縮刷版2004年8月上旬号


【8月10日】 どっひゃあ。イルハン選手がヴィッセル神戸からいなくなってエムボマ選手も東京ヴェルディを退団して、ワールドカップクラスの選手が2人も一気に日本からいなくなって寂しいとか思っていたら何とゆーことか、そのうちの1人のエムボマ選手がよりにもよってイルハン選手が抜けた神戸への入団を発表。集客力でも満額とは言えないまでも6分7分はカバー出来そうな人気者でプレーに関して言えばむしろ前任者よりも上って人材を得たことで神戸の下期は注目出来そー。

 しかしこう速く決まるってことはある程度の感触が事前に出来上がっていたってことなのかな。それをもしもGMの三浦泰年さんがやったとしたら凄いことだなあ。1年目にしてバルダーノなりブトラゲーニョに並ぶGMって讃えたい。引っこ抜かれたヴェルディは良い面の皮だったってことで。なんて思っていたところにニュース。フランスのモンペリエにいた廣山望選手がよりにもよってヴェルディに入団するってことらしくってタレントは豊富でも組織性ではなかなかだったヴェルディに、パラグアイポルトガルフランスを渡り歩いた百戦錬磨の経験が加わって盛り上がって行きそー。稲本選手戸田選手鈴木選手と洋行帰りの選手に注目してみたいセカンドステージ。

 ざばざばと福井晴敏さん「亡国のイージス」を文庫で上下巻一気読み。5時間くらいか。頭の登場人物に関するエピソード紹介から本編へと突入して最初は静かに、やがて怪しく最後は派手にして盛り上げる構成の巧さが読みやすい文章とも相まって次々とページを繰らされたのには驚きで、デビュー当時のどうにも読みにくい感じがずっと残ってちょい敬遠気味だったのが勿体なくなった。逆転また逆転で誰が敵で味方か分からない所なんかほんと巧み。だけどテレビでやったら分かってしまいそうでその当たりを映画がどう処理するのかに今から興味が及ぶ。あとはやっぱりキャストかな。如月行とか女テロリストとか。誰が良いだろう? 冨永愛さん? いやまあテロリストっぽい顔立ちだけどアクション出来るかな。

 面白かったのは確かだけど読み終えた後にわじわじと浮かぶ疑念はそう、キャラクターたちのとりわけ叛乱に荷担する奴らのどうにも単純極まりない印象で、若書きの理想論に引きずられたにしても棚上げにされた人生に嫌気がさしたにしてももうちょっと、筋の通った所を見せて欲しかった気がした。政治や外交に翻弄されて雁字搦めの日本を憂うメッセージがもっとばりばりで読むといろいろ啓蒙される話かもって思っていたけど、メッセージがそんなに強烈に響いて来ないのは最終的に私怨へと原因が帰結してしまって気分がキャラクターたちの心情にシンクロしなくなってしまったからか。憂国ってゆーかにっちもさっちもいかない状況を描いて苛立ちを感じさせられるんだったら夏見正隆さん「僕はイーグル」の方が強いかも。今の状況だったらもっと話題になっても良い本なんだけどなあ。表紙が鬼頭莫宏さんなんで憂国おっさんのチェックに引っかからないのかなあ。

 「グインサーガ」だったらきっと10巻は使っただろー城の奪回を、渡瀬草一郎さん「空ノ鐘の響く惑星で」は第4巻だけでやってしまってちょっと勿体ないかもと思ったけれど、テンポを悪くして飽きられるとそれがどんなに素晴らしい話であっても埋没していくのがこの分野の宿命。ってかやっぱ次から次へとさまざまなドラマが起こってくれた方が楽しいんで4巻でもって1つの戦いが帰結し次のさらに大きな戦いへと向かっていく展開は支持したい。迫る外国の勢力に暗躍する教団。そして翻弄される異世界から来た人たちの運命やいかに。でもってこの世界の成り立ちやいかに。出そろった謎に答えが出るのは何巻先か。100巻ってことはないよね。やっぱり。


【8月9日】 かがみ・あきらさん没後20年から辿る想い出。今はどうかは知らないけれど1970年代後半から80年代にかけての名古屋・いりなか「三洋堂書店」は漫画の揃えにおいては名古屋東部でナンバーワン、もしかすると尾張地域でもトップクラスにあって、行けばたいていの漫画がレーベルを問わず揃えてあってめぼしいものがないかを物色しに行ったものだった。目立ったのが「作画グループ」関連の揃えで当時、「超人ロック」がちょっぴりブームになりかけていたこともあったのか、掲載号とそれから「ロック」の単行本が欠番もなく並べてあってガキなんで小遣いもまともにもらえないなかを1冊、また1冊と買っては貪り読んだっけ。まとめ買いして積ん読なんて贅沢を覚えた今の方がかえって本を、というかその本質を読んでいないよーな気が最近して来た。初心、忘れるべからず。

 そうそういりなか三洋堂では「COMICメディア」って同人誌なのか商業誌なのかよく分からない単行本を売っていて、当時すでに「作画グループ」みたいな半商業的同人誌もあった訳で特別ではなかったんだろーけれど、聖悠紀さんみなもと太郎さんみたいな全国区的に活躍する作家がまだいた訳でもない単行本を、売っていったい誰が買うんだろうと訝りながらも表紙の記憶だと美少女につられ、またどんな人が描いているんだろうという好奇心にも誘われ豊富ではなかった懐を痛めて買って帰った記憶がある。

 開けて読んで思ったのはやっぱり商業誌とは一線があるなってことだけど、それでも掲載されている作品の水準はなかなかに高くって、中でも細馬達造って人の独特過ぎる描線はスタイリッシュにしてエネルギッシュな感じがあって面白い人かもと思っていたらしばらくして、一般商業誌の方で似た描線で漫画を描く人が現れ名前を見ると細馬信一となっていて、名字が一緒で絵が同じってことはつまり名前をちょい変えデビューを果たしたのかと別に見知った人でもないけど妙に感動したっけか。調べてみると「COMICメディア」からはさらに乃美康治さん(「風の谷のウマシカ」の落ちていくユパさまに笑った)とか橋川TANさん千代鬼さんといった人も描いていたみたい。実家のどこかに仕舞ってしまってすぐにでも読み返せないのが残念。「SF大会」絡みで帰った時に引っ張り出してみるか。読んで作家陣の20年の精進を思い振り返って無為徒食の我が20年を思い虚脱すること確実だろーけど。

 竹槍を孟宗竹から笹槍へと替えてB−29どころかB−51へと立ち向かわされて敵機へとたどり着く以前に自爆してしまった反省に立って起こされた占領軍による統治はけれども、変わらないどころかここに至って笹槍がさらに爪楊枝へと代わった上にB−1へと全機特攻を強いられる状況へと至り、秋にも浮かび上がろうだろう暗雲への予感にここは叛逆と知りつつも両手を挙げて幸福するか、すべてを投げだし逃亡したいという厭世気分反戦気分に襲われる日々。終戦記念日も近いってのにそこではまだまだ戦争が続いているみたい。

 決まったことはそれが非効率的で不合理でもこだわり変えず、かと思えば思いつきでもって後先考えないでどんがらがっちゃんしてしまうから、戦ってる側は前と後から撃たれるんじゃないかといつもビクビクしていて銃を取る気も起こらない。なるほどスポーツにファッションにエンターテインメントといった世の中のあらゆる事象をビジネスの視点から考えるってのは結構だけど、肝心のビジネスをビジネスの視点から考えることを怠り真ん中にぽっかりと空いた穴を読む人が気付かない訳がない。その反動がどこでどんな形で出るのか。それをどんなスタンスで受け止めるのか。観察しよう。

