいんだけれどだったら代わりに誰がいる? って話になるからなあ。

 まあいいそれでも天を奪い返せば良いだけなんだけどそうした得点を重ねる部分でまるで采配がとれていない。スピードでもらい蹴り入れるタイプの玉田圭司選手を腕トップにしてやっぱりスピードとドリブルが身上の田中達也選手をトップ下に入れてそこでボールがいったいどんな動きをするのか。高さはないけど合わせる巧さ持った岡崎慎二選手を右に入れてもらうほうじゃあなく出す側に入れたりともうちぐはぐ。なおかつ右の本田圭佑選手も動かず構えて出すばかりではトップにボールなんかはいるはずがない。

 じゃあと本田選手を香川真司選手に替えたのは良いけれどもトップがそのままでは攻められず、さらに受けられる岡崎選手を替えて前のイエメン戦で何も出来なかった興梠慎三選手を入れ、そこから田中選手を巻誠一郎選手に買えたんじゃあ出してもターゲットは狭く拾って切れ込む選手もいない。何もかもがズレまくりな采配を見せていったいどーしてそのまま続投してしまえるんだろうかが不思議だけれども、きっとこれは肝心なワールドカップ予選に向けて、相手を油断させるための捨てゲームだったんだと無理にでも理解して、次を待つしか今はない。それがどうにも苛立つんだけれど。シュワーボオスタニ。

 流出なのか遠征なのか分からないけど他でも活躍な水口敬文さんが一迅社文庫でもって「月色プラットフォーム」を刊行、幼なじみの少女があんまり騒ぐものだから真夜中のプラットフォームに幽霊電車を見に行った少年の目の前にホント運胃現れた幽霊電車。現れたのはちょっぴりドジなところもある女の子の車掌で聞けばあの世とこの世とを結ぶ電車でうまくすれば向こうからすでに死んでしまった少年の兄を連れてきてくれるかもという話。ちょっぴりドジなところがある車掌の少女では手に負えなくなった、降りたものの戻ってこない魂を連れ戻しに行く仕事を請け負った少年は、夜のプラットフォームへと通うようになる。

 連れ戻すのに失敗した魂がどうなってしまうのか、という部分での厳密さがフワフワとした気持ちに釘を刺す。且つそうした事態にようやくやって来てくれた兄の魂が陥るかもしれない展開があったりしてと、構成の面に巧さがのぞく。幼なじみの少女がてっきり死んでしまった兄を好きだったんだと信じていたというか、信じようとしていた少年に対する事実の開示もあったりして、何かを言い訳にして逃げるばかりの人生よりも何であっても乗り越え進む勇気を持った行き方を、やっぱり選ぶべきなんだろうと思えてくる。車掌の少女と運転手の少女がともにどういう云われでその場所にいるのか? ってあたりも気になるところ。そうした方面への言及なんかも続きが出たらあるのかな。興味。

 朝日新聞の襲撃事件は自分がやったと告白する男が登場している「週刊新潮」もなかなかだったけれどもソニーのハワード・ストリンガー会長がどうにもいただけないって話が載っていた「週刊文春」の方が、景気の超悪い昨今の情勢に気持ち的にマッチしていて食い入るように読み込む。エレクトロニクスの復活こそがソニーにとっての最重要事だって感じで登板した中鉢良治社長にハワード・ストリンガー会長だった訳だけれども、この何年かでそうした“復活”を証明するような製品がまるで出てこず、2009年3月期の決算で営業赤字は2600億円に達するとか。かかる事態に1万人規模とかでの人員整理を迫られているってのに、経営陣は何のビジョンも示さないまま居残るっていうから何が何やら分からない。

 もはや賞与を減らすとかいったレベルではないことは明白で、すべきことはソニーらしさを世間にアピールするような商品なりサービスと言ったビジョンの提示、それがなくしていくら現場に奮起を促したところで、何をやれば前に進めるのか見えない手探りの中を歩いて足下をすくわれるより立ち止まっていた方が得策って雰囲気が、蔓延して何も生み出さない状況が続くだけだ。人を辞めさせる以上は自ら報酬を全額返上した上で、将来を確実にできそうなビジョンを示すべきであって、それができないならば報酬返上なんて小手先の態度ではなく、ビジョンを提示できる人材を登用するなり持ってくるのが辞めていく人たちへの手向けにもなるし、残る人たちへの指針にもなるんじゃなかろーか。世界をリードして来たソニーだったらそれくらい、やってくれると思うんだけどなあ。やってくれればその他の働き盛りだけが割を食い、ぐずぐずになった頭は残って全身をぐずぐずにしている企業にも、良い教えになるんだけどなあ。


【1月28日】 破面の集団に狙われた空座の町を守るべく、立ちふさがった護廷十三隊の隊長クラスと波面の一段との戦いがさあはじまるぞ、どうなるどうなる? って終わり方だった記憶があったのに1週を置いて始まった「BLEACH」は、制服を着たお嬢様が出て来ては蹴鞠をポンポンやってる平和な学園ラブコメ。朽木ルキアもスカート姿の女子高生っぽくなってて、一応ちゃんと女の子なんだと分からせてくれたけれども、しかし戦いの方はどうなったんだ? って突っ込むのはこの場合やっぱり野暮ってことなのか。連載の方を読んでないんでアニメオリジナルでのブレイクなのか、それとも本編もそうなのかがまるで分からない。けどルキアはこっちの方が好き。井上織姫も実にむっちり。まあ録画しつつ見ていきつつ次の大きな展開が始まるまでを待とう。ちゃんとアニメとして放送されるのかな?

 だって相当に厳しいみたいなんだ地上波アニメ。デジタルハリウッドの方でアニメ業界のとてもとても偉い人たちが出てきて喋るセミナーがあって、朝からずっと聞いていたけど、元テレビ東京で今は関連のCSチャンネル「AT−X」にいる岩田圭介さんも地上波じゃあまるでアニメが放送されなくなっている上に、DVDも日本のみならず全世界的にピークアウト。それこそ「NARUTO」の後を引き継ぐメガヒットが出ていない状況では、じり貧もやむを得ないってな感じの話をして、集まったアニメ業界関係者の実を縮こまらせる。そういやあ漫画原作者の小池一夫さんも「NARUTO」の遺産で皆くってるだけだって言ってたなあ。政府が騒ぎマスコミが浮かれるその裏側じゃあ、もう着実に衰退が続いているってことで、それを最前線にいる人たちは敏感に察知しているってことなのか。

 地上波の衰退ってのはその後のバンダイチャンネルの松本悟社長とか、毎日放送の竹田さんに讀賣テレビの諏訪さんっていうアニメプロデューサーの重鎮とかが出てきたセッションでも話に出てきて、見られなくなって視聴率がとれなくなってスポンサーがつかなくなって放送がしづらくなって、ネットに移ったものの違法サイトが横行していて収益にならずDVDも売れずと四方八方十六方塞がりの状況。とはいえアニメそのものへの関心が衰えた訳じゃないってところに打開を見出そうそうとしている様子で、ひとつには放送されればすぐに字幕もつけてネットに流すことによって、暗い情熱でもってアニメを即座に違法アップする輩を牽制しつつ、収益へとつなげていこうって動きが始まっているとか。「NARUTO」もそんな1本で、今じゃあ英語圏では放送1時間後にはすぐにネットで見られるようになっているらしい。というかそんなに「NARUTO」って人気なのか。そうなのか。

