縮刷版2006年11月中旬号


【11月20日】 一方で「超人ロック」はメディアファクトリーからも続々と復刊される模様でまずは「月刊OUT」のたぶん末期を飾った「聖者の涙」が1巻2巻とそろって復刊。ついでおそらくは「OUT」とか、ビブロスで刊行されたのとかが登場して来ることになるんだろー。「少年キング」版は12巻あたりまでが再刊の予定だけどそれ以降はどうなっているのか分からないし、なにより「炎の虎」と「魔女の世紀」を読む上で欠かせない「作画グループ」刊行の「コズミック・ゲーム」が再刊されないってのは正直痛い。あるいはメディアファクトリーからの刊行で入るのかもしれないけれど、そうでないなら是非にどこかで「ニンバスと負の世界」から続くSG版の刊行を願いたいところ。1967年はほら、確かロック誕生から40年って節目でもあるし。

 千代田区富士見方面の仕事が重なり頭をぐりゃぐりゃとこねくりまわしす数日間。とっとと片づければ良いんだけど間際まで追い込まれなければ動けないのはいつの時代のどんな出来事でも常のこと。いよいよもって当座の締め切りとなってようやく形をつけて、これで良いだろうって達成感とこんなもんじゃだめだって不安感がない交ぜになった気持ちに無理矢理折り合いをつけてから、えいやっとメールに張り付けて送信する。こりゃだめだって返事が来るまでが至福の時間で仕事が気になって見られなかった「Fate/stay night」のDVDの最終巻を見たり録画しているけれど1度もまっとうに見たことのない「コードギアス 叛逆のルルーシュ」とやらを第1話から見直そう、って言ってる暇なんてなしにやっぱり千代田区富士見方面のお仕事が山積み。こっちをとにかく頑張ってこなしてからじゃないと「コードギアス」は見られそうもないなあ。面白いって評判なのになあ。

 店頭で見かけたからもう発売になっていたんだろー「このライトノベルがすごい2007」は1位が何と支倉凍砂さんの「狼と香辛料」シリーズで予想GUY。目利きとやらが選ぶ注目の作品ってことで僕とか挙げているんだけど10人いる中ではあといちせさんくらいだから決して大勢ではなく書店なんかの売り上げランキングなんかからも大きく外れている地味なシリーズ。それがどういう訳か協力者とあとホームページからの投票でもってアニメ化によって巨大ブレイクした「涼宮ハルヒ」シリーズも、また完結して人気がさらに盛り上がった「戯言シリーズ」もおさえてトップを張って、書店売り上げなんかが元になった調査が加わってもひっくり返らず1位を守り抜いたみたい。一昨年にまだそれほど知られておらずダークホース的にトップを奪取し、その勢いを引き継いで今年のブレイクを達成した「涼宮ハルヒ」シリーズを彷彿とさせる抜けっぷり。ってことは2年後くらいに来るのか狼娘ブームが。

 派手な戦争もなければドタバタもない地味なストーリーながらもキャラクターは結構特徴があって輪郭を持っている上に、経済がテーマとなった展開はライトノベルの中にあってめちゃくちゃ新鮮だったことは確かで、協力者といわれる人たちが選んでみせたのは何とはなしに分かるけれどホームページから投票する一般の人たちも、こーゆー話を好んでいたのかってところがやや意外。あるいは「わっち」と自分を射して言う見かけは美少女ながらも耳が立っててふかふかな尻尾もある狼の神様のホロが放つむくむくとした可愛さに、打たれ惹かれた人がとてつもなく多かったのかもしれない。猫耳でなくてもケモノ系は愛されるのか、それともホロだけが特別なのか。この人気にあやかろーと登場して来るだろー狸娘や熊娘や洗い熊娘やコヨーテ娘やハイエナ娘といったケモノ娘と金先物取引やら不動産信託やら日経225連動型投資信託やらを結びつけたライトノベルがどこまで受けるかを見て判断しよー。

 少年が女の子に変身してしまうって設定だけで星2つ上乗せは確実なんだけど、都築俊彦さんの「けんぷファー」(MF文庫J)はテンポがよくってリズム感のあるキャラクターの語り口と巧みで読ませる展開が上乗せとなって星6個はつけたいくらいの面白さ。シンプルだけどそれだけにくっきりと浮かび上がるイラストの美少女の可愛さもあわせれば星10個はつけてもつけたりない。鹿島アントラーズより先に10冠の大星誕生か。目ざめて洗面台の前にたつと鏡に映っていたのは極上の美少女。それが自分の動きとあわせて動くってことはつまり自分が女の子になったってこと? 驚く高校生の瀬能ナツルに知り合いからもらったグロテスクなフォルムを持ったハラキリトラって猟奇的な名前の縫いぐるみが喋りかけて来ては「ケンプファー」という存在に選ばれたんで戦うんだと告げられる。

 なんじゃそりゃ、だいたいどーして女の子なんだと聞くと「ケンプファー」になるのは女の子だって相場が決まってて、だから「ケンプファー」に選ばれたナツルは女の子になってしまったんだとゆー分かったんだか分からないんだか不明極まりない理由を言われて頭ぐるぐる。それでも「ケンプファー」でない時は男に戻れたナツルが学校に行こーとすると、妙に柄の悪い口調も下品な少女が現れ「ケンプファー」として闘いを挑んで来た。ちょうど縫いぐるみをくれた学校でも1、2を争う美少女と出会っていたナツルはその場をうまくごまかし下品な口調の「ケンプファー」と一戦交えるも実は見方どうしの「ケンプファー」だと分かってその場は終戦。そして学校へと行き同じ学校に通っていた通学途中に出会った「ケンプファー」といたところに、敵の「ケンプファー」が襲ってきて、かくして戦いの幕が切って降ろされる。

 それが女の子でなくちゃいけないって設定はビジュアル面から言えば当然だけど、どうして「ケンプファー」が戦わなくちゃいけないのかって理由は未だ分からないし、戦って破れた「ケンプファー」がどうなるのかも不明。戦って最終的に勝利をつかんだ果てに得られる何かがあるのかも見えないけれど、そーした興味もさることながらやっぱり関心は女の子になってしまった男の子がドギマギしたり焦ったりするシチュエーションで、学園で1、2を争う美少女から女の子になった時のナツルが好きだと言われてしまう悲劇とか、やっぱり女の子になったナツルを慕う下級生の女の子の登場とか、ハーレムなんだけど百合めいたカラーにあふれた展開が、読んでちょっぴりの興奮を感じさせてくれる。とりあえず進展が見られたなかで帰国して来たナツルの幼なじみの少女が次巻以降どう絡んでくるのか、それから魔法と銃と剣がある「ケンプファー」のナツルと同じ青チームにはまだ魔法と銃しかなく、剣が誰になって対する赤チームの魔法と銃が誰なのかにも興味津々。そのあたりもキャラクターの意外性なんかを混ぜつつ楽しく描いてくれると信じて待とう。いつ頃出るかな続刊。


【11月19日】 きっと今年は1979年に違いない。でもって来年が1980年だ。僕はまだ平針中学校に通ってて、途中にあった本屋の店頭で「少年キング」と「少年サンデー」を毎週貪るように立ち読みして、それから店内に毎月搬入される「SFマガジン」や「SFアドベンチャー」なんかを立ち読みしながら、連載されてる漫画やSFの面白さって奴にだんだんと染め上げられていく最中にあるんだ。でもってそんな立ち読みの中から強く心に響いてきた高橋留美子さんの「うる星やつら」とそれから聖悠紀さんの「超人ロック」の単行本を、少ないお小遣いの中から買って帰って読んでいるんだ。

 でなきゃ鬼ごっこをするラムとあたるが描かれた「うる星やつら」の第1巻と、ロックとアマゾナの死闘が描かれた「超人ロック 炎の虎」が、新刊として買われて今この手元にあるなんて状況が起こるはずがない。さらに言うなら「うる星やつら」の第2巻と「超人ロック 魔女の世紀」も新刊として手元にあったりするんだけど、「うる星やつら」は表紙と中の絵が微妙に違っていたりするし、「超人ロック」は背表紙ん所にカエルのマークが付いてない。つか「超人ロック」の頃ってもうカエルのマークってなくなってたっけ。

 記憶が定かじゃないけどともかく版の形も新書サイズじゃなくなって、聖さん流のビビッドなカラーページもそのまんまで収録されているのは喜ばしいというか何というか。そう思って買うのはきっと79年とか80年に小学校中学校高等学校に通いながら、コンビニなんてない時代に書店で店主の隙を見るように雑誌を立ち読みしては、「ワイルド7」とか「超人ロック」とかとか「男組」とか「男大空」なんかに耽溺して、ウッズマンを撃ちたい八極拳猛虎硬破山を叩き込みたいって願望に心躍らせた世代くらいなんだろーけれど、一方では「超人ロック」は今も現役で連載が続いているし、高橋留美子さんは漫画家としてのトップランナーであり続けているから、その原点を探りたいって若いファンからも案外に受け入れられるのかも。でもってルーミックのファンは何だこの絵はと仰天し、ロックのファンはすげえよほとんど変わってねえよと呆れるんだ。

