縮刷版2007年5月中旬号


【5月20日】 この質量で寝そべれば、当然のよーに重力でもってペタンとつぶれて広がるところを、立派にしっかり丸みを帯びたままつんと上を指しているのは、それだけ若くて中身が詰まっているってことなのか、それとも抱え込んでいる腕によってサイドに流れるのが防がれているからなのかと妄想も様々に浮かぶ、嬉野秋彦さんによる新刊「ゼランディーヌ 性悪ないばら姫」(集英社スーパーダッシュ文庫、619円)の表紙に緋鍵龍彦さんが描いた朽葉ひなこ嬢の豊かな姿態。開けば畳み込まれている口絵にさらに谷間も豊かな格好で上3分の2が露わに描かれているけれど、それよりも目は表紙でひなこを抱きかかえ、口絵で物欲しそうにひなこを見つめるゴスな格好をしたブロンドの美少女へと向かいがち。その小悪魔的な風貌にいったいこいつは何者と読み始めて愕然とさせられ呆然として本を取り落とす。なんてこった。

 ってまあ、帯にしっかり書かれてあるしカバーの折り返し部分の人物紹介にもちゃんと書かれてあるんで今更って気もしないでもないけれど、表紙には書店のカバーをかけてもらって帯を見ず、折り返し部分も読まずパッとキャラクターのビジュアルだけ見て感情を突っ走らせてしまった人にとっては、初めて聞いて衝撃を食らいしばらく起きあがれなくなるんじゃなかろーか。でもって書店のカバーを外して表紙を見て、ひなこの脇から胸元にかけてきゅっと食い込んだ細い指に倒錯ではなく淫靡な情動を見て憧憬ではなく憤怒を覚えるのだ、うまいことやりやがってこの野郎。

 とまあ人物紹介はそれくらいにして物語は酸性雨に濡れる王都へと田舎から家出同然でやって来た朽葉ひなこが犯罪の多発する地区へと紛れ込んで当然のよーに襲われたところをトレンチをはおって足にはヒールのモノクルをかけた美女に助けてもらいついていった家が「ベルナルディーナ・コンパーティア」というなんでも屋。助けてくれたロジーヌ・ベルナールはそこの実質的な代表で、なぜか親切にもひなこを居候然として迎え入れてる。そこにはすでに先客がいて名はすめらぎというゴスなファッション大好きな子。愛くるしいビジュアルとは正反対に性格は自己中心的で、スカートの下にブッシュナイフにも似た大刃の武器を取り付け幼女を狙った犯罪者の手首を問答無用で切り落とす。

 そーやって警察の下請け的な仕事をしている「ベルナルディーナ・コンパーティア」に舞い込んできたのが、街で流行はじめている少女だけがかかる奇病で、昏睡したままになる「ゼランディーヌ」に罹患し収容された病院から、消えてしまった少女たちの行方を探し事件の真相を暴く仕事。居候になったひなこもすめらぎと一緒に探索へと乗り出したものの自信がゼランディーヌに罹ってしまって昏倒。そしてすめらぎはロジーヌともども敵地へと乗り込み手にした太刀で犯人へと挑む。人形フェチな男のいかがわしくもおぞましい犯意に政治的な思惑もからんでふくらむ事件だけれど、それをあっけなくぶっつぶすすめらぎの力の根元って奴が何なのか、失われている過去の記憶や倒錯気味のファッションと何か関係があるのか、といった興味が存在するか不明なシリーズによって明らかにされることを期待。人形に着せたスカートの下を気にするかどうかってのはうーん、やっぱり迷うところだねえ。

 やっぱり逝っちまったのかカミナ兄貴。いやまだ真っ白に燃え尽きてしまっているだけで焼かれたり埋められたりしている訳じゃないから期待はゼロではないんだけれども流れとして、ひ弱で引っ込み思案な主人公の成長には兄貴分の退場って奴はそう、リュウ・ホセイにロイ・フォッカーにダイゴウジ・ガイの例に漏れずケツをたたいて覚醒させるために先に逝くもので、初っぱなからすっ飛ばしてたカミナにしてはまあここまでよく保った方だと、讃えつつ静かに祈りつつ続く展開でトランクだかスーツケースだかの中からあられる、ヒトをヒトとは思っていない謎の美少女の登場に淡い期待を抱こう。それにしてもよく動いたしテンポも最高だし何より燃えたよ「天元突破グレンラガン」。やっぱりさすがだガイナックス。

 そしてもしかしたらこれが最後かもって常に綱渡りを強いられている東京ヴェルディ1969のラモス監督の勇姿を見るべく「国立霞ヶ丘競技場」へ。良い天気で日焼けした。席はどっちにするかと迷ったけれどもとりあえず湘南ベルマーレのゴール裏へと入り込んで周囲を見物、ぷちこがいた。かつてベルマーレをスポンサードしていたブロッコリーへの敬意を未だ失わないサポーターの厚意に感謝。すぐお隣の日本青年館では奇しくもブロッコリーによる「ギャラクシー・エンジェル2」のコンサートが夕方から開かれることになっていたからご近所のよしみで木谷会長(会長じゃないけど)とか見物に来たら果たしてどんな態度で迎え入れられたことだろー、またスポンサーになって、でもって「でじこ」イラスト入りプラクティスをまた作って、とか。もっと買い込んでおけばよかったなあ、プラクティス。

 試合は前半にヴェルディの選手が1人、退場になって戦力に差が出たもののラモス監督の心のよりどころだったフォーバックが背に腹は代えられないと引っ込められてスリーバックになっていたこともあって、アジェル1人の持ち上がりが中心のベルマーレの攻めを押さえ込み、逆に攻めてはまあフッキ頼みではあるんだけれどケタ違いなパワーとテクニックでサイドを切り裂きベルマーレゴール前へと放り込む繰り返しでヴェルディが全般に優勢に。つまりは10人でだってそれなりにできてしまう戦力を持ちながらも、ここまで停滞してしまった理由がどこかにあったってことなんだけれど、勝ち始めるととたんに覆い隠されてしまうところもなるほどヴェルディ、それが再びあふれ出す可能性もあったりするんで今しばらくはやっぱり綱渡りが続くんだろー。機会を見てまた行こう。

 ハーフタイムではヴェルディ側のゴール裏でいつものヴェルディー・チアーズに加えて読売だかのカルチャーセンターでチアを学んでいる女の子たちがなぜか金髪の子も交えてお姉さんたちといっしょに踊っていて、真正面から見たかったとすこし後悔。日本青年館に並ぶ人を横目に見て外苑前まで歩き地下鉄で秋葉原へと出て「アニメイト」で「コードギアス 反逆のルルーシュ」のポスター自販機を回す、はいはい「ルルーシュ」ね、やっぱりここん家には男性キャラのしか入ってないんだ、そーゆーものなんだ、うーんダメだやっぱり津田沼へと行こう、津田沼なら2回に1回は女性キャラが出てくれる、と思いたい、けどでも、うーむ。

 帰宅してエアロバイクを組み立てる。1時間もかからず組み立て完了、意外に本当にコンパクト。っても段ボールを4箱とゴルフバッグを倉庫にたたき込み実家にがらくたを3箱送り込んでよーやくスペースが空いただけのことで、それでも未だに数箱の段ボールが積み上がったままの状況を改善するべく明日以降も倉庫に段ボールを運び込もうと決意。その作業だけでエアロバイクを漕ぐより運動になるんじゃないかって気もして来た。マグネット負荷だけあってバイクはなるほど静かで夜に漕いでもご近所への迷惑は少なそう。まあせっかく買ったんだからライトノベルの文庫本を手にして読みながら漕ぐライトノベルダイエットにしばらくは励みことにしよー。「夜明けのクロニクル」シリーズだったらきっとむちゃくちゃ痩せるなあ。


【5月19日】 膝枕された上に前屈みされると相手が妙齢な未亡人だった場合にどーなるか? って本能の根元に迫る命題にいただいたひとつの答えを目の当たりにしてうらやましさに身もだえ。「DARKER THAN BLACK」は、前週までのぎりぎりの所で命をやりとりする神経に厳しい展開から一変して、ピンク頭の猫耳コスプレ少女(年齢不詳)を助手に抱えたハードボイルドを気取る探偵が登場して、未亡人の手元から逃げた黒い猫の探索しに挑むってゆー柔らかエピソード。黒猫っちゃーマオだし探してと依頼された猫もマオにしか見えないし助手が近所の子供に頼んで集めてもらった黒猫もみんなマオに見えるんだけどよくよく見れば違うらしい。設定も微妙なかき分けが指示されていたのかな。

 額に井桁が浮かんだりする演出もあったりするこのエピソード。ゴスな銀(イン)が昔ながらの煙草屋のカウンターに座っているビジュアルが醸し出す、そこはかとないおかしさとはまた違ったストレートなコメディ展開で陰鬱さにやや沈みがちだった印象を一変させて上向きにしてくれた。とは言え背後には化粧品メーカーの人たちを次々に襲っては頭を乗っ取り自殺に追い込む契約者の暗躍があって、その契約者を追い込む黒(ヘイ)たち組織の活動もあって、しがない探偵による化粧品会社重役の後妻にして未亡人の女性の依頼を受けた猫探しに終始するってことはなさそー。しかし黒、強そうに見えていっつもピンチに陥っているよなあ、今回だってマオの咄嗟の支援がなけりゃあ死んでたよ。

 未亡人がいきなり訪ねてきた探偵の耳垢掃除を始めたのには何だと驚いたけれども、その後のとてつもなく羨ましくって想像するだに頬もゆるむビジュアルを見せることで、「コードギアス 反逆のルルーシュ」の後番組でありながらも、黒い闇よりさらに暗い陰鬱で凄惨な描写が相次ぐ一方で、コミカルさやお色気がやや足りず気持ちをドンヨリとさせていた視聴者に向かって、気分を高めてもらおうって制作者側のサービスがここに働いたんだろーと想像。「ギアス」だってアッシュフォード学園での生徒会メンバーによるドタバカが挟まらず、ひたすらに父親への復讐に燃えてテロに走るルルの憎悪の発露とか、ブリタニアによるテロ組織弾圧とか日本人大虐殺といった凄惨な場面ばかりだったら、ここまで盛り上がらなかっただろーし。お色気&ギャグ重要。

