縮刷版2006年7月中旬号


【7月20日】 海の日。かと思ったらすでに終わっていやがった。祝日変動制はややこしいから嫌いだ。仕方なく仕事へと出向いてお台場から矢口渡あたりを行ったり来たり。同じくお台場をうろうろとした16日に比べて格段に涼しいのが救いで、さほど疲れもしないで1日を過ごすことができた。こんな気温が9月の半ばまで続いてくれれば夏も静かに暮らせるんだけど、そーなると作物の出来に影響が出て消費にも及んで景気が悪くなって仕事も減るから悩ましい。せめて湿気だけは少ないカラリとした夏になって欲しいものだけど、どっちにしたってクーラーの壊れた部屋には関係ないのだ。耐えろ。

 買い置きしてあったCDから「GONZO」の作ったアニメの主題歌ばかりを集めた3枚組のアルバムをパソコンに移して聞き込む夜。懐かしいなあ「キディグレイド」のオープニング。割に楽しくおまけにエロく見られた前半と違って後半によく分からないけど凄まじい展開が待っていたって記憶があるアニメだったなあ。でもろくすっぽ覚えていない。「カレイドスター」の弟1期オープニングは良いテンポだなあ。でもアニメを見てないから思い入れはゼロ。むしろ耳に響いてぐっと来るのは「LAST EXILE」か。あれは凄いアニメだったよストーリーも絵柄も一種の頂点だった。今は……「N.H.Kにようこそ!」で健在ぶりは見せてくれるから良いか。大きな穴さえ空けなければ当分は天下が続くだろーね。「ブレイブ・ストーリー」って入り、どうよ?

 そっか06年の作品ってことで「BLACK CAT」も「ウィッチブレイド」も入ってないのか、どっちも割と作品が気に入って同時に音楽も気に入っていたのになあ。特に「ウィッチブレイド」のエンディングは楽曲も歌声も最高レベルに大好き。能登”可愛いよ”麻美子さんの大人びて囁くよーな声でもって唄われる静かなんだけど底辺から響いてくるよーな楽曲は、それだけ取り出して聴いても立派にポップスとして通用しそー。もっとヒットして欲しいんだけど作品自体の時間が深いし一般性もないんで盛り上がらない。ちょっと残念。名曲なのに。まあCDを買って聞き込んでいるんで良しとしよー。あと欲しいのは「N.H.K」のオープニングか。エンディングも嫌いじゃないけど、買うと負けのよーな気がする……。

 単行本にまとまった小だまたけしさんの「平成COMPLEX」(少年画報社)が登場したんで買って読む。まとまるとちょっぴり位置づけの不明だった新藤菜々ちゃんの、アイドル時代に大陸で平成太朗に憧れ帰国して憲兵になって、親が偉い人だとゆー立場もあって気を張りつめて頑張り倒して来たんだけど、本命で憧れの成太朗が帰ってきて同僚になって浮き浮きしつつも一歩を踏み出せず、それでもこれでどうにか上げ底の靴を脱いで自分をさらけ出せると安心していく様が分かって微笑ましい。一方でそんな新藤少尉に強さを見て憧れつつ、日々を猪突猛進に頑張っている戸原曹長のまっすぐさもまた愛おしい。

 原型となった「平成イリュージョン」だとそこで、太平洋戦争が起こり敗れた日本が戦後を苦労しながら発展し繁栄を成し遂げつつその繁栄に自家中毒を起こして彷徨うもう1つの現実って奴がフラッシュバックして、太平洋戦争が起こらず軍部は権勢を保ったまま平成へと至った漫画の中の現実とせめぎ合い、そこに生きる人々を幻影に惑わす展開へと向かうんだけど「平成COMPLEX」は未だ「コンプレックス」とは何かが明かされておらず、参謀本部で何かを企む青年将校たちの目的も見えないところが気になる。

 果たして平成太朗は誰の思惑で動かされているのか、それとも自らの思いで動いているのか、青年将校たちは何を企んでいて、それと平成太朗の行動はどう関わり合いを持っているのか、コンプレックスとは何で、それがどんな感じに漫画の中で描かれて、読む僕たちにどんなメッセージを与えてくれるのか等々、楽しみも結構あってこれからの展開に期待したいところ、なんだけど連載の方はどーなっているんだろー、先月号は確か載っていなかったよなー、今月号は載るのかな。「ヤングキングアワーズ」の発売される月末を期して待とう。アーカードとウォルターのバトルも楽しみだあ。


【7月19日】 何でも宝くじがバンバンと当たるらしーと評判のTシャツが売り切れないかと心配で、秋葉原の「ゲーマーズ」に行ったら未だ山と積まれていたのは何だろー、テレビで宝くじ番組を見る層にとって、あのTシャツはまるで遠い存在ってことなんだろーか。実際に傍目には得体の知れないサイケな模様の描かれた宗教じみたデザインのTシャツ。不思議な柄だなあとは思えても、それが天下の秋葉原に行けば買えるなんて想像もつかないんだろーな。

 誰かだから早く一般メディアで「宝くじの当たるTシャツ」って触れ込みで取り合げるしかないね。つか自分で着て有楽町のチャンスセンターに買いに行くか。行くと行列に並ぶ数百人が同じTシャツ着てたら壮観なんだけど。「SOS団」と胸に染め抜かれた黒いTシャツを。今のところは「ゲーマーズ」とかにそれなりの分量が残っているんで、宝くじを買い逃している人は立ち寄り手に入れておくと吉、かもしれない。保証はしない。

 高橋ジョージさんと三船美佳さんのカップルってゆーと、とはる方面からその信条に対する見解なんかも出て来そーだけど、今回の場合はひとつには仲の良いカップルでそれなりに知名度もあるってことで選ばれただけで、とくに何かが動いているってこともないみたい。何せ主題が「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」。この映画が22日に日本で公開されるのに先駆けて、舞浜にあるショッピングモールの「イクスピアリ」でいろんなイベントが開かれるってんで、高橋さん三船さんのカップルと、それからセレブモデルとして評判のマリエさんにファッションモデルとしてパリコレなんかでも活躍中の杏さんに声がかかって、海賊の格好で登壇しては映画のPRに参上した。

 その三船さん。いやあ陽気。でもってとっても仲睦まじい。16歳で高橋さんと結婚して04年には子供を出産。その子供への情愛がまた深くて激しくって、「デッドマンズ・チェスト」にちなんでそれぞれのお宝を披露してくださいって要望には、娘の手形足形が押された粘土板を持ってきて見せてくれた。子は宝。子は春日井のバターピーナッツ。そんな格言を地でいく態度は見ていて何とも清々しい。そんな彼女の天然な明るさを笑顔で見つめてはいっしょに漫才なんかもしてみせる高橋さんの態度もとっても微笑ましい。

 かくも夫婦仲睦まじくまた昨今の子供が虐げられる風潮に物を申す三船さんの態度の背景に、あるのはひとつの信念なんだろーけど時にそんな信念の頑健さを揶揄する意見があったとしても、立ち現れる子を思い家族を慕う思想の暖かさは純粋に素晴らしいって思えて来る。倫理の底の抜けてしまったこの日本。塞ぐのはやっぱり”想い”なのかなあ。それは時に頼もしくもあるけれど、時に恐ろしくもあるだけに悩ましい。高橋さん三船さんの素晴らしさは頼もしさのままで永遠を刻んで欲しいもの、だけど。

 しかし凄かったセレブモデルのマリエさん。そもそもがどんないわれを持つ人か知らないんだけど、スタイルも抜群で衣装もそれなりにゴージャスで、なおかつ”お宝”として持ってきたのが紛うことなき宝石だったからもう大変。警備員まで横に付き従って披露したのはブルガリ製らしー首飾りでサファイアが散りばめられてて遠目にもキラキラと光ってる。ファッションモデルの杏さんが超絶に細くて長い脚をスカートからのぞかせた格好ですっくと立って手に持ち披露してくれた、ひいおばあちゃんが作ってくれたとゆー手作りの縫いぐるみの愛おしさもそれはそれで”宝”なんだけど、現実問題1億円近い値段の品物を持ち出されると、それを出して来るのかってちょっぴり不穏な心理も浮かんでくる。

 もっともセレブだからと期待されて用意してみせたって単純なアングルではないところがそんな不穏な心理を即座に打ち消す。決して新しいものではないよーで、おそらくは過去に誰かが買ったか手に入れたかしたものを成長した娘の為に贈ったか何かしたのがこのブルガリのネックレス。欲しがり屋さんの娘に成金なオヤジが金ムクのフィギュアを贈るのとは訳が違う。たぶんそゆー人には手に入らない品物なんじゃなかろーか。