 えっとスカート短くないか、鷲峰雪緒さん。「BLACK LAGOON」はいよいよ日本編へと突入して兄貴分の組から攻撃を受ける鷲峰組が起死回生を狙ってホテル・モスクワを見方に引き入れたまでは良かったものの、鉄砲玉としてロアナプラからやって来たバラライカが歯止めの利かない狂犬ぶりを発揮して、爆破するは突入するわと大騒ぎするものだからたまらない。いったんは見方にしたもののバラライカを相手に戦う覚悟を決め覚悟する鷲峰組の若頭の話は次週へと回すとして、そんな鷲峰組の家に生まれて今は学校に通いながらも組の未来を案じる娘の雪緒さんと、バラライカの通訳として来日したロックが正月の縁日で邂逅。そして別れる雪緒さんの制服姿のスカート丈が、今時の女子校生っぽくなっていたのはアニメスタッフの観察の賜かそれともスタッフの熱情の現れか。ともあれ期待のエピソード。毎週見逃せません。

 その「BLACK LAGOON」の最新第6巻が登場。表紙はロベルタ。再登場をきっかけにして晴れてご登場と相成ったもののそのエピソードを前に繰り広げられた、偽札づくりのジェーンをめぐるドタバタ編もなかなかのもの。白マスクに包まれた掃除屋の素顔をさらして意外だって言われて頬赤らめるソーヤーがテレビ以上に可愛らしかったし(そーいや日本編へと入ったアニメの冒頭で転がってる死体をチェーンソーで刻んでるソーヤーが登場してた、生きてたんだね良かったね)、止め絵の漫画だからこそ動きの瞬間が切り取られていると分かるシェンホアのアクションが美しくって惚れ直す。惚れたら途端にミンチにされてしまいそーだけど。続くロベルタ・リターンズ編は彼女をメイド長と仰ぐちびっこメイドも登場。したけどやっぱり得体の知れないところがあってメイドの怖さって奴を思い知らされる。そのちびっこ、連載の最新「月刊サンデーGX」じゃあレヴィに訝られていたけど一体何だろー、実は男とか。

 雨ん中を出かけるのも億劫なのと、抱えた仕事がはかどっていないことからフクダ電子アリーナへと女子サッカーの日本代表対オーストラリア代表の試合を見に行くことを諦めて、家で構想を練りつつ漫画に逃避しつつ高橋尚子選手が衰退する力をまざまざと見せつけてくれる様を拝みつつ構想に戻ってはかどらなさに歯がみしつつ、適当な時間になったんで家を出て秋葉原へと向かって「とらのあな」の本店で将吉さんがメイド軍団を引き連れて「秋葉少年」のプロモーションに訪れる様を観察する。雨の中をご苦労さまでした。

 そのついでに「アキバblog」の中の人が取材に訪れ「とらのあな」の人と会話する様を横目で眺め、なるほどすでにアキバの顔役としての風格が備わってきているなあと関心。さらに村上達朗さんから日向まさみちさんの近況を聞いて抱えた仕事への参考にてから「とらのあな」で仕入れた高橋慶太郎さんの「ヨルムガンド(小学館、533円)を読んでバルメたんの恐いくて可愛らしい様に悶えつつ船橋へととって返して、近所の「VELOCHE」でラフな原稿を作ってそして日曜は過ぎ去る。うーんはかどってない。フルタイムでライター仕事が出来てればとっくに仕上げてた原稿なんだろーけれど。どーやったらそっちの仕事を今の3倍くらいにできてサラリマンな暮らしから足を洗えるかなあ。totoビッグ当てるしかないかなあ。またキャリーオーバーかよ。


【11月18日】 今日も今日とて東池袋へと通う日々。っても“乙女ロード”とは一切無縁の「池袋サンシャインシティ」で昨日に引き続いて「たまごっちワールド」の今日は正式オープンを見物する。新製品が先行販売されるとあって午前10時予定の会場を前に300人くらいの行列が出来ててなかなかな賑わい。もちろん小さい女の子たちがいっぱいで目にもとっても滋養になる。最近老眼の気も出ていただけにこいつは有り難い、って可愛い子を見れば直るのか近視乱視遠視。直るんです!

たまごっちのキャラが象られたケーキも登場。ご近所の「ナンジャタウン」でも売ってます  開場と同時に新型たまごっちの所には長蛇の列、ができるかと思ったら最初に並んだ数百人が入ってきて買って混雑も緩和、されたかと思ったけど30分ほどアトラクション会場の方を見てから戻ってきたら再度とんでもない人数の行列ができていた。新型を買う人の他にカードゲームで遊びたい人、シール写真機でツーショットを撮りたい人の数もそれなりにいた模様。新型に関しては数をふんだんにしていたみたいで、初日の午前中で瞬殺されることはなかったみたいだけど、買うまでの時間はそれなりに掛かった訳で、にも関わらず寒くなって来た朝をちゃんと起きてやって来るだけの魅力が未だ、たまごっちにはあるんだっておとを見せつけられた。こればっかりは子供とか周りにいない身には、見て確かめるしかないからなあ。昨日だけじゃなくって今日も言ってとりあえずは良かった。

 アトラクション会場にも入るには相当の時間がかかった模様。その行列を横目に身ながら地下道を抜け乙女ロードを頭上に仰ぎ見ながら東急ハンズ横のエスカレーターを上がり「サンシャイン60通り」の池袋駅寄りまで行き今度は「劇団スタジオライフ」による献血を呼びかけるパフォーマンスを見物。「トーマの心臓」やら「月の子」やら「OZ」といった少女漫画を原作にした耽美な舞台で知られる劇団は役者が全員男で、お嬢様も奥様もメードもお姫様も当然ながら男性が演じるってことからそっち方面が大好きな女子がいっぱいファンについてて、劇団のサイトで情報を聞きつけてこの日も100人くらいが集まっては贔屓の俳優が登場して来るのを待っていた。

 道路を挟んで“乙女ロード”を控えた場所で耽美な世界を繰り広げるってことで、ファン層も重なっていてゴシックロリータに着飾った方々ファンシーな小物を持った方々で埋め尽くされるのかと思ったけれど、そーした特徴的な出で立ちの人はおらず割に楚々としておとなしめなおねえさまお嬢様といった感じ。騒ぐより遠巻きにして見つめ「ポッ」とするのを良しとする、まさしく“乙女”のファンが大半ってことなんだろーか。これは是非にも公演を見て確かめなければならないけれど、行って埋め尽くされた乙女な方々の真ん中に男1人って状況はちょっと、なあ。着飾って行くか。

 さて登場の役者さんたちは「献血」ってことで吸血鬼に扮して「血をおくれ」と訴える、実にぴったりとゆーかともすれば冗談めかし過ぎって感じのパフォーマンスを披露。むしろ逆で吸血鬼をテーマにした公演を連続して開いていてその新作「銀のキス」が12月7日から北千住のシアター1010でスタートするんで、宣伝も兼ねて折角だからと献血を行っている東京赤十字に協力して人集めに乗り出したってことなのか。男性ばかりで耽美な話を得意としているってことだから、さても見目麗しい役者さんたちが登場するんだろーと思っていたところに、まず登場したメイドさん2人はなるほどともに遠目に女性と言われて分からないかもと言えるかもしれないくらいの綺麗さで、取り囲んだ人垣からもかわいいかわいいって声が挙がってた。演じたのは松本慎也さんに三上俊さん? 新しめの団員らしーけど将来有望。

 次いで登場の舟見和利さん演じる貴婦人な奥様は奥様っぽさを出しててこれもなるほど。なにより細身なのがすごい。あの衣装がよくぞ入った。プロフィルを見ると176センチで56キロ、サイズは上から87の67の88。スーパーモデルかってーの。さらに登場の曽世海児さん演じるバンパイアはすっと鼻筋が通った顔立ちで舞台映えしそー。凍り付くような美貌ってよりはどこか優しげな表情は例えば「トリニティ・ブラッド」のアベル・ナイトロードなんかを演じてそれなりにはまるかも。でも「トリブラ」は衣装が大変だから舞台化は難しいかなあ。

 そんなヴァンパイアの一族に飛び込んでくる人間の青年役が山本良樹さん。最新の舞台「銀のキス」では曽世さんとダブルキャストの主役を張る人らしく、知名度もあって歓声もなかなかに高かった。パフォーマンスに出演は以上の5人。両性具有的な美貌が評判の及川健さんはいなかった。残念。ほかに何人かがヴァンパイア風の衣装をつけてチラシを配って歩いてた。やっぱりそれなりな男前揃い。こうじゃなくった役者は務まらないんだろーと、見知り役者に自分はなれないって確信を抱く。なるつもりだったって? そりゃまあなれればね。なって100億円くらい稼ぎたかったよトム・クルーズを向こうに回して。身長だけなら勝ってるんだがなあ。

