縮刷版2004年6月中旬号


【6月20日】 つまり名古屋グランパスエイトはオランダなのである。だってほら、FC東京に2点のリードから大逆転を喰らって勝ち点1すら逸するとゆー悲惨極まりない試合運びを見せてファンから呆れられたその晩に、やっぱり2点リードから後半のそれも終わりにかけてチェコ代表に大逆転されてしまった「EURO2004」のオランダ代表の無様さを見ていると、地球の正反対にありながらもどこか地下茎が何かでつながっているんじゃないかって思えて当然だろー。小倉隆史選手が留学していたのもオランダリーグだったし。パナディッチもスタムって名前に変えて出ているし。

 しかしやっぱりサッカーは心理も重要なスポーツだと認識。勝ってはいてもどこかに追いつかれるんじゃないかと思うとそれが事実になってしまって加えて逆転までされてしまうんだから面白い。まあオランダ代表の場合結構前線で効いてたロッベンが後半に引っ込められてからどこか守勢に入ってしまって攻められてしまったとゆー采配面での影響を考える必要もありそーだけど、交代が及ぼした守らなきゃって意識が招いた大逆転って言えば言えそーな気もしないでもなく、その意味で心理スポーツだって例えはあながちはずれではなさそー。前半にダービッツのシュートがポストじゃなくってネットだったらこーはならなかったかも。3点はやっぱり重いからなあ。

 ともあれ怪しげになって来たオランダ代表の予選突破。イタリアもスペインもポルトガルも優勝候補って言われたところが軒並み勝ちに届かず引き分けがよーやくで負けてしまう所も少なからずあってこれで本当にイタリアもスペインも英国までもが1次で消えてしまったら、欧州はともっかく日本からの視聴はぐぐっと減りそーでテレビ局的にはハラハラな日々が続いているかも。せめてポルトガルだけでも上へと進んで欲しいんだけどスペイン相手に勝たなきゃいけないのが厳しいところ。フェルナンド・トーレスvsクリスチアーノ・ロナウドの若手対決の結果如何ってことなのか。フィーゴとかルイ・コスタとかロートルの場慣れしたプレーがやっぱり修羅場に効いてくるのか。見たいなあ。見られないよお。

スタジアムは小学生、大人のお姉さんはスタンドのないサブグラウンド。でもだからこそのこの熱気。盛り上がってますLリーグ  握手会なんかで混雑している「ゲーマーズ秋葉原店」でDVDの「まかせてイルカ」とか仕込んでから電車で「埼玉スタジアム20002」へと出向いて「Lリーグ」の第2節、「さいたまレイナスFCvs宝塚バニーズ」の試合を観戦。メーンスタジアムで小学生の大会が繰り広げられている脇で五輪にも出る選手を含んだチームの試合が第3グラウンドってスタンド施設のないグラウンドで開かれる状況に女子サッカーの置かれた苦境も伺えるけど、同じ日にちに試合をぶつけつつ小学生の大会を見に来た人が女子サッカーも見てちょっとだけ関心を持ってもらえるよーになれば良いって判断での第3グラウンドでの挙行だったとしたら、考えた人はなかなかの策士だったりするのかも。

 実際にスタンドのないグラウンドにしつらえられた土手には大勢がしゃがみこんで試合に見入る光景が。これが去年あたりだとせいぜい100人か200人っていった所しか来なかったものが、今年はざっと見ただけで500人くらいは来ていそーな目分量でこれがアテネ五輪効果なんだと強く実感させられる。前に同じ会場で行われた宝塚バニーズとエルフェン狭山FCとのL1参入決定戦は見ていた人はせいぜい50人といった所。それよりは多いとは思っていたけど土手が人でいっぱいになるとは思わなかった。驚いた。おかげで確立の高そーだった抽選にものの見事に外れてしまったよ。サイン入りTシャツとか試合使用球とかもらって決して迷惑じゃないし。1度着たってユニフォームだったらなお嬉しかったんだけど。もちろん試合終了後に着ていた奴をもらうんだけど。

アディダスのトレーニングパンツをはいて会場を見つめるサングラスダンディ。お眼鏡にかなった選手はいましたか?  試合はと言えば前半にレイナスが”秘密兵器”の北本綾子選手の鋭いシュートもあって3対0と順当にリードして後半も得点ラッシュが見られるだろーと想像したらこれが意外に後半は0対0でともに無得点。一部にバニーズGKの好プレーもあったものの、バニーズの守備を崩してシュートを放つシーンすらほとんど見られず戦術ってところがまだまだ固まって来ていない不安をレイナスは感じさせる。サイドへと回してもそこから前へと持っていくことがなかなか出来ないし、有効なサイドチェンジもあまりなくってそのうちに相手のチェックにあってボールが止まってしまう感じ。この辺を何とかしてかないとTASAKIペルーレや日テレ・ベレーザの上へと行くのは難しそー。どう立て直して来るか田口禎則監督。今日も声だけは出てたけど。

 来てるかな、って周囲を見渡して発見。白い頭に細い顔を色の濃いサングラスで隠したダンディなおじさまが土手の観衆の中にすっくと立ってグラウンドの選手たちをじっと見つめてる。誰も周囲の人は気付かなかったみたいだけど気付かれると騒がれると思ったのか選手たちに気付かれたくなかったのか、ハーフタイムになると土手から去ってどこかへ。そのまま帰ったのかと思いきや、土手の反対側からフェンスを挟んでグラウンドの中を観察。この熱心さが優れた選手たちのセレクトへとつながり我らが日本女子代表をアテネ五輪へと導いてくれたんだろー。上田栄治監督。頑張ってます。もっとも本当に上田監督なのかは不明。ただの女子サッカー好きのおじさんだったのかもしれない。来週はどこで会えるかな。


【6月19日】 毀誉褒貶で賛否両論の渦巻くOVA「サブマリン707F」だかに陶然だか呆然だかした人に朗報。「銀盤カレイドスコープ」って歴史に残るスポーツ&悪口雑言ヤングアダルト文庫を世に出し今や業界でもトップクラスの期待度を持つに至った(また大袈裟な)作家、海原零さんの本当に待望の新作はこれまでの路線をガラリどころかまるっきり取り替えて挑んだ設定&ストーリー。読んでこれのいったいどこが海原零なんだと怒り出す人だって出そーな変わり様だけど、そんな人でも読み終えればこれこそが海原零なんだと頷きため息をついて感心にどっぷりと浸れることだろー。

 舞台は多分どっかの惑星。413年前になぞの病気が全土に蔓延しては32億人の人類をほとんど死滅させ地上に誰も住めなくしてしまった。海の中に逃げた人だけがなぜかは知らないけれどもかろうじて生き残ることができたけど、地上に出れば発病は避けられない禍根を遺していたため人類は海の中に国を作り文明を再興させてどうにか生き延びていた。そして413年後。いくつかに分かれて対峙し合う国々のひとつに生まれ、士官になるべく訓練後悔にあった8人の候補生が乗った潜水艦が敵に遭遇。そこで艦を率いる無能な館長が愚策を繰り出し撃沈される危機へと艦を陥れる。

 こんな所で犬死にはしたくないと、士官候補生の1人、ソリカという少女が極刑を覚悟で命令に逆らい艦長を退け一部の仲間の支援も受けて撃沈の危機だけは乗り切ったものの、紆余曲折を経て今度は敵対はする国の捕虜となってしまい、そこで再び本国へと引き渡されて極刑に処せられることがほぼ決まってしまう。ところが。そこに現れた謎の少女。伝説の海賊の娘として育てられたトパーズの不思議な力と明晰な頭脳が8人の候補生たちを大海へと、反逆という名の自由へと導いていく。

 ミノフスキー粒子でモビルスーツどうしの格闘戦なんて設定をリアルなものにしたように、病気によって人類を海へと沈めた基本設定によって潜水艦だけによる戦いにリアリティを持たせたその上で、若い士官候補生たちの反乱と逃亡とゆードラマを繰り広げてその核に謎めいた少女を据える設定に構成に展開の妙。なおかつ8人いる候補生たちのそれぞれに独特なキャラクターを持たせて組み合わせて動かす巧さも光ってぐいぐい読ませる。何よりも潜水艦どうしのスリルに溢れた戦闘描写が素晴らしい。それがリアルかどーかを判断できる知識はないんでその辺はミリタリーな人に評価を委ねたいけれど、個人的には読んで存分に納得させられた。これがデビューから3作目でシリーズでは2つ目とは思えない巧みさすばらしさ。海原零。完全に完璧に抜け出したな。

