縮刷版2005年2月下旬号


【2月28日】 宮沢喜一元総理から「若い人はどんんどんおやなんさい」って発言が飛び出し、「テレビってそんなに公共なもの?」って意見も出たせいか、一枚岩的にバッシングの続いていた政財界にもひび割れが生まれ、バッシング続きだったライブドアの周辺事情が変化しつつある反面で、資本金を上回る増資なんて意図は分かっても常識の範囲を大きく超えた反撃手段を持ち出してしまって、好意的だった印象に影響が出始めたフジテレビジョン。人の関心が印象でもって大きく動く昨今の情勢で、結果として走りすぎてしまった感じがあって、ここからどう巻き返しを図るのか、ってのがこの戦争での目下の興味の置き所、だったりする。

 過去に数多のトレンドを作り出してきた番組の企画制作力をここで惜しみなく投入して、世論を一気に見方に付けるって手を果たして講じるか。「笑っていいとも」のテレフォンショッキングにニッポン放送の社長フジテレビの会長を出すとか「SMAP×SMAP」でSMAPとフジレテビの会長が共演するとかすれば、好感度もアップし一気に巻き返しなんて事態になるのかもしれない。そーいやナイナイの番組には結構出てたしなあ、日枝さん。

 もっとも、そこはそれ、厳しい視聴率競争を続ける他局が黙ってみているはずもなく、日テレが「おしゃれカンケイ」にホリエモンを出し若い女性の人気を集め、TBSは「ウルトラマン」の仲間にホリエモンを加えて少年たちの印象を高め、テレビ朝日はキュアホワイトとキュアブラックの友してキュアホリエを登場させて少女のファンを獲得させるって手に出ないとも限らない。テレビ東京は……「開運」なんでも鑑定団」でニッポン放送株の鑑定をさせたりとか。そんな四面楚歌の状況でフジテレビは果たしてイメージ戦争に勝ち抜けるのか。改変期を控えワイドショーも目白押しの期末のテレビ番組が今からとっても楽しみ。

 ギャグだ。これはギャグに違いない。明日発売の商品を作ろうとしていて、それも明日からバージョンが代わって製造ラインを変える必要があるにも関わらず、製造ラインがまるで整っておらず右に流れた部品を左へと移し替えてはとりあえず組み込み、けれども途中でこれは右に流し直せと云われて取り外しては別の場所へと組み込もうとしたら、当然のごとくネジのサイズが合わず組み込めない。

 そこでだったら元の場所へと戻すのかと思ったら、ネジを削って無理にでも付ければ良いとのお達しが出て唖然呆然。かといって悲しいかな工員たちは現場監督に逆らえず、上の部品を下に張り付け下の部品を右、右の部品は捨てて急場しのぎにつくった部品を上へと張り付け完成させ、ほっと一息ついた次の瞬間「部品を組み替える」とのお達しが出て、夜のラインはさらに新たな組み替えが行われ、急造された部品も付けられ午前の製品とはまるで違った製品がそこに出来上がる。

 なるほどみてくれは同じに見えるけど、よくよく見るとサイズは合わず所々にガタがあって、動かず走らず使えない立派な不良品がラインをアウトしては市場へと運ばれ店へと並べられて行く。見れば昨日までと同じ形。けれども買えばその欠陥ぶりは瞭然。昨日までは一応は使うことのできた機能が使えず、どうしてくれるんだと文句を言ってもそれを聞く耳なんて存在しない。讃える顧客の声は届いても。かくして商品への信頼はそこを境に損なわれ、かろうじてあった支持も失われてバージョンアップされたはずの製品は、改悪された欠陥品との汚名のもとに静かに市場から消え去るのであった。という寓話は現実とは絶対的に無関係です。だと思いたい。けど。うーむ。

 「ザ・スニーカー」の2005年4月号が届く。付録は涼宮ハルヒ下敷きで学校へ持っていくと自慢出来そうだけど持っていく先が会社なんで自慢をすると後ろ指とか指されそー。「オタクだ」「オタクだ」「オタクだ」って。でも良いもん「OTAKU」は今や国際語、NHKの教育テレビで偉いアナウンサーと人気のタレントが口にして平気な言葉になったんだから。下敷きの裏側は8月までのカレンダーがプリントされててゴールデンウィークの休日とか分かって重宝。なになに5月2日の月曜日が飛び石の谷間になっているのか。これを埋めれば4月29日から7連休。5月の6日7日も埋めれば10連休になるのだな、頑張ろう。頑張らなくても勝手に永久連休になっている可能性もあるけれど。なにせ日に3度代わる生産ラインなんで。

 「ザ・スニーカー」には「角川スニーカー小説大賞」の最終候補作も発表。うーん記憶にない。いやあるにはあるんだけど詳しい所までは覚えてなくって1次だったのか2次だったのかの記憶がほとんどない。東木春さんとゆー人の「君等の記号/私のジケン」は2次だったっけ。これはなかなかのものだったけど「角川ミステリー文庫」向きだったよーな覚えもあるからなあ。「多重人格者世界ポリフォニア」。タイトルに記憶が。でも見て後付けで浮かんだ記憶って可能性も極めて大。まあその辺はまるで気にしないで受賞者が決まって作品が刊行されて読んでデ・ジャ・ヴュを覚えることにしよー。日日日さんの「アンダカの怪造学」だってまるで記憶してないんだし。

 その日日日さんの「私の優しくない先輩」と「ちーちゃんは悠久の向こう」が山と積まれた船橋駅前「ときわ書房本店」に夜と何やら若い人が両方の作品を手に取りレジへと運ぶ姿を発見、売れてます日日日さん。別の人は手に海原零さん「銀盤カレイドスコープ」の最新刊を手に持っていたりして、ライトノベルって言われる分野の未だメジャーとは成り得ていなかった新人なりレーベルでも、確実にファン層を確保しつつあることが伺える。まさか船橋に特有の現象ってことはないだろーから日日日さんも海原さんも、遠からずメジャーとなって「王様のブランチ」で紹介されてベストセラーのリストに名を連ねると信じてその日の到来を待とう。来るかな果たして。