 セレブはセレブなりの所作があり、その範疇で選んだ”お宝”がたまたま1億円の宝飾品だっただけ、だと考えればそれは娘の手形足形ともひいおばあちゃんの人形とも同じ価値を持つ。高橋ジョージさんが今は亡い職人さんに刺繍を入れてもらった皮ジャンもしかり。そんな”お宝”を心のエピソードともに聞けて朝からそれなりに充実した発表会で御座いました。しかし超絶に綺麗だったよ杏さん。細いし。高いし。どーやったらそんな人たちとお近づきになれるんだろー。一生無理? けどでもせめて1声くらいは。罵声でも。浴びたいもので御座います。

 骨伝導ってのがそれなりに興味深い技術だってことはもうずいぶんと前から言われていたことだけれど、新製品が出るからって今さら珍しくもないやって訝りつつ会見の場に足を運んで驚いた。その名もフレェイって会社が新しく発売したヘッドセットに組み込まれているのは、「超磁歪」ってゆー磁界を受けると大きく変形する特性を持った素子でちょっぴりの電力でもって大きな振動を作り出してはこめかみあたりの骨を震えさせ、中耳から内耳にある蝸牛へと振動を伝えてそこから神経パルスを聴神経に長し脳で音として認識させることが出来るとゆー。

 一般的に使われている圧電素子なんかよりも強い力があって且つ、再生できる周波数帯も人間の可聴域をふるにカバーしているから音楽だって子音を含んだ言葉だって、途切れずクリアなサウンドでもって頭の中に伝えることができるとゆー。おお画期的。その技術が本当に正しく「超磁歪」って素子が本当に珍しいものなのかは化学の人たちの探求に任せるとして、骨伝導を使えば耳を空けて音声とかを聞こえるよーにしながらも、脳に別の音楽なり会話なりを他の聞こえないよーな形で伝えることができるってのが面白い。

 それは作業しながら音楽を聴きながらかかって来た電話をとったり支持を受けられるよーにしておく必要のある場とかで利用できるし、常に耳から音を聞き続けなくてはならない職業の人がそれ故に起こりがちな難聴を予防する仕組み作りにも応用できる。耳が4つになって新しい使い方、使われ方を探しくことできっと、これまでにない”音場”って奴をそこに現出できるんだろー。しかし55150円は買って家で使うにはちょっと高いかなあ。量産がきけば更に安くなるそーなんで、新しい用途なり大きな市場なりをはやく見つけてそこで量産効果を出して安く、1万円くらいで使える骨伝導ヘッドホンとか作ってくれないかなー。どーせ聴くのはアニソンだけど。「踊る赤ちゃん人間」明日発売。


【7月18日】 いまや闘うメイド文庫と化して来た感のちょっとだけあるソフトバンク・クリエイティブの「GA文庫」でそのものずばりの「メイド刑事」と並んで出ていた、高殿円さん「新界奏曲ポリフォニカ エターナル・ホワイト」(GA文庫)もやっぱり闘うメイドが主人公。もっとも振り回すのはクイックルワイパーではなく鞘に納められた段平1本。歌を唄って精霊を操る力を持って天空にある精霊島の音楽院に入りトップを目指すお嬢様に記憶を失った姿で拾われ命を助けられたスノウドロップは、その恩に報いようと日々の鍛錬を欠かさず積んでは、お嬢様に迫る敵があれば段平を抜いて立ちふさがって、お嬢様の音楽院入りをサポートしようと頑張っていた。ところが。

 頑張りすぎたせいなのかそれとも失われた過去に何かの因縁があったのか、手に梅干し入りの瓶をもって洗われた白い美形の男がおまえは俺すなわち伝説のコントラバスに新しい弾き手だと言っては、スノウドロップも一緒に精霊島へと引っ張っていこうとしたからもう大変。楽器なんて弾けなずせいぜいが歌を唄うくらいのスノウドロップが、世界からエキスパートの集う音楽院でうまくやっていける筈がない。身分もだいいちメイドでは他の貴族に金持ちの子弟といった他の生徒たちとまるで釣り合わない。

 辞退しようとしたものの、スノウドロップを離れたくないというお嬢様の誘いもあって苦労して精霊島までたどり着いたスノウドロップ。そのプロセスにもまた爆笑の一幕があったんだけど、到着してからも虐めに遭っては跳ね返し、落ち込んではまた復活を遂げるとゆースポコン的でドタバタ的な展開が繰り広げられては爆笑の時間をもたらしてくれる。高飛車な美少女精霊と冴えない青年とのやりとりってゆー、笑いはあってもほのかにラブコメチックな榊一郎さんの本編「ポリ赤」とも、また大迫純一さんの精霊課刑事が活躍する「ポリ黒」とも違った雰囲気を持った、笑いあり人情あり、でもって最後に一大アクションも控えた超娯楽大作ポリフォニカがこの「ポリ白」ってところか。

 あのコーティカルテのその昔の姿も現れ、未来に繋がる設定なんかを教えてくれる辺りも読みどころ。イラストだとスラリとして美麗な彼女がどーしてあんなにこまっしゃくれたガキになってしまうのか。まあ好みとしては「ポリ赤」なコーティだったりするんだけれど見て楽しむ分には「ポリ白」のコーティも捨てがたい。近寄れば炎で燃やされるのがおちだけど。ともあれ開幕した「ポリ白」で果たしてスノウドロップが向かう運命は? そして危機に瀕している世界の行方は? ちょっと楽しみ。それにしてもやっぱり雰囲気違い過ぎるなあ、梅干し食べてスッパマン、だもんなあ精霊が。

 最近になって特に思うことが1つある。それは渡哲也と木村拓哉の出ているジョージアのCMがつまらないってことで、もしかしたら摩耗し罹った自分の感性にそぐわないだけなのかもしれないれけど、それを承知で言うならあのCMのどこが一体ツボなのかがまるで掴めない。渡哲也が会議中に「缶コーヒーを飲むとアイディアが」ってのは何かのパロディなのかもしれないけれど、それに追従するだけの木村の演技にまるで味がない。いったい奴は何者なの? 渡の腰巾着? 自分の才能を過信し渡を慕い認めない奴らを小馬鹿にしているガキにしか見えないんだけど、それをたしなめないで一緒に缶コーヒーを飲んでいるから渡も別に切れ者なんかに見えて来ない。2人して窓際おじゃま虫。そんな印象。

 弟2弾の乗り合いバスで缶コーヒーを飲んでいるところを子供の双子に見つめられて、何だよと言い返してブチ切れる木村がまた大人げない。それで大人の味の缶コーヒーとか言っているのがギャグってよりはむしろアイロニー。こんな大人にゃなりたくないって思わせそんな奴らが愛飲している缶コーヒーなんて絶対に揉むものかって思わせる効果しか感じられない。おまけにやっぱり横に座っている渡に木村を諫める気配がない。2人して愚鈍な大人を演じてる。鳴り物入りで始まったシリーズのCMが2本も続けて面白くないなんて例が過去にあっただろーか。傑作の多い缶コーヒーのCMにこれほどつまらないCMがあっただろーか。その意味では記録的なCMだったりするのかも。メンバーの豪華さとの対比って意味でも。

 それとも今はまだプロローグに過ぎなくって、いずれ溜め込んだ渡が大門さながら立ち上がっては、お追従をするだけのチンピラ木村も叩き直して会社を変革させる展開へと向かっていくのか。ショットガンを手にフェアレディを駆って本牧埠頭を疾走してくれるのか。くれないか。うーん分からない。でもそーなる気配もないしなあ。どっちにしたってしばらくはジョージアは飲みたくない気分。味なら「100年ブラック」がライディーンも出てくるCMで文字通り”いい味”出してたんで、そっちをしばらくは愛飲しよー。でなけやUCC。ポッカでもいいや。

 下請けの制作会社から原作も持ち出資もして版権でビジネスを出来る会社へと進化を遂げつつ制作のノウハウも溜め込みより効率的にアニメーションを作れるよーな体制を整えることで利益を稼ぎ出せる体質を作り上げたプロダクションIGが次にステップアップとして狙ったのが海外との連携で、高品質な作品を作れる能力を買われて世界で通用する作品をいっしょに作りましょうよ、原作権もそっちに差し上げますよと言われることでさらなる積み上げを狙っているのが昨今の状況。ここしばらくはそんな体制の中で次につながる映画を3本にテレビシリーズを5本くらいだっけ、展開しているって今日開かれたアナリスト向け説明会で話してくれてまあ納得。でも更なるステップアップとして持ち出してこられたのが大手玩具メーカーとの共同企画によるよりいっそうの版権ビジネスの拡大と、それから大手テレビ局とも組んだ作品の一般化ってところにはちょっと引っかかった。