 落ち込んでもないけれど私は脳天気です。ってことで寝て起きて脳天気にも磨きのかかった気候の中を「幕張メッセ」へと向かい「次世代ワールドホビーフェア」を見物。相変わらずに子供層がわんさと詰めかけ「コロコロコミック」誌上でのメディアミックスに始まる子供向けエンターテインメント市場のポテンシャルの高さを見せてくれる。とはいえ昔だったら「ミニ4駆」なり「ハイパーヨーヨー」なり「ベイブレード」といった単品に人気が集中してコアになる傾向が見られたけれど今年はどれが突出した人気ってよりはまんべんなくそれぞれに人気があって、ちょっとした気の利いた品物さえ企画・発売できれば、大もうけは難しいけれどそれなりのもうけをそれぞれの会社が、得られる状況が到来しているよーな気がして来る。底上げができて来たのかそれとも縮小均衡へと向かっているのか。来冬にまた行って確認してみよー。

 見て賑わっていたのはタカラのカードゲーム「デュエル・マスターズ」で通路なんかにしゃがんで袋を破っている少年少女の多くがこのカードを持っていた。あと「ベイブレード」もそれなりな人気で、なのにどーしてタカラは利益が下がり気味なのかが分かりにくい。利益率が低いからなのかそれとも異業種に手を広げすぎたからなのか。コナミのブースには「アムドライバー」の玩具に自由に触れられるコーナーがあって触ってなるほど「すっげー動く」ことを実感。あとコナミでは「続ボクらの太陽」のデモンストレーションコーナーが必見。ホットパンツにピチTのコンパニオンに夏でゆだりかけた頭が太陽の表面温度近くまで一気に沸騰する。直射日光よりもある意味強烈。いいもの見せて頂きました。またどこかで見せてくださいな。「コナミゲームキャラバン2004」に通うか。

 訳あってほとんど手にとったことのなかった北方謙三さんをいろいろと読む週末。とりあえず米国での出版も間近らしー「冬の眠り」(文春文庫、570円)を「味の素スタジアム」へと向かう電車で本八幡から新宿への間くらいで一気読み。殺人で服役したものの以前からの画才が認められて世界が評価する画家へのステップを上りつつあった男のところにマネジメントを志望する美女が訪れ画学生の少女が現れ彼のことを書きたいというノンフィクションライターが現れる。それぞれとそれなりのつきあいをしていた画家だったが、さらに新たな人間の登場が画家の周囲にいた人々を巻き込みその運命を変えてしまいどこか世を捨てたところのあった画家をも変えてしまう。

この喜びを見た時にこのあと屈辱が待ち受けているとは誰も想っていなかった、かってゆーと実はいっぱい不安はあった、だってグランパスだもん  絵を描くとはどーゆーことか、って芸術の本質に迫るよーな描写がふんだんに盛り込まれていてそれがなかなかに納得させられるもので、ハードボイルドってゆー分野でアウトローな人間の無鉄砲な生き様を描いて世に広く知られた作家でありながらもその筆は、人の心の奥底にまで踏み込み暴き綴る冴えて繊細なものだったんだってことを確認する。なるほどハードボイルドであってもアクションの凄さ、出て来るガジェットの楽しさでもって読む人の関心をツボにハめるあざとさとは違う、読んで心に響く部分があるからこそデビューから20数年を飽きられることなく時代の移り変わりとも関係無しに、長く最前線を走り続けることができたんだろー。続いて読む予定のいろいろな本がちょっと楽しみ。この夏は北方謙三をツブして過ごそー。そーすればハードボイルドに生きる自信も勇気も湧いてくる。何するものぞ。世間。

 到着した「味の素スタジアム」では「FC東京vs名古屋グランパスエイト」を観戦。前半に岡山選手が決めてマルケス選手も追加点をもぎ取って2対0で行くかとおおったのも束の間、グランパスらしく相手に得点を奪われ同点へと追いつかれ、あまつさえ逆転までされて勝ち点3が1ですらなく0に終わるとゆー屈辱を味わう。どーしてこーもあっさり点を奪われるのか。高さには強いセンターバックもスピードで振り切られる場面を見るとやっぱり世代が代わってしかるべき、なんだろーけどでもだったら代わりがいるかってゆーといないからなー。古賀選手はグランパスの生え抜きらしく一皮どころか半皮もむけないままサテライト暮らしだし、パナディッチ選手は怪我だし歳だし。誰かいないかどこかにいないかセンターバック。あとウェズレイに続ける実力を持ったフォワードも。セリエBに落ちそーな同じトヨタがスポンサーのペルージャから連れて来られないかな。バレンシアからならなお結構。


【6月18日】 何だ早とちりか。とくに変わらない日々に安心しつつ近所で開かれた西武百貨店「船橋西武」の食品館(しょくひん・やかた)のオープンを見物。9階の屋上へと直通のエレベーターがあった入り口脇の暗いスペースを屋内へと引き込んだ上にキレイに内装を施しそこに、地下へと通じるエスカレーターを設けてJR船橋駅から降りて来て京成船橋駅へと向かおーとする人たちを店内から地下へと誘導しよーとしていて、忙しさから素通りしていた人もこれで西武の中へとやって行きそー。問題は成田方面へと向かうホームにはJRの駅からエスカレーターを上がって新しくできたビルの中を抜けるルートが新しくできた関係で、夕方の家路を急ぐ人を「船橋西武」へと招き入れられるのか、って所だけどそこは新しいショップを並べ価格をデパ地下にしてはとてつもなく安い価格にすることで、改装効果を合わせて招き込みたい算段みたい。

 実を言えば以前は食料品は家路へと向かう通路になるってことで「イトーヨーカドー」ではなく「東武百貨店船橋店」でもなく「船橋西武」をメインで使っていたんだけど、隣の駅ビルの「シャポー」が総菜や食料品のコーナーを充実させたことで、そっちを通り抜けに使うこともあって買い物もそちがメインになって「船橋西武」ではほとんど買わなくなっていた。新オープンした地下の食料品売り場は前よりも品物が充実している上に野菜も魚も総菜もそれなりな価格のものが充実していて、これからちょくちょくと異様してみたくなる印象。冷製スープのレトルトが「キャンベル」も「ハインツ」も揃えてある棚のビッチリさとか壮観。じっくり眺めればさらに欲しくなる食料品が棚にぎっしり詰まっていそー。週末にはちょっと探検だ。

 8月には他の店も改装するみたいでメンズとかにどんな店が新しく入るのかちょっと注目。スポーツのフロアは毎年福袋を購入しちえる「ジャック・ウルフスキン」が存続するのかどーかが個人的には最大の関心事なんだけど、3年連続で買って去年と今年に被りタイプのアウターが被ったこともあるんで来年も果たして「ジャック・ウルフスキン」を買うべきなのか思案中。そこに例えば「パタゴニア」とか「モンクレール」とか来て暮れればそっちへと関心も向かいそーだけどでもなあ、「パタゴニア」や「木レール」が福袋を作るとも思えないし作っても1万円では買えないだろーからなあ。やっぱり「ジャック・ウルフスキン」の存続を希望。サッカー関連の店は近所に値段の安さで評判の店があるからいらない。

 すっげえ久々な「EURO2004」はベッカム様効果なのか「イングランド代表vsスイス代表」でこのあと地上派の予定を見ると予選は「オランダ代表vsチェコ代表」くらいでドル箱カード「スペイン代表vsポルトガル代表」のイベリア半島ダービーは地上派オンリーの人間には無縁で終わりそー。ここでポルトガルが敗れて1次リーグで消えたらフィーゴ、イベリア半島にはいられなくなるだろーなー、やっぱり、それが例えスペインでも。ジブラルタルを渡ってアフリカ大陸からサハラを超えて中東はカタールへとお行きなさい。あるいは”育ての親”のケイロスが戻ったマンチェスター・ユナイテッドで左サイドで妖しい技を見せてやっぱり、イベリア半島に戻れなくなったクリスチアーノ・ロナウドと、歳の離れた兄弟による渡世の厳しさを披露するとか。

 19歳だったのかストイコビッチ。いちおータメなんでそれがどれくらいの昔のことかは容易に想像が付くけれど、当時はまだ日本で「ワールドカップ」はともかく「EURO」なんてまるで見られなかったと思うんで、そんな若造がいて活躍をしたなんてまるで記憶に残ってない。一方でマラドーナなり、スキラッチなりリネカーといった「ワールドカップ」での活躍者はちゃんと記憶に残ってる。世界にアピールする意味でなるほど「ワールドカップ」はとっても重要だったってことで。そんな大昔のストイコビッチの記録を抜いたルーニーの活躍が、全世界にすぐさま伝わり日本のメディアのほとんどが取り上げる、この状況は90年代を通してサッカーの”一般化”に邁進して来た人たちの功績ってことになる。たとえ金儲けの意識が含まれていてもJリーグを立ち上げもり立てた広告会社に感謝。これからは女子サッカーをよろしく。