【2月27日】 家にいると爆睡してしまって仕事にならないんで早朝からお出かけして神保町まで行き「VELOCE」でサンドイッチを囓りながらのインタビューまとめ。3時間くらいで格好を付けたけどそれでもまだ長いから削らないといけなさそーだけどどの話も面白くって勿体ない。こーゆー時に分量不問のネットメディアって有り難い。社長が手前のメディアを使って無編集で言い訳するのにも役立つには役立つけれど。あれはちょっとみっともなかったなあ。聞いてるキャスターってのがプロなのに素人臭かったし。社長なので緊張してたとか。

 正午くらいまでで形をつけてあとは神保町を散策。「コミック高岡」で「ヤングキングアワーズ」の2005年4月号を早売りでゲットして早速「ジオブリーダーズ」を読んでいよいよ事が本格的に動き始めたことを知る。ハウンドと入江の正面対決の行方や以下に。明らかになりつつある「神楽」と菊島由佳と「あの女」の正体は? 等々これから繰り出されそーな展開に興味も及ぶけど何しろ描いて10数ページから20数ページがやっとの世界。真相へと迫るのもあと3年くらいはかかりそー。まああの世界の綾金は万博もなければ駅前のツインタワーも存在しない(はず)だからゆっくりで良いんだけど。

 「ヘルシング」も佳境。アンデルセンの非道な、ってゆーかある意味で神に敬虔な男の顔に野沢那智さんの笑みも混じった叫びが重なって聞こえていい感じ。あのキャストでオリジナルストーリーの「ヘルシング」をアニメ化してくれないもかなあ。「トライガンマキシマム」はミリメリ久々の大活躍。ってもあの巨大なゴム弾発射のガトリングガンもマントの中のデリンジャーも出てこないのは残念至極。こっちも佳境だけど果たして決着や如何に。やっぱり最終回は3年後か。

 神保町から電車を乗り継ぎ恵比寿にある「東京都写真美術館」で「OTAKU展リターンズ」、ってゆーか「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展 グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」を見物。結論。秋葉原へ行きなさい。あそこに行けば展示してあるものの半分くらいを占めてるポスターもあれば食玩も見られればレンタルボックスだって今まさにその値段で取り引きされている生きた奴が見られます。山手線でぐるりと回れば30分くらい? 地下鉄日比谷線なら東京の真下をくぐって直結している街「秋葉原」をわざわざこ洒落た恵比寿の美術館に持ってくる倒錯ぶりが何とも奇妙に見える。

なんてことはキュレーターの森川嘉一郎さんは先刻承知で、そーした転倒を経ることでヴェネチアにて国際的に披露されて日本に「OTAKUあり」ってことを世界のみならず日本の偉い人たちにも意識させた展覧会を、さらに美術館とゆー装置を使って国内にいるアタマのカタい人たちにも知らしめることができるのです。あとは「写真美術館」から「順路」とゆー看板を館の外へと引っ張り出し、山手線なり地下鉄の恵比寿駅へと引きずり込んでは鑑賞者を「秋葉原」へと導くなり、臨海都市線を使って「東京国際展示場」へと引っ張れば良い。それがやれてこその「おたく:人格=空間=都市」展だと思うけど不幸にも今秋来週と「ビッグサイト」で祭りがないからなあ。浜松町へと引っ張るか?

 でっかく貼られた1970年の「万国博覧会」の全景写真は眺めて懐かしさじんわり。あの動く歩道に乗ってみどり館とか上からながめたり、ガスパビリオンの前で記念写真とか撮影されたりしたんだよなあ。あの写真はどこにあるんだろ。実家のアルバムに貼ってあるはずだけど。万博のリアルタイムの記録なんでそのうちに回収に行こう。でもこっちにもってくると3日で埋もれてしまうからやっぱり実家に置いておこう。流れているBGMは何だったっけ、「幻魔大戦」の映画のエンディングテーマだったよーな気が。オーラを出しながら短髪の東丈と金槌みたいなロボットと吊り目のプリンセスが空を滑空してたんだっけ違ったっけ。もう1曲は「新世紀エヴァンゲリオン」の「デスリバ」の間奏になった曲、だったかな、「リバース」のラストの奴だったっけ。すでに記憶にないけどとりあえず選曲のセンスは讃えよう。いかにもなアニソンだとマジで秋葉原になっちゃうし。

 帰りしなに「恵比寿三越」の地下にある靴屋でワゴンセールに遭遇。聞くとサンプルでサイズはワンサイズで合えばお得と聞かされ早速試すとこれが何と、シンデレラのガラスの靴かと見まがうばかりに足にピッタリでこれは僥倖とその場で選んで2足買う。サンプルってゆーけどデザインも色目も正規品より圧倒的に格好良い。「メレル」のジャングルモックを買い足そうと思っていただけに同じ値段で2足を買えたのは良かった。「Gola」ってブランドで聞くと英国製ですでに100年の歴史を持っているらしーけど個人的にはまるで初耳。扱っているショップもまだまだ少ないそーでご近所にある「カンペール」同様にこれらの展開なんかを期待したいところ。ワゴンにはまだまだ格好良いのが山積みでサイズも合うことが分かったんでお金が出来たらまた行って拾って来よう。


【2月26日】 なんだか気がつくと「日本SF評論賞」なんてものが出来てて吃驚。主催しているのは日本SF作家クラブで、日本SF大賞日本SF新人賞と来て次は評論って設立される流れは至極真っ当なものでこれで車の両輪(3輪あるぞ)が揃ったって言えそう。後援もこれらと並んで徳間書店かと思ったら早川書房になっててそのあたり、徳間書店の昨今のお家の事情が関係あるのか単に評論の発表媒体としては「SFジャパン」よりも「SFマガジン」が似つかわしいと思われたのか興味のあるところ。「SFジャパン」はまだ続くのか?

