縮刷版2005年10月下旬号


【10月31日】 週に3食しか摂れず摂っても具なしのインスタントラーメンにチャーハンだけとゆー生活をしているにも関わらず電気は通り電話も通じてネットに四六時中アクセスしていられる「ニート」が果たして存在するのかどーかって、根元的な疑問は抱きつつもそーやって外界と少しでも繋がっていたいと他のすべてを犠牲にする人間こそが「ニート」って言えないこともないからなあ。ともあれ絲山秋子さんの最新刊「ニート」(角川書店)はそんなニートの青年が知人にいたことで姉御肌を見せて援助する作家の女性の話を冒頭に、婚約者と死に別れた女性がほんわかとした風体を見せつつ覚悟をしていたことに気づく知人の話が続く。

 その後に再びニートな青年が登場しては、瞬間心と体を重ねつつ離れてしまう女性作家の話が続くといった具合に大人の男女なり女性どうしなりの関係が、あからさまな筆致でもって描かれあっけらかんとした表現の中に描かれ大人になって様々な人間関係の甘さも苦さも知った人たちの心を掴んで話さない。最後に入っている「愛なんていらねー」のあからさまぶりといったら、身も蓋もないってゆーか蓋をひっぺがして身を出すってゆーか、年下の刑務所帰りの青年に言い寄られ半ば押し掛けられる形で同居を初めては日々浣腸され嬲られるんだけどそれをどこか快楽として受け止める女性学者の姿が読む人に衣服をはがせば人間なんて快楽に溺れ走る存在なんだってことを教えられる。

 20代の人が書いてもあり得る話ではあるけれど、その場合は何事にも奔放な若者たちのあっけらかんとした姿が描かれているだけってことで同世代的な感慨しか呼ばない。「ニート」の絲山秋子さんの場合は1966年生まれで来年40歳ってゆーそれなりな年齢に達した人が、身の回りをベースに描いていいるってことで良い大人であっても一皮むけば同じ人間、感情やら情熱やらに動かされているに過ぎないんだってことに気づかされる。知性だとか常識だとかいったものに縛られ汲々としてる中年に己が欲望を開放しようぜって気持ちを与えてくれる。若さばかりが強調される昨今の文芸界にあってほぼ同世代の僕たちにとって、とりわけ同世代の女性たちにとって期待と希望を与えてくれる作家かも。他の作品にもちょっと興味が湧いてきた。まとめて読むか。

 ぶっちゃけ組閣な訳だが誰がどのポストを占めたかってことよりも真っ先に気になったのが1日に予定されているらしーブロガーな方々と自民党の政調会長との懇談とやらが果たして実施されるのかって点。日時まで特定して呼ばれましたって話を喧伝している方々のニセモノがなりすまして入り込む心配はまあ、入る時のチェックをやや厳密にすれば防げる話ではあるんだけど肝心の政調会長が新旧ともに改造後に引継や何やらで多忙となって会合に出られなければやる意味ってのがちょっぴり減殺される。なぜならばっ!(とノノ風に)今回の会合は自民党が今後行う政策をレクチャーするものでその為に政策をとりまとめている政調会長にお出まし頂くってものだから、新旧いずれであっても肝心の政調会長が出ないのは、前回の会合で駆けつける予定だった安倍晋三さんが台風の影響で新幹線に閉じこめられ来られなかったことよりもダメージとして大きい。

 新任の政調会長となった中川秀直議員は日経新聞出身で毀誉褒貶いろいろありながらも小泉さんの信任を得て長く国会対策委員長を務めた人だけに一連の郵政改革関連法案をめぐる多党との丁々発止も含めて昨今の政界の動きを知り尽くしているだろーことは想像に難くなく、当初予定の与謝野馨さんに代わり出席してはそーした国会のことから過去の不始末、そして将来の展望なんかを余すことなく語れば集まったブロガーな人たちから、人間味とそして剛胆さが理解されるんじゃなかろーか。それより何よりかくも緊急な事態の到来にも動ぜず、むしろ緊急事態であるからこそ一般メディアのみならずネットにも意見を開陳すべきだと考えた、ってことを言って会合を断行すればそれだけ本気度も高いんだと、集まった人たちに分かってもらえるんじゃなかろーか。さても果たしてどうなるか。アルファなんとかな人たちやら雑誌からメディアとブログの関係について意見を求められる人たちやらが出席しそーな会合の、中身がどんな風になるかちょっと楽しみ。うん楽しみ。

 満月が綺麗だからといってカメラを向けたところで写るのは点よりやや大きい小さな円としての月だけで、掛け軸なんかにあるよーな画面の多くを埋めて丸く輝く月なんてものは、写真や映像の世界では余程に月だけを拡大しないことにはありえないし、その場合は周囲にあるものなんかはすべて滲んで飛んでしまうだろー。ましてやそんな月の前を横切る何かがあった時、それにピントを合わせて取るのはまず不可能だしバックの月光に逆行気味となって手前の何かのシルエットは写っても細部は写るとはちょっと考えにくい。素人でもそんな疑念が浮かぶってことは写真のプロなら一目見ればそれがリアルかバーチャルかくらい判断付きそーなもの。だけどそーはならなかった原因がプロなりの知識と識見を持った人材が枯渇しているのかそれとも、理屈を曲げてでも見栄えにこだわらなければならない理由があったのか。ともあれひとつあれば多数ありかねない事態を前に今後をどうやり過ごしていくのかに今は注目したい。しかしあり得ないよなあ、コウノトリの巨大な姿が満月をバックに細部までくっきり写し出されているなんて。気づけよマジでプロなんだから。


【10月30日】 本物の演技を前にするとやっぱりどことなく書き割りっぽく見えるスケートシーンの仕方なさが気になるものの、「銀盤カレイドスコープ」はシナリオが良いのかシナリオを元にしたコンテの時間配分が巧いのか、耳で聞き流していてつっかえるものがなく逆に気分を高揚させられながらクライマックスへと連れて行かれる気分を味わえてなかなか。絵の方も表情の変化なんかに漫画的ながらも面白みがあってこれなら普通に日曜朝の8時9時あたりに放映されてもそれなりにファンを掴めそー。

 もっとも残念ながら変身アイテムもなければプラモデルだってゲームだって発売の難しそーな内容なんでスポンサー探しに苦労するのは確実。それを言うなら「アイシールド21」とかだってキャラクター展開は無理目な作品なんだけど、出が天下の「少年ジャンプ」ですでにそれなりに単行本が売れていて、尚かつアニメ化によって単行本が売れ直すって効果も期待できる「アイシールド21」なんかとは、アニメ化が文庫の売上に貢献したところで桁の違うライトノベル出身の「銀カレ」は立場が違い過ぎるってことなのか。せめて半年早めに漫画版が始まっていてコミックスも1冊2冊出ていて連携した盛り上がりが期待できたら状況も違ったのかなあ。トリノ五輪に間に合わせようと急いだのかなあ。4年後の冬季五輪でリベンジだ。バンクーバー大会でピート復活だ。

 ハモン特攻。じゃなかったレイ特攻。うーん、なぞるならなぞるで構わないけどせめて行動原理ぐらいはちゃんとしておいてくれ、どう見たって私怨にしか見えないぞ、仮にもSOFでチャールズと組んで名をはせた軍の人間が、ああも簡単に自分の感情に突き動かされてしまう様を見ると世の中の軍隊って奴も実は私怨の総体でしかなく戦争なんてすべてが私怨の延長でしかないんじゃないの? って疑念が湧いて来てしまう。もしかしてそれが狙いか? あり得ない話じゃないしなあ、プロデューサーの嗜好とか見ていると。

 でもだとしたらやっぱり一方にそんな個人の私怨が総体となった戦争の中で、命令に逆らえず義理に流されいかんともしがたい状況へと追い込まれ、抑圧され埋没し散っていく個々の私情って奴も並べて、なおいっそうの嫌悪感って奴を戦争に抱かせて欲しかった気も。ともあれ第2クールのオープニングで現れた謎の2人組ことチャールズ&レイ・ビームス夫妻はオープニングの変更とほぼ同時にご退場。その死を悼むべき来週にでも行って来ようか「チャールズ&レイ・イームズ −創造の遺産−」に。きっとぐちゃぐちゃにされた白鳥号の中が再現されていることでしょう。

さすがは澤穂希、優勝決定の得点を優勝決定の試合で見せる、これがスターの証明、女カズ  超久々に女子サッカーのL・リーグ。今週勝てば2002年以来だから3年ぶりの優勝が決まる日テレ・ベレーザが東北から来たTEPCOマリーゼを相手に戦った試合はお日柄も曇天ながら悪くはない中をスタンドは1000人を超える人でいっぱいに。3年前に同じ西が丘へとやっぱり優勝の決まった試合だったっけ? 記憶に薄いけどベレーザを見に来て酒井與惠選手の凄さに感動し、L・リーグへと通うようになった当時はせいぜいが300人だったことを思えば隔世の感って奴を覚える。03年なんでまだスタンドもない「読売ランド」横の練習場で試合をしていたもんなあ、ベレーザ。ベンチに登り金網に顔乗せて1時間半の試合を見ていたもんなあ。飲料なんてエビアンの水滴型ボトルに水を詰め冷蔵庫で氷に固めた奴だったもんなあ。それが今ではニチレイもスポンサーに付き試合会場で抽選も行われる賑わいぶりで、一方のマリーゼもフラッパーズ時代から一変、巨大資本をバックに大応援団がやって来る人気チームに成長した。ああ隔世。

