縮刷版2004年8月中旬号


【8月20日】 朝方に録画しておいた体操女子総合をチェック。何つーか体型が不思議ってゆーか異形ってゆーか、決してスリムではなく長身とも言えない体型の、胸板が分厚くなって肩幅もがっしりしている上に胸のふくらみが出ているものだから、男子の体操選手よりもよほど立派な体格にシルエットが見えてしまう。昔も決していなかった訳ではないけれど、まだ幼児体型っぽい範囲に収まっていたよーな記憶があってそれが、しばらく見ないうちにぐんと体操とゆー競技に、それも女子の体操に”最適化”された感じがあってこれを人間の、進化と見るべきなのかそれとも特化と見たら良いのか悩む。

 なるほどアスリートとしては凄いのかもしれないけれど、陸上選手が見た目に実に生物として美しいのと比べると、女子の体操選手のトップクラスにある人ってどこか人工的、人為的なものが漂っているよーな気がして仕方がない。まあ女子の水泳選手だって肩幅は広いし胸板は厚くってそれに特化された体ではあるけれど、女子体操の場合は身長が低い分だけ厚みが目立ってしまうんだよね。今はまだ”美”が上を走る新体操もいずれアスリートな要素がふくらんで体型に変化が出るんだろーか。そんな傾向の中で1人、スリムさを誇り強さも堅持して見せたホルキナ選手、お見事でした。でもやっぱり少数派になっていくんだろーなー。

 スポーツ紙は女子柔道で金メダルを獲得した阿武教子選手の記事ばかり。32ページまるごとビジネス紙をかつて標榜していた現スポーツドキュメント紙としてもこれはやっぱりとりあげなくてはならなかったよーでスポーツドキュメント紙に相応しい厚さを持った記事が出来上がったみたいでいずれ掲載される予定。とはいえ読者は32ページまるごとビジネス紙として取り始めた人が大半だから果たして読んで何を思うのかに他人事じゃないんだけど他人事のよーに興味津々。

 苦労を乗り切り勝利した体験がビジネスにも役立つって意見はあるけれど、下手するとそれってスポーツがビジネスの縮図みたいにとられてしまって、スポーツはスポーツとして捉え意識し頑張っているアスリートに愉快じゃない思いをさせる可能性もあるからなあ。常に敬意を忘れずに。逆にアスリートにもビジネスで頑張っている人への敬意はいらないけれど理解は欲しい。あと水泳で泳法違反が指摘されたけどどーにか覆った一件についても分厚い記事が出て、泳法についての勉強にはなるみたいだけどそれが果たしてビジネスの何に役立つのかは不明。30代にはまるで面白がれないトピックでも50代にはどこか引っかかるところがあるのかな。ビビビな感性、明日も爆発しまくってます。

 もやもやとした気持ちを切り捨てて新幹線で名古屋へと移動。する途中で浅田靖丸さんのシリーズ2作目らしー「原罪の大聖堂」(光文社、933円)を読み通す。京都を舞台に起こった事件が一大スペクタクルへと発展していった前作「幻神伝」とはガラリと変わったちょーのーりき(by大野安之)バトルって感じで前作にも登場した京都府警の刑事の松川の、意外とゆーより異常な過去が明らかになりその過去の因縁が現在にもつながって、京都を守護する勘解由小路春海らを巻き込み過去と現在、2つの事象で異能の力を駆使したバトルが繰り広げられる。とりあえずの決着はついているんだけど謎を残しまくって終わってて、この先つながって行きそう。松川の正体も不思議だけどそれ以上に不思議な勘解由小路の本性に興味。三枝さん影薄いー。

 到着した名古屋は午後8時半だってのに新幹線口の地下街は店にすべてシャッターが降りていて、飲食店も準備中すなわち看板になってて名古屋が夜の早過ぎる街だったってことを改めて痛感する。メイチカの方もやっぱり早いのかな。実家へ帰り着いて見るのはやっぱりアテネ五輪で最重量級で女子が金メダルを逆転気味に獲得し、男子は最重量級には珍しい鮮やかな小外刈りでの1本勝ちで優勝して金メダルとゆー僥倖。お家芸で取りまくってしまったメダルに外国からまたぞろやっかみとか競うだけど過去そーした海外からの柔道のスポーツ化に悩み惑っていた日本が、よーやく慣れて追いつきなおかつ元祖ならではのプライドも足して追い越したってことなんで、そこんところは外国にも理解して欲しいもの。さてどーなるか。ラウンド制とかになったりして。

 ってんでアテネ五輪サッカー女子の日本代表対米国代表。澤穂希選手のプレーが空回り気味かなあ。中心選手としてボールを集めてもらえるんだけどそれをさばく方法がどうにもアクロバティックで周囲との連動がおもわしくなくって、そこで相手に奪われ反撃されてしまう。復活なった山本絵美選手もそのロナウジーニョばりのフェイントを見せてはくれるんだけど3人が相手ではロナウジーニョだって抜けはしない。あとセーフティの意識がどこか浸透し切ってないのか、ゴール前で不用意にバックに戻してみたりするから見ていてもうひやひや。ライン際で出たとホッと気を抜いたところを持たれかわされ放り込まれたりと、集中力にどこか不安が見てとれる。

 失点の場面もそんな感じにタックルをしたけど飛ばせず抜かれ浮いたボールにキーパーがつっこめず、弾ませてしまったところを飛び込まれ叩き込まれる。不運だけどミスに集中力の欠如が招いた失点でここで気を取り直して後半に、1点を取り返したもののそこから更なるパワフルさでもって攻撃を畳みかけられずボールをことごとく奪われてしまって、なかなか前線へとボールを放り込めない。そんな最中に完璧なまでのオフサイドトラップをかけたよーに見えたフリーキックがそれをとってもらえず、ゴール前に残ったアメリカにかわされ入れられ引き離される。

 なるほど不運。どうしようもないくらい不運だけどでも中盤でボールをキープできずパスをしっかりと受けて留めてさばけなず奪われ反撃を許していては、やっぱり点は奪えない。球際の強さを存分に発揮した米国と、軽くさばいて乱れを自ら呼び込んでしまった日本とのちょっとづずの差が最後まで縮まらなかったのが最終的には敗戦へとつながってしまったんだろー。ただこの日まで女子サッカーへの関心を引っ張り続けた意義は絶対にゼロではない。差はまだあるけど埋められない差ではないことも分かってきたし、今年は北朝鮮を敗るまで来たんで次は中国そしてアメリカを、敗ってアジアナンバーワンそして世界トップクラスへと、1年2年かけて進んで3年後のW杯で頂点へと立ってもらえたらとても嬉しい。との時までずっと応援しつづけるつもりだ”なでしこジャパン”。もちろん「Lリーグ」にだって通い詰めるぜ。たとえ応援が30人に戻ったって。


【8月19日】 あるいは五輪でいっぱいのビジネス紙のためにサッカー話とか書いて遊ぶ日々。それはともかく「週刊サッカーダイジェスト」の2004年8月31日号はアテネ五輪のサッカー女子代表の採点があって最初の対スウェーデン戦は得点を上げた荒川恵理子選手に7が付くのは当然としても、酒井與惠選手に同じポイント7が着けられていてファンとしては嬉しいところ。しっかり見てくれていることにも心よりの感謝を捧げる。続くナイジェリア戦でも負けたチームにあって守護神として奮闘した山郷のぞみ選手の6・5に続く6点で、サイドをともに攻めた川上直子選手と並ぶ高得点にやっぱり酒井選手こそが「なでしこジャパン」の中心なんだと、ここに強調したいんだけど世間はなあ、やっぱりあんまり気にしてくれていないんだよなあ。フィギュアまだ売れ残っているし