 それにしても早川書房、SF誌の本家で元祖なのに肝心の小説での賞をすっ飛ばして評論の賞を後援してしまう、ってのもなかなかに革命的。あるいは新しい書き手はライトノベルとよばれるレーベルからどんどんと出てきてて新たに自ら発掘しなくても潤沢。一方で評論はなかなかに発表する場もないまま蔑ろにされているっぽいところがあるんで、ここでひとつ立ち上げ盛り上げて行こうって考えでもあるのかな。でもSF評論はいくら凄いのが集まってもベストセラーにはならないし映画化だってアニメ化だって難しい(無理だって)。コンテンツとして利益を生み出す可能性はほとんどないのに敢えて手を出す早川書房「SFマガジン」編集部の英断には賛辞、って賞金ないじゃん。「SFマガジン」掲載時の原稿料は……子供なのでよく分かりません。

 もっとも設立趣意書を読むと、それこそアニメ化されキャラクター化されたって不思議がないくらいに破天荒にして革命的な「SF評論」の登場を求めている節も感じられないこともない。「世界がSFと化してしまった現在、きわめてクリエイティヴなSF的想像力を創作以外の形式で発揮するものが増大するようになったのも、疑いえません。SFが小説から映像、音楽まで多くの表現形式を獲得してきたように、SF評論もまた、創作以外の多くの領域をカバーするもうひとつの表現形式として、評価されるべき時代が到来しました」って宣言する設立趣意書は、「SF評論」が「新聞雑誌の書評や文庫の解説によって、かたちづくられてきた」イメージから脱して新たな地平を切り開く可能性を持っていて、それが今こそ発揮されるべきであるってな期待をそこに込めている。

 SF小説のみならずSFマンガですらなく例えば建築であったりファッションであったり社会現象への言及を通じてそこに”SF的創造力”を見出す作業があれば「SF評論」として認められるって可能性がある。あらゆるものが擬人化されキャラクターとなって提案され消費される昨今の傾向を子細に分析して、人がただの物でも擬人化された途端に駆動する好意の感情が何に根ざすものなのか、それは訓練と経験によって育まれたものなのか今や先天的に人が獲得し得ている心理なのか、ってなこを考えたりするのもありなのかも。

 遠く平安の世からつい最近に至るまで、付喪神として畏怖されていたはずの物の擬人化が、現代では萌えキャラとして需要されるようになったそのパラダイムシフトの背後にあるものは何なのかを思索しつつ、もはや人は人のみを愛するにあらず、愛したい者なり物を愛することのできる解放された心、開放された観念を獲得したのだ、ってな話をでっち上げつつなれば実験としてひとつの擬人化キャラを創作しそれを慈しめるかを実証してみる過程で、そのキャラクターが人気化しグッズ化されアニメ化とかされるって可能性も……さすがにないか。

 まあとりあえず求められているものが有り体の”書評”の延長でないことは確かなんでせいぜいがあらすじを紹介するだけの人間には縁遠い賞ってことで、外野からどんな凄い評論が出てくるかをまま盛ろう。、いわゆる「セカイ系」とか「萌え」とかって今流行ってる概念でもって過去の作品をサルベージしてみせて、それを年輩の人が目新しいと思って絶賛したり同時代の人たちが俺たちの言葉で語られたものだと共感するのも悪くはないけど、そんなどこかに世代間闘争を内包したものじゃなくって先へと突き抜け新たなビジョンを提示してくれるものが出てくることを期待。いっそ文章じゃなく漫画でも映像でもアート作品でもファッションでも、それが批評性を持ったものなら「日本SF評論賞」として認めたら面白いのになあ。

 徒歩で「TOKYO−BAYららぽーと」へと出かけて「東京パン屋ストリート」を観察。途中で横断歩道を渡るときに道案内をしていた制服制帽姿の眼鏡っ娘が気になったけどカメラを持っていなかったので撮影できず。また見に行こう。さて「パン屋ストリート」は午前10時半の段階ですでに行列が30分待ち。おまけに中に入ってからでも30分とか1時間待ちを余儀なくされる結構ハードな状況になっていて、評判を聞いて遠方から出向いてきた人の怒りを招きそう。それでも粛々と並んでいる辺りは日本人なんだけど。

 「佐世保バーガー」なんて180分待ちってゆーから3時間? いったん入場しても出たらまた行列ってことはつまりそれだけ中にいないと食べられないってことだとすると、行けば1日仕事になってしまいそー。これだったら阿佐ヶ谷あたりへと行って別の店とかが売ってる「佐世保バーガー」を食べる方が良いかも。3時間あれば行って帰ってまた行ける。まあ開店当初にどっと客が詰めかけるのは何処の「フードテーマパーク」も同様なんで、半年くらい経って客足も落ち着いた時期にまた行ってゆっくりと味わって来ることにしよー。


【2月25日】 稼げば住める良いお家。「NHKにようこそ」の漫画が無茶苦茶売れてて原作も10万部とか行ってて「ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ」も映画化進行中な滝本竜彦さんそれらで稼ぎ出したお金で移り住んだらしー新居が「読売新聞」2005年2月25日付けの夕刊で大紹介。オタクの人のお宅を拝見するなんてさすがは「OTAKUニッポン」ってコーナーらしいと笑いつつも、壁1面にしつらえられた書棚の大きさにやっぱり広い場所に住んでる本を壁一面に並べて悦に入りたいなって衝動が募る。

 とはいえ人間の思考思想がそこに映し出されやすいのも書棚の特徴。人前にさらせるかってゆーと自信がないけどそこは我らが滝本さん、漫画も小説も無関係に陳列した書棚を前に腕組みしていて勇気たっぷり。ならばと目を皿にして書棚の本を見ると「滝本竜彦特集」がされた「九龍」とか、コミック版と小説版の「NHKにようこそ」とか、文庫版の「ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ」が複数冊並んでいたりして作家っぽい。あとハヤカワSFの青背も並んでいるんだけどタイトルまでは見えず。コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズかなあ、やっぱり。

 不思議なのは「上之国村史」と「続上ノ国村史」の2冊でおそらくは地元の歴史に興味を覚えての購入と推定。その前に置いてあるお守りがちょっと気になる。「エホバの証人」は漫画版「NHKにようこそ」の参考資料か。漫画もたくさんあるけれどひときわ目立ったのが「ドラえもん」。書棚の一角にずらりと並んでて好きで読んでいるのかそれとも何かの参考にしているのかと興味が及ぶ。見る人が見ればさらに詳細な蔵書目録を作れるかも。記事はそんな蔵書紹介ではなく「ひきこもり」と戦い作家になった滝本さんを讃える内容で、袖に斎藤環さんが珍しくも白衣姿で登場していて「もうひきこもりに義理立てせず、自分の才能を信じてどんどんやってほしいと思います」ってエールを贈ってるけどさて果て聞き届けてもらえますやら。「ムーの少年」の改稿、とにかく頑張れそして「僕ノエア」に「ecoo」の改稿も頑張れ。

