縮刷版2007年3月上旬号


【3月10日】 風邪気味で微熱が続いて鼻水も切れず朦朧とした意識の中を起き出して、録画済みの「コードギアス 反逆のルルーシュ」を即再生って形で見よーとしたら「はれときどきぶた」が撮れていた。だってほら、十円安が情けない声で「はれぶた〜〜」って叫んでるよ。違う? でもどこか所在なさげに情けない声音で喋るユーフェミアはもう十円安にしか聞こえない。もうちょっと高めでお嬢様らしく訥々と喋る声だって出せるんだろーにどーして少年系に偏った声にしているんだろー? もしかして何かの伏線?

 実はユーフェミアは王女ではなく王子だけれどシュナイゼルにクロヴィスにルルーシュといったライバルを相手に皇位を目指させるには命が危ないと母親に姉が結託して少女として育てたと。だからニーナも妙な反応を見せてドギマギしていると。でも島で裸になった時には胸あったからそれは流石に違うか。いやいや後から膨らませることだって。うーむ。まあその辺りも含めて今後の立場が固まるのも次のシリーズに入ってからのこと。半年先か1年先かは分からないけれどもその間はあれやこれやと妄想を膨らませながら再会の時を待つことにしよー。いっそ土6で再放送すりゃ良いのに1話から。それだとアニプレックス的に拙いのか。でも連敗しちゃったんだからこの辺で、譲っても良いんじゃないの。

そこから意識を失い目覚めて始まっていた「おとぎ銃士赤ずきん」を見物。始まりの部分を見なかったから「セイントオクトーバー」の実写版ゴスロリ少女探偵団が唄っているCMが流れたかどーかは知らない。朝からあれは健康に良すぎるよ。そしてトゥルーデの正体が案の定、草太のおかあさんだったと判明。起こっちゃだめよと言いつつサンドリヨンに突っ込んでいって負けてしまえばいくらおとなしい草太だって起こるだろーと気がつくだろーに。あそこは皆で引いて体制を立て直すのが筋だったのに。うーん残り話数が少ないと一気呵成に話が進む。王様は最後まで囚われたまんま。役立たずだったか。それにsてもずサンドリヨン、谷間が立派だなあ。大きめのフィギュアで出ないかなあ。

 そして気合いを入れ直して背番号11「MAKI」と書かれた日本代表のユニフォームを久々に着込んで「国立霞ヶ丘競技場」へと向かい「FIFA女子ワールドカップ北京大会」のプレーオフ「日本代表vsメキシコ代表」の第1戦を見る。Jリーグがたけなわの日やるなんて観客動員を邪魔しているとしか思えないけれどもFIFAが決めることだろーから仕方がない。それでも小学士絵の女子とか中学生の女子とかいった普段はJリーグなんて行きそうもない人たちが、わんさとかけつけ「国立」を1万人超の人で埋めたのは偉かった。メーンとバックの下段はほぼ満席。Jリーグがなければバックの上段やゴール裏もそれなりに埋まったかも。

 それにしてもわずか4年で一気に広まった感のある「なでしこジャパン」への支援と声援。男子の代表はハード過ぎるしJリーグに行くには時間もお金もない。そんな女の子たちにとって、自分たちの将来をそこに写せる存在として「なでしこジャパン」があって、これは是非にでも応援しなきゃいけないって気分いさせられるんだろー。カテゴリーを作ればそこにお客さんがやって来る。JFAにとってもこれは発見だったかも。次は文明国で世界的に進む高齢化なんかも睨みつつ、リタイアする団塊世代を引きつけるよーなシニアチームの育成と世界大会の開催なんて考えていたりして。開催はAEDが豊富に備え付けてある「フクダ電子アリーナ」限定になりそーだけど。

 試合の方はといえばうーん、ボールを奪ってからパスをするんだけれどそれが中途半端に短かったりコースがズレたしりいて走り込む見方のところへと渡らず奪われるケースが散見。これが初戦ってことで気分が萎縮しているってこともあるんだろーけれど、代表の試合に限定で選手たちがアディダスのシューズを履いているってこともあるいは関係あったりするんだろーか、ほら中村俊輔選手なんて突起をミリ単位で削るっていうし中敷きの厚さにだってとてもこだわる。足に密着してプレーを支える繊細極まりない道具を普段あまり履いていないものに変えて普段どおりのプレーが出来るものなんだろーか。できるし実際にプレーはしてくれているんだけれど、だったらはき慣れたものの方が更にいいプレーをしてみせてくれそーな気がする。どーして女子に鍵って靴を揃えさせるんだろーJFA。選手たちもどーしてそれを受け入れているんだろー。誰か聞いてみてよ女子代表番の記者さんたちとか。

 そんな女子代表に関する記事を「エル・ゴラッソ」で書いている江橋よしのりさんがイチオシ特オシな安藤梢選手がスターティングメンバーどころかベンチ入りしていない布陣が発表されてちょっと驚愕。そして右サイドバックには代わって日テレ・ベレーザの近賀ゆかり選手だったことに仰天。昔っからそのドリブルとスピードに注目しつつもどこかムラっ気があって代表にも、ベレーザのレギュラーにも定着できなかった彼女が遂にここに来て頂点を掴んだ訳でそのあたり、安藤選手ではなく近賀選手を使った理由をこれは絶対に、聞いて書いてくれるだろーから次の「エル・ゴラッソ」は注目だ。

 2点しか取れなかった理由をそこに押しつける可能性? でもサイドを走り受け取り破り翻弄してクロスも何本か挙げていた近賀選手を苦戦の理由に挙げるのはちょっと難しい。むしろ全員がちょっとずつ短く小さく狭いプレーをしてしまったことが理由で、そのあたりが是正された後半に、何本も良いサイドチェンジが生まれえぐりからのクロスも何本も上がったことを見れば1人2人の選手の出来や采配の拙さを論うことなんで出来はしない。それでもあげてくるんだとしたらもはやそれは色眼鏡。澤選手と宮間選手の共存とゆーこれも「エル・ゴラッソ」あたりではどこか否定的なニュアンスだった布陣が大成功したことと含めて一体、どんな記事が出てくるのかを楽しみにして待とう。それにしてもやっぱり澤穂希は別格だよ。

 あとはゴールキーパーの福元真美選手の攻守にも拍手だ。真正面から打たれたボールを1つははじき、1つはクロスバーの上へと押し出し2点を防いだ。ふわっとあがったループについては万事休すと思ったけれどもクロスバーに当たってはねかえって得点にならず。国旗を掲揚するトラック脇のポールの上に止まった烏がきっと守り神となって、福元選手と「なでしこジャパン」を支えたに違いない。我らが酒井與惠選手は見えないところで守り押さえさばき散らす仕事をこなして最後まで出場。次のメキシコでの10万人アウェーでもきっとその落ち着きと経験値を存分に発揮してチームを鼓舞してくれるだろー。あとはフォワード陣の奮起か。荒川恵理子選手がマークされまくっている中でセカンドストライカー的に動き触りさばける選手が必要。阪口夢穂選手を試してみるのもありかなあ。それにしてもやっぱり不思議だ安藤選手。秘密兵器か、メキシコでの。

 んで転戦して「フクダ電子アリーナ」でのジェフユナイテッド市原・千葉の開幕戦となる「ジェフユナイテッド市原・千葉対清水エスパルス」を見たけれど……作戦失敗。水本裕貴選手のボランチ起用は攻めている時は穴も目立たないけれど攻められた時でとりわけ見方の左サイドががら空きになった瞬間に相手に攻められ蹂躙されてそこから3失点。最初の1点こそ不運が重なったものだったけれども直後の2得点は左で相手をフリーにしてしまい打たれ決められるとゆー反論の余地のまったくないもの。キーパーの岡本選手も今ひとつ飛び出したりポジションが悪かったりしてずっと不安定ではあるんだけれどそれよりもやっぱり斎藤大輔選手が右へと引っ張られた穴を誰がカバーするのか決められていなかったのが痛い。あるいは水本選手が入るはずだったのが遅れたか。でも斎藤選手が下がり下村東美選手が入って水本選手がバックスに入ると守備はとりあえず安定しからやっぱり、布陣が間違っていたってことになるんだろー。U−22が相手なら有効でもJ1トップチームが相手ではやはり無理だったか。

 いやしかしそれよりもやっぱり走れていない。羽生直剛選手と佐藤勇人選手が走り回ってカバーをしてもも山岸智選手や水野晃樹選手がサイドでもらった時に任せっきりでカバーする選手がおらず孤立して奪われるなり無理に送ってはねかえされる。フォワードが地下よりもらうなり後ろの水本選手とかが攻め上がったりすればオプションも増えるのにそーしないから後ろと前とで断絶が起こってしまっている。中盤にスペースがあってもそこに走り込む選手がいない。ただ後ろを振り返り飛んで来ないかなって感じにながめるだけ。それじゃあいくらボールが出たってカットされるよ奪われ反撃されるよ。

 これが昔のジェフだったら、ポジションなんて関係無しにぐるぐると廻り入ってカバーする繰り返しが出来ていたのになあ。山岸選手も最初こそ良かったけれど途中からつっかければ奪われボールをもらえばそらしパスを出せば相手とゆー体たらく。前へとすばやく走り込む中でもらい切れ込みシュートが冴える選手なだけに、サイドラインに張り付いた格好でボールが渡ったって恐くも何ともない。なのにそんな攻撃の繰り返し。なのに是正しよーとしない監督に選手のどこかにやっぱり、緩みが生まれているのかな。ちょっと重症。あと新居選手巻選手は決めるべき時に決めないと。最初の新居選手のシュートが入っていたら展開も代わっていかもしれないと思うとちょっと悔しい。来週こそは勝って一服つきたいところだけれど、相手も必死だろーからなあ。せめて月内をタイで行ってくれ。


