縮刷版2004年1月上旬号


【1月10日】 ノグチだからヤマノグチだったんだ。なんて今さらながら気づいたのは山之口洋さんの最新刊「瑠璃の翼」(文藝春秋、1905円)を読んだからで、主人公とゆーか狂言回しを務めている野口雄二郎って名前のー、満州で陸軍航空隊「稲妻戦隊」指揮官として戦い、後に満州で「奉天飛行学校」の校長も務め最後は抑留中のシベリアで病没した人が、何でも山之口さんのお祖父さんなんだとか。山之口さんってそんなに凄い人のお孫さんだったのか。今度お目にかかったらきっと違うオーラを感じてしまうかも。

 ファンタジーノベルな人で歴史小説な人がどーしてノモンハン事件を扱った戦記物を? と思う人も多分いるだろーし僕もはじめは意外に思った1人だけど、自身の祖父だったってことはそれとして、一方で日本が面子で突っ走った揚げ句に大敗を喫した上に責任者を処分することなく看過したノモンハン事件の顛末が、後に日本の敗戦の要因になったんだと指摘する歴史書研究所の類とは一線を画して、遠くモンゴルの空で果敢に戦った飛行機乗りたちの、言われるがままに動く無感動な手駒でもなければ卑怯者臆病者の類でもない、人間として考え人間として生き人間として戦ってそして人間として死んだり生き残ったりした人たちの、その感情その思考その行動を今に甦らせてはその人間っぷりに惚れさせてくれる、人間味にあふれた物語になっている。その意味で歴史の狭間に埋もれた詩人フランソワ・ヴィヨンを甦らせた「われはフランソワ」に重なるかも。

 サイパンとかガダルカナルとか硫黄島とか沖縄戦とかの本は結構読んだけどノモンハンは辻政信参謀の「ノモンハン」も半藤一利さんの「ノモンハンの夏」もニュースコープキャスターにして”泣き虫記者”こと入江徳郎さんが若い時に書いた「ホロンバイルの荒鷲」(これは野口雄二郎が主役なのかな?)も読んでないんで、歴史的戦略的にはとてつもなく重要だったらしーノモンハン事件がどーゆー経緯で起こってどー展開した揚げ句にどう終息して後にどんな影響を及ぼしたかが知識として入っておらず、その辺を糸口に読むことができないんではじめの方から1歩また1歩と踏みしめる感じで読んでいて、ちょっと 時間がかかっているんでどれくらいの面白さがあるのか判断は後日。カンニングしたラストは境遇としては悲惨といえば悲惨だけどあっさりとしていて、その辺もカラリとした飛行機乗りたちの物語の掉尾を飾るに相応しいエンディングに思えた。周辺書も含めてじっくりと読もう。まずは「ホロンバイルの荒鷲」から? 売ってない売ってない。

 休日なのに有象無象と集った会社をとっとと抜けだし折角街まで出たんだからと日本武道館で開催されたノアの日本武道館での試合を見物に行く。プロレスってことだと随分前に同じ日本武道館で見た全日本プロレス以来で格闘技だと一昨年になる国立霞ヶ丘競技場での吉田秀彦が最初にホイス・グレイシーを破った「Dynamaite」以来。その間に格闘技イベントがむくむくと市場を拡大してそっちへの関心を否応なく向かわされる一方で、いわゆる普通の「プロレスリング」が今いったい、どんな状況になっているのか情報にとんと触れていなかったんで、果たして楽しめるのか心配だったけどそこは激しく明るく楽しく面白いジャイアント馬場さんのプロレスを引き継ぐ三沢光晴さん率いるノアだけあって、事前の情報なんてなくてもその場で繰り広げられるバトルを存分に堪能できるよーになっていた。

 もちろんある程度の選手のプロフィルに関する知識があった方が盛り上がれるけどそうでなくても出てきた選手たちを3分くらい見ていれば、誰が親玉で誰が脇で誰がやられ役でどちらがヒールでどちらがベビーフェイスか、って辺りの判断がつけられるよーそれぞれのレスラーのキャラがちゃんと立てられていて、いったんそれを確認できればあとは攻めて守ってまた攻めて守って、ってななやりとりが繰り広げられる様を眺めているだけで、存分の興奮を味わうことができた。これが”抗争”ってアングルに溢れた団体だと、ひとつひとつの戦いの”理由”なんてのを知らないと楽しみも半減してしまっただろー。そこに来さえすれば楽しめる見せ物小屋的縁日的お祭り的なプロレスリング。だから僕は新日本よりも全日本が、そしてその血を濃く受け継ぐノアが好きなんだな。