 急展開続きで頭が追いつけなくなっているのに更なる大展開でもう何がなんだか分からない「舞−HiME」は玖珂なつきがバイクで奈緒にこかされ捕まりいたぶられそーなところに白馬に乗った騎士ならぬ長刀持った姫登場。滾る熱情を刃に込めて奈緒をいたぶり巨大にして最強に近いチャイルドでもって吹き飛ばす。その容赦のなさに恋する女にちょっかいを出す迂闊さを強く想う。とりわけ実らぬ恋だけに。けどいつからどーしてそーゆー思いを抱くよーになったんだろー。DVD第2巻に入ってる第4話のおまけ映像で明かされているのかな。やっぱりあの引き締まってふくよかなお尻が良いのかな。

 けどしかしその姫のチャイルドが倒された時に消える「大切なもの」はすなわちなつきってことで、けれども理から言えば姫はいずれ1人だけが残るってことはその恋する姫が最期に残らないとなつきが消えてしまうことになる。これはまずい。お話的にも主役の舞衣が残らないのはまずいけど舞衣の「大切なもの」の1つはすでに消滅。残る1つはその優柔不断ぶりがかかる混乱を招いたってことで別に消えても構わない。むしろとっとと消えてくれ。ってことで姫は姫らしい人へと落ち着き世界は丸くおさまってタイトルも最終話から「清姫」となって秋から第二シリーズが始まるとちょっと嬉しいかも。二三さんはしかし速いなあ強いなあ。あの速さと強さを表現する絵を描いた人に拍手。けどしかしやっぱり負けちゃったの? 勿体ないなあ。

 仕事で確認する必要があって「機動警察パトレイバー」の映画の第1作目を見直す。冒頭で帆場が鳥を飛ばしたのが最後に利いてくるって筋立てへの感銘を話していた人がいてそれが果たしてどんな伏線だったのかを確認。第2作目はセリフの細かいところまで覚えてしまうくらいに年に2回は見直しているんだけど1は2年に1回くらいしか見てないんですっかり何だか忘れてた。ちなみに「W13」は劇場で1回とDVDで1回の都合2回しかまだ見てない。だって痛すぎて。ふられ男の彷徨が。

 んで帆場。そうかあの飛ばした烏に付けたプレートで攪乱をしよーとしたってことか。実際に人がいるって見誤った遊馬は方舟を落とすのを躊躇してしまいそれがHOSに仕組まれたトラップの発動へとつながってレイバー暴走の阻止を失敗の瀬戸際へと追い込む。けれども人がいるかもしれないって信じた遊馬が野明を塔の先端へと送り込んでいたからこそ、暴走で利かなくなったコンピューターの代わりに人力でもって方舟の破壊を行うことが出来たわけで、その辺り人の心って奴があれば東京は、日本は救えるかもしれないぜって賭を帆場はしていたのかもって思えなくもない。帆場のそんな揺れる心理状態を解説した文章ってあるのかな。まあともあれクライマックスに影響を与えていることが分かったんでとりあえず良しとしよー。たまに見ると面白いねえ第1作も。ってかエンタメとしてはこっちの方が上だなあ。


【2月24日】 やっと見た「ファンタジックチルドレン」の第21話「デュマ」でギリシアの人たちが地球の人よりも巨大だったことがほのめかしだけでなく明らかに。ソファーに寝そべっていた王弟が「百億の昼と千億の夜」のコミックに出てきたアトランティスの神様みたく大きかったのを前に見たけどあれは別に巨大モニターに映っていた訳でなく、そこにいてちゃんと大きかったんだ。デュマはだから縮体された訳で、けれども歳を取らないのは時間が悠久なギリシア人の血を引き続けたままだからってことになるのかな。

 ガラスケースに入ったティナもやっぱり巨大。だけど目を開けたまんまで眠っているのはちょっと怖い。顔も怖い。予定だとここにヘルガから魂が戻って目覚めたティナがガラスケースを割って飛び出し海を渡って街へと向かい、ビルを壊し道路をまたぎタワーによじ登っては全身からゾーンのエネルギーを放出して、破壊の限りを尽くしているところにかけつけたソーマが胸に万年筆を当て、巨大化してこれと組んずほぐれつの戦いを演じるって展開になるんだろー。加勢するワンダだけどティナにあっさり踏みつぶされて昇天。ゲームはだから巨大化したティナをどう誘い出しどう倒すのかって内容になると思われる。「大ティナ」。発売はイースリーか。?

 公共性を謳うメディアがあって報道機関としても自主性・独立性が担保されるべきだと言って敵対的な買収を排除しようと頑張り、外資の規制を強化して欲しいと政界官界に働きかける。なるほどそれだけだったら筋は通っているよーに見えるけど、そう主張しているメディアが敵対的買収を行っている勢力の影響力を軽減するため、強い関連を持つ企業との関係をより深めようとしていることは果たして、公共性やら自主性・独立性が尊ばれるべきメディア企業にとって果たして是か非かといった問題を、考えてみたけど難しすぎてよく分からない。

 敵対的な買収を排除するために行おうとしたのが商法との絡みで果たして適正かそれとも不適正かが評価の別れる新株予約権の発行。ともすれば既存株主の利益を損ねるって指摘もあるし、支配権を争っている最中に支配権の獲得に有利となる増資はやっぱり商法違反。そこで主張するのが敵対的買収を行っている企業の支配に陥れば、関係の深い会社との取引が立たれて会社の収益に影響するってことだけど、裏返せばこれってつまりは経営を揺るがしかねないくらいに関係の深い会社に収益面を依存していたってことになる。