 地上波の方でも岩田さんがいうには、ドラマだってバラエティだって数字がとれない惨状なんだからアニメみたいに着実な層が期待できるコンテンツに対する敷居はむしろ低くなっているとかいないとか。そこに併せてしっかりとした作品を作っていくことによってテレビで見られ、ネットで見られパッケージだって売れることもあるようなサイクルを、生み出せれば言いんだけれどそういう風にクオリティを維持できる会社って、そうもそうもないからなあ。まあ「ノイタミナ」みたいに深夜の浅い時間にアニメを見る習慣を作った例もあるから、そうした地道な努力の積み重ねによって地上波でも新しいアニメの視聴スタイルを確立できるかもしれないなあ。もはや月曜7時とかにアニメを見る時代じゃないってことで、っていうかやっぱりなくなってしまうんだ、あの枠は。

 企画についてはどうなんだろう、諏訪さんはスポーツ新聞とかで報道されていたルパン三世と名探偵コナンとのコラボレーションを起死回生の傑作だって感じにアピールしていたけれど、ルパンが好きな40代とコナンを見ている10代とでは差が開きすぎててどちらも楽しめるんじゃなく、どちらにも楽しめないものになるんじゃないか、って心配がふわふわ。ルパンの昨今の惨状と、コナンの昨今の停滞が重なって生まれるのはネガティブの二乗かそれとも打ち消し合ってのプラスか。乞うご期待、したいけれどもさてはて。灰原がいっぱい出てきてくれればそれで良いけど、個人的には。

 企画といえば竹田プロデューサーがサテライトに河森正治さんらと組んで作る「バスカッシュ!」って作品のプロモーション映像が上映されてなかなかのクオリティ。3DCGのロボットに可愛らしいキャラクターが絡む話みたいだけれど、竹田さんの説明をきいて気分はちょっぴり複雑に。まるでピンボールの台のような街の造型はそのままパチンコ化された時のことを想定しているとか。「エウレカセブン」もパチンコになって話題がふくらみ新劇場版へのつなぎに良い状況となっているだけに、竹田さんのパチンコに対するスタンスにはあんまり曇ったところがない。

 そもそも「バスカッシュ!」を手がけるサテライトがすでにパチンコ機メーカーの子会社になっていたりする。アニメというコンテンツに対しては、最初からそうした方面での商品展開を想定して企画を作っていかないと、ほかにお金を出すところなんてないんだっていう状況を裏返して見るならば、アニメを見て素晴らしいドラマだメカだキャラクターだと楽しんだ人たちが、その感動をパチンコという娯楽への関心へと転換され、誘導されていく可能性が昔以上に高まっているってことになる。極めて個人的な所感を言うならば、パチンコにネガティブな所を持った自分として、大好きなアニメに妙な手を突っ込まれて内臓を探られているような気がして、胃がもたれて脳が焼ける。何という時代。もはやそんなアニメは不必要と切るべきか、何が何でも命脈を保って次のステップアップにつなげるために、断腸の思いで支持し続けるべきか。とりあえず「バスカッシュ!」を見て考えよう。

 「かんなぎ」と「鉄腕バーディーDECODE」のDVDを買ってアニプレックスに貢献しつつ石丸電気でおまけに自由に選べるポスターの覧をながめていて妙な作品に目がとまる。何でも今年の1月から「ノイタミナ」枠で放送されているという「あさきゆめみし」って作品のポスターで、美麗な少女マンガに近いイラストでもって描かれた和装の男女がむつみ合っているイラストなんだけれども、肝心なところはこの1月にそんなアニメなんてどこでも放送されていないってこと。いったいどういうことなのだ。これは何かの冗談か。って分かり切ったボケは脇において、とりあえずちゃんと「あさきゆめみし」のポスターを作っていたんだなあ、それがぜんぶ無駄になってしまったんだなあと関わった人たちの苦労に敬礼。幻の作品のポスターにどれほどの価値があるかは分からないけど、個人的にはこれより村田蓮爾さんが描いた「マルドゥック・スクランブル」のルーン・バロットちゃんの絵が欲しい。消えてしまうのは惜しい肢体だったなあ。


【1月27日】 分かったことは獅子堂財閥が出会い系な事業でもって資金を溜めて巨大化していったってことくらいで、今現在どんな事業を展開していてどういう経路で影響力を保持しているのかってあたりはまるで不明。宇宙忍者だかなブーゲンビリアとミンタオの首を物理的にだって飛ばせる権力を警察に及ばせてはいるようだけれど、それが単に金のつながりだけなのか、武器や情報やその他もろもろの業務面での関係に及ぶのか、薬師寺涼子の実家みたいに天下りの受け入れ先になっているのかはやっぱりまるで分からない。まあそういうものがあるんだってくらいで良いのかな。獅子堂家の次女は相変わらず目立ってないねえ。

 お話の方もまるでいったいどこまで進んで何をやろうとしているのかが見えず。想像するなら依然としてレオパルド強化月間っていったところで、あれやこれやと部品を集めて完成へと近づけようとしていてその手伝いを、獅子堂秋葉と河合ほのかちゃんがやっている、と。でもってレオパルドはどこに向かおうとしているのか、ってのはやっぱり謎。秋葉がそこまで入れ込む理由は……オモシロそうだから、なのかなあ。神凪いつきは変装していたかつらが外れても構わず突っ走るおばかさん。無理矢理やらされたボンデージな恰好を恥ずかしがっているけれど、ICPん時はもっと派手な恰好してたじゃないかお前、って突っ込みはここでは御法度か。

 ってな感じでごっちゃごちゃな中にピンポイントでユニークな会話があってビジュアルがあって、そんでもってどっかへとジクジクと進んでいる感じはある「宇宙をかける少女」。紙袋をかぶって暴れていた男に秋葉がどうして見覚えがあったのか、でもってほのかはそんな男をぶっつぶした時にどうして涙を流したのか。唐突に突発的に散らされるそうした謎の断片を含みつつ、超スピードで進む展開をリピートしつつ読み込み味わっていくのがこのアニメーションの幸いなる楽しみ方ってことになるのかな。それが正しいアニメの見方とも映像の作る方とも思えないけど、そういう時代なんだから仕方がないと。慣れるっきゃない。

 こっちはもうオーソドックスに行くんだろうなあ「毎日かあさん」。4月からアニメーションがスタートするってんで東京国際フォーラムで開かれた発表会を見物に。100人ものかあさんたちが割烹着を着て勢揃いしていた姿は迫力だったけれども、これはすなわち100人は旦那さんが存在していてつまりは100人の男はちゃんと結婚できたんだという事実を突きつけられ、我が歳を指折り数えて遠くの方を茫洋と見る。まあ興味がないっちゃないんだが。

 んでアニメ版「毎日かあさん」は、監督が「クレヨンしんちゃん」をアニメで立ち上げヒットさせて単行本もベストセラーへと押し上げた本郷みつるさん。声は声楽の森久美子さん。豪華で確実な面子な上にストーリーも人情あってギャグあってと、西原さんの両面が入った特盛り作品。こりゃあ人気が出ないはずはないけれど、西原さんも言ってたように見た目はとっても特徴的なんで、最初の5分を耐えて見て、引っ張り込まれてくれればまずは本望といったところか。1年も続いてその先も続いて超国民的ホームドラマアニメに近づくなり、春日部市民的ホームコメディアニメに続く成りすれば面白いんだけど。

 しかしここまでこの作品がアニメ化されなかったのはちょっと不思議。会見で話していたのはやっぱりとっても露悪的なところがある西原さんだけに、企画が持ち上がってもスポンサーのところでしこって企画が実現しなかったことが幾度もあったとか。今回それが実現したのは始まってもう3年? 4年? その間にとりたてて問題もなくむしろ大勢が読んで感動する作品だって広まったことが大きいのか、それともいろいろと厳しいテレビ東京がもう何だって構わないと押し切り冒険をしたのか、どっちなんだろう。どっちもか。ちなみに西原さんがライバルとして挙げた作品が「アカギ」。超国民的でも超春日部市民的でもないのはあれか、アニメ化実現の感想をこれでパチコンで負けた分をぜんぶ取り戻せるぜと言ってのけた西原さんならえはの感性って奴か。両方見る人、いるのかな?