 テレビで五輪を観察する時々刻々。再放送だけど登場して来たバレーボールのギリシャ代表が全員水着なのはどーした訳だこれはビーバレーか。キューバのユニフォームもセパレートの水着タイプでお知りの丸みがはっきりと見えボディラインもくっきりとして目になかなかだったけど、どちらかといえば濃いめの褐色ボディではスリムに見えてそんなに驚きはなかった。これが白人系のギリシャとなると伸びた手足の白さが水着、じゃなかったユニフォームの青にくっきりと映えて目立つこと目立つこと。加えてキューバの選手ほどに鍛え上げられてないため全身の肉に余裕があって、飛んだり跳ねたりした時にぴっちぴちなユニフォームの下にぎゅうぎゅうずめにされたボディの揺れが、水着越しに目に飛び込んできて官能を擽る。同じユニフォームを仮に日本代表が着たらどんな感じだろ。一部を除いてそんなに違和感はないかな。一部って誰だ。それは言わない。斎藤真由美選手に着せたかったな。

 ユニフォームならバスケットボールの女子代表のユニフォームがこれもぴっちぴちで、バスケっていやーダボダボなのがデフォルトになっていた頭に衝撃が走る。ジャバーが活躍していた時代だってショートパンツはぴたっとしていたけれど今回の女子のオーストラリア代表のは下は完全にスパッツで上もピタTに近い張り付き具合。長い手足と大柄な体をぎゅっと包んで目に潤いを与えてくれる。これも日本人選手に着せたいなあ。着てキャビンアテンダントとして飛行機に乗務してくれたら乗る人多そう。

 それにしてもバレーボールといいこのバスケットボールといい、昔だったら恥ずかしいってことで誰も着用せずまた男の側から無理に進めればFIFAのブラッター会長が女子サッカーのユニフォームをぴたっとしたのにしたいと言って大ひんしゅくを買ったみたいなことになるんだけど、現場の方から使い始めたってことはつまりスポーツ的にそれなりな意味があるってことで、今回の大会を契機に世界的に利用が広まっていったら個人的には嬉しいかも。個人的じゃなくても嬉しがる人は多そう。ぴっちぴちと言えばそーいえばアマレスが女子でも向かしからぴっちぴちだったけどこれについては積極的な賛美はあんまり聞かない。何故だろー。京子を見る。了解。美憂でも肩幅凄いしね。

 山本貴司選手にインタビューした記者なんて1人だっているはずもないし中西悠子選手だって同様で、およそスポーツ選手にスポーツのことを聞きにいったことのある人の存在しないにも関わらず、開けるといかにも聞きました答えてくれました的なインタビュー混じりの評伝的な記事が出るのは配信される通信の原稿とテレビで放映されるインタビュー、そして「人切り」と呼ばれる当該人物に関する記事ばかりが集められたスクラップを開いてそこから情報を集めて記事に仕立て上げたからでそれは、ジャーナリズムからはほど遠いもので決して諸手をあげて歓迎されるものではなく、どちらかといえば唾棄されるべきのものだろー。

 あまつさえスポーツマンが己の肉体的技術的限界に挑みこれを打破して記録をうち立てたドラマを、世俗的な企業社会の競争に当てはめ教訓としよーとする、スポーツに対す敬意も欠けばビジネスに対する理解も欠いた、双方に失礼千万なストーリーにしてしまうメディアが存在することにどーしてスポーツ界、メディア界は注意を払わないのか不思議で不思議で仕方がない。おまけにそれはタブロイドでもなければ夕刊紙でもないビジネス紙。オリンピックで世の中とっても浮き足だってます。オリンピックじゃなくても浮き足立ってるけどね。人間を総とっかえした上に人数も減らしたセクションが秋からの重点部門になっていたりするし。未来は霧の中にある。


   【8月18日】 メンバー的には金銀飛車角に香車も落ちた感じなんだけどそこは世界の強豪だけあって、もとから盤面には金銀金銀桂馬に香車にルークにビショップが揃いなおかつ相手陣地に入ればクイーンにだって早変わりするチェスルール。そんなチームが前線からチェックし相手を追い込みルーズボールにはさっと寄せて自分たちのボールとして確保。でもって味方が持てば周囲がさっと動いてもらいに行き、出した人もそこで歩かず前へ前へと進んで相手ゴール前を押し寄せるからたまらない。

 バックで回して余裕を持とうと思ってもそこから進めずずるずると後退し、仕方なく前線へとロングフィードすればそれを相手に奪われる。切り裂くべきサイドは足に根が付いたよーに動かないのか動けないのか、ともあれいつもどーりの戦いぶりに終始していてはたとえ相手が見かけ3軍であってもアルゼンチン代表に、日本代表がかなうはずもない。吹き出す汗を見ると相当に暑かったよーだけど日本はつい10日前まで中国の地でしっかりと”暑熱対策”はしていた訳で、疲れがあるとは言って、季節的には今が冬のアルゼンチンから来た人とか、シーズンイン間際でこれからコンディションを上げていく欧州から来た人へのハンディこそなれコンディション的に劣る理由にはなりそーもない。

 そんな相手に虐殺こそされなかったけど流れの中から良いところは出せずかろーじて1点は返したものの、これとてコーナーキックからの1点とゆーアジアの地でも散々見慣れた光景。ある意味これこそ”形(カタ)”なのかもしれないけれど、未来を描くにはあんまり嬉しくない”形”にはまってしまった感じがしてならない。これでヴェロンにアイマールにクレスポが入ったらいったどれだけ点を取られたんだろー。そんな試合を見られた方が、遠く掛川からバスで30分はかかる地の果て「エコパ」まで行き午後9時前に終わった試合でどーやって帰ったのか謎な満員の観客たちも、行った甲斐があったかも。地元ジュビロの藤田選手が見られたから良い? 真剣勝負で真剣なプレーをしてこそサッカーに限らずスポーツ選手は見る”価値”があるからなー。凱旋公演ではやっぱり嬉しくなかったかもなー。「ジュビロ磐田vsアルゼンチンC代表」の方が盛り上がったかも。内容的に。

 朝は午前7時には家を出て8時には出社し昼1時間の休憩を挟んで午後の5時まで仕事をこなしたその後で、グラウンドまで出向いて午後6時から午後9時まで練習してから帰宅して午後の11時。食事を取り入浴を済ませてベッドに入り再び午前6時に起きて同じ1日を繰り返す。週末は土曜日の午後を練習した後、あつまってバスに乗り数百キロを移動。炎天下の日曜日を試合しそれから再びバスで数百キロを戻って深夜に帰宅し食事、入浴、睡眠、そして同じ忙しい1週間を迎える。そんな日々をこなした上でスポーツでもトップクラスの成績を残す人間がいたらそれこそ”ビジネスマンの鑑”として惜しみない賛辞を贈りたくなるだろーし、実際女子サッカーの大半の選手はそーした厳しい環境でも負けず、仕事に励み練習に励んで五輪行きの切符をつかみ決勝トーナメント進出の栄誉を掴んだ。これをこそビジネスマンは褒め称え、振り返って我が身の覚悟の無さを恥じるべきだろー。

 翻ってアテネ五輪で銀メダルを獲得した水泳選手。26歳での現役、そしてメダル獲得は素晴らしいことで讃えて讃えたりないということはないけれど、だからといって卒業した大学の職員にそのままおさまり、日常はプールで後進の指導に当たりながら水泳を半ば”職業”として日々の鍛錬に務めている人間を捕まえて、果たして”ビジネスマンの鑑”と見て良いのだろーかどーだろーか。社会人となったことで学生時代に較べて甘えの気持ちがなくなったかもしれないけれど、一方で職業としての水泳選手を選んだに等しい立場であって、弱くなれば引退を覚悟して当然であってそれは、仕事が出来なくなればリタイアというビジネスマンと同条件。ことさらにもてはやす筋合いではない。引退したところで舞っているのは指導者への道筋。将来像が見えているだけお先真っ暗なビジネスマンより恵まれていると、ビジネスの最前線でしのぎを削っている者なら思って不思議はない。