【3月9日】 たぶんそれこそ15年ぶりくらいに通帳を記入したっていうか、通帳を作り直してもらって平成のあれは何年だろう、とにかく5年くらい前のからのを記入してもらったら5冊を超えてしまったよ、もっぱら口座振替とかこっちでの入金とかに使っている口座で日々の出し入れはそんなにないとはっても月に20回は出し入れがあれば年間で240回5年で1200回。記入していった機械も壊れるんじゃないかって窓口の人も心配になったんじゃなかろうか。まあ折角作り直したことだしこれから機会を見つけて記帳して、いったいどれだけのお金が振り込まれているのか確認したいけれどもきっとやらずにまた10年、経ってしまうんだろうなあ。通帳。いつまで使うんだろう。日本。

 えっとこれは良いもの、なのだろうか多分良いもの、のような気もする「セイントオクトーバー」DVD第1巻はオープニング曲「Wheel of fortune」を唄う片岡あづささん、福井裕佳梨さん、小林ゆうさんの3人がそれぞれに黒ロリ、白ロリ、赤ロリの格好をして脚もあらわに踊る映像が収録されている模様。CMで流れた映像はもうとてもそれぞれに黒ロリ、白ロリ、赤ロリでおまけに生な訳でこいつは買って再生していっしょに踊って唄い証さなければならないって気分に心が揺れている。CDにDVDを着けてくれりゃあ安く上がるとは思うんだけれどそう思う輩の多さを考えれば商売的にDVDの特典映像にするのも仕方がない。あとは発売記念イベントとかあって3人が3人ともそんな格好で踊り唄う様を目の当たりにできるかに期待をかけたいが、さて。

 なんか三浦しをんさんが男性ばかりの劇団「スタジオライフ」の公演を見たよーで根がボーイズラブ大好きな人だけにそーした観点から受けたのかってゆーと違って男優が演じていてもそれが芝居の中でしっかり女性に見えてくるとゆー、演出の妙なり役者の力量といった部分を認めて評価している。そうなんだよなあ。最初は何だこれって思うけれどもシチュエーションの中で与えられた役割を演じているうちに根っからその役、というよりもはや実物の存在に見えて来てしまうから面白い。歌舞伎だって男性が女性を演じているけど仕草の部分での女性らしさを誇張させ見る側にそうと感じされるのがあの世界。対してスタジオライフの場合はだから無理な裏声もしなっとした仕草もさせないで、シチュエーションとセリフと表情でそうだと見せてしまう。要研究、というのもよく分かる。ともあれちょっと前に辛酸なめ子さんを引きずり込み、今度は新進の直木賞作家も見方に引き入れ進む先はどこだろー。次は「紀伊國屋ホール」だからその次は「青山劇場」あたりか。

 そんな「スタジオライフ」の次の公演「ロミオとジュリエット」の制作発表があったんで見物に行く。最初は舞台美術の重鎮・朝倉摂さんとシェイクスピアの翻訳を多く手がける松岡和子さんに「スタジオライフ」のたった1人の女性で演出家の倉田淳さんがいろいろ聞いていくってトークイベント。題材がシェイクスピアだけに過去現在にさまざまな演出家がさまざまな舞台美術を使い挑んで来たけれど、鬼面人を驚かすような舞台美術は「アイディアを見せたいというのが先行している。アイディアを見せびらかすになると舞台装置も失敗になる」って朝倉さんか、松岡さんのどちらかが喋っていたのが強く印象に残った。「見せびらかしては面白くない。新しいことをやっても、分離されないでやると面白い」とこれは朝倉さん。「うまくいくときは全部が丸く一つになっている」というのは演出していて感じた倉田さんの感想。小さい舞台であっても総合力がなければ良い芝居にはならないのだ。

 そんな2人が1番好きなシェイクスピアの作品だって挙げていたのは舞台じゃなくってジュリー・ティモアって人が監督してアンソニー・ホプキンスが出演した「タイタス」って映画で、子供が人形遊びの戦争ごっこをしえいる冒頭を挙げて凄い解釈だって褒めていた。シェイクスピアでもそんなに知られていない「タイタス・アンドロニカス」が題材のこの映画。監督はミュージカル「ライオンキング」の演出を担当した人だから、きっととてつもなく衝撃的で野性的な作品に仕上がっているんだろーなー。ちょっと見てみたい。アマゾンのレビューが星1つから星5つまでバラバラなんだけど、これってつまりは衝撃的な作品立てことだよなー。毀誉褒貶。素晴らしい。

 そんな2人の話を目の当たりにしてさって倉田淳さん、いったいどんな「ロミオをジュリエット」を作り上げることやら。もとより男優しかいない劇団が、あのバルコニーでのロミオとジュリエットの愛の交歓を演じる時に浮かぶのは、やっぱりどこかやおい的な光景だけど、そーした興味から舞台を見に来ただろー作家を演技と演出で真っ当な芝居であり、歌舞伎とも宝塚とも違う何かを持っていると感じさせ、要経過観察と思わせただけにきっと一筋縄ではいかにあ場面を見せてくれるに違いない。ジュリエットを演じるのは看板”女優”の舟見和利さんとそして松本慎也さん。長身で貴婦人めいた舟見さんの楚々として時に凛としたジュリエットか、可愛らしくって若々しい松本さんのジュリエットか。どちらも見たいなあ。

 どひゃあ水本裕貴選手のワンボランチかよジェフユナイテッド市原・千葉。「エルゴラッソ」の2007年3月9日号を見たらそんな布陣で「U−20」を相手に7得点もあげたそーで後ろにストヤノフ選手ジョルジェビッチ選手斎藤選手を従えて、迫る敵をマークし潰してゴールへと近寄らせない文字通りの壁を演じてくれたんだろーけれど、それだと水本選手から後ろとそれから佐藤勇人選手たちが構成する前とが分離しちゃわないかと心配になる。あとは移籍して来た下村東美選手がこれで拗ねちゃわないかってことか。中島浩司選手はケガみたいだけど下村選手は万全。それで出られず代わりが初ボランチの若手ってんじゃあやってられないって思うだろーなー。発憤して欲しいけど。布陣であと気になったのが羽生直剛選手がいないこと。ケガみたいだけど機動力の要となっていただけになおのこと前と後ろの断絶が気になる。工藤浩平選手がその辺をカバーしてくれるかなあ。とりあえず勝ってくれ。久々に見たいよフクアリでの勝利を。


【3月8日】 ちゃんと続いてたんだ。でもってちゃんと完結したんだ高橋留美子さんの「1ポンドの福音第4巻」は良いところのお坊ちゃんでレストランのオーナーシェフだけど腕は未熟な兄ちゃんに、塾の講師をしている華がなくって判定ばかりで勝ってる兄ちゃんに、ホスト界では超有名だけどなぜかボクシングをしている東洋太平洋チャンピオンの3人を相手に畑中耕作が闘う展開は、過去の原料にひいひい言いながらもリングにあがってぶちのめされながらも勝ったり負けたりして来た話しに比べるとボクシングそのものに関するエピソードはやや後退。かわりにそれなりに頑張るよーになった耕作の姿を見てシスター・アンジェラが気を惹かれるってゆー男から見れば嬉しい話になっている。頑張っていればいつか報われるっていうか。

 っていうかアンジェラの家族やおばさんとかが登場してお金持ちなところを見せちゃったりしていてどーしてアンジェラ、修道院なんかに入って神様に仕えようとしたんだろう? って疑問が浮かんで来てしまう。いくら家がカトリックの信者だからって、娘が修道女になることはないもんなあ。でもって試合に行けないことを割に真剣に悩んでいたりするアンジェラ。行為を抱いた人と比べられるくらいの存在でしか、アンジェラにとって神様はなかったのかってことにもなるけれど、その辺をつきつめるといろいろ綻びも出そうなんでここはまあ、お嬢様らしく一時の気の迷いから修道院に入ったとでも考えることにしよー。レストランで働いている時のアンジェラっていうか麻利絵さん、なかなかの可愛さ。鶴ひろみさんの声が似合いそう、ってそーゆーOVAがあったのか。今もし再びアニメ化するとしたら誰かなあ、ホリユイ? 平野綾? 違うなあ。小清水亜美? うーん分からない。

 目覚めると中村俊輔は敗退していてまあ当然ながらもサン・シーロで1点さえ取れれば引き分けでもアウェーゴールの規定で勝ち抜けていただけにちょっと惜しい。つかどーして得点できなかったんだろーACミラン。カカにインザーギがいてジラルディーノまで出して1点とは情けない。そのセルティックに予選リーグで苦杯をなめたマンチェスター・ユナイテッドは今月中にレンタル移籍が終わって帰ってしまう出稼ぎアスリートのラーションが得点して勝ち抜け。ウェイン・ルーニーがいてクリスチアーノ・ロナウドも擁してどーして1点かなあ。まあそれだけリールが強かったってことで。

 レアル・マドリードはバイエルン・ミュンヘン相手に敗れてこれでまたしても無冠に終わる可能性が大。つか今とっても停滞しているバイエルンを相手に負けるとはレアルも更に停滞しているって現れか。しかしアーセナル。また負けた。去年の決勝がフロックだったよーにやっぱり負けてベスト8に残れず。代わって登場のPSVが勝ち抜いてしまった暁には、「トヨタプレゼンツ世界クラブワールドカップ」のチケット売上にも影響が出るだろうって本郷あたりじゃ担当者が頭を抱えていそーだなー。孫祥選手って中国人プレーヤーがいるってことで中国に開催県を譲ったらどう。でもそれだとずっと帰ってこなくなるからここは頑張ってマンチェスターがリバプールかミランかせいぜいチェルシーの優勝を遠くギリシャに向かい念じるしかなさそー。見たかったなあアンリ。ジェフの安里選手も出てこないし。