 もちろん耳垢掃除は雨耳話から体臭を経て香水へとつなぐ意味もあっての演出だろーから、未亡人がまとっている香りや契約者が嗅いでいる臭いがどう繋がっていくのかを見守ろう。愉快な探偵とその助手は今後のストーリーにも絡んで来てくれるのかな。コメディリリーフ的な役割として。あるいはテコ入れ要因として。しかしやっぱりうらやましすぎる探偵。左頬の下には大腿部で右頬の上には胸部のサンドイッチ。それで顔が腹部を向いていればさらに羨ましさも増したんだけど。そのまま窒息したってきっと天国へと行けたよね。

 奮発して指定席を買ったんだでスタジアム前でひとしきり、ソーセージ盛りをぱくついてから「フクダ電子アリーナ」へと入りさらに「なか卯」で牛丼を買ってもりもり。そしてバックスタンド中央付近に座して試合開始まで瀬尾つかささんの「クジラのソラ03」(富士見ファンタジア文庫、620円)をばーっと読む。ゲームの名目を借りた代理戦争的な設定は読めていたけどそれが地球どころか地球を含む銀河を含むひとつの宇宙だって消し飛びかねない展開になって来て緊張感も一気に高まる。ゲームを画策したオーバーロード的な存在の目論見って奴は何で、そいつらが地球人の中からアウターシンガーって感覚を解放させた存在を探し出そうとしているのか。全知全能であるはずのゼイたちがわざわざ地球人にゲームをさせてアウターシンガーを選び出す理由は。風雲急を告げる展開もラストにあっていよいよクライマックスとなる次巻「クジラのソラ04」への期待も高まる。出るのはいつかなあ。

 そんな「クジラのソラ03」の帯の裏側にいよいよ富士見書房でもライトノベル系作家の単行本シリーズを刊行の模様。「Styale−F」ってなんだSFでもやるのかと思ったけれども別にジャンルを意味しているものでなはくって出すのも雨木シュウスケさん「リグザリオ洗礼 レジェンド・オブ・レギオス」って「鋼殻のレギオス」の前日話と田代裕彦さんの「赤石沢教室の実験」ってミステリーと小林めぐみさんのどことなく現代都市が舞台の伝奇っぽい「魔女を忘れてる」とてんでばらばら。「レギオス」だったらファンも多いんで文庫で出せば良いのに、ソフトカバーとはいえ単行本で1300円を超える価格で出されては多くの中高生は買うのを躊躇うんじゃないのって気も起こるけれども敢えて出す以上はそれなりに、価格に見合ったハードさを持ったものにしてくるんだろーと期待するより今はない。しかし文庫だけでも手一杯なのに3冊で文庫8冊から9冊分の金を持っていかれるのは辛いなあ。大人でも辛いんだから少年少女にはもっと辛いだろーなー。それでもやる意義って奴を内容で見せてくれ。

 そして試合。「ジェフユナイテッド市原・千葉対サンフレッチェ広島」はキーパーが出てしまったところにゴール前へと軽くあげられたクロスを2人入ったカバーのディフェンダーのうち1人がけり出せると言ったらしーのに手前にいた中島浩司選手が手で書き出してしまってPK。それをウェズレイ選手にきっちり決められ先取されるとゴール前の角度のない場所からちょんとウェズレイ選手に蹴られたボールがディフェンスもゴールキーパーもなぜかさわれずゴールへと吸い込まれてしまい追加され、さらにディフェンダーがもたついたところをウェズレイ選手に突破されてキーパーとの1対1をきっちり決められハットトリック完成。決して崩された訳じゃないのにドタバタとしたミスから奪われる展開にもう何といっていいのか分からなくなる。何であそこで間違うかなあ。若さかなあ。

 一方で新井辰基選手が前半も早い時期に投入されては突破し1対1となっても決められず、その新井選手がポストになって巻誠一郎選手がやっぱり1対1になっても蹴ったボールがキーパー真正面に飛んでしまって決められず、これで軽く2点は損して逆に相手に奪われるってゆーいつもの展開に。奪えば走ってゴール前に怒濤の寄せがジェフの信条だったはずなのに、今はサイドで山岸智選手が止まってボールをもらってもフォローはなく2人3人に囲まれ戻しそこから前へと送ると奪われ反撃されるドン詰まりの繰り返し。右はそれでも水野晃樹選手の突破があるんでゴールライン際まで運べるけれども羽生直剛選手が負傷するとフォローも減ってなかなかチャンスが作れなくなる。

 しつこく前へと出た水野選手がキーパーのこぼしたボールをおしこみ1点を返したものの、ゴール前に入ったクロスにあと1歩、巻選手が及べばとかゴール前で合わせたボールがなぜかクロスバーの上を越えたりとかいった、運をつかみ損ねる展開がその後は続いてそのまま試合終了。なるほど時々形は作るものの全体に動きが足らずもたつく間に守備を固められそれで急いでミスして奪われる連続を、打破しないといけないんだけれどそーした時に素早い攻め上がりと両サイドへのワイドな展開に冴えがあり、また守っては鉄壁だったストヤノフ選手が怪我で不在ってのがどうにも痛い。ジョルジェビッチ選手がやっぱり代わりは勤まらないんだよね。

 ゴールデンウィークの競合相手の3連戦のうち2戦はストヤノフ選手不在でしのげたのに、ここに来て一気に崩れたのはやっぱり疲れもあるんだろーなー。ともあれ入れ替え戦の所まで落ち羽生選手の負傷佐藤勇人選手の負傷とさらに手駒が薄くなってのぞむナビスコカップのグループリーグ最終戦に勝てば決勝トーナメント、負ければ敗退の大事な試合をとりあえず勝ち、期待を上へと向けた上で次節ガンバ大阪戦までに守備網だけでも建て直し、せめて引き分けで良ければ勝利をつかみ取って前半戦のうちに中位までは順位を上げておきたいところだけれども果たして。中盤に溜められる外国人とトップに決定力のある外国人が欲しいなあ。


【5月18日】 「Think Pad X32」がいよいよブルースクリーンの嵐に加えて使用中に凍り付く現象まで出始め使いものにならなくなって来たっぽいんで、去年のうちにニッシンパルで仕込んでおいた、電源コードが共通で使い勝手が良い「X41」へとデータとかメールアドレスとかのうちの大事なものを移送。あとは音楽ファイルを救出できればだいたいの用は足せるけれどもこいつがなかなかでかいだけに、外付けHDDとかに転送している間に凍り付いたり落ちたりする繰り返しになりそーでちょっと面倒。でもまあ普段からiPodとか聴く習慣がないんでしばらくはこのままでも大丈夫かな。

 いやいやせっかくエアロバイクを買ったんだから漕ぎながら聴きたいからやっぱり換装は必要か。耐えてくれ「X32」。しかし頑丈にして堅牢に見えて意外にもろいないなThink Pad。レノボだからか。違うか使い方が荒いんだ。毎日あれだけテキスト打ってりゃ壊れるさ。パナソニックの方が堅牢かなあ。でもキータッチが今ひとつだからなあ「Let’s Note」。仕方がない。「X41」もいつか壊れるだろーからその時を見越して今のうちに仕入れておくか。もう売ってないか。

 そんあ作業をしていたんでリアルタイムで見てしまった「おおきく振りかぶって」は延々と投打の心理戦。だけどおもしろい。1球1球のすべてを解説しつつ進んでいくから、それも時々はすごく長い間考えていたりするから本当の野球よりも進むのが遅いくらい。都合たしか3話で時間的に70分くらい使ってやっと7回。次回をまるまる使って最終回までやったとしておよそ20分が加わり90分ってのはどーだろー、高校野球の軽く1試合分くらいはあるよなー。まあそれを言うなら「ドカベン」なんて1つの試合を連載上で何年もかけてやっていたし「あしたのジョー」だって3分間のラウンドを10分20分くらやっているよーな感じの時もあったっけ。

 つまりはスポーツってのはそれだけ濃密な技術と感情のやりとりが行われている訳で、それを適宜解説していくことによってスポーツそのもののすごさをメディアは伝えられるはずなのに、未だスター選手が何かをしたこととそのスター選手が普段はどうだってことだけを、フレームアップすれば事たれりと思っているからたちが悪い。五輪代表が不人気だ? それはメディアが各選手のおもしろさと戦いぶりのすごさつたなさをくみ取り伝えるこができないからだよ。って思いたいけどでも実際、見ていて退屈な試合が多かったからなあ。たまに本田圭佑のとてつもないフリーキックが出たって所詮は瞬間芸。ジュニーニョ・ペルカンブカーノみたく始終それを繰り出し魅せるプレーができていれば別だしそーでなくてもここぞの所で炸裂し続けていれば期待も高まり現場で見たいって人も増えるんだけど。そこの壁を越えて欲しいよ本田選手には。

 続けて「怪物王女」。そーかフランちゃんの妹の眼鏡でスリムな長身の人造人間フランシスカもやっぱり「ふが」しか言わないのか。知能くらいつけてやれよ。つか誰が作ったんだ彼女たち。素材は何だ。原作にはそーゆー設定とか描写ってあるのかな。そして姫の妹シャーウッドも登場してトリフィドで秘めたちを襲うものの反撃されて返り討ち。わざわざ極東の島国まで出てきて住む場所はテントってのがかわいそうというか情けないとうかサバトちゃんみたいというか。王族の住まいは姫に先を越されてしまったんだろー。でも奪うにしてもトリフィドで壊してちゃあ受け継いだところで立て直さなくちゃならず費用とか面倒。そんな費用があるなら最初から火照るとかに止まれば良いのに近所の雑木林のテントってのは、やっぱり姫と一緒に暮らしたかったってことなのか。まあ気にしていたら進まないのが「怪物王女」。考えるな。感じるんだ。感じたぞ。支離滅裂拳を。

