縮刷版2007年8月下旬号


【8月31日】 えっとただの動物じゃあなかったんだなワームって。ナノマシンをたたき込んで縮体したところを3方向からトライアングルのバリアみたいのでくるりとくるんでデリート。ってことは「地球防衛少女まおちゃん」の必殺技と変わらないのか、でも相手が可愛い宇宙人とは違って逃したら人がわんさとやられて施設も甚大な被害を受けるワームなだけに失敗は許されない。だから幼児ではなく少女たちが割り当てられたんだろう、って言うほど違いはないけれど。音羽の胸板とか。

 コンビナートが動き始めた途端に現れ攻撃を始めるってことは何だろー、エネルギーの供給を察知してつぶす本能でも刷り込まれているのか、つまりそれは敵対国が相手国の生産性を弱らせるために作り出した兵器ってことなのか、それとも地球全体のエネルギー依存が激しくなった時に地球の魂みたいなんものがエネルギー消費を抑えるために大魔人よろしく送り出したものなのか。考えるほどにいろいろと奥深そう。だから見続けよう「スカイガールズ」、決してナノスキンジェルをまとった薄着の美少女目当てじゃないぞ。

 眠り起き出して世界&日本SF大会の「Nippon2007」の当方的には2日目。たどり着くとレジストレーション場所が移動していて噂の並んで30分経ってもたどり着かない混雑ぶりをその目で見ることはかなわず。とりあえずは昨日のうちに終えておいて良かったなあ。その脚でとりあえずコミックマーケット関連の企画の第1段目を見物。大田区での立ち上がりから晴海幕張を経て東京ビッグサイトへと至る流れとそして合間合間にあったトピックなんかを語り、概略を紹介するって内容で、すでにコミケについては熟練まではいかなくっても肌で体感はしている人なら、割と当たり前に受け流してしまいそーな話だったけれども、場は世界からSF好きが集まるワールドコンだけあって、同人誌即売会について理解はしていてもコミケがどんな成り立ちでどんな規模かを肌に覚えていない外国からの参加者も入っていたんで、あれだけの規模のものがどうやって出現したのかを話した企画の内容は、きっと驚きの連続だったかも。3万3000サークルが出て55万人も集まるなんて世界のどこを探したって存在しないし。

 あと日本語で話された内容が1だとすると、それに補則して1・8くらいにして喋る通訳の人の詳しさもあってもし、その場で初めてコミケについて学んだという人がいたら、日本語の分かる人より英語の分かる人の方がより詳細を知れたかも。外国風の顔をしていたけれど喋ると日本語は完璧で、もちろん英語はネイティブな上にコミケに詳しい彼の正体は何だろー、コミケスタッフ? 全体に通訳が不足しているっぽい大会で彼を徴用すれば、他のパネルなんかもっと愉快な内容に出来るんじゃなかろーか、英語企画は外国からの参加者が中心で、日本語企画は日本からの参加者に分かれている傾向が出ていて、日本を世界にアピールする大会って意義を完遂する上でやや、ネックになっているっぽいからなあ。ってもコミケに詳しいからってSFにも詳しいとは限らないけど。その点で米澤嘉博さんは、SFにももちろんコミケにも詳しい人だった。

 というパネルも午後にあって、こちらは「Nippon007」の実行委員長でSFにはもちろん詳しい井上博明さんも交えつつ、コミケを支えてきた人たちが米澤さんをしのぶ内容で進行。大会なりSFセミナーへと足を運べばそこにいて、煙草部屋なり喫煙室で煙草を吸いつつ企画へと出て漫画のことや、大瀧詠一のことについて喋る姿を見てきただけのその姿が今年は、それも日本で初めて開かれた「世界SF大会」の場で見られないというのは残念なことこの上ないけれども、残念さで言うならおそらくは当人が1番だったはず。ここにこうして居られる我が身の幸福を思いつつ出られなかった人たちの思いを偲ぶ。

 何しろ同人誌即売会もコスプレも源流を辿ると世界SF大会に行き当たる。すべての源であるワールドコン。その場に米澤さん当人は立てなかったけれども、コミケ関連の企画が大会を通して行われていることでその偉績を偲べたのは大変に良かった。願うならこうしたSF大会の場でコミケの存在に触れた外国の人が、母国に戻ってその成り立ちなんかを話し広めて世界にも、同様のスピリッツを生み出していけばきっと楽しい世の中になってくれると信じたいけど米やんを偲ぶこのパネル、なぜか日本人ばっかりだったんだよなあ。裏ですごい企画でもあったのかなあ。ブリンとニーヴンがアルティメットやっていた、とか。

モダンアート娘だ久しぶりだ引っ張るのって幾らでやらせてもらえるんだ  笙野頼子さんが大爆発してキャラクター性だけに寄った小説を大撃破しつつ、同じパネルに並んだ外国の研究者(眼鏡っ娘!)が想像力をかき立てる文体だって褒めそやす村上春樹を、やっぱり笙野頼子さんが「敵だ」と言って論う横で、春樹について発表した外国の研究者が弱りつつもそこでどういうことなのかと訪ねてレクチャーを受ける姿に感銘を覚えつつ、「アヴァンポップ」のイベントを見終えて夕方のパネルまで出来た時間の合間を抜って立ち寄ったエキシビションホールでは、昨日に続いて八谷和彦さんがメーヴェっぽい乗り物の横であれこれプレゼンテーション中。とそこに黄色いワンピースを着て頭に金髪のウィッグを乗せた綺麗な女の人が2人組で、首につけられたひもを誰かに引かれて歩いて来てはメーヴェっぽい乗り物を体験し始めた。何かのコスプレ? って思ってみていたらさらに2人増えて同じ容姿をした女性が4人も勢揃い。配っていたチラシからそれが「娘犬」ってゆーものだと分かったけれどもどこかのSF関連団体が出展のついでに宣伝に廻っている雰囲気はない。

 むしろアートパフォーマンス。ってことでふと思いついたのが「GEI−SAI」なんかでパフォーマンスを繰り広げていたアーティストの美女たちで、「モーニング娘。」ならぬ「東京モダンアート娘」って名前でいろいろやっていたなあ、「GEISAI」もなくなって最近は姿を見ないなあ、と思いつつパンフレットを開いたらその「娘犬」が新しい「東京モダンアート娘」のパフォーマンスだった。こんな場所でお目にかかれるとは。元から結構な美人そろいだったけれどもお揃いの格好をしているとよけいに美人に見えてくる。これが金髪効果って奴か。あるいは首輪の醸し出す嗜虐性が男の官能をくすぐり美しさを倍加させている、とか。

 交流もひとしきり終わったあとで4人並んだ女の子たちの首から伸びたロープを手に持ち、おそらくはアート関連ってことで正体を知っていた八谷さんが引っ張って会場の中を巡回していたけれども、事情を知らない人はいった何の作品の場面だろう? って頭を巡らせたかも。「コードギアス 反逆のルルーシュ」の犬祭り? いやあれは猫祭りだし着ぐるみも着てない。あるいはどこの「娘犬喫茶」の宣伝か、どこに行けば会えるのか、とか。無料で誰でも入れるエキシビションホールならではの光景、こーゆーアートとSFの異業種的クロスが双方に新しい刺激と知識をもたらし、交流が始まると面白いなあ。SFが嫌いじゃなさそーなことを前に行ってた村上隆さんも、世界にアピールできる場だからと何か出せば良かったのに。ここまで有名になると今さら出せないだろうけど、その存在感をSF方面に広めることは出来ただろーから。何だこの絵は? ドラゴンは描かれていないのか、メカも今ひとつだなあ、とSFアートの大御所からあれこれ突っ込まれたりして。


【8月30日】 つまりそれは法則なのだ。正義の組織は常に傀儡。行ってしまえばゼーレの下に置かれたネルフみたいなもで陰で世界を牛耳ろうと企む大人たちの思惑によって動かされ泳がされつつ、最終段階では大人たちの悪意によって占拠され蹂躙されることになる。けれども最前線で純真に正義を信じて闘ってきた子供たちの輝かんばかりの姿に我が身を恥じた意識ある大人が、秘められた対術なり能力なりを発動して善意の子供たちの未来を切り開く。かくして悪意は蹴散らされ正義の組織を傀儡にしようとしていた大人たちは排除され、子供たちは堂々として決戦の場へと向かい真の正義は勝利へと向かって大きく足を踏み出すのであった。

 えっとネタ被りすぎです「アイドルマスター XENOGLOSSIA」と「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」。「アイマス」の方はモンデンキントの上位にあってアイドルたちを確保するかそれともトゥリアビータに奪われるくらいなら排除すべきって考えの大人たちによって占拠され、働いていた女の子たちもまとめて他へと異動させられるけれどもそこに立ちふさがったのがジョゼフ・真月と女医の蛍さん。ジョゼフは切れ者って評判の頭脳を働かせ、見かけによらない体術も駆使して突破口を切り開き、蛍さんはマイ金属バットに「kill」のシールをいっぱい貼って振り回しては名だたる特殊部隊をことごとく粉砕していく。いやあ良い振りだ。あの野球のシーンのホームランがここに伏線として生きてきたとは。

 まあ切れ者って割にはモンデンキントの上にある組織に最後まで気づかずアイドルが持っている意味についても訪ねてはあずさから関係ないって言われて引っ込むあたりはそれほどの情報通とは言えなさそー。むしろカリフォルニア工科大学を主席で卒業した空羽の方が情報収集でも何でも役に立ってる気がするけれど、そーした多士済々を束ねて動かす調整能力と人下根期な魅力に優れているのがジョゼフの凄み、って言えば多分言えるんだろー。お茶も上手だし。あと千早が早速壊れかかってて雪歩ちゃんがイジけ初めてて楽しそう。触るなって突き飛ばすあたりの目のイっちゃってるぶり。それほどまでに溺愛していて果たして戦えるのかねえ。つかどーやって取り戻すんだろー、春香たち。

 一方の「ギガンティック」はやっぱり出来レースだった日本とアメリカ、ってゆーかそもそも日本はロシアに勝つつもりがあったかも悩ましいだけにプレジデントが何をどー考えていたのかって辺りに世界を伺う鍵がありそー。んでもってロシアが引っ込み相手が日本と変わって統合幕僚本部だかと話し合って日本のスサノオは武装解除の木偶としてアメリカのギガンティックに当たらせ倒させ世界はアメリカの手に、そして協力した日本の偉いさんには相応の地位をって段取りになっていたんだろーけどそこはそれ、戦うことが使命とされたギガンティックに乗るうちに感情を支配されつつあったよーでアメリカのパイロットが正々堂々の戦いを訴え談合は雲散霧消する。

 かくしてスサノオに乗り込み真名さんと慎吾くんは武装もろくすっぽないスサノオで果たして戦えるのか? ってところで以下次回。まだ1ヶ月くらいある話数のどこまでをこの戦いに当てるのか、あるいはさらにラスボス登場となるのか先が楽しみ。しかしやっぱりそっくりな展開だよなあ、それがどんぴしゃりと同じ週に重なってくる。やっぱりここいらでって感覚でプロットを練るとやっぱり似てくるものなのか。まあ蹂躙と解放のプロセスでいうなら粉砕バットで数人が粉砕されたくらいで女の子たちの進入を許してしまうモンデンキントジャパンの警備体制は甘すぎるって気もして、中央国の手練れの2人ですら腕を振るえず一時は完全に沈黙させられた「ギガンティック」の方がリアリティはあるけれど。とはいえ面白さじゃあ粉砕バットか。リアルとギャグのどちらを取るか。アニメってだから難しいし面白い。