 でもそれは間にメキシコとの死闘を乗り越え米国で開かれたワールドカップに出場し、翌年は北朝鮮戦を買ってアテネ五輪行きを決めあまつさえ決勝リーグ入りも成し遂げた選手たちの頑張って、自分たちのプレーをアピールして来た選手たちとそれを支えた日本サッカー協会の頑張りによるもの。マイナーと呼ばれ衰退の瀬戸際にあったカテゴリーがわずかな期間に蘇り立ち直る様を見るにつけ、スポーツって奴のいったい何を見せたら観客が来てくれるのか、その為に何が必要なのかってことを強く考えさせられる。

 もちろん未だ入場無料のアマチュアスポーツでプロリーグの運営モデルに即当てはめることはできないけれど、女子バレーなり女子バスケットといった実業団に近い形で再び発展していく可能性は見えた感じ。けどそれだと景気に左右されて再び凋落の道をたどらないとも限らない。今はだから自力を高め人気も獲得しつつ次の段階、サッカーが目指すクラブチームによる地域密着型の運営へと向かうべく仕込みをして行って欲しいもの。そのためにはレイナスが頑張って初優勝して、認められて浦和レッズレディースとなったような構造の変化が欲しいんだけどレッズレディース今年あんまり強くなかったんだよなあ、まだまだ企業の庇護で選手層を厚くする必要があるのかなあ。

もらいさえすればあとは一気、かわし突っ込むカリナのドリブル突破は世界レベルだ顔も美人だ酒井選手も格好良いぞ  んで試合は前半はベレーザ怒濤の攻めをマリーゼのディフェンス陣が頑張り防いで無得点に。3度のシュートをことごとくはじいたゴールキーパーとカバーに入ったディフェンスお見事。代表からは外れてしまったけど大部由美選手まだまだ頑張ってます。あと青木千里選手が今日もやっぱり綺麗でした。一方で攻めの方では丸山桂里奈選手を前線に張らせる格好になりながらもパスがわたらず攻められずやっぱり無得点に。もともとボールをもらってからドリブルで突破していくタイプの選手なんで、マークを張り付けられた中でポスト的にボールを受けても戻すしかなくテクニックが生きない。かといって隙を見つけマークを振り切って走る動きもあんまりなかったのは中盤から放り込むだけのパスが出なかったこともあるんだろー。そこの辺りを改良できればマリーゼもっと強くなりそう。欲しいなあ視野が広くて前線の選手を活かし走らせられる中盤が。

 けどそんな人材はベレーザに豊富なようで底から左右にボールをさばきそして自ら走り受け取る運動量を見せてくれた酒井與惠選手を筆頭に、ゲームメークをしつつ自らシュートも狙い最後は決勝点となる得点を上げた澤穂希選手、そしてウォームアップで大の字どころか土の字になって体を地面にペタリと張り付ける柔軟性を見せていたファンタジスタYAYOIこと小林弥生選手と逸材が粒ぞろい。ゲームの方でも後半途中からその小林選手も入りサイドにスピード&ドリブルの冴えではリーグ屈指ながらもどこかまだムラっ気があるのか代表に定着できないでいる近賀ゆかり選手も入って最後までベレーザが攻めきって、大野忍選手のPKもあって2点を奪いそのままゲームセット、そして3年ぶりのリーグ優勝を果たす。やっぱりベレーザは強かった。

 もっとも点差が見せるようにかつてほどの多きな差はないようで、うまくもらった丸山選手がキレキレのドリブルでベレーザのこれまた粒ぞろいのディフェンス陣を2人、3人をかわしゴール前に入り込んでいく様を見るにつけ、中央突破だけでなくサイドバックがオーバーラップしての左右からのうまい攻めが出来るようなれば、もっともっと強くなりそーな気がしてる。やっぱりそのためには中盤で選手の動きを見極めボールを出せる選手が必要なんだろー。澤選手が移籍したらバランス的にはちょうどよくなるかも、東京電力だったら給料だって悪くなさそーだし。次は最終節で11月3日に「埼玉スタジアム2002」の第2グラウンドで「浦和レッズレディースvs日テレ・ベレーザ戦」。遠いけど頑張って出かけよう。


【10月29日】 ライトノベルの新人賞はほとんど読んでいるけど範疇じゃないってんで飛ばしていた「日本SF新人賞」の受賞作も読まずにはいられないってことで今年出たうちのまずは第5回で佳作を取った北國浩二さん「ルドルフ・カイヨワの憂鬱」(徳間書店、1900円)を読む。ふーんなるほど蔓延する病気の裏側にあった陰謀を弁護士があばくって基本ストーリーに弁護士の出自の難しさやら優生保護的思想の妥当な部分がありながらも許されない部分の多々ある点やらが盛り込まれた、設定的にも展開的にも過不足のない一品って印象。これがそのまま投稿された訳ではなく直しが相当入れられているとは言え、ベースの部分を流れる確かさから受賞に至ったって理由は分からないでもない。

 ただまとまってはいてもそれは範囲がひとつの国でレイヤーも人間に留まっていて、サスペンス的な展開でひとつのミステリーが解決される楽しみを味わうことはできるもののもう一段、外側に大きな設定があって人類なり、宇宙なり未来なりといった大きなものについて考えさせてくれるよーなスペクタクルが欲しかったし、あるのが新人賞に相応しいSF作品って気もしないでもなかった。「ハヤカワSFコンテスト」に投稿され受賞したものってそう、もっとスケールが大きかったり思弁的だったよなー。大原まり子さんにしたって冬川正左さんにしたって草上仁さんも含めて多くは多分。

 やはり「日本SF新人賞」でこちらは第6回の大賞を受賞した照下土竜さんの「ゴーディーサンディー」(徳間書店、1900円)もアイディアはスタイリッシュで迫力で、テーマにも強化される管理社会の弊害ってものがあってそれが人類とは何かって考えさせる材料にはなっているけれど、それは一種の暗喩であって物語的な現実の部分でより大きな物語へと進み壮大なテーマを見せつけ圧倒させるって迫力はちょっとない。救いのなさばかりが目立ち悲しさばかりが浮かび上がる展開も個人的にはちょっと苦手。そこから始まる戦いへのイントロダクションという位置づけだったら納得できても、希有壮大なSF的ビジョンを見せてくれるかは微妙だったりする。

 いずれも強化される政府なり権力なりによる人間の監視ってゆー、ひどく今的な状況を取り入れていてライトノベルのキャラなり設定なりで読ませることを胸とした作品よりも、広くアピールする要素は持っている。にも関わらず両作品とも三崎亜記さん「となり町戦争」ほどにもメジャーになっていない理由はひとつにはレーベル自体がプロパーなSFで一般層向けのメディアにほとんど黙殺されたってこともあるけれど、同様にSFのファン層からも重きをあまり置かれていないよーに見えるのは、問題がまるで解決していない絶望感が読む人を引かせたからなのかも。

 あるいは解決してもそれがどうした的なところで留まり世界に希望を見出させてくれないって点が、多くを引きつけ話題にさせるパワーに乏しかった理由だったのかもしれない。SFとしてではなく近未来サスペンスアクションとして一般層に届くレーベルから出ていれば、福井晴敏さんみたいな位置へと近づける作風だし、描きこめば池上永一さん的に迫力のエンターテインメントとして受け入れられる才能かも。なのでエンターテインメントの可能性を指向している版元さんには、「日本SF新人賞」の人をSFだからと敬遠せずに一度読んでやって欲しいもの。お願いします。八杉将司さんとか杉本康宏さんとか、きっといい仕事しますから。

 起き出して「東京国立博物館」で「北斎展」を見物する。いやあ凄い人。300点近くがずらりと並べられているんだけど、そのことごとくに人が群がり見入っていて、日本人って北斎が好きなんだなあと改めて思わされる。あるいは単に人口の多い首都圏だから必然的に北斎好きも多くなっているだけなのか。いずれにしても独立行政法人化されて自前で稼がなきゃいけなくなった美術館なり博物館には、こーした客が来てくれる見せ物が必須ってことになるんだろー。放っておいてもどこかの美術館がやりそーな企画なんだけど、それをわざわざ国立公立の施設でやってしまい、従って客は来そうもないけれど紹介しておくべき展覧会が開かれなくなる残酷さを、半ば体言しているって言えそー。同じ敷地で「伊万里展」までやられた日にやあ、どこのデパートかと思ってしまうよ全くもう。

 梨佳ってのは菊島由佳の姉? だけど髪型は昔は同じだったみたいで今のキャリアOLっぽい風体となかなか結びつず悩ましい「ジオブリーダーズ」は「ヤングキングアワーズ」2005年12月号で昔の「神楽警備保障」崩壊の様が描かれ今とまるで変わらない入江を従えた菊島梨佳が手にボウガンを持ちおそらくはそれまでの同僚を蹂躙していく様が描かれ、この何ヶ月かで増したシリアス感リアル感をなおいっそう覚えさせる。「神楽綜合警備」がたどる道は果たして同一かそれとも希望を抱ける新しいものか。じとじととゆっくり進む展開がもどかしいけど着実に向かうクライマックスが今はとにかく楽しみ。来年の今頃には凄い帰結を見られるのかなあ。その時もきっとアーカードは最後の大隊と戦いバッシュもナイブスと戦ってるんだろーけれど。


【10月28日】 溜まりに溜まったアニメを見る夜と朝。「灼眼のシャナ」は白いっぱい。それもモロ。坂井悠二と同じ学校に通っているけど実年齢は相当に下だったりする訳で、そんないたいけな少女がそんなはしたない格好をしまくってるアニメを果たして放映しても良いんだろうかと問いかけ良いんだろうかと即答する自問自答の夜でした。こりゃテレビ東京では放映できないよなあ。それともチラはダメだけどモロは良いのか?