 そこが蛇口を右にひねるか左にひねるかで、大きく揺さぶられる体質の会社が公共性を謳い自主性・独立性を保持するために外資規制の強化が必要と求めることが果たして妥当なのか。依存度の極めて高い取引先、すなわち切られれば大きなリスクとなりかねない取引先を持つ一方で資本を揺さぶられ取引を切られる可能性も保持したまま、資本市場に株式を公開し続けたことは果たして正しいことなのか。考え出すと難しくって結論もまとまらないけどそれぞれに超絶的に頭の良い、法律に詳しい人たちが付いて戦っている訳でそれがどっちに転ぶのかで、外野的には興味深い展開がまだしばらく続きそう、ってだから外野じゃないんだってば。

 プレーすることに興味はないけどプレーしている美少女たちへの興味がじくじく上昇中のゴルフ業界がイベントを開いているってんで「東京ビッグサイト」へと出向き「ジャパンゴルフフェア2005」を見物。日本ゴルフ用品協会ってところが主催していて出展しているのはミズノにブリジストンにダンロップ、ナイキにテーラーメード(アディダスグループ)にピンにキャロウェイと内外のゴルフメーカーたち。並んでいるのはクラブにシューズにウェアといった商品群で、10年以上昔のゴルフをちょっとだけやっていた頃だったら近寄って手に取り振り回しては買おうなんて思ったかも。

これを宮里選手が着ると中国の理髪店になるから世の中ってのは不思議。この娘だと70年代のボウリング場。いっしょか。  しばらく離れていて久方ぶりに見て驚いたのは道具のデザインがとてつもなく洗練されていたってことでナイキのクラブなんかはシンプルな上に使うとなんだか強くなれそーなデザインで、バスケットシューズとかランニングシューズとかサッカーシューズと同様にデザイン性でもって若いユーザー層にアピールしそう。一時タイガー・うっず人気で盛り上がったもののシュリンクした所を専門家を招き立て直しただけのことはある。今ならきっと使い勝手も良いんだろーなー。

 シューズ類の洗練されぶりはさらに格段。昔はだいたい革でサドルシューズっぽかったりしたのがせいぜいだったのが今はアディダスにナイキにプーマといったスポーツ用品メーカーが、スニーカーのデザイン性と機動性を取り入れたものを発売していて、これなら街でだって履いて平気そー。底に針じゃないけどソフトなスパイクが付いているから無理だけど。ウェアはうーん、物によってはゴルフゴルフしているけれどオークレーみたくサングラスのメーカーがスタイリッシュなデザインの物を出したりアディダスがスポーツの雰囲気を問い入れたものを出したりしていてこちらも進歩の跡が著しい。でも宮里藍選手の着るウェアはちょっとどうかと。あるいは宮里選手だからどうなのか? タイガー・うっず選手のだってタイガー選手以外は似合いそうもないからなあ。

 「北斗の拳」が還って来るってんでパチンコ屋へ、じゃない六本木ヒルズの会見場へ。「コミックバンチ」を出してるコアミックスで描いている漫画家さんとかが出資していて彼らの版権管理も手がけているノース・スターズ・ピクチャーズってところが2005年にいよいよ「北斗の拳」を劇場映画化するって発表で、予定ではマズ2006年春に「ラオウ外伝」純愛編を劇場公開して秋に「ラオウ外伝」の激闘編をOVA、でもって2007年春に「ユリア伝説」を劇場で公開し秋に「トキ伝説」をOVAで出しラストの「ケンシロウ伝説」を2008年春に劇場公開するとゆー、聞くとなかなかに遠大な構想がブチ上げられた。生きているかなあその頃。

 「ラオウ外伝」のお話があの長大な「北斗の拳」のどの辺りに位置するのかは分からないけど一応ケンシロウもちゃんと出演する予定なんで安心、したいけど声がオリジナルな神谷明さんではなくって阿部寛さんってところがひとつ英断か。つかこうへいさんの劇団で鍛えられて声も演技も骨太になった阿部さんだったら務まりそうな気もしないでもないけれど、強く印象づけられたキャラクターだけに果たしてどんな感じになるのか気になる。なので阿部さんには劇場公開までの間に体型も鍛えてもらってあのコスチュームを身につけてもらって、舞台とかテレビとかに出て「お前は既に死んでいる」と1万回、言ってもらえばそれまでにこちらも馴染みそう。頑張れ阿部ちゃん。ユリアは仲間由紀恵さんにやらせろ。

 驚きはそれだけではない。「ラオウ外伝」にはラオウに心を寄せている女性の戦士が登場するんだけどそのデザインを「シティハンター」の北条司さんが担当。披露されたデザインはもろ北条司ってキャラクターでそれがあの殺伐とした「北斗の拳」の世界にどうとけ込むのか、今から楽しみで仕方がない。ちなみに声はあの柴崎コウさんが担当とのことでこれもまた見物。ラオウはだったら誰に一体なるんだろー。「ゴジラ・ザ・ファイナル・ウォーズ」で意外に演技も真っ当だった船木誠勝さんとかどう? ダメか「デビルマン」があれだったから。製作はちなみにトムス・エンタテインメントつまりは東京ムービー新社なんで絵的には安心。お話的には? これも期待。詳細は明日発売の「コミックバンチ」でチェックだ。

 「コミックバンチ」にトムスってことであるいはと見渡すとパーティー会場に発見の香山哲さん。セガの頃にコアミックスが「バンチ」でやった新人漫画家発掘コンテストをスポンサードしていたし、グループのトムスで役員もしていたからいない方が逆に不思議ってゆーか。今回ハノース・スターズ・ピクチャーズの顧問って肩書きでの参加だけどセガ代表取締役を退任して夏と冬に消息を聞かなかっただけに、ここでこーして極上のコンテンツが出来上がりつつある現場にいる姿を見て、また何かやらかしてくれそうって興味津々。横に次原隆二さんがおられたのであいさつ。「よろしく」「メカドック」。そんな合言葉は飛びません。


【2月23日】 東京駅から「東京国際フォーラム」へと抜ける地下道に日本最長の広告が登場したってんで見物に。マツダの「プレマシー」ってファミリー向けSUVにマッチして「プレマシーに乗る家族」って感じのテーマで篠山紀信さんが撮影したものとかで、公募の中から60組の家族を選んで富んだりはねたり抱き合ったり、踊っていたり犬を連れていたりする家族のワンシーンを切り取っては車と並べて掲示してあって見ればああ家族ってスバラシイ、って気分になる人が大半だろー。