 そして起き出して横浜へと向かい世界&日本SF大会「Nippon2007」を見物。もちろん日本代表のつもりでサッカー日本代表のユニフォームを着ていった、のは半分は本当だけれど半分は夜のサッカー女子日本代表がカナダと闘う試合を見に行くためだったりしたんで、取材に入っているNHKから「やはり日本代表の気持ちでご参加ですか」と聞かれて「そのとおりですドイツでの借りを返します」って訳の分からないことを言って受けを狙うのはちょっとはばかられたけど幸いにしてそーゆー場面には行き当たらず。ちょっと残念。それなら明日はイチローのユニフォームを着て「アメリカの中に切り込むサムライ」って風情を出して受けを狙おう。まるで誰からも注目されないだろーけど。

 受付を済ませてとりあえずヤングキングの漫画家さんが集まりお題に合わせてイラストを描く部屋を見物。あの「水惑星年代記」の大石まさるさんと才谷ウメタロウさんと門間剛さんが登壇して自己紹介のイラストを描いた後はたとえば横浜ってお題で大石さんと才谷さんがそろって中華街にちなんでチャイナさんぽい女性を描いたのに対して門間さんは猫を描いて横浜で拾った猫だと主張。メカってお題には大石さんが腕に線を描いてここでジョイントになっているからメカ少女と主張すれば才谷さんはお腹にマジックで四角を描いてここがフタになっているからメカ少女(のつもり)なんだと主張。かぶりあうネタにひとり門間さなけがエンタープライズ号を、それも猫の顔をしたエンタープライズ号を描いて受けを取る。取ったのか?

やってきたぞメーヴェがSF大会に。これを本当に飛ばしたかったらみんなDVDを買うんだぞう  そんな感じで描かれた絵はじゃんけんで勝ち残った来場者に配られることになっていて、幾度か参加したもののほとんどが1戦目で負けてどれも奪えず、両隣に座っていた人が共に大石まさるさんのひとりは金星人でもうひとりは自己紹介用のサイン入りイラストをゲットする中で敗北感を噛みしめ会場を後にする。時間も開いたんでぶらぶらとしつつ「コードギアス 反逆のルルーシュ」のコスプレはいないなあと残念がりつつ、外国から参加している女の子が金髪で眼鏡っ娘でこいつは眼福を目で追い楽しみやっぱり外国から参加の女の子がナイスな体系でこれも眼福と幸せにひたりつつ時間をつぶしてから展示場で行われるエキシビションへと出向いたら午後4時のオープンが設営の遅れで始まらず、1時かほど入場口に立って時間を過ごしてからようやく開いた会場へと入って「メーヴェ」っぽい飛行機を展示している八谷和彦さんに挨拶したり「マノイ」を見物しているみなとみらいな人を見たり「Nippon2007」のイラスト入りTシャツを買って今日はおしまい。会場を後にして東横線で国立競技場へと向かったら途中で信号機故障で電車が立ち往生。

 それでも動いて中目黒までたどり着いたんで日比谷線から六本木へと周り大江戸線で国立競技場へと向かい10分ほど遅れて始まったなでしこジャパンの試合をそっちのけでカナダを応援に来ていた金髪の女の子たちを見物する。そーゆー日なんだ今日は。いや試合もちゃんと見物。サイドから崩して鋭くクロスを入れる攻撃とか効くとなかなかにチャンスは作れるんだけれど中央に構えるカナダのディフェンスが高いため、中盤からのゆるいクロスはことごとく跳ね返されてなかなかチャンスを作れない。飛び出しにすぐれた大谷未央選手を入れてスルーを狙ってもオフサイドをとられたりして得点を奪えない。

 一方で日本の守備もなかなかに固くって普通の攻撃は許さず、速いカウンターも寄せて詰めて打たせずそのまま両者無得点で試合終了。順位では確か1つ上の9位だかにいるカナダを相手に良くやったって印象だけれどやっぱり近賀選手がサイドを走っていれたクロスを決めておいて欲しかった。あれはキーパーが巧すぎた。残念。選手交代を3人に抑えたのはそれだけワールドカップモードに入っているって現れか。それでいて何人も代えて来たカナダを相手に無得点に守りきったんだからワールドカップ本戦でもそれなりの試合は見せてくれそー。あとはやっぱり得点力。荒川恵理子選手の爆発にかけるか大野忍選手の走り込みに期待するか新たなるヒロインの登場を待つか。いないんだよなあそこに収まるホープが。誰もそれなりにそこそこ。だからこそ若くはないけどジェフ千葉レディースから世紀のスピードスター、石田美穂子選手を呼んで試してみて欲しかったなあ。ディビジョン1に上がって目立って来年の五輪に入ってくれたら面白いよなあ。

 縮小均衡などでは断じてないらしー地方撤収と系列ビジネス紙の半統合を行うだけなら、まあ選択と集中とやらの一環であり都会的な体制への転換だと思えば思えないこともないけれど、世に稼ぎ頭だとみなされていた夕刊紙までいろいろと将来が取りざたされているとあっては、もはや状態はなかなかな瀬戸際なのかもしれないって不安がもわもわ。それも片足は完全に中へとういて残る片足も半分くらいが縁から出ていて、おまけに踏ん張っている場所に亀裂が入り始めてるってくらいな瀬戸際っぷりにあるんじゃないかって不安が浮かんで夜も眠れない、佳境に入る深夜アニメ見なきゃあいけないし。

 一方でおしゃれな都会のタブロイドとやらを作り噂ベースでは二桁億円なんて宣伝費を注ぎ込んではみたもののおしゃれな都会のタブロイドを買ってくれそーな人の多い首都圏のキオスクにはおかず宅配のみにする戦略の画期的さ、1年半くらいかけてよーやく人も付き始めたとはいえ収益になっているかというと黙秘権を行使したくなるネット事業をさらに拡張させ、なおかつ既に衰退期へと向かいそこに関係することがニュースにはならず、逆に無駄金を使うだけのネガティブな施策と思われ始めていたりするメタバースの二番煎じを、今更始めようとしたりする戦略の凡人には想像も及ばない高邁さなんかもあったりするだけに、これだけの前向きっぷりには単なる外面の良さなんかではなく、緻密な試算に基づいた勝利への絶大なる自信あるに違いないって考えも浮かぶ、っていうかそう思わなければ不安で朝も起きられない、深夜アニメを見過ぎたからではなく。だからこそ数値を挙げて状況を説明しつつ未来への確たる試算を示し、なおかつ外部の第三者的な立場の人に評価してもらいお墨付きを得て、凡人たちに安心感を与えて欲しいものだよなあ。それが公器ってものを標榜する存在を率いる者の矜持だよなあ。


【8月29日】 とてつもなく素晴らしくて凄くって奥深くって幅広そうな映像を見て感動して帰ってその目で見た「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」は、やっぱり愉快で楽しくって嫌らしくって気持ちよかった。あれもアニメーションならこれもアニメーション。良いものですねえアニメって。んで水泳部が出来た当時のエピソードからどーして今は顧問がいないかって理由に黄瀬早苗の画策があったと判明、大人しそうでまじめそうで実はいろいろやってたらしー。あー怖い怖い。新谷良子さんが声を当てているキャラにあるまじき怖さ。いやミルフィーユは別の意味で怖かったけれど。にこにこしながら銀河を滅ぼすよーな。

 アニメじゃあ静岡さんがあんまり見られず残念だったけれども連載の「少年マガジン」最新号では生来の好奇心からあれこれ男性にちょっかいを出してるよーで、頬赤らめてエグいことする静岡さんに要注目。おまけっぽいショートエピソードでは生田蒔輝がホームページを立ち上げアイコラ満載で静岡さんとかとっても凄かったけれど最初のトップページのひどさは「SOS団」並だったよなあ、あれ作る方がかえってむずかしいんじゃなかろーか。ってな感じに明るく健康にエッチな「ウミショー」を夜中の2時に楽しむ秋は果たして厄年男子にとって健康か? 不健康か? 論外だな。

 67万本も行っているのか「レイトン教授と不思議な町」は「ドラゴンクエスト8」なんかを手がけたレベルファイブって会社が初めて自分のところで販売までするタイトルとして気合いを入れて作ったこともあって、多湖輝さんの「頭の体操」を単に繰り返し解いていくだけの脳トレゲームを脱却して、面白くって不思議なストーリーを格好良くって可愛らしいキャラクターが演じる内容が、物語り好きミステリー好き「水曜どうでしょう」好き眼鏡っ娘好きに大ヒットして続編の発売も早決定。それがいよいよ正式に発表になるってんで駆けつけるとまずは「レイトン教授」がなにやら実写映画になるっていった話が飛びだしひっくり返る。「白騎士」の映像を見てひっくり返ったのとは別の意味で。

 だってあれってあまりに大泉洋さんのイメージが強いじゃん、でも声はともかくあのモジャモジャ頭で英国紳士はさすがに難しいだろーから本番には髪を整え出演するのか、それとも別の誰かが演じることになるのかちょっと先が見えて来ない。ルーク少年は最近男装も板に付いてきた堀北真希さんがそのままでオッケーなんだけど。さらに続編の「レイトン教授と悪魔の箱」には適役として大沢たかおさんが声を当てる予定。ヒロインにも大後寿々花さんとメジャーどころが起用されて大泉さん堀北さんと揃い踏み。それだけで映画が1本作れちゃいそーなキャスティングの大盤振る舞いもひとえに1作目が売れたから出来たことなんだろー。面白かったからなあ。「白騎士」もそれくらいに面白くなるのかなあ。

 よく練られてあったとは言え謎がストーリーとはあまり無縁の内容だった「レイトン教授と不思議な町」の反省も込めて「悪魔の箱」ではストーリーと関連のある謎を入れ込むよーに謎も新作を用意するとかでご高齢の多湖先生を御宿かどこかで合宿させてアイディアを捻りだしたとかで何か期待。個人的には謎がストーリーとは無縁でも面白ければそれで良く、むしろ無理矢理話に合わされて簡単になったりするのは本末転倒のよーな気もするけれどもそこは多湖さんだけにきっとバッチリ決めてくれると信じて発売日の11月29日を待とう。その時までちゃんと会社は生きているかなあ。生きていてくれないと買えないもんなあ。「白騎士」が出る時は多分ないだろーなあ。

 さらに「レイトン教授」シリーズの成功に気を大きくしたのかオリジナルのサッカーゲームまで作るって発表。その名も「イナズマイレブン」はRPGってことで選手をクエストってゆーがサッカーのプレーをさせて鍛え上げていく楽しみがあるんだけれどもサッカーそのもののプレーもなかなか楽しそう。「ニンテンドーDS」のタッチパネルにペンを向けて選手の足下のボールを指示してあっちに矢印で引っ張ったりしてパス交換をさせつつ、コマンドでシュートかすっごいシュートかを選んで打たせる操作系はコントローラでカーソルを合わせるよりも直感的で実感的なプレーを楽しめそう。問題はややファンタジックでアストロチックになっててタイガーシュート以上に爆裂的なシュートもあればほとんどバリアーを張って防御するゴールキーパーの守備もあって、サッカー本来の楽しさを味わいたい人にはいろいろ不満も出そう。