 高校生が主人公だったらきっと天才だけど発想が突拍子もない科学少年の発明を、やや真っ当な同級生が助けながら世に送り出そうとして起こる大騒動に可愛い美少女が絡んで来たりするところだけど、発表媒体が大人の読む「ジャーロ」だったってこともあって梶尾真治さんの「悲しき人形つかい」(光文社、1600円)は大学を出ても就職はせずに己の思いつきを形にしようと発明に没頭している天才を、面倒見の良い腐れ縁の元同級生がサポートしていたところに起こったのはヤクザの抗争。その渦中に巻き込まれてとんでもない目に会うってゆーリリカルさとも萌えともセンチメンタルとも無縁な展開になっていたりする。

 着想はあのホーキング博士を自由に動き回れるよーにしたいって所にあって、手足胴体を支えるケージとゆーかネットみたいなものを全身に装着させた上で脳波をそこに送ると、ケージだかネットが伸縮して手足を思ったとおおりに動かしてくれるとゆーから素晴らしい。そして実用化にあと一歩のところまで来てい更にブラッシュアップを図りたいと仕事場として借りたガレージがある街が、暴力団どうしの抗争で2分されてて真っ当な住民が誰も残っていない状況になっていて、発明家と同級生の2人にもヤクザの手が伸びる。これは危ない、ってところで助けに入ったのがかつて同級生だったとゆーヤクザの舎弟で、そのまま引っ張り込まれて組長の巡幸に付き合わされている最中、組長が倒れてしまった。

 これはこまったと思った2人がそれならと取り出した発明品とりつけ組長を動かし床に就け、そこで自然死したと組の誰もに思わせようとしたのに組は組で抗争の終結に組長の出馬が必要で、今死なれては困るってことで2人に発明品を持って来させて組長に例えるなら「かんかんのう」を踊らせるよー厳命が下った。とはいえ敵もアメリカに留学していた天才科学者いんして組の後継ぎの男がやって来てはその発明品でプレッシャーをかけてくる。血で血を洗う激しい抗争の中で2人は無事に生きのびホーキング博士に発明品を届けることが出来るのか? 乞うご期待。

 とまあそんな感じに展開されるスラップスティックにしてバイオレンスな感じはどことなく戸梶啓太さん風。戸梶さんほどぐちゃぐちゃにならないところが「黄泉がえり」で「クロノス・ジョウンターの伝説」の梶尾さんらしいとはいえ、書けばほのぼのとして優しいドラマになる素材を「サラマンダー殲滅」方面のバイオレンスも混ぜ込み、ハードにしてしまうのはちょっと勿体ないというか、それだからこそ目新しいというか。ともあれ読み始めたら一気呵成の物語、ラストはやっぱり震えるべきなのか、それとも入れ替わった心が目指すだろー世界の幸せに思いを馳せて喜ぶべきなのか。「黄泉がえり」「クロノス・ジョウンター」に続く映画化はちょっと難しいかなあ。


【3月7日】 さらに田舎の道路の側溝に何メートルか置きにはめてあった鉄のフタがまとめてかっぱらわれるとゆー事態に身近なマンホールのフタが知らず外され転落する人の多発するだろー可能性を予言。あるいは線路が外され電車が転覆するとか「東京タワー」が消されてリリー・フランキーさんの「東京タワー」の売上に影響が出るとか。もう会えないといった郷愁から売れるか縁起が悪いと拒絶されるか。あんな巨大なものをどーやって消すんだって言うけれどアメリカには自由の女神だって消してしまえる魔術師がいるから東京タワーのひとつやふたつ、あっさりと消してそして上海あたりに出現させてしまうんじゃなかろーか。その男の名はデビッド・カッパーフィールド。雇ったりして中国が。

 気が付くとインテルがバレンシアに破れてこれでチャンピオンズリーグでの優勝は消滅。したがって12月の「トヨタプレゼンツ クラブワールドカップ」への出場も消滅してしまった訳で、まだ日本で開催かどーか発表されてないとは言えおそらくは日本開催となる公式戦にインテルが登場する日はまた先へと遠のいた。夏場に親善試合で来られてもちょっと見る気がしないんだよなあ、最近の海外クラブチームって。それはバレンシアが来てローマが来た03年だかの夏に散々っぱら感じたことで選手は足りず試合は手抜き。それでいて高いチケット代をかっぱいで帰る奴らが見せた惨状が、02年をピークに下がりつつあるサッカー人気の原因になっているよーな気がしてならない。

 その意味でいうならとりあえず残ったローマにバレンシアがチャンピオンズリーグで優勝を果たし、真剣勝負の姿を改めて見せてくれる可能性が残っているんってんでいつかのリベンジを期しつつ次なる闘いの行く末を見守りたいところ。チェルシーでも悪くないかな選手層の分厚さはピカイチでドログバとかランパードとかロッベンとか見たい選手も大勢いるし。シーズンオフを1回挟むからシェフチェンコが消えてクレスポが戻って来ていたりする可能性もあったりして楽しそう。バラックも見たいなあ。モウリーニョはやっぱりいないかな。

 とはいえトーナメントはまだまだ緒戦で、セルティックをきっと敗って上がって来るだろーACミランにPSVを大逆転で振り切ってアーセナルが上がりマンチェスターユナイテッドが上がりバイエルンを倒してレアル・マドリードが残った8つのチームが残ってさらに試合を重ねてギリシアでの決勝へと駒を進めるのはどのチーム? とりあえずここからならどこが残ってもそれなりに見たいし見に行きたいって人も多そうで、バルセロナほどではなくてもチケットの売上は見込めそー。見たいよ日本になかなか来ないアーセナルとか。

 問題はPSVが残りアーセナルが落ちリールが抜けてマンチェスターユナイテッドが落ちミランが破れてセルティックが上がった上に夏の偉績で中村俊輔選手がどこかへ移ってしまった場合か。最後の「トヨタカップ」でFCポルトが来た時もそれがネックになったからなあ。その時はあれだオセアニア代表チームにゴン中山を移籍させアジアチャンピオンズリーグで是が非にでも浦和レッドダイヤモンズに勝ち上がってもらうしかないな。どれどれ浦和レッズは……とりあえず初戦を勝ったみたいで重畳。だけど遠征して勝たないと生き残れないからなあ。先は長い。やっぱり開催国枠を奪い取ろう、でもってそこにリーグ優勝をするはずのジェフユナイテッド市原・千葉を押し込もう。客集まるか?

 集まるかどーか心配なのは10日に開催される女子サッカーの大会「FIFA女子ワールドカップ北京大会」への出場を決めるメキシコとのプレーオフの試合があんまりチケット売れてなさそーなことで先にメキシコでの死闘をくぐりぬけて日本での決戦に臨んだ2003年の時とは違って切羽詰まった感が今ひとつなくって僕はともかく世間的な雰囲気がどうにも盛り上がらない。テレビとかでもあんまり煽ってないしなあ。ニックネームをつけまくる局もないしアイドルが前座に歌を唄って感心を煽る訳でもないし。女子バレーはあんなに入れ込むのに女子サッカーには冷淡なのは何故?

 試合について言うなら土曜日で昼間の大会なんで出かけ易さは水曜夜でおまけに寒かった男子のU−22五輪代表より格段に上。気温もぐんぐん上がっていることだし吹き出した汗にピタッと張り付いたユニフォームを間近に見られるチャンスと思い、みんな国立競技場へと駆けつけよー。ここぞって試合でたぶん初めてくらいに代表に入った近賀ゆかり選手が出場するか、でもって活躍するかにちょっと興味。才能はあってテクニックも抜群なんだけどどこか気を緩めてしまうところがあるのか代表レギュラーいは定着できず、アテネの時もバックアップには入ったけれどメンバーには入れなかったからなあ。水野晃樹選手よろしくサイドを深くえぐって送り込むクロスの質は高いし切れ込んで打つシュートも強力。ルックスも上々だから活躍すればスターシステムに巻かれる可能性もありそーで、大橋浩二監督には是非に使ってやって頂きたいものだけれど、どーだろー。とりあず10日は国立にゴー、そしてフクアリにゴー、だ。疲れるなあ。

 もはや立つ場所も乏しくなった部屋の惨状に嫌気が差し、気候もよくなって来たんで整理に乗り出すべく段ボール箱をまとめて放り込めるトランクルームを手配する。コンテナを仕切って作った3畳で月々1万3800円は高いのか安いのか分からないけれど、280箱は入れられるらしーんでとりあえず部屋を埋めている30箱くらいは軽々と入りそう。問題はそこまでどーやって運ぶかで、歩くには遠いけれどもトラックを駆り出すには近い中途半端さ。近所の駅から電車で1駅言ってそこから歩いて10分弱ってゆー距離だからキャリーカートに2箱3箱縛り付けてガラガラと、駅まで行って乗って運んで降りてそれからコンテナまで行き放り込む作業を通勤がてら1カ月ほど、繰り返せばとりあえずスペースくらいは作れるかな。歩いて運べば運動にもなりそーだし。レンタカーを借りる手もるけど免許持ってたって乗ってない歴10数年じゃあ恐くって。雇うか誰か。家の埋もれたゲーム機をお駄賃に。