 新キャラではいよいよ同じフレイムヘイズだけど仲間ではないマージョリー・ドーが本格参戦で、口と態度の悪いところを絶賛発揮中。挑んで緒戦を破れたシャナだけど果たして復活の時は来るのか? 来ないはずないか、一応は主役なんだし。そんなところで絵も展開も引きも最高のアニメはこれからますます佳境へと入って行く様子で、紅世の王たちを相手にしたバトルも迫力たっぷりに繰り広げられることだろー。原作を知らない人にはジャーゴン頻出で辛いかもしれないけれど、だったらいっそ読んで読み直してみるってのもアリかも。それだけ価値あるシリーズだから。最新巻ではどんな展開を見せてくれるのかなあ。楽しみ。

 ほかにもいろいろ見たけど記憶に残ったのはやっぱり「ARIA The Animation」か。残された記憶。それも多分人ならぬ存在の想いが蘇って灯里を動かす展開のラストにジーンとさせられる。それにしても「あらあらうふふ」としか言わず晶に「あらあら禁止うふふ禁止」と怒鳴られてたアリシアにあんな特技があったとは。意外にあれで甲斐性持ちでだからこそ1人でウンディーネの会社を切り盛りできるのかも。キャラの雰囲気はちょっとアニメオリジナルっぽくなってたかな。まあ良いやその分エピソードがいかにも「ARIA的」だったし。この心に染みる話が真夜中にしか放映されないのが悲しい。だからDVDには売れて欲しいなあ。

 ってな訳で優れた作品のDVDを買い出しに秋葉原へ。とりあえずはやっぱり定番の劇場版「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」を買ったり「ハチミツとクローバー」を買ったり「奥さまは魔法少女」のボックス付きを買ったり「ぺとぺとさん」の第2巻を買ったり。思い至ってすでに「スピードグラファー」のディレクターズカット版の第2巻と3巻と4巻はまとめ買いして「秋葉原エンタまつり」のシールをもらって福引きもして、8回引いてピンクが2個にあとは全部紫で「ケロロ軍曹」の携帯磨きと「苺ましまろ」やら「灼眼のシャナ」やらが描かれたクリアファイルやらをわんさともらって泣きながら秋葉原を後にしてるんだけど、今日も今日とて5回ばかり引いて今度は全部紫だったのに愕然。もしかしたら夜店のくじ引き同様に、1等賞なんて入ってやしないんじゃないかって疑念も浮かぶ。でも商品はちゃんと飾ってあるし当てた人もいるみたいだし。それもサクラだったってことなのか。明日明後日と期間も残っているし他のDVDを買い増して再挑戦だ。

 そんなついでに買った「トップをねらえ2!」の第4巻を見て呆然。そ・う・だ・っ・た・の・か! 大逆転にして大どんでんがえしな展開になるほどそれはなるほどありなんだけどそれをそのままやってしまったかと驚き吹き出し、けれどもそれ故にそうなるってゆービジュアルを存分に堪能する。バスターマシン7号ねえ。絵はとにかく美麗で動きはとにかくスピーディー。絵コンテを切ったのが庵野秀明さんだったっけ、レイアウトでも場面転換でも細かい演出面でもとにかく細部にまで眼の行き届いた、美麗にしてスタイリッシュにしてど迫力の世界を味わえる。とにもかくにも意外な展開が今後の話数の中でさらに意外な展開へと向かい前作「トップをねらえ!}の感動のラストシーンとどうリンクするのかが目下の楽しみ。出るのは何時になるんだろう。前作もDVDを買い直そうかなあ、確認したい事も多々出たし。まだ売ってかっけ?

 やっぱ書くならホラーかも。半ば「角川国際映画祭」と化している、ってゆーか角川書店の人がチェアマンをしている関係もあって全面協力を余儀なくされていて、「秋葉原エンタまつり」なんかにも「妖怪大戦争」なんて終わってしまった作品の着ぐるみを登場させて場を賑わせた角川グループが、映像事業にどれだけ力を入れているかってのを内外から集まった映像関係者に見せるべく開いた会見で日本の原作をどんどんと海外に出して韓国とか、中国とかアメリカで映画化してもらうって話が出たんだけど、その原作のことごとくホラーだったのには驚いた。

 なるほどホラーだったら恐怖を喚起させる仕組みさえしっかり出来ていれば、後はどこに翻訳したって通用するってことで、その流れに野って「リング」「呪怨」なんかがリメイクされ大ヒットしJホラーだなんて言われているのは承知してる。でも後に続くのまでがホラーばかりってのは、他のジャンルでは世界に通用しないのかって言われているみたいでちょっと残念。SFだってファンタジーだって特撮だってあるのに、そーゆーのでは世界を感動させたり驚嘆させたりってのは出来ないのかな。世界で映画化されれば原作使用料だっていっぱい入って存分な暮らしが出来るよーになるんだけど、それにはやっぱりホラーを書くのが可能性としてはぐっと高まるってことなのかも。

 とはいえ新人さんのホラーがリメイクされることにもなっていないのが悩ましいところ。並んだリメイク予定作品映画化予定作品を見るとそこにあるのは貴志祐介さんの「黒い家」だったりやっぱり貴志さんの「クリムゾンの迷宮」だったり「リング」「らせん」でしこたま稼いだ鈴木光司さんの「仄暗い水の底で」に入っている「漂流船」だったり岩井志麻子さんの「ぼっけえきょうてい」と超有名作品ばかり。新鋭がそこに割って入るには10年間、修行して日本で1度2度映画化映像化される必要がありそーで、1発書いて「ホラー大賞」を受賞し映画化され大ヒットして大もうけしてハリウッドでもリメイクされて更に大もうけ、って宝くじ的な幸運を得る人はいなさそー。10年修行して「角川ホラー文庫」に貢献する必要があるのかなあるいは自分で英語化してプロデューサーに送りつけるとか。

 でないと提示され選ばれた作品ばかりが向こうの眼にとまり更なる利益を得るって構図は変わらない。あのミラマックスを作ったワインスタイン兄弟が会社を辞めて10月に立ち上げたワインスタインカンパニーで作る角川との共同作品に並んだラインアップはさっき出た「クリムゾンの迷宮」に「漂流船」にそして大塚英志さんと田島昭宇さんの「サイコ」に伊藤潤二さん「富江」とやっぱり超大メジャーな作品ばかり。「富江」は朝日ソノラマ発で異例と言えば異例だけど、日本で幾度となく映画化されJホラーのブームの流れに乗っているって言えば言える作品だからそっちからワインスタインに知られていたって可能性もある。

 これらはこれらで喜ばしいことであるし「サイコ」なんかがどう映画化されるのか興味もあるんだけれどでも、他に多々ある人気小説なり人気漫画なりがずっぽりと除外されてホラーのそれもメジャー過ぎるものばかりが更にメジャーになっていく構図ってのが、果たして日本の小説界なり角川グループの本業たるべき出版の部門にとって良い効果を生み出すのかそれともって迷いが浮かぶ。ライトノベルなんてまるで関心のらち外みたいだもんなー。「ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ」だって映像化は他のグループが検討しているし。それでも世界に通用する作品を生みだし続けることで存在感を高めそこから他のジャンルへと範囲を広げていくって可能性もない訳じゃない。まずはお手並み拝見といったところで。

 会見場のホテルから出たら来日中の新体操の選手が夜の赤坂へと繰り出す準備。ロシアの選手らしかったけどなるほど細くて綺麗でモデルみたい。そこにオルガ・カプラノワ選手が混じっていたかは顔をはっきり見分けられなかったんで分からなかったけど、うきうきとして歩くその足取りの楽しげな雰囲気はアスリートであっても年頃の女の子、って感じが匂い立ってて喜ばしい。手にぎゅっと1万円札を握り向かった赤坂でいったい何を食べたり買ったりしたんだろー。それが今日以降の演技にどんな影響を見せるんだろー。「イオンカップ」のぞいてみるか。


【10月27日】 しかし4連勝とは千葉ロッテマリーンズ。最終4戦目こそ接戦になったもののそれでも動じず逃げ切る力はラッキーではなく底力。相手の主力をことごとく押さえて得点させない攻めと守りを見せて見事に勝利し栄えある日本シリーズ優勝を成し遂げた。4戦目になるとさすがにブランクって言い訳もできないってことで頑張った阪神だけど今度は勢いって奴に押されて戻せなかったって感じか。あと2戦続いてたらあるいはマリーンズもヤバかったかもしれないけれど、更に厳しいソフトバンクホークスとの戦いを制して来たマリーンズだけにきっと立て直してきたことだろー。

 いずれにしてもこれで国内戦は終わり次はいよいよ国際試合、台湾韓国中国のナンバーワンチームが集う「KONAMI CUP2005アジアシリーズ」が開幕する。せっかくの勢いをこれで見納めにしなくって済むってのは疲れた選手達には申し訳ないけど観客としてはありがたい。日本開催で場所も「東京ドーム」って地の利を生かして千葉・幕張からマリーンズファンもきっと詰めかけドームのライトスタンドを埋め尽くしてくれるだろー。第5戦第6戦を見られず歯がみしたファンも千葉には大勢いることだし。

 これが阪神タイガースだったら果たして東京まで見に来てくれたのか。メディア的にも勢いのあるマリーンズの方が盛り上げやすいだろーから結果としてばマリーンズの日本一で良かったかも。でも関西では一切報じられないんだろーなー、やっぱ。とりあえず興味はイ・スンヨプ選手が03年まで所属していた三星ライオンズとの対戦で、本塁打記録を作ったチームを相手に果たしてどんなバッティングを見せてくれるのかに注目。やっぱり捕虫網は必須? 続いて当たる試合にも元ロッテのジム・ラフィーバーが監督を務める中国選抜も登場とマリーンズ絡みでネタは多数。行くしかないかなあ。