 日本武道館を9割は埋めた観衆の中で始まった試合は前座から駆け引きもあって笑いもあって楽しく面白い試合が目白押し、だったけどメインを張れる人たちが登場する試合が続くよーになるとやっぱり”格”の違いめいたものからリングから漂って来る。まずは高山善広選手が登場しら6人タッグマッチは同じチームにベテランの田上朗選手も入って慣れない組み合わせに最初、不穏な空気が漂っていたってゆーか2人の大きかったり小さかったりするやりとりから不穏な空気を醸し出そーとしていたけれど、時間が経つに従って2人の間に連携が出始め最後はツープラトンの攻撃を決め残る1人がフィニッシュを決めて見事に勝利。退場の時は田上選手が高山選手の退場を助けてロープを広げるパフォーマンスも見せたりして、演技か演出家はともかくとしてそんな細やかな行為の積み重ねによって、安心と感銘のカタルシスにまみれることができた。

 そしてメーンイベント。懐かしくも未だ矍鑠とした姿を見せてくれたジョー樋口元レフリーの宣言を受けて始まったGHCタッグ選手権試合はチャンピオンの永田裕志選手に棚橋弘至にエース三沢選手と美丈夫小川良成選手が挑んでのっけからハードなバトル。新日本プロレスからの到来ってことでブーイングにまみれていた永田・棚橋組だったけどごくごく一部に熱烈なファンも来ていたよーで試合の間中ずーっと「たなはしー」「たなはしー」と同じトーンで叫び続けた女性とかいて昔は男におっさんばかりだったプロレスのファン層が、もはや完全に代わって女性も会場の3割4割を占めるくらいのエンターテインメント・イベントになってるんだってことを強く実感する。しかし何でそんなに棚橋選手が好きなんだろー、見栄えなら永田選手の方が上だしそれより小川選手の方はスリムなのに。女心は複雑怪奇。試合は三沢・小川組がベルトを奪取。したけどGHCっていったいどれくらいの価値があるものなんだろー。最強タッグより上? インタータッグより有名?

 富士見ヤングミステリー大賞とやらと受賞した田代裕彦さんの「平井骸惚此中ニ有リ」(540円)を読んで「独特のリズム」とゆーよりは身勝手なリズムで重ねられた、ぶつぶつと切れては改行になる文体のあまりの読みにくさに投げ出しそーになったけど、そこを我慢して読んでストーリー展開のおおまかな所を理解できるよーになると、快感にこそならないけれどそれほど気にならなくなって最後まで読み通すことが出来た。まあそれもお話自体に魅力があったからでこれがポン酢な話しだったらやっぱり即座に投げ出していたかも。凝るのは悪くないけど次はせめてもーちょっと、リズムに工夫を保たせて例えば音読していてもつっかえず、頭にすいすいすいっと入って来るよーにして欲しい気が。

 話の方は大正時代を舞台に推理小説作家の書生となった軽薄なところのある帝大生が、師匠の無関心に師匠の娘の反発を浴びながらも程なくして起こった推理小説評論家の自殺に見えた他殺らしー事件に、その娘と一緒に挑んでいくって展開で、桜庭一樹さんと同様にファンタジーっぽさ伝奇っぽさはない真っ正面からのミステリー。密室がどうとか推理作家は何だとか、御託も散りばめられて手今からミステリーを読む若い人たちの”ミステリーとは何だ”って好奇心に応えられるよーになっている、けどこれまでだったら新本格とかを読んで得ていたそーゆー御託を、ヤングアダルトのレーベルの中で得たいと思う人が読者層の中心になってる中高生に多いかは不明。むしろ強気の美少女キャラに可愛い妹系キャラの登場を増やしてくれって人の方が多いかも。謎解きがフェアか、トリックが評価できるものなのかはそっちの専門家の人に任せるんで評価よろしく。


【1月9日】 遅れてよーやくやっと見たアニメーション版「マリア様がみてる」ですけれど原作を読んでおりませんのでお話がまったく分かりませんですわ。それでもアニメ見続け40年弱の経験から推定するにどーやら生徒会みたいなところがあってそこに生徒会長副会長書記の3役がいて、それぞれに下級生に同じ補佐する妹みたいな人がいてさらにその下の1年にも妹の妹がいるって構造が基本にあるんじゃないか、ってことは理解できた。シナントロプス・ペキネンシス、じゃないロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プチ・スールなんて言葉が何かを条件反射で理解できるよーになるにはまだ、修行が必要なよーだけど。