 粛々と「SEGA GOLF 宮里三兄弟内蔵」をプレーする日々。「プレイステーション3」もこれじゃあまったく意味がないなあ、プレーしている感触は「プレイステーションポータブル」の「みんなのゴルフ」とそんなに代わる訳じゃあないし、登場するキャラクターが超絶リアルでショットを打つとスカートがひらりと舞いあがる訳でもない。ミニスカートのキャラをぐるぐると回してパッティングで芝目を読んでいる所を正面から見るなんてことも無理、だいたいが宮里藍選手のパッティング姿を正面から見たいかあ? つかスラックス姿がほとんどだから見たって何も見えやしない。でもなあ。

 そんなゲームでもゴルフだけはちゃんと楽しめるからついついやってしまうんだよなあ。「マリオゴルフ64」みたくボールの打点を変えスライスやドローを思い通りに打ったり力を加減して狙ったヤードにピタリと落とす技はまだ出来ないけれど、やり込んで自在に打てるよーになればそれなりなスコアも狙えそう。問題はそーなってからもまだ楽しめるかってところでオンライン対戦が出来れば言うことないんだけど、我が家は未だにナローバンドの環境でネットにつながらないから無理。つか「宮里内蔵」を買ってネットにつないでいるユーザーっていったい何人いるんだろう? 行っても行っても閑古鳥のネットゴルフ場。いずれ倒産して売りに出されて宅地になって、しばらくぶりに入るとクラブハウスが消えて家が建ってるんだ。うーんリアル。リアルを描く「PS3」。すごいゲーム機が出たもんだ。


【11月17日】 トト大神様のお告げが出たので皆の衆、心して聞くように。大宮と鹿島は引き分けじゃ。川崎と福岡は地獄に堕ちたくない福岡が力を振り絞って川崎を破るじゃろう。甲府と大分は激将と知将のたたき合いと読み遭いで知略が上回って大分の勝ちじゃ。名古屋と浦和の赤い激突は、彼我の戦力差をフィルフォーセンの知略が埋め、退団が発表されたブッフバルト監督に対する選手の揺らぎも邪魔をして引き分けるじゃろう。広島と京都はこれも地獄行きを広島にゆずりたい京都が、陰陽道の力も借りて勝利するはずじゃ。

 横浜Mと清水は中位にあるものたちの消化試合の体が色濃く出て、見せ場のないまま引き分けるぞよ。磐田とF東京も右に同じで引き分けじゃ。千葉に勝って勢いをつけた新潟に挑んだC大阪は、これも地獄行きを避けたいものの勝ちきれずに引き分けるであろう。これで負けたら優勝が遠のくG大阪だが、連敗を避けたい千葉のアウェーでの強さに飲まれて千葉が勝つ。水戸と札幌は男祭りの熱さに水戸が勝つ。柏と仙台も裸男の汗が飛び散り柏が勝つ。波の激しい東京Vは悪い波の来る時期にあたって鳥栖に飲み込まれる。ぞよ。

 J1の天国を共に目指す神戸と横浜Cは、意地と恐怖とがそれぞれのチームでせめぎ合って引き分けに終わり、湘南と愛媛も寒さから動けず引き分けと、そんなトト大神様のお告げに良いかクラブよ従うのじゃ、従って我に大金をもたらすのじゃ。なんてことをついつい考えたくなるトトBIG。勝手に決められた勝敗だけどなるほどこうやって見れば何とはなしに当たりそうな気もしないでもない。10口なんでほかに9通りの予想もあるけど、眺めていればどれも何となく当たりそう。それなのにこれまで1度も的中が出ていなくって、6億円くらい貯まっているとか。トト大神様もたいしたとこないのかのう。それともここぞという時に最大限の神力を発揮するのかのう。発揮してくれないかのう。

 遅ればせながら「ヤマトナデシコ七変化」を見たらやっぱり面白かった。ナベシンは時間の隙間を埋め尽くしていくのが旨いなあ。スナコちゃんが先週あたりから2頭身のまんままるで綺麗になってくれないんで手抜きかもって感じていたけど今週は頭身を挙げた上に番長連合の総番相手に片手でネック・ハンギング・ツリーを決めてくれたりと大活躍。これなら立派なレディとなって4人の居候たちの家賃をタダに……できんわなあ、今のまんまじゃ。のいっちは相変わらず綺麗。実写版「ヤマトナデシコ七変化」とか出来たら誰が演じたらピッタリだろー。エビちゃんじゃ老け過ぎだし。それより依然にスナコちゃんを演じる役者がおりません。佐伯日菜子さんがあと10歳若ければ。栗山千明さんなら大丈夫…かも。

 「たまごっち」の10周年記念イベントが始まるってんで2日続けて池袋へ。「池袋サンシャインシティ」の中に「たまごっち」に関連した商品やらが集められているんだけど本番が明日からなんで「たまごっち」メイニアの女の子達はまるでおらずおっさんばかりの中の取材でちょっと寂しい。明日また行って行列にひしめきあう女の子のぎっしりな様を眺めて来よう。殺気だった女の子達に粉砕されるのを覚悟して。任天堂の「Wii」に対応した「たまごっち」のソフトを遊んでみたらそれなりに面白かった。金魚すくいは巧くできたけどレースはとっても難しい。これなら「プレイステーション3」の「リッジレーサー7」の方が簡単。つまりはそれだけに難しいゲームをあのマシンとあのコントローラーでも実現できるってことか。円盤型コントローラーとか出してくれたらハンドル代わりに使えたりして。

 宝島社から毎年刊行の「このライトノベルがすごい」の2007年番が届いて「2006年度版ライトノベルランキング」を見て仰天する。まさに予想GUY。個人的にはまったくもって想定内なんだけど世間的な評判とか知名度とか、書店的な売上から見るとまったくもって意外なところから現れ本命対抗を追い込んで追い抜き逃げ切ったって言えるかも。うーむ。キャラクターが受けたってのは何とはなしに分かるけど、あの物珍しい設定を受け入れる人が、おっさんが揃う目利き意外にネットを駆使するファン層にも、割にそれなりにいたってことなのか。新しい所を開拓して行こうって進取の気風が広まってきたのはジャンルに広がりを持たせ層に厚みを出す上で大切なことなんで、これもまた未来に向けた僥倖と喜ぼう。おめでとう。何が獲得したかは出てから読んで、そんでもって驚いて。


【11月16日】 その純白のドレスは僕のため? なんてセリフを気取って吐くほどファンではないけれど、しばらく前よりブログの女王様としてみるみるうちに知名度をアップさせて、今や全国に数千万人のファンがいるだろーと目されている眞鍋かをりさんのご尊顔を1度くらいは拝んでおきたいと、アスカネットってところが始めた「オートアルバム」ってサービスの記者発表会を見物に行く。前にネット上で写真集を作ってくれるサービスを発表した会社かな。上場しているとは知らなかったよ驚いた。

 サービス自体はネット上のサイトに写真をアップすると自動的にオンデマンド印刷か何かでアルバムに仕立て上げてくれるってサービスで、DPEなんかでプリントアウトしたってアルバムに貼りもせず積み上げているだけの人とか、プリントすらせずメディアに記録したままで見もしないままクラッシュさせて後悔した人なんかには、プリントして残しておけてついでにCD化もしてくれるサービスはそれなりな意味を持つに違いない。パソコン上にあるからといって閲覧するのは結構面倒。本にしてあればめくればすぐ確認できるしみんなで回し見て楽しめる。紙化も捨てたもんじゃないってことだ。

 面白いのは適当に順繰りにアップしていくと、ある程度溜まった段階で本にしてくれるサービスなんかもあることで、テーマ別にアルバムを作らなくっても良いって人で、それでもデータの紙化はしておきたいって人には使ってそれなりに便利な機能かも。でもやっぱりメーンは結婚式とか旅行とかってイベントの後のアルバム作り。撮ったその日にアップすれば、翌営業日には出来上がって発送ってだんからDPEに出して焼くのと変わらない。誰が写っているかを選んでそれぞれに別々の本だって作ろうと思えば作れる。写真を必要な枚数焼き増して交換し合う手間もいらない。

 問題はやっぱり値段が。ページ4枚を80ページにフルにやいて320枚入りアルバムが5000円弱。1枚辺りのプリントは16円っていうけど320枚も焼くなんてことは滅多にないからなあ。でもまあ今のデジカメ全盛な時代は1回で平気で100枚くらい撮るから、あるいは月に撮った写真を全部まとめて毎月ごとのアルバムを作っておくって需要も結構あるかも。どんな需要、どれだけの需要があるかによって街のDPE屋とか写真プリント用プリンターのビジネスなんかにも影響があるかも。そこまでは流石にいかないか。