 甘いようだけれども甘くない。むしろ苦くて悲しい味が下の奥に染みて叫びだしたくなるけれど、だからこそ誰しもが幸せになれるようにと願い、世界を甘さで満たしたいという欲求に駆り立てられるのだ。「ブール・ノアゼット」(集英社スーパーダッシュ文庫)という後ろ向きだった少年が励まされ引っ張られて立ち直っていく様を突拍子もないキャラクターたちを交え描いた藍上陸の待望の2作目「アキカン!」(集英社スーパーダッシュ文庫、590円)は大地カケルって名前の少年が自販機で買って飲んだメロンソーダの缶が女の子に変身してしまってカケルの家に居候するとゆー、スウィートさにあふれてベタベタな物語にまずは見える。ありがちっちゃーありがちか。

 何しろ缶ジュースに口をつけた瞬間に女の子になるってことは、つまりその瞬間は口づけを交わしているとゆー寸法。うらやましいったりゃありゃしないけどそんな境遇をカケルがうっとうしいと忌避するでもなく、ニマニマとして受け入れる訳でもないところが藍上陸ならではの展開で、どーやら過去に人が傷つくところを見て自分が誰かを傷つけることを極端に恐れている大地カケルは、スチール缶から生まれたメロンソーダの缶ギャルことメロンが政府がもくろむスチール缶とアルミ缶の統一の駒となってアルミ缶から生まれて来た別の「アキカン」と戦うことを許さない。けれども容赦なく襲って来る敵をメロンが退けてしまいそして生まれる別離の悲劇は、コメディだからといって巻き戻せずさかのぼれず1人の少女の心を深く傷つける。

 お調子者でエロエロな態度を見せているよーでも奥底に通った芯が現実の持つ死んだら決して生き返らないとゆー厳然たる事実を浮かび上がらせては、愉快に読んでいた人たちの心を嘆かせ畏れさせ悲しませて考えさせる。なすべきことはなにか。なすべからざることとはなにか。それでも起こってしまった悲劇をどう糧として未来へと歩んでいけばいいのか。ドタバタとした同居居候押し掛け女房コメディにしてできた作品だけど、それだと既刊も山ほどあって勝負にならない。だからってことでもあるし、あるいは作者自身の気持ちの現れかもしれない「生命」への「慈しみ」とゆーテーマがある分、読んでいて大きく引きつけられる。

 カケルの幼なじみで女の子の方はカケルを慕っているのにカケルは、1人の女の子だけを今は選べないでいる関係のところに、双方にそれぞれスチールの「アキカン」とアルミの「アキカン」がつき、加えて「アキカン」のメロンを人間型にするためカケルがに缶に口をつけた瞬間に口づけになってしまった所を幼なじみの女の子見られてしまい、めらめらと燃える女の子の嫉妬心が手下の「アキカン」を暴走させて好きなはずのカケルを傷つけてしまうとゆー相克もドラマ的。インパクトがありなじみ深くもあってドラマチックなその上に、主張を添えて読む人の心に響かせようとしている。続く展開もありそーでこれからどんなドタバタが周囲で起こってカケルを巻き込むのか、そんなドタバタにつきあいつつもカケルはどんな態度で臨み道具として利用されることのない「アキカン」たちの未来を拓くのか。期待して続刊を待とう。鈴平ひろさん「銀盤カレイドスコープ」に続いての主力作品になるのかな。なって欲しいな。

 ふと浮かんだのは「正義の見方」を任じる「黒の騎士団」が仮面のゼロを先頭に徒歩で長久手町の現場へと入り立てこもる犯人の確保と人質の解放を、ともに成し遂げる姿だったけれども現実に「黒の騎士団」なんて組織は存在せず、また人がひとり、犠牲になってしまっているシリアスな状況では、事件があれば現れ批判のプラカードを掲げる「月光仮面」のよーな、パフォーマンスをまず目的にした「黒の騎士団」を急遽作り上げては現地に赴きアジテーションを行うなんてできはしない。かくしてゼロはテレビカメラの前に姿を現さないまま長久手の事件は犯人の投降によって一件落着。これで人が亡くなってなければどんな仮装が現れ愛知県警を励ますなり誹るなりしたことか。それはそれで見てみたい場面だしむしろ人が亡くならなければ劇場型犯罪へと飛び込み道化を演じてみせるパフォーマンスを、誰かやったって可能性もありそー。時が戻せるのだったら誰も亡くならない状況の中で「ゼロ」の扮装をした若き正義感が事件に挑みつつ「ルルーシュ」とはなにかを示唆して、いよいよ社会現象間近かもってことを、思わせられたら良かったなあ。現実はやっぱり苦い。


【5月17日】 敵っぽいのは見えたけれども交わったのは数瞬で、そいつらがいったいどーゆー組織でアイドルを同様に持ちながらもどーしてドロップの撃破ってゆー地球を救う任務に就かないのか、でもって何を目的に活動しているのかが分からないまま進んでいった「アイドルマスター XENOGLOSSIA」は、碇シンジくんよろしく僕はダメなんだここにいちゃいけないんだと打ちひしがれて出奔した天海春香を、水瀬伊織たちだけじゃなくってインベルまでもが追っかけていく大盤振る舞い。これが「新世紀エヴァンゲリオン」で箱根の丘を歩いているシンジを初号機が追いかけていってシンジを見つけて抱きしめたら、さぞやハートウォーミングな「エヴァ」になっただろーなー。でもそれだと歴史には残らなかったか。

 とりあえず立ち直って一件落着。以後もひたすらに落ちるドロップを拳骨で砕く仕事に邁進するだけの肉体労働アニメだったら誰も見なくなりそーだけれど、第1話から何かとモンデンキントのアイドルマスターたちに絡み続ける敵ことトゥリビアータの存在も、前週のリファちゃんによる全裸ハッキングに続いてじわじわと表に出てきていよいよ対立のドラマへと発展していってくれそー。つかしてくれなきゃあ緊張感も緊迫感もないからなあ。とりあえず結束を固めつつあるインベルチームに対して自分のことだけが他の何より優先する誠だけが孤立しているけれど、その堅固な意識をどーゆーエピソードが崩すのかってあたりも見所か。でも落ちていく春香を見つつあと一撃って考えるくらいに俺様な心を崩すことなんて可能なんだろーか。むしろ誘われ裏切り敵に回りそーなキャラだけど。どーなることやら。まあ引き続き視聴。

 テレビを見てた立てこもりの報。いつかの東京での公団立てこもりといい何か増えているなあ今度はどこの都会でだと目を向けたら愛知県は長久手町でのこと。田舎なのに。いやでも万博が開かれた場所で近年は交通事情も良くなり住宅も増えた模様で新しく造成されたっぽい事件現場には、家も並んでなかなかなにぎやかぶり。この様子だと羽柴秀吉と徳川家康がただ1度だけ軍を交えた「小牧・長久手の戦い」が繰り広げられた古戦場の明確にはなってないけど何となく地元も遠慮していた跡地に家々が立ち並んでは、地中に埋まった様々な遺物が発する霊波にあてられ夜な夜な落ち武者鎧武者が枕元に立って歴史の講義なんてしてくれるかも。羽柴方、徳川方の双方から現れたら枕元が合戦場、臨場感あふれる戦いが見られてそれはそれでなかなかだ。

 まあ長久手もあれで結構広いんで猿投山へと近づいたあたりとか瀬戸へと抜けるあたりは今でも鬱蒼とした雑木林が連なっているのかも。広いと言えば出動をした警察が東郷町にある愛知警察署だったのにもやや驚きで、東郷町と言えば愛知郡なんだけど長久手町も同じ愛知郡、だけど接していなくって間にあった日進町が知らない間に市になって“独立”してしまったから同じ愛知郡ながらも東郷町と長久手町はそれぞれが飛び地みたいな関係になってしまった。そんな2つの町に加えて、市になれるくらいに人口もあれば企業なんかからの収入もある日進市、さらには東郷町の南にあってこちらも市になってる豊明市までもが愛知警察署の管轄ってんだからこいつは広い。そんな広い地域を何年か愛知署に勤務していてもう退職した父親は見ていたのか。大変だったなあ。とはいえ80年代末の話でまだ今ほど人口も多くなかったから、昨今の発展と万博開催なんかできっと更に大変になっているんだろうなあ。もしも県警に就職してたら勤めてたかな、いやこれでも合格したんで、高卒時と大卒時の2度。でも体力なかったから学校で挫折してたかな。

 知らないうちに2巻まで発売になってた紺野キタさんの「ダーク・シード」(幻冬舎コミックス)を1巻までさかのぼって買う。そっかウェブコミック連載かあ、だから連載中の情報がまるで引っかかってこなかった。まあこれだけ漫画雑誌が多くなると紙の雑誌に連載されていても気づかない作品は山とあるからあとは店頭で気づくしかない。とはいえ幻冬舎とかのコミックスまで平積みにしている書店は都会のそれなりの規模の書店だろーから、店頭をメディアとしてできない地方の小さな書店では気づかないまま通り過ぎてしまう人も多いんだろーなー。ウェブなら全世界に情報発信が可能だって言われているけれど、逆に言うなら全世界からあらゆる情報が集まり流れるのがウェブ。そんあ広汎な情報に紛れて埋もれてしまうとゆー皮肉。ウェブだから世界が相手、なんて商売上のセールストークがいかに空虚なものかが何となく分かるなあ、とりあえず気づけたのは僥倖。

 それにしても良い絵だ、繊細でかわいらしくって小憎らしくって美しいキャラクターたちはまさに紺野さんの筆。学園が舞台になっていろいろな性格の少女たちが出てくるのは「ひみつの階段」ゆずりだし、ちょっぴりダークな雰囲気をまとったキャラクターが出てくるのもホラーっぽい短編に通じるところがある。つまりは紺野さんの今の時点の集大成的な作品で、それだけに2巻を終えても物語はまだ冒頭、いよいよ始まる闇の王子ルルーシュ・ランペルージ、ではないけど何かダークな雰囲気をまとった少年が「闇の種子」として目覚めて成す様々な悪に、闇の力を封じ込める「番人」の力を受け継いだ少女と、この世界では魔法使いが手にして生まれた魔法の力を帯びた宝石を預かるパートナーの少女とが、反目をしつつも逃れられない運命に従い手を組んで「闇の種子」にどう立ち向かうのか。キャラの美麗さに話しの壮麗さ奥深さはなんだか萩尾望都さんの大長編を読んでいる感じでまず読んで、続けて読んで最初は見えてなかった設定が頭に入ってさらに読んでこうつながっているのかと、発見して驚くことも多い。今はひたすらに続く展開が楽しみ。こうなるとウェブの連載も読んでみたくなるよなあ。やっぱりウェブへの誘導には紙が1番ってことなのかなあ


【5月16日】 可視化されたってことはもはや人間と同様で歩けば疲れて腹も減り食事もしてそして排泄も? 「キスダム」は知らないうちに増えてた失格娘が敵ハーディアンの力を食った元の同僚アグリが妖怪百目となって繰り出してきた鏡ビームを浴びて実体になってしまって今後は堂々する少女たちにもシュウを「失格」「失格」「失格」って罵倒する不思議に愉快な姿が見えるよーになるのであった、と。コメディみたい。そーいや珍しく一般人が死ななかったなあ。前週は割に近い場所で這い蹲って観察していた玲は今回は遠くリゾートからオペラグラスで観察。見えるわきゃないのに見えるってところにこいつのただ者じゃない雰囲気を感じるんだけど、何者?