 決まったことは絶対に動かさないとゆー日本的な状況がもしかしたら変わるきっかけかもしれないと、言ったのは広瀬一郎さんだったかな。大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併問題に端を発したプロ野球の混乱について話し合うため、プロ野球の選手会が主催となって原宿で開いた「プロ野球の明日を考える会」でのことで実際、先週にも合併の調印があるはずだった2球団が今週まで調印を先送りしたのにはファンや選手会やメディアのプレッシャーがあったかもしれず、それをどんどんと押し進めればいずれ合併先送りとなり、日本の悪しき風潮もここから打破される、なんて期待を持って帰ったら10日にも調印との報。広瀬さんもガッカリしただろーな。

 いや所詮は外部の広瀬さん以上に選手たちのがっかり具合もきっと相当なものだったろー。シンポジウムには大阪近鉄から選手会長の礒部選手も含め何人か選手も来ていたけれど、今戦っていて良い成績を残したとしても来年の契約更改につながるか、来年も同じ場所で働けるのかって未来に希望を持てない状況ではとても辛く虚しいって意見とか出て、そんな状況へとまだペナントを争っている大事な時期に選手を追い込んでしまった経営陣の無策ぶり無能ぶりに憤りも浮かぶ。パネラーとして出席していた玉木正之さんもそんな言葉に来年は6球団6球団で行くべきと、強く訴えたくらいに聞いてて説得力があった。

 そりゃ今そこで出来る仕事を精一杯するのがプロ、って意見もあるけれど成績とゆー名誉に匹敵する報酬を受け取れるからこそのプロって意見もまた真理。その一方を欠いたままで走らざるを得ない選手たちの忸怩たる思いは想像するに余りある。だったら選手がストライキで戦えば良いじゃん、って声も当然出てくるだろうけど、シンポジウムではストライキを打つ打たないっていった部分で他の出席者たちからも意見があって、そこでは果たして選手会との話し合いの場すら持たない球団オーナーたちが、ストライキくらいで話し合いに応じるか、応じたとしても選手会の意見を聞くかといった根本の部分で話がもつれて進まない。

 つまりは大手町に君臨するあの御方の頑固さを崩せるかってことでそこが動かない以上は例えば米国のよーに市町村がプロ野球のチームを大事に思いオーナーもそんな地元の期待に応えることを名誉として球団を経営するよーな状況へと、向かうこともなくただいたずらに景気の波に翻弄されてチーム数が減り、門戸が狭まった球児たちは他のスポーツと流れ底辺は枯れ、やがてアイスホッケーほどではないにしても衰退への道に向かうことは必至。にも関わらず頑固一徹、代わらない大手町の玉木さん的には”敵”あるいは”好敵手”のあの御方と、周囲でその威光にすがるオーナーの方々の一体何を考えているのか、頭を開いて中身を吟味してみたい気分。発酵が進んで旨いかも。

 ファンがだったら何を出来るのか、って部分での討論も来場していたファンを含めてあったけど球場へとかけつけ満員にして意地を見せるのが良いのか、それともすべての試合をボイコットしてファンが離れる怖さを見せつけるべきなのか、意見も手法も分かれて難しそー。デモもあったけど60人のデモを無関係と表面上は振る舞いつつも内心はそれなりに憤り、ほんのちょっぴりだけどやり方を変えたサッカーの代表監督ほどにはナイーブではない百戦錬磨のプロ野球オーナー陣には、たとえ6000人のデモでも効きそーもないからなあ。合併に反対する大阪府あたりに大阪ドームを1日解放してもらい、6万人とかの人が集まってシュプレヒコールを上げるOFFオフでも決行すれば動くかな。動かないだろうなあ。それが日本だから。嗚呼。


【8月8日】 20年経ったんだなあ。1984年8月8日から。知ったのは8月だったんだろうか。9月だったかもしれない。「漫画ブリッコ」の1984年10月号に掲載されていた大塚英志さんの追悼文。多分いりなかにあった「三洋堂書店」で買って読んで呆然として愕然としたことを思い出す。1カ月くらい前に暑中見舞いが届いて、絵はプリントだったけどサインが書かれてあって宛名も直筆で特徴のある自体が使われていて、本物なのかと指につばをつけてこすって滲んで直筆だって確認できて、プロの人から始めてもらった返事に狂喜乱舞したっけか。それから1カ月経ったか経たないかのうちの訃報。驚くなって方が無理だろう。

 遺した単行本は少なくって、それも全部絶版で、古本屋でもほとんど見かけなくなってしまって多分もはや覚えている人の方が少ないだろう。だって20年前に生まれた人が今は20歳なんだから。けれどもそこに詰まっていた元気な美少女と冴えない少年とスタイリッシュなメカが並んだコメディタッチな物語は、20年経った今まさに全盛で世界を席巻していたりする。

 たった1人がすべてを生み出したってことはないんだろうけど、当人も含めて当時その周辺にいた人たちが温め合っていた熱意や空気ってのが、20年をかけて世界に蔓延して爆発してるってことなんだろう。「鏡の国のリトル」の78ページ。モブシーンに描かれた似顔絵に今のシーンで最前線を走り引っ張る人が何人も混じっているくらいだし。20年後の今、そんな沸き立つシーンに当人の名前がないのは悲しいことだし残念なことだけど、こんなにシーンが沸き立つに至った口火のひとつを灯した人として、僕はその名前と作品を忘れません、かがみあきらさん。

 クトゥルーvs巨大ロボット。って先月も確か神野オキナさんの「封神機伝マカリゼイン」(アサヒソノラマ)で見た記憶があってもしかすると流行りなのかも。とはいえこっちはこっちでしばらくゲームとして発売されてて世間をそれなりに楽しませていたってことだから、どっちがどっちってよりはどっちもどっちに、今のヤングアダルトな文庫の世界でひとつのトレンドになっているってことなのかも。

 ってことでゲームを原作に何冊か小説も出ている「斬魔大聖デモンベイン」のシリーズ最新刊にして、魔道とテクノロジーがごっちゃになった世界を泥臭いんだけどスタイリッシュに描くことにかけてその右にも左にも出る者のいない古橋秀之さんがペンをとった「機神胎動」(角川スニーカー文庫、590円)を読了。出だしの朗々として圧巻の古橋的な文体にケイオスヘキサの泥濘再び、って瞬間思ったけれどそこはヤングな文庫が舞台だけあって、小難しいルビつき造語は山とはなくキャラクターもちょっぴりドジな戦闘美少女に本から生まれた謎の美少女に褐色のメイドにしわがれ声の魔女といった、癖ありまくりな女性キャラがばんばん出てきて楽しませてくれる。

ふくらんでいる頬には食べ物が、じゃない飲んだ水が入ってます。膨らんでても格好良いなあ。  展開の方も「デモンベイン」完成に至る本編の前日譚って感じでありながらそれはそれでひとつの復活のドラマ、復讐のドラマとして読んで過不足なし。専門の知識がないからわからないけれど、クトゥルーの異神たちも出てきてはクトゥルー的にあれやこりゃ暗躍してくれているみたいでそっちの趣味の人でも納得しつつ楽しめそー。読み終えると未読の本編が是非に読みたくなるってゆー、外伝でありながらも入り口になり得ているサービス精神にあふれた部分にも拍手。それでこそ商業作家だ。とはいえこれ1作で終えてしまうのも残念な話で古橋さんには公式外伝と銘打ちつつ、本編へと至る覇道剛造なる男の生き様って奴を是非に描いていって欲しい者。でなければとっとと「タツモリ家の食卓」の続きを書くこと。あと「IX(ノウェム)」の続きも。どうなっておるのだよ。