【3月6日】 誕生日。僕のじゃなくてシナモンの。そしてベッキーの。ってことで目黒にあるレストランで開かれた、サンリオのキャラクター「シナモロール」でメーンを張ってるシナモンと、それから同じ日に23歳の誕生日を迎えたベッキーとの合同お誕生パーティーを見物に行く。向かう途中でたぶんパーティーに呼ばれたんだろー「シナモン」ファンっぽい着飾った小学生くらいの女の子が数人、母親といっしょに歩いていて後ろからながめて強い風に起こる現象への期待なんかも抱きつつも、そうとはならない現実を直視し邪(よこしま)な心を神に悔いる。

 そして到着した会場で登壇したベッキーは前に「ファービー」のCM撮影会で見た時よりもスリムで綺麗になっていたのは歳がそれだけ熟して来たからなのか。以前も感じは明るかったけれど売れて来た今も性格はとっても良さそうで、シナモンとの儀式を終えて着飾った未来のベッキーになり得る可能性を持った可愛い女の子たちとの集合写真も取り終えてから始まったテレビ向けの囲み会見が時間だからと聞き手が気をきかせて終わろうとしたら、えーおわっちゃうのもっと囲みやっていたいと言いだすくらいのサービス精神旺盛なところを見せてくれた。

 普通はお仕事だからととっとと終えて、関係のない質問は黙するか拒絶するのが芸能人って奴なのに、ベッキーは聞かれたことには何でも答える主義らしく、寺島しのぶさんの結婚についてもちゃんと嫌がらず答えてた。これがベッキーさんの会見に大勢のテレビクルーが集まる理由のひとつか。そんなベッキーさんと誕生日が同じだったから誕生パーティーに呼べて宣伝をできたシナモンと、そのマスターライセンスをサンリオから預かっているバンダイの幸運に拍手。これからキャラクターを作る会社は誕生日を3月6日に設定してお祝いにベッキーを呼べばメディアも集まるぞ。テレビでベッキーしか写らない可能性もあるけれど。

 これはやっぱり駄目なのかもしれないセルジオ越後老。連載している「週刊サッカーダイジェスト」の3月20日号に寄せているコラム「天国と地獄」で「A代表の素早いマッチメイクは◎、ならばJクラブも」って感じで最近決まったオーストリアでのオーストリア及びスイスも含めた4カ国対抗に日本が出るって話を評価して「見守りましょう」と言っているんだけど、でもだったら日本代表の試合が減らされてるって3月6日付けの同じコラムで指摘して、その時は単に決定していなかっただけでいろいろと準備は進められていたことを調べもしなけりゃ探りもしないで激怒していた癖にいざ、マッチメイクが発表になるとそんな誹謗への反省もしないままただ褒めているのは何だかちょっぴりみっともない。

 先走り過ぎたって言えば言えるんだけれどセルジオさんほどの立場になれば調べれば調べられるだろーけれどもそれをしないでメディアに出てきた情報の中でも筋の微妙さではピカイチだったりする、オレンジ色のニクい夕刊紙あたりがオシム監督の率いる代表の不人気ぶりと絡めて代表人気凋落のひとつの現象として代表のマッチメイク減少を挙げて非難していた記事をよりによって選りすぐって引いたよーなコラムを書いてしまうその悩ましさ。でもってひっくりかえっても反省せず、さらに「ただ、せっかく手に入れた国際経験の場で、欧州組は何人招集されるだろう」と鬼が笑いそうな未来の話であるにも関わらず書いてしまうズレっぷりがどうにも痛々しくって仕方がない。

 日程こそ分からないけれども想像するに「EURO2008」で各国が予選を行っている日を選んでの開催国ゆえに予選が免除されて鍛える機会がないスイスとオーストリアの貴重なテストマッチってことになっているんだろーから、当然にして欧州にいる選手は呼ばれるだろー。ドイツなんてシーズンが開幕していたりするけれども国が隣ってこともあるから高原直泰がその時も堅調ならば呼ばれて不思議はないし、他の海外でのプレーヤーも開幕直後だけれどもとりあえず、試合もないことだし行ってプレーして体調を整えても良いよ他の選手たちだっていなくなるんだからとチームが送り出してくれる可能性は高い。

 そもそもが日本は遠すぎて往復している間に疲れてしまうことに配慮し呼ばないと名言しているオシム監督が、欧州で行われる試合に欧州の選手をどうして呼ばないのか、って考える方が不思議なんだけれどもそーした理由を勘案した上での呼ぶか呼ばないかって議論じゃなく、オシム監督はこれまで欧州組を呼んでいないんだから9月の、欧州で開かれる試合にも呼ばない可能性があるんだってゆー事情も状況もまるで鑑みない、思い込みから来る指摘を平気でしてしまえるところが不思議とゆーか意味不明とゆーか。もしも本当に欧州組が招集されず日本国内にいる選手だけで闘うかもしれないと考えているんだとしたら、むしろ日本からシーズまっただ中のJリーグを軽視して、大勢連れて行こうとしているかもしれないと怒るべきじゃないんだろーか。一事が万事と凝り固まってしまい、一方的な見方しか出来なくなって本質を見誤る典型。誰か何とかいってやらないとますます壊れてしまうよ。それは日本のためによろしくないよ。困ったなあ。

 半鐘に梵鐘にガードレールに鉄板にマンホールのふたに車止めに電線にその他もろもろの鉄やら金属やらが、寝ている間に切り取られ奪われる事件の続発に次はいったいどこのなにが狙われたり奪われたりするんだろうと想像して思いつくのが鎌倉大仏だったりするけどあれを持って帰るのは大変そう。大仏様は歩かないからいくら大きくたって東京までを何時間で歩くか西に向かって歩いて東に向かい歩いてくる奈良の大仏様とどこでぶつかりますかってクイズの答えはいつまでも到着しないしぶつからないってことになるんだろうけれど、もしも本当に歩かせられる魔法があるなら泥棒たちもそれを使って大仏様に歩いてもらいたく思うだろー。行き先はどこなんだやっぱり海の向こうか。

 あと狙われそうなのがパブリックアートで有名な清水九兵衛さんの作品で有名なのは御茶ノ水の旧三井海上火災保険本社ビルの中庭にでんと構えてうねる竜のよーなアルミか何かで出来て赤く塗られた作品だけど、これはさすがに持ち出せないから近所で大手町にある逓信会館前に立つ、ちょい小さめの作品なんかが狙われたって不思議はないかも。ATMだってショベルカーで根こそぎ引っ張り挙げては持ち出す泥棒にとって、休日の人気のない大手町から彫刻を持ち出すのは簡単な仕事だろー。パブリックアートってのが夜は人気のなくなる公園なんかに置いてあるのを考えると、これから狙われるケースってのが増えるかも。それにしても清水九兵衛さんが06年7月21日に亡くなられていたとは知らなかった。京焼きの7代清水六兵衛でもあった人。そんな人の作品が盗まれたとして値段はアートの価格になるのかそれともキログラム幾らの扱いになるのか、でもってどちらが高いのか。不謹慎ながらもちょっと興味。


【3月5日】 思い出した「秘密結社鷹の爪 総統は二度死ぬ」の完成披露試写に先駆けて、活弁士の誰だかが出てきてマナーに関する注意を蛙男商会による映像も交えて行っていて、それが実に某国民的家庭アニメに似た雰囲気を持ったキャラクターたちでまず爆笑。なおかつ鱒に穴子とあと登場した「北の国から」の穀潰しの、それぞれの声もそれなりに似ていて演じた人のキャリアを知りたくなったけれども、名前を忘れてしまったからまあ良いや。いずれどっかでまた見るだろー。有名になりさえすれば。愉快だったのはそんなキャラクターに混じって、日本銀行の福井俊彦総裁によく似ていた誰かが出ていたことだけれどもセリフはなく、そもそも何で出ていたのかが不明。そんなにあの面構えが気になったのかなあ。喋り口調はさらに独特なんで是非に真似して欲しいなあ。

 トーンから言えばありきたり。宇宙の彼方から来て人類の進化を見守るっていゆーか干渉を妨げる務めを果たしている天使めいた女の子がいて敵と戦う手駒として、高校生の男子に力を与えるってゆー展開だけ聞けばまたかと思う人も多そうだけれど、椎葉周さんの「アンジェリック・ノワール1 パラダイス・ロスト」(角川スニーカー文庫、619円)は展開の妙とキャラクターの立ちっぷりが、ありきたり感を覆って凄みを与えていたりするから読んで驚き読み終えて感心。既視感とともに目新しさも覚えながら次に見せてくれるだろーキャラたちの爆裂っぷりを楽しみにしたくなる。

 速水悠介が進学した高校で1人出てこない山根って生徒がいて、金八よろしく教師がお節介にもクラスのみんなでそいつに手紙を書こうとなったけれども、偽善めいたそーした振る舞いが気持ちをささくれ立たせたのか悠介は、何も書けないまま紙を提出。それが教師の癇に触ったのか職員室へと呼び出され、手紙を届けるよーに言われて拒絶し停学をくらい、父親が渋谷で開いているゲイバーの手伝いをしつつ教師に受けた仕打ちを見返すべく、不登校の山根を引っ張り出してやろうと家に行ったものの部屋に閉じこもって出てこない。どーやらネットゲームに出没しているらしく、そっちから攻めようとネットゲームが得意そうで、クラスの中でやっぱり悠介と同じように手紙をかかなかった、七三分けの真面目そうな増田という生徒を探してゲームセンターに行ったら格闘ゲームに強くおまけに格闘にも通じた奇妙な奴だった。