 それにしても格好良いぞバレンタイン。優勝の決まった挨拶でしっかりと、日本に自分を呼んでくれた広岡達朗さんに感謝の言葉を捧げている。半ばシニカルなニュアンスもあるかもしれないけれど、あの時の来日がなければメッツを辞めてすぐに日本って話にはならず、当然ながら日本一ってタイトルも得られなかった訳で広岡GMの貢献は10年後に果たされたって言えそう。放り出された恨みを晴らさせるべく奮闘させたって効果も含めて。やっぱり怨念が原動力になったのか。

試合開始1時間前でまだサイン。急かされてもサインする心意気が選手を引きつけファンを喜ばせる。横のラリー・ロッカ氏の貢献も大か  けどそこまで暗い怨念を溜め込む人なのかなあ。去年だったか「am/pm」で全米オールスターの投票が始まるってんでイメージキャラクターとして起用されたバレンタイン監督、近くにある自分のマンションから奥さん同伴でやって来るってんでてっきりカジュアルな服装で現れるかと思ったら何とマリーンズのユニフォームをびっちり着込んで現れた。もちろんウィンドブレーカーとかもなし。ストライプのユニフォーム姿で近所を歩いてやって来て、カメラにもその格好で写されていた。マリーンズってチームをつまりはそれだけアピールしたいって意識があったってこと、なんだろー。

 今年もカトリーナのハリケーンで被害を受けた人のためにと球場でサイン会を開いて募金を募って、それも試合が始まる結構間際までサインしていて少しでもファンにアピールしたいって意識が見えた。ボスが率先すれば部下だってつきあわざるを得ないってことで、マリーンズの選手は球場でのサインもすれば様々なイベントに顔を出してファンサービスに努めていた。優勝が決まりテレビに出てくるマリーンズの選手たちの実に場慣れしていることか。

 籠もらず交流を続けたことが外向きのメンタリティーを生み出しそれがプレッシャーに負けない意識を創り出したんだとしたやっぱりそれはバレンタインの効果だろー。球団や選手たちの意識改革の根底にある、そんなバレンタインのスタンスに暗い情熱なんてまるで見えはしない。合理的? けどでもそんな合理性も含めすべてが「チームのため」そして「ファンのため」って方向に向いている。広岡GM問題なんてもはや取るに足らないこと。後はこの楽しさが全球団へと広がり球場へと足を運びたくなる雰囲気を作りプロ野球界を包み込んでいくことなんだけど、そうはならない雰囲気も一方にあるから悩ましい。猛練習? 行動管理? 必要な場合もあるけど不必要な場合もあるその見極めを、望みたいけれどさてはて。

 ようやくやっと藤崎慎吾さん「ハイドゥナン」(早川書房)をロケット読み。なるほど日本が崩壊しかねない事態を地球科学なんかも踏まえて予測し描いている部分では「日本沈没」だけど、そこに得体の知れないスピリチュアルな存在が絡む所は池上永一「レキオス」その他。それでも日本らしい話だとは思うんだけど、悩ましいのはそうした世界の経済や軍事外交を揺るがしかねない事態であるにも関わらず、そちら方面への波及言及があまりなされていない部分でのるかそるかって事態であるにも関わらず、海中での国境争いなんて卑小な事態が起こってしまう。

 悪意に操られていたってこともあるけど根本にはそうした事態が起こるような状況を創り出した政治なり外交の判断があって、その判断が日本でいくつもの島が海中に没し人命に多大な損傷が出ている状況で、国と国とが角つきあわせて一触即発っていかにもな方向へと走るのかどうかって所にやや迷う。そこまで我欲に走る国なのか、世界の非難も省みない国なのか中国って? うーんそうかもしれないしそうでないかもしれないけれど、いずれにしてもクライマックスがそんな小競り合いってのはなあ。地上ではみんなが手を取り合い地下海中でも世界の神様たちが手を取り合って我らが地球の危機を救うってスケール感が、その是非はともかく欲しかった気が。でなければこぢんまりと島の1つ2つを舞台に伝奇的な範囲に収めると。迷う1冊いや2冊です。

 「横浜アリーナ」でサミーの30周年記念イベントを見物。新型のパチスロ機「アラジン2レボリューション」のお披露目もかねていてアリーナにずらりとパチスロ機が並べられて雰囲気はまるでラスベガス。おまけにラスベガスのカジノにあるよーなビッグなショーまで繰り広げられて見て楽しく遊んで楽しいイベントに仕上がっていた。これを一般の人に無料で開放してしまうんだからサミーって剛毅。儲かっているからなんだろうけれど、一般のメディアを通してCMを打つ方が効果が高いにも関わらず、1日限りのイベントを開いてファン向けにサービスをするって所に、いわゆるこれまでのマス媒体を使った宣伝とは違った、広報的な活動を通じて自然と会社のイメージや製品の名前を知ってもらう手法の台頭が見て取れる。こんなイベントがあったよって、紹介されることが結果として宣伝に繋がるって訳だ。

 かけた費用は何億円なんだろう? 10億円くらいはかかったかもしれないイベントは「東京ディズニーシー」で「リトルマーメイド」のショーをプロデュースしたシルビア・ハッセさんって人を総合プロデューサーに招いて制作したもので、本場アメリカに留まらず欧州アジアにそして日本からトップクラスのダンサーを招きパフォーマーを呼んで練習を繰り返し、ど派手なセットで迫力の音楽をバックに、激しいアクションあり空中を高速回転するアクロバットありってな感じの30分の密度びっちりなショーに仕立て上げていた。外国人のダンサーが気を抜かずすべてを本気で演じているのがとにかく凄い。妥協なんてしないんだって意志の強さが見えるし、演出家をそんな気にさせたサミーって会社の太っ腹ぶりにも関心が及ぶ。ショービズの歴史にこれは残るステージだろうなあ。でも1日限り。録画ビデオとか出ないかなあ。


【10月26日】 映画祭って言えば赤絨毯の上をスタアが綺麗な衣装で練り歩くってイメージがまず浮かぶけど、裏側では映像ソフトを売ったり買ったりするビジネスが活発に行われていて、内外から集まったバイヤーの人たちがこれはイケるって企画やソフトを探して鵜の目鷹の目で会場を歩き回る。「東京国際映画祭」はどちらかと言えばコンペティションやら試写会やらがメインだったんだけど昨年当たりからチェアマンな人が「コンペティションとマーケットがあってこその映画祭」って言い出して「TIFFCOM」ってマーケットが設けられることになって、あちらこちらから映像ソフトを持った人が「六本木ヒルズ」に集まっては作品を並べて見せていた。

 っても昨年は「幕張メッセ」で「エンたま」ってイベントが開かれてそっちでコンテンツの売買なんかも行われたから来場者の足が分散してしまったり、上越の地震の余震が続いて「六本木ヒルズ」の上の階へと上がるエレベーターが1時間とか止まってあがれず難儀したりして、評判になる前に「TIFFCOM」が終わってしまった感じがあった。今年はそんな反省を踏まえたのか幕張でのイベントは無しになり、アニメ関係のコンテンツも「六本木ヒルズ」へと大集合。加えて今年はまだ立ち上がったばかりの企画をプレゼンテーションする「トウキョウ・プロジェクト・ギャザリング」ってイベントも開催されて早いうちから企画に唾を付けておきたい人たちの来場が結構な数あった模様。「TIFFCOM」の会場ともどもそれなりの賑わいを見せていた。去年あんなに腰を曲げて出展者に挨拶に回っていた境真良プロデューサーも今年を見れば胸をなで下ろしたことでしょー、いないけど。

 ざっと見て回った「TIFFCOM」にはイングラムが出ていてロマのフ比嘉さんとアオキタクトさんの作品なんかを並べててちょっと意外な感じ。どちらかと言えばキャラクターを海外から持ってきて国内にライセンスしたり国内のキャラクターをアジアに展開することを手がけていた会社だけど、いよいよ映像作品を展開するビジネスにも手を染めるみたいでインディペンデントでCGアニメを作り評判になってるクリエーターに白羽の矢を立て、プロデュースを買って出たみたい。そんな期待に応えたよーにロマのフさんの新企画はナイスバディな女性が尻尾を振りながらアクションする格好良さ炸裂の映像で、訪れた海外の人なんかがいたら見て結構気に入りそう。早くみたいなあ。「URDA」みたくDVDで出ないかな。

 あと見かけたのはティー・オーエンタテインメントって会社で何か聞き覚えがあるなあと探ったら冲方丁さんの「マルドゥック・ヴェロシティ」の原著作物の管理権信託を手がけた一種のエージェントで、会場にもだから最近第1巻が出たばかりの「シュヴァリエ」のパンフレットが置いてあって麗しのスフィンクスちゃんの姿が描かれ眼福。ただし中身はアレだけど。本当にアレなのかは分からないけど。そのティー・オーエンタテインメントが一番のウリにしていて、今回の「TIFFCOM」から併設イベントとして設けられた「トウキョウ・プロジェクト・ギャザリング」で内外のバイヤーやら金融機関やらに定時された企画は「ストレイ・ジャケット」。そうあの榊一郎さんが富士見ファンタジア文庫で刊行しているライトノベルのシリーズで、これをアニメ映画にして公開したいって目論見が動いているらしー。