 だからもしも。水泳選手を一種社会人選手の代表格であり、ビジネスマンも共鳴する人間だと捉え讃える発想があったとしたら、それはビジネスマンに対して失礼な話だし、一方でスポーツに浸れる環境にあってそのスポーツにすべてをかけて挑んでいる選手にとっても、とりたてて凄いことはしていないとゆー自覚からすれば持ち上げられすぎて迷惑千万といったところだろー。真っ当なビジネスジャーナリズムはだからことさらに水泳選手を鑑と取り上げ持ち上げることはなく、むしろ女子サッカーで二足の草鞋を履く女性たちを偉大を讃え、また真っ当なスポーツジャーナリズムはアスリートの限界に挑む頑張りを、スポーツマンが目指すべき対象と捉えて讃えるだろー。

 ここで双方の立場を慮ることなく、プロフェッショナルの覚悟をビジネスマンは学べと言って起こることは何なのか。ともにプライドを傷つけられたとゆー反発だ。まあここで掲げた例示はあくまでも例示で仮定の話であって、経験を積んだジャーナリストが、ロジックを無視した上っ面の感動から牽強付会気味にストーリーを作り上げ、公器でもって披露するなんてことはあるとも思えないんで、この五輪期間中にそーした居心地の悪い記事を読まされ身の置き所に困るなんてことは、ないと思って連日の五輪報道をピュアな気持ちで見ていたもの。だけど。うーん。

 最後の鉄棒で大逆転を果たした日本の体操男子団体が、子供の頃からの基礎訓練に日頃の猛練習で培った自信を土台に、土壇場でも心を折ることなしに持っているすべてを出し切ったからこそ最後で逆転できたってゆー、当たり前の話の裏を探ったあげく、団体競技故に演技に挑む3人が、お互いを尊重し合い他人のために自分は失敗できないんだとゆー「和」の精神があったが故に、土壇場でミスをせずに乗り切ったんだ、そんな「和」の精神は組織で動く企業において、とてつもなく参考になるものなんだって居心地の微妙なストーリーを、読んだら今時の企業の人って感動するものなんだろーか。若者って共感するものなんだろーか。そんな「プレジデント」でも今時書かないストーリーを載せるより、製品の記事1本、経営への提言の1本でも多く載せてくれた方が有り難いだろーなー、ビジネス紙としては。祭りが過ぎた後に一体どーなってしまうんだろー。うーん。うーん。

 五輪。福原愛選手が負けてしまったのでショットが決まった時の叫び声があまり聞こえず残念。しかし一体何と叫んでいるのか、シャアか、さあか。よっしゃーか。どえりゃーか。どえりゃーにはどー聞いても聞こえません。サッカー。今頃走ってんじゃねえ。それともやっぱり走れない布陣を1戦2戦と敷いたのか。決勝リーグ入りをかけて真剣に挑んできたガーナを相手にトータルとして抑えきっての勝利はとてつもなく素晴らしいけれど、そんな戦いは次のある決勝リーグでこそ映えた。それをできなくした人は選手も監督もさらに上の人たちも出処進退を真剣に考えた方が良い。目先の”勝利”を狙い上の受けだけを考えて小手先でフォーメーションを弄り適材適所を無視した配置をし、戦い方をいじっては失敗を繰り返し、けれどもそれを未来のためだと強弁し、自信のなかったチームに戦う活力を与えたんだと訴えたって現実を見ればすべて虚しい。どんな組織だっていつそーなるかも分からないだけに、選手たちの無念さはよく分かる。分かるぞお。うーんうーんうーん。


  【8月17日】 初めて見たのがいつだったのかは覚えていないけれど、見たという記憶が確実に残っているのは東海テレビが深夜に放映していた音楽番組でのこと。83年の末だったか84年の始めだったかとにかくまだ寒かった季節に流れていたこの番組の、最初は確か「レベッカ」で「ウェラム・ボート・クラブ」を唄ったからその次かまた次あたりのゲストとして登場しては、あの今でこそ有名になった全身チェックの衣装でもって「ギザギザハートの子守歌」を唄ってくれたっけか。これもうろ覚えだけどゲストといっても歌部分は1カ月通しで「レベッカ」も「ギザギザハートの子守歌」も週1で3回だか4回、放映されたよーな記憶もあるけどちょっとうろ覚え。20年も前のことなんだなあ。

 とにかく「レベッカ」の印象が強烈でその圧巻のボーカルとエッジが効いたギターサウンドにこれはきっと売れるぞと思っていたら本当に売れ始めたけれどギターのシャケさんが抜けたバンドは音楽的にパワフルになっても最初のよーなキレが薄れ、殴られたよーな思いをしたノッコのボーカルもデビューから離れるに従って媚声が混じって脳天へと響かなくなってちょっぴり残念な思いをしたのは後の話。それより「チェッカーズ」だ。トラッドな基準から言えばまるで滅茶苦茶に派手派手しいチェックの衣装にこいつら何者? って見た瞬間は眉を顰めたけれど、叩き出されるフミヤの歌とナオユキのサックス、そしてフロントのダンサー2人も交えたサビの部分の迫力に、「レベッカ」とは違った好感触を持った。

 後はご存じの通りで「チェッカーズ」は1980年代中盤を席巻する国民的なアイドルグループになってしまった訳だけど、東海テレビの番組で見た時はもうとっと違った、アイドル的なビジュアルの中にオールディーズな雰囲気を纏った音楽性のあるバンドって印象があったんで、後のアイドル的な爆発があってもそれをもってただのアイドルグループと見放さず、活動に関心を抱き続けることができた。流石に92年の解散間際までは活動を終えなかったけど。その頃ってどんな歌を唄っていたんだろう。

 そうクロベー。ぶっとい人がデフォルトだったドラマーたちの中にあって小さくて細くて顔も目立ってなくって、けれども妙な存在感を放っていた人で、今で言うなら「シャ乱Q」のドラムのまことに近いよーな気がしないでもない。ガンで死去。40歳とは自分とそれほど変わらない年でつまりはデビューした時もそれほど違わなかった訳で、その中であれだけの喧噪にもまれいろいろありながらも10年を過ごしたんだってゆーことを今さらながらに痛感。一将成りて万骨枯るみたいなところのあったバンドで1人トップを走り続けるフミヤに対して、タカモクみたく反目しつつも存在感を保ち続ける人がいる一方、トオルもユウジもクロベーもちゃんと”その後の10年”をずっと音楽活動し続けていてくれたことが、訃報にまつわる報道によって分かってちょっぴり嬉しくなり、同時に悲しくなった。合掌。送る場にはタカモクもマサハルも揃って欲しい。

 そんな「チェッカーズ」を初めて見た東海テレビの音楽番組は、スポンサーが「東名商事」ってところで番組の合間合間にCMが放映されてCMソングを「KAAN」ってデュオが唄ってて、こいつら一体誰なんだろうと不思議に思っていたら数ヶ月後に判明。その番組に「KAAN」自身が登場してCMソングを歌ってなおかつ、テロップだか別の情報だかで「KAAN」のメンバーが「東名商事」の社長だか何かだと分かってつまりはこの人たち、自分の音楽活動を会社の活動のついでにPRしたくって番組のスポンサーになったのかと、そんな世の中の仕組みに幼い(そんなことはない)ながらもkづいてテレビに向かって突っ込んだ。「お前らジャガーか!」。その頃にジャガーがいたかは知らない。