 マスターと読んで欲しがる増田を引き入れそして不登校の山根を引っ張り出そうとしたものの、山根は何やら得体のしれない団体に身を寄せてしまったみたいでこいつは拙いと2人も後を追って団体に接触。そして連れて行かれたのはネットゲームの中でポイントを稼いで金に変える「リアル・マネー・トレード」を組織的にやっている一味の拠点で、そこで悠介もネットゲームをプレーするよう部屋に押し込められてしまう。といっても監禁ではなくやることさえやっていれば食事も女の子も世話をしてくれるとゆー組織で、悠介に付いてくれるとゆー女の子がしばらくして登場。見るとやっぱり同じクラスで山根に手紙を書かなかった時野弥生が、露出の激しいメイド服姿で現れた。

 いったい何やってんだ、と訝る間もなくメイドに純真な奉仕だけを求めるマスター爆発して組織を逃げ出そうとした時に、現れたのがチャイナ服を着たおねいさんとか彼らを案内してくれたおねいさん。それだけだったら格闘の経験もあるマスターに悠介が相手出来そうだったのに、おねいさんたちは頭に輪っかを輝かせ背中から羽根を出しつつ激しいパワーを噴出させて悠介やマスターを追いつめる。いいたい何だこいつらは? そして分かった彼女たちの正体と、そして窮地の悠介やマスターを「助けてあげる」と言いだした時野弥生の正体から、地球を挟んで起こる争いが浮かび上がって悠介は否応なしにその戦いへと巻き込まれていく。

 という流れがあってよーやく見えてくる全体の設定。なおかつひたむきにオタクでそれも武闘派で活動的なオタクのマスターや親切心より己の都合で他人を動かそうとする時野弥生といったキャラクターの暴走ぶり、が先へ先へとページをめくらせる原動力になっている。楽しいなあ。とりあえず片づいても続きは確実にありそーで、そこで見せてくれるだろー時野の艶姿とマスターのバカっぷり、どこか不思議なところを持ったインテリヤクザのギンさんの正体等々を描いてくれるだろーと期待しつつ、次の刊行を今かまだかと待ち望もう。しかしライトノベルでオカマの父親とリアルヤクザの共演ってのはちょっと凄いかも。そーゆーのが平気な時代になったんだなあ。

 大昔に誠文堂新光社から出ていた「よく飛ぶ紙飛行機」の親戚みたいな本で紙で作る模型の戦闘機だとか旅客機だとか戦車だとか機関車だとかがあった中にあった「日本の戦闘機」でなぜか気に入って何度もトレースして作ったのが「鍾馗」だったなあと思い出したのはヤマグチノボルさんの「ストライクウィッチーズ」第2巻「スオムスいらん子中隊恋をする」を読んだからで何故に「鍾馗」が気になったかというとスマートな零戦とか疾風といった中にあって妙に寸胴なボディが他とは違った迫力を出していたからというあたりが、レアものというか珍しいもの替わったもの人と違ったものを好む今に通じていたりするなあと述懐。おかげで人生マイナー街道まっしぐらだ。

 そうそう「鍾馗」だ「ストライクウィッチーズ」は魔力を持った女の子たちが異次元から攻めて来る敵を相手に脚に飛行のための道具を取り付け空を飛んで格闘やら爆撃やらを行うって物語。どうやらその脚につける飛行道具が第二次世界大戦あたりの戦闘機をモデルにしているらしくって、主人公で格闘戦のエースを呼ばれながらも性格に難があって「いらん子中隊」送りをされた穴拭智子が愛用していたのが「キ27」。すなわり日本陸軍の「九七式戦闘機」ってことで格闘戦に優れた性能を持っていたんだけれども時代が変わり飛行機が一撃離脱の戦法をとり始めるとあまり有効な戦果を挙げられなくなったらしい。そんな時代に登場したのが「キ44」こと「鍾馗」様。旋回性能こそ劣るもののパワーがあって上空よりスピードをにのって近づき敵機を落としてそれから上昇する一撃離脱の性能に優れたいたらしい。

 という訳で智子に新しく与えられた「キ44」ことコードネーム「鍾馗」も同様にパワーがあるものの旋回性能は今ひとつ。ひらりひらりと舞って敵機を撃墜するエースな闘いぶりが好みの智子にはとうてい受け入れられ難い飛行脚だったらしくて最初は拒絶するものの、格闘戦にのってこなくなった敵ネウロイを相手にもはや「キ27」では適わない。でもって「キ44」を持って来てくれた糸河衛技師の容貌と優しさに心ほぐされ脚にぶっとい「鍾馗」を履いて上昇しては一撃離脱のエネルギー戦を身に覚えて、日に日に強くなって来ていたネウロイを相手に戦果を挙げるのであったという、これが日本陸軍でも行われていればあるいは戦争の行方もちょっとは変わったかもしれないエピソードが架空の世界になぞらえて描かれているあたりは原案の人か書いてるヤマグチノボルさん、なかなかのミリタリーファンって言えるのかも。そーいや「ゼロの使い魔」にも零戦が出てきたよなあ。

 というか「スオムスいらん子中隊恋をする」の読み所はそこではなくって、同じ女の子だけど智子に惚れている海軍から来たハルカが智子に邪険にされて泣きながら飛び出し別の隊を率いる隊長のところであったんことをしたりされたりするとゆー、まあ何ともあれな描写があったりするんだけれどそーしたハルカを袖にして、「鍾馗」を持って来てくれた糸河を相手に恋を育む智子に舞っていた落とし穴。そして気が付く恋より愛より空の中。けどなあ、やっぱり戦闘機ごときではいずれ戦争の行方をどうこうするなんてことが出来なくなる時代が来る訳で、そんな時代を目前にして「スオムスいらん子中隊」も含めて空飛ぶ乙女たちの立場ってどーなるのかがやや心配。力を単機のためにではなく集め束ねて巨大な装置を動かす方へと流れていくのかそれとも。そもそもネウロイっていつまでどこまで攻めて来る? 興味を抱きつつ先を待とう。


【3月4日】 「空ノ鐘の響く惑星で」が見事な完結を迎えて後いったいどうするんだって心配なんか無用とばかりに渡瀬草一郎さん、デビュー作にもなった「陰陽ノ京」の最新刊でもって早々と最前線に戻ってきてくれて嬉しいやら喜ばしいやら。「陰陽ノ京 巻の5」(電撃文庫)は安倍晴明がちょいと出払っていた家に泊まりに来ていた慶滋保胤とそれから女の子なのに男装している伯家時継および時継の従者でこれも男装している女の子の佐伯貴年に起こる大騒動。人ならぬ身を捨て妖怪になって山賊の頭に憑依した道士が天狗になってしまった何ものかを元通りにしつつ自分も永遠の命を手に入れたいと、よりしろにするべく晴明を狙ったものの家にいたのは時継と晴明の妻の梨花と息子で心を閉ざしてしまっている吉昌と貴年くらい。

 これは仕方がないと梨花と吉昌をさらい連れて行こうとしたら時継がくっついてきてしまって山賊の住処へとそのまま到着。山賊といっても元は貴族の郎党たちで虐殺するよーな凄みはないためとりあえず人質も交えて酒盛りを始めたらこれがとんでもないことになってしまった。大百足が登場するでもなく陰陽師たちによる式の打ち合いなんて派手なこともないエピソード。描かれるのは何のために生きるのかというあらゆる生を持つ者たちにとっての根元的な命題で、そんな生命に対する慈しみと優しさに溢れた解釈が浮かび上がってきては心穏やかにしてくれる。傍若無人というより人間の理性とかがまるで通じない神様であってもその腹を痛めて命を世に送り出す経験は、やっぱり大きかったってことなのか。全巻を貫くテーマがまだないだけに続きがどこまで出るかは分からないけどとりあえずはウブな保胤先生と時継の間だけでも成り立たせて差し上げて頂きたいなあ。吉平と貴年も忘れずに。

 最後のホイッスルが鳴るまで手を休めることなく立ちっぱなして応援し続けていた湯もみ娘軍団の目一杯の笑顔も見たかったけれどもとりあえず、ホームサイドにいる以上は緑の一味ってことで遠目に双眼鏡で「草津温泉」「くさつ」と書かれた湯をもむ板を左右に揺らす和服姿の女性達を反対側のスタンドに見つつ東京ヴェルディ1969のゴール裏で観戦した今年の僕にとっての「Jリーグ」初公式戦「東京ヴェルディ1969vsザスパ草津」は名波浩服部年宏土屋征夫選手を補強して守備に中盤に安定感を出した上にフッキ選手まで獲得して攻撃に凄みを増したヴェルディが前半こそ開始早々の1点しか奪えなかったものの後半に怒濤の責めで計5点を上げて快勝。暑さの中で見ていた観客にも心よりの春の訪れを感じさせただろー。

 前だとそんな大勝のあとに気の緩みってゆーか頭に乗ってのことか大敗を喫して一進一退を繰り返していたヴェルディだけれど競り合いにはほぼ完璧に勝利した上にコーナーキックん時なんかは攻撃にも役立つ土屋選手の存在がとてつもない貢献をチームにもたらしそー。名波選手については動きこそそれほど派手ではないけれども持てば決定的なパスをサイドに前線に送って攻撃にテンポと厚みを与える役割を果たすんでこれも強力。そしてフッキ選手。コンサドーレ札幌でも大活躍した動きは健在で走り奪い蹴り込む能力の高さはどーしてこれがJ2? って誰にも思わせそう。それこそ年の半ばでJ1チームにぶっこ抜かれたって不思議はないんだけれどそれやられてしまうとヴェルディにとっても痛いから出しはしないだろーなー。つかよく獲得出来たよなー。東京にはススキノよりも楽しい場所が沢山あるって勧誘した? でも稲城や調布にゃそんな場所はないんだけど。「よみうりランド」で勧誘したかそれとも日テレ・ベレーザの綺麗所で誘ったか。