 とはいえあれだけ現実味から遊離していった「キャプテン翼」だってファンの気持ちを煽り大勢のサッカー好きを全国的に生み出しては、来賓として来ていた川淵三郎キャプテンの挨拶にもあったよーにJリーグを作り98年のワールドカップフランス大会に出場する礎を築いた訳で、それでも未だ世界には及ばない日本の実力をさらに高める上でこの「イナズマイレブン」は、川淵キャプテン曰く「オシムの言うように個の力を高めて日本のサッカーを世界レベルへと引っ張り上げる」効果を発揮してくれることになるらしー。でも世界で5000万部とかのキャプテン翼にゲームで果たして匹敵するだけの影響りょを区を与えられるのかなあ。要経過観察。10年後にイタリア代表のエースがイナズマシュートとかし始めたら影響があったんだって認めよう。

 これが半島の独裁国家とか「コードギアス反逆のルルーシュ」に出てくる神聖ブリタニア帝国だったら、偉大な指導者なり皇帝の咳をするかのよーに浮かんだ他愛もない思いつきをさも一大事と受け止め、収益性とか効率性とかいっさいの検討もしないで仰せがままにと実行に移そうとして、指導部から幹部へと直滑降で指令が下り、受けた幹部も上の覚えも目出度くありたいと現場の意向とか実現性を無視して、とにかく実行あるのみと言い募ってはみたものの、ただ言われたことを上から下へと受け流しているだけなんでどこにどんな問題があるかをシミュレートすることなんでまるでせず、結果実施までに1ヶ月を切る段階になっても実効性を伴ったプランの策定すら進んでおらず、走り出したら起こるだろー問題に対する解決策など一切出ていないんだけれども、上ににらまれるのが怖くって、誰も問題があります実行したらとんでもないことになりますとは言えず、かくしていつかの大躍進にも似た惨状が起こって数千万人とは言わないけれども数百人が飯の食い扶持を失い路頭に迷うことだってあるだろー。

 しかしそこは聡明にして英明なリーダーによって率いられた組織であって、自由闊達に意見も飛び交い問題点があるなら解決に向けて最大限の努力をし、実施するにあたっては綿密なシミュレーションを繰り返していて、たとえば1人に対する負担が倍増3倍増してパンクに至ってそれが製品のクオリティ低下を引き起こし、収益の悪化を招くなんて事態が起こるはずはない。絶対にない。30分以内の出前をサービスの中心とする一方で多彩なバリエーションを持とうとメニューの種類を増やした上にそれぞれをたっぷりの時間をかけて作り上げる調理も導入するといった具合に、相反するサービスを取り入れてしまった結果どちらも品質的に低下を免れず結果として売り上げを大きく落とす、なんて可能性を、頭の良い人たちが気づかないはずはない。

 だからきっと英明な指導者によって策定された完璧無比なプランに従って改革は粛々と進められ、その結果最前線にいる者たちはたっぷりの余裕をもって職務にあたることが出来るよーになっていて、そこで持てる最大限の能力を発揮できるよーになっているに違いない。そんな能力の発露が集合体となって製品のクオリティを大幅に向上させて、ユーザーを大喜びさせるっていった夢のよーな事態が現実になっているに違いない。違っていたら聡明で諫言など辞さず正義を貫こうとする大人たちが声を挙げないはずがない。例え相手が指導者であっても間違いは間違いと言いそれを指導者も間違いだったと受け止め改善してより良い状況へと向かおうと腐心するだろー。それが大人って奴だ。だから安心して1ヶ月後の訪れを待てば良いのだ。脱北したりする必要なんて全然ないのだ。ないのだ。ないのだ。


【8月28日】 絶望したっ! 1点差で負けているとはいえ1番2番がヒットで出てノーアウト1塁2塁の状況から3番4番に続けてバントをさせて3番はスリーバント失敗で4番はバントがピッチャーへのミニフライに終わってツーアウトに追い込まれそこから5番がセカンドに放った打球が内野安打っぽくなりながらも打者走者は1塁で結局アウトにされて1点も入らないという拙攻を見せたセガサミー野球部の青島健太采配に絶望したっ! まあ是が非でも1点が欲しかったって気持ちは分からないでもないけれども、横手投げの変則ピッチャーに小技で会わせるのって大変そうなだけにバントよりもヒッティングで押して畳みかけた方が可能性としても高かったよーな気がしてならない。

 結局はこの拙攻が響き逆に1点を奪われ2点リードされて1点を追いついたものの2対1で破れてセガサミーは都市対抗野球を敗退。東京都代表として初めて出場した試合で良くやったと評価したくってもあの采配の臆病ぶりを見ると来年にやっぱり同じテイストで出てこられるより豪快さで成るチームへと変貌を遂げてくれていた方が、見ていて楽しいよなあ。まあ応援も相手の常連とも言える西濃運輸に比べると仕掛けでもメンバーでもやや劣って初々しさが見えたんで、今回を糧にして来年はチアリーダーも揃え合いの手もいろいろ考え何かいかにも総合エンターテインメント企業らしい趣向を見せて欲しいもの。「スペースチャンネル5」の縁でマイコー、呼んで踊らせてみては、どう?

 と言われましてもセルジオ越後さん。「メンバー構成ではガラッと変えた部分もあった。とくに、ジェフの選手はひとりも選ばなかった。ケガをしていない選手もいたはずなのにジェフの選手たちは、失敗だったの?」ってあるけど代表に選ばれていた面子の巻羽生山岸は正真正銘のケガだったし水野水本は五輪代表とかがあって呼べなかったってオシム監督も直々に言ってくれちゃってる訳で、確かにケガをしていない選手はいてもそれは代表とは無縁の面々で、だから「今になってチーム作りに新しい方向性を打ち出すわけ」じゃあまったくないんだってことくらい、目の前で繰り広げられたカメルーンとの戦いを見れば分かろうものだろー。

 なのに「週刊サッカーダイジェスト」じゃあそーやってありもしないことから邪推を重ねて非難する。どんなことにだって突っ込みたいセルジオ越後さんには、そーした想像はおよびもつかなかった模様。「この1年やってきたことの意味が問われるよ?」って見た試合のここ1年でやって来たことがセルジオ越後さんには違って見えたんだろーか。メンバーが変わると違う方向性になってしまうと考えているんだろーか。きっとそーなんだろーな。「本当の評価は、こんな興行的な試合ではなく、きちんとした大会でなされるべきだ」って言うけどじゃあ、コンフェデレーションズカップに真剣勝負で臨む国なんて日本の他にあるの? たいした大会でもないコンフェデに出られないことってそんなに重大事なの? 出たって駄目だった例もごくごく身近にあった訳で、だからこそ4年後の「きちんとした大会」に向けた準備が成されているかどーかだけを見れば良いのに時折結果主義に舞い戻るから悩ましい。何をどうすれば満足するんだろーこの爺さん。永遠に満足なんてしないだろーな。だったら手前で監督をやって理想のチームを作り上げてみれば良いのに。まだ若いんだし。オシム爺なんかより。

 断言しよう。デジタル厚化粧なんかではなかったと。最初に聞いてまず思ったのはリファインされて安定した絵になって、見ていて安心な上にディテールがよりリアルに、より細かくなって場面場面にツッコミを入れなくっても良くなって、ストレスなく見られるよーになっただけ。本筋の部分には変化はなく、だからモノクロ時代の「サイボーグ009」に感動した身でエイベックスが作った「サイボーグ009」を見ても綺麗で漫画に近くはなったと感じても別に新しい感動はなかったよーな心理を覚えて徒労感を抱き、家路へと向かう可能性もあるんじゃないかってことだったけれども本編を見て、あきらめの先入観もあって浮かんだバリエーションの世界でしかないって印象が、畳みかけられるビジュアルのリアルさ雑多さに押し流されて完璧なまでに払拭された上に、ドッカーンと打ち出されるとてつもない要素が激しい衝撃となって見た者たちを打ちのめす。なるほどそう来るかって驚きを抱き、これは最終の部が上映されるまでは死ねないって勇気も浮かんでくる。

 なるほど「コードギアス 反逆のルルーシュ」の第2期が始まりエンディングを迎えるまでは死ねなかったけれども、きっとそれより後になるだろー劇場版のラストを見るまでもやっぱり死ねない。絶対に死ねない。そんな気分で今はいっぱい。たとえ勤め先が消滅して路頭に迷い住処を失って、日々の糧すら満足に得られない境遇に陥っていたとしても劇場版が公開されるんだったらポリバケツを漁ってでも金を得て、劇場へと駆けつけしかとその目で衝撃の展開と結末を確かめるから覚悟しろ。誰が何と言おうとその目でエンディングとそこに込められた意味を考え、結論へと迫るから待っていろ。ホントいつ公開になるんだろー。07年中は無理だよなあ。08年中かあるいは伸びて09年。北京五輪も終わっているだろーし、下手すりゃ南アフリカのワールドカップすら終わっているかもしれない状況。であっても、公開を待ち続けるし生き続けるんで無念を抱えて逝く大勢を出さないためにも、監督の人には真っ先に生きて作品を作り続けてやって頂戴な。


【8月27日】 日付変更線をまたいで「絶望先生」「らき☆すた」「ゼロの使い魔」の3本立てとそれからちょっと間をおいて「瀬戸の花嫁」に時間を奪われ本も読めない気持ちの弱さを克服できるのは何年後? ともあれ「さよなら絶望先生」はサービスショットも多数で嬉しい、とくに知恵先生の豊満ぶりとか。「らき☆すた」はのんべんだらーっとした感じ。京都に行ったらやっぱり行くのか京都アニメーション。そんな奴らばっかりだと本社前なんて埼玉の神社なんてもんじゃないくらいの人だかりも出来てしまうだろーに。近所の人も慣れている? それありかも。「ゼロの使い魔」はコルベール先生がいよいよ本領を発揮。髪は薄いけれども中身は凄かったってことで。次週にその弱々しげな態度の奥に潜む剛胆さを披露してくれそー。背中にはどんな紋々が?