 しかしルーニー、大爆発。ストイコビッチの持っていた「EURO」最年少得点の記録を破った1点目は、元祖ワンダーボーイのオーウェンのジョン・ストックトンばりの丁寧なアシストをカール・マローンよろしくゴールへと”配達”してみせた綺麗なゴールだったけど、相手守備陣と粘った選手からサイドに振られたボールをゴール前へと持ち込み一気に振り抜いた2点目は、ポストに跳ね返ってキーパーに当たってまたゴールへと入るナラサキ的なゴールではあったものの放たれたタイミングといーそのスピードといーふかすなんて言葉と無縁のゴールマウスにピタリ照準のあった弾道といー、およそ日本人選手には想像も出来ないシュートでこれがなるほど”世界”なのかと実感する。いや凄い。今はエバートンなんて申し訳ないけど中堅なクラブで代表での評判とは反対の目立たない選手生活を送っていたけど大会が終わった後はきっと、世界を視野に入れたチームで世界へと導く活躍につながる道を歩み始めることだろー。果てが中国の2部リーグだなんてガスコインな道にはいかないことを願おー。

 「週刊新潮」は「墓碑銘」が野村万之丞さん。平塚でのLリーグの試合があって行けなかった日枝神社での大田楽は盛況だったみたいでそれを何も伝承の無いところ方立ち上げ10数年をかけて育ててきた野村さんの、熱意の大きさ造形の深さには改めて驚かされ且つ感嘆させられる。雑誌が手元にないんで記憶に頼って言えば大田楽に真伎楽と来て狂言のルーツらしー猿楽の復活に燃えていたよーで、これまでの田楽伎楽の復興ぶりからすればそれがそのままだったかはともかく、それなりに納得のものが見られたことは確実で、それだけに早すぎる逝去は残念で仕方がない。

 前週の「墓碑銘」ははやり急死したゲオの遠藤結城さんで2人続けて実際に見たことのある人の惜し過ぎる死に触れて振り返って2人の亡くなった歳に遠からずなる自分が2人の為したことにどれだけ近いか、とゆーよりどれほど遠いかを想い2人がこれから生きた時に為すだろー事々に同じだけ自分が生きていったいどれほど迫れるのかを考えた時に天とは何と残酷なことをするのかと慟哭にむせぶ。亡くしてはいけない人を亡くすこの世界に果たして正義はあるのか。不正義の極みを行く自分が果たして生きていて良いのか。悩ましいが現に生きている事実を変えることは不可能。故にできることとして2人の活動を理解し想い語り伝えることでその偉績に報いたい。合掌。来週も見たことのある人だったりしたらヤだなあ。ちなみにコメディ界の大御大を僕はみたことがあります。「もののけ姫」の会見だったっけ。でもかの社長漫遊記な人に限って世界が滅びたそお瞬間に1人立って献花とかしてそー。横に放浪記の人とか従えて。


【6月17日】 空前に理想的な社会人生活ってのを妄想した時に浮かんだのは、在京の新聞社に入って何年かはドサ周りも仕方がないけど本社では文化部だか学芸部だかに収まり書評欄の担当になって東西古今の作家先生に評論家先生に編集者に本屋といった出版文化の担い手たちと交わりながらも、世に広く読書の面白さを伝えつつ自分もたっぷりと本を読んで毎日を過ごす夢のよーな暮らしだったはずなのに、最初の段階で躓いてしまったのが運の切れ目か尽きの最果てか、誰も知らない業界新聞からどーにかこーにか抜け出て在京の新聞社へと潜り込んでさあそこで、親会社にある文化部へと何とかかんとか通り抜けよー、そのためにはこーゆー人間がいるんだってことをしってもらおうーと本業の傍らで地道に書評の趣味を披露し、そこからどーにか雑誌でちょっとづつだけど書評の仕事を頂けるまでになった。

 そんな人材が手近にいれば探し育てる手間も省けると引っ張ってもらえるかと思ったもののそこは新聞に載っていることとテレビのニュースで放映されていることのうち、自分の見知っていることがすべてだと思っている新聞社の歳を取った偉い人たち。雑誌を読んでそこに見知った名前があってなるほどこーゆー方面に得手なのかと認知してだったら使ってみるかと考えるよーな、習慣も思考も存在していなかったみたいで、かれこれ5年か6年を、続けてみたものの未だ知られず今に至るまで声もかからず意識すらしてもらえない。手駒に過ぎない兵隊が何を思っているかなんて気にしないんだね、それが指揮官になるってことなんだね。俺ために死ね。そんな感じか。

 そんな日々に気力も涌かず面目さとは真逆のテキトーを座右の銘にしてやさぐれた仕事に耽溺して来た人間を、これまた文化学芸をはまるで無縁、当人にとっては字面を見るのも鬱陶しいくらいになって来ている経済畑へと引きずり込もうとしている動きになるほどやっぱり偉い人たち、下なんて見てないってことを強く激しく実感する。そもそも知ってりゃリニューアルの段階でそれ相応の担当に放り込んでいた筈だよな。その辺で気付くべきだったけど仕方がない、なればこれからは広く喧伝して本でもアニメでも美術でもいーから当方の得意技を披露できる方面へと、抜ける道作りに勤しむことにしよー。偉い人はネットも読まない? だから永遠に気付かれない? 読んでたらトバされてるって。会長とか讃えすぎてるし。どっかの新聞で書評とかやれば気付くかな? 読書面なんて読まない? これが八方ふさがりって奴か。

 ルーティンの積み重ねに過ぎない新聞社の日々に早々に見切りをつけて都へと出て編集者の日々から人脈を築き言葉を鍛えて「アニメ評論家」の称号と編集のスキルを獲得した藤津亮太さんが堂々フィーチャーされてる「スタジオボイス」の2004年7月号を購入。表紙が「忘却の旋律」でも「花右京」でも「ハガレン」でもなく「鉄人28号」の正太郎くんってあたりに「スタジオボイス」のイケてるじゃん的自意識が見える感じ。あと藤津さんに監督の神山健治さんにビクターのプロデューサーの佐々木史郎さんに脚本家の佐藤大さんに司会の大塚ギチさんと蒼々たるメンバーを揃えた座談会がとびとびに掲載されてて死ぬほど読みづらいデザインになっている所も。何ページかおきの左下って法則性に気付けば終えるけど雑誌ってそこまでして読み込むものじゃないからなー。中身は立場の異なる人たちの剣段だけに濃くて深いです。こーゆー企画をいろんな場所でもっと読みたい。

 あらゆる場所に西島大介さんが。って訳でもないけど「スタジオボイス」にもしっかりと登場。「CHASSHERN」について「かつてのアニオタ的価値観を破壊する力を持っていると思います。『ほしのこえ』の時もそう思いましたけど、アニオタが駆逐されていく現場を生で見ている気がします。(中略)。でも『CHASSHERN』程度に駆逐されてしまうのなら、オタクが所詮そこまでのものだったというだけのことだと思うし」って認識は「セカイ系」に溺れることなく超然として鋭く斬り込んだ西島さんならではって感じ。「凹村戦争」について聞かれているのか自問自答なのか「アニメ化に適した作品」と言われて「でも深夜アニメ枠になんか絶対安売りしません。黒沢清監督で実写映画化以外にあり得ません」と鮮やかに過激にピーアール。言うとどこかで叶うこともあるんでとりあえず言っておくのが吉でしょー。殺伐とした「凹村戦争」になりそーだな。

 ビーコンコミュニケーションって広告会社が来週あたりにカンヌで開かれる世界的な広告グランプリに出品されている作品を日本で一足早くみせて、取引先のクライアント企業とか広告業界の人とか広告マスコミの人とかに見せてどれが1番かを予想してもらおうって企画があったんでいそいそと出向く。まるで「油湯」みたいに極彩色の和風な装飾が施された広間で外国人も日本人も座布団に座って待つ中を始まった上映で、映し出された50本のCMはノミネートされるだけあってさすがにどれもそれなりに面白くって、これのどれをグランプリに選んで良いのかCM業界とはまるで無関係な世界を生きざるを得ない立場に追い込まれてしまった身として悩み苦しむ。周りは広告のプロばかり。自分のチェックが外れていないか、妙な場所で笑ってはしまわないかとビクビクしながら50本を見ていく。