 これまでの部分はとにかく高いクオリティの作品を作り続ければ何とかなったことだけど、玩具メーカーと組んで行うメディアミックスってのはハイエンドな作品を作りDVDにして売るのとは訳が違う。アニメの品質がいくらよくたって、でもって組む玩具メーカーにいくらノウハウがあったって、ヒットさせられるかどーかとなるとまるで水ものだったりするのがこの世界。あのバンダイが総力を上げて取り組んだって、またタカラトミーがいくら頑張ったってヒットもしないで消えていく玩具とアニメの過去に累々と積み重なっている歴史を鑑みるに、プロダクションIGがたとえバンダイなりタカラトミーなりセガトイズなりコナミデジタルエンタテインメントと組んだところで、どこまで一般化させられるかとなるとまるで分からない。作品次第とも言えないし玩具次第とも言えない。連載するコミック誌での扱いもあれば子供達の間に広まっているマインドの差も関わってくる。

 そんな構想を次のステップとして掲げ、より大きくなることを果たしてプロダクションIGが目指すべきなのかってゆーとうーん、アニメファン的にはあんまり諸手を挙げて賛成はできないけれどそこは株式を公開して常なる成長と配当を約束しなければなくなった企業の宿命って奴なんだろー。すでに飽和状態にあるハイエンドなアニメの市場で確固とした地歩を固めつつ歴史に残る作品を作り出すよう頑張るだけではもうダメで、テレビ局を納得させるだけのスポンサーを持ってこれる作品を企画し、玩具メーカーが喜ぶ玩具が登場するよーな内容を盛り込んでいかなくっちゃいけないんだろー。そんな中からも「機動戦士ガンダム」だったり「美少女戦士セーラームーン」のよーな化け物だって出てこないとも限らないんだけど、東映アニメーションは半世紀の歴史を刻みサンライズだって葛藤と逡巡の歴史がある。そこに果たしてプロダクションIGの名を刻み込めるのか。GONZOとどちらが高みに近づいているのか。興味深々。プロダクションIGが計画している映画3本って何だろー? 情報ってもう回ってる?


【7月17日】 高校野球の影響からか時間帯がズレてアニメーション版「H.H.Kにようこそ!」と「ARIA The NATURAL」が表裏で重なる事態となってどちらをリアルタイムに見ようか考えあぐねる夏の深夜。我が身にとっての相応しさで言うなら当然のよーに「N.H.Kにようこそ!」であって、堆く積まれたガラクタに囲まれながらクーラーの壊れた部屋でぶんぶんと扇風機の回る音に重なる、佐藤達広の上辺を取り繕おうと重ねる嘘の虚しさに、こんなクズ野郎と比べれば自分はまだ真っ当かもとの楽観に喜び、こんな奴でも声をかけてくれる岬ちゃんがいるんだと悲観に泣いて布団の上でごろごろと、悶絶しながらエンディングのオーケンが高らかに訴える赤ちゃん人間に、もはやなるしかないのだと歯がみし天井を見つめて明け方までを過ごすべきなのである。

 なのであるけれども一方で、かくも悲惨な境遇だからこそせめて一瞬の間くらいは遠くアクアの水をたたえた海に心洗われ澄んだ空に心癒されながら、優しさのあふれ出すキャラクターたちのやりとりに、浸り幻想の中に微睡み束の間の夢を貪るべきだって考え方もあったりするから悩ましい。でもって目ざめるとそこは熱気のこもってすえた臭いの漂うワンルーム。貪った夢とのギャップにいっさいの救いを見いだせずひたすらな絶望に苛まれるのであった。となればやっぱり同類の葛藤を見ながら互いに哀れむことのできる「N.H.K」こそが、この荒んだ暮らしにより相応しいアニメってことで。甲子園の予選も終われば30分のインターバルを挟んで続けて見ることになるんだけど、そっちの方が上げられ下げられ揺さぶられて打ちのめされるから余計に大変かも。夏、越せるかなあ。

 んでもって早見裕司さんの「メイド刑事2」(GA文庫)は最大の強敵登場の余韻を残して3へと続くエンディングにまず驚愕。そうか警察庁長官であっても国家にとっては1官僚に過ぎない役職であってその上にいる総理に影の総理といった面々が問題ありと認めれば、排除されることもあり得るんだろーなー。あの草波だって総理の権力に追いつめられた挙げ句に「ワイルド7」を売って表向きには急場をしのぎつつ、獅子心中の虫たらんと足掻いたくらいだし。その結果がどーなったかは読んでないから知らないけれど。でも草波よりは階級で上の警察庁長官がそう易々と葬り去られるんだろーか。そーなるんだとしたら単なる使用人に過ぎないメイド刑事の葵なんて真っ先に血祭りに上げられるんだろーけど果たして。うーん楽しみ。ちなみに弟2巻目は上流階級へと忍び込んで蠢く悪と闘う葵の、慣れないお嬢様修行が世見所。ヤンキーも大変だけどお嬢様も大変だねえ。

 休日だってのに早起きをして「ウルトラマン☆トレイン」に乗りに行く。もちろんお仕事だ。歴としたお仕事だ。お仕事なんだけどでもやっぱりちょっと嬉しい。東急が渋谷駅からみなとみらい線の元町・中華街駅まで走らせる列車の1つをウルトラマンづくしにするって企画なんだけど、その内覧会に最新の「ウルトラマンメビウス」だけでなく」「ウルトラマン」とか「ウルトラセブン」とか「帰ってきたウルトラマン」とか「ウルトラマンエース」といったオールド4も登場。

 なおかつそれらに変身をしたハヤタ隊員の黒部進さんにモロボシ・ダンの森次晃嗣さんに帰ってきたウルトラマンの団時郎さんウルトラマンエースの高峯圭二さんもあわせてやって来るってんだから当時テレビにかじりついて見ていた元子供はたまらない。黒部さんたちは列車に同乗しただけだったけど、ウルトラマンやセブンは列車を練り歩いてくれて、中で子供はメビウスに群がり大人はセブンや撃つトラマンと肩を組んで喜ぶ光景がそこかしこで繰り広げられていた。40年って歴史を持つキャラクターはこれがあるから強いよなあ。

ウルトラマンセブンがいるならウルトラマンQもいて良いかな?  列車は中も外もウルトラマンづくしで歴代のウルトラマンの絵が描かれた車体の中にはいるとそこには映画の中吊りが下がり、森次さんの本の宣伝が下がり、メビウスに変身する五十嵐隼士さんの電車の中では騒がないでねメッセージが張り付けられているといった寸法。さらにはウルトラマンに関する124問のクイズも出題されてて先頭車両から最後尾までを歩いて順に解いていったら渋谷から中華街へと行ってまた戻って渋谷に来てしまいそー。旧いのは何となく分かるんだけど平成ウルトラマンのシリーズに関する質問はきっと分からないよなあ。

 しかし不思議だったのは歴代ウルトラマンの肖像にあった「ウルトラマンセブン」の名前。その後の「帰ってきたウルトラマン」がウルトラマンジャックなのは分からないでもないけれど、セブンが「ウルトラマンセブン」だなんて初めて知ったお。それとも公式ではすでにこーゆー風になっているの? やっぱり顔立ちが違って名前が違うと兄弟じゃないって虐められるからせめて名前は一緒にしてあげたの? うーん分からない。特撮の専門家の人の解説プリーズ。

 先に事故死したと思われていた実の娘も手に掛けていたことが明るみに出た秋田県の女性による近所の男の子殺しの事件は、だったらどうして事故死として処理されかけていた娘の死の真相を確かめて欲しいと警察なんかに訴えたのかが謎で、近所の男の子まで手にかけてしまった理由が浮かばない。あるいは娘と近所の男の子が恋仲になっていたのを見て密かに男の子に恋慕していた母親が嫉妬し娘を殺し、その罪を可愛さ余って憎さに傾いた男の子へとなすりつけようとしたものの警察は事故死と判定してしまい果たせず。ならばと思い立って訴えたもののああ見えて聡明だったコナン大好きな男の子が先に真相へとたどり着き、母親の罪を暴こうとしたものの近所に「眠りの小五郎」がおらず使えず仕方無しに自分自身で乗り込んでは、幼少の身の哀しさか大人の体力に適わず返り討ちにあってしまった、なんてそんなことは流石にないよなあ。うーん、分からない。ミステリーの得意な人の想像プリーズ。


【7月16日】 えっとアリア社長って何歳なんすか。天野こづえさんの「ARIA」も弟9巻となってアニメーション「ARIA The NATURAL」の放映されたばかりの晃の兄貴っぷりを示すエピソードも入ってて、ここまで原作を食べ尽くしているとそのうちオリジナルばっかりになってしまいそーな心配を抱きつつ、それでもオリジナルであった屋根のある橋を抜けて昔のアクアへと行くエピソードの面白さにそれもあって楽しいかなって期待もない交ぜになりつつ、アリスの制服姿からチラ見えるニーソックスの可愛らしさにニマつきつつたどり着いた「アクアマリン」ってエピソードに仰天。アリア社長っていつから生きているんすか。