 買ってはみたけどどうなんだろう? なキャリー・アサイさん著の「サムライガール」(メディアファクトリー)。「飛行機事故でただひとり生き残った『奇跡の少女』ヘヴン。裕福な家庭に引き取られて、何不自由なく育ったけれど、親の決めた相手と19歳で結婚!? しかも式場にはなぜか殺し屋が乱入してくる。たったひとりでさまよった末に出会ったのは、兄の友人のヒロだった」ってのが1巻裏表紙のアオリの言葉。姉の決めた結婚相手から逃げ出そうとしたら宇宙でコロニーに入りこんで謎の人口知性レオパルドに出会った獅子堂秋葉とどっか共通……してないか、でもまあありがち。問題はここからどうやって「サムライ」に行くか、か。サムライってのはそれとも何かの象徴なのか。全6巻をとりあえず付き合おう。これってライトノベル? それとも海外ファンタジー?

 三浦勇雄さんの「聖剣の刀鍛冶」(MF文庫J)も第4巻となって聖剣を打つことができる刀梶のルークが近隣にある軍国とかいうところへと赴いて、そこの刀鍛冶に協力を仰いで魔人だかの復活を止める聖剣を作り上げることを了解するものの、相手もそこは刀鍛冶、容易には秘密を出そうとしない。ところが本来だったら本家にあたるルークの方が土下座してまで協力を求めたから驚いた。軍国の技術はもともとはルークたちの祖先から盗んだもの。それを頼んでまで返してもらおうとする態度の裏にあったのは、ルークの刀鍛冶として仕事ができる限界だった。対立する帝国とか群衆列国あたりの不穏な動きととおに風雲、急を告げる展開のなかで最初はただ刀を打って欲しいとお願いに来ていただけの貴族の娘セシリーに、何やら役目がありそうだと分かって今後の活躍に期待大。表紙の横からながめた胸も麗しい。触りたいけどその途端にぶった切られるのがオチか。いや触れるんなら切られたって。悩ましい。


【1月26日】 「マンガ大賞2009」の候補作を読む週間。ってことで島袋光年さんの「トリコ」(集英社)。なあるほど「深夜食堂」みたいなグルメではあっても中身は対極。実在しない食材を圧倒的なパワーでもって探しだしては狩りたてる美食屋トリコが、世界をめぐて強敵相手に大立ち回りを演じるって物語。世界のあらゆる食材が現実的には食らいつくされてしまっている状況で、料理法の工夫に頼らずグルメなマンガを描こうとするとこーゆー方法になるんだって見本を見せてくれる。

 ただなあ、ワニも七色の実もフグもあんまり美味そうじゃあないんだよなあ、そこが難。とはいえ現実に存在しているからこそ浮かぶ想像が及ばない故のハンディってことで、そこを命すら賭けて挑む男たちの姿でもってねじ伏せて、強引に美味いんだぜって見せようとするパワーには脱帽。これに映像的な演出と声優の声が入ったらあるいは、本当に美味い料理に見えてくるかもしれないんで是非にアニメ化とか希望。ってことでこれと「深夜食堂」のグルメ派に「ちはやふる」「三月のライオン」「とめはねっ!」の和物文化系活動派の対決って構図も生まれた「マンガ大賞2009」の行方や如何に。島袋さん末次さんの復活組の台頭って意味でも興味深いか。何があってもちゃんと禊ぎし出直しそして、面白い漫画を描いてくれればそれで良し、ってことなのだ。

 走りによって生まれる過重に果たしてあの可動部分が耐えられるのかって方が先じゃないかと思った「RIDEBACK」。どう見たって内燃機関のレシプロなガソリンエンジン4気筒とかって感じにしか見えないライドバックの機関部分が、いくらいろいろ細かく操作しているからってトップスピードに耐えられるように作られているのならそう簡単にブローを起こすとは思えない、むしろアシストを失って急制動に急加速をかけられる可動部分の方に、いろいろ問題も起こりそうなものだけれどもそれを言ったらあの形状が成り立たないんで気にしない、と。起きているのか寝ているのかがまるで分からない熊さんには何か過去があるのかな。ヒロインの寝癖は何本が正解なのかな。

 冒頭に見せられたレダに似た女性のふくらんだ腹が示すもの。そしてなめらかなスーツに包まれたレダの幾度となくアップにされる平らな下腹部。中空に浮かぶ何かのケースに付けられた名はゆりかご。ロボットであるはずのレダを使って何かが行われたのか。ロボットへと何かの記憶が受け継がれただけなのか。ロボットから引っ張り出されたリンゴといい、そしてレダの切なげな態度といいあの世界では生命というものに対する何か大切な営みが行われていたに違いない。それが何かがいつかあからさまに語られるのか、それとも断片より想像するよりほかにないのか。見入り見込んでいった果てに浮かぶ何かが得られそうなところまで来た「キャシャーンSins」からもう絶対に目が離せない。しかしエロいなあレダ。クールガールで出すならディオよりレダだろうに。どこかシスタージルっぽいけど。

 ツンとして誰も寄せ付けない高慢にして猛々しい雰囲気を持っていたのが、気になる相手に近寄られると途端にデレっとしてしまう。それがツンデレ。お嬢様とかブリっ子といった古典的なキャラクター属性を超えて人気のツンデレぶりが、単なる性格ではなく世間に認められた病気として身についてしまった小学生の百舌谷さんが、同級生を相手に大騒動を引き起こすって漫画が「百舌谷さん逆上す」(講談社)。あの名作「家政婦が黙殺」を描き幻の「ドラグネット・ミラージュ」で表紙を描いた篠房六郎さんが全力を振り絞って描くギャグ漫画の最新刊が登場して、折り返しの著者近影を見てこれがもしも実在するなら足下に跪いてツンデレを乞いたくなる美貌ぶり豊満ぶりに陶然とするけど真相や如何に。感情を抑え、表面を取り繕って他人と接するのが当然の社会で心の中のもやもやをぜんぶぶちまけ暴れ回る百舌谷さんに今回もスカッとさせられたなあ。弟君は可愛いなあ。

 ようやくやっと出るのか「野ブタ。をプロデュース」の白岩玄さんが、ようやくもって久々に新刊の「空に唄う」(河出書房新社)を2月にも刊行と、届いていた「日販週報」の新刊速報付録の冊子で確認。あと「八番街カウンシル」を朝日新聞出版、「ポトスライムの舟」を文藝春秋からと芥川賞の津村記久子さんがそろって刊行と、文芸書は話題的にはとぎれがなさそうだけれど個人的にはやっぱり万城目学さんの「プリンセス・トヨトミ」が2月下旬に刊行予定なのが気になるきになる。

 まだ3冊しか出してないのに1冊はドラマ化されてもう1冊は映画化となって、ついでに舞台化も間近といった感じで未だ途切れぬ人気ぶりの万城目さん。その新刊なだけにいろいろ話題に上りそう。2009年上期の直木賞候補にも入る、かな? さっと見ではあと宮本昌孝さんの「剣豪将軍足利義輝」が新装版となり上下で刊行、大昔に分厚いハードカバーを買った記憶があるけど今度は四六で軽快そう、な割には1冊2100円て……。おお明石散人さんの「鳥玄坊 根元の謎」も四六で復刊か。楽しみたのしみ。