 でもアスカネットとしてはやる気満々。そこまで行かせたいってことでブログの女王の眞鍋さんを起用した。さすがに女王だけあってスポーツ紙とか集まったメディアも多数。アスカネットなんて名前は聞いたことがなくても眞鍋さんなら知ってるし、載せれば話題になるってことをメディアも認めたってことなんだろー。偉大なり女王。ウエディングドレス姿ってところもプラスアルファになったかな。何でもアルバムの語源がラテン語の白ってことで純白のドレスに身を包んで登場。でも聞きたいのはそれを本当に着る機会はあるのかってことで、聞かれるだろうと機先を制して学べさん、今着たから充分かも、でもすぐに着たくなるかもってはぐらかしていた。どっちやねん。

 顔立ちは庶民風でスタイルも派手じゃなく喋りもおねいちゃん。それなのに人気なのはやっぱりブログの女王って看板が付いたからなのか。それがなかったら果たして眞鍋、どんなタレントになっていただろー。させた事務所は偉い。まあ開けっぴろげなところは本人の資質みたいで出待ちしていたファンらしい人に、マネジャーか誰かが制するのにも関わらず数人ってことでちゃんとサインをしていた。そーした地道な活動が、また新たなファンを読んでブログの読者を増やし一段の人気につながると。10年日記やっててもサインくださいファンですデートしてください結婚してくださいお金貸してください家買いませんかとかって言われたことなんてない身には、サービスの大切さって奴を強く感じさせられた午後でした。

 「ニューオータニ」から歩いて麹町へと出てそこから地下鉄有楽町線に乗り東池袋で降りて「サンシャインシティ」にある「ナムコ・ナンジャタウン」へ。明日から始まる「おでん博覧会」のプレビューがあるってんで手にコンビニから失敬したおでん用のポリ容器と割り箸を持って、ではなく頂戴した試食用のチケットを握りしめて会場に行くと何と秋葉原では一般的、でもないんだけど最近は妙に増殖している「おでん缶」を販売する自動販売機が置かれてて、その前で「おとぎ銃士赤ずきん」に出てくるランダージョがどれを買おうか思案していた、よーに見えたんで近づいたらナジャヴだった。猫は猫でも猫違い。でもきっとナジャヴもナジャミもおでんは好きに違いない、ポスターとか提灯とかに見入っていたから、でも熱々のおでんは食べられないんだろうなあ、おでん缶くらいにヌル燗がきっと好きなんだろうなあ、猫舌なだけに。

 「ナンジャタウン」だけあって全国各地からおでんの名品名店を集めて並べるところは他のフードテーマパークといっしょ。それでも餃子なら宇都宮でラーメンなら札幌博多が多くなるのと同様に、静岡のおでんが割に見られて常設の屋台で静岡風に焼津風のがあってそれから、リレー形式で各地の名店が出る特別な屋台には静岡でも有名な「おがわ」って所が先陣を切って登場してた。

 フードテーマパークの偉い人が立っていたんで聞くと静岡じゃあ街の辻辻におでん屋があって、駄菓子的スナック的に串のおでんを食べているとか。そりゃいったいどんなだと食してみたところ、美味、もう美味。スープで炊きあげた具にダシ粉をかけて食べるスタイルで、それが静岡では一般的なのかは分からないけどでも旨い。本体にも味は染みているんだけどそれに加えてダシ粉がスパイス的な役割を果たして口中に味覚の沃野を作り出す。いわしのはんぺんか何かなんてもう最高。こんなのを毎日食べていれば関東炊き風のおでんなんて煮られ過ぎに思うかも。豊かだなあ、日本の食って。

 このリレー屋台にはこれからも静岡の名店とか、東京のお多幸本店とかが出店して、それぞれに特徴を持ったおでんを味わえるからファンは調べて行こう。「おがわ」も来週いっぱいくらいでまず下がり、来年にもう1度登場みたいなんで是非にという人はお早めに。ちなみに名古屋風ってのも常設の屋台にはあるけれど、やっぱり味噌でした。味噌で甘めにしていあるスープにびたびたと漬かった大根やらモツやら玉子やら。もっともあくまでも名古屋風でスープはみそ汁よりやや濃い程度。本場じゃもっと煮しめたスープが使われていてどっぷりと垂れる感じがするからこの程度を名古屋と努々思わぬこと。でもちょい懐かしかったなあ。家で作れないかなあ。

 メイド喫茶に実はまだ行ったことがない。だって恐いじゃない。メイドがだよ。リアルなメイド服姿の女の子たちがだよ。入るなり「おかえりなさいませご主人さま」って声をかけて来るんだよ。それだけならまだ耐えられるけど、席についたら「ご注文は」って突っ込んでくるんだよ。もう恐くて恐くて即座に席を立って逃げ出したくなっちゃうよ。

 そこはどうにか抑えられるかもしれない。でもオムライスなんか頼んで上に絵とか描いてもらうことになった時、いったい何をお願いすれば良いんだよ。「どんな絵を描きましょうかご主人様」なんて言われてどう答えればいいの? 「ハッ、ハルヒがまたよからぬことを思いついてキョンたちに披露しならがみくるちゃんお顔を引っ張っている時のニンマリとした表情を」って言って「わかりましたご主人様」って笑顔で答えてくれた次の瞬間、脇をちょっとだけ向いて「チッ」とか舌打ちされたらもう一生立ち直れないよ。

 大丈夫だいじょうぶ? メイド喫茶のメイドはご主人様を不安がらせるようなことは絶対にしない? 本当かよ。それならメイド喫茶勤務の現役メイドのありやさんが書いた日記「メイド・マシンガン」(講談社、1300円)を読んだら良い? そこにはメイド喫茶の使い方からメイドの生態メイドの思考メイドの心情のすべてが明かされているって? 分かった分かりましたよ読んでみます読んで勉強して恐怖を克服してみせようじゃありませんか。

 なになに「『弱ヨガファイヤーから飛び込んだら昇竜拳で迎撃されたダルムシの表情』とかマニアックな注文をしてもいいですが、たぶん笑って誤魔化されます。メイドは優しいので顔には出さないと思いますが、ちょっぴり困っているはずです」だって。困ったなあ、頼めないよハルヒが学園祭でしわくちゃにしてシャウトした時の顔とかきっと難しすぎて描いてもらえないよ。妙ちきりんな注文を出す屑野郎って思われちゃうよ。参ったなあ困ったなあ。

 だからそんなことにはならないって? 挨拶だって演技でもなければ社交辞令でもなくちゃんと真心が籠もっているって? メイド喫茶の元祖ともいえるメイリッシュに元いた遠藤菜乃さんによると「その『お帰りなさい』の一言には、お客様に対して『ありがとうございます!』て気持ちがこもっていなきゃいけないんですよ」とか。そうかあ挨拶ひとつとっても気持ちが込められているのかあ。それなら安心。笑顔の裏側なんてないんだったら後でこう思われたんだじゃないかって考えてのたうち回らなくって済む。でもでも注意は必要。「節度を守って羽目をはずす」。節度っていうのはケチャップでエッチな絵とか描いてって頼まないことかなあ。

 とまあそんな感じに秋葉原のメイド喫茶で働くメイドさんが日々を綴ったエッセイの続く「メイド・マシンガン」。メイド喫茶で働く人にはどんな資質が必要だとか(特別なものはいらないし、メイドの歌も別に作れなく立って良し。面接にメイド服着てくるのはもってのほか!)、繁盛するほかのメイド喫茶を回って感じたこととか(向上のためには研究が欠かせないのだ、でも半分は趣味、趣味のメイド喫茶通いが高じてメイド喫茶で働くようになったくらいだし)、読めばなるほどメイドの人ってこんなだし、メイド喫茶ってあんななんだと見えて来て、行ってみようかって思えてくる。

 ただし。クライマックスに用意された大スペクタクルが、果たしてここに書かれたことって本当なのかって気にさせるから困ったもの。ありやさんが「Aaliyah」さんで「もっとも高貴なもの」で、身にふりかかった危機にスカートの下からマシンガンを取り出し撃ちまくる闘うメイドなのだとしたらちょっと近寄りがたいし、かといってそれはあくまでフィクションなんだとしたら全部がフィクションだって可能性も見えてくる。本当はどっちなんだろうか? メイドは心から「お帰りなさい」って言ってくれているんだろうか? 確かめるには行くしかない。言ってそして頼むしかない。「メイド服の胸元をのぞかせて星型の黒子を探す朝比奈みくるちゃんがじっと見ているキョンに気づいて頬を赤らめあわてふためく表情」をケチャップで描いて、と。


【11月15日】 青春ミステリとやらについて研究する必要があって青春ミステリならこの人と米澤穂信さんを今さらながらに何冊か。まずは角川学園小説大賞のヤングミステリー&ホラー部門で奨励賞を受賞した「氷菓」(角川文庫)を読んでなるほど一般に言われている青春ミステリとはこれでそれはこちらが研究しているものとは真逆にあるものなんだと理解する。つまりは“青春”と“ミステリ”のバランスの問題。あるいは陰陽の。

 続く「愚者のエンドロール」(角川文庫)も読んでさらに了解。舞台こそ学園で登場人物は若く青春まっただ中なんだけれどメーンとなるのはその謎解きのステップで、部活とか友情とかいった思い出せば懐かしく現役ならば心惹かれる要素も混ぜられてはいるけれど、そーしたものはほとんどが背景の書き割りで、読む人は繰り出される謎に対して散りばめられたヒントをもとに挑み解き明かすなり、どうやって解き明かされていくのかの手順を楽しむ。