 このうちから20本を選んでチェックしておくのがひとつのルールでなおかつ、1番面白かったのをとりあえず選ぶ趣向もあってとりあえずは1番最後に上映された、NIKEのCMでバスケットボールの試合が突然椅子取りゲームに変わってしまい大騒動が巻き起こる、面白くって分かりやすいCMを1番に選んで出しておく。こんなメジャーなクライアントのあざとくも莫迦莫迦しいCMを選ぶなんてきっとド素人の僕ぐらいだろー、なんて恥ずかさから来る自己嫌悪に苛まれつつ集計がまとまるまで待機。でもって始まった来客者投票のベスト3の3位がタイの携帯電話会社のCMで携帯電話を持たない2人が伝書鳩で激しく通信をし合う鳩には可哀想なCMで、とりあえず20本の1本には入れてあった作品でまあこれくらいなら良いと思える目はもっていたんだと自分に納得する。

 2位は流石に違うだろーと思っていたらこれまた20本のうちに選んでいた「バドワイザーライト」のCMで、アメリカンロックのバラード調の歌をスタジオで吹き込むバックで3にがコーラスを入れるサウンドの歌詞も歌詞なら繰り広げられるエピソードもエピソード、ジャイアントタコスサラダを喰う若造がそれはサラダだから良いんだと太っているにも関わらず喰いまくる姿を讃え、豆にオムレツを食べた翌日だかに溜まった腸内ガスを小出しにして周囲を怯え慌てさせる男を讃える歌の真面目に唄っているんだけどプロのシンガーと呼ぶには足りないものが多くあるシンガーにコーラスの微妙さ加減も加わって、見ていてこそばゆいけど目を離せない不思議な気持ちにさせてくれる。これをちゃんとチェックしていた自分もそれほど捨てたもんじゃないと思った次に発表された第1位はNIKE。なるほどCMを見る目に業界のプロたちとそれほど遜色がなかったんだってことが確認できて、狭い場所に押し込められてルーティンにあがき続ける立場ながらも感性は摩耗し切ってはいなかったと安心する。

 とにかく秀逸なCMで以前に似た展開をやっていたらしーけどそれを見れば見たで、見なくても見ないなりにしっかり楽しめる内容でこれならカンヌでもトップクラスの賞を獲得しそー。これを仮にさらにシリーズ化していくとしたら、提案したいのは次は舞台を日本の両国国技館にして、呼び出しの太鼓が突然終わった瞬間に始まった椅子取りゲームで枡席はぎゅうぎゅう詰めになり座席も「満員御礼」でもないのに人でぎっしり、廊下にあるパイプ椅子は関取衆が肉弾をぶつけ合いながらも取り合う姿が映し出されれば相当にインパクトがあるよーな気がする。問題はバスケットボールと違って相撲ではNIKEの商品の宣伝にならないってことだけど、なあにNIKEもいずれは相撲用品を作ってくれるはず。スウォッシュが入って朝翔龍だかのシルエットが刺繍されてたりする回し、作れば堂々に国技館版のCMが作れるのに。相撲用の足袋でもいかな、横にスウォッシュが刺繍された。フィル・ナイトに提案する人、いないかな。


【6月16日】 きらめき学園だとアレでホグワーツだとソレなのか。って言ってる意味が謎だけど、アレって言葉に秘められる淫靡ってゆーか微妙なニュアンスを知る人なら感じ取って頂けるだろーからソレってのはまあその逆、すなわち世間にオーソライズされてるってことだと認識して頂ければこれ幸い。んで何がソレかと言えば16日から新宿の伊勢丹で開幕したイベント「”ハリー・ポッター”の世界展 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の前夜祭に来ていた人たちの結構な割合、ホグワーツに群れ集う少年少女のコスプレをしていたんだけどそれを集まったメディアがとりたてて奇異な目で見ている風はなく、世界に認められたコンテンツではそれに付随する行為が世に決して認知されているとは言い難いコスプレであっても、素晴らしい美しいソレとして讃えられてしまうってことになる。

 これがきらめき学園とかリリアン女学園とかだったら果たして世間が好奇のアレではなく好意のソレとして認め報じてくれていたかどーか。まあそれがコスプレの道と言えば言えるわけで世間様を大手を振って歩けなくても夏と冬、灼熱と極寒の「東京ビッグサイト」の西館(にし・やかた)屋上を主戦場に戦うことこそが重要な訳だからアレがソレでもあんまり関係ないのかも。そー言えば「ときめもファンド」の売り出しの時に今は無き「ラオックス ゲーム館(げーむ・やかた)」の店頭でコスプレしていた女性がいたなあ、マネックス証券の広報の偉い人だったなあ。する人がすればアレでもソレになるってことか(なってないなってない)。

 さて展覧会とゆーか即売会はアイテムの量も量なら質もぐっと向上している感じ。最初の映画の時に出てきたグッズがどちらかといえば玩具玩具していてお菓子類も欧米のものがそのまま来てデザインも奇異なら味も奇妙なものが多かったよーに記憶しているけれど、今年のイベントに集められてるグッズはどれもそのまま映画の中で使えてしまえそーなクオリティ。箒は大きさも見栄えもなかなかだし、先生が持ってる杖とかもデザインが欲って普通に持ってて結構教壇で使えそー。塾の講師のアルバイトをしている人は買いだ。

 素晴らしかったのはえっと誰だろう、タンブルドア先生用? 分からないけど杖が出ていてこれが木の椋で固い上にグリップ部分も真鍮か何かで重量感があって、重たい体でもしっかりと支えてくれそー。あと重量感があるから振り回せば人間の3人4人は常世送りにだって出来そーで、実用として買って全然無駄にならない。どっちの実用だ? おまけに値段も記憶だと8600円とかそんなもん。前夜祭の取材で行って見て欲しくなったけど持ち合わせもないし持つとそのまま会社にあがって発表会で発見した新製品のニュースを1面トップへと持っていった上にありもしない「体感ゲーム」とゆー言葉の説明をさせよーとした偉い人たちを前に振り回してしまっただろーから我慢して見送る。でももしかして明日辺りにキレが出て即座に購入に行って返って振り回しているかも。あさってのニュースに注目だ。

 1971年生まれだから96年の時点では25歳。でもって情報サービス局広報課に勤務ってことは上に調査役とか課長とかいった偉い人たち偉くなる人たちを持ったいわゆるペーペーって訳でそんな立場で2年間、日本銀行で仕事をしたからといって日本の金融政策の裏側までを間近に知るなんてことはまずなさそー。企画局とか国際局とか営業局とかいった仕事の最前線だったらそれでも現場でいろいろ見聞きも出来ただろーど、広報でも政策広報課ではなく情報サービス局とゆー一般向けの金融政策PRを行う部署で学校を出て2年間、務めてどれだけのことが判るのかってゆー疑問を日銀に関わったことのある人なら思うだろー。

 だからそんなキャリアの本吉正雄さんって人が書いた「元日銀マンが教える預金封鎖」(PHP研究所)を読もーとして大丈夫かなって訝ったのは本当のこと。けどそこは阪大を出て日銀に入った優秀な頭脳だけあって古くはドッジライン前の預金封鎖の状況から最近の金融政策の状況までを資料に辺り新聞を読み返して紹介してあって、読んでなるほどと思える水準にはちゃんと仕上がっている。住基ネットのよーなITの導入が名寄せへとつながり財産の完璧な把握を生みそこから預金封鎖による税収確保へと向かいかねないって指摘には興味。もっとも預金封鎖に対抗する手段が外国に行けとか500円玉で家に貯金しておけってゆーのが真っ当だけど実際に出来そーもない対策なのが厳しいところでつまりは素人はこのまま諾々と預金の封鎖を待つより他にないのかな。封鎖されるほどの預金もないけれど。預金欲しいなあ。

 大昔の96年とか7年とかそんな時期にフロリダへと出向いて巨大なショッピングモールをのぞいて見つけたのがサンリオのショップ。日本製のアニメが向こうで人気だ何だといったところでせいぜいがビデオショップでのマニア向け販売がせいぜいだった中で堂々のオンリーショップをそれもディズニーのお膝元オーランドで張ってた凄みにほとほと感心したものだった。そんな「ハローキティ」も11月1日でいよいよ生誕から30年。その記念の品々が出展されてるサンリオの商談会をのぞくと結構面白い商品があってこれが30年の重み、世界キャラクターの凄みかと更なる感心に浸る。