 んで「瀬戸の花嫁」は委員長が可愛そう。燦の母ちゃんはなかなかに色っぽい。どうしてお風呂に水着姿でやって来るのか、ってそーかテレビ東京だからか。せっかくだからと1話からずいっと見返した「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」は下着どころかすっぽんぽんが連日連夜のオンパレード。あむろも部長も静岡さんもあっちでぽろりしこっちでぽろりしまくっちゃっては男性女性の目を釘付け。最新放映話数の県大会なんかだと部長さん、丁寧にごしごしと洗われ強度の落ちた水着をまとって大会に出て勝利はしたものの激しい動きに耐えきれなくなり脚と脚の間の細くなっている部分から水着が引き裂けご開帳。さてもどれほどの衝撃を巻き起こしたかは定かじゃないけど大勢の人に森林の大切さって奴を教えたことだろー。実写版では是非に真正面からしっかり映して頂きたいなあ、矢吹春奈さんだけになあ。放送禁止も覚悟で。

 キネ旬ムックなら分かるけれども「プラスマッドハウス」ってシリーズとなると何故にマッドハウスって疑問がまず浮かぶ。ほらだって「キネマ旬報」といえばギャガ・コミュニケーションズの確か関連会社が株を持っててギャガったらUSENグループ入りしたことがあったりする一方で、マッドハウスはインデックスのグループにあって日活なんかも参加に入れててその取り合いをUSENなんかとした仲だから決してグループ関係じゃない。以前の徳間書店がジブリ関係のムックなんかを出していたのとはまるで違った関係にあるアニメスタジオと出版社がどこでどうつながったのかが見えないけれどもまあきっと、キネ旬にマッドハウスの熱烈なファンが居たんだろー、あるいはマッドハウスから世紀に残るアニメーションを送り出し続けている今敏監督の。

 んでもって今さんのムックを作りたいって準備を進めていたけれど、劇場公開のタイミングもDVD発売のタイミングも外してしまって何もフックのないところで「パプリカ」を中心にした今監督のムックを出してもつながらない、だったらいっそ日本が誇るアニメスタジオの偉績を紹介するシリーズを「プラスマッドハウス」として立ち上げそこの栄えある第1回目に今監督を紹介して、以後はたとえばりんたろう監督とか出崎統監督とか、川尻善昭監督といったマッドハウスに縁のある監督の活動を紹介するって体裁を整えたら大手を振って今敏監督の紹介を出来るとでも分でのこのシリーズ名か。まあ分からないけどまるでタイミングの合わない時期に登場した今敏監督のムックはそれでも内容的に今ん所ベストな「パプリカ」紹介ムックであり、且つざっと今監督の活動を振り返る上でミニマムに最適なムックにはなっているって言えそー。

 そりゃあ本格的な今監督の紹介となったらあの緻密なレイアウトと絵コンテは避けられないんだけれどもこのムックは過去に手がけた作品紹介に本編からの切り出しが使われている程度でレイアウトがどうとかいった話はなく、もっぱら氷川竜介さんによる作品解説と今監督へのロングインタビューと、あとは飯塚昭三さん平沢進さんマッドハウスの丸山正雄さん脚本家の信本敬子さんといった今さん周りの人たちへのインタビューでもって今監督の人物像や考え方を浮かび上がらせている。愁眉はやっぱり今監督と「パプリカ」原作者の筒井康隆さんとの対談か。あの「ヘル」から拝借した七五調子のしゃべりを是非に手伝いたかったって筒井さんに言わせるくらいにお気に入りの作品だった模様。それなのに知られている度だと同じ筒井さん原作の「時をかける少女」に及んでないんだよなあ、賞レースなんかでも。

 飯塚さんもインタビューで「要するに、彼の作品をもっと見て欲しいのよ」って話しているように一般に広く噂になるよーな作品が、作品的なものってよりは公開規模的なものからあんまり作られていないって悩みがあって、だからこそ飯塚さんも「『面白かったよ』って口伝てにね、広まるようになるのが理想で、そうなるきっかけとなる作品が欲しいのね」て話してる。末尾じゃあ「『今監督よ、一般人を目覚めさせろ!』。これからの作品でぐぐっと間口を広げてくれれば、もっとたくさんの人が今監督の作品に目覚めるでしょ」とまで言って広く見てもらえる作品を一発、やって欲しいって訴えているけど準備中とかゆー新作は果たしてどれくらいの間口の広さを持っているのか。

 僕としては「パーフェクトブルー」の頃から追いかけていて普通に楽しんでいるんでそんなに間口、狭いかって気にもなっているけど現実問題テレビ局もつかずアニメスタジオが独自で企画を立ち上げた作品だけあって知られてないのも事実。なので飯塚さん的に誰もが足を運びそうな作品を是非にどかんと打ち上げて欲しいもの、って言っても「ポケットモンスター」の映画版の監督なんかはちょっと、なあ。でも浸透を考えると何かメジャーな場所で広く名前を知ってもらいたい気もするなあ。それこそスタジオジブリから誘われ監督しちゃうとかして名を一気に高めるってのもありかもなあ。絵の凄みだけなら主とも言える宮崎駿さんと存分に戦える技量の持ち主だし。

 なるほどこーゆー手段もありか。ストリーミングじゃあ画質が今ひとつだし保存して手元に置いておくことは無理。かといってダウンロード販売じゃあコピーが心配ってゆーユーザーとコンテンツホルダーの悩みを解決する手段として、インターネットで配信した映像を直接DVD−Rに焼いてしまって手元にDVDパッケージと同等のディスクが残るよーにしちゃおうってゆーサービス「iDVDt.com」ってのがスタート。イーエントリーってところが始めたサービスでなるほどこれだとレンタル屋いかなくってもネットレンタルで呼び出し至急で宅配してもらわなくっても見たい時に見たいタイトルがDVDクオリティで見られるから利用する人も結構いそう。問題はタイトルラインアップがそろうかだけどポニーキャニオンとかフォーサイドドットコムとかいった所が供給するよーなんで、アイドルのグラビアとかポニキャニのコンテンツとかそれなりの物は揃いそう。「コードギアス 反逆のルルーシュ」が乗ったら今のストリーミング配信以上に金を稼いでくれそーだけれど、パッケージをゴージャスにしてクオリティを高める戦略にあるバンダイビジュアルじゃあちょっと乗れないか。

 新作じゃなくてもサイトのアクセス数とか実績が示されさらに多くのコンテンツホルダーが、パッケージでの販売はプレスの最低限枚数の関係もあってパッケージ化を断念したタイトルを、ここん家でネット販売しちゃったらコストをかけずに提供できるって考えて、少部数のオンデマンド販売チャネルとして利用して来ることも可能性としてはありそー。今はなかなかパッケージ化の難しいアニメなんかを是非に提供して欲しいなあ、あとはドラマか。いわゆる著作権者への支払いがネット配信の料率になるのかパッケージ販売の料率になるのか不明ながらもいずれ解決するだろー問題。その先にあるコンテンツ販売の未来の姿を見せてくれるって点でひとつ応援してやりたいなあ。出来るならアニメには必須のライナーとかジャケットのデザインとかをPDFで提供してやって欲しいなあ。それを市販のトールケースに入れて焼いたDVD−Rを差し込み一丁上がり。それが近隣国の露天に並んじゃったら大問題だけど。ネット配信の利便性が海賊版の経済性を凌駕し中国の風紀を改善できるか。見よう成り行きを。


【8月26日】 オムニバス風に時代とか主役を代えて世界の概要を説明した第1巻目の「龍族」から一変して花田一三六さん「創世の契約」(中央公論新社)シリーズ第2巻「鋼の風(シュタールヴィント)」は新聞記者として龍族のことを追いかけていたベルネが国境の街を出て連れて行かれた先で猫族と人族の混血の女性に拾われそこから紹介されて入った傭兵の一団でレスティという名をもらい、修行へと入って繰り広げられる日々。「鋼の風」と呼ばれる傭兵団は、昨日の敵に今日は雇われあっちにこっちに流離いながらも、剛胆な隊長と聡明な副隊長の差配でごろつき集団にはならず、一種の家族というか国にも似た秩序が保たれ騒乱の中をまとまって動いていた。

 レスティはといえば最初は教育隊から初めて鍛冶を担当し酒保にも配属されながら何とか日々をやりくりする。一介の新聞記者だったベルネが荒くれたちの間で成長していく物語、って言えば言えるけれどもそれはあくまでも一時の羽休め。ドジに見えて機転が聞き好奇心も旺盛なレスティの様を遠巻きに観察しつつ隊長は彼が聡明だと知りつつ、一方で龍族から何かしらの恩典を与えられている訳ではないと確認。とはいえ龍族に待ち望まれている身だと認めてレスティを導きそして解き放つ。国を作る、という大目的へと大きく近づきそして手にした栄冠。そして起こった悲劇が続く展開でどんな結末へと至るのか。第2巻とは裏表にあるという第3巻の行く末に否が応でも注目が集まる。次は何時だ? 「ドラゴンキラー」並の速度で是非に、ってこいつが速すぎるんだけど。

 公開時だから13歳。中学生になっていたはずで既に大学生だった従兄弟のジェミニで栄えまで送ってもらって双子の弟といっしょに見たんだっけ。あれからかれこれ29年。従兄弟はしばらく前に急逝して乗っていたあのジェミニがZZRだったかどうかを聞く機会はもうないけれども見た映画の鮮明過ぎる記憶とともにあの1日のことはおれから30年が経っても記憶に刻まれ続けるだろう。とか言ってるこの記憶が模造されたものでないって保証はないんだけれど。ともあれ当時の奥と前に5年で後ろだったら20年くらい? まあそれくらいの幅にあった人なら畳みかけられるように迫ってくる敵の凄さに圧倒され、打ちのめされ如何ともしがたい絶望感に駆られながらも何とかしたいというささやかな勇気の大切さを感じさせられたことだろう。

 もっとも徒手空拳に等しい姿で挑む態度は決して褒められたものではなく、それを美化してしまうことの危険性も映画から33年ほど前に行われていた戦いの悲惨さを振り返って同時に抱いたはず。感動詞悲しさに鳴いた頭の片隅でそうした迷いを引きずったまま生きてきた30年近くを今、あっさりとひっくり返してくれる物語に出会えて生きていて良かったと感慨にむせぶ。次から次へと現れ立ちふさがる困難もそれが自分たちの成長を促す糧だと前向きに捉え確実に乗り越えていって見せるパワー。たとえ限りなくゼロパーセントに近い可能性でもゼロではないなら100%と同じなんだと言ってのける強引さ。かといって無謀ではなく無茶でもなしに力を高め策を練り、向かい進んでいく確実性は突入しかなかった29年前に似ているようでまるで違った未来を、開かれ天へと連なる未来を見せてくれる。ああ凄いぞ「天元突破グレンラガン」。次はどんなスケールの困難が待ち受ける? そしてそれをどううち破る? 先に待つ目に花を散らばらせたニアに再会できる日を夢ではなくって現実に見つつ最終回へと突き進む怒濤の9月を楽しもう。9月2日の朝はだから見てから横浜行き、ってことか?