 異世界へと召還されては魔王を叩きのめし、魔宮へと引っ張り込まれては謎の機械人形を下僕にし、神を相手にもひるまず迷宮をくぐりぬけて力を得ては煩悩のままに姪っこを猫っかわいがりする女の子の物語、って空気をどこかで感じたことがあるって思ったら、川口士さんの「ステレオタイプ・パワープレイ」(スクウェア・エニックス)に近いんだ。あれは少年がわずかな期間で異世界の勇者となり、宇宙海賊だかを倒し、魔族の少女を下僕にした上で、新たに起こる事件に挑むって話だったっけ。

 つまるところはそれ一本で十分にネタとなるエピソードを前フリに使った、贅沢にして豪快極まりない話だったけれども、橘公司さんの「第20回ファンタジア大賞」準入選作「蒼穹のカルマ1」(富士見書房)は、現世で空獣(エア)と呼ばれる化け物と戦い圧倒的な力でもってねじ伏せるヒロインの戦いぶりを描いたストレートな異能バトルの物語と思いきや、そんな能力は生活の余技でしかなく、本当は可愛い姪っ子のそばにいたくてたまらないってヒロインの素っ頓狂さでもって引っ張っていくのかと思っていたら、それすらも違っていたから驚天動地。時間がないからととっとと空獣を片づけ授業参観に向かおうとしたヒロインが、あっちに引っ張られこっちに放り込まれて右往左往しながらも、突破しかけつけさらに最後の難関を、くぐりぬける何段ものオチが待ってて楽しめる。

 おそらくはそんな叩き込みっぷりが評価されての受賞なんだろうけれども、「ステレオタイプ・パワープレイ」に前例もあるだけに今後も似たような異世界への引っ張り込まれの右往左往は描けそうもなさそうで、そこは神の力を得て魔人をもしのぐパワーを得て下僕も手にしたヒロインの鷹崎駆真が、妹の可愛さに媚びて応えようと怒濤の戦いを披露しながら、世界どころか宇宙をも救う空前絶後のスケールを持ったシスコン、というかメイコンな物語へと進んでいくんだと想像しよう。知らないけれど。

 んでやっぱり「ファンタジア大賞」で佳作の木村一心さん「これはゾンビですか? 1」は、通り魔に遭って死んだら近場にいた謎の少女に生き返らされた少年が、しばらく経って天空より落っこちてきて動物の化け物と戦う少女と出会い、魔法使いならぬ魔装士とされてウリヒラな衣装に変身したりしながら敵を倒しながら、彼をゾンビにした寡黙な少女や、吸血鬼の少女も巻き込みくんずほぐれつしていく話でやっぱりてんこ盛り。語り口と語る展開のユニークさもあって引っ張り込まれて楽しまされる。これからはあらゆる要素をぶち込み煮詰めたコンデンスなライトノベルが流行るって先触れか?


【1月25日】 女王陛下の御前で「パン」っていったいどこの国の女王様なんだよ「黒執事」。んまあ実在する英国って断定している訳じゃないからブレッドがパンでも悪いってことはないんだけれどもカリーパンはインドでもなければ英国でもない我らが日本の発明品。1927年に名花堂なる現在はカトレアって店が新案登録した惣菜パンで、ロシアのピロシキなんかも参考にされたかもしれないって話もあるけどどっちにしたってセバスチャンがその手で産みだしたものでもなければ、1901年に亡くなっている英国のヴィクトリア女王が口にできるものでもない。

 ないんだけれどもそういうことを言うのってやっぱり野暮。カレーが得意なインドから来た執事がいて、その腕前に悪魔のセバスチャンがアイディアで挑むって展開そのものの面白さがあれば別に構わないんじゃなかろーか、面白いかどーかは別にして。んで「黒執事」はロイヤルワラントを拝領したファントムハイヴ家がこれから玩具だけではなくってカリーパンも売り出し世界へと売って出る一大グルメストーリー、にはならずにおそらくはシエルを追い込んだ輩の登場と相成って、激しいバトルへと進んでいってくれることだろー。その辺りは残り1カ月を切ってからになるのかな。とりあえず最後まで見届けよう。

 朝方に茫洋としながら見ていた「絶対可憐チルドレン」に何かバルキリーみたいなのが登場してた。でもって「君は誰とキスをする」「愛おぼえていますか」等々のセリフをチルドレンが喋ってた。そういうものに引かれるくらいに有名なのか「マクロス」シリーズ。まあ小さい子供が見て分からなくっても、半分くらいは視聴者にいそーな大きいお友達は大歓迎だから構わないのか。そんな大きい子供さんは「可憐ガールズ」が唄う主題歌集をきっと絶対に買うんだろうなあ。蕾見不二子ちゃんは今回やたらと弾んでくれていっしょにボディも弾んでた。たとえ実年齢がどうであろうと人は見た目ば12割、なのだ、絶対に。

 家にいたら眠りこけてしまいそうなんで気合いをいれるために家を出て日本橋とか新橋とか秋葉原とかを散歩。秋葉原ではMay’nさんのミニアルバムを買ってみたけど聴くときってやっぱり頭にシェリルさんの顔を思い浮かべるべきなのかな、知らずに浮かんでしまいそうではあるんだけれど……。海洋堂のホビーロビーでは買い逃していた水着の風香と恵那の水着スタイルのソフビ人形をようやく購入。そんなもの買っている経済的余裕があるのかどうかは後述するとして、ほかに隣のフィギュア屋で見つけたタカラトミーのクールガールが土台になったドロンジョも欲しかったけれどこれはパス。やっぱり映画の「ヤッターマン」を見てから判断したい。できれば中身を生身のフカキョンと類似にして映画のイメージを再現したいものだけど、それだとちゃんと着られるかな?

 早売りで見かけた「週刊東洋経済」の2009年1月31日号が「テレビ・新聞陥落!」って特集で、こりゃあなかなかに興味深い内容だって思って手に取ったら「追い込まれ手を結んだ産経・毎日の窮乏ぶり」って記事があってやっぱりとてつもなく興味深かったり。「『応募が殺到するのは確実』との観測がもっぱらだ。産経新聞社は大手全国紙としては事実上発となる大幅な人員削減に踏み切る。勤続10年を超える40歳以上50歳未満の社員を対象に、今年度、来年度と2回に分けて合計100人の希望退職を募るもので、全社員数(2008年9月末で2287人)のおよそ5%を削減する」って記事は、なるほどソニーやキヤノンといった日本を代表する企業群に迫っている人減らしの必要性が、それを報じるメディアにも同様に起こっているんだということを教えてくれる。

 「第一次募集は2月9日から18日まで。応募殺到が予見されている理由はほかでもない。割増退職金だ。通常の退職金に基準内賃金の月収55カ月分が上乗せされる、というもので40歳社員の場合は最大2400万円になる」とあるから事態は極めて緊急っぽい。3月末という決算期をにらんで、仮に現場が油の乗った書き手に働き手をただでさえ足りない中からさらに数十人単位で失って、大きく混乱する事態に陥ったとしても、とにかく数字を整えなくちゃあいけない必要性があるってことになるのかな、企業経営を取材している経済記者だったら、そう推測して不思議はないよね。とはいえこのご時世に先行きも見出しにくい状況で「応募殺到」となるのかどうか。情報がバカみたいに安くなっている時代に情報を書く力に特化した人を誘う世界も少なかろう。

 割増される金額が果たして多いのか少ないのかは、他で行われている希望退職とか早期退職といった制度の水準をまるで知らない身には何とも言い様がないけれど、「それが今回、異例ともいえる大盤振る舞い。社内から『手を挙げないほうがおかしい。募集開始1日目で枠に達してしまい、退職したくてもできない社員が出てくるのでは』(中堅社員)といった声さえ上がる」ってあるからには、それなりにそれなりな金額ってことなんだろう。内定取り消しで1000万円とか出す企業も世の中にはあるけれどそりゃあ特別過ぎるってことで。時期も2週間後とかに迫ってそろりそろりと腹を決めていたりする人もいるのかな。同業のどこにも比して少ない人数でもって、どこにも比して多くの媒体を出してる経営の効率っぷりが、この先にどうなっていくのかってのも、この業界の今後を占う上でウォッチしてく必要がありそー。どこからウォッチするかは別にして。