 300万円のティアラとか値段で凄いのもあったけど、個人的に驚いたのがハローキティといっしょに宇宙に行きましょうって企画。といっても別に宇宙飛行が出来る訳じゃなくって髪の毛とか、写真とかをキティに託して宇宙へとロケットで向かってもらうとゆー企画でお値段も自分が行けば何億円のところを80万円ちょっとで叶えてくれるらしーから余程のキティファンだったら申し込んでしまいそー。判らないのはそーゆー場合に宇宙でキティと髪の毛を”放流”してもらえるのかって所だけどそんなことをすればデブリになって空を行く人口衛星がキティに破壊されるってゆー、笑って良いのか悪いのか謎な状況に陥るんできっと行って戻って来た後で、手元に帰って来るんだろー。宇宙線を浴びたキティを脇に過ごせるって訳。でもってくっついていたバクテリアがキティに蔓延りやがて夜中にメタモルフォーゼ……。ああ楽しい。


【6月15日】 どっちも凄いよイタリア&デンマークのゴールキーパー。怒濤の攻めにも踏ん張りとてつもない勢いでゴールに迫るボールを右へ左へ上へ下へとはじき返し掴み取るその姿を見るにつけ、日本のゴールキーパーが何て幸せな環境にいるんだと言ってやりたくなる。川口能活選手がデンマークリーグで4点5点取られていろいろ言われたけれど、イタリア代表のブッフォン選手でよーやく止められるデンマーク選手のシュートを、英国でろくすっぽ試合に出ていなかった川口選手が止められずはずがない。楢崎正剛選手がスペインへ移籍するとかしないとかって噂があったけど、デンマークですらああならスペインならいったいどれだけの速度でゴールへとボールが迫るのやら。それを経験してみるのも悪いことではないけれど、日本に唯一の世界級と目されている楢崎選手をここで潰しては将来に禍根、なんでせめて川島永嗣選手にメドが立つまでは今しばらく日本で頑張っていてくださいな。

 「酒井與恵ウィーク」は「週刊サッカーダイジェスト」の2004年6月29日号でも励行中。日曜日に開かれたLリーグの開幕戦のリポートが白黒ながらしっかりでていて大野忍選手に抱きつき拳を振り上げる日テレ・ベレーザの酒井選手の勇姿が拝めて心うきうき。はちきれんばかりの笑顔がその喜びの高さを現してます。かけよる小林弥生選手の笑顔はなるほどアンパンマンノジョー。すごむと細い眉毛がコワい近賀ゆかり選手も笑顔だとなかなか美麗です。

 記録を見ると平塚での日テレベレーザと大原学園JaSRAの試合に集まった観客は500人でこれはどーだろー、学徒動員できる大原との試合ではそれほどって感じではないけれど、稲城の「ヴェルディグラウンド」で行われていた試合に来る人の数からすれば2倍3倍っていったところ。TASAKIペルーレの試合は2000人も集まったそーで来週以降もこのくらいの人出が続けば選手にも励みになってアテネ五輪での試合にも繋がるはず。なので来週も頑張ってLリーグの試合を見に行こう。たぶん「埼玉スタジアム」第3グラウンドの「さいたまレイナスFCvs宝塚バニーズレディースサッカークラブ」の試合。「サカダイ」の選手名鑑だと宝塚の永古麗奈選手が濃い顔立ちで目立ってそー。さいたまは言わずと知れたちさりん伊藤知沙選手。変わった趣味だと良く言われます。

 浅草で「東京おもちゃショー2004」。名前だけなら日本中の玩具メーカーが集まり最新の玩具を披露して一般からバイヤーから楽しんでもらう「東京ビッグサイト」で開催の「おもちゃショー」に聞こえるけれど去年から商談会と一般向けが分割されて商談会が浅草の「東京都立産業センター台東館」で開催されるよーになった上に、去年は「パシフィコ横浜」で開催された一般向けが今年は開催される気配がなく、名前に反して業者向けのみの片肺っぽいイベントになってしまったのがちょっと残念。仕事で見られる僕なんかは構わないんだけど、一般の人が玩具メーカーの最新の製品に触れる機会を奪われてしまったってことになる訳で、大手はともかく一般にアピールする術を持たない中小とか、海外の玩具メーカーなんかはこれからどーするんだろーかと心配になる。

 もっとも一般向けも含めた長期間をブース出展し続けなくてはならなかった従来タイプの「おもちゃショー」は負担だったかもしれないんで、その辺りの損得勘定は傍目には不明。あと「次世代ワールドホビーフェア」とか「ジャンプエスタ」とかいった他の主催の展示会のよーに、一般の人たち向けに玩具を披露する機会が増えているんでメーカーにとっては案外に困ったことにはなっていないのかも。けどやっぱり玩具だけの大きなイベントは玩具業界の健在振りを示す意味でも続いて欲しいもの。来年あたりの復活をひっそりと願おー。出来れば東京で。横浜は遠くって。

 個別に商談会を行うメーカーが増えているせいもあってか、このイベントに満を持してぶつけて来る画期的新製品ってのがなかったのも、イベントの地味さをより高めていた要因か。そんな中にあってコナミが新世代の「XaviX」を向こうにハドソンと新開発したチップを搭載した体感ゲーム機を、自分たちが別に会場を取って開いた商談会に出展していたのが1番くらいの驚きか。ある種のデファクトになっていた感が「XaviX」の場合はあっただけに、そこに挑んでそれなりな商品を作り出して来るところがなるほどいかにもコナミらしー。

 とりあえず野球とゴルフとあと「でんぢゃらすじーさん」のパーティーゲームがあって値段は「XaviX」使用のものより2割安。ゲームソフト1本分より安いくらいで買って並べてもそんなに損はなさそー。希望するならあとセンサーの上を蹴って球を飛ばしたりするサッカーと、ガンコンをつなげた「メタルギアソリッド」と人型コントローラーがつながった「ときめきメモリアル」の体感ゲームが出て欲しい気が。もちろん「ときメモ」のコントローラーは等身大。まずは手をつなぐところから始めないとクリアは不能で、ヘンな所を早い段階で触ると嫌われその場でバッドエンドになるシビアさが大人の恋愛を学びたい若人に受けるでしょー。マジ出ないかな。


【6月14日】 滅多にない美麗な絵だった前週の「花右京メイド隊 La Verite」をさてはて今週は引き継いでくれるのかと期待して着けて吃驚。ことぶきつかさだか大張正巳だか後藤圭二だか系ぷにぷにほっぺのキャラになっている上に目がSUEZEN系つんつん目で、コノエさんの頬赤らめつつも太郎のために頑張る健気な表情もそんなコノエさんを慕う色黒な早苗ちゃん(八島です)の表情も先週の美麗さとはちょっぴり(随分)ニュアンスが違った感じになってて、これが日本のアニメが誇る各話分業制の賜かとそのシステムの面白さに身もだえる。

 ただし動きの方は前週にも増して活発で姉に挑むコノエ隊長の迫力といいそんな隊長を守ろーと隊長でも叶わない敵に突っ込む早苗ちゃんの弾けんばかりの姿態といー、なかなかな動きを見せてくれてこれなら前週ともどもDVDで買っても良いって思わせてくれた。もちろんHD/DVDレコーダーの方でもしっかりチェックはしてあったんだけど何がどーなったのか突然調子が狂いだして前回リセットした以降に取り溜めしてあった番組が「EURO2004」の開幕戦も含めてすべてパー。これだからビデオと違ってデジタル家電は使い物にならないって怒り心頭に発する。「オタク大賞」受賞機がオタクの気持ちに答えずして何とする? 「サッカーなんて撮るのはオタクじゃない」? すいませんごもっとも。

 まあもっともリセットすれば元通りになるのもまあデジタル家電のメリットと言え、とりあえずサッカー女子代表の対米国代表戦だけはDVD−Rへと抜いてあった僥倖にも感謝しつつ、また撮り溜めを続けることにしよー。とりあえず撮ったばかりの「フランス代表vsイングランド代表」の救出を急ごー。あと東芝関係者、機械に罪はなくても面倒をかけされられた恨みは人に向かうんで、もしも3度目のクラッシュが出るよーだったらその時は枕を低くして眠ること。夜な夜な電波を送って耳元でハードディスクがクラッシュするいやーんな音を聞かせてあげますから。「いちぎがー、にぎがー、さんぎがー、もーとれなーい、しくしくしく」。

 奇蹟、ではないな。むしろ極めつけの才能が土壇場で遺憾なく発揮されたってことか。「EURO2004」のいきなり天王山みたいな試合「フランス代表vsイングランド代表」は割に早めにイングランドがセットプレーから1点をもぎ取り以後も攻め続けたものの追加点を奪えなかった後半もロスタイム。近年その輝きを名実ともにますます増しつつあるジダンが何とゆー弾道かと唸らせるフリーキックを真正面に近い位置からスライダー気味に叩き込んで同点へ追いついてしまう。日本代表の山なりフリーキックとの違うスピードと軌道。こんなフリーキック、どーやったら蹴られるのか教えて欲しいよ。