 けどざっと見て60組の家族が基本的に男性と女性の夫婦の間に1人から2人で多いと3人4人、加えて祖父母って”いかにも”な家族ばっかりってのがちょっぴりだけど気になった。シングルマザーはなし。男やもめもやっぱりなくって離婚率の急激に高まるこのご時世、何でそーした層への配慮がないんだって言い出す人とかも出てきそう。1000人に2人とかそれくらいの離婚率が60組の広告にどんな影響を及ぼすのかは分からないけど。

 カップルが男同士とか女同士ってのがないのも気になったといえば気になったところ。子供も健常者ばかりだし犬じゃなくって牛とか飼ってる家族も出ていなかった。まあ広告だし日本だから笑い話で済むけれど、米国だとそれを見て差別を受けている思い不快感が募ったって心情だけでも裁判、成立しちゃいそーだからなー。やってみるか。結婚してやることやって子供を作った夫婦の姿は見ていて独身中年にとてつもなく不愉快だ、とか言って。「甲斐性なし」って言われて終わり? ごもっとも。

 Jリーグの選手名鑑が載ってるんで勝った「週刊サッカーダイジェスト」の2005年3月8日号を読みながら呻吟、うーんユニフォーム格好悪すぎ。とくに東京ヴェルディ1969。正面から見た袖の付け根の部分に黄色い戦が入っているんだけどこれが異様にぶっとくて、まるで荒縄で襷でもかけているか登山用のリュックを背負っているよーに見える。ナイキのこのタイプだとアーセナルなんかも肩に確かラインが入っているんだけどこれは前身を囲む金色の細い線が赤地の上に映えて綺麗なアクセントになっている。もっと細くするなりなくすなり、して欲しかったけど出てしまった以上は仕方がない、我らが日テレ・ベレーザのユニフォームが同じパターンにならず「ニチレイ」を新スポンサーにして見栄えの良いままで居続けることを祈ろう。

 ジェフユナイテッド千葉・市原も胸のカタカナの「オートウェーブ」が今もって微妙。地元企業とは言えユニフォームの格好良さも考えたロゴを提供して欲しいなあ。脇の青も黄色とまるでマッチしてません。アウェーだと白地に青なんてそれなりに見栄えも良いんだけど。今年も応援はするけどユニフォームは買わなさそう。名古屋グランパスエイト。唯一のル・コック製ユニフォームは去年のが丸首で全面が同じトーンの赤でなかなかに格好良かったんだけど今年は余計な黒が入りあまつさえ白まで入って目に痛い。やっぱり買わない。よほど凄い選手とか来てくれれば別だけど。フィーゴ先生来ないかな。

 ヴィッセル神戸。ピチユニでハイネックはトッティしか似合いません。いわんや日本人をや。ってかエムボマだって似合ってないよお。イルハンが来たってこれでは売れない。どーする楽天。それでも売る気か。とゆー訳で今年もベストユニフォームは清水エスパルスが獲得。肩も前身もオレンジを基本に袖は無地、前身はいつもどーりに世界地図が地紋で入って遠目にもエスパルスらしさが意地されているのがよく分かる。アウェーはグレーで肩から脇へと白地が入って、襷っぽいけどヴェルディほどは格好悪くない。むしろアクセントになってて格好良い。胸のロゴも「JAL」とアルファベットなのもポイント高し。これでもっと強ければ日本でも屈指の人気ユニフォームになるんだけどなあ。ダービッツとか来ないかなあ(来ません)。

 疑問。フジサンケイグループに留まり続けることが企業価値の維持につながり株主にも結果として利益になるとニッポン放送の社長の人は、フジテレビへの第三者割当増資が結果的に行われて希薄化が起こって既存株主の権利が脅かされるかもって懸念に反論を加えていたけれど、全部が発行されれば上場廃止は必至で結果として既存株主は市場で自由に売買できない株を抱えて困ってしまうことになりかねない。あるいはそーなる前にTOBに応じてライブドアの過半数確保を阻止しましょーよって言うための新株予約券発行だったのかもって考える人も出てきそう。ブラフって奴か。

 ニッポン放送がライブドアの傘下になったらニッポン放送にぶら下がっているポニーキャにpんにフジテレビからコンテンツの供給がされなくなってこれも企業価値の低下につながるって見解もあったけど、系列だからポニキャニに販売を委託していたんであってポニキャニが持つ全国的なDVDなり音楽CDの流通網、営業網を評価しビジネスとして使っていたんじゃない、って論理とこれは裏返し。つまりは系列だからって収益とは別の視点で利用していた訳で、これを果たしてフジテレビの株主にとっては利益が奪われたって主張できるのかに興味が及ぶ。ポニキャニが儲かればニッポン放送が儲かりフジテレビも儲かるか、ってゆーとあっちが親会社だからそーはならないんだったよーな。うーん微妙。

 商法的に有利発行になりはしないか、支配権をめぐる係争の中での支配権を握るための増資は商法違反ではないか、って見解ももちろんあってこのあたりをライブドアがどー突っ込んで来るのかにも注目。ニッポン放送がフジテレビのグループである意義はあっても、フジテレビがニッポン放送をグループにしておく意義ってのの説明があんまりなく、それなのに改めて大金を使って子会社にするのは株主利益に反すると、フジテレビの株主が言い出したらどーなるのかにも興味が及ぶ。けど商法に詳しい弁護士の人の見解によればそんな反論は先刻承知。あちらこちらに言い訳の余地を残したスキームになっているよーで、そこから始まる長期戦の中でライブドアが疲弊するのか放送側が根負けするのか、第三者的にはしばらくぶりに楽しめる事態が続きそー、でも第三者じゃない人にとっては……来年って来るのかなあ。


【2月22日】 3冠王になり4冠目も間もなくといった感じで大活躍している羽生善治さんを筆頭に、20歳で妻子とそれから棋界最高位の竜王位を持っている渡辺明さんほか多数の棋士が日々しのぎを削っているプロの将棋界にだったら自分も加わりたいと、町の将棋自慢が想ってもこれは実力的にかなわぬこと。だったら街どころか県どころ国でも一番のアマチュアがプロにさせてくれといってもこれもやっっぱりかなわない。まずはアマチュアトップだからと行ってプロに比べるとやっぱり実力で大駒1枚、2枚の差があるらしいってことと、そして制度としてプロになるには新進棋士奨励会で3段リーグを戦い2位までに入らなくてはいけないって規定が厳として存在しているから、たとえアマチュアとして名人竜王を平手で破ってもプロにはなれない。