 テレビアニメにもなった「スクラップド・プリンセス」じゃなく未だ映像化の為されていない「ストレイト・ジャケット」をいきなり映画にして大丈夫? って気もしないでもないけれど、一方ではテレビ化の動きもあるみたいなんでその辺りを含めたメディアミックスの中で、映画も作られるってことになるんだろー。製作開始時期が未定になっているのはこれからすべてが始まるってことなのかな。とりあえずプレゼンテーションでは藤城陽さんのイラストがそのまま提示されたから、同じく「ギャザリング」に出てきたノース・スターズ・ピクチャーズの「青狼記」みたく長谷川哲也さんの漫画そのままで行くとは限らないらしー企画よりは、動いた時のイメージも浮かべやすいかも。浮かびすぎてああなるほどそうですか、って気もしないでもないけれど。

 「ギャザリング」で少し驚いたのがデジタル・メディア・ラボが出してきた「N.Y.SALAD」って企画。天野喜孝さんの描いた野菜をモデルにしたキャラクターの絵本を動かすって企画なんだけど、「天使のたまご」みたいな2D化して動かすのとは違って天野さんのタッチが残っているキャラクターをそのまま3DCGにして動かすって所がちょっと凄い。何しろ崩れない。歪まない。繊細にして美麗な野菜のキャラクターがそのまま振り向き走って転ぶ様を見るにつけ、日本のCG技術も決して海外には劣っていない、むしろ最初から3Dで作られたキャラを動かすピクサーなんかとは違い、2Dで描かれたキャラを立体化し動かすことにかけては世界を率いているんじゃないかって気もしてくる。ちょっと期待。だけどショートフィルムをわざわざ国際的に座組してお金を集めて作る必要があるのかなあ。作ってあとは売るだけって方が面倒なくて良いのになあ。

 TOKYO POPが出してきた「プリンセス・アイ物語〜アイランド伝説戦記〜」のアニメ企画は制作がサテライトでちょっと期待。「ノエイン」とか「アクエリオン」みたいな美麗で且つ動く作品を作る技術がゴスロリ入った「プリンセス・アイ物語」をどう動かすか? 最近TYOに買われたビルドアップの「ブラスター」は変身ヒーロー物で3人の男性が変身して戦う本格派。バイクにまたがり走り強化スーツをまとい戦う様ってのは何だろう、「超攻速ガルビオン」? 迫力たっぷりでなかなか良さげ。

 久しぶりに見た岡部淳也さんは慣れない場所でもしっかりプレゼンしてました。言葉だけじゃなく映像そのものを各国別に”翻訳”するって発想は他にはないスケール感。デジタルだからマシンや人間にそれぞれの国の風景を合成するのもやりやすいってことなんだろー。大阪では道頓堀をマシンが走りニューヨークではブロードウェーを走るって寸法。こーした手法が一般化すると、映像のコンプリートを狙う人には全部の国別バージョンを集めなくてはならなくなって大変になるのかな。まずはネットから配信するって所も新しい。富野由悠季さんの「リーンの翼」もネットから先って発表があったし、これからの映像ビジネスってのにネットは欠かせないどころか優先順位の高いメディアって位置づけを得て行きそう。ブロードバンド化するしかないのかなあ、我が家も、早急に。

 もらった「ギャザリング」のパンフレットをざらっと見て、発表はされなかったけど眼についたのは「アキハバラ@DEEP」の3DCGアニメ化企画とか、大友克洋さんの「SOS大東京探検隊2006」のアニメ化企画とか南雅彦さんの手がける「無皇刃譚」ってアニメの企画とか矢作俊彦さんの「ららら科學の子」の実写映画化企画とかいろいろあってなかなか面白そう。「ムーの世界に於いて太古の最終戦争で正義は悪を駆逐した。しかし魔族の王シュラは肉体はホロンだがその頭脳は浮遊要塞の宮殿に籠もり生きながらえていたのだ」って説明で始まる「ガンガードラゴンン」って企画が聞くほどになかなかなんですけどどんなものでしょう。


【10月25日】 げに恐ろしきはサラリーマンの嫉妬心。個人的にはあんまり飲まないアサヒビールの「スーパードライ」を仕掛け大成功へと導き結果、業界3位からいずれ沈没とささやかれていたアサヒビールをビールだけなら大巨人のキリンすら超えて業界トップへと押し上げた立て役者の松井康雄さんって人が書いた「たかがビールされどビール」(日刊工業新聞社)を読むと、この成功がどれだけの逆風を押し分けて達成されたかが分かり、同時にこの成功も18年前に登場した「スーパードライ」に頼り切ったもので未来は決して明るいものではないってことがよく分かる。

 思い立ったら突っ走るタイプの人で上司とか役員にあんまり根回しをすることもないんで疎まれ三ツ矢サイダーを成功させたのに左遷。けどそこで新しい商品の案を思いつきマーケティングの責任者になって開発したのが「スーパードライ」。もっともすぐには本発売とはならず他の商品と食い合うからって理由で首都圏だけに販売を限定されたりして大変だったけど、そこを落合信彦さん起用のCMでもって味を強調して大ヒット。今に続くアサヒビールの看板商品となった訳だけどそこでまたしても居場所を奪われてしまったとゆーから凄まじい。

 癖のある性格を見極め使い「スーパードライ」の誕生に貢献した社長、つまりは樋口広太郎さんが会長へと上がって後任の社長が台頭して来ると途端に脇へと追いやられ研究所から食品メーカーへとたらい回され挙げ句に退任を強要されるサラリーマン人生。その頃に樋口さんは病に倒れて回復せず守ってくれる人はおらず、だったらもう良いやとリタイアしてそして今回この本を書いてすべてをぶちまけたとゆー次第。ほとんどが匿名になっているのに松井さんを目の敵にした人は名前が明示されている所を見ると相当に感じるものがあったんだろー。

 「スーパードライ」の成功のために取り入れたマーケティングの手法がすぐさま否定されひっくり返された挙げ句に、出てくる後発商品のほとんどすべてが失敗に終わった現実が、松井さんの有能さを示すとともに松井さんを飛ばした人々の無能さを現しているけれど、それがとがめ立てられもせずに未だおそらく頂点で、アサヒビールを仕切っているって状況から予想される将来が明るいとはちょっと思えない。発泡酒が並び出て競争になり第三のビールも競争になっている状況だけどアサヒの名前はどこにある? ないよなあ。

 「バドワイザー」1本で来ているメーカーもある訳で多種多様が勝利の条件ではないけれど、「スーパードライ」がそんな世界的ブランドになったかとゆーとやや疑問。そちらへと歩むために必要な人材が社内に果たして残っているのか。先達のたどった道に絶望感を抱いていないか。「スーパードライ」のドラマとして楽しめる本だけど、アサヒビールの喉元に匕首を突きつけ思い出せ、思い返せと迫る建白の書でもありそー。社内でこそ読むべきだけど、果たしてこれを堂々と読める環境にあるのか? あればまだまだ未来はある。なければ未来は暗いだろー。しかし日本、変革が進んだとはいけ妬みそねみに年功序列に先例主義が幅を利かせる企業社会が未だ根強いんだなあ。海外だったら松井さん今頃ライバルメーカーの社長だぜ。

 ああそうだ今日から京橋にある「PUNCTUM」ってギャラリーで井村和人さんて写真家の人の展覧会が始まっていたんだ。ちょっと凄い人たちが設立に関わっているギャラリーで写真を中心に現代美術なんかの展覧会を開いている所だけど、まだ行ったことがなくって案内を頂いたのをきっかけに是非に寄りたいと思っているんだけど今日はちょっと無理だったんで明日かあさってか金曜日かいずれかに時間を明けてのぞきたいもの。

 展示してあるらしー、マクロで静謐に対象物を切り取り画面に構成してみせる写真は派手ではないけどそこにある物を、写真ってメディアを通して改めて意識させてくれそー。どんなものを選び取っているのか切り取っているのかって部分にも興味があるし「PUNCTUM」って空間も興味深げ。今後の予定なんかにも面白そうなものが多そうなんでこれからの展開を関心を持って見て行こー。写真専門のギャラリーだとそういえば日本橋に「ツァイトフォトサロン」ってのがあったけど最近ちょっと行ってないなあ。そっちも様子を見て来ようっと。

 またしても美少女。それも一気に3人も。五代ゆうさんの「パラケルススの娘2 地下迷宮の王女」(MF文庫J、580円)は日本からやってきた少年、遼太郎のところに義理の妹と許嫁の少女の2人がはるばる日本から追いかけて来ては男装の美女にして魔術師のクリスティーナ・モンフォーコンの家に居着く。そこに起こったのが地下帝国を統べる女王の娘が誘拐されたとゆー事件。行きがかりからクリスティーナが解決に乗り出すことになって遼太郎もいっしょになって地下迷宮を彷徨い歩いて王女を捜す冒険に出る。

 日本から来た許嫁の美弥子に義妹の和音の2人が美少女3人のうちの1人であることは明白だけど、問題なのはもう1人。表紙に描かれたドレス姿の美少女がそんな1人であるんだろーけど本編を読んでもそんな美少女は名前のみで現れず、出るのは地下を案内する薄汚れた少年くらいでいったいいつになったらその王女様然とした美貌を拝ませてくれるのかって期待に胸も高まる。そしてそんな期待が大爆発する瞬間、美弥子も和音もすっ飛ぶよーな衝撃が巻き起こるんだけどそこは朴念仁な遼太郎、どんな乙女心も無関係とばかりに下僕的な暮らしを続けていくんだろーなー。ああ羨ましい。そして憎らしい。しかし強烈なキャラだなあメガエラ王女。クリスティーナすら上回る爆発力。お近づきになりたい。例えアスパラガスだと罵倒されても。