 暦では秋に入ったらしーのに衰えを知らない暑さが続く中を味の素スタジアムまで出向いて「FC東京vsASローマ(偽)」。偽ってのはちょい失礼かもしれないけれどレアル・マドリッドがちゃんとトップのベッカムジダンフィーゴロナウドラウルにプラスロベルト・カルロスカシージャスグティモリエンテスといったトップクラスの選手を帯同して試合にも出したのと比べるとローマはトッティにカッサーノのトップ2人がともに試合に出ず日本にすら来ていないとゆー状態。デルベッキオは試合に出たけどモンテッラは出ず誰もが知ってる選手ってゆーとディフェンスのパヌッチにフランスから来ているオリビエ・ダクールくらいって状態を偽と言ってあながち離れてはいないかも。

 とは言え対するFC東京だって石川選手茂庭選手今野選手とあと1人誰だったっけ、誰かが五輪に招集されててA代表には加持選手も持っていかれていたりして、サイド攻撃の人材を欠く状況では特徴の1割も出せないって意味で同様に偽だったかもしれない。親善試合とは言え興行面でこれだけ目玉のない試合をやっては本来だったらいけないんだけど、それでも僕を含めて3万5000人とかが詰めかけてしまうから何を言っても説得力はありません。まあそれでもフランスのオーセールから移籍したフィリップ・メクセスとローマのプリマヴェーラから上がって未来のトッティを期待されているガエタノ・ダゴスティーノの共に22歳のニュースターをこの目で見られたんで意義はあったかも。とくにめく背州。若くて格好良くってローマでも人気出そう。今シーズンの活躍に注目。

 試合の方はともに攻め手をかく中で無得点とゆー眠い試合。決定機はどちらかと言えばFC東京の方が多くってはるばる来た割にはASローマ、物見遊山以上のものは得られなかったかもしれない。それでもメクセスが入ってカンデラにパヌッチが両サイドを固める最終ラインは強固で且つ攻撃的。ダゴスティーノは本領発揮とはいかないまでも中央で頑張りサイドでも頑張りアピールしていて、これにトッティ&カッサーノが加わればそれなりにまとまったチームになってスクデットに絡んで来そーな感じ……はしないかな、やっぱり。試合はそれとして試合前に朝日新聞社がヘリコプターで空からボールを落とした儀式にはちょっと唖然。朝日新聞の社旗すなわち旭日旗にくくりつけて落とす荒技。大好きな北京でもやって頂きたかったねえ。きっと大歓迎を受けるよ、チャイナスクールの公使の方々が受けたもの以上の歓迎を。日の丸を云々するならまずは社旗、替えようよ。


【8月7日】 温水プール、っていうかもはや熱湯コマーシャルの湯船に近いくらいに沸き立った汗が溜まり熱気の漂うベッドを抜け出し近所の「サンクス」へと行ってコリンシアンのイタリア代表フィギュア集め。すでに前夜に2つ買い足したもののこれが揃ってペッポにネスタとすでに持っていた2人で、並べてペッポブラザーズにネスタブラザーズの濃いWツインズの顔をガッカリしながら眺めつつ、違うのが出てくれよと祈って袋を開ける。願いはちょっとはかなったよーでボボことヴィアリ選手にファビオ・カンナバーロ選手が出てこれで4人が揃う。あと8人。

 夕方にもう1度同じ「サンクス」へと寄って更に2つ購入。残り少なくなって来ていて果たして揃えきれるかと焦るけど、まとめ買いしても保存しておく冷蔵庫が使えない状態なんで仕方がない。開けると今度はトルド選手にカッサーノ選手。ようやく明日来日のローマの選手が出てくれラッキー、とか思ったものトッティ選手と同様にカッサーノ選手も来ないなんて噂があり。それとも正式に発表になっていたっけ。ともかくこれで6人でようやく半分へと届いたけれど、コレクションってのは残り1つになってからが大変だからなあ。しかし出ないぞガットゥーゾ選手。人気の度合いでもしかして数少なく作ってる?

 暑さの中で聴くならこれと突発的に思い立って「ドゥービー・ブラザーズ」のヒット曲集を買って汗まみれになりながら聴く。夏はやっぱりアメリカン・ロックだぜい。だぜい。ぜい。暑さがぶり返す。けどしかし改めて聴いて前期と後期でまるで違うグループになっているよなあ、「リッスン・トゥー・ザ・ミュージック」から「ロング・トレイン・ランニング」から「チャイナ・グローブ」へと流れる一連のギターサウンドがガンガン鳴ってトム・ジョンストンが吼える時代と、マイケル・マクドナルドが抑えつつ時にファルセットも混ぜ「ホワット・ア・フール・ビリーブス」なんかを歌い上げる時代とじゃあ、まるで違うグループって言って決して言い過ぎじゃない。

 いったん解散したのが1982年でその前後から本格的な活動は停滞気味だっただろーから僕が、リアルタイムで「ドゥービー・ブラザーズ」を聴いたってことはほとんどなくて、かろうじてあれはコカ・コーラだったっけ、何かのキャンペーンでアメリカン・ロックの大御所とそれから日本代表の矢沢永吉さんだかが行うライブへの招待を行っているCMの中で、おそらくは小林克也さんだかが「ドゥービー・ブラザーズ」の名前を連呼しているのを聞いてそれでそーゆーバンドがあるんだって気に留めていた程度。「ドゥービー・ブラザーズ」の解散と前後する時期に洋楽番組を見始めた中で紹介された「ドゥービー・ブラザーズ」はトム・ジョンストン版もあればマイケル・マクドナルド版もあって、どっちもどっちって印象をもって特にどっちって思い入れは抱かなかった。

 むしろちょうどマイケル・マクドナルドがソロでヒットを飛ばし始めていたこともあったからむしろ後期のR&B的だったりAOR的な方にこそ「ドゥービー・ブラザーズ」って印象を抱いていたかもしれないけれど、ベストアルバムを聴いてみると初期のトム・ジョンストンの咆吼も、アメリカン・ロックらしさ全開でアメリカの音楽シーンに輝くレジェンド「ドゥービー・ブラザーズ」に相応しい。当時にずっとリアルタイムで聴いていた人ってその辺、どう認識しているんだろー。どっちがどっちって割り切っているのかな。移り変わりをいったいどーゆー風に受け止めたのかな。杉山清貴が抜けてカルロス・トシキがボーカルを取ったオメガトライブがまるで別物にきこえたくらいに驚いたのかな(比べるなってば)。通して聴くとやっぱり後期のマイケル・マクドナルドの方がサウンド的な重ね方、コーラスの入り方で好みかも。暑さにはあんまりしっくり来ないけど。冬の静かな居間でソファーに沈み込んでバーボンをすすりながら聴きたいねえ。無理だけど、部屋狭くって。

 世界でもっとも格好悪いTシャツを買って来る。って言ったら全世界32億人が「あああれだ」と気付いたとおりにユニクロが提供しているアテネ五輪選手団が移動の際に着る花柄のTシャツで、あれを着てサッカーの男子代表が出発していった姿を見て、どこのママさんバレーのチームかとその商店街洋品店的カラー&デザインのセンスに呆然としたものだけど、ドン小西さんとかピーコさんがそのセンスにどこかで異論をさし挟んだって記事や番組はまだ見ておらず、あるいはあれでなかなに格好良いものかと思って自分でも試してみよーかと考えた次第。実践あるのみ。

 すでにパーカーの方はネットで注文済みで今日到着。さっそく合わせて鏡の前でポーズ……格好悪っ! でも仕方がない、某新聞は経済が主戦場なはずなのに誰が決めたか紙面の3割とか裂いて五輪の記事を大々的に載せるそーで、お陰で記事の載らなくなった企業がどう思うかは悩ましく、だからといってスポーツに疎い人間が日々、情報をあちらこちらかかきあつめては綴る五輪のニュースを経済の新聞で読みたがる人が世界に何億人くらいいるのか分からず迷いも招じているけれど、決まったことは決まったこと、なれば地より足が1ミリ2ミリを浮かんで来ていいる社内の五輪ムードをなおいっそう盛り上げるべく、みっともなさに耐えつつ五輪の期間中はこれを着続けることにしよー。羞恥プレー?