 もちろん実力差からアマチュアトップが名人竜王に勝つことはとてつもなく難しい。10番打てば1つくらいは緩めてもらって勝てるかもしれないけれどそれを実力を見るにはほど遠い。だが、あるいは現にプロと呼ばれている人たちに迫る実力を持ったアマなら決していないこともない。瀬川晶司さんていう、アマチュアの世界ではそれなりに名の通った人がいるんだけどこの人がこの何年か、プロを相手に公式戦という歴とした場で22戦を戦い16勝、率で言うなら7割2分7厘もの好成績を上げていて、その実力を背景に自分もプロとなりたいと訴えたことが将棋の世界でちょっとした、どころではない問題となっていろいろ波紋を投げかけている。なんてことが「週刊将棋」の2月23日号に書いてある。

 そんなに強いんだからプロにしちゃえば、って意見もあってそれはプロも認めるものらしく羽生善治3冠王もコメントで「瀬川さんが銀河戦でこれだけ勝っているという事実は、重たい出来事だと想います」って前向きの評価をしてるし竜王戦を主催してスポンサーとして発言力を持つ読売新聞社の人も「強ければプロ、弱ければアマではないのか」と率直な所を行っている。読売的には一方で将棋のファンが今のままでは減り続ける可能性があることも視野に入れていて、話題性も加味しつつ棋界のレベルアップが図れるなら認めるに悪いことではないって思惑もあるみたい。まあ当然か。

 一方で厳然としてある奨励会制度との兼ね合いが難しく、将棋連盟の理事の人、奨励会幹事の棋士の人かはらいたずらに増えて運営を圧迫しかねない新システムの導入なり、現在も日々を研鑽し戦っている奨励会員への配慮から反対の声があがっている。これもまあ当然か。瀬川さんという人がそんなに強いならだったら奨励会に入れば良い、という意見も知らない人からは出てきそうだけど、ここで壁となるのが年齢制限。満23歳で初段になって満26歳の誕生日を含むリーグ戦が終わるまでに4段になれなかったら退会、ってゆー厳しい規定がある。リーグ戦で勝ち越せば延長もできるけどそれも満29歳まで。瀬川さんも奨励会3段を8期やって規定によって退会した人で、その意味からいけば誰にでも平等に与えられていたチャンスをものにできなかったってことになる。

 もっとも人間には大器晩成ってタイプもあるもので、退会して本来だったら情熱を失い将棋盤にも駒にも目を向けたくなくなるところを研鑽して頑張って、プロにも互した実力をつけて34歳にして満天下にその存在を示すよーになった。その努力たるや果たしていかばかりか。4段に上がったものの実力を発揮できないままC2という順位戦で最下位の級に留まり降級点をもらいフリークラスへ、なんて棋士もいるなかで未だ衰えない実力を持ち続ける人材を、捨てて何が実力本位のプロの世界といえるのか、って声もあって瀬川さんのプロ入の後押しになっている。

 異論はやっぱりあって瀬川さんが勝ち続けているのは「銀河戦」という衛星放送向けのテレビ将棋。持ち時間は予選が25分で本戦は15分、1手30秒以内の考慮時間とゆーいわゆる早指しの将棋で何時間も熟考の上に最善最強の1手を繰り出しそれに対してやはり長考の上起死回生の1手を打つ、7大タイトル戦なり順位戦とはやはり並べて考えるのは如何なものかって声がある。読売新聞の人も「竜王戦などでも結果を出してもらいたい」と言って本当の強さを未だ図りかねている。ただしやっぱりここでも重たいのが羽生3冠王の言葉で「銀河戦でこれだけ勝っている事実」は「重い」と何であってもプロ相手の棋戦で勝つ大変さを讃えている。加えて「20歳を過ぎたらノーチャンスというのはどうか」(2003年度奨励会試験合格者より満21歳の誕生日までに初段という規定)と苦言も呈してて、若さよりもまず強さを見るべき仕組みの導入に期待を寄せている。

 「週刊将棋」は販売は毎日コミュニケーションズだけど発売は日本将棋連盟、すなわちプロ棋士たちの集団で、そこが敢えてこーゆー特集を組んで問題を顕在化し喧伝しているのは大きなこと。同様に将棋連盟の出している「将棋世界」でも2005年3月号で瀬川アマ本人が問題提起を行っている。手前の問題にまったく触れずなかったことのよーに扱うテレビなり、相手の足下を探ってひっくり返そうと躍起になる新聞が「公共性」を口にする恥知らずっぷりを満天下に見せている中で、実に尊敬すべき行動だろー。

 あるいはそれもある種の意図であって、体制をひっくり返したい勢力をバックにした内部分裂的なプロパガンダと、言われかねない懸念もあるけれど、少なくとも両論を併記しつつ棋士にもファンにも考えようと呼びかけている点は素晴らしい。果たしてどういう結末を見るのか。囲碁みたく強力なアマをテストて勝てばプロの何段かに引き入れる制度を取り入れるのか三段リーグへの編入を認めるのか実力を認めてそのままプロのフリークラスに入れるのか。この春の棋界の話題は羽生さん渡辺さんの活躍だけじゃなさそー。要注目。

 えっと何歳だったっけ、86歳? すごいすごいぞやなせたかしさん。ナムコがプロデュースする「フードテーマパーク」の新カテゴリーとして全国の有名パン屋さんが集まった「東京パン屋ストリート」ってのが船橋の「ららぽーと」に出来るんで、その内覧会に行ったら「アンパンマン」のやなせたかしさんが来賓として来場。聞くと「パン屋ストリート」に入っている「佐世保ばーがーエッグマン」の「佐世保バーガーボーイ」とかいうキャラクターのデザインを担当した縁だそーで、会場にも巨大な「バーガーボーイ」が来ては子供たちを泣かせて……はいないか、喜ばれていた。でも真正面から見るとちょとt怖い。