 調べてさらに吃驚。その「東名商事」、名前を東建コーポレーションに代えて大躍進して2002年には東京証券取引所への上場も果たして一流企業の仲間入り。藤田まことさんをCMに起用したりゴルフトーナメントをスポンサードする全国区の企業へと変貌していて、これまた20年とゆー時間の長さに思いを馳せる。ちなみにそのCMソングはムービーの所から探して見れます。出だしは好きだったんだけどサビがね。社長の人は今も作曲とかやってるみたいだし、あと左右田鑑穂なんて別名も持って事業以外のことをやっている所を見ると、番組を買い切っては自分のデュオでテレビに出ていた時代から性格はさほど変わっていないのかも。やっぱりジャガーか。


【8月16日】 夢を見た。なぜか女子代表のチームに混じってサッカーをしていてポジションはどちらかと言えば中盤で、目の前にクリアボールが転がってきたところをけ飛ばしたらキーパーの頭を越えてゴールに突き刺さって得点に。スコアボードに点が刻まれると同時に、名前も出たんだけど自分としては余計ものとして混じっていることを認識していて、そんな自分の名前がボードに出ると見ている人も、いっしょにプレーしている選手も訝り誰だと思うんじゃないかと妙にビクビクしている。無関係な人間の名前がボードに出るはずもないんだけど、そーゆー方面へと頭が回らないのが夢の夢たる由縁。しかしまるで意味不明。男子じゃないのは何でだろう。そりゃやっぱり女子の方が良い試合をしていて共感が持てるから、なのかな。

 そんなこんなで微睡みから目覚めて始まったサッカー五輪代表の「日本代表vsイタリア代表」を見る。あっさりとサイドを抜かれ上げられたクロスに詰めてたデ・ロッシが出鱈目にもオーバーヘッドキックを見せてまず1点。誰だってあそこは下がって頭か胸でトラップすると思いそれに備えるものだけど、そんなディフェンスの思惑を知ってかそれとも無関係にもっとも速くゴールへとボールを押し込むのは何かを考えたのか、間髪を入れずにバイシクルへと持っていった選手の反射神経の凄さにただただ驚く。

 2点目もセンターバックのオフサイドかもしれないって躊躇を知ってか知らずかボールを受けたジラルディーノがただただいち早くゴールへと迫ろうとする意志からバックスを振り切り放ったシュートが見事にゴール隅へ。そのシンプルにしてスピーディーな攻撃ぶりを見るにつけ、センター付近で様子を伺いゴール前でも様子を伺った挙げ句に戻ってきたディフェンダーにボールを弾かれた松井選手のプレーぶりとの比較が浮かんで、何をワールドクラスと言うべきなのかがおぼろげながら見えて来る。大久保嘉人選手のよーにドリブルで引っ張られても引きずって突破する体力技術があるならまだしも、あるいは田中達也選手のよーなスピードがあるならまだしもそのどちらも未達な選手がすべきことではなかった。世界は遠い。

 とは言えそんな日本代表の中にもワールドクラスの才能を発見。それなりな距離がありながらも振り抜いた足先から放たれたボールがスピードも抜群にディフェンダーの頭を越えそこから曲がり落ちてはゴールキーパーの動けない横を通り抜けてゴールに突き刺さった場面。阿部勇樹選手の飛び道具の凄まじさを目の当たりにしてこれが常に発揮されれば、でもって余計な失点(選手の責任はそれとして選手に力を発揮させられなかったフォーメーションを組んだ責任もあるけれど)がなければサッカー日本五輪代表はさらに高みを目指すことが出来たんじゃなかろーか。

 2点目を奪ったフリーキックもスピード、角度とも申し分なし。世界にきっと強烈に凄さを印象づけられたと思うし、世界のサッカーがどうなっているかを真夜中の衛星テレビとか見て常に吸収しているオシム監督はそんな活躍を絶対観ていてご満悦だったと思うけど、某フル代表の監督が真夜中に起きてテレビなんて見ているとは思えずまた、ジェフユナイテッド市原の選手はどんなに活躍してもその網膜の盲点へと放り込まれてしまうみたいなんで、中村俊輔選手が来れない時のフリーキック要因でなおかつ、守備で中村選手以上に貢献する阿部勇樹がフル代表でその勇姿を見せてくれるのは、オシム監督誕生の暁となりそー。いつ来るのかな、そんな時代。

 ぼつぼつと伝わってくるイタリア戦後の談話なんかに山本昌邦監督が、最初のフリーキックをどーしてトゥーリオに蹴らせたのか、どーして自分で蹴らなかったって阿部選手を非難したって話が混じっていてうーん。見ていた限りだと距離が相当にあってロベルト・カルロスだって蹴って弾丸で届けさせられるのかって印象で、よく曲がる速いボールは蹴れても距離は出せないよーな気がしてむしろ最後尾から長いフィードをどんどん蹴ってるトゥーリオ選手で、ベストなマッチングだと想ったけれど山本監督はそーしたロジックじゃなくやる気すなわちパッションの欠けっぷりを非難していたよーで現場で最善を選択して蹴っていたんだとしたら一体何事? って気にトゥーリオ選手も阿部選手もなりそー。やる気で飛ぶならベッカムはいらない。

 ザクにグフにドムが緑のフィールドを棒きれもって駆け回っている印象、ってのの土台は短いスカートからにょごっと伸びた立派な脚で前へ後ろへと動きってる姿から連想したものだけど、同じ女子ホッケーってスポーツをやっている人なのにザクだグフだドムだって印象を抱くのは日本代表選手に限った話で相手のアルゼンチンの選手はごくごく普通にすらりと伸びた脚をしていて、彼我の間に横たわる遺伝子の違いとゆーものをまざまざと見せつけられ痛感させられる。赤いユニフォームを着てるんだったら頑張って3倍のスピードを出して欲しかったよ。それか紫にしてジェットストリームアタックを……。

 試合の方はクレスポもヴェロンもアイマールもテベスもサビオラもリケルメもマラドーナだっていないとはいえ白に水色のユニフォームを着たアルゼンチンのホッケー女子代表は、巧みなスティック裁きでボールを右へ左へと自在に操り日本のパスもさくりとカットしては攻撃に向かう強豪ぶり。それでも前半は1対1で折り返して2002年のワールドカップの覇者相手に、日本も強いところを見せてはくれていて、結局は3対1で破れたものの未来へとつながる可能性を感じさせてくれた。貧しい強化費でここまでこれたなら日本中が支援してくれるよーになったこれからはきっと、強くなっていってくれるだろー。とは言っても女子より何倍もお金をかけてもらった男子が組み合わせが悪かったとは言えへろへろだったサッカーの例もあるからなあ。飽食よりも清貧がやっぱり強い?