 だから手順に興味がなければ、つまりはミステリ的な醍醐味よりもそれでストーリーがどう進むのかに興味がある人は手順をすっ飛ばして結論を先取りして、次もそうして一気にまくっては結末へと目を飛ばしたくなる。まあ両作とも薄いんでそこまで急ぐこともないから謎の提示と解決に、おつきあいしても良いかって気になるんだけどちょっと集めの「さよなら妖精」(東京創元社)の場合は日常の謎について登場人物たちがどう挑むかってことよりも、最後に描かれるユーゴスラヴィアから来た妖精マーヤ自身の謎に挑む部分、ってよりもその謎解きが家庭として描き結果として浮かび上がらせる、悲劇的なシチュエーションに興味が及んで、そのあまりの重さに途中がどうでもよくなってしまう。

 いや途中の日常的な部分があったからこそ際だつ世界の広くてデコボコとした様なんだってことも言える訳で、「氷菓」や「愚者のエンドロール」で自分たちと同時代的な場所と時間を舞台にしているってことでまず引かれ、そこに起こる現実的な学校生活では殺人でも何でもないのに出会えない謎に驚き心惹かれ、ちょっぴりの非日常に憧れ米澤ファンになった若い世代にちにとっては、「さよなら妖精」でも大半を締める日常を玄関口にして、世界に耳目を向けるひとつのきっかけとして機能しているのかも。

 その意味では「さよなら妖精」の方がミステリとしての仕掛けと作者がたぶん描きたかった世界の姿が分量的にはいびつでも、重さとしては均等かやや主張にウェートを置いて語られているって感じがした。じゃあそれが青春ミステリなのかっていうとうーん、むしろ社会派ミステリ? でも社会派っていうと松本清張さんだとかそっちの方、社会的な事件なり事象そのものを当事者的な立場から描いてこそって印象もあるから一緒にはされにくいんだろうなあ。なんてことを考えていてもまるで仕事には関係なし。うーん困ったけれどまあそんな考察も糸口にして考えていこう“青春ミステリ”とやらの神髄を。

 そんな研究とも実はあんまり無縁ではない「コスチューム」(産業編集センター、1100円)の刊行からさほど時を待たずに登場した将吉さんの「秋葉少年」(講談社、1300円)は秋葉原に巣くう、じゃない集うニジゲンな輩をめぐる物語。まずは秋葉原の路地裏でオタク狩りに遭った少年がそれならばと一念発起しオタク狩り狩りに転じる話は、我が街として闊歩しつつも決して全面的には受け入れてはくれない秋葉原への複雑な心理が滲んで溢れる。心惹かれる同類に助けられたと思ったのに突きつけられる資本主義経済的な現実の重さよ! だから秋葉原は恐ろしい。恐ろしいけれど愛らしい。

 続く秋葉原チケットセンターは秋葉少年たちの怨念が世界を包み込む話、って1人の少年の世界に限定はされているけれど、働く秋葉原のコンビニで店頭に佇む少女を追い払ったのが不思議の始まり。押しつけられた「アキバ系パスポート」を手にした日から少年の日常には彼らが言うところの“ニジゲン”が入り込んではパンピーだった彼の暮らしを脅かす。なぜかキャラクター付きタオルが現れ同人誌が溢れ出し壁にはポスターが。それをオタク嫌いアニメ嫌いな彼女に見つけられたくないと必至に隠そうとするけれど、いつか疲れ果てて秋葉原をさまよい歩いた果てにひとつの境地にたどり着く。

 それがパスポートの効果だったのかそれとも、元よりの資質だったのかは分からないけどなあに「人はオタクになるにあらず、オタクとして生まれてくるのだ」って誰かの名言にもあるとおり、少年は実はオタクとして生まれながらもそれを気恥ずかしさから覆い隠していたものが、ようやくにして表に出てきただけってことになるのかも。そう考えれば気分も楽になるでしょ? ついでに言うなら彼女にもパスポートの影響は及んでいたのかな。それともやっぱり元から? だとしたらそれは実にハッピーエンド。現代のロミオとジュリエット。名誉とか立場とかプライドとかが邪魔して出せない本当の自分をさらけ出し、そして掴んだ真実の愛に、乾杯!

 「タイム誌の女の子」はより切実でシリアスか。雑誌の「タイム」で秋葉原特集に登場していた女の子に会いたいと、秋葉原に通い詰めても会えずそれならばと少々の写真を切り取りコラージュして複数の写真を作り出しては勝手に作ったホームページにアップして、評判にして彼女からの接触を待ったところ現れたのはまさしく「タイム誌の女の子」だったという、ボーイ・ミーツ・ガールの物語なんだけどそこにあったのはこれまた資本主義経済的な1つの形。某新聞系ニュースポータルがブログを書いてもらうキャンペーンで選んだ女の子がすでにして事務所に所属し芸能活動も始めている子で、素人さんでは全然なかったこととも重なる衝撃が「タイム誌の女の子」を追い掛けていた少年を襲う。

 なおかつそこで起こるのはオタク的ストーカー的少年への非難ではなく別の打算。非難だったら謝り消えれば良いんだけどそうではなかった状況を、果たして受け止めるべきなのかどうななのかを少年は悩む。テレビの向こうの美少女アイドル、雑誌の中の美少女キャラクターに勝手な思いを募らせる“ニジゲン”がリアルと邂逅して起こる戸惑いって奴が実に見事に表現されたストーリー。涙なくしては読めません。まあ最近の人だったらそんな2次元と3次元の壁をないものと越えてこっちはこっち、そっちはそっちと割り切り現実と付き合って行くんだろーなー。羨ましい。ともあれ何とも読んで切実な物語たち。値段はなかなかだけど読めばあれこれ得られます。

 いいねえ巻誠一郎選手。どこが? とは言わない僕には黄色いフィルターが目にかかっているんだから。そうでなくても中盤でポスト役を務めてつなぎコーナーキックはヘッドで当てて最終的には田中マルクス闘莉王選手の得点を引き出し途中でも賀那覇選手といいかんじで動いてディフェンスを攪乱して見方の得点を引き出した、その動きは潰れて周囲の攻撃を引き出すラグビーフットボール的なフォワードの役割を果たして余りある。

 サッカーはラグビーじゃない? だったらどうして最後列でバックスを務める今野選手阿部選手が最前線へと飛び込みクロスを挙げたりシュートを放つの? これだってラグビーでいうところの“バックス”の役割を果たしたまで。つまるところはオシム監督にとって誰が得点をとろうと無関係、それぞれがそれぞれのシチュエーションで最善のタスクを果たし結果が伴えば万事オッケーってことで、だから勝利した試合に貢献している巻選手は良かったってことで。でもそうとは考えない人が世界には大半なんだよなあ。泣くな巻。だからせめてフクアリでは点を取ってくれ。


【11月14日】 連日の「紀伊國屋書店大手町ビル店」のDVDワゴンセール漁り。昨日は見かけなかった「スタートレック」のピカード艦長登場シリーズ「新スタートレック」から出来た劇場版の「ファーストコンタクト」と「叛乱」と「メネシス」が懐かしの「dts仕様ボックス」で並んでいたんでゲットする。新スタートレックからは最初の映画になるんだっけかな「ジェネレーションズ」が見あたらなかったのは残念だけど、もとよりテレビシリーズすら全部見ていないんで映画も途中からでとりあえずは充分。ピカード艦長が「ぱにぽにだっしゅ」の艦長にどれだけ似ているかが分かればそれで良いのです、ってそれ見方が違う。

 あとはマリリン・モンローの出演している「帰らざる河」を救出。声はやっぱり向井真理子さんかあそーいえば「Dr.スランプ アラレちゃん」もDVDボックスで発売されるなあ山吹みどり先生の声が向井さんで大喜びした25年前が懐かしい。その時の向井さんはえっとだいたい45歳くらい? 良い声してたよなあ、最近はどんなお声になっているんだろう? ちなみに競演しているハリー・ウェストンの声は山田康雄さんだ。いつ頃の吹き込みなんだろう? 艶とか気になる。「アラレちゃん」の空豆タロウの父親の声はそーいや山田康雄さんじゃなかったなあ。などとれこれ思い浮かぶ秋の空。帰って見よう。

 その書店でワゴンってゆーより平台でフィーチャーされていたのが「ほぼ日刊イトイ新聞」の開設から8年ちょっとの活動をまとめた「ほぼ日刊イトイ新聞の謎。」(東京糸井重里事務所、1998円)。10年って区切りでもない時期での登場はちょっと不思議だけどあと2年も重ねたら分厚さが1・5倍くらいになって値段も上がってしまうから、今の時期くらいがちょど良いのかも。すでに10年を過ぎて来年2月には11年となる当日記が世評に載らずムーブメントからも埒外に置かれながら、ひっそりジグジグと積み重ねられている向こう側で、華々しく登場してはすぐさまメジャーページとなって今にいたる「ほぼ日」。眩しすぎて最近はあんまり見てなかったけど今もちゃんと、ってゆーか以前にも増して存在感を高めているんだなー。羨ましい。何でそんなに続いているのか聞いてみたい。