 それはまだアリアカンパニーが出来る前の事。姫屋のエースとして日に6件ものお客をとっていた秋乃さんの前に現れた猫1匹。晴れた日も雨の時も広がる海をみながらのぼーんとしているその猫が気になって仕方ない秋乃さんは充実はしていても過ぎていくばかりの毎日から抜けだして、姫屋を独立し猫を社長に迎えてアクア歴の2281年に新しいウンディーネの会社を創設する。それがアリアカンパニー。以来えっとどれくらい? 秋乃さんのお弟子さんが会社の前に差しておく彩色パリーナを立ててそれが波に洗われ朽ち果てるくらいの時が流れ去り、アリシアさんが入り育って2301年に灯里を迎えてからも結構な時間が経っていても、アリア社長はアリア社長のまんまでアリアカンパニーの中をごろごろと歩いていたりする。火星猫って長い息なんすねえ。

 いやいや幾ら何でもそれは。でも火星猫だしなあ。まああれでネオベネツィアの裏側とも通じてて、ケットシーなりカサノヴァなりとも繋がっていたりするアリア社長のことだから、リニアに流れる時空なんてものは超越してすべての時間に偏在する存在となっていたりするのかも。猫ってのはそーゆーもんだって何かで読んだことあるし。何で読んだっけ? しかし何だ、確かアクアの1年ってのはマンホーム(=地球)の2年に当たるってことでそんな所で「14年」もトップを張り続けた秋乃さんは、いったいどれだけの歳になるんだって話になるけど登場する絵では皺ひとつない美しさ。マンホームの時間をそのまま当てはめたって16歳なんてとんでもない歳でトップに経って14年経ち大晦日前の大台に来てなおその美しさになる訳で、実はアリア社長なんかよりもよっぽど妖精じみているのかも。

 家にいても灼熱の気温に気絶するだけなんで出てビッグサイトで今日が閉幕となる「東京おもちゃショー」の一般公開を見物に行く。途中で原稿なんかを読んで読んで読んでうーむ。しばらく募集要項に「学園異能バトル禁止」の項目でも入れておいた方がいいんじゃないかと小一時間。それでもなおかつ描きたいならそれを描く必然って奴を物語に入れておかないと、いくらキャラに特徴があったって文章が素晴らしくたって損だぜまったく。かといって変形が過ぎても今度は読み手が付いてこれない可能性もあるしなあ。難しい。そんな中でも学園で異能力者がバトルする話でも、内在する主題に深いものがたまに混じっていたりするから侮れない。だから読むしかないんだけどうーん、うーん、うーん。

 いっぱいの子供に溢れた会場に「東京おもちゃショー」を一般にも公開し直したことの倫理的な正しさって奴を再確認。そもそもがどーしてトレードショーと一般公開を分けた上に一般公開分を取りやめトレードショーだけにしたのかが分からない。記憶だと最後の一般公開は確か横浜の「パシフィコ横浜」で行われた奴で横浜市なんかがバックに入ってて当時からノーネクタイを励行していた中田宏市長だ壇上で挨拶したって記憶がある。けどその後が続かず横浜での定期開催も行われずかといって元のよーにビッグサイトにも戻らないまま幾年月。きっとどこかで何か妙な思惑が働き、それが外れて棚上げとなり店晒しにされてしまったんだろーなーと類推。トレードショーだって各社が個別にやったり東日本見本市なんかが開かれていて、意味がないって話にもなってたし。

 けどでもだからといって引っ込んでばかりじゃあ少子化で進む玩具離れがなおいっそう加速化されてしまうばかり。ゲームショウとか次世代ワールドホビーフェアのよーなイベントもあるにはあるけれど、ゲームショウはゲームが中心だし次世代ワールドホビーフェアには「コロコロコミック」で喧伝されてる玩具は出ても「コミックボンボン」と組んでる玩具が出にくいし、乳幼児が楽しむ積み木や乗り物といった玩具なんて絶対に出ない。キャラクターになってないそんな玩具が「コロコロコミック」とメディアミックス展開なんてされるはずがないし。

 けど1歳2歳の子供にキャラクターなんて関係ない。どれだけ楽しいか。どれだけ興味深いかってことで、そんな玩具に出会える場所としてかつて存在した町の玩具屋さんが消え、デパートの玩具売り場も縮小傾向にある時に、「東京おもちゃショー」のよーな場が絶対に必要だった。そりゃあやっぱり「ウルトラマン」とか「ボウケンジャー」には人気が集まっているし「ムシキング」「ラブandベリー」にも行列が出来ていたけれど、もっと小さい子供がマスダヤなんかが作ってる、ただ歩くだけの縫いぐるみなんかに群がり持ち上げ喜んでいたりする様を見るにつけ、あるいは着せ替え人形を触り積み木を崩して遊んでいる姿を見るに着け、単純だけど楽しい玩具ってものにはまだまだ需要があるんだってことを強く感じさせられる。

 そんな子供たちの姿にきっと、作り手である玩具メーカーの偉い人なり社員ももっと面白いものを作らなきゃ、でもって喜んでもらわなきゃって思い抱いて心に活を入れるんだろー。送り手も受け手もそんな玩具えの”愛”って奴を確認を出来る場として、やっぱり「東京おもちゃショー」はこれからも一般公開を続けて欲しいし東京だけじゃなくって地方でも、類似するイベントを開いて行って欲しいもの。キャラクター玩具ばかりが群れ集う「次世代ワールドホビーフェア」では感じられない、玩具の原点って奴に触れられるから。それにしても小学生の低学年に見える女の子が「ピンキーストリート」を一所懸命組み立てている様にはお兄さんちょっと驚いた。そーゆー層向けだったのか? あれってば。


【7月15日】 まだいい具合の妙ちきりんさ加減が続いているなあ「おとぎ銃士赤ずきん」は、口の減らない白雪姫にやりこめられる赤ずきんの格好が赤ずきんじゃないことにまず仰天。そっかあの衣装はちゃんと脱げるんだ。そりゃ脱げるだろーさ、風呂だって入るし。けど脱ぐとそのままショートパンツにキャミソールって室内着になってしまうのはいかがなものかと。ほとんど下着の上に防具とかつけ帽子を被って歩いていたのか彼女は繁華街も学校も。ずっきゅーんとかじゅーうしーとか叫んでタンバリンを叩きながら。見た人は眼福。だから幽霊だって噂されても見に集まったのか。

 そんな学校に現れたのはルリルリ、ではなくツインにテールを付きだした美少女でこれがてっきりいばら姫だと思ったら赤ずきんとは面識がないらしー。ってことはいった誰? それは来週のお楽しみ、って予告で明らかにされてるじゃんグレーテル。そのうち巨大な銃器を手にしてバーで姉様兄様とかいーながら暴れ回るんだ。それにしても案外に頭良いなあ主人公の少年は。赤ずきんたちとの接触から次に現れたグレーテルをもしかしたら三銃士の1人か? って考えつくし、そーじゃないと分かってからグレーテルが赤ずきんを三銃士と言った不思議さにちゃんと気が付くし。

 志村そこ的な分かって当然のことを分からないふりをするよーな演出を取らないお約束でも出来ているっだろーか。まあお約束が過ぎると逆にあざとさも募るんで、こーゆー先読みをしながら見る側のストレスを軽くしてくれるのにはちょっと評価。一方に家では白雪姫が手にメジャーを持って細かくお家を計測中。上へと伸ばしたメジャーをジャッと引き戻す仕草が妙に所帯じみてて白雪らしくなくってちょっと好き。けど不思議なメジャーで戻すだけじゃなくって自動でヒュルルルッと引き出せる。流石は三銃士の使う道具だ。きっとそのうちコナミから売り出されることだろー。それにしてもいつ出てくるんだいばら姫。どんな出方をするかに注目。

この可愛さにほだされ騙されグランパスはファンが良からずチームは強まらず  外に出たらまるで近所で溶鉱炉でも燃えているよーな暑さと湿度に押しつぶされそーになりながら、京成でもって成田までまず行きそこで暑さのプレッシャーの中を泳ぐよーにJRの成田駅まで行って乗換鹿島神宮から鹿島サッカースタジアム駅へと向かいJリーグのオールスターって奴を初めて見に行く。実は鹿島スタジアムもこれが初の来訪。鹿島臨海線を走る列車の少なさを考えなければ駅から歩いてフクダ電子アリーナよりも、味の素スタジアムよりも近い便利さが素晴らしい。でも地元の人は車で行くんだ。周囲に何にもないもんなあ。

 入ったスタンドからピッチの近さもなかなかのもの。埼玉スタジアム2002も専用スタジアムで近いけど、鹿島の方がさらに近くて見やすいし、2階席も埼玉みたいに天空へと突き抜けてなくってそれなりな高さからピッチを見下ろせる。こんなスタジアムがあればそりゃあ、地元の人は鹿島アントラーズファンになるし、そのアントラーズを全国区へと押し上げたジーコを神様を仰ぎ従うのも当然か。今なお神も同然と非難もしないで選手の至らなさをなじる度合いが全国平均より高そうだもんなー、鹿島。