 明るくなろうと唐沢なをきさん「ヌイグルメン!」(講談社)を買って読んで貧乏だって夢さえあれば生きていけるんだという希望をもらう、というか匂いフェチか締め付けフェチなら生きていけるてことなのか。貧乏な制作プロダクションが作る特撮ヒーロー「きなこマン」に抜擢された青年2人のうちのひとりは狭いところが大好きでスーツアクターとして大活躍。もうひとりは顔出しの変身前をやりながらも棒読みの大根役者で落ち込みながらそれでもがんばってヒーロ役を演じていく。

 その道50年というスーツアクターというのハルちゃんや彼にあこがれる殺陣師の女性とかキャラクターの誰もが情熱を持っていて心をとっても勇気づけられる。あとはいろいろ見せまくってくれるきみしぐレディが近場にいれば心も躍ることだけど、さすがに日本にはいないよなあ。せめて特撮番組に出てくれば見るのに今はどこにもいないもんなあ。「シャイダー」が懐かしい「仮面天使ロゼッタ」が懐かしい「サイバー美少女テロメア」が懐かしい、ってテロメアはボンデージだっただけか。これってソフト化されてたんだっけ? 「有言実行三姉妹シュシュトリアン」もCSの「衛星劇場」で放送される時代なんだし「テロメア」も今一度の放送を、ってそこまでして見たい番組だったかというと口ごもるなあ、三輪ひとみさんは美人だったけど。


【1月24日】 「マンガ大賞2009」候補作講読週間はまだ続く。ってんで「深夜食堂」。巧いねえ、巧いし人情の描きっぷりが押しつけがましくなくってサラリとしてる。新宿あたりで真夜中から朝方まで開いていて、メニューは少ないけれども頼めば材料があれば作ってれる食堂を舞台に通ってくる人飛び込んでくる人たちの姿を描いた話。っていうとマスターが説教したり来る客の人生が波瀾万丈で読んで一般人にはどこか鬱陶しかったりしがちなんだけれども、マスターは適度に聡し適度に導きながらもあとは客たち自身の判断に任せて放っておく。

  成功してはしゃいだらはしゃいだでそれを褒めそやすことはしないし、失敗したら失敗したで静かに再び迎え入れる。そんな距離感は過剰な人情にも正反対の孤独にも慣れない現代の人間にはとっても居心地が良さそうで、あるんだったら是非に通ってみたくなるけどそうじゃないからこうした漫画になっているんだろー。売れない演歌歌手がようやく花開いて売れそうな曲を出した途端に病没って泣かせる話もあったりして、描けば長編にだってなりそうなドラマをさらりと短い中に閉じこめいろいろな人たちのいろいろな生き様に触れさせてくれる佳作。これが受賞とかってなればきっとどこかがドラマ化するんだろうなあ。店主役は誰がベストかなあ。

 仕事も兼ねて毎度毎度の「次世代ワールドホビーフェア」へ。入ると「ドラえもん」のコーナーにパオパオがいた。風の頼りでは「のび太の宇宙開拓史」が前に長編アニメーション化された時にもどっかの星の生き物としてデンデワニとかダックスキリンなんかといっしょにご登場していたとかで、その話が今年の「ドラえもん」映画としてリメイクされるにあたって10数年ぶりパオパオも復活と相成った模様。んまあ藤子・F・不二夫さんの作った動物キャラじゃあなかなかのデザインで、何度だって使いたくなるんだろう。ブラブラミンゴは出ないのか?

 けれどでもやっぱりパオパオは「ジャングル黒べえ」とともにあって欲しい生き物。本家が封印されっぱなしの現状でせめて触れられることを喜びたいけど、あのエネルギッシュさにあふれた話を封じっぱなしでパオパオだけを見るのもちょっと悲しくなる。いっそ「宇宙開拓史」にどっかの星の大統領としてご登場して頂いて涙の競演となってくれれば世間も納得のうちに“復活”を果たせるんだけどなあ、あっとでも声は旧スネ夫では拙いのか? 構わないのか。

 ぐるりと見渡してバンダイが出していた、骨格模型に肉付けをして恐竜フィギュアを作り出す「化石錬成ゼルゲノム」に妙に人が集まっていたのにちょっと驚き。ゼリーみたいな肉付けをする様が楽しいのか。それとも融かしてドロドロにして骨だけにするスプラッタが愉快なのか。カラビナみたいな形をしていて走らせたりコマを回したりできる不思議な玩具の「エックスカラビナー」ってのも見た。これといい「ゼルゲノム」といいノンキャラクターで遊びのアイディアだけで作った玩具って感じ。バンダイっていったらキャラ玩具が得意ってイメージだけれどこうして遊びそのものから作っていかないと、キャラの浮き沈みによっては難しい年も出てくるからなあ。さてはて。

 知らず男子にも広まりつつあるバンダイナムコゲームスの踊って踊って踊りまくれる「ハッピーダンスコレクション」のヒットしているかは別にしてその概念を他にも応用したダンスゲーみたいなのが他からも登場して来るみたい。スクウェア・エニックスが出してた「メジャマジ・マーチ」ってのはと「Wii」のリモコンのコントローラーをマーチの時に先導する指揮者の人が手に持つ指揮棒のように振って遊ぶゲームでタイミングよくずんたかたったをできれば音楽も綺麗になって行進もちゃんと進んでいくけどタイミングが悪いと音楽が崩れて行進もぐちゃぐちゃになってしまうんだったっけ? マーチングバンドとか見ていていつか先頭であの指揮棒を振ってみたい人におすすめ、ってそんな人がいるのか、昔「ひょうきん族」で西川のりおの「ずんたかた」を見てずっとやりたかったんです、なんて人とかいたりして、いないよなあ。

 ならばと本家「ハピコレ」のバンダイナムコゲームスが送り出してきたのが「ウィーチア」って奴でこっちは分かりやすくチアリーダーになった気分で、手にした「Wii」のリモコンを振り上げたり、回したりして遊ぶゲーム。踊りと違って動きが割とシンメトリーだから初めてゲームに触った小さな女の子でも見ているとすぐに操作ができてしまってた。でも難易度によっちゃあもっと難しくなるんだろうか、ちょっとやってみたい気が。足にはセンサーがつけられないからジャンプしたり足をあげたりって動作を反映させられないのがちょっとチアーとは違うかな、でも画面に併せて足上げとかした方が楽しいからプレーする人はそうするように、できれば衣装はチアリーダーの恰好で。仕事に疲れたOLが家にかえってストレス発散とばかりに着替えてチアの衣装でこれをプレーしているCMとか、作ればきっと上の世代にも届きまっせ。

 いろいろと読書。大西科学さん「晴れた空にくじら」の第2巻「戦空の魔女」は牛の平八郎さんが直接には出てこなくって残念。でもクニはやっぱり平八郎のことが大好きみたい。んでもって軍隊に重用された形の峰越は偵察だか攪乱の任務に出動。おまけみたいに無電のプロらしいさらさらロングヘアーのマッドではないサイエンティストな少女のように見えて年はくってる女性も同行。機関担当の兄ちゃんに主人公の雪平に攻撃担当のクニとそろった4人は敵と遭遇してはこれを撃破するものの、くっついていた戦闘機みたいなものに攻撃を受けてピンチに陥る。結論。気迫は弾をもそらす。父親の敵を見つけたものの決着はつけられなかったクニは果たして次にどう出る? 船がまるまる1隻おっこち大勢が死んでいく割には不思議と無傷な峰越にもシビアな展開とか来るのかなあ。先に期待。