 もちろん糸井重里さんって著名人を代表においたことが最初に人を呼び込むきっかけにはなっていたんだけど、1人の名前で8年も続くほど世界は甘いもんじゃない。その名前を起点にして、あらゆる分野の様々な才能をピックアップしポータル的に紹介して来た活動があったからこそ、新しいクリエーターが生まれ人気となって結果として「ほぼ日」のバリューをインフレスパイラル的に高めて言ったんだろー。あとラーメンを作ってみたりバッグを作ってみたり手帳を刊行してみたりといった、最先端ではないけれどホッとさせられる品々を送り出してはその良さでファンを掴んだことも大きそう。誰も投げ出さず飽きもしないで続いた8年ちょっとなだけにきっと10年目を過ぎ20年目あたりまで行ってもネット界に燦然と「ほぼ日」印は輝いているんだろーなー。こっちも負けずに頑張らなくっちゃ。生きてられれば。

 何か一気にボーイズな香りが高まった第2弾のエンターブレイン「ビーズログ文庫」からとりあえずあすかさん作で凪かすみさんイラストの「刻の王国」(エンターブレイン、500円)をぺらりぺらり。何故か入手した懐中時計をいじると時間を止めたり戻したりできる能力に芽生えてしまった少年の所に、現れたのがクールな野郎と粗雑な口調の野郎の2人組。何でも少年は時間を司る神様か何かの生まれ変わりで、ある時なぜか人間に転生すると言って出奔。その先がどうやら少年だったらしくて2人組は記憶を失っている少年から神様の魂を切り離そうとやって来た。

 切り離すとはつまり死ぬってことでそいつはいやだとごねる少年に追う2人組。その2人組も1人は神様に忠義を見せて少年の言いつけを守ろうとするけれど、もう1人は別に義理はなくただクールな従僕に気があるだけで手っ取り早く元いた世界に帰りたいと少年を襲う。一方で少年の同級生が何やらやっかい事に巻き込まれ、さらには父親が命の危険にさらあれる事件も勃発。目先の事件を変えようとこちょこちょ時間を変更したためつじつま合わせに大きな事件が起こってしまう羽目となる中で、少年は自分がどうすべきなのかと迷いながらも出来ることをやろうと頑張る。ボーイズっぽさもなるほどあるけどトータルとしては少年の成長物語。自在に操った時の反撃に遭い悩む少年少女が出てくる「時をかける少女」とも「削除ボーイズ0326」とも重なるストーリー。こーゆーのが流行るのって何だろー、やっぱり今の世界に納得してない人が多いのかなあ。

 夕刻に「紀伊國屋」に行くと今度はアーノルド・シュワルツェネッガー出演にして彼の出世作「コナン・ザ・グレート」が並んでたんで引き抜く。大昔に「POPEYE」の映画紹介コーナーで原田直人さんが紹介していた記憶があるなあ。ダース・ヴェイダーの声を演じたジェームズ・アール・ジョーンズが登場しているんだって記事を読んで知ったことを何か今でも覚えてる。SF好きでロバート・E・ハワードの名前を知ってて「コナン」も知ってたこともあって映画への関心を持ったんだろーけど、そこで主演を務める役者だって紹介されてたシュワちゃんが、まさか後にカリフォルイア州知事になるとは思わなかったよ。宮沢りえちゃんとCMで競演するとも。人生ってだから面白い。人によっては。

 さらにジェーン・フォンダの「バーバレラ」も購入、500円は安いなあ。これはさらに大昔に「スター・ウォーズ」が大流行した折り、関連書籍としてバンダイだかどっかが出してたSF映画の紹介ムックに確か紹介されていたのかどうだったのか、もはや記憶も定かではないけれど何故か知ってたこの作品。これまでなかなか見る機会もなかっただけにちょっと嬉しい。DVDのバージョンは02年発売のもの? 裏側の紹介が「バーバレラの“戦う”相手が黒の衛兵たちや黒の女王であっても、あるいは天使のパイガーであっても、どっちみち彼女の身体にピッタリのスペーススーツは、どんどん破れてなくなっていくのだ!」ってなってて吹き出す。「いくのだ!」って吃驚マーク付きで強調されてもなあ。でもそれだけにきっと凄いに違いない。楽しみだあたのしみだ。


【11月13日】 あーユルい。ユルユルだ。それが心地良い。0・5カ月分も差を付けられて差額で「PS2」が2台も買えるだけの差別待遇に甘んじてそれでいて誰が責任を取ったって話も聞かない状況にドンヨリと落ち込み気味な気分がスポポポポーンと癒されて悲しいことも苦しいことも辛いこともまるで気にならなくなって来た、その瞬間だけ。「ギャラクシーエンジェるーん」は前回までの主役だった「ムーンエンジェル隊」がやって来るとの報にあわてふためく「ルーンエンジェル隊」。めいめいがそれぞれに思いを抱いた相手を出迎えるべく各ができることを始めてもう大変。そしていよいよやって来た「ムーンエンジェル隊」。所詮は人間と開き直って出迎えようとしてそして至る投げっぱなしジャーマン。オチらしいオチがねえのが「GA」ってことで。姫殿下がいっちゃんいい味出してたなあ。

 入院していたらしー平野綾さんへのお見舞い色紙を作り千羽鶴を折っていた秋葉原の「ゲーマーズ」で購入してあったことを思い出して滝本竜彦さん×大岩ケンヂさんの漫画版「NHKにようこそ」第6巻のゲーム付きを取り出しゲームをパソコンにコピーして、始めてとりあえず1つのシナリオを終わってげらげら。ただのゲームじゃなかったか、やっぱりなあ。

 まあそのシナリオがそーなっているだけなのかもしれないけれど、ストーリーを引っ張った挙げ句に滝本的ルサンチマンの溢れた啖呵が叩きつけられて耽溺していた気持ちを現実へと引き戻される。CD−ROMのゲームになってもやっぱろ「NHKにようこそ」でありました。でも絵に2枚、ローアングルがあっていい感じに見えたんでまるでオッケー。残るシナリオも今晩中に攻略だ。ハイレゾの権化「プレイステーション3」を買ったばかりで何やってんだろう? 自分。

 会社に行く途中で大手町にある紀伊國屋で経済誌とかをチェックに寄ったら去年もやってたDVDのワゴンセールを発見して漁る。税抜きで1000円と500円のがあってまずは音楽関係から「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」やら「アラニス・モリセット」やら「TOTO」やら若すぎる「ダリル・ホール&ジョン・オーツ」なんかを見つけたけれど買わずにおいて何故か「プリテンダーズ ルース・イン・LA」ってライブのDVDをまず救出する。

 それから映画のワゴンへと回ってTシャツのついた豪華版の「少林サッカー」を赤丸シール付き1000円で拾う。Tシャツ分くらいで買えてしまうこのお得感。公開から4年も経っててDVD発売からだって4年近く経ってて古いっちゃー古いんだけど、面白さでは後の「マッハ」よりも上だって気がするんで1000円はとっても有り難い。劇場で見てテレビで見て以来になるけどあの竜巻シュートを目の当たりにできるのはちょっと嬉しい。だったら発売ん時に買えば良かったのにとは言わないで。

 500円ではシルヴィ・ギエムのバレエのDVDもあったけどクラシックがメーンみたいだったんでとりあえずパス。ヤン・シュバンクマイエルの短編集とあと佐伯日菜子さま様さまが主演した劇場版の方の「エコエコアザラク3」を拾う。レーザーディスク版は持っているけど今は機械が壊れてしまって見られない。久々にあのキッと見据えて来る目を画面で堪能するか。テレビの方もDVDで揃え直したいんだけどなあ。安いボックスで出ないかな。

 はほかに赤木圭一郎さんが出演している日活の無国籍映画とか、相米慎二さんが唯一撮ったロマンポルノの作品とか、浜崎あゆみさんの2002年のドームツアーとアリーナツアーのライブとか、マイルス・デイビスのどっかでのライブとか布袋寅泰さんのライブとか、ジミ・ヘンドリクスのテレビ出演をベースに編集された映像とか、並んでて欲しかったけど手元不如意で今日はパス。見落としているのも多々ありそーなんで近くまた行って救出して来よう。去年買った「スタイルカウンシル」のDVDまだ見てないけれど。

 20年前に会いたかったよ宮沢りえさん。三井のリハウスなんかに出始めてその異国情緒あふれる風貌と幼さの残る肢体の微妙なバランスから発せられる美のオーラに、モニター越しですら当てられっぱなしだったんだから直接みたら一体どれだけのオーラに見えられただろー。あるいは88年だかに公開された「ぼくたいの七日間戦争」での宮沢りえさんに会いたかったよ。楚々とした美少女の殻を脱ぎ、躍動感あふれる演技をゴム鞠みたいにぷよぷよした肢体でもって繰り広げていたあの時代に、会えばやっぱり虜になって足下にはいつくばっただろー。