 3時間も早く付いてしまったんで屋台でソーセージを食い焼きそばをくいもつ煮込みを喰って時間を潰す。この食の充実ぶりも関東で1、2を争うなあ、味の素スタジアムは貧弱な上に高いし埼玉スタジアム2002もほとんどないし。ソーセージ盛りに玉こんにゃくがあって牛丼にホットドッグにカレーと充実して来たフクダ電子アリーナと良い勝負? まだまだ量では鹿島の方が上か。来る人数も違い過ぎるから仕方がないか。それからオールスター恒例の各チームマスコットによるアトラクションも見物。初めてみたグランパスくんはとってもとーっても可愛かった。と同時に役立たずだった。

 ボール運び競争はフライパンにボールを載せられず運べず走れない。東西に分かれたPK戦でも1番ゆっくりとしたボールを蹴っては止められ崩れ落ちていた。その崩れ落ちっぷりがまた可愛いんだ。この可愛さがあればこそ、長い間リーグ優勝を出来ずカップ戦の優勝からも遠ざかっている名古屋グランパスエイトのサポーターが暴動も起こさず逃げもしないで、グランパスの試合へと通い生のグランパスくん一家を見ては心癒され負け試合にも心燃やさないまま家路へと付くんだろー。良いマスコットを持ったよグランパス。これがどこか憎々しげなカラスコとかだったらとっくに瑞穂、地上から消えてるて。

 そして始まった試合は何と中澤佑二選手がフリーキックを決めて得点するとゆー椿事。でも壁の間を抜けてキーパーから遠ざかっていくボールを蹴った中澤選手を素直に褒めるしかないシュートでした。牛1頭も当然か。巻誠一郎選手は後半から登場で最前線からのチェイスもすれば中央で受けて左右にわたすポストの役割もしっかりとこなして後半の流れを決定づけた印象。小林大吾選手からの放り込みを中央からファーへと走り下がりなあがらヘディングをしてゴールに突き刺す巧さも見せて、来ていたオシム次期代表監督にもきっと強烈な印象を植え付けたことだろー。ってそんなの3年半もずっと見てきて知ってるってオシムなら。だとすると今日の試合でオシム監督、誰のどんなプレーに注目したんだろー。小林大吾選手の走りとクロスか。宮本恒靖選手の中澤選手にぶち抜かれたり巻選手にバレー選手と次々に得点を決められてしまったディフェンスぶりか。トリニダード・トバゴ戦に向けたメンバー選考が楽しみだなあ。久保竜彦選手はどんな印象を与えたかな。


【7月14日】 明けて新聞各紙は軒並み芥川賞を受賞した伊藤たかみさんを取り上げていて、それも既に直木賞を受賞している角田光代さんとの関係に絡んだ記事ばかり。文芸記者と言えでも作品そのものの時代性や内容について評価を下し、受賞の是非を問うなんてことはせずにどこか下世話なワイドショー的な好奇心でしか、作家を見ない時代になっているのには暗澹とさせられる。

 けどでも極端な若さもなければ作品の内容の突飛さもない人を、取り上げ紹介するにはいかな芥川賞作家と言えどもそーした身辺の話を加えなければ、読者の興味もデスクの関心も持ってもらえない時代になっているのかも。もっとも東京會舘で開かれた受賞会見の時にも、散々っぱら角田さんとの関係を聞かれて「ライバル心はありますか」って煽られても、「まったくありません」と即答していてその言葉に不快さを示す感情は聞き取れなかった。案外に当人もそーした身辺の話は話として認識して、だからどうしたって感じに受け流しているのかもしれないなー。

 ただし作品の構成とかキャラクターの設定とか、作品で語ろうとしていることについてはしっかりと、ロジカルに答えていたところを見ると創作する上での芯が自分の中にしっかりと持っているもよう。たとえ周囲に雑音が響こうとも、こと作品作りに関しては流されず影響を受けずにやって行くんだろー。そーでなければ作家なんて出来ないか。

 それにしても不思議だったのが朝日新聞。読売に東京に産経が当然のよーに格式が上っぽくってなおかつ角田さんとの関わりを書いて記事を盛り上げられる伊藤たかみさんを「人」の欄にフィーチャーしていて、あと児童文学に結構入れ込んでいる毎日新聞が森絵都さんを「人」欄で大きく紹介した中で1紙朝日新聞だけが三浦しをんさんを「人」」欄で大きく掲載。権威大好きな雰囲気から絶対に伊藤さんに行くと思っていただけにいった何があったんだって内情を誰かに聞いてみたくなったけど知り合いなんていないし。うーん謎。

 まあ最新刊の「三四郎はそれから門を出た」が朝日新聞紙上で連載されてた書評をまとめた本だし、今週発売の「週刊朝日」にもエッセイを確か書いていた。距離で言うなら芥川賞候補はすべて「文学界」掲載の伊藤さんおり児童文学出の森さんより、三浦さんの方が近いってことで学芸部に知人もリスペクトしている人も多かったのかもしれないなあ。それでもデビューを手助けしたボイルドエッグズに関する紹介はなし。作家エージェント付きなんて直木賞作家付きよりトピック的には絶対に面白いのになあ。何で紹介しないんだろ? 所属作家では万城目学さんの「鴨川ホルモー」が「本の雑誌」の06年上半期のベスト3に入ったし、「NHKにようこそ!」もアニメが絶賛放映中と話題も数珠繋ぎなのに。

 仕方がないんで自分で記事にして新聞に出すことにしたけど売れてないんで売ってないんでどこにも誰にも読まれず気にされないまま埋もれていくんだ。どこぞの元新聞記者がネットニュースの投稿サイトに「27才1200万円! 国民の働く意欲削ぐ講談社の異常賃金」なんて記事を寄せてその高賃金体質を非難しまくっているけれど、そんな当人が「私が新聞記者をやっていた27歳の頃、年収は750万円程度だった」なんて書いていやがるからやるせない。冗談じゃない。すでに不惑を回った当方の年収なんてこれより何割も少ないぜ。

 いちおうは新聞社。でもってそれなりに名の知れたメディアコングロマリットに所属していてもそんなもの。世の企業には更に少ない所だってザラなのに、そびえる頂上を8合目あたりから仰ぎ見て、酷いじゃないか搾取されてるじゃないかって言われたって裾野に広がるバラックから雲のたなびく5合目辺りを仰ぎ見ている身にはまるで説得力がありません。

 ってか出版社の再販に守られた体制を高収益の理由と指弾するけれど、新聞社だって再販に維持されてる点では同様。大手紙なんかが我が身の特殊性を省みないで庶民になり澄まし、社会への怒りを普遍のものとして煽るやり口が胡散臭がられてメディアへの不信を読んでいるとゆーのに、そんなメディアへのカウンターとして登場して来たネットメディアで、同じ間違いを冒してるのは何とゆーか不思議とゆーか。染みついたメディアの傲岸不遜はもはや直らない物と考えるのが妥当なのかなあ。いずれにしても傲岸不遜になりよーのない身の哀しさよ。一念発起して直木賞を取るか。

 本屋で「ハチミツとクローバー」の9巻を購入して読んでズドーンと暗くなる。何だこの不幸の連鎖球菌は。誰よりも才能があって誰よりも輝いていたはぐちゃんに襲いかかる理不尽極まりない不幸。ここでこーしなきゃいけない理由ってんのが才能故に近づけなかった関係を接近させるためのものだとしたら何とも悲しい。アートなり何なりって目標があってそれに近づこうを歩んだ結果育まれた才能が、たとえ事故によって失われかけたとしてもそれは一端のリセットであって、そこから再び目標へと歩み始める姿を見せてくれることが、同じよーに歩き続けようともがく人たちに夢を与える。やりたいことを放り出して別の安住に身を投じられるのは実に悲しい。

 まあ連載の方でちゃんとした方向が描かれている可能性もあるだけに、それを確かめてから作者の言いたいことを汲み取りこれが僕にとってどんな意味を持つ作品なのかを判断することにしよー。少なくとも真剣に真っ直ぐに里香さんを追いかけスペインへと飛びむくつけき野郎を相手に一歩も引かない真山の猪突猛進ぶりは見習いたい。そこまで入れ込む相手が現時点では皆無なのが難点だけど。敢えてあげれば時東ぁみさん? いやあ僕以上に入れ込んでいる人の多々いる状況だけに烏滸がましい。せいぜいがコンサートへと出向きその躍動を遠目に愛でるに留めます。真山おまえ羨ましいぞ。


【7月13日】 扇風機とか回すもんだからブンブンって音が出て遠くにあるステレオからの音が聞こえづらくなっているんでここは、ワイヤレスのヘッドホンでも導入してて遠目にモニターを見ながらも耳元で音を聞ける環境を構築しよーと、近所の「さくらや」でオーディオテクニカのサラウンド付きワイヤレスヘッドホンを買いアンプからラインを引いて赤外線を発する装置へと繋げ、やや離れた場所にあるベッドに寝転がってHDD・DVDレコーダーでCDを再生して聴こうとしたら音が途切れるノイズが入ると今ひとつ。これはCDに傷でもあるのかと他のCDに入れ替え聴いてもやっぱりノイズが出たり音が切れる。