 んで淺沼広太さん「有限会社ビクトリア旅行代理店」(幻狼ファンタジアノベルズ)はアンドロイドのガイドさんと宇宙のF1みたいな競技に出ていた凄腕のパイロットがペアを組んで零細オンボロ旅行代理店でもってツアー客を乗せて宇宙を突っ走るって物語。ガイドさんは天然ボケでミニスカートがお居合いなんだけれども実はノア星人の生き残りで、怪力とかテレパシーの持ち主……ってのは「YAT安心!宇宙旅行」の天上院桂さんか、違ってメアリは仕事優先で冗談のひとつも言わないアンドロイドなんだけれどもやっぱり秘密があったりして、そんな秘密が行く先々で発揮されてはピンチを救う。

 とはいえそうしたルーツ探しは実は脇でこの話では宇宙のF1レースみたいなのが休止になってしまったくらいに混乱している宇宙の国々が平和になるために不可欠な、とある王国の次のお姫様候補がお忍びで会談場所へと向かおうとしている事件に巻き込まれ、謀略と攻撃の中をパイロットの腕やら乗り合わせた者たちの力なんかが発揮されては、危機をくぐりぬけていくって冒険物語になっている。んでも全員が善意ではなく悪もあってそれが割にあっさり退場させられていくあたりがちょっとシビア。残った考古学マニアの女の子にもひとつくらい特技を与えてやって欲しかったかも。続きはいくらだって出せそうで未だしがないパイロットを続けているユーリと覚醒してもツンツンぶりは変わらないメアリのコンビの活躍を読ませてやって下さいな。


【1月23日】 いちにっさん。プレイステーションの日、なので「プレステ3」のソフトの発表会を見物に品川へと赴く。日焼けサロンは毎週1回という噂も名高い名越稔洋さんが陣頭で指揮を取る、和風「グランセフトオート」というかむしろGTAなんざあ魂の入っていない伽藍堂に見えてしまうくらい、アウトローな空気が熱でたぎって破裂しそうな濃さに満ちたゲーム「龍が如く」の最新作が2月に登場ということで、そのお披露目が開かれたってことで到着するとすでにゴージャスな衣装を身に着けたお嬢さんがそこかしこに立ってお出迎え。でもって中にはまっ赤な絨毯が敷かれバルコニーにはアゲアゲな感じのお姉さんが座って雰囲気だけは歌舞伎町ならぬ神室町のグランドキャバレーな感じになっていた。

 まあそりゃあ第1作目と2作目の発表を行った本当の歌舞伎町にある本当のキャバレーにはかなわないけどコマ劇場が無くなってしまった今では同じ場所での発表ってのも多分かなわず。それでも精一杯に雰囲気を作ってみせるあたりにセガの「龍が如く」にかける熱意ってのも伺える。というか声優陣に前から続く渡哲也さんを筆頭に、舞台で映画で大活躍する藤原竜也さんにホークシンガーで俳優の泉谷しげるさんに見た目だけならピッタリな高橋ジョージさんを引っ張り込み、お笑い界でもビッグネームの宮迫博之さんに成長株で眼鏡がお似合いな宮川大輔さんをも起用して宮迫さんには巨体のヤクザで宮川さんには金髪ブタ野郎な下っ端を演じさせるなんて贅沢ができるのもそれだけタイトルに気合いが入っているってこと意外に言いようがない。

 さらに小悪魔agehaな3人を並べそこに話題の椿姫彩菜さんも加えて発表会に勢揃いさせるなんてゴージャスさ。宣伝のためには何だってするってことかもしれないけれども上映されたゲームの方はストーリーも深淵ならゲームシステムもPS3ならではの密度でもって神室町が描かれ沖縄が描かれそこで雑踏で出会った奴とそのまま「スパイクアウト」も真っ青な自在さでバトルが始まり「バーチャファイター」も驚愕のスピーディーでクラッシャブルなバトルを堪能できる。さらにバッティングセンターにボウリングといったミニゲームもほかに将棋にクレーンゲームに麻雀にダーツと種類が抱負でなおかつキャバクラでもってキャバ嬢を攻略する恋愛シミュレーションまで楽しめる。1本で何粒食えるんだ。

 そしてやっぱり登場の黒田崇矢さん演じる桐生一馬の渋い声。聴いているだけで尻がむずむずっとしてくるハードな声音をたっぷり堪能でき、沖縄の養護施設に暮らす少女たちのビジュアルもたっぷり堪能できるクオリティとボリュームを持った「龍が如く3」だったらPS3を買って本当に良かったってあるいは、思えたりするのかもしれないなあ、っていうかPS3をほとんどゲームに使っていない自分が悪いんだけど。「戦場のヴァルキュリア」だってやりたいんだよ時間があれば、アニメ化前に。アニメの方もいろいろと仕込みがあって面白そうなだけに。でもまずは「龍が如く3」で性能を存分に味わおう。でもって見終わったら日焼けサロンへと言って方で風切ってそこいらを歩こう。さあバトルだ。ボコボコだ。自分がだ。ダメじゃん。

 おいおいだったら「北京五輪」でのCGの足跡も女の子の口パクもありじゃねえ? あまりのハイクオリティぶりに驚いて存分に聞き入ってしまったオバマ大統領の就任式でのイツァーク・パールマンにヨーヨー・マにほか2人が奏でたジョン・ウィリアムスの音楽は実は2日前に録音されたものだったとか。一応はその場でも演奏してたし音楽自体は4人のものだから別人の吹き替えじゃあないよ、って言えば言えるんだろうけれども逆に言うなら歌は誰かがちゃんとその時に唄ってた北京五輪の開会式の方が、画面を消すなり目をつぶって見ていた人にとっては正真正銘のリアルタイムの音楽だった分、正しいんじゃなかろうか。

 なまじ目が見えるだけに唄っている子のあどけなさにほだされた訳だけれど、そって歌を唄う少女は綺麗、とかってどこか下心というか疚しさを含んだ色眼鏡でもって世界を見ている現れででもある。純粋に音楽そのものをとらえる耳でもって聴くならばそこに映っているのが少女であろうとカナリアであろうと関係無しに素晴らしいものだったと思えば良い。あるいは歌は録音されたものだったってならまた話は別になるけれど、それが非難されるのならば大統領就任式の音楽家たちだって類似の非難を浴びてもそれほど不思議じゃない。北京は唄っていたけど映されなかった少女の気持ちが損なわれたって意見もあったなあ。なるほど。でもだったら演奏不可能な場所かもしれないと保険をかけ、そして実際にそこから音楽を聴衆に届かせられなかった音楽家も、自分たちの音楽への姿勢を自ら損なっているって思えないだろうか。

 演奏不可能な場所なら奏でない。奏でたんだったらそれを聴かせる。録音の放送は拒否。けどそれをできなかったところにいささかの不信感を抱かないではいられない。足跡のCGはあくまで見ている人たちに向けた一種の演出。それがCGでなかったのなら純粋に凄いし、CGだとしたら騙された自分を騙すくらいにリアルさだったんだとこれまた凄いと感動できる。けど北京は非難された。たぶん北京だから非難された。ならば米国はどうなのか、ってあたりで何か良いわけをしてあっちは叩きこっちは救うダブルスタンダードが蔓延るんだとしたら、世界はやっぱり決定的に不平等なんだってことになる。まあ人によるんだろうけどね。でもってそんな人が妙に声高なところに先行きへの悩ましさがあったりするんだけれどね。