 いやねえ、男子の方はそれでも胸に花柄なんでまだ良いけれど女子はいったいどうしたものかと頭を抱えてうずくまる日々。全面に小さい花がプリントされたシャツはTのとタンクトップのがあってそれを移動中には着なくちゃならないらしく、サッカーの女子代表が日本を出る時も澤穂希選手が確か着ていてその鍛え上げられ盛り上がった肉体をピチピチな白い花柄のシャツで包んでここは巣鴨か浅草か、ってな空気をテレビ画面を通して感じさせてくれた。

 今日も今日とてタワラちゃん、じゃないヤワラな谷亮子選手がある意味豊満な肉体を白い花柄のTシャツに包んで成田を出発。人によっては目が胸部の1点へと集中して素晴らしさを感じることが出来るかもしれないけれど、頭部から足の先までをトータルに眺めた時にはやっぱりどうしたものか、さらに進んでどうしてこんなことになってしまったのかと胃を抑え頭を掻きむしりたくなる。谷選手にだったら似合う服が柔道着以外にあるのかって疑問もあるけれど、普通にブレザーを着てればそれなりに見えた記憶があるだけに、特徴的なビジュアルをその特殊なセンスで増幅して、合わせ技1本的に世間に衝撃を与えた罪をユニクロは今後、さまざまな形で思い知ることになるだろー。しかしやっぱり不思議なセンス。高田賢三も老いたかそれとも超越したか。

 ってことで「アジアカップ2004」は日本が優勝。サイドの弱点を狙って突破してからクロスをあげるなり中央のミスを逃さずひろって攻め込み得点を重ねようとする相手を宮本選手中澤選手のディフェンス2人が頑張り更に川口選手が鬼神のごとき守りで退ける一方で、中村選手が蹴るセットプレーからこれまた中澤選手に宮本選手あたりが飛び込み得点を重ねるとゆー、11人いるのかいないのか分からない試合を今回もやっぱり繰り返していたよーで、ハオ・ハイドンの飛び込みもスン・ジハのアタックも退け1点に抑えて逆にセットプレーから2点を奪い、これまでどおりの勝利を手にする。

 決勝までまるで変わらない戦い方はそれだけ筋が通っているってことだけど、その筋がアジアレベルなのかそれともワールドスタンダードなのかをワールドスタンダードな評論の人に解説を頂戴したいところ。トルシェ嫌ジーコ好きで鳴る一方でワールドスタンダードから外れたチームを批判し貶す傾向のある方々が何を言うのか興味津々。まあともあれ勝てて幸い、「コンフェデレーションズカップ」への招待も決まって再び真剣とは言えないもののまあ本気っぽい世界のチームを相手に戦えるチャンスを得たってことでそのチャンスを今度こそはちゃんと有意義に使ってくださいな。2006年が楽しめない分を補完する戦いにならないことだけを切に願います。


【8月6日】 東京からエムボマ選手がいなくなって神戸からはイルハン選手も解雇で正式に離脱。これで日本にいるワールドクラスにそれなりな知名度を持っている選手がたぶんほとんどいなくなってしまった訳で、94年だかの華々しくJリーグが開幕した際の、リネカー選手だのリトバルスキー選手だのディアス選手だのジーコ選手兼実質監督だのと挙げればリストが黒く埋まってしまう程にワールドフェイマスな選手たちがいた状況がもはや遠くへ行ってしまった感じ。監督にはオシムさんアルディレスさんブッフバルトさんリトバルスキーさんトニーニョ・セレーゾさんと国際級がいるのになあ。

 それだけ日本が成熟したってことなのか。それともリンダ・メダレン選手とか世界的プレーヤーを擁しながらも不況で衰退、そしてシドニー五輪行きを逃して一段と人気が冷え込みアマチュアへの後退を余儀なくされて試合にも数十人が来るだけの状況へと陥ってしまった女子サッカーの道をJが辿る前兆なのか。「2002ワールドカップ日韓大会」って巨大イベントが前にあった関係で、一時のJリーグ人気の冷え込みは乗り切れたけど、今度はそーゆーのはないからなあ。

 幸いにして今はアテネ五輪とゆービッグイベントがあってそこに、危機感を覚えて自らを鍛え直した女子代表が出場しては自らの行動でもって人気の回復に務めた女子サッカーの代表が出ていたりするし、男子もそれなりな選手が出場して将来への期待を感じさせてくれるけど、肝心要のフル代表が絶対負けられない戦いであるところの2006年「ワールドカップ独大会」への出場を危ぶまれるくらいになってしまっているのが気になるところ。これで出場を逃すなんてことになればあの日本リーグへの時代へと逆戻り、なんてことになりかねない。その辺をどーなんだろー、分かってくれているんだろーか代表監督は。選手が分かっていたってあんな用兵されては自覚でどうこう出来るもんじゃないからなあ。とりあえずそれでも今晩には期待。

 いそいそと渋谷で開催された「エンターブレインエンタメ大賞」「エンターブレインエンタメ大賞」をのぞく。受賞式は忙しいのか選考委員の人が半分くらい来ていなくって、選ばれ有名な先生に会って御礼が言えると勇躍、上京して来た受賞者の人にはちょっと残念な感じ。昼間って時間帯が悪いのか。小説部門は秋津透さんに久美沙織さんが来臨されていて久美さんはゴージャスな赤いドレスで目に映える。サンキュー坂田のレプリカではありませんでした。五輪に出られなかったから封印したのかな。ワールドカップ予選での復活を期そう。日韓大会が終わってよーやく中村俊輔選手のレプリカが堂々着られるよーになった前例もあるし。

 どちらかと言えば関係先の人の多かった受賞後のパーティーに今年は三雲岳斗さん古橋秀之さん秋山瑞人さんの電撃な御三家(これに上遠野浩平さんを加えると四天王で以後1人を追加するごとにゴレンジャー、ヘキサゴン、七福神と呼称が変わる、らしい)が来臨していて意外、とは言え今は同じ角川書店グループになったエンターブレインだけに以前では壁ありまくりだった関係で難しかった交流も、可能になって来たってことなのか。古橋秀之さんもスニーカーから新刊を出したことだし。「タツモリ家」はどこへ行った?