 試合が午後の3時に終わってそれから午後8時半までだいぶんと時間があったんでとりあえず青山一丁目まで歩いて「サンマルクカフェ」で読書しつつ感想文を書きつつ時間をつぶしてそれから新宿へと廻ってうろうろとして時間を稼ぎさらに六本木へと出向いて「かつや」で粗挽きメンチカツを食べて満足して、青山ブックセンターで「周恩来秘録」ってゆー某産経新聞が連載したものではまったくない中国の政治にコミットしていた学者だかが書いた、文化大革命の織りに周恩来がどんな行動を取り言葉を発したのかを分析しつつ、決して偉大で優しい周恩来に冷酷で無慈悲な毛沢東といった昨今の通念とはまた違った、けれどもだからといって周恩来を貶めるよーなものとは違うリアルで切実な周恩来像って形にして描いた本を上下2巻で購入して読む。いやあすげえなあ中華人民共和国。あんな政治闘争を勝ち抜き生き残るよーな奴らを相手にして日本の二世政治家どもが勝てるわきゃねえ。今だってきっと文字通りの死ぬか生きるかの権力闘争を繰り広げている奴らがわんさかいる中南海。対して日本は阿呆なメディアと間抜けな政治家の持ちつ持たれつ腐れつつ。未来はないねえまったくもう。

 さらに時間が余ったんで「森アーツセンターギャラリー」でグレゴリー・コルベールって人の展覧会を見る。写真と映像でとらえられているのは密林でオラウータンと女性が同じボートに乗って舐めあい触れあう様だとか、砂の続く砂漠で女性たちがピューマやチータとよりそい戯れる様。あるいは女性と動物を別々に撮影して合成したんじゃないかってゆー思いも浮かんだけれどそーした作為はなさそーで、どーゆー手段を用いたのかは分からないけれどもちゃんと普通に撮影したものらしー。像はともかくチータが相手でよく食べられなかったよなあ。写真よりもリアルさがより見える映像作品の方が好きでそんな映像を納めたDVDも売っていたけど手元不如意で買えず。でも今まさにお台場のサントリーとかがある場所の裏手で貨車のコンテナを積み上げて作る坂茂さん設計の「ノマディック美術館」(金曜日に通りがかった時には何を作ってるんだって思ったよ)が登場してそこにグレゴリー・コルベールの作品も飾られるんで見にいってついでに関連グッズを購入しよー。

 そして時間になったんで「TOHOシネマズ六本木」へと出向いて「蛙男商会」による「劇場 秘密結社版鷹の爪 総統は二度死ぬ」の試写会を見物、いやあすげえ、テレビ版はテレビってサイズにFLASHのアニメが妙にチープに写って時間も真夜中ってこともあってどうにも不思議な感じがしたなけれどこれがさらに巨大なスクリーンに映し出されると、なぜかチープさが消えて妙なゴージャスさが感じられるのは劇場って場所が持つ雰囲気の賜って奴か。あるいは劇場向けにしっかりと拝啓もキャラクターも作り込んであったのか。分からないけれどもともかく見て珍奇さは感じないくらいにしっかりとした劇場アニメになっていることだけはここに断言しておこー。

 さらにはセリフも完璧でキャラクターごとに声音はともかく調子が変えられていてそれらがしっかりとそれぞれのキャラクターになっていて、繰り広げられる展開をそれぞれのキャラクターの心理状態まで感じながら見ていける。演技力が向上したのかそれとも予算をたっぷりかけて撮り直したのか。面白いのは予算の使用状況がスクリーン横のゲージにあらわれるって趣向で超豪華な3DCGが登場するとぐぐっとゲージが下がったりするのにまず笑い、そして予算を取り戻そうと画面に企業の広告がたっぷりと現れる様にあざとさではなく楽しさを感じて爆笑してしまう。いやーおかしい。

 かといって仕掛けだけではなく本筋の部分でも世界を幸せにしたいからとゆー願いで世界征服を企む鷹の爪総統の優しさが全編にわたって語られていて見ていて心も温まる。いやあ良い話だ。そして楽しい話だ。今年に見るだろーアニメーション映画の中でもすでにして第1位はこれで決定、って言って良さそー。同時上映の「コフィーちゃん」もSFしていてこれまた愉快。大笑い。12年前の焼き直しがどれだけ思わせぶりな言葉でもってアジろーとも、信念と情熱で島根で作られたFLASHアニメの下に甘んじる可能性だって割とあるかも。どれだけ凄いかは劇場で確かめろ。


【3月3日】違うあそこは“おっぴろげジャンプ”だ「けっこう仮面」の必殺技だ! そーすれば格闘に長けてはいても女性にはとんとウブな枢木スザクは真正面から来る熱と湿度を持った質量に目を開けていられずつぶったところを鍛え上げられた両股によって頭をギリリと締め上げられ、そして目と鼻と口はすべらかな曲線をもった下腹部に覆われ息のできないまま失神したに違いない。カレン・シュタットフェルトはそれからスザクを煮るなり焼くなりつまむなり縛るなりすればよかったんだけど当人もそーした方面にはウブらしくまるで思いつかなかった模様。やっぱり人間は男も女も免疫をつけたり馴れたりするため、成長の途中に永井豪さんを読んでおくべきなのだ。

 んでもって相変わらず声が十円安だったユーフェミアまでもがそれなりに立派なところを見せてはくれたけれども、こちはらゼロと格闘にはならず必殺技を使う必要もなかったみたいでビジュアル的には残念。ゼロもあれでウブなところはスザク以上。でもってカレンに魚やサザエをとって食わせるスザクほどのサバイバル能力もなく、本で読んだ知識のままに落とし穴を掘ろうとしては途中で挫折する体たらく。そんな姿を戻ってきたカレンが観たら、スザクと比べてあまりの役立たずぶりにいくら理想が高く指揮の能力があっても、人間として幻滅して離れていってしまったに違いない。そーしたゼロの役立たずぶりを昔から知ってるユーフェミアが相手で良かったねえ。

 しかしマリアンヌの死に対して事情を知っているとクロヴィスが漏らしたコーネリアが実は何も知らずむしろ憧れていたマリアンヌの死の真相を調べる側にいたとは。そーした心境を知っていたからこそクロヴィスもコーネリアが何か知っていると思ってギアスを使ったルルーシュの問いに答えてしまったのかもしれない。相手がコーネリアではなくあるいはシュナイゼルだけだったとしたらここはおとなしくゼロを消してルルーシュ・ドゥ・ブリアニアとしてコーネリアとユーフェミアの前に出て庇護を得て、そして力を取り戻してシュナイゼルに挑んだ方が皇位には手っ取り早い気もして来たけれど、女心を自在に操り不思議な事象にも詳しく進取の気風にも飛んだシュナイゼルが相手ではさしものルルーシュでもかなわないか。ゼロの仮面を被った途端に口調がどうにも去勢を張った感じになってしまうあたりに、まだまだ子供っぽさが伺えるし。

 作画的にはスザクに投げられるカレンがすっぽんぽんで吹っ飛ぶシーンの最後の動画だと2枚くらいで背中とそれからお尻がアップになった画面の立体感も躍動感も素晴らしかったなあ。描いた人が自分はこれを描くんだって執念を込めたのが雰囲気としてよく分かる、ってのは観たかったものを観られたことから来る妄念か。あと観るべきところは玉城と口論していたC.C.がいつもの拘束衣姿で出歩いていて食堂でくるりと振り向くシーンでのお尻の曲線と振り向いた時の下腹部の平べったさ、か。あの難しい体型をちゃんと人間のそれもとびっきりの美少女が演じているよーに描ける作画能力の高さたるや。それらがあってこその人気って奴だと他の平板なアニメは思い反省したまえ。とかいいつつ平板でもセリフの面白さ展開の突拍子の無さで観るべき所が満載な「セイントオクトーバー」ってアニメもあるから世の中は分かりません。つまりは面白いものを作りたいんだってゆ熱意、それだけなのだ。

 きぬたさとしさんは西表島へと帰ってしまったみたいで今回は1巻で原案だった賀東招二さんが自ら筆を執って書いた「ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人」(ゼータ文庫、600円)が登場したけど文体はさすがにプロフェッショナルだけあってきぬたさとしさんと寸分違わず、キャラクターの性格なんかも前をそのまま引き継ぎマトバは憮然としていて逞しげで、ティラナは毅然として可愛らしい。さすがなもんだとあとがきを読んで仰天、したかというと半分くらいはしたけれど半分くらいはまあそんなこったろうと思った実はな種明かしを、知りたい人は滅多に出ないゼータ文庫を滅多にお目にかかれない店頭で探し出して引っ張り上げて買って読め。篠房六郎さんの豊満さにあふれたティラナやらタイトなスカートから伸びたストッキングに包まれた細い脚のつけねに除かせつつ脚を組んだセシルやらのイラストも買わなきゃ楽しめませんから。

 んでお話は2本立て。大穴が開いて異世界と繋がった島を舞台に起こる事件に挑むは地球人のマトバに異世界から来た準騎士とゆーティラナの刑事2人組で前作で訳あってペアをくんだ腐れ縁が続いて今もあーだこーだ良いながら、離れず仕事に勤しんでいたところにこちらから銃器を輸出しようとしていてあちらから変わりに持ってきた棺桶が応酬されて警察署へと持ち込まれる。開くと女性のミイラ。何だろう? と訝っていたところに蘇ったミイラが人を襲い逃げ出してしまう。