【8月15日】 惑星オフィーリアでの事件をどうにか(山ほどの被害を出しながらも)解決しながら絶体絶命のピンチとなってシューターで宇宙へと出て冷凍睡眠に入ったダーティーペアのユリとケイが目覚めるとそこは300万年後の太陽系。近づく地球には街の明かりでもって「オカエリナサイ」と描かれ涙の中に感動のフィナーレを迎える……なんてことはない。当たり前か。目覚めるとそこは見知らぬ天井。素っ裸で寝かされていたケイはユリとそれからムギとも再会し、そこで自分を人間そっくりのバイオボーグというフローラとゆー美少女から仕事を依頼される。

 何でも世界がヤバいことになっててそれは人類の存続にかかわるヤバいことで人類として捨て置けない、とゆーよりはとりあえずやってみるしかないって理由で仕事を引き受けたダーティーペア。いつもながらのとてつもない暴れっぷりでもって立ちふさがる敵を退け突き進んだ果て、これまで覆い隠されていたケイの本質が浮かび上がり発揮されては大爆発して世界を救う、やっぱり大いなる被害を出しながら。「巨大ロボットくらい、かっこいい戦闘兵器はほかにないわ。これに較べたら、戦艦や戦車、宇宙戦闘機なんて、子供のおもちゃよ」。そのとおり。「アバランチミサーーーイル」「ジェノサイドビーーーーム!」。島津冴子さんの叫び声が聞こえて来たよ。

 なるほど地球とか地球型の惑星だったら無理目だったかもしれない展開だけどそこを巧みな設定によって現実的なものにしている辺りはかつて「ガンダム」のSF性について論議を繰り広げた高千穂遥さんならでは。ユリとケイが人類の危機を危機だと信じるに足りた条件設定もアバウトなようでちゃんと考え抜かれてあって、破天荒にして驚天動地の物語をしっかりと骨の通ったものにしている。やっぱりうまいよ高千穂さん。和製スペースオペラの元祖にして、いわゆるライトノベルのルーツでもある「クラッシャージョウ」を送り出した人だけのことはある。和製ヒロイックファンタジーの元祖でもあったんだけどこっちは栗本薫さんに引き継がれてしまったからなあ。そっちはそっちでSFだかやおいだかになりつつあるけど。

 「ダーティペア」の方はと言えば生まれて25年近く経つキャラクターが今もまるで古びてなく、生き生きとしたものに見えている。それもこれも「プリキュア」へと受け継がれている性格のちょい違った2人の美少女ペアってキャラクター造型の筋の良さ、そんなキャラクターを動かす語り口の柔らかさが、生み出された最初っからスタンダードだったってことなんだろー。ファッションはちょっぴり時代を感じさせるけど許容範囲。ともあれ復活を遂げた2人には、ライトノベル全盛のこの時代に元祖としての存在感を存分に発揮して欲しいもの。続く展開に期待だ。「魔法少女もの」なんか、良いんじゃない?

 有明の祭りを横目に日曜出勤してひたすらにアテネ五輪記事。五輪記事? だって経済紙でしょ? って疑問はもはや愚問なくらいに様変わりしている旧工業紙は、この3月からビジネス紙として世界のありとあらゆる事象をビジネス的な視点から記事化して報ずるようになっていて、従って世界中が注目しているアテネ五輪を記事として重点的に取り上げるのも、至極当然の流れだったりするのである。たとえ銀行が合併しよーとスーパーが経営難に陥ろうと五輪に優るネタはないのである。そーゆーものだ。

 何しろ20ページほどある(32ページまるごとなんとかってキャッチフレーズは君子なんで豹変)紙面のうちの株価が掲載されている4ページ程とそれから全面広告が載っている2ページをのぞいて14ページとかある記事面のうちの、実に6面を五輪報道に割くとゆー分厚さで、なおかつスポーツなんて見て野球がせいぜいって人たちが書いているからスポーツ新聞の慣れた手さばきとは一線を画した、意外性に富んだワンダーな記事を堪能できる。五輪期間中はそれが続くしあるいは一段のパワーアップもあるよーなのでお楽しみに。ビジネス紙だからと信じてリリースを出し新聞を買っても発表のまるで載らない企業の方々にはご免なさい。偉い人のビビビな感性にヒラは口なんて差し挟めません。

 せっかくだからと買っておいた”長嶋ジャパン”の象徴とも言える背番号3のレプリカユニフォームを着て後楽園へと向かい「ラクーア」で開かれていたアテネ五輪の野球のパブリックビューイングを取材に赴く。夏休みでカップルばっかの遊園地でひとりおっさんがウロウロするのも悔しいけれど、仕事じゃなかったとしてもいっしょにうろうろする相手なんていないんで仕方がない。期待していたのは同じよーな背番号3のレプリカを着た人が会場を埋め尽くして大声援を贈っている姿だったけどサッカーと違ってそーゆー行動に走る野球ファンが少ないのか、それとも短期間しか着られない五輪のユニフォームに注ぐ金があまりないのか1人しか見られず絵的な迫力にはちょっと欠ける。けど試合が進んで勝ちを重ねて優勝が近づけば、増えていっぱいになる可能性もあるんで決勝の時なんかにもう1度見に来よう。もちろん1人でだ。


【8月14日】 汗でずぶ濡れになったベッドを起き出しテレビで「アテネ五輪」の入場行進をななめ見る。アメリカが入場してきたけれどユニフォームがどう見てもどっかのコンビニの店員で、国力では世界を席巻できてもしょせんは建国から300年の歴史も持たない国だけに、ファッションセンスは同じアングロサクソンでも英国にはかなわないね、なんて嘲笑していたところに現れた英国のユニフォームは、まるでジャケットとインナーの色を取り替えた「ミスターミニッツ」で、やっぱりファッションはラテンにまかせて、アングロサクソンは政治外交軍事にかまけてなさいって天の声を聞く。イタリアはどんなだったんだろ。

 だったら日本はどーよってことで何かと話題の高田賢三デザインによるユニクロの衣装を眺めたけれど花柄にホワイトが基本となったデザインは、けれども複数のパターンがインナーにアウターにボトムで用意してあって、選手団がめいめいに自分の好みから選べるよーになっている関係で、同じパターンで固められたって感じがせず、白い中に花がところどころに踊るリズムが選手団の中から立ち現れる感じがして、見ていてなかなかに清々しかった。

 単品で見れば高島屋の包み紙にしか見えない細かい花柄のシャツも、白いアウターとか大柄の花に混じるとひとつのアクセント。統一感と躍動感を同時に漂わせることを果たして高田賢三さんが最初から狙っていたんだとしたら、やっぱり凄いデザイナーでしたと素直に頭を下げるけどさてはて。ちなみに団扇はちょっと余計だった印象。白と淡い花柄の”お花畑”にあって割にはっきりした色をした団扇は、選手団のファッションから漂う流れるよーなリズムを壊してた。団扇も高田賢三さんの意図を反映させたものだっったのかな。だとしたらやっぱり誉めません。ひとりだけ「モー娘。うちわ」を持ってたらちょっと驚いたかも。バレーボールの選手が「ジャニーズ団扇」を持っていたら話題になったかも。閉会式では是非に。

 どんどんどんどんきどんきほーて。って音楽がついに秋葉原の地を流れるよーになって長くこの地を席巻して来たでっかいでんきはあきはばらばら、とかたしかめようみつめようすてきなさむしんぐ、とかおのでんぼうやがみらいをはこーぶー、とかいった名物ソングを過去へと追いやる可能性が膨らむ今日この頃。いこうよみんなでたのしいところ、って歌も幅を広げつつありさらにはまーるいみどりのやまてせん、だったかも登場して来るだけにますますもって伝統ある電気街ソングは消えていく運命にあるのかも。今から保存運動をして欲しいもの。秋葉原にお世話になった海外から来日するアーティストに唄わせたコンピュレーションをどこか作らないかな。

 そんな「ドンキホーテ」のオープンと同時に元「T−ZONEミナミ」で次ぎに「アソビットシティー」だったビルの5階にオープンした「アキハバラ・ファン・ミュージアム」を取材。何でも狙いは常設の「キャラクターショー」あるいは「ゲームショー」で各社がブースを構えては新しめの商品をアピールできるよーになっているけど、時間もそれほどなかったってことで出ているブースは見知っているところがアトラスで、置いてあるのはパネルにデモ映像を流すモニターって程度でほかもパネルが並べてあったりする程度。同じ8月に「コミケ」があって「キャラホビ」があって来月は「ゲームショー」もある状況では、出展を仰ぐのもなかなかにきつかったんだろー。