 折角だからと立ち寄った秋葉原のアニメイトでしつこく2回回し。はいはい「ルルーシュ×スザク」に「スザク」ね。分かっていたんだそうなるってことくらい。でもちょっとくらいは男子だって客だと思っているんだと期待したけど緒戦は池袋の乙女を相手に商売しているのがお似合いなアニメイト。秋葉原にあったってその色は抜けず女子を相手にした商売に徹して男子キャラばっかり入れているんだ「コードギアス 反逆のルルーシュ」のポスター自販機に。それとも何か、僕が立ち寄ろうとしている姿を遠目に確認すると担当者が中からすべての女性キャラの筒を抜いているのか、そんなイジワルを仕掛けているのか、うーん分からないけど結果としてまだ1度たりとも、そう12回回して秋葉原で1度も女性キャラが出たことがない訳でやっぱり何かあるんだとこれは思うしか他にない。何があるんだ。もしかすると僕の心の奥の奥底にそーしたポスターを求める心理が潜んでいるのか。うーむ。

 運送屋っぽい服装で若者がフォロンのいるツゲ神曲楽士派遣事務所に飛び込んでくる。手に何か抱えた姿で追われていると言う彼はフォロンと知り合いらしくフォロンは彼が危険だと見て助けようとする。何で追われているのかは聞かない。そこにやって来たのはマチュアとマナガ。黒ポリ読者だったら精霊課刑事だと知っているけどそこはアニメの視聴者になったつもりで誰が来たと驚こう。でも刑事なんだからとりあえずそこで刑事なんですが知りませんかと聞くだろう普通。でも聞かない2人をフォロンたちは殺し屋かなにかと考え逃げ出し車で逃走する。

 そこは流石に気を回して騙されず逃げたフォロンたちを追うマナガたち。ハマーにも似た巨大なアウトドア車で運送屋のトラックに体当たりを喰らわすとトラックはガードレールを突き破って下へと落ちていく。普通はそこで全員死亡。あるいは同情していたコーティカルテが精霊の力を発揮して持ち上げるかと思ったけれど、切り替わった場面は天井がガラスに覆われた屋内プールで水着姿をさらけだし、遊ぶ女の子たちの上に天井をツキや撃ってトラックが墜落して来てプールにそのままズボンと飛び込む。やっぱり大破して当然なところをよほど頑丈なのかトラックはマナガがぶち抜いた後ろドアを除いてはひかくてき綺麗なままであまつさえ、ドップリと水に浸かったままでエンジンを吹かして進み出したから吃驚だ。水陸両用車だったのか。それともエンジンルームじゃボウライがペダルを踏んでいるのか。

 プールより浮き上がった車に乗ってるフォロンはなぜかスイミングキャップを被り目にゴーグル。そしてコーティカルテは胴に浮き輪を巻いている。その間にどんなアクションがあったんだ? さらに運転している若者の口には2本のイカ焼きが。観光地の海水浴場でもない町中のプールにイカ焼きの屋台が出ていたのか。それはすごい素晴らしい。一方のマナガたちもプールにおちて巨大なマナガは水面から首が出ても小さいマチュアは水面下でブクブク。引っ張り上げると何食わぬ顔しているそのシーンって笑うとこ? いやあ笑ったけれど虚ろにクフフフフと。イヒヒヒと。

 そしてご対面となるコーティカルテとマナガ。ようやくやっとマチュアが自分は刑事だと長門有希みたいな喋りで明かし、ツゲ事務所へと逃げ込んできたフォロンの知り合いだった若者が貴重な単身楽団を盗み出したんだと告げて逮捕に及ぶ。っておいおい精霊課の刑事ってのはただの窃盗にも出張って来るのか? 来ないよなあそれは普通の泥棒課の領分。だけどそんなことすら些末に思える豪快なカーアクションぶりにもう見ている間目が点点になってしまったよ。どちらともなく知り合いだったっけと言うも正体明かしはそこではなしに万事解決、そして終了。ああおもしろかったあ。

 これほどまでに挑戦的で画期的で前代未聞で空前絶後のアニメの脚本を書いた人、校庭10週。違うってコンテを切って演出した人たちがイカ焼きも浮き輪も付け足したって? でも高架からプールに落ちるとか最後に刑事と明かす展開とか、若者が単身楽器を盗んで逃げていることをまるで咎めず助けようとするフォロンの間抜け設定ってのはやっぱり脚本が土台じゃないの? 分からないけど結果としてこのストーリーで脚本とクレジットされてしまった以上はそうしたストーリーを書いた張本人として長く世に語りつがれることは必須な訳で、今後出会う人からイカ焼きのO迫、浮き輪のO迫と言われても甘んじて任じましょう。純粋に純然たるギャグアニメであり毎回リセットな「ギャラクシーエンジェル」的なものだと思って見ればそれはそれで愉快なんだけれど、「神曲奏界ポリフォニカ」って世界の1本だからなあ。それともこれは小説とはパラレルだって言うことなのかなあ。

 太ってきたのでアルインコのエアロバイクをネットで購入。問題はどこに置くかでとりあえず設置面積の1番小さそうな奴を選んだんだけれど部屋の中にはそれすら置くスペースはなく、おそらくは小さいキッチン兼玄関に置くことになりそだけれどそっちにも本を詰めた段ボールが溢れだしている状況。せっかく借りたトランクルームにも時間がなかったり雨だったりして段ボールを運べない状況が続いているだけに、これは早急に詰めて運んでスペースを開けないと「Wii」と同様に買っても出さずに積み上げたままとあってしまい体は太り続けるばかり。頑張ろうこの週末くらいは。いかんサッカーがギャラクシーエンジェル隊のコンサートだ。うーむ。

 つまり人間が1番の害毒だということなのだろう。くだらない意地を張って反目し合うし恨みの心だけで突っ走っては別の恨みを買う繰り返し。すべてを愛せよなんて言う宗教だて宗教の埒外におかれた者たちを異端者だ異教徒だといって迫害する。そんな人間たちに比べればただひたすらに生きることに真っ直ぐな竜たちの方がよほどに美しい存在なのでは、と、そう思わせたかったのだとしたら片理誠のファンタジー作品「屍竜戦記」(徳間ノベルズEDGE、905円)は見事にそんなメッセージを語り上げて読む人間どもに己が醜さを思い知らせる。舞台は大陸。等しく同じ神を抱きながらも片方は共産の偏愛を説きもう片方は競争の幸福を説く2派に別れた宗教を抱く国々に分裂しては宗教の違いを理由に争っていた。

 その砂漠の国は偏愛を説く教国の傘下にあったが一方の競争が重んじられる国に攻められ滅亡の瀬戸際に追いつめられていた。その時。宗教の対立を超える畏るべき存在が飛来し争っている人々を敵も味方もなく焼き尽くした。竜。100年ほどの眠りを超えて蘇っては人と争いまた眠る竜が目を覚まして人間を襲ってきたのだった。当然ながら人類は宗教の違いで争っている場合ではないと、和睦し共同で竜に立ち向かうことになった。武器となるのは教国に伝わる死んだ竜の屍を操る術のみ。かつて滅びた砂漠の国に生まれ育ったヴィンクとメルタナという2人の少年は、長じて竜を操ることが可能な“屍竜使い”となって、自分たちの国を滅ぼそうとした国へと出向き、自分たちの仲間を食らいつくした赤い竜に立ち向かう。

 和睦しているとはいっても協議で対立している国に送り込まれて不安になる2人。加えてそこに先に送り込まれていた大使は神経質で権力志向の俗物で、ことあるごとに自らの立場を声高に叫んでは滞在している国の神経をさかなでする。竜を相手にできる“屍竜使い”の術を持つのは自分たちのみ。そんな優越感が大使を増長させていたのだが一方では大勢の人たちが竜に襲われ死んでいく中で、自らの立場を強めたいからと2人に出撃を見合わせろといった要求をして来る大使の言動に、2人は悩まされていた。もっとも竜に襲われているその国も、国王と権力者が富を握り弱者は町の外で竜に食われる様を見ているこれまた俗な者たちばかり。偏愛を説く教義に純粋な2人はそんな態度にこれも我慢がならず、どちらの見方をすべきなのかを日々悩んでいた。