 調べたら何でも間に障害物があったりするとうまくヘッドホンに音が行かないとか。ただの6畳間なら間に障害物なんて入るはずもないんだけど残念にも不幸にも、我が部屋は天井近くまで本が堆く積み上がり、その隙間にどーにかベッドが置かれて1にが1人寝られるって状況になっていてそこから両脇の摩天楼をながめつつ、かろうじてのぞくテレビのモニターを眺めていたりする訳で、まるでXウィングが「デススター」への攻撃を行う時に飛んでいった溝みたいな場所ではいくらヘッドホンをした所で、トランスミッターからうまく赤外線が届かず音切れにノイズが発生してしまうらしー。ああ残念。かといってトランスミッターを寝ている場所まで引っ張るくらいなら、ヘッドホンの延長コードを繋げた方が早いしなあ。部屋やっぱり代わろうかな。それより荷物を実家に送りつける方が先決か。

そっくりそのまま猿、だけど何に使う?  ドロドロとした熱い空気の中を汗みずくになりながら目ざめてそれから「東京ビッグサイト」で始まる「東京おもちゃショー」へとゴー。まずは手近なバンダイのブースに入って歴代変身ベルトの中に鎮座ましましている大人向け「仮面ライダー変身ベルト」を拝みつつ更に奥へと入り今時なぜか新体操のリボンをくるくると回している女の子たちを見物。そーいや昔タカラだったっけ、日本体育協会だか何かと連携してそーいったスポーツを元にした遊びを提案するって発表を、代々木にある岸記念会館で見た記憶があったっけ。けどあんまり流行らなかったなあ。バンダイのは果たしてどーなるか。いろいろやって当たれば儲けってのが業界の常だから別に良いのか。ダメなら次はボールか棍棒か。

 アフロな人形を逆さにひっくり返してはブレイクダンスの時みたく、手足を左右に広げて回転させて、同じよーに回転する人形と闘わせる玩具がなかなかにツボ。つまるところは「ベイブレード」と同じベーゴマ系の玩具なんだけどそれをアフロ人形にしたって所がアイディアってゆーかギャグってゆーか。けど体を真っ直ぐにすれば早く回転し、手足を左右に出せば遅くなる一方で早くても相手に触れられず、遅くても相手を攻撃できるって部分がなかなかに奥深い。ボボーボボボーボボとか何とかってアフロなキャラクターも人気になる昨今だけに、子供にはこんな分かりやすい特徴の方が受けるのかも。しかしどこから生まれた発想なんだろ? アフロでブレイクダンスって。

 会場を2階へと移ってタカラトミーのブースを散策、いきなりチンパンジーに挨拶される。何だこりゃ? よく出来てるなあと近寄るとこっちを向いて歯をむき出した。よくよく見ると鼻にセンサーが埋め込んであって、それに向かってあれこれすると首が動き口もとがゆるんだり開いたりしつつ瞼が動き、目が左右に動いていろんな表情を作り出す。いやあ凄い。これで3万円弱。全身ではなく首だけなんだけど買ってスーツを着せて受付においておくと来社した人に大受けするかも。受けすぎて取引停止になる可能性の方が百倍くらい高いけど。しかし本当、誰が何に使うんだろ?

 そのままコナミの方を見物。美少女とメカって講談社あたりから出ていた大ヒットムックが大喜びしそーな企画がいよいよ具体化して来てなかなかの迫力。その名も「武装神姫」は美少女の素体にパワードスーツっぽくメカを取り付けたフィギュアをメーンとした企画で、篠房六郎さんとかカサハラテツローさんって人たちがデザインに参画していて丸っこい美少女タイプもあれば兜を被った和風の武装の美女もいたりとてんでバラバラなんだけど、それをあの浅井真紀さんが原型を担当してまとめあげてひとつの世界観を作り上げている。もちろん可動タイプで手足を動かしポーズを取らせて飾り触って楽しめそう。

 なおかつ「武装神姫」には秘密があってそれぞれのフィギュアに付いてるシリアルナンバーだかをネットにいれると、持ってるフィギュアがベースになったキャラクターを操縦して対戦なんかをネットゲームとして楽しめる、らしい。ネットの中でアイテムを購入して武装を強化していくことも可能。自分だけのキャラクターを作り上げてはネットの中で闘わせるって、あの「プラレス三四郎」の世界が今まさに現実のものとなって現れよーとしている。発売が待ち遠しいなあ。後はネットで購入したアイテムと同じものが、造形物となって届いて自分のお姫様に組み付けられたら最高なんだけど。

 そんなこんなでお台場から池袋の「ナムコナンジャタウン」10周年記念リニューアルも見物しつつ戻り、直木賞と芥川賞の発表を待つ。「まほろ駅前多田便利軒」」で三浦しをんさんがノミネートされててめった斬りな下馬評ではあんまりパッとしてなかったから今回はパスかなあ、って思ってもいたけれど、午後の7時半頃になってあちらこちらで鉄板だった森絵都さんと一緒に三浦さんも受賞との方。これはと思いボイルドエッグズの村上達朗さんに連絡したら当人たちも受賞は思わぬことだったらしく、すっぴんで待っててそのままでは受賞式に出られないんで、これから化粧をして行くって話を聞いく。なるほど当人たちにも思わぬ受賞だったってことなのか。まだ2回目のノミネートだし。やおいだし。

 けど会見で出た井上ひさしさんの選評によると、「まほろ駅前多田便利軒」は完成された小説だったとか。僕自身も読んでここまで完璧に仕上げたら逆にできすぎじゃないかって思ったくらいだったけど、プロ中のプロの作家がそー褒めるくらいに凄い小説だったんだと分かって改めて、かくも完璧な作品を仕上げてみせた三浦さんの才能に恐れ入る。村上さんの話だと北方謙三さんも絶賛していたとかいないとか。果たしてどんな選評が出るのか、明日の新聞とか選評が載る「オール読物」を心待ちにしよー。

 んでもって始まった会見ではまず挨拶があって、「今まで賞を頂いたことがんく、どうしていいのか分からない」って言葉があってそれから「支えてくださった編集者の皆様のお陰。本当にありあがたく嬉しく思っています。これからも精進します」と感謝する。それからテーマ的な部分についての言及があって、「血の繋がった家族ではない、自分で選択できる人と人とのつながりを、大切にしていくことが必要だと自分では思っている。そいういう所を読みとって頂けたら嬉しい」と語る三浦さん。同感。便利屋っていう金で繋がる仕事を選んだ主人公だったけど、飛び込んで来た行天の行動力と人なつっこさに引っ張られる形で様々な関わり合いを持つうちに、暖かくも素晴らしい繋がりが出来ていく話はまさしく、人と人との関わりを描いた話だって思った。

 「今はまだ賞を頂いた実感がない。褒めて頂ければ戴くほど、嘘なんじゃないかと思ってしまう」とも。賞を取った以上はもはや褒められてもそれを嘘と思うことはないんだろーけど、だからといってそこに安住する気はなさそー。「普通という定義は難しいけれど、普通だと思われているものが人を不自由にすることがある。そういう理不尽とかを、もっと自由になるためにはどうしたら良いんだろうかといったことを、物語に昇華し表現できればと思っている」って言葉から類推すると、形式としての完璧さ以上に深くて奥のある物語をきっと、これから描いていってくれそーで期待も深まる。

森絵都さんは順当だけど三浦しをんさんは行天、じゃなくって仰天だったよ直木賞  好きな書き手は誰かって質問が出てさて、どー答えるかとデビュー当時からその活動をおいかけ、漫画好きボーイズラブ好きな嗜好をそこに込めるかそれとも場が場なんで引っ込めるかと興味深く見ていたけれど、そこは「普通」に縛られたくない人だけあって「好きなのは『BUCK−TICK』ってちゃんと答えてくれて内心で喝采。ただし集まっていた文芸記者のどれだけが分かったのかがちょっと気になります。あと「少女マンガとか、今だとボーイズラブ漫画やボーイズラブの小説が好き。これからの社会を生きていく上で、非常に重要なテーマが込められているジャンルだと思います」とまで言った三浦さんに、世のBL関係出版社も大喜びしたことだろー。早くからそーした嗜好を汲み取りインタビューとかして来た「活字倶楽部」は勝利者だ。

 でもきっと新聞とかではその辺りを一切オミットして「好きな作家は中井英夫」って書くんだろーなー、分かりやすいし。「『まほろ駅前多田便利軒』は漫画的に描かれているけれど、奥には中井英夫的なものがあるのでは」って聴いてた記者もいたし。そんなはずねー、あれはボーイズラブしか入ってねーと呟きたくなったけど、半分くらいは部外者なんで黙ってやり過ごす。ボイルドエッグズってゆー作家エージェントをデビュー時からつけて活動して来た特殊性について質問した所はなし。あんまり知られていないことなのか?