 それでも何ヶ月かに1度は模様替えも行うよーなんで年末商戦に向けて商品をPRしたい会社とかがブースを構えて新製品をアピールしたり関連グッズとか配っている可能性もあるんで、最初がどうだからと見放さずにしばらく様子を見るとこにしよー。そんなブースを差し置いて目立っていたのは窓際にあるコスプレカフェで、メイドなウェイトレスっぽい格好をした女の子たちが立って歩いてお酌、はしてくれないけどウエイトレス的サービスをしてくれるってことで、朝でコミケ中にも関わらずその筋の剛の者共が並んではカップの飲み物を買ってカウンターでコスプレな人を差し向かいでお茶を飲んでいた。お触り撮影は厳禁でも、見ているだけで幸せになれるんだね。

 5、6人はいたよーに思うコスプレの人たちだけど中に目立っていた人がいていずれとおからず名物として人気を獲得しそーな予感。スレンダーな美少女ではなく小柄な妹タイプでもなく、どちらかといえばやや小太りなぽちゃぽちゃっとした娘なんだけどその割には顔立ちは愛らしくおまけに眼鏡をかけていて、見るだけでもう目が釘付けになってしまった。なおかつ喋ると声がアニメ声。愛想もよろしく来場した人と2人で並んでプリクラっぽいものを撮るときも積極的にリードしていて、ドギマギとして声も出せない青少年から女神様と慕われそー。最初にプリクラってた奴なんか、しっかり肩に手を回して写真なんか撮っていやがったのに嫌がるそぶりも見せなかったからなあ。行けばまた会えるんだったら今度は取材じゃなくってただの客として行ってじっくり観察しよー。それまではいてください。なも知らない眼鏡っ娘。

 高さにはなるほど囲んで押さえ込むって強さは育むことは出来ても相手が、キャシー・フリーマンとかフローレンス・ジョイナーとかマリオン・ジョーンズとかいった、陸上のアスリートたちと遜色のないスピードでもって走って来るとそれに追いつくだけの速度は、さすがに上田栄治監督の猛特訓でも育成できなかったみたいで届くと思って伸ばした足のことどことくをかわされ、陣地の奥深くまで入り込まれてはそれをケアしよーとディフェンダーがわらわら集まった間隙を、別の速い足が切り裂いてシュート、1点とゆー状況に日本もまだまだこれからの精進が必要と強く実感。川淵三郎キャプテンは背の高い人をとるよりまず、足の速い人をとるべきかも。100メートル12秒以下くらいの。

 そんなアテネ五輪女子サッカーの日本代表対ナイジェリア代表はディフェンスとオフェンスの要になってた宮本ともみ選手が削られ退場とゆーアクシデントからどうにも中盤でのボールの収まりがわるくなっては最終ラインと前線との間が開いてそこを、スピードでもってナイジェリアの選手に抜かれる状況が続いてひやひやの連続。1点を許したあとも何度も危ない場面を作られては相手のミスと、山郷のぞみ選手のプレーでしのいで1点とれば同点ってゆー状況を堅持する。

 とはいえ相手の守備の高さにはかなわずサイドでの荒川恵理子選手の個人技による突破からのクロスやサイドを駆け上がった川上直子選手からのクロスも合わず合ってもゴールキーパー正面と不運が続いて点にならず。キーパーが弾いたところに積めてたシーンはあと少し足が出てればゴールだったし荒川選手から大谷未央選手への短いクロスもあと少し引くければダイブでもって叩き付けてゴールとなっていたはずで、その辺りの不運もあって残念にも敗れ去ってしまった。

 これでナイジェリアがスウェーデンを破れば日本は2位で決勝トーナメントへと進める訳だし3位でも可能性はあるんであきらめる必要はないんだけど、宮本選手の怪我の具合によっては上での戦いが厳しくなるのは避けられない。一方で終盤に登場した山本絵美選手の凄まじいテクニックから繰り出されるドリブルとフェイントは健在だったみたいで、これが生きてくればサイドからの攻撃が右の川上選手に加えて左からも多彩になるんで気を落とさずに次の試合のどこが出て来ようとも破り去る自信を今はため込んで、その日を待ち続けて頂きたい。それにしても大丈夫かなあ宮本選手。同じよーに倒されても動じなかった酒井與恵選手は相変わらずタフだなあ。


【8月13日】 そりゃエドワード・エルリックみたく片腕片脚を、まんま鋼に替えてスポーツをプレーしてるってんなら驚いてもらっても結構だけど、骨折や脱臼をした人が、その治療のために接いではプレートを入れて固定したままプレーをしているからって別に驚くことじゃない。普通は半年から1年で抜き取るみたいで、故障の具合が慢性化しているってことでいつまでも金属プレートを入れたままにしているのもままあることで、それを何か特別なことのよーに思う人なんて普通はいない。目の悪い人が眼鏡をかけっぱなしにするよーなものだ。

 もう何十年も前から行われている骨折脱臼の治療法で、むしろ最近ではあとで手術で取り出さなくてはいけないプレートを使わない治療法が出てきているくらい。けどある種の人には傷に貼る絆創膏、近眼でかける眼鏡にも等しい「プレート」とゆーものがとてつもなく特別なモノに映ることもあるんだろー。体にプレートを入れたままスポーツをプレーしている人間がいることを「コレワドウイウコトナノダ?」と驚き、「プレートトハイッタイナンナノダ?」と訝り、もしかするとプレートを最新の科学の結晶とでも認識したのか、プレートをクローズアップしてそれが大活躍できた秘密なのだといったストーリーを頭で組み立てそれでトップ記事を書けとゆー、火砕流的な発注があったら果たして人はどうすべきなのか。

 「はれほろひれはれ」と踊るか「ちんぴょろすぽーん」と呆(ほう)けるかしてそれがどれほど誤解に基づいたものかを分かってもらうなり、真正面から異論を挟んで撤回させるのが真っ当な世の中のあり方なんだと思うけど、会社をひとつつぶしかけた”イエッサースピリッツ”が、その反省にまるで立たずむしろ以前以上に強固なものとなってしまっている組織において、火砕流をせき止めるダムなんてものは存在せず、むしろ土石を巻き込みスタンピートする形で末端へと降りてきては抗命する余裕をもてない若手を悩ませ、かくして本題を枕に脇へとずらし無関係な方へと引っ張り流し強引にまとめる文章が出来上がる。困ったものです。まさか商業的媒体で”おいしいカレーの作り方”を読まされることになるとは。人生はいろいろだ。

 小野は悪くない。って言いたいんだけどメンバーの中で突出した知名度とそして技量を誇る小野伸二選手に注目と期待が集まるのは当然で、そんな注目には囲まれた状態からでもしっかりと出す決定的なパスに、焦る気持ちもある中で蹴ったPKを2回も確実に決めた冷静さでもって充分に応えたって言えるけど、最終的に期待されている”勝点”を得られなかったってことで、評価を減殺されてしまうんだろー。前日の「なでしこジャパン」こと女子代表に続いて登場したサッカーの五輪日本代表はパラグアイを相手に点を取られては取り返しつつも追いつけない厳しい展開。とくに前半は中盤がぽっかりと空いてそこから攻められ失点、止めればファウルでまた失点って感じで落ち着かない。