 でも今は2006年だ。1973年生まれの宮沢りえさんも33歳だ。江崎グリコが新しく出すバンホーテンとのコラボチョコのCMに起用されて、記者発表に登場した宮沢りえさんから、10代前半のよーな若々しさと瑞々しさをもはや感じることはかなわない。 かといって30代ならではの熟れた感じもそこにはない。ハーフならではの美貌はなるほど切れまくってはいたけし、ベテランの域に入った女優ならではの威圧感はあったけど、はち切れんばかりの肢体から発散される陽光のよーなエネルギーとはやっぱり違ってた。昔のりえちゃんに出会うには昔の映像を見るしかないんだよなあ、やっぱり。

 とはいえ33歳の宮沢りえさんは演技派として数々の映画祭で賞を獲得しているだけのことはあって、漂わせる雰囲気はやっぱりなかなかのもの。間近に見れば痩せ気味な関係で顔に皺も出来てしまって目に厳しいものがあるけれど、そんな宮沢さんでもドラマや映画の中では役柄になり切って、抱えた懊悩や背後にある生活までをも含めて表現しきってみせる大女優。スポットライトを浴び極上のカメラで撮られた姿はかつての幼い宮沢りえを見知っている人にだって、感動を与えずにはいられない。なので宮沢さんには今からでもまだ間に合うから、英語での演技を完璧にしてハリウッド女優を目指してもらいたいもの。33歳なんてハリウッドじゃあまだまだ新人。役を得て銀幕に映し出された宮沢さんはきっと綺麗に違いない。是非に銀幕へ。銀幕の中だけへ。直に見るのはもう良いよ。


【11月12日】 決まっていたよロットン・ザ・ウィザード。つかそれだけのために出てきたんだよねロットン・ザ・ウィザード。その一瞬ぶりは某「ジオブリーダーズ」に出てきた黒だか何だかの流れ星の様。顔すら見せずに逝ったそいつに比べれば最大の見せ場を作ってそれから、シェンホワあいてにラブロマンスも演じて見せた分だけ遙かにインパクトも大きいって言えそー。始末屋のゴスロリチェーンソー娘は喉の振動を音声に拡声する機会がふっとんだだけで何であんなに落ち込んだんだろー。コミュニケーションした症候群? でも膝をかかえうずくまったまんま傾く屋根を転がり落ちていった所を見ると相当に重症なのかも。また出て欲しいけれどテレビじゃあ無理だよなあ、本編にだってまだ再出演はない訳だし、ロットンと同様に。

 せっかくだからと「SEGA GOLF CLUB 宮里三兄弟内蔵」もプレー。えっと何だろう沖縄の神様を拝んでいるよーな気になったのは深夜が見せた幻か。美というよりも剛という雰囲気をまとって登場した宮里藍選手の女性らしさとは対極にある、ゆさりとも動かないぶ厚い胸板を前面に張り出してのプレーぶりに、さすがは鍛えられたアスリートをリアルに再現可能な「プレイステーション3」の秒が能力だけのことはあると感嘆すること仕切り。残念ながらハイレゾではなく崖に掘られた神様が村人の願いを聞き入れ変身した時の神々しさを爆発させた表情にも似た宮里選手のご尊顔を、皺の1つまで堪能はできなかったけど20型の液晶でも存分な迫力は感じられました。いつか50インチオーバーのハイビジョンで試してみたい。きっと神々しさにひれ伏したくなるだろーから。そのまま2、3日は叩頭したままになるけれど。

 短時間のプレーだったんで幸いにも数時間の休眠で復活。「文学フリマ」へと出かけてまずは桑島由一さんが新たに独自に立ち上げたっぽい「NO DISK RECORDS」ってレコードを出さないレーベルのブースへと並んで刊行された4冊と、それからTシャツのセットを購入する。Tシャツは僕で最後であとはキャミソールが残ったんだけどそれもしばらく経ったら消えていた。並んでいた大半が男性だったよーに見えたけどそれでも気にせずキャミソールを買っていったんだろーか。買って帰ってどーしたんだろーか。もちろん着るよね普通は、買った以上。

 ご近所に前島賢さんが1人で頑張ってるブースがあったんで立ち寄ると新刊が落ちていた。残念。後方に京都SFフェスティバルにも行かずに頑張る慶大SF研究会とか、東洋大のSF研究会があってSF関係者のまるで訪れないなかを頑張って打っていた。売れたかな。遠目には細谷正充さんを中心に榎本秋さんとかが寄せてるライトノベルの評論集を売ってるブースがあって合本の表紙が可愛らしい奴を手に取って眺める。何か髭でスーツ姿の業界っぽい言葉を振りまく人がにこにこと榎本弟らしき人に話かけて名刺とか渡していたけど、有名な人だったんだろーか。こっちは一般人なんで黙って購入。そのまま桑島さんのブースへと寄るとはや4冊のうちの2冊が売り切れていて、残っていた2冊のうちの桑島さんの1冊「シェルター」を買って前Qが来ずブースを離れられない前島さんに手渡す。

 会場をうろつき1階の窓際にあるブースで腰掛けているスカート姿の清楚な少女の見目麗しさに惹かれ、何度も前を往復しては横目でチラ見て心火照らせつつ会場を後にして、新御茶ノ水の「VELOCHE」へと行き「SFマガジン」と「週刊SPA!」の書評を片づけそれからもう1冊の桑島本「鍵穴ポエム」を読み始めたら面白くって面白くってとまらない。無職でアルコール依存症とゆー30歳を前にしてぶらぶらしている青年が、作家とゆー人の実験台になって体に明けられた鍵穴状の傷口に、何やら不思議なトリップする鍵の形をした錠剤を埋め込まれたところ口から華麗なポエムが流れ出した。

 その内容は聞く人すべてを涙ぐませて感動させる。いい気になって1日1錠と言われていた錠剤を間断なく放り込んではポエムを吐き出し周囲を感動させまくる。と思っていたのは当人だけ? 好意を寄せていたキャバクラ嬢を眼前で口ずさんだポエムで感動させたはずなのに、ようやく聞き出した電話口に出た彼女にポエムを口ずさんでも鬱陶しがられるだけ。もしかすると感動させていたと思い込んでいただけの、狂いかけた男の惨めでみっともない青年の地べたをのたうち回る姿を描いた第1部に、これも30歳を前にしたフリーター系の青年が、デザイン会社に勤めると自称する女性から、惨めな様を見せてくれれば自分の家に住まわせてあげると言われ、ヒモになって怠惰な生活を晒して見せる第2部が続く。

 それで巧くいっていた筈なのに、ネットで知り合った13歳だかの女の子からなぜか一緒に死んで欲しいと言われ岡山まで出向いたものの躊躇いがあって死にきれず、1週間後に会った時は父親の介入で果たせずかといって少女を抱くことも適わず、そのままうやむやになった果てにヒモとして居着いていた女性の正体も判明し、別れる結果となり少女からも夢が覚めたかのよーに拒絶されて立ちすくむ。

 10代だったらいくら悩みもだえたところで社会人となり身を整えて真面目に健全に世界と向き合う可能性がまだあるけれど、30歳も迫ると流石に見える先も狭まって、息苦しさにのたうちまわりたくなる。そんな切羽詰まった世代の気持ちがじっとりと詰まった「鍵穴ポエム」の何とゆー素晴らしさ。40過ぎならそれでも達観があるけれど、近い世代だったら何をここから受け止めるんだろーかと、読み終えたその足で「文学フリマ」へとって返して描かれている登場人物に世代の近い前島さんに読んでもらいたいと手渡す。気にいるかなあ。

 巻末に合わせて収録されていた、どうやら捨てられたらしー少女が幻想に迷ってそこで自分への思いに気づき現実へと還っていく様を描いた短編も含めて、内容的にもボリューム的にもそのまま文芸系の出版社から刊行されて違和感のない完成度。「文藝賞」の河出書房新社だとあまりにハマり過ぎてるから何だけど、そこも含めて文芸系の編集者はとっとと出版の契約を結びに桑島邸へと日参しよー。戻った時間帯は残っていた本も含めて桑島ブースはすべて完売で撤収準備中。去年は桜庭一樹さん桜坂洋さんのコンビブースが大人気だったけど桑島さんの人気もこれでなかなか凄まじかった。2年続けれラノベ系に席巻された文学フリマにミステリー系純文学系のリベンジはあるか。

 そのまま「東京ドーム」へと行きKONAMICUPアジアシリーズの決勝戦「北海道日本ハムファイターズ対ラニュー・ベアーズ」って日本と台湾の代表チームの試合を見物。ダルビッシュ有が最終的には10三振を奪う快投を見せながらもベアーズの投手も日ハム打線を抑えて0対0が続く投手戦に。行き詰まる展開から目を離せなかった7回になってミスとヒットから日ハムが1点を奪うとあとは日ハムが1人を挟んでマイケルにつないでピシャリと締めてゲームセット。去年の千葉ロッテマリーンズに続いて2年連続で日本代表がアジアチャンピオンに輝いた。