 とりわけヴィンクは純粋な上に直情型で大使の言い分にのって国民が死んでいく様を見たくないと反発し、国民を平気で見捨てようとする権力者たちに怒り、故郷を滅ぼした赤い竜への復讐心に燃えてい引き時を見誤り、果てはとりかえしのつかないことをしでかし大事な仲間を失ってしまう。もはや絶望するしかない状況。それなのにヴィンクは心の純粋さを捨てきれず、最後の最後まですべての生命が、それは人類に限らずすべての生けとし生きるものが幸福であれと願う。その心に呼応する存在あり。それは……。なるほど人類の俗っぷりに憤り滅びてしまえと願いたくなる気持ちが浮かぶこともある。けれどもそれをしてしまえば自らも俗な人間と同じ地平に堕ちるだけ。大切なのは思いを貫き通すこと。それだけが人類のみ成らず地に生きるすべての存在に明日をもたらす。人間にとって普遍とも言える悩みに一筋の光明を見出し、明日へと導く感動の物語。傑作。


【5月15日】 1932年頃に何かあった日。これと「226」が日付がそのまま事件を著す日として妙に記憶に残っているのは軍部暴走がもたらした悲劇を極限まで諫め抑圧しようとした戦後教育の中で、メルクマールとしてフレームアップして語られ続けた現れか。けどでもそんな教育への反動が左から右へと流れを激変させてこうした日付をさすがに翼賛は出来ないんで埋没させていってしまう可能性もまた不気味な話。今時のボコボコと変化している様子を提灯掲げ誉めそやされて悦に入るメディア人とか多々出てきた中で神経の真っ当さをどこまで堅持できるのか。勝負の数年になりそうだけれどもうきっと流れは止められないんだろうなあ。だから2次元へと逃げると。あるいは娯楽に。

 逃げたくったって楽しませてくれない娯楽だったら見放すしかないのか。「週刊サッカーダイジェスト」の2007年5月29日号に東京ヴェルディ1969をずっと追っかけているライターの海江田哲郎さんが「疑問だらけの舞台裏」って記事でラモス監督の続投が決まったことへの「しっくりこない思い」を吐露している。チームに割に近いところで活動せざるを得ない担当ライターにとってこーまで激烈な“批判”記事を書くのって勇気がいることで、それでもちょっと前から「カエルのトロトロ煮」に近い状態だと、今はまだ温さにあってもいずれ沸騰した中でもだえ死ぬ可能性を示唆していた人だけにもはや我慢のならない所まで、沸騰しているってことなんだろー。

 記事は続投が決まっていく概況が中心でその過程ででは具体的にどんな話し合いが行われたのか、そしてどんな“力”が働いたのかまでは想像はしていても踏み込んではいない。観戦して概況を書くライターであっても深く突っ込むジャーナリストではないんでそーした経営の部分にまで、踏み込めってのは無理な話でそこにこそジャーナリズムを標榜しているスポーツ紙あたりにやって頂きたいことなんだけれどフリー以上にライター化している状況では更に無理。まあいずれ時間が経てば当該の人あたりから口を通して漏れて来るだろーことでもあるんでそれを待つのが今は道ではあるんだけれど、だったらライターにはこれまでの試合や練習の模様を見た流れから、どこがどう間違っているのか、そしてそれを修正する能力の有無を判断した上で、結果としてやはり無理だったとゆー流れを書いて欲しかった。

 守備が拙いんだったらそれを練習の時にどこまで鍛えようとしていたのか。走らない選手が多いのは練習でやっぱりフィジカルを鍛えるよーなことをしていなかったのか。近くにいれば見えていたこと、分かっていたことを傍証として添えるだけでも解任すべきって意見が説得力を持って野次馬にも、そして根っからのファンにも伝わるだろー。まあでも7連敗ってゆー結果がすべてって気もしないでもないか。なおかつ今度は生え抜きで今季冒頭にジェフユナイテッド市原・千葉が獲得を要望していながらも愛を標榜して残った平本一樹選手をレンタルながら横浜FCへと放出。出るチャンスが少なかったこともあるけどそれは分かっていたことだし、長いシーズンにチャンスがめぐって来ることだってあるだろーにここに来て放出を呑んだ裏には、やっぱり何かがあったんだろー。それが何だったのかを海江田さんには次に、是非。

 芝公園にある東京プリンスホテルの「ザ・プリンスパークタワー」までセガのコンシューマソフト発表会を見に行く。芝公園の小山の向こうにそびえるたった1本のホテル棟はいつまでたってもセイタカアワダチソウが繁ってた荒れ地の向こうに立ってた「御先祖様万々歳」の犬丸たちの住むマンションみたいに素っ気ない。増上寺脇の仁王門を挟んで歩道と車道のエントランスがタワーに向かって続いているんだけれど、地上にあるのは草っ原、ってのは大げさだけど申し訳程度に樹の植わった公園にしか見えない。見かけのゴージャスさを打ち出してこそのホテルだしプリンスホテルが威信をかけて作ったホテルでもあったはずなのに、上はそこそこに地下にばかり宴会場を豪華に作ってみせたのは、金が足りなかったのか地上は抑えられなかったのか地下へと隠遁することを偉い人が想像していたのか。しかしやっぱり奇妙なホテルだ。

 発表会ではセガと組んだチュンソフトから待望のサウンドノベル最新版が登場。「忌火起草」はジャパニーズホラーの演出によるビジュアルと豊富な容量を活かした音声が過去の想像する怖さを超えて全方向から恐ろしさを身へと迫らせる。いやあこりゃあ真夜中にには出来ないよ。画面に流れるセリフを音声で出すんじゃなくって説明的で簡潔な文章に関連して登場人物たちの喋りを心理とか情景とかも含めて詳しく音声で伝える方式が使われているから、チャッチャと画面をとばしてテキストだけ読んでいくのも不可能。それだけどっぷりと浸らないといけないってことはそれだけじっとりと怖さを植え付けられることになりそー。やってみたいけどでもやっぱり恐いなあ。同じ方式で「街」みたいなミステリアスなドラマをやって欲しいんだけれどそれだと売れないからなあ。

 やはり秋葉原では限界があると津田沼まで出向いて「アニメイト」で「コードギアス 反逆のルルーシュ」のポスター自販機を回して1度目に待望のカレンが登場、えっと通算で10度目くらい? なかなか過ぎる確率だけれどこれは僥倖ともう1度、回せばいよいよC.C.にお目にかかれるかもと期待して回したらまたしても「ルルーシュ×スザク」が出やがった。ここも一緒か。さらに1度回して今度はカレンがもう1枚。かくして12度回して女性キャラクターが2枚ってのはやっぱり微妙な確率だよなあ。まあいい津田沼に関しては3分の2だからまた行けば次こそは。通おうしばらく。ついでに抽選券付き関連CDも買って上映会に潜り込める確率を上げよう。


【5月14日】 郵便局に往復ハガキを買いに行ってさて何枚買おうかと考えとりあえず3枚を確保。問題は「月刊ニュータイプ」の2007年6月号をまだ1冊しか買ってないってことで「コードギアス 反逆のルルーシュ」の24話と25話の先行上映会に参加するための応募券を切り取り往復ハガキに貼って応募し当選する確率を上げるためにはせめてあと2冊は買うことになりそー。これで「月刊アニメージュ」みたくトランプがおまけについて来てたらいろいろと使い勝手もあったんだけど「ニュータイプ」は付録がコードギアスの別冊なんで何冊買っても同じ冊子が溜まるだけ。塗り絵とかペーパークラフトでもあったらそれでも遊べたんだけど同じ冊子ではなあ。キャラクターでも切り抜いて適当に貼ってオリジナルのマンガでも作ってみるか。

 奇絶怪絶また壮絶な豪華絢爛自主製作映画「ラブデス」が絶賛公開中の北村龍平監督にインタビューした関係であれやこれはと上下左右な情報を集めていて知った驚きの事実。ハリウッドでこないだまで撮っていたクライブ・バーカーの代表的ホラー作品が原作になった「ミッドナイトミートトレイン」に主演するヴィニー・ジョーンズって俳優が元プレミアリーグの選手でなおかつウェールズの元代表でもあった名サッカー選手だったってことにもそこまでサッカー選手の名前を知らない身として驚いたけれど、それよりも出世作となった超絶アクションホラー映画「VERSUS」で頓狂な刑事を演じていた増本庄一郎さんって元お笑い芸人で今は役者であり監督でもある人の奥さんが、あの富永み〜なさんだったって情報にたどり着いてさらに驚愕。

 そーいや安達祐実さんと結婚したスピードワゴンの井戸田潤さんに渡辺満里奈さんと結婚したネプチューンの名倉潤さんに田中美佐子さんを射止めたTAKE2の深沢邦之さんにかの藤原紀香さんを奪取していった陣内智紀さんといった感じに、お笑い芸人の有名女優ゲットが大ブームになっている昨今だけれど、その原点はここにあったのか。それにしても「インパクト」ってメンバーの1人として大してメジャーでもなかった増本さんと、声優界では長くトップを張ったアイドルの富永さんとが、いったいどこでどうやったら結びつくんだろー? 双方の芸歴を見てもまるで重なるところがないだけに分からない。ってことはつまりまるで声優界に縁のない人間でも、超有名な声優さんとお近づきになれるチャンスがあるってことか。ないよなあ、やっぱり。富永さんと言えば「機動警察パトレイバー」の「メモリアルDVDボックスが間もなく発売かあ。買えないよう高くって。買ったところで見ないんだけど。

 その理由はやっぱり新作のラッシュが未だに続いているってことで監督が代わり2作目となった「らき☆すた」はのっけからイニシアルがDな感じのCGカーチェイスが続いてゲラゲラと笑う。面白いかは別だけど。ってかどーせやるならアニメからのパクリじゃなくって大評判になった香港版の実写を模してそこだけ実写で撮して挟み込んで欲しかったよ、あのCGかと見まがうよーなカーチェイスを京都東山あたりの峠で京都アニメーションの社員が演じてみせたらそれこそ神だとみんな讃えただろーに、ってすでにアニメ関係ない。お話の方は某「グレンラガン」では描かれなかった女風呂がたっぷりでそれも若いぴっちぴちな女の子の背中にお尻が丸見えだったりして真夜中に目も覚める。問題はそれがあまりにデフォルメされ過ぎていてムーミンの顔とさほど区別がつかなかったってところだが。けどでもそこからだってそれは女性の柔肌なんだと妄想し得るのがアニメファンって奴。目にも嬉しい描写に明け方まで寝られない若者も続出したんじゃなかろーか。続くアニメはさらに白バッチリな奴だしさ。