 デビューのきっかけが早川書房の試験を受けて出した作文が良かったけれど落ちてしまって、けれども作文に目をかけた村上さんが独立にあたって声を掛けてエッセイや小説を書かせてここまで来たって話しも勿論なし。とっても珍しくってトピック的な話だと思うんだけど、そーゆーどこか功利的でシステム的なものの参入を、旧態依然として滅私奉公の尊ばれる、文芸の世界はまだ認めていないってことなのかな。けど何ってったって直木賞。自分のところは山ほどのベストセラーを出しているって主張しメディアに出まくっているエージェント、と自薦する持ち込み原稿刊行業の人もこれには沈黙せざるを得ないかな。直木賞作家を、それも20歳代の直木賞作家を送り出した作家エージェントなんて世界にないからね。いやあ凄い。

 ともあれこれで一息ついたボイルドエッグズの次の目標は、滝本竜彦さんに新作の小説を早く書かせること、かなあ、やっぱり。あとは「ボイルドエッグズ新人賞」から出てきた人たちのなかなか出ない次作って奴を出すことか。まあ三浦さんの受賞でボイルドエッグズへの注目も高まる中で、そこにいる人たちへの注目も高まっていくのは道理。適切ではないけれど「あの直木賞作家を輩出した作家エージェントが抱える金の卵たち」とかって煽りでもって、あちらこちらから売りだそうって動きがきっと始まる。絶対に始まる。そこで果たしてどこまで作家を守り、クオリティを維持していけるのか。三浦さんの受賞はお目出度いことだけれど、同時にボイルドエッグズにもひとつの岐路になりそー。まあそれは今後の課題として、今は素直にストレートにおめでとう御座います三浦しをんさん、そして村上達朗さんと、喜びの言葉を贈ります。


【7月12日】 水道橋へと「トップをねらえ2」の最終話を見に行った途中で立ち寄った「ラクーア」の中にある「ビレッジヴァンガード」で突然鳴り響き始めた曲のテンポの良さにこいつは何だと耳そばだて、小西康晴さんめいたビートとピコポコってサウンドにそっち系かと並べてあるCDを探ったものの判明せず。ただ耳に残った「テレパシー」と「テレポテーション」って言葉から探して後日、これが「capsule」ってユニットの「Lounge Designers Killer」って去年9月に出たアルバムに入ってる、その名もずばりな「テレポーテーション」だと判明してCD屋へと買いに走って聞き込む日々。心躍るなあ。

 「SF3部作」って呼ばれるアルバムの最後にあたる奴らしくって中には「空飛ぶ都市計画」だの「人類の進歩と調和」っていった70年代に描かれた未来のイメージって感じのタイトルに、そんな時代が想像しただろーコンピュータのピコポコとして鳴り響く中を、突き抜けて明るいボーカルが夢のある言葉でもって広がる明日を紡ぐ楽曲が収められてて気分をすかっと明るく愉快にしてくれる。冷房がきかずゆであがるよーな暑さの部屋でも、扇風機をガン回した上でヘッドホンをして聞けばそこは風吹く摩天楼の屋上で、見上げれば火星へと向かうロケットがぐんぐんと天空へと向かい上昇していく、なんつって。

 すでにキャリアも長く、スタジオジブリなんかともコラボレーションしているユニットらしーんだけどこれまでまるでかすってこなかったのが勿体ないとゆーか。まずはSF3部作から揃えて聴いてみるか。CD屋ではついでに「福耳」の新しいシングル「惑星タイマー」ってのも購入。杏子さんに山崎まさよしさんにスガシカオさんのオフィスオーガスタ所属アーティストが組んだユニットが時々思い出したよーに活動しているのが「福耳」なんだけど、そこにオーガスタきっての売れっ子になったスキマスイッチも加わったのがこの最新シングルで、タイトルになっている「惑星タイマー」もスキマスイッチの作詞作曲によるものだったりする。

 それをスキマの面々がまず唄い、杏子さんのハスキーながらも艶っぽい声が加わりスガシカオさん山崎まさよしさんの独特な声も加わって、実に心地よく耳へと響く曲が出来上がった。あっと元ちとせさんもいるんだった。いやあ凄いメンバー。そのまま並べば何時間だって楽しいステージを見せてくれそー。見たかったなあ、月末のオーガスタキャンプ。DVD化は何時になるんだろー。

 曲はどこまでもスキマ的。暗くはなく切なくもないけれどどこか郷愁を感じさせる曲で星をテーマに2人の愛を唄ってる。何年か前はまだ初代「福耳」を前にしたら小僧も小僧って感じだったスキマスイッチが今やメーンのボーカルを取り楽曲まで提供するよーになった。出世だなあ。こーゆーことってあるんだなあ。いよいよもって「サンボマスター」との差もつけた?

 いやいや相手は隠れて熱烈なファンを全国津々浦々に持つ「サンボマスター」だ、爽やかさでもって暑さを和らげるスキマスイッチやオフィスオーガスタの綿々とは対極に、より激しい暑さをボーカルから、演奏から吹き上げて見ている人たちの熱気を奪い暑さを忘れさせる「サンボマスター」に相応しいこの夏とゆー季節に、きっとあちらこちらのサマーフェスへと出演しては男たちを汗みどろにすることだろー。けどそんな汗くささを横目にスキマスイッチは静かに明るく楽しげな音楽でもって僕たちに涼をもたらしてくれる。スキマスイッチ涼しげサンボマスター暑苦しい、スキマスイッチ高原の夏の夕暮れサンボマスター真夏の埋め立て地の午後3時。どっちが好み? モテたいんだったらやっぱスキマスイッチかな。

 けどしかしやっぱり何より「星のかけらを探しに行こう Again」は良い曲だなあ、でもって杏子さんのボーカルも最高だなあ、「バービーボーイズ」の頃の激しいシャウトも良かったけれどこーやって吐き出すよーに唄う声も心にぎゅっと来る。収録されているのは「オーガスタキャンプ2004」の時のライブ音源らしーけど、これって記憶だとDVD化されてないからどんな雰囲気で誰と絡みながら唄っているのかを確かめることは出来ないのか。

 でもその方がきっと周囲にいる山崎まあよしさんにスガシカオさんといったファンには憧れの男たちを、小僧扱いして従え唄い尻を叩く杏子さんの姿が想像できて何か楽しげ。見てみたいなあ、やっぱり「福耳」が唄うところを。コンサートは残念にも行けそうもないけれど、9月にDVD付きで「福耳」の「THE BEST WORKS」が出るんでそれを買って映像を楽しもう、とくにあらきゆうこさんのドラミング。入ってるかな? つか前に「オーガスタキャンプ2002」のDVDを買った筈なんだけど出て来ないんだよなあ、整理しようかな、身辺を、暇にするために。

 浅草で仕事があって帰りがけに上野の丸井に立ち寄って、メガネ売り場をのぞいて前にプレスリリースを見たアイウェア(=メガネ)の「ウルトラマンシリーズ誕40周年記念コラボレーションモデル ウルトラ怪獣 vs Less than human」を発見。怪獣をイメージしたってあるけどバルタン星人だからといって別にハサミの形はしてないし、ゼットンだからといって弦から火が出るわけでもない。ただ何とはしにバルタンって澄ましてニヒルな雰囲気があったり、ゼットンって感じに凶悪っぽいイメージはあったよーな、でも言われれば分かるって感じでかけている顔を見ても別にゼットンにもエレキングにもバルタン星人にも見えません。

 あー、でもウルトラマンには見えるかな、つーかむしろウルトラセブンか、最近の細身っぷりとそして普通のメガネよりも太めの弦の感じが。顔幅の大きな僕でもかけ心地は悪くなかったんで普通の細身の顔ならかけてなかなか似合いそう。値段もチタンとかのに比べりゃリーズナブル。ここをボーナスでも使おうかって人はかけてみては如何、もれなくフィギュアもついてきます、でもってそれにメガネをかけられます。そーゆー用途なのか?