 Fカップの眼鏡っ娘もいないんで街へと出て三省堂書店神田本店でSFな編集者の座談会を見物。SFな人がいっぱいいていつもながらの集まりって雰囲気で果たしてSFの普及啓蒙に役立っているんだろーかって気も起こらないでもないけれど、千里の道も一歩からってことでここでこーして開かれた集まりが伝播して未来の読者を作り出すんだと信じるしか希望はない、たとえSFは安定した読者層が見込めるからとりあえず出せるんだってゆー言葉がつまりそれだけしか熱いファンがおらず新たなファンも入らないままだんだんと年齢があがり20年後にはどうなるか分からないかもって不安を抱かされるものであっても。まあ10代でも河出書房新社とかのSF草書を手に取ってくれてるみたいなんで40年くらいは大丈夫、かなあ。そーいや自分最近あんまり海外物読んでないなあ、暇ないし、早川の文庫とか値段高いし、分厚いし。

 夜の部もあったけれどもアサファ・パウエルとマービンじゃない何とかゲイって選手との100メートル競走を見たくって失礼して帰宅。そして蒸し暑さにもだえながらもテレビを見ていたけれどもいわゆるメジャーな競技しか中継せずフィールド競技は無視っぽい中継は間もあいて退屈なんで、昔録画してあったもののずっと見ないでいた「のだめカンタービレ」のマラドーナコンクール以降の回をざっと見ていたら決勝が終わってしまって生で長島茂雄の「カール、カール」って声を聞けなかった、ってそれは91年の大会か、あれば名場面だったねえ、珍妙さという意味での。試合はどーやらゲイが勝ったみたいでパウエルは3位に沈んだ模様。走っている姿を見たらゲイの方はスリムでスプリンターっぽかった。パウエルっていつもあんな感じにでっかいの? それとも今回が特別でっかかっただけ? ともあれおめでとうゲイ。朝原は残念、だけどあの歳であそこまで残るのは凄いかも。北京も是非に狙ってちょ。女子なんてマリーン・オッティが未だに出場して来てるんだし。出来るって。

 番記者時代から未来を嘱望された若き政治家の事を思い党派性の高い記事を書きまくって見方を利し、敵を害する活躍を見せ、長じては情報屋として動き回ることで同士的な結合を深めた結果、若き政治家が青年将校から重鎮となり総裁総理そして長老へと地位を高めていくことに釣られて自らも副社長から社長に会長主筆といった立場へと上り詰め、今や主家すら圧する力を手に入れたナベツネ先生の勝ちっぷりを見るに付け、政治記者となったからには狙うは部長とか評論家なんて卑近な物ではなく、社長なんてサラリーマンの頂点でもなく、ただただポスト・ナベツネであるべきってことなんだろーと考えたりもしちゃったり。

 もっともあまりに強すぎて続く存在の未だいないことが懸案ではあった所に、上杉隆さんが今の自民党安倍政権がどんな軌跡を辿りそして今の状況へと至ったかを分析した「官邸崩壊」(新潮社)を執筆。を読むとメディアからは築地とか大手町の皇居よりといったメガならぬギガニュースペーパーではなく、竹橋のような古巣でもなく、大手町に本拠を置く安倍ちゃん大好き新聞社から2人も将来を嘱望される政治に聡く総理の覚え目出度い記者の名前が挙がっていて、何というか30年後が頼もしいというか、公明正大だの中立公正だのって耳に甘い言葉に流されることなく、この人の為に頑張るんだってゆー義侠心とも友愛とも例えられそうな感情を爆発させ、己が信念を貫き突き進んでは政界新聞界球界相撲界のみならず世界をその手中に収めようと張り切る2人の記者の将来にワクワクしてしまうんだけれども、住んでる家がそんな時期まで保つかどうかが目下の最大の迷いどころか。ほら一寸先は闇って言うし。闇なのか。


【8月25日】 んでもって見た「鴉 −KARAS−」は生天目さんがピンク色だった。何がだ。お話はそもそも今現在どんな辺りに来ているかすら思い出せてないからはっきりとは分からないけど、藤原啓司さんが乱暴物とはちょっと違ったでやんすでございます風なしゃべりをする鵺って奴が起き出してなにやらカチコミに向かうって主線の脇で、今はアイマスクが涙を流している少女の手助けを失ってしまって力を失った鴉がちょっと前に暴力団組長の兄貴に逆らい刺して撃たれて瀕死だったところに、街を支配している長老鴉に破れた先代鴉の後を引き継がせようと力が舞い降りかくして鴉が生まれたって話が振り返られる。

 かくして乙羽という青年が変じた鴉が過去の3巻でとりあえず活躍。したものの壁に突き当たって今は無力化されて新宿を支配する長老鴉にところへは鵺だけが突っ込みそして地下でいろいろと発見してさあ次へ。冒頭に現れピンクを見せて途中に該当の上からソフトクリームを刑事たちの頭にぶち負けた生天目さん演じる女鴉がどこからやって来てどう絡むのか、って辺りが次巻の中心になりそーで盛大にピンクとか見せてやって頂きたいけど変身すると3DCGの鎧姿になってあんまり艶めかしくなくなってしまうからなあ、残念。

 絵は相変わらずの高品質で動きの質も高くって見ていてまるで違和感なし。破れた窓から吹き込む風で散る紙切れ、って絵とか実に綺麗だ。あとバイクに乗る鵺を正面から写してそのままカメラが上へと移動し摩天楼とか現れる展開の鮮やかさとか。そーゆー見るべき絵の集合体ではあるけれど、ストーリーに起伏が今ひとつ乏しいのはどこか幕間的なエピソードだったからか。次はだからバトルも派手な上にストーリーも一気に進んで最終第6巻へと至るラス前の大盤振る舞いが繰り出されるって、期待しちゃって良いのかな。いずれにしたってもう2年は待たなくて良いってことで答えは来月には出るんでその時にまた考えよう、ピンクの露出が多かったか少なかったかを。だからピンクって何なんだ? 「コードギアス 反逆のルルーシュ」には出てない物、かな。だからユフィの髪の色ではありません。分かるよね普通。

 黄色い服をまといお出かけ。とりあえず渋谷へと向かい開場時間までを近所の「Bunkamuraミュージアム」で明日まで開催中の「ルドンの黒」を見物。したらなんだこれって基本的には岐阜県美術館が所蔵している奴ばかりじゃん。その昔のもう20年くらい前に、就職した業界紙で岐阜県なんかを担当していた時代に取材と取材の間の時間をちょろりと寄って見物していたのが岐阜県美術館で、入り口に経つバンジの彫像とかポモドーロの金属彫刻とかにイタリアにゃあこんな彫刻家がいるんだってお勉強をさせてもらったけれどもそれ以上の収穫だったのはここが収集に力を入れているオディロン・ルドンに出会えたこと。シュールな雰囲気の絵を描く画家、というか版画家で挿し絵なんかに描かれたそれは怪物っぽかったり妖怪っぽかったり人間でもどこか病的だったりして、それが版画なんで黒でもっぱら描かれていて闇から浮かぶ人間の思考の暗部みたいなものを感じさせてくれた。

 ハンス・ベルメールとか好きだったこともあってどこか猟奇の雰囲気すら漂わせる蜘蛛だの胎児っぽいオブジェクトだのが浮かぶ絵にすぐ引き込まれてその後足繁く通うようになり名古屋で展覧会が開かれた時にも見に行ったけれどもそーした”黒”のルドン以上に魅せられたのが後期に入ってパステルを使い描かれるようになった花の絵たち。それはとてつもなく絢爛で鮮やかで、ほぼ年代順に並べられた展示室でまず見せられる黒い世界に陽光が差し込み目を見開かせては毒々しいまでに華やかな彩りをした花たちを網膜の奥へと焼き付ける。それだからなのか個人的にはルドンといえば”黒”ではなくって極彩色の花の画家。したがてBunkamuraミュージアムが掲げた「ルドンの黒」ってタイトルは、彼の本性の反面のそれも決して愛され辛い一面しか見せないんじゃないか、ルドンのファンを多く世界に増やしたいんだったら逆効果じゃないか、なんて心配も浮かんだ。

 そこはそれ、岐阜県美術館だって世界に冠たるルドンのコレクションを持つ美術館としての矜持があるのか、並べられた数々のシュールな版画たちの最後にちゃんと鮮やかな花の絵を並べてルドンの”真骨頂”って奴を示してくれている。それは花にして花にあらず、花のような形をしつつも実在していない植物であるけれど、だからこそ本質としての花というものを強く感じさせ考えさせる。黒い絵から感じられる、人間の心の闇から浮かんでくる澱のようなものとはまた違った、人間の心の上で踊る惑乱のようなものが形となって現れているようで心誘われ吸い込まれる、って思ったのは僕が岐阜で散々っぱら色のあるルドンを見て来たからかな、そうでない人にはやっぱり唐突に映ったかな。できれば「目をとじて」のシリーズもカラーのを展示して欲しかったなあ、あれは見ているだけで心穏やかになるから、最近どーも心乱されて、将来の不安とか将来の不安とか将来の不安なんかに。

 んで出てちょろりと渡辺プロダクションの60年史だからも見物してからたどり着いた「オン・エア・イースト」で時東ぁみさんのコンサート。やっと来られた。前々回はチケットを手に入れながらも仕事で来られず、全開は仕事こそなかったもののインフルエンザで倒れてやっぱり外出できず断念したライブハウスでのコンサート。体調も考えて二階の指定に陣取ったけれど入場した時の空きっぷりを見たら下に降りても十分に近くで見られそうだった。もしかして人気薄? ダブルヘッダーをソールドアウトにするにはまだまだ力が不足? なんて心配も浮かんだけれど、時間が経つほどに埋まっていっぱいになったから杞憂だったみたい。人気ありますぁみにぃは。あるいはTHE ポッシボーも?

 そんなライブはベストアルバムが出たってこともあって名曲新曲シングル曲が中心で耳になじんでいて嬉しい限り、っていうかあれだけイベントとか通っていりゃあだいたい耳になじむわな。衣装も何度か着替えて胸元があらわで上から双眼鏡でながめていると目が離せなくなる衣装もあればふりふらっとしていて脚が綺麗に出ていて目線を下げてそっちを眺めていたくなる衣装もあったけれども極めつけは「TAWAWA 夏ビキニ」から数曲で身につけたビキニ姿か。そりゃあビキニだから谷間はくっきりふくらみはばっちり。2階席からなんで間近には迫って来なかったけれども双眼鏡の向こうで飛べばゆれるたわわっぷりは夏の良い思い出になりました。おへそも綺麗だった。つかぁみにぃ、腰細いよなあ。

 THE ポッシボーも6人編成のフルメンバーで登場し、あとよくわからないけど多分「GTT倶楽部」って集団のさらに小さい3人組とか、眼鏡っ娘コンテストに合格したこちらややや大きな眼鏡少女とかも現れ踊って揺れたり揺れなかったりしてなかなかに愉快。3人組の1人のたぶんしおりん? とてつもなく小学生っぽかったけど今年13歳だから中学生なのか。でも小学生と言っても通じそう。薄かったよ。だから何がだ。でもみんな一所懸命踊ってた。みじんも間違えていなかった。偉いなあ。つんくさんの薫陶かなあ、今や風紀も乱れきったあっちから純朴なこっちに乗り換え着々と次を狙っているのかなあ、つんくさん。さてのそんな面々とラストは名曲「発明美人とパインナッポー!!」でイェイイェイイェイ。ああ楽しかった。せっかくだからベストアルバムも買ったらサイン入りのポスターがもらえてなおラッキー。ほぼ同じ時刻に三省堂神田本店ではSFな人たちがSFな歓談を繰り広げていたみたいだけれどもぁみにぃを前にSFへの忠誠などもろくも崩れ去ってしまうのだ。仕方がないのだ。当然だ。Fカップの眼鏡っ娘に勝てるSFなど世界のどこにも存在しない。「コードギアス 反逆のルルーシュ」の放映とFカップ眼鏡っ娘じゃあ……どっちも総取りだあ。