 そんな3人を近くから遠目で観察しつつ周囲を歩く作家の人たちを見物しつつ、「このライトノベルがすごい」の管理人の人と話しているとこのイベントをレポートしなくちゃいけないからってことで、場内を忙しそうに歩き回っている人がいて遠目で交換している名刺を覗くとガーゴイルだった。じゃない「吉永さん家のガーゴイル」の田口仙年堂さんだった。去年きっと授賞式で見ていたはずだけど忘れてた。人の顔を覚えるのが相変わらず苦手。話しかけるのはさらに苦手なんだけど。

 終わりがけに浜村御大登場。今はすっかり偉い人になってしまったけれど元ゲーマーで今もゲーム好きな人の少なくない20代の作家の人にはあれが「ファミ通」の浜さんだよ実物だよ歩いているよ喋っているよと映ったんではなかろーか。首を伸ばしてその喋る姿を見ていた人もいたし。さすがにサインはもらいには行ってなかったみたいだけど。会もそのまま流れ解散的になり、サウナに入っているよーにうだる渋谷をちょっとだけ歩いて宮益坂にあるサッカーのユニフォームショップに行ったら閉店してた。ここにもワールドカップ後のサッカー熱低下の影響が。まあ事業を広げすぎた挙げ句に行き詰まり、幻冬者を経てABCマートへと買われたって経緯もあるから仕方ないんだけど。

 もっとも目測を見誤った要因の1つに我らが代表の体たらくってのもあるんだとしたらやっぱりジーコ代表監督、その余波は小さくないってことで。選手だけじゃなく日本のサッカービジネスまでもジェノサイド。怖ろしい監督です。そこを経由で宇田川町で久々の飲み会とやらに出席。アニメ評論の人とかペンタックス使いの人とかほか、いろいろいた中に講談社のJこと太田克史「ファウスト」編集長の同期って人もいて世間のふしぎな繋がりを感じる。今はノベルズ作りに邁進だそうでこの夏も急がしげ。太田さん頑張ってます。見せてもらった「好き好き大好き超愛してる」は装丁が豪華、ってゆーかキッチュ。本文も活版だし作品ごとにフォントが違うし紙まで違う。こんな単行本見たこと無い。太田さん頑張り過ぎてます。


【8月5日】 「中田いたり蹴」じゃなかった「蹴りたい田中」もなかなかにチャレンジブルなタイトルだったけど今度届いた「世界の中心で蹴りたい負け犬」も凄まじくアピール度の高いタイトルだなあ、とか思って背を見たらそんな言葉はかけらもなくってそこには「結婚するって本当ですか?」の文字が。つまりはそっちが枡野浩一さんむらやまじゅんさん八二一さんによる世の結婚に関する言葉を古今より集めた本の正しいタイトルで、表紙に帯としてでかでかと書かれた「世界の中心で」「蹴りたい」「負け犬」のベストセラー3冊からインスパイアされたか3冊をリスペクトしたかなタイトルはいわゆる煽りだってことの様。単純にパクるより攻撃的かも。

 っつかタイトル以上にセキララなのが後書きで、「長く苦しい離婚騒動が終わり、裁判所で『子供と父親を月一回会わせる』という約束をしたあと、元妻は子供を連れて行方不明になってしまったけれども」ってこれ、マジな話かい。おまけにそこの部分が外に巻かれた帯、といっても表紙の7割5分を覆うサイズだからほとんど表紙みたいな帯の裏表紙側にそっくり抜かれてあってページを開かずとも目に入るよーになっている。よっぽど根に持っ……じゃない心に想い出として強く子供と元妻の人のことが残っているんだなあ。こーゆー強い思い出が得られるんだったら結婚も悪くはないかも。なになに「急いで結婚すると退屈に苦しむbyウィリアム・コングリーヴ」? 「結婚していなければ愛はずっとすばらしいbyマリア・カラス」? 「よい結婚はあるけども、楽しい結婚はないbyラ・ロシュフーコー」? どないせいっちゅうねん。

 お願いガットゥーゾ様。と祈って買ったけど今日はネスタで昨日はインザーギ。サンクスとサークルKのコンビニエンスストアで飲み物を買うと付いてくる「サッカーイタリア代表ストラップフィギュアコレクション」ってのがあって昨日当たりから見かけるよーになって買った結果が今のところその2つ。携帯電話にぶら下げて邪魔にならないくらいの小ささなのにこれが結構似ていて例えばインザーギなんかは顔の彫りの深さと髪の毛の不思議な張り付き具合がまさにペッポ・インザーギ。ガットゥーゾ様は手元にはないけどパッケージの写真を見る限りは髯のどう猛な生え具合なんかがやっぱりガットゥーゾ様で、作ってるコリンシアンて二頭身フィギュアでは超有名な会社の技術の高さをそこに見る。とか言って後の一覧に出ているトッティはちょっとあんまり似てない感じ。デルピエロも同様でつまりは二枚目系は弱いってことなのかな。12種類集められるまで頑張ろう。

 ローレンス・レッシグが日本のおたくなカルチャーにハマって萌え萌えになって”でじこ”の素晴らしさを200ページに渡って解説している本だと風の噂に聞いてはいなかった「フリーカルチャー」(翔泳社、2800円)をやっとこさ購入。思えばこれの第1弾の「コード」が出たときに青山の「青山ブックセンター本店」で訳者の山形浩生さんの講演があったたなあと思い出し、この間に起こったABC倒産って事態とそれと、著作権法関連の強化拡充の進捗なんかを振り返って時の経つ速さ、被った波の大きさを改めて思い知る。加えてこの数日は、そんな著作権法強化に関わった人の去就が二転三転して明日も果たしてその席に座っているのかって状況。こーゆー揺り戻しが強化にばかる法制度にも及んでくれると面白いんだけど、決まればひたすら猪突猛進な司法行政に限っては不可逆的な道しか開けていないってことなんだろー。法廷での議論があっただけ負けたとは言え米国の法がマシなのか。それともこれからの頑張りで日本だけでも状況を変えられるのか。興味あるなあ。

 さすがに萌えとかオタにはならないだけの理性があったみたいなレッシグさんだけどそんな萌えとかオタな世界に対する調査はやっぱりやっていたみたいで、夏と冬の「コミックマーケット」について触れていて法律的には非合法な部分があってもそれが許容されている日本の状況についてあれこれ考察をめぐらしている。その結論が「訴訟をするにも弁護士が少ないから」って方向へと傾いているのはなるほど1つの視点としては面白いけど仮に弁護士が大勢いて1つの著作権違反に対して同人作家を相手に訴訟を起こして相手の支払えない金額をむしり取ろうとして、依頼主に必然的になる出版社を傍目に悪魔のよーに見せて読者層からの反発を招く、なんて事態に日本が陥るのかどーかが不明。是非についてちょっと考えてみたくなる。ちなみに後書きの謝辞に三崎尚人さんとそして米澤嘉博さんの名前も挙がっていて同人文化を支える重鎮にしっかりと話を聞いて書いたんだってことが分かる。その上での弁護士不足ってことは日本も弁護士が豊富にいれば「コミケ」なんかはヤバい方向へと転がる可能性があるってことなのか。未来に憂鬱。


【8月4日】 「憂鬱」だけでひとつの完璧な作品になっていてとりたてて続きを必要とするものではないって見解に変わりはないというのがまず前提。その上で「溜息」「退屈」「消失」と続く「涼宮ハルヒ」のシリーズは、圧巻のキャラクター造型にただ頼ってドタバタを繰り返してみせるだけじゃなくって、「憂鬱」で提示された設定を土台にそれを前後左右に揺さぶって見せては元の鞘へと収めて永遠の非日常へと引き戻してさてお次は? って興味を抱かせるって点でこれまた完璧なシリーズになっていて、作家・谷川流の持つ力量の大きさって奴を切に痛感させられる。

 「学校に行こう」シリーズは出だしが曖昧模糊とした設定の中を暗中模索していた感じがあったのが、巻を重ねるにつれて段々と本領を発揮して来たのとは違って出だしからインパクトたっぷりだっただけに、「涼宮ハルヒ」シリーズは逆に設定の喰い散らかをキャラの爆裂ぶりで塗り固めて乗り切るシリーズによくあるパターンにハマるんじゃないかと心配もしていただけに良い意味で裏切ってくれている。この流れで行くなら今後も手を変え品を替えた技でもって不思議な世界を提示してくれ、その上で相変わらずに傲岸不遜な涼宮ハルヒとその可哀想な仲間たちの繰り広げるバカ騒ぎを見せてくれるだろー。