 スクリプトの方はいろいろと古いネタやらあぶないネタやら切実なネタやらが入り交じっていて一時も気を抜けない感じは前の山本寛監督の時とも共通か。どちらかといえばゆるゆるとして1つのネタを徹底していた山本さんに比べるとテンポよく切り替えつつ時々戻って畳みかけつつさらに進める速さがあるけどその分詰め込まれているネタもたくさんあって置いて行かれる気分を味わう人も結構いるかも。それを録画で見返しネットで情報を照合して確かめさらに楽しむってのがなるほど現代的ビデオ時代のアニメ鑑賞の極意って奴か。でなきゃ今時の10代が「よっこいしょういち」と言われて笑えたり、「ディモテティモテ」なんて言われて喜べるはずもないもんなあ。現役リアルタイムな世代だって一瞬、何のことか分からなかったくらいだし。

 女性の生理ネタは男子が聞いても嬉しいと入れたのか女性ファンを意識したのか。双子だからって同じ周期で回っている訳じゃなくって人それぞれにタイミングがあってだんだんとずれていくものってことなのか。まあそりゃそうだ。双子でも片方は結婚して子供もいて家も建てたのにもう片方は未婚で6畳一間で本に埋もれて暮らしているんだから、ってそりゃあバイオリズムとは関係ねえ。水着に使ってオッケーな用品って何かを想像できてもそれを使う場合を考え絵を重ね合わせると妙にもやもやとした感情が浮かぶ。地下鉄をどこから入れるのかなんて難題を超えてそれがどうやって入るのかを考え夜が寝られなくなっちゃった男子手を挙げろ。全員か。

 実在するなんて信じちゃいないけど、実在していたら楽しいってことくらいは認めていたりするUFOなりUMA。世界の不思議を心底から信じているんじゃなくって、世界の不思議を信じようとしている自分が愉快なのが一番の醍醐味なはずなのに、世の中はそーした曖昧さを認めてくれず、是々非々のみで分けて判断しよーとする。だから実のところは是でも非でもどっちだって良いんだけれど、せっかくだから信じてみたってバチは当たらないぜって、そんなスタンスでもって世界を遍歴してはUFOの中心地ともいえるエリア51へと迫り、ナチスが逃亡の果てにUFOを研究していたアルゼンチンへと渡り、ヒマラヤでイエティを探し理想郷シャンバラの入り口に近づこうとしている人間が羨ましくって仕方がない。

 その手の情報を発信するに留まらず、体当たりで現地へと出向き体感としての不思議さを伝える「X51.ORG」ってサイトの記録が本になってまとまって夏目書房から登場。開けばなるほどUFOにナチスの隠れがにイエティにシャンバラとトンデモな事例が並んでいるけど作者のスタンスはそれらを信じて喧伝しようといったものじゃなく、そういう話があるんだったら行ってその目で状況を見てみようといった実にジャーナリスティックなもの。でもって行った先でそれらが実際に信じられている様を伝えることによって世界にはそうしたものを認める風潮が実際にあるんだってことを感じさせ、ならばなぜにそーした不思議が真実味を帯びて語られるに至ったのかってぶぶんを考えさせる。

 ナチスドイツのアルゼンチンにおけるUFO製造を少なくともジャーナリズムの分野でそれなりに認められた落合信彦さんが書いた理由は、純粋にUFOの存在を信じたってよりは、アルゼンチンにおける独裁的政権が意味したナチス残党とのつながりをUFOを借りて遠回しに伝えようとしたものかもしれないって主張にはちょっとばかりうなずける。イエティも空飛ぶ円盤も信じられた背景には何かしら理由があってそれが何かを考えることは世界の歴史を把握する上でとっても重要なことだったりする。時代性に精神性の変遷を映したトンデモ話のその裏を、読んで時代性や精神性を浮かび上がらせる作業を行うことによって見落としてはいけない大切な何かが浮かび上がって来るんじゃなかろーか。そう気づせてくれるだけでこの本は十分な意味を持つ。美麗で巧みな写真が並んでいるけど全部著者が撮ったのかな。だとしたらプロだよこの人は。


【5月13日】 あの橘ワタルが店長やってるビデオショップに置かれているとゆー「天元突……」の表には流通していないビデオとはいったい何なんだ? それはだから第6話の総集編っぽい部分がシモンとカミナが2人で絡み合ってる正式なシーンに差し替わった完全版で、見ると健全なる女の子は腐り男の子は目覚めてしまう危険性を懸念され、それはますます進む少子化を助長するだけだと政府の秘密機関から忠告が入って削られてしまったんだけれど、そのあまりの出来の良さ耽美さにお蔵入りさせるのは惜しいとこっそり横に流され、ああしてビデオショップに流通しているのであった。ちなみに横には山本寛監督版「らき☆すた」第5話が並んでいたりしちゃったりして。

 そんな「ハヤテのごとく」を見てその前にちゃんと「天元突破グレンラガン」も見てカミナに立ったバイバイフラグに次回も見なけりゃと決意を固めつつ支度をして「フクダ電子アリーナ」へと女子サッカー「mocなでしこリーグ」のディビジョン2に所属する「ジェフユナイテッド市原・千葉レディース対東京電力女子サッカー部マリーゼ」の試合を見に行く。晴れて良かった。ジェフ千葉レディースを見るのは去年の末の最終戦以来だけどメンバーが替わりユニフォームが替わり、何より監督がジーコジャパンでフィジカルコーチを勤めた里内猛さんに代わってからの初観戦。ここまでディビジョン2で4位とは言え上位に決して圧倒的な大差はつけられておらず引き分けすら演じるだけの力をつけていたりして、いったいどんなサッカーをするのか興味を持って見たらこれが実に興味深かった。

 なるほど相手ボールへと詰める最初の1歩がやや遅れて相手のボールにしてしまったり、パスを出すタイミングがやっぱり1歩遅れて囲まれ奪われてしまうケースは多々見るけれども、それをゴール前の危険なエリアで演じることはまずなくって、パスもそれが通れば相手にとって危険な1手になりうるタイミングだったりするところに、戦術面の習熟を感じる。何よりスピードが速い。そして最後まで衰えない。トップで走り回る23番の清水由香選手のとてつもないスピードは以前と同様。そして他の選手も危険と見るやカバーに走って肝心なところで去年までディビジョン1だったTEPCOマリーゼをフリーにしない。そりゃあ代表の丸山桂里奈選手は出ていなかったけれど丸山選手はスピードよりはテクニックでかわしていく選手。たとえ出ていたとしても囲んで奪い決定的な仕事はさせなかったんじゃなかろーか。

スピードスター走る走るそのままなでしこまで走れ!  そして全員が最後まで疲れない。後半に押し込む感じで1点を奪ったあとも引きこもらずに前線へとボールを運んで幾度と無くチャンスをつくる。相手フリーキックに競り合って当てたボールが自陣のゴールに飛び込む不運さから追いつかれてしまったけれどもその後も決定的な場面を相手に与えず逆に決定的な場面を何度か作ってそのままタイムアップ。去年までだと走り負け競り負けて奪われ追いつけない試合もあったのが今年は引き分ける試合の結構あったりするのもなるほど最後まで衰えない体力のなせる技なのかと見て納得する。

 その成果が里内監督の指導の賜だったとしたら、流石は代表フィジカルコーチにしてS級ライセンス保持者。ドイツで実力が発揮できなかったのはだからセレクトした監督の名にとゆーかアレ過ぎた結果だったんだろーなー、やっぱり。あとはボランチがもうちょっと戦える選手になれば、ボールを拾いそこから左右にさばいてポゼッションを高めてより有利に戦えるよーになるんだけど。日テレ・ベレーザの酒井與惠選手クラスが1人いればすごく強くなる気がした。ディフェンスは浦和レッドダイヤモンズレディースから移って来た13番の柴田里美選手が無茶苦茶高くてそして強くで相手の攻撃をことごく跳ね返してた。もじゃっとした髪形は中澤祐二選手のよーで、代表監督が見ていたら代表に呼びたくなるくらいの活躍を、スピードスター清水選手ともども見せていた。選手層も確実に厚くなってるなー。

 対するTEPCOマリーゼも実は監督がS級保持者とゆー豪華な陣容。野村貢さんはフジタ工業でプレーして日本代表になった経験もあり、湘南ベルマーレでコーチを勤めたこともある人だから、選手としての経験は里内さんよりも上だしコーチとしてのキャリアも里内さんに負けずむしろ上かも。ともに50歳とゆー”同期”で当然ながら知人のよーで、試合が終わった後は笑顔で握手をしていたけれど、長いサッカー人生、まさかここで会うとは、去年のこの時期にはまるで思っていなかったんじゃなかろーか。それはつまりは女子サッカーってカテゴリーが、プロのコーチのそれもトップに属する人たちを充てて、当人も周囲も当然だって思われる環境になって来ている現れで、そこで活躍して代表に選手を送り込むなりする実績を残すことが、コーチとしてのキャリアにプラスにことなれ決してマイナスにはならないってコンセンサスが取れて来ているって言えそー。

 毎年何人ものS級保持者が生まれている昨今、博士号を持ちながらも教授職に就けないオーバードクターにも似たオーバーS級コーチが増えていたりして、その一方で選手時代の名声をバックに、落下傘のごとくトップチームの監督に座る人も割といたりするのが日本のサッカー界。けど大学だって女子だって重要な場所だってことになれば、そちらでS級のライセンスを活かし修行することが、コーチにとって決して脇道だとか遠回りだとか言われなくなる。むしろ落下傘のごとくトップチームに降り立ったものの未熟さを露呈し散々な成績を収めてなお、名声を傷つけられないと切れず醜態を演じさせられるより遙かに監督としてやり甲斐があるんじゃなkろーか。