 夜にもSFはあったみたいだけれどこっちも柏で行われた「柏レイソルvsジェフユナイテッド市原・千葉」の千葉ダービーの前には彼方に押しやられてしまうのだ。でも負けちゃったからなあ。SFにすれば良かったかなあ。いやまあ負けはしたけど前半とか攻めててシュートも放って良い感じだったし、奪われたのも1点だけで巧くすれば引き分けられた試合。そこで引き分けられないところに今年の弱さがあるんだろーけど。工藤浩平のトップ下がまるで効いてなかったんでさっさと水野晃樹選手とかえて羽生直剛選手をトップ下に入れて右からクロスばんばんで崩していけば良かったのに。後半に投入されたけど中盤が焦りからか視野が狭くなって前に動こうとしている水野の前にボールが出ないんで得意のスピードが活かせなかったんだよね。レイナウドはキープ力あって頼もしいけどそのキープ力に頼り飛び込む選手がいないのが難か。それを工藤にやって欲しかったのかな。だたらパートナーは巻選手じゃなく新居選手だよなあ、なんて浮かんだ柏の夜。まあ良い次いこう次。


【8月24日】 姫としてふふんふふふんと言ってる裏で音羽として温泉温泉楽しいなってやってる川澄綾子さんの演技の幅広さにつくづく凄いと嘆息。日が明ければ「ロミオ×ジュリエット」をこなしもう1日後には「ぽてまよ」で夏みかんとして妄想爆発させつつ弟にどつかれさらにもう1日経って「ゼロの使い魔 双月の騎士」でアンリエッタ女王として恋に燃え才人をたらしこみ戦争に突き進む見かけによらない女傑ぶりを披露してたりするんだからたまらないけどやっぱり姫と音羽の裏表は違いすぎて凄すぎる。入れ替わったらどんな感じになるんだろう、瑛花さんの厳しい声にもふふん、人間ふぜいがとあしらい七恵の胸にも巨大な脂肪など邪魔だと切り捨てる音羽の一方で、迫って来る玲裡にやめてーってじたばたと暴れシャーウッドにかわいいって飛びつきすりすりする姫。ああ見てみたい。

 あれはだから9年前かと「パシフィコ横浜」で開かれた「ガンダム ビッグバン宣言」の記憶をサルベージ。すでに新しいガンダムのデザインをするらしいと噂になっていた工業デザイナーにして「ブレードランナー」のビジュアルコンセプター、シド・ミードさんが確か会場にいて手にもっていたCONTAXのTVSで何枚か写真を撮って直後の新聞に掲載したんだけどその時はまだ具体的にどんなデザインのガンダムになるかは分かっておらず、それでも「ブレードランナー」の人だからきっとスリムにスタイリッシュな物になるはずだって期待を抱いてからほぼ半年。雑誌なんかに登場して来たそのガンダムはヒゲを生やしてて誰もが唖然呆然と驚き慌ててひっくり返った。

 富野由悠季監督だってひっくり返ったらしくって、2月だかにあった製作発表会でもいろいろと言ってた記憶があったし今回の100分の1ガンプラシリーズ「マスターグレード(MG)」での栄えある100体目として選ばれたのを記念した「モデルグラフィックス」2007年10月号でのインタビューでも、あさのまさひこさんの問いに答えて「ぼくの方からも『このヒゲは撤回できないのか』という話をミードさんにしました」って明かしてる。でもそこを思い直してインダストリアルデザインから来てガンダムをデザインした人のラインだと、パッと見受けるスリムな印象はあまりに機能的過ぎてキャラクターとしてちょっと弱い、だったらヒゲくらいあった方が良いのかもって考えてそのままでゴーサインを出したらしー。

 そんな富野さんの思惑は、10年近くが経った現在になって実は「ターンエーガンダム」が、当時として実に画期的であり且つ今に至っても先鋭的な存在として見直され支持されているって状況から、大当たりしたんだって断言出来そう。もちろん一方には牧歌的に見えて実はなかなかにシビアさも持っていたストーリーの完成度の高さが作品としての支持につながり、登場したモビルスーツ類の支持へと移行しているってことは否めない。ただ純粋にプロダクツとして見た場合でも、「ターンエー」の持つフォルムは美しく、最初に見たときには違和感しか浮かばなかったヒゲも、頭頂部に広がって見栄を張る兜の鍬形でもなく、また胸元に広がって虚勢を張るウィングパネルでもなしに、口元から左右に開いて頭部の持つ印象を強調しては、細身の手足の中心に位置する胴体部分が示すどこかジョイント的な軽さを絶妙なバランスで押さえ込んで、全体として強い印象を醸し出す、重要なパーツだったことが見えてきた。

 同じ「モデグラ」で富野さんも言っているけど、このヒゲをそれ以前に存在したガンダムはもとより、それ以後に登場して来たガンダムですら真正面から相対できずにいるところに、ミード・デザインのすごさというか不可触ぶりが伺える。だいたいが「SEED」だって「SEED DESTINY」だって今度の「OO(ダブルオー)」だって、ガンダムはほとんどが全部、ファーストからの流れを受け継ぎデザインされたものでしかない。ヒゲがないってだけじゃなく、ふくらはぎを含めた手足の感じも胴体のフォルムも顔つきも最初のガンダムがどこかしこに伺える。でも「ターンエー」は違った。決してトリコロールカラーに塗られているからじゃい。見れば何とはなしに「ガンダム」で、けれどもまるで違ってて、なのにやっぱり「ガンダム」を感じさせるデザインは、「モデグラ」でも紹介されているよーに、大河原邦男さんのデザインを理解し自分なりの延長線的デザインを作った上で出した答えだから、なんだろー。

 その意気に、若いメカデザインの人の誰1人として挑もうとしていないのは、別に才能があるとかないからじゃなく、やっぱり相手が「ガンダム」で、新番組のスタート時に行われるキャラクターマーチャンダイジングの核となるメカに不用意な冒険は出来ないってプレッシャーが働いているからだって想像するのがここは良さそう。現実に「ガンダム」の呪縛を離れた番組では「コードギアス 反逆のルルーシュ」の「ランスロット」のよーなスリムだけれどもスタイリッシュなメカが出てきてるし、「アイドルマスター XENOGLOSSIA」の「インベル」や「ヌービアム」といったアイドルだって実に格好良い。ただ無地のカンバスに自在にデザインするのは誰でも出来ても、「ガンダム」とゆー格好の素材を相手に自分なりの新しさを作り世界を驚かせてこそって気もしないでもない。

 そーしたある種の行き詰まり感を払拭する意味でも、敢えて100体目の「MG」に従来の延長にはない「ターンエー」を選んで、シド・ミードの持つデザインのセンスを今一度確認し、感性を言い訳にして思いをあふれかえらせ、あれも付けこれも加えて格好良さげに見せる足し算的なデザインとは正反対を行く、ふくらんだイメージの中から削り出し削ぎ落として全体のフォルムを作り出すデザインのアプローチを感じて欲しいかったんだろー。何しろ3次元CADが頭の中にあるんじゃないかって思われるシド・ミードさん。格好良さだけで描かれたデザインの場合、前からと後ろからのデザインを立体化して張り合わせようとすると線が合わなかったりすることもあるんだけれど、「ターンエー」の場合だと立体化すると前側からの絵と後ろ側からの絵がちゃんとつながるらしー。可動部分についての配慮も効いてるあたりはやっぱり工業デザイナー。他にはまねできないし、まねしたくっても今度は会社が赦さない。商売だし。

 だから再び「ターンエー」級の挑戦が出来る人がいるとしたら、やっぱり富野さんだけなんだろー。幸いとゆーか「MG」の「ターンエー」に触発されて「これだけのベースがあったら、オレ、(新しいターンエー系MSが)作れそうだもんね。ファーストガンダムの時にドムを描いたような気分で『また描けるかもしれない!』といま思ってしまていて、すごく困ってる」なんて言ってくれている。それこそ65歳にしてあの「ターンエー」をデザインしてしまったシド・ミードの歳に重なり追い越してもなお遊び心と想像力に限りの見えない富野さんに、答えるなり、挑むなりして新たな、そして画期的な「ガンダム」を描いてみせられるメカデザインの人っているのかな、いて欲しいけどでもちょっとすぐには思い浮かばない。インダストリアルデザインの人にも入ってもらったガンダムデザインコンテスト、なんてあったらちょっと楽しいなあ、深澤直人さんだったらどんな「ガンダム」を描くんだろう?

 はやっ、と店頭で叫びつつ手にとって一気読みした海原育人さんの「ドラゴンキラーいっぱいあります」(中央公論新社、900円)は文字どーりにドラゴンキラーがいっぱいになる話。前の巻で自分の舞台を全滅に追い込んだドラゴンキラーを倒しつつお姫様のアルマを連れて逃げてきたリリィて名の少女のドラゴンキラーを便利屋の事務所に引き入れたココだったけど何やら街によからぬ動きがって仕事が廻ってこなくなった。行けばキャンセルを喰らう始末で金が入らず食べ物がなくなりドラゴンキラーのリリィはレンジから火を食い急場をしのぎココは自分たちを追いつめようとしている輩を退けようと画策。そんなところにかつて軍隊にいた当時の上官だった元中尉が落ちぶれて酔っぱらいになって転がり込んで来たからたまらない。

 たたきだそうにも妙に義理堅いココは中尉の居候を認めるも、飲んだくれているばかりの中尉が相手では金もすぐ尽き食料も消えて暮らしは困窮。こうなったらと必死になって見つけた“敵”を倒し元中尉にはご近所に再就職してもらって一安心としていたところに新たな事件が持ち上がる。ドラゴンキラーが来ているらしい。そして悪さを働き始めたらしい。一緒に暮らすお姫様の不調も原因な上にそのドラゴンキラーが叩き出した元中尉と組みココにちょっかいを出してくる。どうするココ。そしてリリィ。かくして立ち上がり敵を迎え撃とうにも相手はドラゴンキラーが苦手とする力を持ったドラゴンキラー。かつてなピンチを迎えて逃げようとしたココだったけどアルマの真摯な態度に改め敵に立ち向かう決意をする。

 自分をはめようとした敵の本拠地に殴り込んでは男も女も皆殺しにするハードさは悪逆さは1巻と変わらず健在。いわゆる良い人ではない生きるに必死なスタンスは見ていて妙なリアリティを感じさせる。そんなココに従い合理的な判断をするリリィもつらそうだけれど納得性の高い態度。これがだんだんとただれていった果てに「BLACKLAGOON」のレヴィみたいな目をしたドラゴンキラーになってしまうんじゃないかって心配も浮かんだけれども未だ処女で男を知らずすれてなくってアルマ大事なリリィの変わらない態度が荒みかけた他のドラゴンキラーにも働きかけていく展開は、世界にもまだまだ良心って奴が残っているんだ、そっちの方が絶対に気持ちいいんだってことを分からせる。

 かくして誕生した「ドラゴンキラーいっぱいあります」の次は「ドラゴンキラー売ります」らしーけど、つまりは何だ売り飛ばされちゃうってことなのかリリィは。ってことはココはどーなる? その辺も含めて楽しみ。口絵は情報屋のパーマーん家にいるスレンダーな少女のアズリルで、こりゃあ大活躍かって期待したけどあんまり出番はなかった。次こそはもっといっぱい出してやってよ、尻も胸もないけど。