 走り続けても到達できない距離だと知って、それでも永遠に走り続けられるくらいに人は強い生き物なんだろうか。同じ未来がないのなら、止まってそこで終わってしまった方が楽じゃないのかと思ってしまうのが普通だけれども、それでは人が生きている意味なんてなくなってしまう。何故って誰もがいつかは死んで、そして魂なんてものも転生しないで雲散霧消してしまうだけ。何かを残したところで残されたと感じるのは生きている人だけで死んでしまったらすべてが終わりなんだと思えば、さっさと皆が死んでしまえば良いってことになりかねないけど、それは絶対に違っていると直感が教える。

 生き続けることによって自分にもたらされる何か。他人にもたらすだろう何か。それを考えると立ち止まって終わらせるより、這ってでも前へと進むことを選ぶべきなのだろう。ではなにがもたらされるのか。なにをもたらすのか。まだ17歳という張間ミカさんのトクマノベルズEdge新人賞受賞作「楽園まで」(徳間書店)を読めば明確ではなくても答えらしきものがきっと感じられる。目の色が違う。それだけで教会に悪魔として追われる世界があってそこで違った目の色を持っていた少女と少年の双子が、養い親を異端の支援者として殺され居場所を失い逃亡の旅に出る。養い親に聞いていたのは楽園を描いた絵がどこかにあるということ。見つかれば殺される過酷な世に行き、さらに見つかって殺された親しい人を間近に得て双子はせめて楽園をこの目で見たいと雪原を歩いて絵のあるという町へと向かう。

 路銀が尽きたところを助けたのはひとりの坑夫。妙な縁から2人の面倒を見るようになり、果てに2人が異端の悪魔だと知っても離れずいっしょに旅を続ける。教会が迫り逃げ出した果てに2人が捕まって、そして逃げ出した時にはさすがに命を惜しんで教会に協力する姿勢を見せるものの、一所懸命に生きる2人、楽園の絵が見たいという2人のただ平穏に暮らせる場所、けれども絶対にあり得なさそうな場所を求める姿の清らかさと傷ましさに心を揺らせていく。

 後半、楽園が近づいた時に双子の姉が楽園を見てしまった後にではいったい何を目指せば良いんだろうと虚ろに思う気持ちが、未来のまるで見えない中で就職でも恋愛でも何でもどこか空虚で投げやりになってしまっている現代人の気質に重なって来る。けれども双子はそこで踏みとどまらずに先を目指す。苛烈かもしれず永遠に到達できないかもしれない旅路を歩む双子の姿に、ならば楽園は自分たちで作り出すんだという気持ちを誰もが持てれば、世界は良い方向へと傾いてくれると思うんだけれどこのどうしようもない行き詰まり感は、容易には変えられそうにないからなあ。だからこその「楽園まで」か。読んで誰もが未来を、行き詰まりのその向こう側を信じる気持ちを抱いて欲しい。そのために多くに読まれて欲しいと切に願う。それにしてもどこからでも凄い才能が出てくるなあ。


【1月22日】 「氷結の魔女」も風邪をひいたらただの女の子って感じに弱体化していたその隙を縫って現れたのは双頭の犬「オルトロス」の二つ名を持つ双子の姉妹。スーパーを持つ家に育って売り場を庭のようにして育つ中で技術を高め格闘能力を得て散々っぱら荒らし回ったもののその突出した才能を忌避される事態を招いて一時引退状態に。それでも新たに得たフィールドでもって今再びの戦いに身を投じた2人に今ふたたびの陰がしのびよる……って感じのアサウラさん「ベン・トー」最新刊がいよいよ登場。

 その名も「国産うなぎ弁当300円」(集英社スーパーダッシュ文庫)はオルトロスがいったいどうやって“敗北感”を味わわされたのかが明らかになってなあるほど。でもそれって倒す方にだって妙な敗北感が残りそうなものだけれど、気づかず平気でやってしまえたところにしょせんは犬以下の存在でしかなかったってことが見えてくる。「氷結の魔女」だって新たに二つ名をもらった「変態」だって他の狼たちだって、その街にいれば絶対にやらないことだよなあ。他だってそうじゃないかと重うんだけれど、それだけ双子が圧倒的すぎたってことなのか。「氷結の魔女」が妙にデレてて良い融け具合。けど治ればきっとツンに戻ってくれると信じたい。白梅梅にもデレな訪れを。いやあれはガチに徹底してツンだから良いのだけれど。

 「空を見上げる君の瞳は1万ボルト」じゃなかった「空を見上げる少女の瞳に映る世界」の第2話は第2話なんだけれども進んだのはスズメが優男だけれどヤサグレている少年カズヤといっしょに川を越えようとするまでをユメミにイチコとカズヤとの会話でつないで20数分。存亡の危機にある天上界の魔導国だかがどーなっているかは分からずシャザーン(違う!)は現れずオープニングでくるくる回って麗しさを発揮してくれるライカ姉さんも出てこず見所にやや不自由したエピソードになっていた。

 何か見た記憶があるってことはたぶん大昔に買っておいたオリジナルビデオ版のまだ1巻目? スズメとカズヤが川を渡りきって喝采を確か浴びたんだっけ、そんな展開のあった1巻を追え2巻を3分割して6話まで埋めるって話もまんざら噂ではないのかも。絵がすさまじく完璧なだけに残念というか、そもそもどーしてこんな企画が動いて通ったんだろう? 忙しいんじゃないのか京都アニメーション? それとも何か深い目算があるのだろうか。どうせだたら「勝手に桃天使」をテレビシリーズ化してくれれば良いのになあ。好きだったんだ、あれ。

 でもって「鋼殻のレギオス」は冒頭での戦いが過去なのか未来なのかいまいち判然としなかったのを脇において登場したニーナの潔い座りっぷりに目をまず見張る。スパッツか。でもってヒョロく見えたレイフォンが真の力を爆発させてニーナの立場は形無しで無言のまま立ち去ってさあこれからどんないざこざが待ち受けているのかな。けど機関部の掃除とかってアルバイト、そりゃあ大変だよなあ、あれだけの規模をたった2人で掃除しているんだから。大事な場所でたぶん危険な場所なのに、恰好は普段着で手にモップ。自動化もしてなければ防護服もないってのはそれだけクリーンなエネルギーで動いているってことなのか。やっぱり都市には謎が多そう。

 「マンガ大賞2009」にノミネートされてる作品を読みまくる月間。ってんで小山宙哉さんの「宇宙兄弟」(講談社)は表紙がラメラメでキラキラ。どういう理由からなんだろう。こういう凝った装丁の本って売れそうもないのをカバーする意味で行われるケースが多いんだっけ? そんな感じもしないでもないけれども4巻まで出て「マンガ大賞2009」にノミネートされてこれで受賞でもすれば一気に増刷もされて書棚にも残ることになるからコスト的に大変かも。兄弟で宇宙飛行士になろうと誓ってから幾年月。弟は一足早くちゃんと宇宙飛行士になったのに兄貴はそれなりのカーデザイナーになりながら頭突き事件で首になってフリーター。それでも一念発起し宇宙飛行士を目指すって話は設定的に感動的な上に宇宙飛行士になる上で試されることが細かく紹介してあって参考になりそう。見ると割と誰でもなれそうな気がしてくるけれど、実際は大変なんだろうなあ。