【10月24日】 始まった「東京国際映画祭」で短編映画を上映するために来日していたピクサーのマーク・アンドリュースって監督にインタビュー。上映会自体は22日に終了していて260席余りが満席となるなかを「ルクソージュニア」から「バウンディン」へと続いた6本の短編アニメに加えて来年の「Cars」といっしょに上映される最新作の「ワンマンバンド」が本邦初公開。その面白さは来年の公開時に譲るとして、アンドリュー・ヒメネスといっしょに監督をしたマーク本人の面白さってのがこれまた極上で、ピクサーに入るにはどうすれば良いのって上映会後の質疑応答で美大生の女の子から聞かれて「良い車に乗っててお金をいっぱい持ってること」って上段混じりに答えたりして女の子をガッカリさせていた。いやすぐに打ち消してとにかく頑張れって励ましていたから根は良い人なんだけど。

 もともとはピクサーの人じゃなくって「アイアンジャイアント」のストーリーなんかを担当してピクサーには2000年から加わって「ミスター・インクレディブル」のストーリー監修なんかをしたそーだけど、監督はもちろん今回が初。生え抜きの人たちの目も気になる所だろーけれど、そこは陽気で且つ才能豊かな人だけあって、できあがった「ワンマンバンド」って作品はピクサーのこれまでのどことなくお利口なアニメとは、色調も違えばブラックの入ったコミカルなテイストも独特。あるいはこの才能が本格的に稼働し始めればピクサーのラインアップもいっそう充実するんじゃなかろーか。仮にディズニーとの契約が終わって他に行けばディズニーらしさの範疇に収まる必要もなくなるし。

上映会の後の質疑応答で好きな映画作りたい映画って聞かれて「アクションアクションアクション!」と答え切る程に、アクションへの思い入れがあるみたいだったのでインタビューのおみやげにとガイナックスだかから出ていた「フリクリ」の画コンテ集を持っていって押しつけ日本の凄さって奴を見せつけよーとしたけど、「アイアンジャイアント」に絡んだ人だし「クローン大戦」もやってる人ってことで、日本の決してメジャーではないアニメ「フリクリ」の凄さに負けない凄い仕事の経験も豊富。逆に割りに抜いた絵も多くそおを作画の才能で埋める日本の絵コンテの意義が伝わったかが分からない。でも挟み込まれた凄い動きに凄いレイアウトは見れば絶対に分かるはず。それを見て日本にこんあ凄い絵を作る人たちがいるんだってピクサーに伝われば、はるばる米国から日本に発注なんてこともあって不思議じゃないんだけど、そこまで行くにはまだまだ超えなきゃならない壁もあるんだろーなー。

 さらに日本の漫画でアクションの凄さならこれがピカイチって僕が勝手に思いこんでる広江礼威さんの「ブラックラグーン」を途中の本屋で買って渡す。2巻しかなくって1巻のレヴィの八艘飛びでのバトルとか、バトルメイドの凄味溢れる戦闘マシーンぶりとか第3巻の中華姉ちゃんのナイフ使いとかを見てもらえなかったのが残念だけど、続きがあるから読みたければ買いなさいと念押ししたのでいずれ紀伊国屋か通販で手に入れ見てくれると信じよう。でもってピクサーで「ブラックラグーン」アニメ化とか、あるいはハリウッドで実写映画化とかって行けば個人的にはちょっと嬉しい。問題は主演がアンジェリーナ・ジョリーにされやしないかって所だ。うーん老けたレヴィ。せっかくだからと新刊の出ていた「ピルグリムイェーガーズ」も渡す。ストーリーは分からないまでも伊藤真美さんの絵の凄さは分かってもらえたはず。あのテイストでピクサーが美少女戦闘物とかつくってくれる日の訪れることを切に願おう。「ジオブリーダーズ」も押しつけておきたかったなあ。

 こっちも出しておけば良かったかと呼んで思った冲方丁さん原作で夢路キリコさんが絵を描いた「シュバリエ1」(講談社、533円)はルイ15世くらいのフランスを舞台に女装の外交官として史実に残るデオン・ド・ボーモンを題材に、女性の血で詩を書くことで怪物化する者どもを駆る女性騎士”スフィンクス”とその弟デオンが大活躍する物語なんだけど伊藤さんにも並ぶ美麗な絵とそして、戦闘シーンのシュバリエ”スフィンクス”による剣さばきの圧倒的な描写力はなかなかの迫力で、見ればマークもきっと何か感じ入ってくれたかも。男装の女性剣士を描いたディズニーの「ムーラン」の向こうを行った新しいヒーロー&ヒロインがピクサーに加わったら楽しかったのになあ。しかしいったいどうなっているんだろう胸は。表紙のシュバリエスフィンクスなんてしっかり谷間まであるんだぜ。女性騎士に谷間があっちゃヘン? いやそれはだから読めばどういう意味かは分かるから。うーん謎だ。

 軽く誤植だろー。でなきゃ採点者の眼鏡がマリンスタジアムあたりを覆った霧に遠く離れたフクアリの地でも何故か曇っていたか。「エル・ゴラッソ」10月25日号。22日にあった「ジェフユナイテッド市原・千葉vsヴィッセル神戸」の試合でジェフ千葉のキーパー、立石智紀選手の採点がなぜか5・0になっている。この節の全J1チームのゴールキーパーで最低点。4対0で完封したこの試合で4点を取られたヴィッセルのキーパー、本田征治選手と同じ点。横からのハイボールを何度も伸び上がってセーブし、危なかった場面でも見事に止めて見せた立石選手がそれでどーして5・0になるのかがまるで分からない。

 だから誤植としか思えないんだけどでも本気で5・0を付けていたんだとしたら「エル・ゴラッソ」、もしかするとあの程度の攻めは最小限の動きの中ですべて片手1本で守らなきゃいけない、でもってゴールキックはすべて見方の足下にピタリと収まらなきゃいけない、それがスーパーグレートゴールキーパーであるところの立石選手の最低基準であって、ヴィッセルの攻めに両手を使ってしまったからには5点しか付けられないって、「エルゴラ」のジェフ千葉担当の採点員は認識しているのかもしれない。うんそうだ。でなきゃ西部謙司さんが6・5点を付けてる同じ試合でこうも採点が開くはずがない。そうだそうなんだ。だから立石選手はこれで悩まず落ち込まないで、次こそはすべてのシュートを片手でつかみ、そこから蹴って相手ゴールネットに突き刺す技を見せて「エルゴラ」採点員を納得させてやってくれ。あなたなら出来る。


【10月23日】  誰あれレントン? エウレカ? まああの記号になってる服を見れば2人がレントンでありエウレカであることくらいは分かるけど、幾ら何でもアネモネをあんな顔にしてしまっては誰だか分かったところでちょっと心が渋ります。驚き悔しげな表情を見せるアネモネの、たとえそれがうつのみや理さん的アレンジだとしてもそこは電脳世界でもなければ異次元空間でもない訳で、メタにスライドする話じゃないならキャラクターくらいはちゃんと誰もが心に抱いた表情に、描くなり描かせてやって欲しかった。それがましてやオープニングである以上は。「交響詩篇エウレカセブン」。飛ばしてます。

 落下する動きの浮遊感とか横をぐわっと抜ける巨大な破片の重量感とかはさすがに天才アニメーター。しっかりと描かれていて動きが悪いって言葉は誰にも言わせない。惜しいのははためくエウレカのワンピースの裾が何故に下からの風でまくれ上がらないんだおるかって部分だけどまあそれはそれ、きっと鉄の輪っかか何かが入ってて貞操を守る役目を果たしているに違いない。

 エンディングも代わったけれどこっちはこちっで美麗過ぎて誰あれ状態。髪の長いのがアネモネで短いのがエウレカで垂れ目がタルホ? シャボン玉飛ばしているのはメーテルか。成長していない所を見ると今と同じ年齢設定でもって仮に普通の女の子だったらって場面を描いているのかそれとも未来の姿なのか。繰り返して見て確かめよう。HALCALIの唄は嫌いじゃないけどどこかで耳にしたアンビエント。心地良い。

 録画してあった「銀盤カレイドスコープ」はスケートするシーンの絵はそこそこながらドラマのタイミングが気持ち良い。メリハリがあるっていゆーかだらけないってゆーか、20数分をずっと気をそらさずに画面を見ていられる。ひとつ、難局を乗り越えてもすぐに次に起こるピンチ、ってのが用意されてあるんで次回もまた見ようかって気にさせられる。お腹問題はクリアして臨んだ今週はジャンプ問題。解決はされなかったけどピートがきっとそれなりに、何らかの役割を果たすんじゃないかって希望を抱かせてくれる。

 まあ実際に彼の存在がタズサを引っ張り、故に巻が進んだ今なお影を引きずったタズサの立場が揺らいでいたりするんだけど。小説版のラストはやっぱりピートの復活しかないよなあ。絵の方もタズサの一人語りを見る同級生の眼鏡娘の引きつる口元とか、報道陣に囲まれたタズサの三白眼な顔とか見所があってほほえましい。次の山場は何だろう。とりあえずは国内予選って山があってそれから世界大会ってゆー最後の山があってそれでだいたい3カ月? 期待しながら最後まで見通そう。だからせめて絵だけは普通に。極上でなくても良いから普通に。