【8月23日】 親の作った借金のカタに差し出された少年が、金と権力を持ってはいてもちょっぴりオタクな少女の奴隷になって働き始めるなんてそりゃあどこの「ハヤテのごとく」だって突っ込みがありそーだし、少女は実はヤクザのお嬢さんで、赴くと強面でいざというときには本性を見せるものの普段は優しいところもある子分たちがいっぱいいて、お嬢様をよろしくたのんますと持ち上げてくれるなんてそりゃあどこの「瀬戸の花嫁」だって言われる可能性も高そーだけれど白川晶さん「くみちょ! 組長は小学4年生」(集英社スーパーダッシュ文庫)は、設定を聞いて浮かぶ類例が読み始めるとすぐに立ち消えてしまうくらいに面白い。それはたぶんお話が超絶無比な大金持ちとか人魚の極道っていった突拍子もない方面へと壁を越えて転がる手前で、まだ人類社会としてあり得る範囲でとどまっていて切実さと身近さからこんな境遇に出会えるかもって期待を抱かせてくれるから、なんだろー。

 期待ってでもヤクザに借金のカタに売り飛ばされて奴隷のように働かされる話のどこに期待すれば良いの? って話になりそーだけれどそこはそれ、隷属する相手が組長でそれが10歳のお人形と見まがうばかりの美少女で、それが自分の面倒を見てくれる相手に懐いて一緒にお風呂に入ろうと言い出して目の前で脱衣しあまつさえ背中を流させてくれるってんだから何というか衝撃的というか衝動的というか、浮かぶビジュアルとそして感触が今すぐにでもヤクザが家へとやって来てはお前オタクか、だったらお嬢さんの相手をしろと言って引きずっていってくれないかって期待を喚起させる。んでもって行った先にいたのがオタクでお嬢様でも年期の入った三十路のベテランで春と夏に売る本のためにちょっとそこでモデルになってくれないかと言われ脱がされ計られゴムかけとベタぬりとトーン張りと売り子をさせられるんだ。それもまあ悪くはない人生か。

 もちろん過去にあんまりないパターンで激しく煩悩を喚起させられるってところもあるけれど、「くみちょ! 組長は小学4年生」が読んで類例と違うて思わせるのは巻き込まれる少年が割に自立していて事態に慌てずまあそれなりに受け止めつつ、幼いけれども一家を成す身で命も狙われ迂闊に出歩けない組長さんの立場に同情する優しさも見せて、敵に襲われれば守ってあげようとする強さも見せてくれるから、なのかも。秋葉原のコスプレショップで襲われそうになったところを敵の目をそらすためメイドコスプレをして襲撃者の前に立って何か用かと迫って殴られても蹴られても退かず、それで相手を退かせるなんて並の覚悟じゃあできません。そこまでして守りたいのか組長10歳。お風呂に一緒に入り続けたいのか美少女10歳。なるほどちょっと前までお嬢を世話してた、組でも切れ者の政さん……じゃない樹虎湖堂が残念がる気持ちも分かるなあ。きっととてつもなく至福の時間なんだろうなあ。お風呂。

 カードゲームに関しては並じゃない腕前の持ち主、って設定も超人的なハヤテとか逆に一切の能力を持たない長澄とかとは違って程々の自己主張。組長の襲名に絡んだ権力闘争で選ぶゲームが「遊撃王カード」ってのも意外性があったけれどもそこは百戦錬磨のヤクザたち、相手が選んだ代打ちもちゃんとカードのルールを覚えた上でサマを仕込んで来たから単にカードの腕が良いだけじゃあつとまらない。攻められ削られ絶体絶命ってピンチで見せた少年と組長の麗しくも素晴らしい連携プレー。もしもその場にいたらひれ伏し顔を床へと擦りつけつつ上目遣いをして組長の振る舞いを見たくなるだろー。例えその後に踏んづけられたって。ともあれ始まったストーリーは今後もぶっとばない範囲でクールな主人公の奴隷っぷりを通して美少女組長の可愛らしさと勇ましさを楽しませてくれるんだろー。見守り続けよう、いつか自分にも似た境遇が訪れる日を夢見て。夢過ぎる。

 あれはまだ久里一平さんが社長をしていたギリギリな時代に訪ねた国分寺の建物に入ってここがあの数々の名作傑作を送り出してきた竜の子プロダクションかといたく感動しながら取材して記事にして程なくして久里さんは去りそして取材の目的だった「鴉  −KARAS−」って40周年記念作品も3巻目までが出たものの後が続かず会社ともどもこれでしばらくは休眠か? なんて心配もしたけれど幸いにして会社は続きなにやらいろいろ企画も動いている様子。んでもって「KARAS」の方もちゃんと作られていたよーで、2年近くを経てよーやく第4巻が発売になって店頭で手に取りジャケットの女鴉にこんなのいたっけ? って記憶を探りそもそも3巻でどこまで行ったか覚えてなくってこれから続く5巻6巻の前に1巻から3巻までを見返そうかって思ったけれども案の定、どこにあるのか分からないので終末には頑張って探そう。発売元も東芝エンタテインメントからショウゲートに変わっているんだなあ、時代の変遷が感じられるなあ、久里さん今なにやってるのかなあ。

 ついでに「コードギアス 反逆のルルーシュ」のDVD第8巻も。おまけは今回もピンズで全体に分厚くなって置き場所に困りそう。捨てるわけにもいかないし。収録は「キュウシュウ戦役」から「血染めのユフィ」までの3話で、スザクがゼロと共闘しつつ中華を退けあるいは共に日本を作ることになるのかって期待を抱かせ続く学園祭のエピソードではユフィがぐぐっと前に出てきて日本を平和へと導いてくれるのかもって可能性を見せてくれてそして「血染めのユフィ」で一気に絶望へとたたき落とす急転直下なコンボが見事。前週までの高揚した幸せな気持ちを返してくれって叫びだしたくなったけれどもその後に続くさらなる悲劇と浮かぶ謎が、未だに解決されていない中で見るのもなかなかにしんどそう。この犠牲に何の意味があったのか? って気分にさいなまれるから。でも見ちゃおう。オーディオコメンタリーが全話で最大の愉快さを持った「学園祭宣言!」だから。「にゃー」についてみなさま一言。

 すでにボツボツと情報も出回り始めているのに築地とか、竹橋とか大手町でも皇居よりとかだったらすぐにでも週刊誌がおいかけて、2ページ4ページを使って何が起こっているんだと茶々を入れるだろー事態がまるで無視されて一般に全然広まっていない状況はつまり何だかんだ言っても商売が大事な週刊誌にとって、それは売れる話じゃなくって扱う価値もない対象なんだって意思の表れなんだろー。その系列でとてつもない事態が起こっていても取り扱うに能わないことには納得いったけれども親なら影響力は大でニュースとしてのバリューも存分にあるって思っていただけに肩すかし。影響力があるんだとプライドを持って仕事しているそっちの方々にとっては寂しくも悔しい話か。いやいや巻き込まれつつある状況を決してニュース的な価値を持った事態と認識しておらず取り上げられないことを普通だって感じていたりするのかも。気づくと手足はもがれそのまま蹴り落とされて踏ん張れずひたすら奈落の底へ、って恐怖はないのかなあ、それとも恐怖が何か甘い言葉によってうち消されているのかなあ。


【8月22日】 もうしょっぱなから上着なんか羽織らないシャツ1枚だけの姿を見せてくれては、シャツを中から押し上げ盛り上がる胸元と刻まれる谷間がとってもエロかったハミュッツ・メセタだったけれども最新刊の「戦う司書と虚言者の宴」(集英社スーパーダッシュ文庫)は表紙もエロければ口絵もエロくってイラストに顔を押しつけ弾力を肌で感じたくなった程。だけどまあいくら寄せたところで紙でしかないんで妄想の中にその適度な弾力を想像しつついつか本人の分身なり、そっくりなコスプレイヤーが現れエロエロよんって喋ってくれる日が来るのをひたすらに待ち望もう。でもコスプレしている人っているのかなあ、ハミュッツなりノロティなりマットアラストの。ハミュッツなんて簡単なのに、シャツに兎のアップリケを入れるだけなんだから。

 そんな物語は神溺教団との戦いが一段落して、ノロティやイレイアおばさんといった悲しみを経てなお続く図書館のお役目を裏で果たすべくマットアラストが画策し、ミンスがその任を担う一方で、表では武装司書たちが改めて平和維持のための活動を粛々と続けつつ1年近くが経ってあの戦いを偲び、盛大な宴会が催されることになって、フルーツポンチでいっぱいのボウルからミレポックがお酒をがぶ飲みして酔っぱらってぶっ倒れたりする可愛い描写があったりして楽しそう。もっともそこへと至る過程では、いつかのモッカニアの母親の記憶を植え付けられて送り込まれた女性が、オリビアという本来の記憶を取り戻してあちらこちらを逃亡。彼女に世界を滅ぼす知識が授けられていたってことで館長代行のハミュッツやマットアラストが追いかけ、捕まえようとする事件があった。

 さらに神溺教団と図書館とが世界の治安を守る上で表裏一体の関係だったことまで露見して、正義と教えられて育った武装司書たちにそれは裏切りだと誹られ裏切った張本人のハミュッツに、反旗を翻そうとする動きも発生して図書館はもうてんやわんや。そんな動きを裏の裏で仕切り煽るなぞめいた存在もあって武装司書と神溺教団の一派を正義とも悪ともとれない中でそんな一派を相手に挑むなり、一派が世界を脅かす存在を相手に戦うなりといった展開が待っているんだろー。問題は武装司書はもちろん神溺教団も特殊技能の持ち主たちが多くって、そんな奴らの異能バトルとしてこれまでは楽しめたけれども、搦め手から攻め謀略の限りを尽くす存在が相手じゃあ派手な異能バトルは期待できそうもない。そこをどうやって謀略物として面白く描いていくのか、それとも異能バトルへと引きずり込むのかが目下の興味の置き所か。いずれにしても死にたがりな割には相手がなかなか殺してくれずもだえるハミュッツの姿があるうちは、退屈な展開であってもビジュアル的には十分なんで表紙には是非にシャツ姿のハミュッツを。

 そして聞いた「コードギアス 反逆のルルーシュ」のドラマCD第5弾はルルーシュがアッシュフォード学園に転校してきたのを迎えて案内することになったミレイとの邂逅がとりあえず登場、その頃はルルーシュがまだどーゆー存在かは知らず妹のナナリーがどーゆー状況かも知らなかったみたいで、明るく振る舞いつつ居丈高なルルーシュの態度に青筋立てつつしているミレイの顔が想像できて面白い。でもそーかアッシュフォード家のご令嬢であっても知らなかったってことなのか。だとしたらいつ頃にどーゆー経緯で知ったんだろー、2人が王子で王女だったってことを。ともあれ口は悪いけれども妹思いな奴と知ったミレイが一肌脱ぐ場面はさすがに姉御肌なミレイさんって印象。その気っ風のよさできっと損をしているんだろーなー、人生で。ゼロであるルルーシュを結果としてかくまっていたって咎でアッシュフォード学園に災厄が及ばなきゃあ良いけれど。幸せになって欲しいよミレイさんには。