 もっとも落胆はしても勝ち点1はゲットできるイングランド、残り時間もまるでないなかそこでボールを落ち着かせては終了の笛を待てば良いのに何を思ったか日本戦で活躍したジェラードが、宮本恒靖選手の”オサレヒール”なんて目じゃないマーベラスバックパスを見せてそれを見方からのボールだったら完璧オフサイドの位置にしたアンリが逃さずかっさらおうとしてゴールキーパーに倒されPKに。おまけみたいなものとは言え、その位置に諦めずに残っていたアンリの執念の賜って奴でそれを再びジダンがこれまた凄い軌道とスピードでゴール隅へと蹴り込み逆転すぐたま試合終了。こーゆーことがあるからサッカーって最後まで目を抜けない。でも見たのは録画だけど。前半で意識を失ってしまったんだよね。

 ワールドカップに出るかどーか瀬戸際にあったイングランドが予選でロスタイムに大逆転した試合が確かあったけど、その逆をやられてさしものベッカム選手も輝きがちょい、薄れてた。太陽に優る輝きを天然で放つジダンを前にすれば、あえて月面のよーにしたものの所詮は人造に過ぎないベッカムではやっぱり輝けなかったってことなのか。前日の試合でギリシャに2点をリードされてたポルトガルにも同じことを期待したんだけどこちらはフィーゴ1人の妖技のみで1点を取り戻すのがやっとでやっぱり、生え際が逆さ富士のよーにビッチリと生えそろった奴ではお天道様が見方してくれないってことなのかも。とゆー訳でイングランドはせめて数でも輝きを揃えるよーにオーウェンとルーニーの頭を剃り上げ以後の試合に臨むこと。でないと勝利はあり得ない。ポルトガルはなあ、頭だけ剃ってもフィーゴの胸毛が埋めて余りあるからなあ。

 「酒井與恵ウィーク」と今週を名付けることに決定する。昨日から始まった女子サッカー「Lリーグ」をほとんどのスポーツ新聞がこぞって取り上げその中で、「日テレ・ベレーザvs大原学泉JaSRA」の試合で決勝点を叩き込んだ日本代表ミッドフィルダーの酒井選手の活躍を紹介していて、中にはコメントなんかも出している新聞もあって同じ日本代表のボランチとして活躍ぶりに加えて人妻って属性から注目を集めまくった宮本ともみ選手より、個人的には日本代表にとって高い貢献をしている酒井選手にここに来て世間もメディアもよーやく関心を向け始めたのかも、なんて嬉しくなる。テレビにも登場してインタビューに答えていたし、これで来週も得点をあげるよーなことになれば一気にヒロインの座へと駆け上がってくれるかも。

 再開したJリーグでノリに乗ってる選手を確認するなんてことはまるで考えないで、そそくさとブラジルへと帰ってはへこへことアテネ五輪の聖火ランナーなんかを務めて悦に入ってるどこかのフル代表監督とはまるで違って、海外から成田空港へと帰国したその足ではるばる「平塚競技場」へと駆け付け試合を観戦した日本女子代表の上田栄治監督の、得点を上げた酒井選手を評価するコメントなんかも新聞には紹介されていたから、このままコンディションを崩さなければ酒井選手のアテネ行きは決定したってって言えるかな。

 ちなみに酒井選手、明日発売の「週刊サッカーマガジン」2004年6月29日号では何と単独でインタビューに登場してはアテネ五輪への意気込みをカラーで堂々3ページに渡って語ってくれているのでマニア(ファンじゃないのか?)は要チェック。閲覧用と保存用と枕の下に敷いて夜に酒井選手の夢を見る用の3冊は必ず買え。「アテネは芝が長いそうなので、パスのスピードをもっと上げていかないといけない」「Lリーグでは簡単にプレーできてしまうところがあると思うんですけど、常に世界を意識しながら、どんな相手とやるときでも最高のプレーを目指してやれば、少しづつでも変わっていける」。なんだしっかり判ってるじゃん。だったら安心。あとは実行あるのみ。メダルは近い、かな。


  【6月13日】 結局パウレタは孤立しっ放しだった「EURO2004」の開幕戦「ポルトガル代表vsギリシャ代表」は、途中から入ってきたクリスティアーノ・ロナウドがサイドを突破しセンタリングをポンポンと放り込むんだけど何故かほとんどがファーでなおかつ何故かそこには誰も走り込んでいないとゆー不思議。もしかすると葡萄牙ロナウド(偽ロナウドでも良いけど)は目が逆さ双眼鏡か何かで遠くのものが近くに見えるのとは逆に、近くのものが遠くにあるよーに見えてしまうのかもしれない。そんな莫迦な。

 葡萄ロナウド以外に交代で出来て来たヌーノ・ゴメスは98年のワールドカップで今のベッカム選手よりも美形選手と大騒ぎされた記憶があるけれど、6年経って美形に年輪が加わり悪役っぽさが出ていい感じ。活躍もしたし再びのヒーローへと駆け上ってくれそー。デコは流石にチャンピオンズリーグで大活躍しただけのことはあってドリブルにもパスにもシュートにも冴えあるところを見せまくり。どーして最初から使わないんだとジーコ監督の日本代表で黄金中盤に代わって藤田選手が投入されるよーな場面で感じた気持ちに似たものを覚えた人も多いかも。こねくり回すフィーゴ選手にまるで消えてたルイ・コスタ選手に替わって葡萄牙ロナウド&凸が残るグループリーグ突破に向けて先発起用されるのかな。ならばせめて葡萄牙ロナウドには眼鏡をかけてもらってパウレタへにどんぴしゃなクロスを放り込んで頂きたいもの。あれでは何もできないよ。

 しかし不思議なもので始めて見た時には何だと訝り目をぱちくりさせたポルトガル代表のナイキ製の丸数字ユニフォームも見慣れて来るとそれなりに見えて来るから不思議なもの。フィーゴ選手が着ていると刑務所かどこかで番号を振られた悪党そのままにアウトローな雰囲気が醸し出されて凶悪で凶暴な印象を覚えさせられる。ってかまあ、ポルトガルの選手が全体に濃い人ばかりってこともあって打ち消し合うってよりはマイナスとマイナスの相乗効果でプラスに見えてしまうって可能性が高くって、実際韓国代表が着ている同じ丸数字ユニフォームはいつまで経ってもやっぱりあんまり格好良くは見えて来ない。日本代表はよくよくアディダスで良かった。あれを久保竜彦選手が着たらやさぐれた金太郎になってしまうもんなあ。

 ちょっとだけ眠って起きてから「Lリーグ」の開幕戦が行われる平塚へと遠征、する途中で横浜で降りて「ビックカメラ」でタムロンの28ミリ−300ミリの超望遠ズームを仕入れる。ペンタックスの純正で16ミリから45ミリのズームを着けているけれど、デジタルで1・5倍になってもこれだと長い方が60ミリに届くかどーかって所で記者会見の席なんかで、遠くに立つ人の顔に近づけず悔しい思いをしたこともあって早急に長めのを揃えなくっちゃと思ってて、スタジアムのスタンドからサッカーを撮ってみる実験も出来るってことで購入してしまった次第。

 シグマの同じ長さのもあってちょっと安かったけどどっちもどっちってことで、定価の高い方にしたけど果たして選択は正しかったのかどーなのか。それを確かめるために到着した「平塚競技場」でこれまでのレンズに換装して「istD」にタムロンのレンズを装着。手に小さい「istD」でも邪魔にならない太さ&長さは流石にコンパクトさで評判になってるだけのことはある。逆にこれをキャノンとか、ニコンのデカいデジタル1眼レフに着けたら細過ぎやしないかって心配になるけどニコンとかキャノンは純正でも結構なレンズが揃っているからタムロンは買わないか。

 見渡すとスタンドはそこそこの人数でアテネ五輪への出場を決めた試合の前後から世間が女子サッカーを大きく取り上げてくれた効果がちょっとづつ現れて来ていることを実感する。それより何よりテレビカメラがピッチに4台でスタンドの上にも3台4台並んでいたのには仰天。1月の女子サッカーの選手権の時ですら中継をする1台にNHKの1台が来ていたくらいに記憶しているから、わずか半年でとてつもない出世を遂げた訳でアテネ五輪ってものが持つ知名度の高さと、それに出場を決めた意味の大きさを改めて強く教えられる。あの試合で選手たちが五輪出場に命をかけるくらいの覚悟を見せられたのも道理。いつもの3倍は入っていただろースタンドに選手たちもきっと喜びを噛みしめていたことだろー。