 夕方からのピクサーの短編映画上映を見るために「東京国際映画祭」の会場へと行きプレスパスを受け取ってからもらったデイリーニューズの1面に並んだ、レッドカーペットを歩いた面々をざっと眺める。高倉健さんチャン・イーモウ監督はそれなりな存在感。ただしやっぱり世界的にはチャン・イーモウ監督の方が1万倍(推定)は有名なんだろーなー。あとは工藤静香さんに神木隆之介くんに深津絵里さんに優香さんに吉川ひなのさんに黒木メイサさんに木村佳乃さんに白石美帆さんんい香椎由宇さんに小雪さん。はいこの中で真のアクター&アクトレスと呼べるのは? 高倉さんはともかくあとは神木くんだけかなあ。ただし「子」役って制限があるけれど。ざっと見ても「ピカチュウ」以上に稼いだ人なんていないってことは確かだ。

 つまりは日本って国に心底からの「映画俳優」って呼べる人はそんなにたくさんはいないか、いてもメディアの順位付けの中では下の方にあって意識もされていなければ尊敬もされていないってこと、なのか。豊川悦司さんとかもレッドカーペットを歩いていたはずなんだけど、オフィシャルなデイリーニューズに取り上げられていないって所に何だかなあって気が巻き起こる。これがハリウッドだったら。あるいはカンヌだったら。銀幕1本で何億も取るスターが揃い踏み。そして生まれる莫大な収益が何万人もの人たちを養い何億人もの人を楽しませる。日本はテレビや漫画とか小説といった多メディアとの連携から生まれるコンテンツの一側面。それで良いのか? 良いんだろうなあ、何しろ日本最高峰の映画の祭りでそれが尊ばれているんだから。うーぬ。

 柾悟郎さんだ柾悟郎さんの新刊が突然書店に並んでいて仰天。見ると「小説宝石」なんかにぽつりぽつりと短編を発表してはいたみたいだけど、それ以外の書き下ろし作とか全面書き直し作なんってのもあるからほとんどこれが初出に近い単行本ってことになりそーな「さまよえる天使」(光文社、1700円)。冒頭の「ブレスレス」は身長で170センチある白人ながらも育った場所が日本なために日本語しかほとんどしゃべれず、且つファッションとか色恋沙汰いんもまるで興味がなくってがさつで乱暴な美少女が、同級生の男の子と連れだって赴いた空き家で一つの出会いをするってストーリーが描かれる。

 ある意味それは古橋秀之さんの出たばかりの短編集「ある日、爆弾が落ちてきて」のラストに入っている「むかし、爆弾が落ちてきて」にも通じる時間をめぐる物語があるけれど違うのは隔絶されていなくって、故に別れがあって悲しいことも起こるって部分。そこを繰り広げればしんみりとした話になるんだろーけれど、がさつ美少女って強力無比な、そこまで強力である必要が果たしてあるのかってキャラクターが登場して幼気なヒロインと活躍を二分するものだからどっちかへと焦点を絞りづらい。あるいはそれをきっかけにした流浪のサーガでも始まれば面白いんだけど、そーゆー巨大な物語を構築してみせる人ではないからなあ、柾さん。まあ良いか、面白かったんだし。

 他の短編は表題作も含めて「ブレスレス」と同じ存在の登場する連作集。存在そのものを描くってよりは周辺で関わる人たちの暮らしぶりを描く方に力点が入っていて、存在との関わりから生まれる何かって部分への発展が少ないのが気になると言えば気になる部分か。アレルギーも極まった女性が依頼を受けてアレルギーのない素材を探して歩くって短編も連作のうちの1本ではあるんだけどこれなどさらに存在が奥まってしまって仄めかされる程度。人間の生きる様を異なる時間軸から考え直させる象徴的存在って意味合いを色濃くしている。

 お話としては落ち着く場所に落ち着いたって感じでそこに大きな驚きはない。あるいはそこからさらなる人間の進化なり滅亡といった話を導き出せそーな気もしないでもないけれど、そこはやっぱり柾さんなんでワンアンディアを磨いて短編として提示しホッとする時間を与えることに賭けているんだろーと理解。展開の良さとアレルギーのある女性の憮然とした雰囲気は全編の中でも心に響く1編で、がさつな巨大白人美少女と同様、アレルギーな女性に虐げられたいって気持ちを引き起こされる。しかし本当にすべてがアレルギー物質になったら中国は地獄だろーなー。甲殻類がダメな人にも同様。なくて良かったとりあえず。

 「ブログジャーナリズム 300万人のメディア」(野良舎、1500円)ってブログ界で活躍しているジャーナリズム系の人たちが話し合ってる本が並んでいてぺらぺら。なるほど先の自民党幹部とブロガーとの懇談会に呼ばれた中には「ネット界に影響のあるといわれるアルファブロガー」とやらはいなかったのか。ってかアルファブロガーって上位階層がブログ界には出来ていたのか。さぞや影響力があるブログなんだろーなー、それこそ政治や経済を動かす位に。10年くらいネットをやっていてもその影響力を感じない自分はつまり、世間一般とはズレたところで生きているんだろーなー。実際アニメにサッカーに美術にSFにライトノベルじゃあ仕方がないけれど。

 まあ良い所詮は大手通信社やら一般紙に働く人っちとは違って誰の目にも留まらないマイナー紙の不良社員が、時事社会とは無縁のオタクな情報ばかりを垂れ流すブログではないオールドタイプのウェブ日記。ネット界から起こるジャーナリズム革命って奴は、著者の方々なりアルファブロガーと呼ばれるブログ界のブルジョワ層、例えるならば「ブログワジー」とでも呼びたいスターブロガーな方々にお任せして、当方は無名な庶民の「ブログタリアート」として日々数千のアクセスを糧に日々書かさず更新していこー。あと10年くらいやればプチブルくらいまでは上れるかな。


【10月22日】 映画祭といったら付き物なのが真っ赤なカーペットを歩くスターたち。カンヌだったたら世界にその名をとどろかせる俳優女優がカーペットを練り歩いては、新聞テレビに取り上げられて世界に雄志が打電されることになるんだろーけどこれが日本の映画祭ってことになると、一体誰が赤いカーペットを歩いて世界にその名を伝えられるに相応しいのかと考えて悩む。いねーなー。高倉健さん? 日本を確かに代表する俳優で「ブラックレイン」でも活躍していたけれど、どこまで名が伝わっているかとゆーと難しい。

 むしろ世界に通用する日本のスターって言ったら実写じゃなくってアニメにいるってのが実際的。その代表格が「ピカチュウ」だったり「鉄腕アトム」だったりする訳で、ならば「東京国際映画祭」の開幕に合わせて六本木のけやき坂で行われたレッドカーペットを歩くウォーキングにも、そーしたアニメの世界からスターが行って歩いても全然不思議じゃないんだけど、やはりそこは権威を求めたがる映画界。アニメのスターが入り込める予知はなかったよーで、けやき坂にはおそらくはアジアに日本のそれなりな人が現れレッドカーペットを歩いた模様。世界でどこまで知られた人なのかは不明。チャン・イーモウさんぐらいかなあ、世界的なのは。

 代わりって訳じゃないけど、本当の意味でのスターに相当するアニメやゲームや漫画の人気キャラクターたちが秋葉原で開催されるイベントがあって見物に。「ダイビル」下から秋葉原駅前広場へとレッドカーペットならぬ青いカーペットを敷きそこを「ピカチュウ」やら「ピポザル」やら「プリキュア」やら「ゾロリ」やら「鉄腕アトム」やら「ケロロ軍曹」やら「ドラえもん」やら「仮面ライダー響鬼」やら「セイザーX」やら「ガメラ」やら「妖怪大戦争」やらが歩く姿を見ながらなるほど、かくも多くのキャラクターが未だ高い人気を持っているんだって事実が証明する日本のキャラクター力の強さってやつを実感する。

 とはいえそこは「東京国際映画祭」。今時はやりの美少女キャラクターって奴はおらず割りに世間に知られたキャラばかりが連なり歩いて秋葉原的にはちょっぴりって気も。秋葉原だったらそこにいなければならない「デ・ジ・キャラット」がいなかったのは今番組がないからって言えば言えるけど、それ以外でもたとえば「びんちょうタン」とか「あふがにすタン」といった秋葉原ならではの、今が旬なキャラクターが歩かないのはどこは抜けてるって気がしないでもない。

 あるいは着ぐるみじゃなくってコスプレイヤーをずらり並べて練り歩かせた方が、キャラクター文化とそしてコスプレ文化をアピールできたんだと思うけど。そうはならなかった所に「東京国際映画祭」をもり立てたい権威筋と秋葉原を愛する庶民筋との意識の乖離があって、それが商業ベースからの押しつけ的なメジャーコンテンツが今ひとつパッとしない中で、口コミから狭い範囲ながらも根強い支持を受けるキャラクターなりコンテンツが出てしっかりとしたマーケットを確保する二極分化の現象が起こる要因になっていたりするのかも。大人たちおじさんたちのアキバ祭りを本当にアキバを愛する人たちで乗っ取ったりしたら面白いのになあ。ホコテンでマスカレードとかやってくれたらそっちを見に行くんだけどなあ。

雨なんてへっちゃら。屋根の下で見ればどんな試合も快適。おまけに勝てば気持ちもハッピー。フクアリハッピーアリーナにようこそ  ずばずばと写真を送ってから電車を乗り継ぎ千葉方面へととって返して蘇我にある「フクダ電子アリーナ」へ。柏がホームグラウンドって人と見に行って見やすさを自慢したかったけど柏はスタンドの数こそ少ないもののグラウンドとの近さでは西が丘級ですぐ目の前を選手が走るスタジアムだからちょっと比べられない。ただキャパシティで1万7000人入るスタジアムでは1階席とピッチの近さは「埼玉スタジアム2002」よりも上だし2階席から見下ろした時の距離感は「国立霞ヶ丘競技場」の上段よりもはるかに近く選手がぐっと大きく見える。それでいて全体を見通せる感じはまさしくアリーナあるいは闘技場。ピッチとスタンドが一体感を持ちながら試合を楽しめるのは他にあまりない。