 夏休み明けの「週刊新潮」と「週刊文春」はともに新聞業界絡みの記事。「文春」は例の「新聞社 破綻したビジネスモデル」を書いた元毎日新聞常務の河内孝さんが社友を解任されたって話をまくらに改めて新書の中身を紹介する形になっている。つか社友なんて別にお金も発生しない名誉称号みたいなものでそれすら解くってところに毎日新聞社側の相当な憤りって奴が見て取れる。多様な意見があってこそのジャーナリズムって奴なのに、異論を唱えて苦言を呈して綸言を放ってパージされるってのはいったいいつの時代の新聞社だよ、ってまあこれはいつの時代になっても変わらないか、ごくごく近くに似た例もいくつか見ているし。記事だとあとはテレビ局との連携が持ち株会社の解禁によって強まるけれどもそれは一時しのぎであって、地上デジタル登場の暁にはテレビ局まで悲惨になって新聞になんて構ってられなくなるって意見が興味深かった。まあそん時ゃあっさりと新聞社側を切り捨てるだろうねえ、テレビ局側にイニシアティブがあるメディアコングロマリットは、赤坂とかお台場とか。

 んで「週刊新潮」はといえば「朝日新聞」が先の参院選挙で当確を打つのが遅くってNHKに惨敗したって話が延々。確かにテレビじゃあ負けていたけどでもウェブサイトとしての作り込みなんかは朝日は結構凝っててあの夜に1番参照したよーな気がする。全県マップから候補者を調べ状況を確認するって作業、やりやすかったよ他と違って。だからつまりはテレビ朝日向けに速報を入れる体制が整っていなかったってことで、そりゃあ新聞社の仕事じゃねえだろってゆーのが最終的な記事の見解。末尾にはだから「本来、朝日の選挙報道も正確性を重視していたはず。それがここまで速報性にこだわるのは、読者ではなくテレ朝向け。ある意味、朝日の視点は読者不在だと言えますね」って元産経の偉い人だった政治ジャーナリストの花岡信昭さんに言わせたり、「1分1秒の争いに血道を上げるのは、新聞社の報道姿勢とは違うでしょう」って上智大学新聞学科の田島泰彦教授に言わせている。

 こりゃあしたり。なるほど当然。だけどなあ、最近の新聞じゃあ地域に密着した情報を捨ててもネットでの速報に”血道を上げ”る体制へと移行する風潮が強まっているらしーから悩ましい。そりゃあAFPとかロイターとか日経CNBCとかブルームバーグみたいに大動員して密に速報が出来る体制があるところだったらそれも意味があることだけれど、中途半端にしかできないにも関わらず、やって詳報に人が避けなくなってそっちのファンまで失ってしまって虻蜂取らずになる可能性は結構高い。なのに突き進まなきゃあいけないから大変なのが宮仕え。「新聞社ならば、むしろ結果の背景を深く掘り下げた報道を重視すべき」とも田島教授。「朝日は新聞ジャーナリズムの役割を見失いつつあるのではないですか」って締めているその言葉を花岡さんともど、向けて欲しいものです築地だけじゃない場所にも。

 何かカメルーンに勝っちゃったみたいだ日本代表。ちら見していた程度だけれどパスはあんまり廻らないし相手の前線からのプレッシャーに前へも進めず適当に蹴っては奪われる展開が続いていたよーに見えたけれども守備陣の良さは戻ったみたいで攻めさせずに零封。逆に攻めてはニアにぶち言った闘莉王選手の角度を変えたヘディングが決まってまず1点で、それからこぼれたところをたたき込んだ山瀬選手の1点もあって2点を獲得。どちらも運の良さがあった感じではあるけれど、その運を引っ張り込むだけの攻撃を見せていた現れだとも言えそうで、流れは徐々に傾いて来てこのまま一気にワールドカップアジア予選への圧倒的勝利へと続いていって欲しいところ。でも中村俊輔選手が入ったりするとまたがらりと変わっちゃいそーだからなー、ディフェンスライン前で回して回して回して回すアジアカップ仕様のサッカーに。欧州遠征でどんなセットを試すかにも注目だ。


【8月21日】 すっかりお気に入りながらも2回着たら汗でベタベタになってしまった「パート怪人悪キューレ」Tシャツを追加注文しよーかと逡巡しつつ手に取った最新号の「コミックガンボ」は表紙がなにやらいつもと違う雰囲気。見ると鳥維そうしさんって人による茶道漫画「茶ノ風」ってのがスタートしたみたいで日本に生まれて日本に育ったバリバリな日本人ながらも血は3分の1が外国で、だから見かけはカレン・ロバート以上に外国風って青年がお茶の広告のプレゼンに行った先でもやっぱり外国人に見られお茶よりコーヒーだ紅茶だと相手先に言われて思い悩んでいた、そんなある日。

 街を歩いていたらぶつかって来た少女がいて手にもっていた和菓子が駄目になったからと弁償させられなおかつバイクで稽古先まで送らされる。到着するとそこは純和風の家で何故か引き返せず門の中に入るとそこには和装の美女が立っていた。ということでおそらくはお茶の先生だろー彼女と見かけは外国人な徳武(ノリタケだけれど見かけからトムって呼ばれる)とが出会い育まれる関係から、お茶を通じた和の心って奴が浮かび上がって来るんだろーけど今はまだまるで不明。どんな感じになるのかなあ。絵はスタイリッシュで浅田弘幸さんに似た雰囲気があって見たことがあるなあと調べたら前は櫻井そうしさんって言って河出書房から「コルトマリア」って単行本を出していた。なおかつ読んでいた。

 パチスロがテーマになった漫画でパチスロのことがしっかり分かる上にドラマもあってとなかなかな漫画って感想。あの「九龍」のコミックスってことは島田一志さん関連で拝読したのかな。ホラー方面での活躍もあったみたいだけれど今回はがらりと趣向を変えての茶道漫画でなおかつキャラクターもそれぞれが独特そう。別にどっかの茶道教室がスポンサーに付いているって風もないんで純粋に漫画の面白さが認められての掲載になったんだろー。「コルトマリア」の出来からも相当に期待出来そう。「コミックガンボ」のデジマには日本テレビも出資しているからそっちでテレビドラマ化なんてこともあったりして。主演はカレン・ロバート、は無理だからやっぱりウェンツ瑛士になるのかな。

 んで「ステージガールズ」はいよいよシゲさんが漫才コンテストの「マゼコン」に挑戦。素人だからと1次予選からの出場となったけれども芸能プロダクションの経営者の娘ながらも芸については天才的な勘を持ってるレイナが相手だけにシゲさんのネタの良さと元より「ステージガールズ」で一世を風靡した経験もあって見事に1次予選を満点で通過する。おもしろうなってきた。これが隔週連載で「茶ノ風」といっしょってことは最強感強し。合間の号は「ゲームセンターあらし」のその後の「サラリーマントレーダーあらし」とあとは織田信長の漫画かあ。まあ信長は誰が描いても波瀾万丈で面白いから良いんだけれど、新作として楽しめる奴が1本欲しいなあ。「悪キューレ」と「人間嘘八百」があればまあ、それでも十分に楽しめるんだけど。ちなみに現在出ている号の「人間嘘八百」は江戸川乱歩がテーマです。そーだったのか乱歩。RG。

 今回も金のギアスじゃなくって黒のギアスだったけれども「コードギアス 反逆のルルーシュ」のドラマCD第5巻はジャケットがミレイ・アッシュフォードのドレスアップした姿で割にこんもりとした胸元なんかがスタイルの良さを伺わせるけど学園内で快調として君臨している時とは違った物憂げな表情は隣にルルーシュがいるからなのかな、本当は心があるのにそれを言い出せないもどかしさ。だって放逐された王子じゃあ迎えたところでアッシュフォード家の再興にはまるでつながらないから。まだ聞いてないけれどドラマのステージが「0.911」ってことは本編が始まる直前、ルルーシュがナナリーとともに生存していることを示してアッシュフォード家を訪ねたあたりの話ってことか。いや確か文庫の小説だとルルーシュはまだ幼少の頃、戦争が始まる直前に死んだことにされてアッシュフォード家に庇護されることが決まっていたよーな描写があったって記憶しているから時間的には本編の始まるしばらく前か。まあ聞けば分かる。「オレンジ ピール」ってドラマはジェレミアさん大活躍? ヴィレッタも出ているよーで掛け合いとか楽しそう。おやようございましたとなる前の真っ当だったジェレミアさんを偲ぼう。

 何億円だってわずかな時間で稼げるんだよなあ現代って奴は。でもそれには知識と度胸がないと無理。とりわけ金融の知識って奴は大きな武器になるみたいでひとつ大きなディールをまとめあげれば成功報酬が何億何十億。都銀でだって一生努めてせいぜい数億円ってな生涯賃金を思えばそーいった世界に飛び込みたくなるって気も分からないでもないけれど、でも栗山誠さんの「東京ディール協奏曲」(集英社)を読むと相当な覚悟と度胸とやっぱり才能がないとそれだけは稼げそうもないって分かる。都銀を辞めて仕事を探していた水原がネットで見つけたフィナンシャルアドバイザーのお仕事。訪ねるといきなり「いくら欲しい」と不遜な口振りで訪ねてきた霧谷という若い経営者にこいつは危ないと引きかけるもののその剛胆さが気になり就職。そのままとある企業のロボティクス子会社がたくらむMBO案件に絡んでいく。

 霧谷と水原とあとは秘書の女性という3人の会社が相手にするのは巨大外資系金融機関。働くは大蔵省に入ったものの3年で見切りをつけて役所の前を素通りして、就職させろと乗り込んだ金融機関でマネージング・ディレクターという職に就いている33歳の沢木という女性で、その歳でのし上がった実力と人脈を如何なく発揮しては霧谷たちの前に立ちふさがる。そこはたった1人で会社を立ち上げ実績を上げてきた霧谷だけに、水原を連れて横浜に行くような感覚で香港へと飛び要人と会う人脈の広さとフットワークの軽さと強引きわまりない態度で難局を乗り切っていく。生真面目過ぎるところもある水原もそんな霧谷に就いて大活躍。平凡な男だって才能のある人間に付き従えばそれなりなお金を得られるんだなあ。とかいって金融の才能はそれなりにあったみたいだけど、水原にも。とにかくリアルなディールの模様が描かれそれでいて難しくなく楽しく読めるエンターテインメント。実務経験を持った人の小説らしーけどどんな経歴の持ち主なんだろう? 「ハゲタカ」とか人気になっている時期にぴったりのストーリー。売れそうだなあ。

 やっぱりいつか来た道、かあ。儲からなくなったところにささやかれるもうけ口という罠。慌てて飛び乗ってはみたもののそれなりな支出と人的なリソースを割かないといけないってことで金を突っ込み他から人を引っ張ってきて当ててはみたもののそーした場当たりな”選択と集中”は本来いるべき場所での人的なリソースを薄くしてサービスの低下を招き、かといって新しく集中させたところも中途半端さがたたって儲けにはつながらないというマイナススパイラル。けれども上がいったん決めたことは絶対だからとそこにぶら下がって上しか見てない面々が鼓舞し振り上げ頑張るぞ、おーとやっても下は呆れて物も言えないまま貯まるは疲弊ばかり。かくしてモチベーションの低下を呼びそれがさらなるサービスの低下へとつながってあとは転がるよーに終末への道をひた走る、と。それが数百人って小規模な影響の範囲で行われているうちはまだ良かったけれど、数千人って単位で影響が及ぶところでただただ頂点だけを見上げ覚え目出度くありたいと邁進したあげくに到来する惨状たるや、想像するだけで恐ろしいけどまあ遠からず現実になるんだろーなー。もはや止める者もいそーもないし。組織ってこーやって衰退していくんだなあ。勉強になるなあ。授業料半端じゃないけど。


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