 どーやらティラナの世界でも伝説に残っていた吸血鬼らしーと分かってこれは拙いと追いつめていくストーリーは「ジョジョの奇妙な冒険」だったら単行本で20巻くらいは使ってよーやく終わるくらいのスケールがあるのにここでは1冊の文庫の半分だけ。あっさり退治されてしまう様はまるで雑魚のスタンド使いでこれでは折角全裸で街を走り回った吸血鬼も浮かばれない。せめて次巻があるならディオよろしく復活させて差し上げて頂きたいものだけれどもカーズと同様に放り出されてそれっきり、って線も濃そうだなあ。もう1辺はティラナの世界へとある特殊な性質の雑誌を輸出しよーとする企みを阻止しよーと頑張る話。どんな性質かとゆーと可憐なティラナが観ればわなわな震え出すくらいに凶悪で陰湿なもの、らしーけど僕子供だからよく分からない。車を頑張って運転してマトバを助けようーとするティラナがとにかく健気なエピソード。あのゴージャスな衣装とボディで通った教習所で教えた先生が羨ましいぜ。助手席から前なんて見ていなかったに違いないぜ。

 タカノ綾さんを喋らせる大会パート2、か3かは分からないけれどもタカノ綾さんって日本が誇る現代アーティストの人が描く絵こそ助平だったり幻想的だったりSF的だったりするんだけど、当人は酒とか入ってないといたって寡黙で喋っても突拍子がなくってなかなかトークとゆーものを成立させづらいって状況があって去年のちょうど今ごろに、渋谷のパルコで開かれたトークショーでも松井みどりさんと西島大介さんの間に入って2人が9喋る間に1をそれもぽそぽそと喋っていた様が、西島さんのエッセイ漫画「まんがっち」に描かれていることはもはや周知の事実だったりする。漫画に描かれているタカノさんが似ているかどーかは分からない。

 そこまで言われて黙っちゃいられないとタカノ綾さんがリベンジに挑んだ、訳ではなくってインターコミュニケーションセンターって初台にあるメディアアートのギャラリーで開かれている、八谷和彦さんって「ポストペット」を作りジェットボードを作り今は「風の谷のなんとか」って漫画やアニメで「ナウなんとか」が操縦していた「メーなんとか」に近い乗り物を作ろうってプロジェクトを進めているアーティストが、週替わりで登場してその時々で違うテーマで違うゲストを呼んでトークを行っていてそこに前に一緒に名古屋でトークショーを行って、自由落下の中で無重力体験をするイベントにも一緒に参加したタカノ綾さんを読んでトークを行おうとしたんだけれどそこで「まんがっち」の掲載誌を観て考えた。こいつぁあ1人じゃ大変かも。

 ってことで急遽お呼びがかったのか、「世界の終わりの魔法使い」で八谷さんのジェットボードを素で出してた西島さんが参加し渋谷パルコのリベンジとなった次第。だったけどやっぱり結論としては西島さんが4.2で八谷さんが3.9でタカノさんが1.9と前よりは増えたけれどもトータルとしてはやっぱりバランスの偏ったものになりました。まあしょうがない、酒も何も入ってないし。けどそれでも喋ってくれたのは東京湾の中にあってゴミが埋め立てられている場所へと出向いて風力発電の風車を観つつ舞う鳥や走る野犬のイメージを観て絵を描いた話とか、リヨンやマイアミで開催した個展の話とかタカノさん個人に関わる話が多かったからでそーしたことを重ねていけば、2時間の長丁場だってあるいは充分に保ったかもしれないけれども半分くらいはカッパは実は宇宙人だって話しになったかな。どうやらタカノさん的にはそーらし。緑とグレイ。似ている?

 カッパと言えばKAPPAに替わった「ジェフユナイテッド市原・千葉」の新しいユニフォームが到着。ピチっとしているだけにLじゃなくってOにしとけば良かったかもって悔いもあったけれども到着するとそんなにひどくはピチってなくって充分に着られるサイズで良かった良かった。背番号は7で佐藤勇人“キャプテン”。だから佐藤選手を真似るためにはキャプテンマークが必要なんだけどそんなのはないからブロッコリーで買った「超監督」を着けようと袋から出したら店員が間違えて「団長」の方を入れていた。まあアマル・オシム監督の上にイビチャ・オシム“超”監督が君臨していている中で自分が「超監督」をいかなユートでも着けられないからここは引いて「団長」で正解なのかも。つか本当に団長腕章、着けてくんないかなあ試合でも、片手には当然ハルヒのハンドパペットも嵌めて。


【3月2日】 起き出して録画の「セイントオクトーバー」。なんだ別に含みも裏もなかったんだ占い師。テレビ番組の売らないコーナーに出てクルツ社長を相手に水晶球をのぞいたけれど何も見えずあわてふためいたから、占いの能力はあっても本筋にはからまず時々出てきていろいろ絡むくらいの役って設定なんだろー。せいぜいがウエストの3センチを気にするソフィア部長の心を読むくらい。それでも指摘されれば心に響く。ソフィア部長がリムジンの中でクルツに囁きかけられた時はいよいよ前線に立って戦うように指令された挙げ句に黒ロリに破れジャッジメントされてご退場になるかと心配した宍戸留美ちゃん。でもこれで後まだしばらくは出てくれそー。良かった仕事減らなくて。

 ついでに「のだめカンタービレ」でもボスに振り回される女性あり。こっちのエリーゼちゃんはミルフィーことシュトレーゼマンの秘書だけど振り回され日本まで引っ張られ連れ帰ってもまた逃げられるとゆー大変さ。その疲れを何故にビーフジャーキーで癒すのかが分からないけど美人がビーフジャーキーを噛みちぎって貪り喰らう姿もなかなかにキューティーだからむしろ大歓迎。一瞬誰が声を演じてるんだろー根谷美智子さんかなあと思ってクレジットを観たら川上とも子さんだったよちょっと吃驚。ミトともウテナとも違うキャリアな女性の声。でもどっかあどけなさも残る声。不思議な味になってました。これからも出てくれるのかなあ。ブリリンじゃなくって。そろそろ漫画も読んでおいた方が良いかなあ。

 猫耳だとか幼なじみの転校生だとかお稲荷様だとか狼神だとか、居丈高な癖に裏では惚れっぽいお嬢様だとか宇宙帝国のお姫様だとか撲殺天使だとかいったライトノベルにいかにもなヒロインたちをいかにも過ぎると断じて忌避する一般小説の読み手とかいたりするけれど、割に普通に暮らしていたりする人間にとっては性的な嗜好や趣味においてマイノリティに属する人にはあまり出会えないもので、現実に存在する以上は非現実的な撲殺天使といっしょにするのは申し訳ないとは思いつつもどこか遠くにいる存在として、そうしたマイノリティをとらえ登場する物語をライトノベルと同様に感じていたりするかというとそうでもなくって、一般小説の分野で立派に文学として受け入れられるというから世の中はなかなかに複雑だ。

 って訳でもないんだろーけれど、ライトノベルの分野で活躍している森橋ビンゴさんが一般小説の分野で刊行した「チョコレートゴシップ」(角川書店、1400円)は趣味嗜好においてどちらかといえば特別な部類に入る女の子とか男の子とかが登場して繰り広げるラブストーリーの連作短編集。まずは「メンソール・ベイベ」で一馬って彼氏と同棲しているトシさんて男性が主人公でつまりはゲイなんだけれども前に1度だけ、一馬も含めて仲の良かった元村千早って女性と寝たことがあってその時は安全日だから大丈夫だと言われたのに、程なくして行方知れずになった千早がしばらくぶりに現れたと思ったら子供がいてそれはトシさんの子供だって言いだした。責めめ立てる訳じゃないけど重さをもって迫ってくる千早を一方に一馬への感情もあって決断できなかったトシさんだったけど最後にどうにか1つの答えを導き出す。それは。

 でもって2つ目の短編「夕焼けブランコ」は芸大で自主制作の映画と撮った時に試した女装が病み付きになってしまった青年が主人公。自分で身に着けるための下着をデパートに買いにいってそこで12歳なのに下着を万引きしたサワコという女の子を見つけてあれこれあって知り合う。家におしかけて来たサワコに女装癖がバレて目の前で女装してみせたらサワコは乱暴にも青年を足蹴にしたけどそれがとっても心地よく、以来通って来るサワコに誹られいたぶられるのが趣味になってしまった。けれどもそんな幸せ(?)な日々は続かずひとつの事件が持ち上がる。

 面白さでは3つ目の「アメ車とグルメと太陽と」が個人的には1番だったか。こちらも芸大に通う青年が主人公で彼自身はノーマルだけど同じ学校に通う女の子がちょっと不思議だった。1人は菅原潤という名でアメ車みたいに馬力があってスレンダーではあるんだけれども大食漢。ラーメンを食べてから回転寿司へと言って青年の倍は食べてそれでも食べたり無いと言い出す。もう1人は長い黒髪を持った美少女の伊藤勇気で、でもってやっぱり大食なんだけどそれは潤とは違って食べたら吐いてそれから食べる食いしん坊。理由を聞くと「だって、太るの嫌だもん。ししし」と笑う奇妙さ故に一部には不思議ちゃんと慕われ言い寄る男もいないでもなかったけれど、そこは「まじキモい」と一言のもとに切り捨てる暴虐な性格で特定の彼氏はいなかった。

 最初は知り合いでもなかったのに、いつか知り合いになっていた2人と妙にウマがあった青年はグルメ情報に詳しく2人を引き連れ食堂廻りをしていたけれど、そんな2人がともに学校でも1番の女たらしを好きになってしまってさあ大変。そして青年とは疎遠になってしまったけれどアルバイトから半分くらい仕事になり欠けていた彫り師の仕事場に揃って2人がやって来て、タトウーを入れて欲しいと頼んできた。いったい何があったのか。タトゥーを入れたら元気な2人に戻るのか、ってところで放り出されるように終わっている短編は、大変な状況に戸惑い公園でブランコを漕いでいた「夕焼けブランコ」の女装男子とサワコの描写にも通じるところがあって腹8分目とゆーか、寸止めな感じがして落ち着かない。

 けれどもさあどうなるんだろうってシチュエーションから次に続くだろー展開を想像するのもまた楽しい。最後の話「スナヲナキミト」はつきあっていた彼女を寝取ったレズビアンの少女が何年か経って寄こした手紙に結婚すると書かれてあって最後に会いたいという彼女に呼び出されて出向いた先でさらなる戸惑いに出会う売れない作家の物語で、一応はまとまっていはいるけれどもその先にあるいは起こるかもしれない破局から再会といった展開を、想像するだけでもなかなかに面白い。最初の「メンソール・ベイベ」と同様に真性のホモセクシャルが異性と関係を持てるのかって考えたりもするけれど、人それぞれで考え方も感じ方も違うもの。そーゆー人もいるんだとここは受けとめつむがれた揺れる心の様をじっくり味わい噛みしめよー。いずれにしてもライトノベルのレーベルでは出せない話ばかりだなあ。リミッター外すとこんな話も書けるんだ森橋ビンゴ。こっちの方がむしろ向いてる?