 繰り広げられた試合もまた素晴らしく前半はお互いが守り責め合う良い展開。中盤を支配し左右に振って攻めるはずのジェフユナイテッド市原・千葉が妙に下がり気味でヴィッセル神戸にゴールライン際で良い様にボールを回され何回もピンチに陥る。サイドからの攻撃も右が中心で左は相手の朴康造選手に良いように突破されて逆襲ができず汲々とした感じの中でかろーじて1点をリードしたままで前半を終える。後半もしばらくはそんな状態だったけど、動いたオシム監督が中盤でキープはしても壁にはなれなかったポペスク選手を工藤浩平選手に代えたら途端に中盤を支配できるよーになり押し上げも可能になってジェフの猛攻がスタートする。

 加えて右サイドも水野晃樹選手が灰って攻撃にスピードが生まれ、前線で勝負できるよーになった巻誠一郎選手にマリオ・ハース選手の相次ぐ得点が生まれさらにはお役ご免となったハース選手の代わりに入った中島浩司選手が中盤を押さえトップに走り込み1点を叩き込む活躍を見せたりとオシム采配大当たり。さぞや気持ちが良いだろーかと思ったけれどそれぜ頭に乗るオシム監督ではなかったみたいで、最初の1時間を禄に得点できなかったジェフ千葉の戦いぶりに注文を付け、それへの反省の言葉を選手たちから引き出させた。こーゆー反省の積み重ねが負けない強さを維持させているんだろー。

 ともあれ「フクアリ」初勝利を飾っておめでとうジェフ千葉。1万人が多いか少ないかは微妙だけど過去なら5000人来れば良かったカードで1万人は多い方。且つ最後まで足を止めない選手たちのがんばりを目の当たりに出来て、ジェフの最高の戦いぶりが間近に見られた試合は、支払った料金以上の感動を来場者に与えたことだろー。こーゆー戦いを繰り返し積み重ねていくことで、1万人が1万2000にな1万5000人になり満員御礼札止め続きの状態が訪れる。だから信じて戦えジェフ千葉。応援し続けるぞ。ベースボールタイプの応援ユニフォームも買ったから次はそれを着て行きたいな。寒いけど耐えて着よう。


【10月21日】 じつはあんまり良く知らない山田優さんの顔だけど、声だったら毎週見ている(ってもまだ2週目だけど)アニメーション版「パラダイスキス」のキャロライン役ですっかり耳に馴染んでしまった模様。この後でたとえば山田さんが顔出してドラマなんかに出ていたとしてもそれをキャロラインが演じてるんだって思ってしまいそー。ヘタかうまいかって意味ではそりゃあ本物の声優さんたちには適わないけど、棒読みのどヘタってゆーと何か違って喋りの抑揚とか苛立ち怒り怒鳴り突っ込み後で落ち込み嘆く際のニュアンスとかに、独特の艶があって聞いててそんなに耳に違和感を覚えない。

 一方で美和子の松本まりかさんの舌っ足らず口調がバンバンあってそっちとの対比が際だつかとも思ったけれど案外にグッドマッチング。常に焦りまくってた野宮匠から一変して落ち着きのある演技を見せるジョージの静に乱暴でやんちゃなアラシの動のバランスも良くそこをイザベラの妖しくも優しい声が貫いて、なかなかな完成度でもって耳に響いて来る。絵はとにかく美麗でそれが止め絵じゃなくってちゃんと動きまで取り入れているところが驚愕。ときどき変化するギャグ絵の楽しさとも相まって不思議でお洒落だけど楽しい世界をそこに創り出している。これは傑作になる予感。あとは飽きさせずにエピソードを積み上げることと、山田優にヘタに巧くなってもらわないこと、かな。

 そうか4話か4話はナツキ=なつきにとって鬼門だけど視聴者的にはサービスサービスな回でもあって万人を一斉に番組へと引きずり込んだテコ入れ回だったなあ、などと予告編を聞いて来週への興味を抱いた「舞−乙HiME」の第3週もこれでなかなか。マシロ姫を上から見下ろす構図でそこにそれなりな双房へと発展していく途上の丸みがあったりして目を楽しませてくれたし、起きあがろうとするアリカをその度にデコピンして沈めるヨウコ先生のアクションもあって進むドラマの画面から目を離させない。こーゆー細かい芸をどう挟み込むのかってところに演出している人たちの、技があり冴えがあるんだろーなー。

 話はノノリリになるのだと言うノノみたくヒメになるなると叫ぶアリカと対戦することになったニナが負けたくなりと繰り出す技をノノ、じゃなかったアリカが防ぎ反撃に出よーとしたところに起こる事件。王宮に突き刺さった宇宙船が競技場へと向って倒れ始めてこれは一大事と助けに向かったアリカの背中で終わった物語が次週、どんな展開を見せるかは予告編でナツキが第4話第4話と言っていることからも想像がつきそー。つまりはサービスサービスだ。録画だいやいや生で鑑賞だ。

 エンディングは両手を飛行機みたく伸ばして走るアリカの後ろ姿の動きが最高クラスに良い出来。お尻の鍛えられた女の子らしー張り出し具合も美麗なら、脚が動いているだけなのにちゃんと走っているよーに見える描き方も巧妙。そこに参加している人たちの力量の高さも見て取れる。歌は秋アニメの中でも「灼眼のシャナ」のオープニング&エンディングに並ぶベスト級、かなあ。「ARIA The Animation」のオープニングも「銀盤カレイドスコープ」のオープニングも嫌いじゃないけど。CD買うのに迷いそう。録画アニメはほぼこれで昇華。おっと「IGPX」まだ見てないや。見なくていいかな? いいかもな。

 「ハローキティ」づくしの結婚式が発売されるってんで会見に行って見物。阪急グループに入った第一ホテルが新しいメニューとして加えたものでテーブルにぬいぐるみが置かれたり、案内状や座席表のキティが印刷されたりする上に頼めばキティとダニエルがそれぞれに特別な衣装でもって現れ新郎新婦をエスコートしてくれる。ウェディングドレスに小さいキティのぬいぐるみだって付くしプラチナ製の300万円するキティのティアラだって付けられるとか。ケーキだってキティだ。入刀すると顔がまっぷたつだ。食べるとなかなかにスウィート。ネコって美味しいなあ。いやこれは発表会見後の懇親会に出たケーキだから本番には出ないかも。介添人を食べちゃやっぱりマズいだろーし。

 しかし見るほどに華やかな宴にマッチしたキャラクター。出しゃばらないけど埋没しない、程良い存在感があるし結婚式って場におかれて違和感ない愛らしさも持っている。ダニエルくんと一緒ってのもまたいい。独り身だとやっぱり結婚式って場には現れるのも遠慮がいるだろーから。これがピカチュウとニャースだったらちょっぴり幼稚な雰囲気が漂うし、ドラえもんとのび太だったらコミカルなものになってしまいそう。

 白キュア黒キュアが介添だったら大きい男の子たちには好評でも女性陣は子供以外は引いてしまいそう。日本が世界に誇るといってもアニメやゲームから来たキャラクターが結婚式のよーな場所に現れるのは普通に考えればやっぱりちょっと難しい。普通じゃない特撮マニアの政治部記者ならウルトラマンとか現れたって平気なんだろーけれどそれはきわめて特殊な例。普通の結婚式に似合いそうなキャラクターとして見た時に、「ハローキティ」ってキャラクターが長い歴史の中で積み上げられてきた、何者にも寄らず流行廃りに流されない性質が、場へのふさわしさって奴に大きく貢献している。キャラクターは1日して成らずってことで。あるいはこれがマイメロディとクロミだったらどんな感じになるのかなあ。ちょっと見てみたい気も。おっとしまったサンリオの人に「おねがいマイメロディ」がいつまで続くか聞くの忘れた。1年延長って本当かなあ。

 姫野カオルコさんの「カオル・エイティ」(文藝春秋社)によると80歳を過ぎて普通の年金生活者が大阪にあるヒルトンの高層階にあるラウンジで1人お茶するってのがモダンガールの基準とか。社長夫人とかじゃあダメで身に付いた習慣としてそーゆーお洒落な場所でお洒落なことをすることが必要なんだろー。そんな1920年生まれのモダンガールを主人公にした物語は、女学校時代に恋をしたり遊んだりした話から結婚して軍人の奥さんになった話から夫が企業の人になって妻として苦労した話とかが描かれているんだけど、決して大金持ちの妻として社交界で花形だったとか、逆に戦争の中で苦労したとかってドラマチックじゃないのが特徴。これってちょっと珍しい。

 たとえばオリンピックとか田中金脈問題とかいった時事的な話題をからめながら、戦争中に演劇のチラシを見て舞台の様子を想像したり、美味しいものを食べたいなあって舅と話し合ったりする日常が積み上げられた展開が、逆に大勢の一般の女性たちの生き様って奴を代弁してくれているようで、読んで心に重なって来る。前向きな気持ちにさせられる。主人公はどーやら姫野カオルコさんの伯母さんのよー。今も存命なのかは知らないけれど、若い人向けの雑誌に写真を撮られることがあっても媚びず起こらず自然体でひょうひょうとこなす姿勢がまた素晴らしい。こーゆー風に行きたいなあ。80歳で高層ラウンジでお茶してたいなあ。そんな歳までで生きられそうもないけど。


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