 小野選手が中盤の底に入り綻んでいた左サイドも替えた後半は攻めが速くなりさらに前線にスピードと高さの両極端な2人を入れてかき回して幾度となくチャンスを作るものの固めまくって来る相手に勝ちきれず、残念にも1点差で破れ大事な初戦を落としてしまった。やらなくても良い点を与え決めなければならない所を決めきれなかったツケが最後に出たって言えば言えるけど、それは運とか流れとかじゃなくって別にフォーメーションとか理由のあることで、最初からケアできていたらと勿体なくは思うものの、それを修正すれば次の相手その次の相手と連覇して、決勝トーナメントへと歩を進めることも決して不可能ではない。ので選手にはもっとアグレッシブな攻守のプレーをお願いし、山本昌邦監督には後半ラストあたりで見られたよーな布陣でもって次の試合に臨んで頂けることをお願いしたい。アジア最終予選の最終戦で爆発し、また今回も良い場面を作り出した大久保田中平山の布陣がカテナッチオをぶち壊すシーンを我に。

 ちょっとばかり眠ってから秋葉原へと出向いて「ヤマギワソフト館(やまぎわそふと・やかた)」の再オープンを取材。2月10日に火事になって店を閉めていたんだけどわずか半年にして再オープンが成り「ゲーマーズ」が今くらいにアニメDVDを充実させる以前は時々利用させて頂いていた身としては、まずは喜ばしいとここにお祝いの言葉を述べておく。これで死傷者が出ていれば半年どころか永久に再オープンになんてならなかったんだろーけど、幸いにして秋葉原によくある上に細い建物で下から火事が起こったにも関わらず、1人の死傷者を出さずにすんだことが、改装だけでの再オープンに繋がったって言えそー。2002年にヤマギワからソフト販売部門を買っていたソフマップも実に運が良い。それとも秋葉原に棲むパソコンの神様のご加護か。アップルを売り続けたソフマップの神はやっぱりジョブス顔?

 それでも単に再オープンさせただけじゃ向かいに並ぶ「アニメイト」に「とらのあな」、そして駅前に屹立する「ゲーマーズ」に「石丸ソフトワン」あたりと太刀打ちできないってことで、「ヤマギワソフト館」はアイテム数を前の8万5000から14万へと増やしてぐっと充実させた上にそれぞれのフロアにマーチャンダイザーを置いて商品を消費者(=おたく)視点で並べるよーに務めたとか。もとよりイベント実施でアイドル系のオタクにはそれなりな支持もあっただろー店だけに、一段の充実が吉と出れば改装した甲斐もあったってもの。14日にはちょうど向かいに「ドンキホーテ」もオープンするってことで、中央通りを挟んだあたりが秋葉原ではしばらく賑わいそー。しかしますます電気街からは遠のくなあ。あんまり電気街じゃなくなるとサッカー選手が来日のついでに来てくれなくなるぞ。

 20ページくらいしかなくそのうち記事の面はさらに少なくなるにも関わらず実に4ページだか5ページだかを費やして今晩にも始まるアテネ五輪を大特集する某ビジネス紙の五輪報道にかける意欲を見習うべく、ユニクロがネットだけで売り出したポリエステル製の五輪選手移動用パーカーを着込み下には芍薬が描かれたこれも五輪選手移動用のTシャツを着て炎天の秋葉原を歩いていたら暑さで死にそーになった。けどそこは五輪報道に燃えまくる某ビジネス紙の崇高な志を我が身のこととして捉えることこそ務めと認識する身、外でもしっかりパーカーを着用し、社内でもTシャツの上にパーカーを着込んで廊下から食堂から闊歩して歩いては、某ビジネス紙が五輪報道にかける意気込みを身をもって示す。逃げない体温ではなくって、強い意志がベースとなった熱情が、パーカーの外へと漂い出していたよーで、廊下ですれ違う人のほとんどから熱視線を浴びて良い気持ち。社命に従いむしろ増幅させる形でアピールに邁進した意欲はきっと、上の人にもグループ内にも伝わったことだろー。冬のボーナスが楽しみだ。


【8月12日】 ってかサッカーのスウェーデン女子代表が女子専用のユニフォームを着ているよーに日本女子代表もちゃんと女子専用のを来ていてパッと見には2002年のワールドカップで男子の代表が来ていた奴に似ているけれどよくよく見れば赤いラインの入り方が違うし、襟ぐりがちょい広めになっている上にVネックの周囲に突端の部分だけ除いて4分の3くらい、小さく立て襟が付いていたりする。去年の女子ワールドカップの頃から着ていて同じアディダスだったドイツも同じような形のを着ていて、それが女子代表にとって万国共通のデザインなのかと理解したけれど、いったいどんな効果を持っているのか未だにはっきりとは分からない。可愛らしさ? ではないね。

 だからどうしてアディダスはいつまでも古いジャージを女子に供給しているんだろうって疑問は外れているんだけど、新機能がふんだんに盛り込まれた男子の代表なり欧州のクラブチームの最新ユニフォームを見るにつけ、そーした機能性を折り込みデザインもさらにモダンな感じになった女子代表ユニフォーム、アンブロなんかに負けないくらいに見目麗しく機能も抜群の女子代表ユニフォームを作って欲しい所なんだけど、地元ドイツの女子代表選手がだいたい男子と並んでも引けを取らない体格ってことで、それにスウェーデンみたいなぴたっとしたものを着せるリスクを考えると、男子みたいなゆったり目のデザインが上がって来てしまうのかもしれない。

 それにしても日本女子代表のユニフォーム。応援する時のレプリカなんかはそれを使って背中に「SAWA」なり「SAKAI」ってネームを入れたいんだけど、普段見て回っているサッカーショップで売っている所を見たことがない。代表女子のサイン入りレプリカってのがプレゼントされる時に使われるのもたいていが今の新しい日本代表のユニフォームで、果たしてこれをもらって嬉しがるべきかが悩ましい。だってそれ、試合で着てないじゃんってことになるのです。アテネ五輪で頑張ってサッカーをやりたいって女子が増えてきたら売り出すのかな。でもデザインがレトロなんで替えた女子専用ってのを作って売って来るのかな。確実に増えるだろー女子のサッカー人口に向けてアディダスの打つ手に注目。ピチでは先駆のプーマの出方、ラグビーでピチやったナイキの出方にも。

 そうだフィギュアを買わなくっちゃと「ヴェルディーノ」のサイトへとアクセスして例の「日テレ・ベレーザ」より選出のバックアップも含めた6人の2等身フィギュアで唯一買い逃していた澤穂希選手の文を注文しよーと見たら「10日で完売」とのアナウンス。うぉぉぉぉぉぉ。これでコンプリートが不可能になってしまったけど、本業で反響を聞くために電話したら評判が高まれば再発売の可能性もあるとかで、そのためにももっともっと”なでしこジャパン”にアテネで活躍して欲しいと遠く彼方の日本より祈りの念を贈る。びびびびび。届いたかな。アクセス拒否? まあ胡乱な奴だし仕方がない。

 聞くと他のメンバーも軒並み品薄だそーで人気者の小林弥生選手は澤選手と同様に品切れた模様。小野寺志保選手もゴールを決めた荒川恵理子選手も似たような状況だそーだけど何故か、なにゆえか我らが酒井與恵選手の分は余っているそーで世の中の女子サッカーを急激に好きになってグッズに走ったっぽい人たちの、見る目のなさを激しく嘆く。「日テレ・ベレーザ」は酒井選手があってのベレーザなのだよ。女子日本代表は酒井選手がいてこその”なでしこジャパン”なのだよと、思い込んでいる人たちは買って買いまくってその功績に報いよ。ちなみにバックアップの近賀ゆかり選手も残りがあるとか。バックアップだもんなあ。けど3年後のワールドカップに4年後の北京では確実に主力になる選手なんで青田買いするなら今だ。