 でもって「涼宮ハルヒの消失」(角川スニーカー文庫)。ある日気が付くと学校に涼宮ハルヒはおらずSOS団なんてものもなく、団員たちは長門も朝比奈もキョンを知らずいなくなった筈の朝倉涼子までが復活しているという事態。これはいったい何事だって調査に乗り出すキョンはやがて事態の原因を突き止めそして選択を迫られる。宇宙人と未来人とアンドロイドが悪き回る世界で傲岸不遜な少女に引っ張り回され引きずり回されるバカ騒ぎの日常と、静かで穏やかな日常のどっちが良い? テーマとしては過去に類例のあるものだけど生きている上で起こるさまざまな出来事に立ち向かう上では重要な選択。いろいろ考えさせられる。アクロバティックな時系列の構築に感嘆。山本弘さんお勧めのシリーズだけどこの続編にもきっと大きく花丸印を与えるだろー。

 唄わないエルウィングなんてエルウィングじゃないけど唄ったエルウィングはそれはそれは公害ってゆーか兵器ってゆーか、とにかく凄まじいことになるんで彼女にヒロインでいさせたい作者的には唄わせないでおくのが正解なのかも。高殿円さん「銃姫2」(メディアファクトリー、580円)は何か突然魔法が使えなくなって魔法の弾丸を作れなくなってしまったセドリックが悩みもだえているところに現れたのが弾丸売りのおっさんで、見かけは胡散臭そうでも喋るとこれがなかなかの好漢。セドリックの悩みを解消してあげようと相談に乗ったりセドリックの姉で歌の力で人を癒す(と本人は思い込んでいる)力を持ったエルウィングとか、セドリックの連れで元お姫様のテロリストのアンブローシアにちょっかいだしたりとまあ、そんなドタバタとした展開が繰り広げられる。

 もっとも街をひとつ吹き飛ばしたこともあるセドリック。本当に魔法がなくなったとも思えずその理由を探るストーリーから力を持っている者の奢りと誇りの相半ばする複雑な感情なんかがにじみ出てきて、優越感と劣等感の入り交じった気持ちを味わわされる。国と国とが争う壮大なスケールの物語へと転がっていく中で果たして人間兵器なセドリックはどんな運命を辿るのか、歌のへたくそさ以上に謎めいた所の山とあるエルウィングの正体はいったい何なのか、アンブローシャはその身を敵に差し出すのか、などなど興味をたっぷり引かれながら2巻の終わりとなった物語の今後に注目。次はエルウィングには是非に唄って欲しいなあ。

上半身裸で手に鳩を持って守備をしてくれたら惚れるのに、「ホッ、ハーッ!」って叫びも入れて  半分以上が真っ白いレプリカに身を包んでいたっぽい銀河系軍団の試合とか、赤に青の縞模様のレプリカが大半だったカタロニアのチームの試合に比べると、オレンジ色の参りぐらいはちらりほらりでホームの白いレプリカあるいは偽物の混じり具合もちらりほらりだったりして、レアル・マドリードほどにもバルセロナほどにもバレンシアってチームの日本での知られてなさをやや痛感。とはいえ4万7000人が集まった国立霞ヶ丘競技場でちらりほらりってことは数千人はいたってことでまあそれなりには知られていたりするのかもしれない。どっちやねん。ちなみにそんなレプリカ野郎の9割7部はパブロ・アイマール。途中で店を広げていた露天商の売ってた偽レプリカの全部がアイマールだったりするのには笑い。とはいえ他にいないもんなあ、バラハは地味だし移籍して来たディ・バイオもいまいちマイナーだし。

 つまりは銀河系に遠く及ばない無名な面々の集まりってことでそれでよくも銀河系軍団を制してリーガ・エスパニョーラで優勝できたもんだと今さらながらに痛感。鹿島アントラーズの主力が中国行きで抜けたチームを相手に前半はあまり良い所を作れず逆に攻め込まれる場面も多々あって、スペインでも1、2を争う美丈夫なゴールキーパーのカニサレスが度々守備をしなくちゃいけない羽目となってこれで相手に超決定力があればばしばしと、得点を上げられてたんじゃなかろーか。それでも後半に入ると右サイドからパスの交換で崩したり左サイドから突破を経たクロスが上がったりとテンポが良くまた凄みのある攻撃がバレンシアから出始めて、そこはさすがにリーガの上位を争ったチームだって感じを持つ。

 もっともそこは曽我端選手の留守を守る2人のゴールキーパーがそれぞれにそれなりの守備を見せて得点を許さず引き分けでの終了すなわちリーガを制したチームが日本で1勝も出来ないまま退散なんて恥をかくのかと心配も生まれた後半ロスタイムの前だか最中に鮮やかなバレンシアのゴールが決まって1点リード。ロスタイムはそのまま終了となってバレンシアが1点リードで逃げ切り勝利を得た。アイマールは出ずバラハは登録もされていない試合で見所はカニサレスの余裕を持ってする強靱で素早いゴールキーパーぶりくらいだったけど、まあそれだけでも見て格好良かったんでそれなりなお金を払って見た価値はあったとゆーことにしておこー。しかしミスタは今いちだったなあ。やっぱり大丈夫かなあ。


【8月3日】 一夜明けたら元の鞘。ってのはちょっと凄いけどそれだけインパクトが大きかったってことなんだろーMAX松浦専務の突然の退社がもたらしたエイベックス契約アーティストの続々の離反宣言は。とりわけ浜崎あゆみさんのご意見が効いたよーで1日に受理され辞任したはずのMAX松浦専務が一転、エイベックスに戻って元通りの仕事を行うとかで、情報に踊って株を売ったり専務に操を立てて辞表を叩き付けた社員はつまりは踊らされまくったってことになるんだろー。元がダンスミュージックでのし上がったレコード会社だけに人を踊らせるのは得意とは言え、お客さんでもない味方の株主に社員を踊らせてしまった反動が、信頼感のダウンとゆー形で後でボディーブローのよーに効いてこないかとちょっと心配。

 ってか社員はともかく踊らされた株主は会社ぐるみの”風説の流布”だと怒り出す可能性が結構あってこれからの展開に要注目。体質として昨日の今日で復帰もありえる会社だって言って言えないこともないけれど、ごくごく普通に考えれば仲違いした取締役が翌日に復帰するなんてとてもじゃないけれど考えられない事態で、にもかかわらずそーした可能性をまるで示唆しないまま右に左に情報を振り回しては昨日の今日でひっくり返してみせた会社、でもってその間に結構な株式の商いが行われてしまっている状況に、どーゆー形で株主がモノを申していくことになるのかを見ていきたい。たった1人の言動でもって上へ下へと業績が揺れるリスクのデカ過ぎな会社として一斉に引くかそれとも博打のし甲斐があると立ち向かうか。

 なんて言っていたら今度は依田巽会長兼社長退任の報。まあしょうがない。社員もアーティストも自分が否定した相手についたってことはつまり、自分が会社に否定されたってことでそこにずっといることなんで、真っ当な神経だったら出来るはずがない。まあ妥当な選択ってことでしょー。ここで気になるのは依田さんが信念でもって取り組んでいたCCCDをキーにした違法コピー対策で、良かれと思ってしたことなんだろーけど結果として大いなる反発を招いたまま今へと至ってしまったこの問題が、音楽配信ビジネスの台頭ってゆー環境の変化も勘案しながらどー変化していくのか興味が尽きない。それと日本レコード協会の会長として取り組んだ表向きはアジアからのCD環流防止、敷衍すれば海外製CDの輸入停止の可能性を盛り込んだ形で成立した法律が今後どーなるか、だけど成立した法がひっくり返らないのは世の常ってことでこれはこのまま残りそう。あと1年、MAX松浦専務の叛乱が速ければ、と思っている人も多いかも。しかしどーなるんだろ次のレコード協会会長は。