 それでやなせさん。ほかの来賓が挨拶したトリを飾って登壇して、さて何を言うかと思ったら手にはめた「アンパンマン」の人形を右に左に振りながら「ららぽーとパンのうた」とかいうのを歌い出したから驚いた。なにしろ高齢。だけどそこは漫画のかたわら数々の作詞も手がけミュージカルだって作っちゃうほどの音楽好きなやなせさんだけあって、音程はあれだったけどまあそれなりに、まとまった内容のパンを讃える歌を披露して会場の拍手喝采を浴びていた。3番だか4番まで歌ったのもご愛敬。よく覚えていられるなあ、って見たら手にはめた「アンパンマン」のグローブのマントニカンニングペーパーが貼ってあった。なあるほど。その手は良い。パペットマペットも手のパペットの背中にネタのカンペが貼ってあるのかな。いやだから後ろの黒覆面は見えないんだってば。

 会場は「東京シュークリーム畑」に近いメルヘンチックな内装にパン屋が並ぶ「フードテーマパーク」的な作り。並んだパンはメロンパンにカレーパンにバゲットその他いろいろあったけど行列が真っ先に出来たのはやっぱり「佐世保バーガー」で、ブースの中では店員さんが鉄板に分厚いベーコンをおとし卵を焼きハンバーグも焼いてバンズを重ね作り上げていくんだけどその見栄えの良さもあってか、どんどんとお客さんの手へと渡ってしまって何度も作り直す事態に。何分か待って手にして食べた「佐世保バーガー」は「ファーストキッチン」の「ベーコンエッグバーガー」の中身を倍3倍にアップした感じで食べ応えは十分で、なるほどこれなら人気も出るものだと納得する。ちょっぴりベーコンがつめたかった? やっぱりベーコンはカリカリが良い? いずれ調整もされるでしょー。


【2月21日】 「ワンダーフェスティバル2005冬」で見かけたものあれこれ。っても企業ブースばっかり。お菓子も美味しい北陸製菓の玩具菓子は「愛・地球博」バージョンが登場みたいで万博も間近となった今頃になってよーやく世間一般にも「トトロとムックを足してガチャピンの色を塗った奴」と誤解をされなくなった「モリゾー&キッコロ」のペアをかたどったフィギュア入り菓子を展示。いやあ可愛いかわいい。

 真正面から見た突っ立ってるポーズだと三白眼の無粋な奴だけど、笑ったり驚いたりすると口が出たり目が下がったりして結構表情豊かなんだよモリゾーさん。そんな仕草をしっかり捉えまとめ立体に再現してあるんで集めて眺めると心に安らぎを覚えること間違いなし、なのは「愛・地球博」があまりに知名度低くてちょっぴり寂しい地元出身者の愛故か。笹島の「ポケパーク」辺りで売られていたらみんな「ポケットモンスター」のバトルフィギュアに流れるんだろーな。どっちにしたって海洋堂はうっはうは。最先端の技術を極めた会社のこれが強さって奴だ。

 アルケミストでは「びんちょうタン」の貯金箱。しばらく前から見かけて軽佻浮薄な萌えキャラブームから出た瞬間芸みたいなものかと想っていたらこれがどーして擬人化キャラの主流本流を突っ走っているよーで去年には目出度くも賢くも和歌山県南部川村の南部川村森林組合に世ってマスコットキャラクターに採用されたとか。現地に出かけた人のリポートとか見ると、看板にしっかり「びんちょうタン」が描かれ「紀州備長炭振興館」へのご案内をしてくれるそーです。

 備長炭の本場に迎え入れられたってことはもう本流中の本流キャラ。愛知だから「愛」で「地球」となった感のある「愛・地球博」で愛とも地球とも無関係な風貌を振りまき、半年の期間中にまあそれなりに盛り上がったら後は「コスモ星丸」同様に、消える運命が待っている「モリゾー&キッコロ」とは立場が違うって言えそー。アランジアロンゾとサンリオ・ファーイーストと伊藤忠商事は末代までのキャラにしたいみたいだけど果たして。

 一方で「びんちょうタン」はいずれやがては「紀州・備長炭博物館」にその名を刻んで1000年の後まで「むかあしむかし、この里に降りて来た天女さまがおってのう、あたまに黒くて固い物をしばりつけておってこれに火を着けると薪なんかより熱い熱い火が出てのう、たずねるとこれが炭というもので、天女さまは木を炭にするやり方を教えてくれたんじゃ、それが備長炭の始まりだったんじゃ、村を豊かにしてくれた天女さまをお祀りして、やがて備長炭の天女さまということで『びんちょうタン』と呼ばれるようになったんじゃ」なんて語り継がれるんだ。

 偉大で尊大な姉を持つと苦労するのは当たり前。だけどその苦労も他人から見れば幸運なんだろーな。ってことで待望の海原零さん「銀盤カレイドスコープ」シリーズ最新刊「リトル・プログラム」は悪口雑言罵詈雑言を受ければ1万倍にして返し加えて激しくも流麗な氷上の演技を見せつけ満天下をのけぞらせるフィギュアスケーター、桜野タズサの妹ヨーコが主人公。注目されまくる姉のせいで12歳なのに注目されまくりのノービスクラス・スケーターとして日々猫っ被りな生活を送っているけど、失敗して1位になれなくっても健気な妹って感じで衆目を集めている立場が実は堅苦しくってしょうがない。

 立派すぎる姉に技術でも追いつけない自分が腹立たしく、かといってお姉ちゃん教えてと言うには気恥ずかしさと自尊心が邪魔をする。一方で同年代のライバル未夢ちゃんは嘱望されタズサの後継とまで目されどんどん先を行く。プレッシャーに潰されやーめた、ってなりかかったヨーコの運命やいかに? って感じに進む話は尊大な一方で悩みもした姉と同様に自分を見つけ復活への道を歩むんだけど、そこへと至る展開が呼んでいて実に清々しい。人を想う素晴らしさ。人から想われる嬉しさ。そんなものが沸き上がって頑張ろうって気にさせられる。スポコンよろしくインフレーションしていく敵を討ち果たしていくドラマへと進まず脇へと負ってそこからリアルでシリアスな人間の揺れ動く感情を描き感動させる展開を選んだ作者に拍手、そして脱帽。まだまだ続き、いけまっせ。


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