 技術面で劣る選手たちを組織面で引っ張り上げ、体力面を加味して戦える集団へと引き上げていく経験はどこに行っても絶対に役に立つ。ぽん、と与えられたトップ選手に潤沢なスタッフに何より伝統を足蹴にするかのごとく無策でもって大量の連敗を喫してなお、選手が悪いと開き直るどこかの監督は1度、傘下にある女子サッカーのチームでコーチを勤めて指導するってことが何かを学び直し方が良いのでは。当該の女子チームにとっては良い迷惑かもしれないけれど、幸いにしてその緑色をした女子のチームは素人の監督をコーチできるくらいの技術と経験を持った選手たちに恵まれているから、きっと1年で素晴らしい監督に生まれ変わってくれるだろー。いやほんと。ところでモンテディオ山形戦は……引き分け……。微妙。

 終わってその足で秋葉原へと出たら祭りはもう終わって御輿の分解が始まっていた。「アニメイト」へと出向いて早速「コードギアス 反逆のルルーシュ」のポスター自販機を1度回したらやっぱり案の定当たり前のよーにルルーシュ×スザクのツーショットが出てがっかり。これで8本連続男子キャラ。さらにもう1度回したら何とゆーかやっぱりとゆーかスザク×ルルーシュのツーショットが出やがった。9本連続男子。いったいどーなっとんじゃこの自販機。もしかしたら入っている9割がこの女子大喜びの絵で残りの5分がルルーシュのピンで4分がスザクのピン。残った1分がC.C.にシャーリーの生徒会の面々って振り分けになっているんじゃなかろーか。もはや来店客に挑戦しているとしか思えないけどそれならそれで結構だ、懐だけが痛む挑戦だったら何度だって受けてやるから覚悟しろ。


【5月12日】 やっぱりルルーシュもしくはスザクばかりになっているに違いないアニメイトのポスター自販機。お金を放り込んで回して詰まって出てこないんで開けてもらって上から適当につまんだ1本がまたしても「ルルーシュ×スザク」の構図の奴。こいつは前に回して連続で出た2本とも同じ構図でつまりは3本連続。通算でも男子ばかりが7本連続。うーん何かに憑かれているに違いない。

 アニメイトの商品だとカラーのポスターにシャーリーが露わにしている構図の奴があるから、「コードギアス」を決して女性向けのコンテンツだって限定している訳じゃないんだろーけど、女性にはたくさん出たと喜ばれ、男性には全然出ないと恨まれつつもしつこく回してもらうためにも、男子キャラをいっぱい放り込んであるんだとここは考え、それならそれでのってやるとばかりにしつこく回して、いつかのコンプリートを目指そうと決意するのであった。お金がない。「totoBIG」当たらないかなあ。

 朝方に録画済み番組の処理をちょくちょく。「のだめカンタービレ」はのだめの主役度貢献度が更に下がって狂言回しにすらなっていない。というかもとから千秋が主人公の漫画だったってことなのか。「セイントオクトーバー」はアッシュがいよいよ本領発揮。もとより優しさなんてカケラも見せていないのに猟兵は彼の何をそこまで信じていたのかちょっと不思議。ヨシュアとアッシュって何か因縁があるのか? もしかして親子? 違うよなあ。「キスダム」は増えて3人になった「失格娘」のジェットストリームアタックが炸裂。目の前に現れ罵倒してくれる娘がこんなにいっぱいで主人公もさぞや気持ちが良いに違いない。絵がまっとうになって動きも良くなったのは後から作られた関係でいっぱい人手をかけられたってこと? だんだん悪くなるよりゃ良いけどでもやっぱり途中のも直して出して欲しいなあ。

 まるでFLASHアニメかと見まがう動きの時もあった「怪物王女」は動きをそこそこにキャラの雰囲気と不思議な間で見せる演出へと移行した? のか日郎が吸血鬼娘の嘉村令裡と出会って開いてたチャックを締められ、そのまま色香に絡め取られていく間合なんかが淡々としていて心静かに見ていられる。ドラマをやろうとして動かない絵とのギャップに違和感を与えられるって感じがなくなり、だんだんとキャラを増やしていきそんな奴らが起こすドタバタやらを淡々とした日常描写の中に描いて進めていきつつ、おかしさと面白さを誘う展開になっていけば絵が間に合わない激しいアクションなんてなくても、十分に視聴者の目線は引きつけられるじゃなかろーか。次回はフランちゃんの妹フランシスかいよいよ登場。妹にしては体型が立派。頭も良さそう。何より眼鏡だ。でもやっぱり体重はフランくらい重いのかな。

 んでもって「スクウェア・エニックス パーティ2007」へとゴー。朝ってことでそんなに大行列は出来ていないし会場が広いんで空間に余裕があって大混雑って雰囲気ではなかったけれど、それでもそれでもクローズドメガシアターには何十分待ちとかの行列ができていたし、「Wii」対応ソフトでコントローラーを振ってモンスターを斬りまくる「ドラゴンクエストソード」だかのブースにもまあそれなりの行列が。2人が両側に立ちテニスや野球を遊んでいた任天堂の「Wiiスポーツ」なんかに比べると、画面の真正面にプレーヤーが立ってコントローラーを振ることになるものだから後ろから写真を撮ると背中しか映らず、ちょっとズレても手元のコントローラーがぎりぎり映るくらいでプレーヤーの顔は見えないんであんまり綺麗な写真にならない。

 コンパニオンの人にやや斜めに立ってもらって、画面にテニスラケットを振る感じにコントローラーを振ってもらえば見栄えの良い写真も撮れたんだろーけど、綺麗なコンパニオンを相手に喋りかけてお願いする勇気もないんで断念。1人背が高くて細いコンパニオンの人がいたからお願いすれば良かったかなあと後悔したって後の祭り。こーしてタイミングを逃して今へと至る。嗚呼。やがて集合時間が来たんで午後1時から始まる「ドラゴンクエスト」のカードゲーム機のプレゼンテーションへとゴー。1時間ほどの待機を経て舞台に登場したウエンツ瑛士さんの撮影に勤しむ。ああやっぱりいい男だ。これが「ゲゲゲの鬼太郎」を演じているんだから不思議とゆーか奇妙とゆーか興味深いとゆーか。いったいどんな映画に仕上がっているんだろー。ギャグ好きな本人の意向も反映されたお茶目な鬼太郎? それとも容姿の怜悧さを映したよーなクールな鬼太郎? やっぱり見て置いた方が良いのかなあ。猫娘の踊りも見たいし。

 それにしても大層な規模のイベント。出展内容は「東京ゲームショウ」でのスクエニブースの何倍何十倍も濃いし深いし面白い。でもって入場料はタダ。グッズだって買えて雑誌に連載されてる漫画の原稿だって見られてといった具合に、隅々まで楽しめるイベントに来て観客が抱くスクエニへのシンパシーを思うと、入場料までとって大混雑の中でちょろっとだけ見せる「東京ゲームショウ」のよーなイベントが持つ意義って奴が、ぐんぐんと薄れていく感じ。いわゆる流通業界向けのお披露目だって考えればそれもありなんだろーけど、年末商戦の仕入れには間に合わない秋の時期での開催は意味がない。むしろこの「スクエニパーティ」の前日を業者日にして見てもらい触ってもらうよーにした方がスクウェア・エニックス単体として効果も期待できるんじゃなかろーか。

 なんててことを考える企業が多かったんだろー。より派手にしよう見栄えを良くしようって競り合って何10億円もかけたブースを出しても、さほど効果が期待できないことが分かって参加を渋る企業が続出したのか今年は米国の見本市「E3」がこの5月はなくなってしまった。いずれこの流れが日本へも流れが波及して、各社がプライベートショーに勤しむよーになって「東京ゲームショウ」への出展を渋った挙げ句に、昔あった春の「ゲームショウ」と同様に秋も縮小から中止、なんてことになったら後押しして「ゲームショウ」を国際規模のコンテンツマーケットにしたいって考えている国とか政府の面目が潰れてしまうなあ。そうならないためにも止めさせない、でもってお国に顔向けしたい業界の偉いさんも止められないって構図が、ゲーム業界にもゲームファンにも前向きじゃない事態を引き起こす可能性を、ちょっと想像できてしまうから悩ましい。

 だいたいが世界で1番売れてる任天堂が真っ当に参加してない「東京ゲームショウ」にどれだけの価値がある? こっちはこっちで無料の「任天堂スペースワールド」をことある毎に開催してはファンを集めて喜ばれているし、任天堂が主催じゃないけど小学館が手がけている「次世代ワールドホビーフェア」には「ポケモン」関連の展示があってタダで見られて子供たちが大勢集まる。それで十分、って子供が増えれば「東京ゲームショウ」にいったいどれだけの人間が集まるか。今年は「Wii」も「プレイステーション3」も発表がないんだよ。でもまあそこはそれ、大人がグッズを集めイベントをのぞくためにわんさと集まりそれなりに人数が確保できてしまうんだろーなあ「東京ゲームショウ」。主催しているCESAの会長がスクウェア・エニックスの和田洋一社長である以上はプライベートショーを開いたんで今年は出ません、なんて言えないし。

 撮り忘れてしまったけれど放送を見た「電脳コイル」は眼鏡っ娘オンパレードの萌えアニメ、ではなく眼鏡は普通の人には見えず感じられない電脳世界を感じさせるデバイスで、これを付けている子供は見えない犬を飼って育て存在しないラップトップを取り出し開いて操作できる。視覚だけじゃなくって触覚までをも眼鏡型のデバイスでどー利用者にフィードバックしているのかが分からないけど、目からの情報の強さでもって脳を動かし触覚までをも操作しているってことになるのかな。そんな眼鏡娘たちが動き回る街に混乱の予感。あちらこちらでバグが出ているよーで、それを修復しに出てくるボール状の装置が目下の敵となってさらに何やら巨大なバグが現れてさあどーなるってところで次回。

 リアル世界にバーチャルが重なっているシチュエーション、ってのはSFなんかでも割とあったりするし、「パプリカ」なんかでも脳からデバイスを通して溢れ出した情報が、他人の脳を支配し幻想を見せていた。「電脳コイル」の場合もそーした設定の作品なんだけど、子供達の日常に自然と入り込んでいるところが面白い。気になるのはバーチャルをリアルと間違えるどころかバーチャルがリアルと等価になっているって前提から、バーチャルが生む危険性をクローズアップして描いてバーチャル批判へと流れないかって部分。一方でバーチャルな犬がもたらしてくれた様々な感動を少女がより所にしている描写があって、決して危険ばかりではないって分からせようとしている節もあるから、その辺りを勘案しつついろいろを描いていくんだろー。