 そんな音楽配信ビジネスの台頭ってゆー特集をやっていた「日経ワールドビジネスサテライト」を見ていて驚き。米国アップル副社長の前刀禎明さんて……ライブドアの前刀禎明さんじゃん。ここで言うライブドアってのは今のオン・ザ・エッヂが名前を変えたライブドアじゃなくってオン・ザ・エッジが買収した無料インターネット接続サービスの会社「ライブドア」のこと。これを立ち上げたのが前刀禎明さんで当時は幅広い人脈と膨大なマーケティング費用を注ぎ込んで時代の寵児と持ち上げられたものの、行き詰まって会社を潰して売り渡し、その後姿がしばらく見えなかったけどどうやら5月くらいに米アップルに迎え入れられていたらしー。ITを標榜しながらも実質は人的にも面的にも半ば捨ててしまってる新聞なんで会社じゃ話題にもならなかったなあ。

 ビジネスじゃなくマーケティングとか企画をやらせたら一流だったねってライブドアを買収した当時に確か堀江貴文さんが言っていた記憶があるけれど、その意味でまさにベストなポジションに収まったって言えそー。相変わらず若作りの格好で銀座の「アップルストア」とか闊歩していてなかなか。「iPodミニ」も大成功みたいで1つ勝ち星を挙げてアップルの中で立場を高めてストックオプションとかもらってジョブスの信頼も勝ち得てガンが発覚したジョブスから生前贈与とか受けて億万じゃない兆京長者となって今のライブドアを買い戻したら見直すかも。大阪近鉄バファローズじゃなくたってアナハイム・エンジェルスだってミネソタ・ツインズだって買えるしね。しかしアメリカってダイナミックだなあ。大神田正史さんもそのうちにひょこっと外資のCEOとかで復活して来たりして。西和彦さん……はもう無理か、歳も歳だし(そんなことはない)。

 「偶像を造ってはならない」は無理だなあ、でじこもぷちこも大好きだし。「安息日を聖なる日とせよ」もなあ、コミケにワンフェスは半分遊びで半分仕事だし。「殺してはならない」。肉大好き。「「盗んではならない」。情報はネットからパクってます。「主の御名をみだりに唱えるな」。編集って仕事の相手は先生なんだよ誰であっても。「隣人のものを欲しがるな」。おやつとかもらってます。「父と母を敬え」。もう3年も帰ってない。「ほかの神々があってはならない」。正月とクリスマスを祝ってるなあ。「偽るな」。いま忙しいって口癖は直りません、楽したいから。ってことで倉阪鬼一郎さん「十人の戒められた奇妙な人々」(集英社)に出てくる、モーセの十戒を守るように言われて守れず命を奪われた人たち同様、僕も幸せにはなれなさそー。

 ひとつ足りない? そうそう「姦淫するな」。これは大丈夫。完璧なまでに大丈夫。絶対なまでに大丈夫なのだよそんなことをする相手がいない、3次元空間においては。なので先生とゆー人のもとに連れて行かれて「第十宗教哲学」って団体の中でも特別な会員に与えられる戒律として「姦淫するな」を与えられたら完璧なまでに守り先生とやらをたぶらかす謎の男の鼻を明かして先生に、喜んでもらうことが出来そー。嬉しいなあ。悔しいけど。そんな感じに十戒を与えられては悩みもだえる人間の弱さを描いた連作短編集。個人的にはぬいぐるみを愛する男、カラオケが得意な小説誌の椎塚って女性編集長に興味。そんな人がこの世の中に……いるんだよなあ、噂に聞くところによると。


【8月2日】 目の下のアレが髯なのか下まつげなのかは神のみぞ知る「蒼穹のファフナー」をちょろっと見る。目の下のアレが何なのかはともかく原画で描き動画で描き続ける人たちの苦労がちょっと忍ばれる。違うカットでタッチも量もそれほど狂ってないのは設定がちゃんと起こしてあって1人ひとりに線の数とか形とかが決まっているからなのか。それとも原画マン動画マンを通じてひたすらにアレを1人で描き続ける「アレ画」な人がいてそれを監督する「アレ作監」ってのもいるのかな。今時手書きなんてない、デジタル作画ですべてのパソコンにサイズも方向も自由自在な「アレ・レイヤー」ってのが入っていたりするのかも。「日経キャラクターズ」あたりでの特集に期待。

 居づらくなって辞めたかと思っていたら結構どたばたがあったみたいなエイベックスのMAX松浦退任劇。依田巽会長兼社長の解任動議まで出たってんだから役員会では相当な丁々発止があったんだろーけど結果としてMAX松浦専務が辞めているってことは依田さんを支持する声の方が役員に圧倒的に多かったってことなんだろー。何だかんだ言ったってエイベックスを経営面から支えた立役者だし日本レコード協会会長ってレコード業界の名実ともにトップにある人に楯突いても良いことはないだろーし。辞めたMAX松浦専務が浜崎あゆみさんを連れて行くのか、昔みたいなアグレッシブさでエイベックスに並ぶレコード会社を立ち上げてしまうのかにとりあえずは興味。しかし依田会長の当社グループ全体を統括する経営者としての理性と、松浦氏のクリエイターとしての感性って対比を書いてしまえるエイベックスも根性のある会社だなあ。「経営者としての理性」。コピーCDの撲滅に外国からのCD輸入制限へと信念が向かったのも理性を働かせた上で経営に良くないって判断があったからなんだろー。企業経営への。音楽と音楽ファンへの判断は不明。

 税込み315円のおまけDVDビデオ付き玩具菓子に驚いていてはいけません。ピーディー・ムービーとか何とかって会社から9日に何と380円のDVDビデオが出るのです。315円より高いって? そりゃ高いけどでもこれ、おまけじゃなくってちゃんとトールサイズのパッケージに入った歴としたDVDビデオタイトルだったりするんですね。パッケージだけじゃなくオーサリングもしっかりしていてメニュー画面は動画が使われているしチャプター画面も見たい場面にすぐに飛べるよーになってるし、映像自体もデジタル技術でもって極力フィルムの傷とか汚れを除去してあってチラつくものが目にはちょっぴりに気になるけれど、おおむねあんまり古い作品だって気にさせられずに見ることが出来る。日本語字幕もちゃんとしているっぽいし。これで380円は絶対的に安いでしょー。

 どーして380円で出せるのか、って部分のひとつはカバヤ食品のDVD付きガムといっしょで著作権フリーになったパブリックドメインの作品だからでこれを引っ張ってきてはDVDにして販売するんで著作権者に払う分が安くなる。ただそれでもデジタル化してオーサリングしてDVDにプレスする費用を含めればとてもじゃないけど380円では脚が出るクオリティ。それをこの会社はDVDが始まる冒頭にCMを入れたりパッケージに広告を入れることで解決しよーとしている。幸いってゆーか残念ってゆーか9日発売の最初の3本にはまだCMは入ってなかったけど、これから出る作品でCMがちゃんと取れたものには映画が流れる直前に15秒とか30秒のささやかなCMが入ることになるとゆー。15分ごとに入るなんて事はありません、テレビじゃないんだし。