【7月11日】 「今朝、わたくし目を覚ましますと、枕元に時東ぁみの写真集が広げておいてありました。メガネといっしょに鼻までついてきそうな顔だと思いまして、キクチメガネに電話して倉庫に鼻が落ちていないかと問い合わせをしましたところ、小川真琴とかいう横に膨らみつつあるアイドルが、まとめて買って帰ったからもう遅いと言われました。42歳厄年。オタク系夜光虫。自称出没家のライトノベル評論家でございます」

 「電車で読む時はイラストのカバーを裏返します。開いた隙間から萌え少女の微笑む折り込みチラシが、女子高生の脚の間に落ちて、拾おうとして頭を蹴り飛ばされて三日三晩生死の境を彷徨いました。タニグチリウイチ。42歳厄年。ライター業のかたわら、女子サッカーへと通い、アセロラドリンクの詰め合わせが当たらないかと目を凝らして抽選券をながめております。『メカビ』から相手にされないんです。カラオケにもう8年もいってません。タニグチリウイチ。42歳厄年。『ゲーマーズ』歴10年のデ・ジ・キャラットでございます」

 なんてことを壁に向かってぶつぶつと呟きながら、年に1度のお誕生日を1人でお祝いしつつ録画してあったワールドカップの決勝を眺めて過ごす。頭突き直後のジダンの目つきの何とゆー鋭さよ。こんな相手に向かって試合の間にずっとちょっっかいを出し続けたのかマテラッツィ。なかなか根性があるなあ。まあ普段から周りに猛犬ガットゥーゾがいてザンブロッタがいてブッフォンがいてと迫力の顔相持ちに囲まれていれば、睨みを利かせれば怖いけど普段は温厚そうなジダンくらいなら十分に耐えられるってことなのかも。代表は引退したけどマルディーニだって昔はリーゼントっぽい頭で迫力あったからなあ。日本代表もだからまずは顔から入って相手を威圧するってのは、どう。ジェフユナイテッド市原・千葉からなら佐藤勇人選手が筆頭かな。オシム監督を除けば。

 渋谷方面行きの山手線と京浜東北線のホームで妙にプリプリとしたエビが入ったかき揚げが2枚乗ったソバをかっ込んでから品川駅を出て居並ぶ高層ビルの1角にある、「でっかいガチャピン」とか「赤ザク」とかが居並ぶオフィスで取材してから電車を乗り継ぎ新橋駅まで戻りそこから歩いて帝国ホテルへと向かいあせみずくになりながらもパナマ帽を被った自称ダンディ他称だれやんねこいつ的格好で2階にある部屋へと入りガイナックスが来年にも放映を予定しているアニメの発表会をのぞいたら中央になぜか週末に公開される国民的映画「日本沈没」の大監督がゲストとして座ってた。映画業界の人が見たらいったい何で? 今忙しくないの? って訝るかもしれないけれどそこはそれ、出自を辿ればガイナックスの人ってことで招かれて伺い壇上に並んでいたって不思議はない。

 ないけれどもでもそれを言うなら山と今のアニメ業界特撮業界を支える人たちがいる中でなぜに「日本沈没」の監督だけがってことになるんだろーけど、そこは何でも別の用事で登壇する誰かの所に来たらそのままゲストとして引っ張り出されたとか何とか。本当かどーかは不明ながらもあってなるほどとうなずけるところがこれまた人材のinきゅべーしょんセンター・ガイナックスってことで。だってさあ、あの赤井孝美さんがキャラクターデザインとかじゃなくってプロデュースする側として壇上に並んでいるんだよ、これってちょっと驚きだよ、クリエーターからプロデューサーになる人なんて珍しくないとはいっても。そーゆー時代になったんだなあ、「DAICON3」から25年、みんな立派になっていきます。

 アニメの内容についてはまあそのうちいろんな媒体に出るんだろーから割愛。「天元突破 グレンラガン」って確かタイトルだったっけ、紅蓮に燃える巨大な裸の顔がごろごろごろごろと転がりながら3つ4つ積み重なって巨大化し、彼方より送り込まれた敵を圧殺してくってストーリー……ではないことだけは確からしい。でも巨大な顔はちゃんとしっかり出るらしい。その顔が山賀博之さんに似ているという話もあるらしい。本当だとしたらちょっと見てみたいかも。

 玩具で組むのがコナミってのがやや異例。でっかくやるならタカラなりバンダイって所が常套なんだろーけれど、そこは玩具については今なお振興のコナミを巻き込むことで、お互いに切磋琢磨しながら新しいことが出来るって考えがあるのかも。展示されてあった見本のフィギュアはなかなかな佇まい。これならきっとこだわりのある品物を出して来てくれるかな、期待しつつ来年とかゆー登場の時を見守ろう。しかしいったどんな話だ。ドリルがるんるんだったりするのか。

 またぞろなわばり争いでも始めようって魂胆なのか経済産業省。毎年秋に開かれている「東京国際映画祭」ってのがあるんだけどそれをどーゆー了見からかアニメーションやゲームも含めたコンテンツ祭に変更する画策を始めているとかいないとか。けどでもすでに一昨年に映画祭に合わせて幕張メッセでアニメとか関連商品とかを集めたイベントを開いて効果を上げられなかったじゃん。だから去年は展示会がなくなり秋葉原周辺でもっぱら消費者向けのイベントを開くに留まった。あとは「TIFCOM」だったっけ、コンテンツマーケットの方でアニメの企画も並べて見てもらうってことをやっていたけど、それとてどこまで海外のバイヤーに見てもらえたかは分からない。

 だってほら、日本にはすでに春に東京都なんかが主催する「東京国際アニメフェア」ってのが開かれていて、そっちも最初は客が集まらなくって大変だったけど、頑張って外国にプレゼンなんかにいってよーやくバイヤーがやって来てくれるよーになって来た。そーやって何とか形になって来たところに、またぞろ経済産業省あたりが横やりを入れて、手前らが所管していながらもなかなか客を呼び込めない「東京国際映画祭」をてこ入れしようって了見の何ともまあせせこましいこと。みっともないったりゃありゃしない。

 それでとりあえず「東京国際映画祭」が何とかなったとしても、春の「東京国際アニメフェア」が今度はどーなる? 出展者側の力が春と秋に分散され、来る方もそれだったらカンヌで開かれるテレビ映像の見本市の「MIPCOM」だっけ、そっち1本で全部まかなえばいいやってはるばる日本なんかには来なくなる。挙げ句に春も秋も共倒れ。振興につながるどころか産業を絶滅へと追い込むことになりかねない。映画業界を所管する手前らの面子を立てるためだけの方向転換で、おまけに成果もまるでなしとくりゃ、もはやこいつは政策なんてもんじゃない、犯罪だ。

 ゲームもあるから大丈夫? だってゲームは更に時期の近い秋に「東京ゲームショウ」が開催されるんだぜ。それでまたすぐに「東京国際映画祭」? だいたいが「東京ゲームショウ」自体が米国の「E3」に規模でかなわなくなって、発表される内容もお粗末になって海外から駆けつける意義が薄れてる。それなのに今さら新しい見本市を作ってどーなるの。それとも所管しているゲーム産業を説得して納得してもらって一緒のイベントにしちゃうって訳? あり得ない話じゃないよなあ。

 でもえね、「東京ゲームショウ」ってそもそもが国際映画祭みたいなバイヤーが来て新作タイトルの権利を買い付けるトレードショーなんかじゃない。ユーザーに見てもらい、買ってもらうためのプロモーションイベント。それを映画祭と一緒にしてどんな効果があるって訳? 考えなくたって想像が付くことなんだけど、そんな検討もなしにアニメやゲームなら客が呼べると考え、一緒にしちゃいましょうって所に何のためのイベントか、誰のためのイベントなのかって目的を後回しにした、役所の面子とそれに阿りたい業界トップの思惑だけが透けて見えて気持ち悪い。そういった考察も無しに役所の考えたことだからと記事にするメディアもまた同様に薄気味悪い。

 そもそもがどーして「東京国際映画祭」そのものを根本的にテコ入れしようって発想にならないの? 世界各国で大なり小なりさまざまな映画祭が開かれていて、それなりのポジションを確立している訳でお隣釜山ですら結構なポジションを確立して来ている状況を踏まえて東京なら東京の、役割なりポジションってものを確立させようってことを考えるのがまず先決じゃん。日本映画を世界に売り込む場にしたいのなら弾を集めた上で何があるかを世界に向けてプレゼンし、はるばる遠くの日本にまで行きたくなるよーなサービスを提供すりゃ良いじゃん。

 でもきっとそんな気持ちもそちらに割く予算もないんだろーなー、お国には。関連イベントでそれなりに支持を集めてきた「東京国際ファンタスティック映画祭」ですら支援し維持する考えもない癖に、よそのジャンルへと目を向けてそっちで客を呼び込もうってスタンスを見て、映画業界の人はいったい何を思うかねえ。アニメやゲームや漫画のおまけ扱いかって思って、映画祭に強力しようって気持ちも萎えるだろーね。

 もちろん実際に日本において産業としての規模や一般に与える影響力でアニメやゲームや漫画が大きくなっているのは事実だけど、でも映画が持つ影響力だって捨てたもんじゃない。世界じゃまだまだ映画は文化の大きな柱。地位だってとても高い。なのに日本じゃ見放されたも同然の仕打ち。そんな仕打ちに怒らない映画業界が悪いのか、文化を育てるよりも体面を気にする国が至らないのか。そんな国の思惑に相乗りしてつき合いを増やし利権を確保しよーとするアニメやらゲームやらの業界関係者ってのもきっといるんだろーな。かくして見栄と体面ばかりが先走っては本質が失われ空洞化していく日本の文化の行く末は? 明るいものにはならないなあ、やっぱり。


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