 呼ばれもしていないけれども取材なので「日本SF大賞」と「日本SF新人賞」の授賞式へと潜り込んで萩尾望都さんのご尊顔を拝む、えっといつ依頼? 超絶昔に「ロフトプラスワン」がまだ新宿御苑方面にあった頃に夢枕獏さんと登場して何か喋ったって記憶がある、何かCD−ROMを出した頃だよ、あれはえっと何年前のことなんだろー、確か買ったけどどこに言ったのか不明、マッキントッシュ用だったよーな、ってことは今は観られないのかどーしよー。でも変わらず福々しいお顔でそして何より嬉しそう。日本SF作家クラブにはそれこそ大昔から加盟している人だけどそんな人でも「星雲賞」と並んで看板を2分している「日本SF大賞」はやっぱり栄誉なことなんだろー、ってかどーしてもっと昔に受賞していなかったのかなあ、「銀の三角」だって「マージナル」だって内容的に資格は充分だったのに。ともあれおめでとうございます。

 会場を散策していたら萩尾さんの「トーマの心臓」とか「メッシュ」「訪問者」を舞台化した劇団「スタジオライフ」の演出家の人もお祝いにかけつけていた。公演中じゃなければ役者にそれこそギムナジウムの美しい少年たちだかバンパイアだか貴婦人だかの扮装をさせてお祝いの寸劇でも演じてもらえたら場も盛り上がったかも。とはいえいっしょに贈賞の大藪晴彦賞が2人でそれから萩尾さんってこともあって珍しく場内が混雑していたから寸劇なんてしても大変だったかも。新人賞の人は遠目にちらちら。1人が同じ大学の出身で学部もいっしょだったんで近況とか聞こうと思ったものの聞かれて誇らしい学校かというと悩ましいので臆して黙って前を立ち去る。ちゃんと本を出せる作家になってよ酒見賢一さんの後を追って。


【3月1日】 実はほとんど観ていなかった「ウゴウゴルーガ」のDVDが出るからって別に感慨はまるでさっぱりないんだけれど、あの「ギャラクシーエンジェル」のミュージカルで蘭花さん役を演じた小出由華さんが元「ルーガちゃん」として登場するとあっては行かざるを得ないと早起きをして電車を乗り継ぎ、地の果て海の向こうにあるというフジテレビジョンへと向かい受付を済ませエレベーターに乗り見回す周囲のフジテレビ職員の、自分よりも10歳は若いだろう社員が自分の倍は稼いでいると思うとそもまま引き返したくなったりしたものの、それが格差社会って奴だと認める一方で、入館証を着けていたって出入りの制作会社の人かもしれないそれだと稼ぎはこっちと変わらないかもしれないと気を取り直し、だったら共闘できると心でインターナショナルを唄おうとしたけど唄を知らなかった。インターナショナルってどんな唄なんだ。チェンチンチェンチンは中華人民共和国国歌だから違う、昨日国立で聞いたばかりだ島谷ひとみの「君が代」はまずまずだった。

 んで「ウゴウゴルーガ」ではなく小出由華さんは「白ロリ」風っていうか背中でぎゅっと縛ったビスチェだかコルセットの下にふわっと広がったフリヒラなスカートを履き膝上までのソックスでそれも網網でヒールの高いブーツを履いてて可愛らしいことこの上なし。なおかつ推定で1メートル弱(大ざっぱ)と言われる胸部が腰部をコルセットで縛られていた分、余計に張り出していて遠目にもそのスタイルの良さが脳裏に響いてくる。その格好で「ことのちゃん」って言ってくれたら嬉しいのにとか思ったのは本当だ。もしもこんな格好でこんなスタイルのまんま朝の「ウゴウゴルーガ」に出ていたらきっと、当時の子供達は悩殺されまくって幼稚園や小学校で見かけた同級生の女の子たちにまるで見向きもしなくなり、結果恋愛も生まれず出生率は低下し日本を滅ぼしてしまったに違いない。小学校3年生当時の「ルーガちゃん」で良かったよ。

 逆に「ウゴウゴくん」は当時からして観てくれはありきたりで内山くんほどじゃなくてもそれなりにどすこいで腕白な雰囲気だったから憧れる小学生の少女も幼稚園の幼女もおらず結果、憧れが同級生なりへと向かい恋愛を育めるよーになったに違いない。スタッフも出演者の選定をちゃんと考えていたんだなあ。これでたとえば「うごうごくん」が長身痩躯なイケメン野郎に成長していたとしたらあっと驚く当時の視聴者で今がまさに適齢期の婦女子が見る目のなさに絶望して尼寺へと向かったかもしれないけれども15年を経てご登場の「ウゴウゴくん」は立派にそのまま「ウゴウゴくん」で小出由華さんみたいな芸歴もなさそうで引きこもり? ではないけれども一般人をやっているみたいでご安心、当時惚れなくて良かったと見る目の確かさに婦女子もご安心となったことだろー。でもあれだけの報道陣を前に臆さず普段どおりの態度で当時のまんまに小出由華さんと掛け合いをしていた辺りはなかなかの大物ぶり。まんま復帰したてパーソナリティぐらいはつとまりそーな気もするけれど。それとも子供心に芸能界やテレビ界の凄まじさを観てしまったのかなあ。何を観たんだ田嶋秀任。楽屋じゃマネジャーを足蹴にして尻に敷いてた「ルーガちゃん」か?

 遠目に「直言兄弟」の弟の人を観つつ「ゆりかもめ」で新橋を出て「かつや」でカツ丼をかっ込み夜まで仕事をしてから頃合いを見計らって「吉川英治文学新人賞」の発表会見に言ったら今度は「直言兄弟」の兄の人がいた。1日でどちらも観られる自分の担当が分からない。んで「新人賞」は「一瞬の風になれ」で佐藤多佳子さんが受賞。直木賞には落ちたけれどもこっちの選考委員はスポーツの描写にだけひたすらに取り組んだ内容もティーンに向けて書かれた展開もどちらも問題はなく受け入れられたみたいで権威やら何やらを気にして素直に物語の善し悪しを受け入れられない面々との違いってものが浮かび上がる、って誰か選考委員は重なっていなかったっけ、いないかな、まあいいやとにかく受賞おめでとう御座います桜庭一樹さん池井戸潤さんは残念でした池井戸さんこっちは取ると思ったんだがなあ。

 佐藤さんの会見で興味深かったのはこの当たりかな。「スポーツをすることの中に大きなドラマがある。スポーツを題材にした小説は沢山あるが、競技以外のところにテーマを持っていってしまって、それを読者として読んだとき、若干不満だった。スポーツそのものをじっくりと読みたい、ドキドキできる大きなドラマがある、フィクションが作れると思っていました」というのはまさに至言。漫画の「おおきくふりかぶって」が妙に人気になっているのも野球ってスポーツに含まれる駆け引きや計算や心理や技術を克明に描いているからで、そこからスポーツってものの面白さが登場しているキャラクターたちに重なって立ち現れて来る。漫画や劇画じゃあ描けてどーして小説では描けない? ってところで筆をとったのが「一瞬の風になれ」でそれが評価されたってことはあるいは日本にスポーツ小説の新機軸って奴が生まれる芽がここに生えたのかもしれない。三浦しをんさんの「風が強く吹いている」も走ること、そのものの描写の生き生きとした様で大受けしたんだし。

 それを思うと今のテレビのスポーツ中継って奴がどれだけスポーツを伝えていないかがよく分かる。野球の技術? サッカーの戦術? カーリングの繊細さ? バレーボールの複雑さ? 卓球のすさまじさ? テレビの中継を観たってそんなことはまるで分からない。分かるのは選手の好物とか汗にまみれた学生時代の苦闘とか愛車とか家族の献身ぶりっていった外野の話ばかりでその瞬間、そのプレーで何が行われてそれはいったいどんな流れから生まれたものでその時に選手はどんな凄い技術を用いたのかさらには選手は何を考えていたのかって部分はまるで分からない。だからテレビの中継を観ていたってプレーの凄さが分からない。分からないから興味も抱けず結果スポーツへの関心が失われて視聴率は探り焦ったテレビ局が視聴率を取れるだろうと思い込んだ人間ドラマや何やらを飾り付けてはさらに視聴者を遠ざける悪循環。もはや残る手段はエロスしかなくなっていて現実に華やかな格好をしたさして強くもない卓球選手にビーチバレー選手が持ち上げられる現実を観ると未来はやっぱり明るく無いなあ、テレビにとってもスポーツにとても。スタジアムの臨場感と選手の緊張感をメディアで伝える手段、ないかなあ。


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