 あとやっぱり数がハケるってことが重要で、何とこのDVDは最初はJR東日本管内にある駅のキヨスクで販売されるとか。1500円のDVDだととてもじゃないけど売れないけれど、380円なら値段で言えば「ナンバー」以下。キヨスクで売っていたって不思議はない値段で、朝晩にちらっと見てその値段に驚きこれならとお土産代わりに買って帰るお父さんとか出てきそう。さすがにパブリックドメインだけあって最初に出るタイトルはエリザベス・テイラーの出演している「雨の朝巴里に死す」とかバート・ランカスターの「復讐の谷」とか、シリーズの劈頭を飾ったらしー「キングソロモン」の3本で、余程じゃないと見たことのない作品かもしれないけれどそれだけに安いし1度は見てみるかって気にさせるかも。

 この後は「カンサス騎兵隊」とか「戦場よさらば」とか「片目のジャック」とかがラインアップ。マーロン・ブランドの死去を受けた編成でこれは話題になりそー。他から出ている書店経由の500円DVDとか続編があるかもしれないカバや食品と、パブリックドメインからのピックアップってことで重なるタイトルがあるかが目下の悩みどころ。すでに「キング・ソロモン」はカバヤとこの会社で重なっているけどそこは値段とあとはオーサリングの出来なり字幕のタイプなりで、選んで決めるのが賢くって楽しいバブドメ映画との付き合い方か。380円なんてやっぱり怪しいって思う人もいそーだけど、あの参入に厳しいキヨスクがオッケーしたってことでそれなりに商品には信頼が置けそー。記者会見の司会にわざわざ襟川クロさんが出席して喧伝していたところにも、映画界で活動する人としての信頼を今回のタイトルに置いているのが現れてるんで、見かけた人は買って見てみるのが大吉かも。西日本の人はどんなものをかを想像して楽しむのが末吉ね。


【8月1日】 古今の小説を探せば多分あるんだろーけどヤングアダルト系文庫ではちょっと珍しいかもしれない「フロイト=名探偵」小説が登場。そのタイトルも直裁的に「Dr.フロイトのカルテ」(講談社X文庫ホ)ワイトハート、580円)はウィーンでしがない精神分析医をしているフロイト先生と弟子で美少年(だけど背丈はフロイトより大きい)のフェリックスくんが起こるさまざまな事件に挑んでこれを精神分析的手法で解決していくってゆー、これまたストレートな内容になっている。ボーイズラブ的要素はほとんどなし。そーゆーのが苦手な人でも気にせず読めます。

 まず冒頭に控えしは夜の公園で少年に竿をもちゅもちゅさせる怪人の話。なんでそんなことをさせたのかって部分も含めて事件をしっっかり解決をしてみせる。でもって次の結婚が決まったのにそれを破棄しよーとする女性の話でこれまたちゃんとカウンセリングな所から事態を解決してみせる。残る話は精神分析よりは推理にウェートがかかった話だけどまあ、そんな感じに分析&推理でもって、ばったばったと起こる事件を解決していくフロイト先生の活躍振りに、精神分析ってすげえんだなあって思う少女&少年とかたくさんいそー。

 あれもこれも心理に結びつけリビドーに起源を見る辺りとか、プロの精神分析な人ならつっこめそうな所があるかもしれないけれど、読者ターゲットを12歳から16歳辺りと見ればそこでフロイトって名前を知らしめて、精神分析ってものがあって人のあれやこれやが分かるんだって驚きを興味を与えるって役割は果たしていそーなんで、そんな読者をあとはどう、精神分析の世界にようこそと導き正しい理解と使い方を教えるかにかかって行きそー。イラストが今市子さんとは豪華だなあ。続編として「Dr.ユングのカルテ 犯人は無意識と霊魂だ」が書かれ……てません。「Dr.カザノ…」もありません。

ジェフユナイテッド市原は誇って良い。そりゃジダンもロナウドもいなかったけどグティが固めベッカムとフィーゴが開きラウルにモリエンテスのスペイン最強ツートップが入った攻撃陣は屈強で、そんなレアル・マドリッドを相手にグティの紙一重の妙技にラウルの倒れてもすぐに起きあがっての根性の2点で後半の終了間際まで抑え切った上に幾度となくチャンスまで作り出した守備陣に攻撃陣は、村井選手に羽生選手に茶野選手に阿部選手とゆー主力を大きく欠いての布陣だったことも考えるとそうとうにレベルが高いって言えそー。最後の1点はまあおまけ。勿体なかったけどね。

 それに比べて今日の東京ヴェルディ1969。怪我から治りかけのジダンにゴール正面でマルセイユ・ルーレットを決められハーフラインからのベッカムの縦パス1本でロナウドにぶち抜かれてまず2点。それから後もゴール前で横パスのパス交換を決められるとゆー辱めを受け弄ばれ、最終的には5点だなんて得点を献上して銀河系軍団ことレアル・マドリードに敗北してしまった。同じ負けは負けだけど、ジェフの負け方がまだイメージは同一でも細部で力量の差が出たって感じに見えるのに対して、ヴェルディの負け方は負けるべくして負けたって完敗で、見ていて面白かったジェフ戦に比べてメンバーに比してあまり楽しめなかった。

 何が妙ってとりたてて速攻を決められている訳でもないのに自陣ゴール前で味方より多くの相手がなだれ込んで来ているなんて状況を幾度となく作られてしまったこと。前へ、ゴールへって意識を持って全選手がここぞとゆー時に突き進む共通認識を持って戦っているんだろーレアルと、ボールをもらってそれから見渡し空いている相手にパスを出して一服ってゆー、省エネタイプの攻撃しかできない日本との差が出たってことになるんだろー。このレアルと戦ったら今の日本代表、10点だって取られるかな。まあ守備陣が堅いんで5点くらいで抑えられるかな。バルセロナも5点取ったか。小笠原本山中田鈴木の抜けた鹿島アントラーズなら仕方がないか(なくない)。

 「SOS団」とか「スイート・パティシエール」とかUFOを観測に行く新聞部とか、ライトノベルにはいろいろ不思議な学園内組織が登場するけどこれに新たに加わったのが「本格推理委員会」。その名もそのまま「本格推理委員会」って日向まさみちさんのデビュー作に登場する組織で、やることもそのまま学園内に起こる事件の真相を本格的に推理するってんだから分かりやすいかってゆーとこれがなかなか難物で、起こる事件が少女の幽霊が現れるってゆー非科学的な事態な上に推理する面々が金田一少年ともキユウとも違って「さてみなさん」と真相をひけらかすタイプでもなく、パターンとしての本格推理学園物と思って読むと肩すかしを食う。

 なるほどそーいった入り組んだ事件の真相を主人公の少年が解き明かす場面はあるけれど、メインはそーした推理の部分じゃなくって彼が自分の心を縛っていた過去を解きほぐし折り合いを着けて明日への1歩を進み始めるって部分になっていたりして、その意味で帯を書いてて「ボイルドエッグズ新人賞」の応募作として選考にも当たった滝本竜彦さんの作品と、相通じるところがあるのかも。筆の爆裂具合とかキャラの突拍子のなさとかは滝本さんに一日の長があるって感じだけど入り組んだ話に錯綜するキャラクターをねじ伏せまとめ上げようとする意欲はなかなか。関西弁の幼なじみが存在感薄かったり理事長の謎がはっきりしなかったり、どちらかと言えば純な男が直情的に人を殺してそれを計画殺人に見せかけようしたりとキャラの出し入れにひっかかる所もあるけれど、まあこれが顔見せとして次の展開に期待を抱いてこれからの活躍を見守ろう。


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