 もっとも試合の方はといえばトップクラスの選手が揃った日本代表とはやっぱり違って日テレ・ベレーザも対戦相手の大原学園JaSRAもところどころでミスが出たりパスが弱かったりしてスピード感に欠ける展開で、期待して見に来た人でなおかつ明け方に欧州の最高峰のサッカーを見たばかりの人には厳しかったかも。ただ、ばっちりかみ合った時の日テレ・ベレーザのパスの速さはこんなものじゃないんで慣れて来るあと数試合は我慢して付き合って頂ければ選手たちも喜ぶしアテネ五輪への励みにもなるだろー。あとパスの強さをもーちょっと上げておかないと、夏になって五輪に乗り込んだ時に目が、付いていけなくなる心配も。この辺、五輪前に超強い代表か男子高校生くらいとの練習試合を重ねてスピードに目を慣れさせる必要がありそー。壮行試合とかやってくれないかな。国立で。

アメリカ戦でも見せた酒井選手のミドルが炸裂! 女小野の称号は彼女にこそ相応しい、顔もそーいえば似てる? かな  試合は元女王の日テレ・ベレーザだけあって試合は9割がたベレーザの支配下で行われていたものの、大原学園の方も荒川恵理子選手に2人をつけるマンマークで押さえ込み、山口麻美選手の突破も大野忍選手のトップ下からの突っ込みも大量のディフェンスを固めることで対処してベレーザにシュートのチャンスすら与えない堅守ぶりで得点を与えず。膠着状態のまま後半へとなだれ込んでもしかすると引き分けかも、なんて思い始めた時間帯に最前線でのプレッシャーなり孤立とは無縁の中盤で、細かくボールを拾っては左右にさばいてテンポを作り出していた酒井與恵選手が一閃、足を振り抜きミドルシュートを放ってこれが見事に決まってベレーザが先取点を上げ、以後も攻撃の手を緩めず大原学園のゴール前へと迫り得点こそ得られなかったものの最終的には1対0で大事な初戦を勝利した。

 絶妙なポジション取りでこぼれてくるボールをことごとく拾ってはサイドや前線へと回して攻撃の起点となり、相手がボールを持てば引いて守備でも大活躍。でもってチャンスとあらば切れ込み走り込んでシュートを放つ酒井選手の万能ぶりは男子で例えるならば小野伸二選手に並ぶかも。宮本ともみ選手ばかりが見栄えと属性で話題になっているけれど、今日の試合での活躍ぶりを目の当たりにすれば、これが初のLリーグ観戦だった人でも酒井選手をどーして僕がくどくどと推し続けるのか判って頂けたことでしょー。去年は周囲が若かったからか体調が思わしくなかったからか決定的な仕事をあまりしてくれなかったけど、今年は五輪も含めてやってくれそー。奪われたMVPの座も取り戻せるか。

背番号20永里選手のゴール前へと迫るスピード&センスは抜群。得点王も夢ではない。アテネ五輪の、ね。  女平山と話題になった永里優季選手も後半から登場してはスピードでも突破力でも最後の詰めでも決定的な仕事を見せてくれてアテネでの活躍に期待大。心配なのは名前ばかりは鳴り響いている小林弥生選手が決定機をあまり作り出せず好不調で言えば不調に傾きかけているよーに見えたこと。これで澤穂希選手が復帰してくれば居場所がなくなる可能性もあるだけに、早い段階で心身ともに立て直して来て欲しいんだけどさてはて間に合うのかどーなのか。去年のよーな鋭い突破があんまり出なかった近賀ゆかり選手ともども喫緊のコンディションアップに期待しよー。

 10倍ズームのタムロンは10倍だけあって遠いゴール前での混戦もしっかりとキャッチ。解像度もなかなかでネットの1本1本がちゃんと捉えられていて、これならスタンドから選手たちの一挙手一投足をチェックできそー。来週は出向くかどーかは未定だけど「埼玉スタジアム2002」での「レイナスvsバニーズ」がこっちで開催されるL1になるんで真っ当なスタンドのない、ピッチサイドで観戦する試合でよりクローズアップで選手たちをチェックしよー。レイナスだったらやっぱり伊藤知沙選手かな。小さい体躯を弾丸のよーに疾走させて突っ込むプレーが好み、なんだよね。得点を取ったシーンを去年は見なかったけど今年は是非に活躍して、代表へと足をかけて欲しいもの。山口麻美選手との凸凹ツートップ、見たいなあ。


【6月12日】 そのまま「空の境界」を少し。まだ普通かな。残酷描写の結構な多さがヤングアダルトでの出版をセーブしそーだけどでも、最近は「電撃文庫」とか「角川スニーカー文庫」でも割に人とか平気でポンポン死んだり殺されたりするんでレーベルが違えばこれほどまでに評判になったかどーか。けど同人誌の方面で活躍している人を引っ張り出して本にまでする手間暇を今のヤングアダルト文庫の人たちがかけている余裕もない。1人、孤軍奮闘しながらも発掘してプロデュースして解説を書かせて限定版でムーブメントを巻き起こしたからこその評判と、背後で頑張った人たちへの敬意はここに表明しておこー。続きは今日明日で読む……つもりだけど始まったからなあ「EURO2004」。地上はじゃそんなに見られないけど気持ちが、ね。

 海の向こうではスペシャルなゲームが白熱しそーだけど日本でもJリーグが再開でテレビで「ジュビロ磐田vsジェフユナイテッド市原」ってカードが千葉テレビでもないのに放映されてちょっとだけ見入る。ジェフはやっはり走っているけどジュビロも立派に走ってて、この試合だったらセリエAで出場しない日本人を待ちながら戦うリーグ下位チームどーしの試合にだって負けない”コンテンツ”(湯浅語)が詰まってるって言えそーで、録画しておけば良かったかもとちょっとだけ悔やむ。1点目のマルキーンヨスのゴールと彼にセンタリングを入れた村井だったか、凄かったっす。

 それとその後の名波選手のフリーキックも凄かったなあ、代表の某10番にだって負けて無いなあ、本人だって負けてる気はないだろーけど。未だ衰えない運動量と凄みを増すプレーを見れば代表復帰だって考えたって不思議じゃないけど、どーやら会場に代表監督の姿はない模様。これをどーして代表監督は見てないんだろ。他の試合に行ってたのかな。まさか再開したJも見ないでブラジルにバカンスに帰ってしまったなんてこと……帰っちゃったの? ってことは「名古屋グランパスエイトvs浦和レッドダイヤモンズ」で凄いミドルを2本も決めた中村直志選手の活躍も、若さと巧さで現在故障中の代表正GKの座を脅かしつつあり、デンマークのリーグの控えGKなんて問題外な川島永嗣選手のJデビュー&初完封も見てないの? これだから信用、できないんだよね。でも良いか、次期代表監督(オシムorネルシーニョ)が見ていたから。

 漫才だかお笑いだかのコンクール的な番組が人気みたいであちらこちらで評判も聞くし「M1グランプリ」なんてのも開催されてこれまた結構な人気みたいだけど、吉本が渋谷に銀座で劇場を開いていた時代の、出てくるだけで嬌声があがる浮ついた人気がうすら寒くってそれの延長かもって先入観があってこーした番組の1本も、見てなかったりするんだけどでもこーしたブームが単なるブームじゃなく、次代のお笑いを担う若手の人材を着々と送り出している可能性もあるのかも、なんてことをそーしたお笑いコンクール的番組を題材にした大崎知仁さんの小説「笑わせたるっ」(講談社)を読んで考える。

 主役は若手漫才師「ジャックポット」の2人、広志と勝。人気が決してない訳じゃないけど爆発的でもなくって若手が出そろい競い合う番組では毎週7組中の4位とか5位とか中途半端な場所でうろうろしていて羽ばたけない。若手が出られるコンクールにも年限の規制でそろそろ出られなくなりそーで、どーしたものかと焦っていたその時、勝の父親が闇金から金を借りたまま逃げてその肩代わりをしろと取り立て屋に怒鳴り込まれて大慌て。ところがその取り立て屋、2人が漫才師だと知ると態度が変わって2人に本気かどうかを聞いてさらには2人がスベってる舞台をビデオで見て「ホンは悪ない」とつぶやき「これからも精々きばるんやな」と言って帰っていく。