 そうかそんな世の中になっていたのかと「月刊アニメージュ」2004年9月号を読んで感心。別に大野修一編集長がアニソン唄いのオーディションに挑戦したことが驚きじゃなくって(僕も応募すれば良かったよとちょっぴり後悔)、まもなく公開になる映画「ヴァン・ヘルシング」のアニメ版らしー「ヴァン・ヘルシング アニメーテッド」ってものが制作されてて8月に発売になることがちょっとした驚き。ってゆーか別のページにはすでに公開された「リディック」をアニメにしたらいしー「リディック アニメーテッド」ってものの紹介もあって、「マトリックス」に付随して作られた「アニマトリクス」以降、格好良いスタイリッシュな映画をよりスタイリッシュに見せるためだか何かのために、アニメが作られるのがハリウッド当たりに流行になっているっぽい。

 凄いのはその「リディック アニメーテッド」の監督が「アニマトリックス」でも作品を寄せていたピーター・チョンってことで、例のど迫力な絵でもって筋肉坊主のリディックの活躍が描かれていてなかなかな作品になっていそー。だけど見てないんではっきりしたことは不明。一方の「ヴァン・ヘルシング アニメーテッド」は「プロダクションI.G」あたりで活躍している黄瀬和哉さんがアニメーションディレクターを務めていてびっくり。日本を代表するアニメの人が使われるってことは「アニマトリックス」と同様に、それだけハリウッド方面の目が日本のアニメに向いている現れってことになる。他にもあれこれ企画が隠れて進んでいるんだろーか。ハリウッド映画にはすべてジャパンなアニメの「○○ アニメーテッド」が作られることになるんだろーか。どーせだったら日本ならではの”萌え”って奴でハリウッドのアクション映画の「アニメーテッド」を作ってやって欲しいなあ。「バットマン アニメーテッドby萌え」。見たぇ。


【8月11日】 午前9時半から「新宿タカシマヤ」で大阪にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」のアトラクションの雰囲気を体験できるようにしたイベント「ムービー・スタジオ・アドベンチャー」のオープニングがあるってんで早々と、家を出て電車を乗って新宿へと向かう途中で読んだ「スポーツニッポン」。日本の野球の五輪代表が対戦することになっているカナダ代表で今は3Aのチームに所属しているエース投手が、大リーグへの引っ張り上げらっることになって急遽代表から外されることになって中畑清ヘッドが喜んでいるって話が載ってて憮然。

 そりゃ3Aったってすごい投手はごろごろしているだろーけど、仮にも日本代表はプロ野球の各チームから1軍のトップ選手を選りすぐって集められたオールスター。立場的にはメジャーの2軍でしかない3Aの投手がいたからって恐れおののくことはなく、いなくなったからといって喜ぶことじゃない。大リーグに引き上げられたばかりの選手なんて日本の”メジャー”の敵じゃないってことを見せつけるチャンスを奪われたって、悔しがったって良いのに、戦力低下の影響を「これは大きいよ」と言って安心してしまっている風があって釈然としない。

 釈然としないと言えば確実にアテネ行きなんて無理だっただろー長嶋茂雄さんをいつまでも監督として引っ張り未だに監督の地位につけて「長嶋ジャパン」と呼称させて、世に未だ大勢存在する長嶋ファンなる人たちの関心を惹き付けようと躍起になっていることも釈然としない。それはまあ野球への興味を持ち続けてもらう手法として納得できないこともないけれど、だったらどーして監督代行みたいな立場に監督経験のない中畑さんがずっと、座り続けているのかが分からない。

 監督なんていなくたって選手は勝手にやるかもしれない。一流だから。でもいざとゆー時の采配はやっぱり、修羅場をくぐって来た監督に執って欲しかった気がする。その方が”長嶋ジャパンの意志”とかいった外野のストーリーなんかじゃなく、野球そのものの凄さをテレビなんかを通して全世界に見せつけられたと思う。重要な試合を率いる人材は日本にゴロゴロしているはず。にも関わらず中畑さんを替えられなかったのは、7月の終わりまで長嶋ジャパンで引っ張った弊害なんだろー。日本のプロ野球ってところが、スポーツの価値そのものじゃなくスポーツ以外の部分で引きずり回されている、その象徴が”長嶋ジャパン”のよーな気がする。メディアも”長嶋ジャパン”なんて言って奉ってる微妙さを噛みしめよう。

 そんなことを考えているうちに新宿へと到着。従業員口を目指して「新宿タカシマヤ」の前を歩いていたら1階のガラスドア越しに見慣れた村上隆さんの「DOBくん」とかその辺のイラストなんかが見えて関連グッズの即売会でもやるのかな、なんてじっと目を凝らすとガラスの向こうにいつもながらも頭を結わえて眼鏡をかけて髭を生やした村上さんご本人の姿を発見、ちょっと驚く。

 今日がオープンとは言え展覧会とは違ったグッズの即売会でしかないのに、その設営に当人が来臨してはあれこれ監督するアグレッシブさに、誰しもが知り得るアーティストの座へと登りつめることが出来た理由なんかを見る。即売会の方は奈良美智さん描く細長い犬のくたキャラ風ぬいぐるみがなかなかの愛らしさ。ほかにもTシャツとかあって村上さんもTシャツとかぬいぐるみとかあって「ナラカミ」ファンにはたまらないかも。でも「東京都現代美術館」で披露した巨大絵画の「たんたん坊」を小さい複製画にして売るのはちょっと。巨大だからこそ得られる迫力であり感動なんだよなあ、あの作品は。

「ムービー・スタジオ・アドベンチャー」は「ジュラシック・パーク」の恐竜とか、「ジョーズ」のサメとかが置かれてあってバックに記念撮影し放題。「ジョーズ」は口に入っての撮影も楽しめるけど身長が120センチ以下の子供に限られているんでそれ以上の人は食べられるのは諦めてください。「E.T.」もいたんだけど妙だったのは「E.T.」の前で記念撮影はしても「E.T.」が伸ばしてくる指に指を触れさせよーとする人がとっても少なかったこと。だってこれって定番じゃん。そうするのが当然じゃん。なのに親にはそうしよーとする人はいても子供はブキミな「E.T.」の姿を見て驚くか笑うかのどちらか。世界が感動した映画も時間が経ってただのお化け映画になり果てた?

 来た。見た。勝った。サッカー日本女子代表がスウェーデン女子代表に勝ってしまった。しまったというと何やら番狂わせのようにきこえるかもしれないけれど試合だけ見れば中盤からのプレスで奪って攻めに転じるオフェンスと、攻め込まれてもサイドで押し出し中央で押さえ込んでは相手に蹴っていきを作らせないディフェンスで、ほとんど完璧に相手を封じた格上の戦いぶりを見せてくれて、世界4位のスウェーデンをパフォーマンスで完全に上回っていた。サイドの川上直子選手はよく走ったし前線では荒川恵理子選手が鈴木隆之選手ほどの悲壮感を見せずにどこか飄々と、けれども力強くボールをキープし相手を脅かす。

 でもって澤穂希選手。そして小林弥生選手。幾度か決定機を演出してくれたけど最後でちょっとしたズレがあって得点とはならず、もっと楽な戦いが出来たものを最小得点差での勝利とゆーぎりぎりの戦いにしてしまったけど、パフォーマンスが上がってくればゴール枠へとボールも飛んで、より確実に勝利をその手に掴めそう。酒井與恵選手。中盤で守備に散らしに絶妙な冴えを見せてくれていて安心。やっぱりこの人あっての”なでしこジャパン”だね。次はナイジェリア。知らない相手だけど勝てるでしょう。というより勝って欲しい。勝ちましょう。それにしてもスウェーデンのアンブロの女性用ユニフォーム。上も下もピチピチしていて丸みが浮かんで目にちょっと毒。いやなかなかに良いものです。小林弥生選手に着せてみたい……。


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