 んで小林まことさん「青春少年マガジン1978−1983」(講談社)は「少年マガジン」でデビューした小林まことさんが「1・2の三四郎」を当ててブレイクするまでの話をあんまり深刻ぶらずに描きながら小野新二さん大和田夏希さんって同期の漫画家たちとの切磋琢磨を振り返った青春ストーリー。「1・2の三四郎」が全盛の頃のマガジンは結構な頻度で読んでいたけど大和田さん小野さんって漫画家についての強烈な記憶がないのは当時は買って細かく読み込むことなく好きな作品だけを選んで読んでいたからなのか。もちろん「タフネス大地」や「OH!タカラヅカ」って作品のタイトルは記憶にあるけど「The・かぼちゃワイン」とか「コータローまかりとおる」程の強烈な印象は残ってない。後の活躍ぶりを見るとなるほどって気もしないでもないところに漫画家という仕事の残酷さってものも浮かんで来る。鬼籍へと入った大和田、小野のお二方に黙祷。

 そうか女の子だったんだと改めて気づいたカペラちゃん。あんなに尊大にバーディーを見下していたのにリュンカ事件が片づいた後で連邦だか軍を放逐されてしまったようで今はイルマの事務所で可愛らしい制服なんかを着せられお茶くみ業に邁進中。リュンカ事件に関わっていたと史ったらバーディーだって怒り出しそうなものだけれども、果たしてバーディーと面識があったかはちょっと記憶にないんであるいは単純にどっかから流れてきたアルタ人の子供だと思っていじくり倒しているのか。もちろんカペラは相手がバーディーだと知っているから憎さ100倍と雑巾を絞った珈琲を出したら飲まずに自分に返ってきた。つくづく不運な奴。少しは見せ場とかあるのかな。でも今のまんまで十分って気も。見守りたい。


【1月21日】 普通に巻誠一郎選手のお陰だろう、後半に入ってアジアカップの予選にのぞんだサッカーの日本代表が活性化したのは巻が入ってコーナーキックからまずヘディングでゴールマウスへ。その高さと威力に周囲もこりゃあマークが必要ってなって人を割けば当然にしてほかにノーマークの選手が生まれてボールが渡るようになる。田中達也選手がゴール前で完全フリーになっていたのも岡崎慎司選手が何本もシュートを放てたのも前戦に巻選手が入って放り込んでも大丈夫になってそして相手のディフェンスも分散して薄くなったから。

 って言うのはちょっと言い過ぎかもしれないけれども、決して的はずれではない証拠に、岡田監督も巻の投入とその後の活躍をちゃんとしっかり評価している。だからちゃんとバーレーンにも連れて行く。玉田圭司選手が呼ばれて田中選手もいてと出番はないかもしれないけれど、いて安心の選手に入っていることを考えるなら実力はやっぱりトップ級ってことでそのパワーとやる気を注ぎ込んで代表をまずは南アフリカに連れていって欲しいもの。なおかつ戻ってジェフユナイテッド市原・千葉にタイトルをもたらして欲しいもの。「ちばぎんカップ」はちゃんと出てくれるかなあ。期待。期待。大期待。今期はだから「18 MAKI」でユニフォームを作るか。

 イツァーク・パールマンにヨーヨー・マにあと有名だけれどぼくは知らないクラリネットとピアノの人のカルテットが奏でる音楽の清いこと美しいこと。下手な喋りを入れたらかえって壊れると場を読んでかNHKもすぐに誰も喋らなくなって響き渡る音楽をそのまま耳に入れることが出来たのはなかなかだったけれども出来れば最初っからノイズのない形で聴きたいんでNHKでもどこでもオバマ大統領の就任式をノンテロップならぬノンアナウンスで放送するなり、DVDで出してくれたら有り難い。あっとでも演説んところは完璧な字幕か吹き替えが嬉しいかも。いくら平明な英語だからって不得意にゃあ一緒なのだよ分からないってことでは。

 武士と町人の間に依然、厳密極まりない格差があるのだとしたら、日本はいったいどうやって近代化を成し遂げ自動車にパソコンに携帯電話といった産業を発達させ、ロックだ何だといった文化を育んだんだろうっていった疑問はまるっと棚に上げるなり、左に避けるなりしてここはただただ「現代の雰囲気に江戸時代の仕組みがまるっと重なっていたら面白いじゃん」って感じなお気楽さを選んだらしい吉岡平さん「エンブレムは葵 カレシは征夷大将軍」(朝日ノベルズ)。武蔵野あたりの会場でロックコンサートが開かれていて、そこに一般庶民が集まっていたところに田安家の次男坊がやって来てVIP席から観覧して帰ろうとして刺客に襲われ、そこでコンサートに来ていた羊羹屋の娘を見初めて身分をこえたラブストーリーが始幕を開ける。

 さらに娘は一橋家の長男で実は将軍の娘の隠し子だったりする男にも気に入られたりしたところに起こった跡継ぎをめぐる騒動で、田安家の長男が継いだとたんに命を失う事態となって田安一ツ橋に水戸と尾張の御三家も交えた跡目争いが始まる最中に将軍家転覆を狙う陰謀もあってとくんずほぐれつの大騒動。けど時代は現代で普通に近代化されていたりして、世間の耳目が集まるなかを4人が敵を相手に戦ったりする様が報道されたりするから何が何だか分からない。民主化された現代でなければ得られないような産業なり行政なりが成立していてなおかつ江戸幕府が続いているって設定が実に異色。

 まあ江戸時代だって考えてみれば歌舞伎に浮世絵と庶民文化が街を席巻し経済も回していたことはいた訳で、その風潮が続いて庶民の力が強いのかというと、娘が一ツ橋の家に行儀見習いに出されては、町民だからと縁側に上がらせてもらえなかったり鎧や刀に手を触れることを禁じられたりとしっかり封建制度も身分制度も続いている。そうした武家社会的な興味深さを、現代に社会的な仕組みを転がす上で差し障りのない範囲で残してみせたってあたりが一種の発明か。女性向けライトノベルのレーベルあたりじゃあちょい架空の社会でもってありそうな設定だけれど、これを堂々、朝日ノベルズでやってしまえる吉岡さんに拍手。もしかして続きとか考えていたりするのかな。

 バルメが巨大だ。どこかは聴かない。ようやくやっと買えた「サンデーGX」の「ヨルムンガンド」はココちゃんを狙った殺し屋のドミニクから逃げて車を走らせていたウゴが突然に車をターンさせてはバックで高速で走りながら追いかけてきたドミニクに正対しつつ銃をぶち込む高等技術を披露。元マフィアだから最初に殺ろうって感じで挑んでいた殺し屋だったのに相手が最悪だったみたい。っていうかココちゃんの周囲にやりやすい奴なんていないけど。んで南アフリカへと出向いたバルメはいよいよ単身で陳国明のいる工場へと乗り込んでは割れた腹筋を見せつつバトル。あれをみると巨大なバストもやっぱりただの筋肉かって心配になるけど固いか違うかを確かめようと触った瞬間にナイフで顔面、削られそうなんで自重。ドミニクとリリアーヌとグレゴワールは無事レストランを開けたんだろうか。

 んで「BLACK LAGOON」はロシアにアメリカの間にコロンビア娘が入っての戦闘がひとまず終結していたみたいだけれどもファビオラとガルシアはホテルに滞在して引き上げようとしていのにロベルタはおらず。まだどこかで戦っているのか。ファビオラとガルシアを守っていたレヴィやロックやシェンホアやソーヤーやロットン・ザ・ウィザードの姿も見えず。どうしてしまったんだろう。やっぱりロベルタ絡みでまだまだどこかで戦っているのか。ひとやすみっぽい今回をこえて次の展開を待とう。単行本で8巻まで出てしまったから次に単行本が出てしまうだろう来年以降はもう「マンガ大賞」の候補作にはなれないんだよなあ。勿体ないけどタイプでもないんで仕方がないか。今回はパスした「ヨルムンガンド」は来年に復活を期す。バルメはそれまで生きていること。


日刊リウイチへ戻る
リウイチのホームページへ戻る