 それで借金がチャラになることはなかったものの取り立て屋の石丸の態度が気になった2人がネットで検索すると何と、かつて一世を風靡して新人賞を総なめしながら消えてしまった漫才師の片割れが石丸だったことが判明。どーせ始まった付き合いだと、広志は石丸への弟子入りを提案して勝ともども石丸を訪ねて、今度出る「最強漫才師チャンピオン」の優勝で得られる1000万円の賞金で借金を返すから漫才を教えてくれと言い最初は断った石丸を説得してそこから「ジャックポット」の大特訓がスタートする。

 台本は悪くないのにウケない2人のどこかかみ合っていなかった漫才を矯正し、笑いを取るのに文字通り命すらかける覚悟を持たせていく石丸の鬼コーチぶりは、奇抜だし面白いけどいちいち理に適っていて、これをやれば本当に面白い漫才が出来そーな気になって来る。追い抜いていった後輩たちの尊大になっていた態度が「ジャックポット」の成長とともに微妙に代わりお互いに芸に命をかけるくらいになっていく相乗効果の現れなんかに、芸に生きる人たちの真剣味が見えてこれがもし、本当に漫才師たちの現場で起こっているなら真剣に面白い漫才ができあがりつつあるのかもしれないなあ、なんて考えてみたくなる。楽しくって勉強になって元気が出て嬉しくなる漫才版「トップをねらえ!」。漫才ファンなら読んで損なし。そうでなくても読んで生きてく元気をもらおー。

 さてもテレビでは「EURO2004」でパウレタが孤立しているけれど海の向こうでの盛り上がりを横目に日本でも「Lリーグ」がいよいよ開幕で明日13日には各地で試合が開催される予定。とりあえずは代表選手が沢山いて、我らが酒井與恵選手も所属している日テレ・ベレーザが大原学園JaSRAと戦う試合を神奈川県は平塚競技場まで見に行くつもりだけどさて、アテネ五輪の出場をかけた試合での健闘からメディア的にも大評判を読んでる女子サッカーの、土台とも言えるLリーグの試合にどれだけの人が来てくれるのかに興味のある所。場所も不便で時間も日曜の日中とお出かけついでに見るには難しい所だけどそれにせめて1000人でも、人が来てくれればとりあえずはオッケー。やがて1000人が2000人になり3000人になれば、出場する選手に心の張りが生まれ商売になると思った企業なりの参入でフトコロの余裕も生まれて、日本のサッカーの未来を明るくしてくれるだろー。午前中は雨っぽいけど午後は晴れると信じて行こう、平塚へ。「EURO2004」の開幕を祝ってパウレタのユニでも着ていくか。


【6月11日】 地続きでイラクやアフガンや霞ヶ関ですらあるよーには見えないご町内でボーイッシュな口調で喋るココロにやや難ありな超絶美少女が異能を発揮しなにやら得体の知れない異能の輩と闘いながら自分は何だとあれこれ懊悩する、ヤングアダルト文庫でおなじみの世界観だなあ、なんて冒頭の3エピソードくらいを読んでまず感じた奈須きのこさん「空の境界(上・下)」(講談社ノベルズ、上1100円、下1200円)はだからといって面白くない訳じゃなくむしろ、目に浮かぶ(それは表紙絵のせいだけでなく)キャラクターの存在感やらコワれたココロの具合やらは読んでいて気持ちをグッと物語へと入れ込ませてくれて、なるほど評判になる訳だって思わせる。分厚いけれどどんどんと先を読みたくなる。

 けどなあ。”新伝綺”ですか? いやそれも良い、ムーブメントを起こしたいと考える時に似た傾向の作品を集めてそこにカテゴリーらしきものを付けて売り出す方式はモノ作りの世界では常道で、本を売りたい側の意図として120%理解できる。「32ページまるごと経済紙」だなんて上っ面だけの言葉で中身のまるで伴っていないキャッチフレーズで送り出されたメディアなんか比べ物にならないくらい、中身が伴っていてなおかつ揃えられた玉も上質で将来性を期待させる”新伝綺”ってキャッチフレーズは面白い。まず言葉ありき。そこに玉が並べばあとは勝手に読む側受け止める側でそれがいったどんなものかを考えていってくれる。曖昧模糊とした「セカイ系」より分かりやすいし。

 悩ましいのはそーしたこれからのジャンルにどーして早々と、エラい人の解釈を乗せてしまったのかってことで上巻にも下巻にも大量に書かれている笠井潔さんの解説の、その中身の正しいかズレているのかはともかくとして笠井さんの言説が届いている人たちすなわち批評の分野でもメディアでも、それなりなポジションにあってオトナ社会の風潮を狭いとは言え作っている層に「空の境界」が”新伝綺”なるジャンルのデファクトでスタンダードでオリジンでルーツと捉えられもてはやされた挙げ句に消費されかねやしないかって不安がある。「十二国記」がオトナ読書界で突出して認められてしまっているよーな構図に近い、って言えるかな。ホントに「十二国記」がオトナ読書会で売れているかは調べてないからまあ雰囲気として。

 とにかくそういったメディア的に影響力のある層へと届かしたかったのかもしれないし、昔だったらそれを”認められた”と素直に喜べたかもしれないけれど、1990年代を営々と積み重ねられてきたライトノベル系の伝奇ファンタジーの延長線上にあって現時点でもワン・オブ・ゼムに過ぎない1作品を、ことさらに持ち上げ露出させてしまった果てに来る情報としての消費に今はむしろ不安が募る。一方でまったくもって誰だか判らないおじさんが、サヨク史的(もっともそれがサヨク史的なのかすら認知できない)なタームを並べ立てて”ぼくたちの新伝綺”に色を付けレッテルを貼り取り込もーとしている風にも見えて、そのキモチ悪さにもういいやと投げてしまう本当の読者たちが現れないかと心配になる。解説はいらんから薄くして安くしろって言う人もいるのかな。狙った層からすればいそーだな。文庫ですら高いって言うくらいだし。

 ともあれこーゆー形で出てしまった以上はあとは、ここから”新伝綺”がムーブメントとして盛り上がっていくなかで更なる次のジャンルが生まれ次なる作家が育っていくことに期待したいもの。平井和正さんに熱中した世代としては目端の利いていたり関心を招きやすいシチュエーションの上に読む人の気持ちに映えるシーンを並べて快楽を与えてくれるだけじゃない、セカイではなく社会をも背後に感じさせて読者がやがて否応無しに社会と対峙させられた時に、それと破壊するなり突破するなり、あるいは逃避でもいいから向き合えるよーなビジョンを与えて欲しいもの。同列に並べられがちだけど秋山瑞人さん「イリヤの空、UFOの夏」は苛烈を極める社会状況が隠されていたけど厳としてあったんだよね。「ダブルブリッド」なんかは社会において強弱をつけられた妖怪と人間の関係が読めるし、そーいった”キミボク”だけじゃない所へと、引きずり出してくれる伝奇を新しい感性が、今ふたたびに繰り出して来てくれることを願おー。”新SF”ってジャンルを立ち上げたとしたらやっぱり核は小川一水さん?

 「同志エコエコロジスト」とこれから押井守さんを呼ぶことに認定。「月刊アニメージュ」2004年7月号の「押井守の映像日記」は「エコエコアザラク」について触れていて、「TVでやっていれば必ず見てしまう、それも二度も三度も見てしまうという惰性的なファンであり、一度は監督してみたい企画です」とまで言ってくれている。黒井ミサが立って立ち食い蕎麦屋で延々と喋り倒しあとはひたすら犬と戯れる「エコエコアザラク」ってのも見てみたい。どんな「エコエコアザラク」だ。押井さんだけに黒井ミサだから笑いながらひとしきり戯れた後で犬の皮を剥いで吊す、なんて期待できないからなあ。

 どーやら押井さんのお気に入りは佐伯日菜子さん版のシリーズみたいでコラムも枕で「佐伯日菜子という女優さんについては、もうこのコラムでも何度か触れましたが」って書いてそこから唯一見ていなかった「エコエコアザラク3」へと話を振っていて、それがもーケチョンケチョンに言われているんだけど一点、「何の説明もないところからすると、おそらく彼はTVシリーズのレギュラーなのでしょう。TVシリーズからスピンオフして映画化された作品にはよくあることなのですが、映画しか知らないお客さんは戸惑います」とは貴方、よく言えたものだとその口の端をつかんで両側に広げて差し上げたい気分。まあすぐに「がしかし、この種の人物設定をいちいち説明しているとテンポが落ちるので、説明は省略するのが普通です。僕自身も説明しない主義なので文句を言うわけにもきません」と語っているから自覚はあるんだろー。コラムは来月も続くみたいでどんなワルクチが飛び出すのかに期待。しかし見たいなあ、佐伯さん主演(子持ちで再びセーラー服?)で押井さん監督の「エコエコアザラク」を。


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