 いやあ良い試合だった。気も抜けた選手たちが花試合に耽溺した日米野球とは大違い。タイトルのかかった試合だけが持つ緊張感が最後まで漲っていた。ヒルマン監督がベアーズの投手陣を真っ先に讃えたのも今日の戦いぶりを見れば当然か。てっきり日本が抜けて韓国が続いてあとは半周遅れかと思っていたけど、なかなかどーして台湾も実力をめきめきと上げている。追いつけ日本からしのげ日本へと目標を持って進んでいる台湾のこれが前向きな力って奴か。WBCで実力的には上だと“確信”してしまったのが韓国の意外な敗因? それでも実力は充分。中国も北京五輪に向けて強化して来るなかで3年後だかに迫るWBCに日本が確実に出場し、そして世界一を守り抜くには更なる精進が必要と、教えてくれる大会だった。アジアに夢を与え日本の緩みかけた襟を糾す。アジアシリーズはそれ故に続けて欲しい。続いて欲しい。応援してねこれからもコナミ。そのためには良いゲームを作ってね。せめてゴルフゲームには横峯さくら選手を起用して。


【11月11日】 コンセントの日。だとテレビでやっていたのを見て、こいつは逃すまいと午前4時前には目覚めて着替えを済ませ、午前4時41分に船橋駅を通る始発の総武線各駅停車に乗って秋葉原へ。見かけるとそれっぽい人はあまりおらず、これなら大丈夫かと甘く考え秋葉原の駅を降りて「ラオックスアソビットシティ」に向かうとすでに長蛇の列。おまけに最後尾にこれ以上は整理券は出ないって案内が出て帯まで張ってあったんで並ぶのを諦め、線路を越えて「ヨドバシカメラ」に転戦すると案外に少ない列でこれならと考え並んだらやっぱり甘かった。

 JR秋葉原駅から近い入り口で渡されたのは整理券ではなく割り込み防止の券でそれに書かれた番号がすでに1700番台。前にそれだけの人数が並んでいると考えるとさすがに億劫になるものの、これも経験でありまた次にはいったいいつ経験できるかも分からない貴重なものになると考え直してそのまま地下5階の駐車場へと降りて並びひたすらに整理券の配布されるまでの時間を、平山瑞穂さんの「シュガーな俺」(世界文化社)なんかを読みながら待ち続ける。

 いやあしかし悩ましい病気だ糖尿病。たっぷりと食べてたっぷりと飲んで運動もしない肥満体の中高年が半ば懲罰的に罹る病気って偏見があって、まあそういった部分も2型についてはないわけじゃないんだけどこの本の主人公の場合は酒こそ飲んでもアルコール依存症ではなく、体型はどちらかといえば痩せ型でとてもじゃないけど一般的な通念では不摂生ゆえの糖尿病に陥るタイプには見えない。それが激痩せに倦怠感にのどの渇きといった糖尿病に特有の症状が治まらず医者に行ったら案の定、糖尿病だといわれて愕然。症状の自覚はあってもそこまで陥るとゆー覚悟はなくって驚き悩みながら治療に臨む。

 生来が生真面目な性格だったってこともあって食事療法は順調、とゆーかきわめて厳密にやってみるみるうちに血糖値は下がりインスリンの注射も必要がなくなり、ごくごく普通の生活へと帰っていく。ところがここに落とし穴が待っていた。結婚から何年か経ち倦怠期にも着ていたこととそれぞれが責任のある立場になってすれ違いも多くなった。たまるストレスにアドレナリンが出て血糖値が上がり、ストレスを紛らわせるために留めていた酒量が少しづつ増えていく。

 通院していた病院の担当医がいなくなり転院を余儀なくされて間に検査ができなかったことも重なり、3ヵ月後に行った先の病院で血糖値が激増していると伝えられる。なおかつ不思議なことに2型だったものが膵臓(すいぞう)内のベータ細胞が死滅し自分でインスリンを生成できない1型になっていることも判明。ありえないと思われていたことが起こってしまい唖然呆然としていた彼のところに1つの朗報がやって来た。それは……。

 結果、平山瑞穂とゆー作家が生まれてそこから自伝的な小説「シュガーな俺」も生まれてここに至るとゆーことで、今も日々にインスリンの注射器を携えながら日々を精力的に活動し執筆している平山さんへとたどり着く、のかどうかは知らない、会ったことないし。言えることは糖尿病だからといってそれが不摂生による自業自得なものばかりとは限らない、ってことでどこかの大臣が糖尿患者を論って謗っていたのはつまりは間違い。1つの障害として認知し理解する必要がある。あと1型はやむにやまれぬ事情だとして2型だったらやっぱり不摂生だ怠慢だといえるのかというとこれが難しい。このストレスの多い時代、ただでさえアドレナリンが出まくっているところにもって見渡せば酒に食べ物は溢れてて、洪水にように押し寄せる。避けて逃げるのは困難だ。

 おまけにたまるストレスを解消するにはそっちに行かずにはいられない。体が悲鳴をあげてもそれより強い悲鳴を上げてる心を癒すためには食べて飲んで騒いで遊ぶ。現代文明の中に生きる人間ならもはや避けられないところまできている病気を、不摂生だ怠慢だと言下に談じられない状況にあるのかもしれない。けれどでも、というよりだからこそ読んで流されず諦めず、1型は避けられないものでも2型ならならずに済むものだと、感じストレスなき世を実現するような方向へと気持ちを向け仕組みも変えていくべきなんだろー。原が出ているとかどうとかいった妙な基準で不安を煽り立てる国にメディアもいるけれど、そんな腹にしてしまうストレス社会の改善をこそ、国もメディアも働きかけるべきなのだ。

 とかって言っているうちに時間は午前の8時近くになってよーやく整理券が地下5階まで回ってきて、とりあえず60GBのものが買えるらしー整理券に割り込み防止券を交換してまた行列に。改めて並べなおした行列はずらりと並んだままでピクリとも動かず、ここからの長さって奴を強く激しく感じさせる。けどまあ選手のナビスコカップだって午前10時に並んで入場開始は11時で入れたのは12時近く。そこから試合開始まで2時間と軽く4時間を過ごした分けでその試合に始発で来て並んだ人のことを思えば、4時間5時間の行列なんかは何でもない。ありがたいことに「ヨドバシカメラ」、外の気候に配慮してか地下駐車場に行列させてくれたんで、ぬくぬくとしながら時間まで待つことができた。これで買えなかったら落胆も大きいんだけど。

 順にエレベーターで上がっていく行列について午前8時半ごろに6階ゲーム売り場へと入場。横一列のレジをすべて解放し、かつ近隣にある別の列まで使ってさばくから早いはやい。4階でも販売していたみたいで総計で軽く30台くらいは開いていたんだろーか。10分ほどでレジの前までたどり着いて無事に60GBの本体とそれから定番の「リッジレーサー」とさらにあの何とも言い難い沖縄神的な風貌とそしてあの実に魅力的なバディがどのよーにCGで再現されているかを確認するために宮里ゴルフを購入する。でもちょっとやるのが恐い宮里ゴルフ。揺れるかな。

 早速職場へと運んでつなげてネットからシステムソフトの新しいバージョンをダウンロードしてインストール。これってパソコンとか使い馴れてる人なら別に何とも想わない作業だけど、ゲームで且つネットに接続したことのない人だと結構大変かもしれいないなー。それ自体が完成品の家電ではなくパソコンと同じ情報機器って位置づけなのがよりクッキリ。つかいずれ家電もファームアップしていく形になるんだろーか。ならないよなあ。やっぱりちょっと不親切。でもまあ次回出荷かその次あたりからはちゃんと改良もされて無駄なダウンロードはしなくて済むよーになるだろー。「プレイステーション2」ん時だってシステムの改良版がすぐに出たし。リージョンコードの問題があったから、って不良かよ。

 んで「リッジレーサー」。感動薄いなあ。「Xbox360」とあんまり変わらない。スピード感なら「360」の方があったかも。固まりがすっ飛んでいってる感じが臭って来たもんなあ、画面から。まあ会社のテレビが普通のブラウン管の奴でハイビジョンじゃないからってのが最大の理由なんだけど、大半の家庭がまだそんなテレビの時代にハイレゾがどうだってアピールしたって、何のメリットも与えられないことだけは分かった。そこでだったらハイビジョンを買うか、ってゆーを地上波のフルデジタル化を先にまだ見てその辺りがターゲットになるだろー状況では、「PS3」の有り難みを味わえる環境を整えられる人以外はまだいいやってことになりかねない。そこをどう説得してやれブルーレイディスクが見られますとかいって買わせるか。あるいは「FF13」の凄さで引きつけるか。どんな戦略が出てくるのかを注目して見守ろう。しかし重いぞ「PS3」。明日は筋肉痛だ。


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