 「パプリカ」だったら日常に非日常があふれ出す過剰な描写が愉快だったけど、「電脳コイル」の場合はあんまり派手さはなく、リアルなバッグが犬を素通りしてもバーチャルを自覚できる人の手は犬を抱き上げられるってゆー矛盾した描写なんかを交えつつ、その世界における入り交じった状態を示してくれていてなるほどそうなんだねって分からせてくれる。もっともバーチャルなんて理解できない世代はあーいった描写をどう見たのかは不明。分かるかなあ。分かってくれないと困るなあ。幼犬だった飼い犬が成長して大きくなっていくのはどっかにデータサーバーがあって世話したデータが蓄積されていくから、なんだろーけどそれがセンター方式なのか分散されているのか、といった辺りから世界を脅かす敵がどんな攻撃を仕掛けてくるのかを見透かしつつ、話がどう進んでいくのかを見守ろう。再放送があるといいなあ1話。


【5月11日】 「月刊アニメージュ」の方は2007年6月号で恒例のアニメグランプリが発表になってて「コードギアス 反逆のルルーシュ」が作品部門で1位をゲットし放送終了からずいぶんと経ちながらも根強い人気のあった「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」を2位に落とす。「ガンダム」ってしばらく1位を続けてきたんだっけ、間に「鋼の錬金術師」とか挟んだっけ、ともあれ放送されて半年しか経っていない未完の作品が一気の1位ってのは、それだけやっぱり厚くて熱い支持があった現れだと理解するより他にない。そして急速な人気の高まりも。

 「涼宮ハルヒの憂鬱」の3位はU局ネットのローカル作品だった割には頑張ったと見るか、あれだけ世間的に話題になったのに低すぎると見るか判断に迷う。アニメファンのとりわけネットに集う人たちの間で話題になっていることと、多くの人たちが支持していることとはまた別だから、1位になれなくっても別に不思議ではなく、むしろ個人的には全国放送の「コードギアス」「ガンダム」に混じってよくぞ奮闘したって感想。やっぱりネットで話題になってはいながら、「時をかける少女」が10位までに入らず14位だったってのは映画ってゆー媒体のハンディか、それとも「アニメージュ」ってゆー比較的年齢の低い読者層には届かない作品だったってことか。おじさんしか見なかったってことかもなあ。

 んでもって「コードギアス」は男性キャラクター部門でもキラ・ヤマトにアスラン・ザラの「ガンダムSEED」組を抑えて「ルルーシュ・ランペルージ」が1位に。キラ×アスランが続いてそして「ハルヒ」のキョンと来てスザクは6位と話された。まああの弱めなキャラでは仕方がないか。覚醒後の後半戦に期待だ。声優は残念ながら福山潤さんじゃなかったけれどやっぱり後半戦で更なる盛り上がりがあれば来年のグランプリは作品でも男性キャラでも声優でも、さらにサブタイトル部門でも(「血染めのユフィ」か「せめて哀しみとともに」のどちらかが入るだろうなあ)「コードギアス」がまとめて獲得するんじゃなかろーか。壁があるとしたら「エヴァ」の劇場版か。

 主題歌は「COLORS」か、FLOWの。「交響詩篇エウレカセブン」の「DAYS」も良い歌だったし作品の初期の盛り上げに大きく貢献したけど中盤からこっち、展開が迷走してしまったことが作品への関心を縮小させてしまって歌への興味も引かせてしまった。「COLORS」はスピード感もドラマチックな感じも作品にぴったりだった上に、次の主題歌に代わってからもますます盛り上がる本編の内容に復帰を希望する人が多いから人気も当然か。「解読不能」も嫌いじゃないけど、でもやっぱり。

 女性キャラはこれといってヒロインに強力なのがいないってことで「コードギアス」は1位に入れず2位も奪えず。かろーじてC.C.が3位だけれど本当の年齢を考えればそれでもよく上に来たってことかなあ。「Fate/Stay night」のセイバーとどっちが年上だろう? 個人的にはカレンとユフィとコーネリア様がベストテンに入って来て欲しいところだけれどユフィは逝っちゃったしコーネリア様は歳が歳だしカレンは今ひとつ目立ってないし。シャーリーが19位なのはとりあえず前半戦で目立っていたからか。来年も入るかはこれからの活躍次第だけれど、何か良い役を用意してあげないと厳しいかも。記憶を操作されて右往左往している今のままだと狂言回しにすらなっていないもんなあ。ミレイ・アッシュフォードやセシル・クルーミーやラクシャータもヴィレッタ・ヌゥも入って来て欲しいなあ。

 あるいはその閉じた瞳を開いて王女としての自覚を持って立ち上がったりしてナナリーが存在感を高めて急激に上位に来たりして。ルルーシュの行動の原動力に彼女が、ゼロの正体をルルーシュだと知り彼に綸言した果てに失われてしまうことなしに、物語の最後まで生き残るとしたらやっぱり道を踏み外したルルーシュを諫め、浄化し世界を安寧に導くシーラ・ラパーナ的な女神としての役しか考えられないから。さてもどんな結末を用意していることやら。どっちにしてもアニメグランプリ。来年は全項目制覇で全世界に「コードギアス 反逆のルルーシュ」の名を刻み込め。

 どうしろと? ってまあ買うだけのことなんだけれど榊一郎さんの「神曲奏界ポリフォニカ」シリーズ最新刊となる「神曲奏界ポリフォニカ ビギニング・クリムゾン」にはアニメイトととらのあな限定の別バージョンの表紙が用意されているとかでオリジナルと会わせて都合3種類。買えば3倍のお金がっかるけれどコーティカルテの艶姿が拝めるとあっては仕方がない。むしろ積極的に買わせて頂く羽目となってソフトバンククリエイティブの企みに貢献してしまうことになるのであった。なんと卑怯な。

 好みで言うならやっぱりアニメイトバージョンのアンダーウェア姿でその衣装が良いってことも勿論あるけどそれ以上にむつっとふくれたコーティの表情が可愛らしい。いい歳をしているはずの精霊なんだけれどフォロンとのやりとりを見ているとまるで子供そのもの。精霊ってあるいは見かけに精神も左右される存在なのかもしれない。問題なのはあんなにファッショナブルなアンダーウェアにコーティの外観とぴったりのサイズのものがよくあったなあってことで、セクシーさとイノセントさとゆー相対する命題をともに解決し得たアンダーウェアはだからコーティ特注の品物だって想像も浮かぶ。注文したのかフォロンは。朴念仁に見えてあれでなかなか豊富な下心。

 一方のとらのあなバージョンもこれはこれでなかなかなもの。サイズが合っていなくて皮膚と布地とのあいだに隙間が生まれて皺がよるあたりが実にスクール水着。胸につけられた「こーてぃ」と書かれた名札も実に素晴らしきキュート感を醸し出してる。日本語なんだなああの世界の公用語。表情で言うならオリジナル版のどこか怯えているっていうか申し訳なさそうっていった表情もこれでなかなかにキューティ。精霊でも飛び抜けた実力を持ちながらも今は小さな姿で生きるコーティだけに、すがれる唯一の存在であるフォロンをこの視線で釘付けにしているんだろー。ああこんな目で見られてみたいものだよ人間だったら誰もが絶対に。

 さて「ポリフォニカ」ムーブメントで書棚占領も広がっているGA文庫から新人が登場。白瀬修さんって人の「おと×まほ」(GA文庫、600円)は男なのに魔法少女だから「男×魔法少女」ってタイトルになるところを平仮名に開いて略しただけっぽ。決して「男」と「魔法使い」の耽美なカップリングではありません。でも男で魔法使いじゃなくって魔法少女ってとこが味噌で見かけはとっても女の子っぽい少年の白姫彼方がある時突然に、母親から魔法少女になりなさいと無理矢理契約をさせられ、変身してみたらスパッツは履いているもののスカート姿にだぶっとしたワイシャツにネクタイとゆーとってもキュートでファッショナブルな衣装の魔法少女となってしまったとゆー次第。ただし中身はそのまんまっぽくってきっとスパッツをむけば生えててワイシャツの下も平べったいに違いない。うーん投資能力がなくて良かった。

 そーして魔法少女になった少年が倒すは世に浮かび上がるノイズから生まれる怪物たちで、世界を滅ぼすほどの悪さはしないけれども人を傷つけたりするからやっぱり倒さなくっちゃいけない様子。そんな仕事を続けているうちに彼方の心にはあれやこれやともやもやが浮かび上がるけれどもそれが最後にちょっとした障害となって彼方たちの前に立ちふさがる。引いて魔法少女を勝手に辞めてしまえば男の子の彼方は女の子になってしまうとゆー、考えようによっては容姿に性別がマッチする幸福な事態のよーにも思えるけれども当人的には嫌だそーで魔法少女を続けざるを得ない。

 けれどもやればやるほど溜まるストレス。さてどうするか。そこではっきりを意識を固め、外見ではない内面、外部の命令ではなく自分の意志を確立させて敵へと向かう気持ちを固める自覚の物語が繰り広げられる。そんなテーマがあるにはあって面白いけれどもありがちだし、築地俊彦さんの「けんぷファー」ほどドキドキもしないアイディアや展開を下支えしてくれている。ご近所にも魔法少女がいたりするけどあんまり物語に絡んで来ないのが残念。きっと続くだろーシリーズで対立するにしても仲良くなるにしてもあれこれ絡んで眼鏡でおさげの委員長とバトルを繰り広げてくれると期待しよー。イラストはヤスさんって人でなかなかの可愛さ。帯をはずすとそこには魔法少女姿の白瀬彼方のスパッツならがもスカートの下がのぞいているんだけれどしかし中に生えていると思うと……うーむ迷いそう惑いそう。


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