 話はそんな学校に入った特に取り柄もない少女が、2年生で将来の会長候補とされている女生徒から妹(スール)に指名されてさてどーしたものかと悩みつつけれどもちょっぴり惹かれつつ、どぎまぎとしながら学園生活を送っていくって展開になっていて、これがごくごく普通の学園だったら百合的ながらも先輩後輩といった分かりやすい間柄の中でついた離れたってなドラマが繰り広げられるんだろーけど、そこはマリア様が見ているよーにハイブロウな学園だけあって、色恋沙汰とは無縁に伝統と格式にのっとって上品な丁々発止が繰り広げられて、少女小説の世界をメタ的に描き出した形式ばった展開への微笑と、規律によって縛られた少女たちの世界への憧憬が入り交じった感情を読む人に覚えさせる。

 耽美さ全開な生徒会ってゆーと「少女革命ウテナ」の眉目秀麗にして才色兼備な美少年に美少女が優雅に集っていた様を思い出すけど、少女漫画とかにありがちなキャラクターの背景の花をさらに発展させて、画面に薔薇を出してぐるぐると回して見た人たちを呆然とさせた「ウテナ」が、少女漫画なり少女小説の特質をつまみ上げてはオーバーに、オーバーに再生産した挙げ句に悪意かと思えるくらいに学園の様を描いた”裏”の究極だったのと比べると、「マリみて」はよりピュアに少女の園の様を描いた”表”の究極って言えそー。

 むしろパロディ全盛の今って時代は、悪意にも似た強い意識を背景に動的でオーバーな改変をして喜ぶのが嗜みとして当たり前になってしまっていて、受け取る人たちもそーしたオーバーさをどこか馴れ合いの中で受け止め喜んでいる節がある。そんな中で本質を徹底的に純化させることで一種異様な世界を静的に描く「マリみて」的な表現の方がより強くパロディ的なスピリッツを持っていたりするのかもしれない。もちろんパロディではなく真剣真面目に学園の様を描いたいと原作の人が思っている可能性もあるけれど。ともあれ1話を録画した以上は続けて見て、それがどーゆー理由で受けているのかを自分の目とかも使って確認しよー。

 それにしての不思議なのは時間帯。なるほど大人が読んで話題にしているとはいってもそこはコバルト文庫、主流の読者は10台の女の子だったりする訳でそんな世代が水曜日の深夜1時なんて時間に起きてアニメを見るなんて決して健全とは言いにくい。録画が前提、DVDが前提ってことなんだろーけどパッケージでアニメ単体を売るより大勢に見てもらって原作本からグッズからいろいろなものを盛り上げ市場を作る素材って気もしないでもなく、やっぱり時間帯に違和感が残る。あの「ウテナ」が夕方にやってたんだぜ、「マリみて」なら日曜朝だっておかしくなのに。誰のために作るのか。それが作品にとって幸福か。考えないとこれからも不幸なスレ違いが起こり続けるんだろーなー。

 ミステリーとは唄っていながらスリラーにファンタジーな作品ばっかだった富士見ミステリー文庫だけどリニューアルを契機に立ち上がった桜庭一樹さんの新作もしくは新シリーズの「ゴシック」(600円)は、シャーロック・ホームズばりに鋭い観察眼でもって起こる事件の真実を見極める美少女を主役に据えた物語で、これまで読んだ同じレーベルの本の中でもトップクラスに真っ向からの謎解きを楽しませてくれた。こーゆー話も書けるんだね桜庭さん。さすがは「米子東高校硬式庭球部最後のブルマ隊」。その偉大さは後書きを読んで理解して。写真とか残っていないのか。

 時代は1910年代のソヴュールって欧州にある小国にある聖マルグリット学園に日本から留学して来た軍人の三男坊の九城一弥は何の因果か、図書館のある塔の最上階にひとり住む妖精のような見かけをしながらも、口を開けば悪口雑言罵詈雑言で一弥のトロさをなじり、彼から不思議な事件を聴いては即座に合理的な理由を挙げて謎を解いてしまう少女ヴィクトリカの相手をする羽目となって、今日も先生から預かった連絡事項を持って、塔へと上がってやっぱり虐められていた。

 そんな所にやって来たのが格好ばかりつけてる癖にヴィクトリカの謎解きをパクっては手柄にしてしまうヴィール・ド・ブロワ警部。村で起こった占い師の老婆が射殺された事件を話すブロワ警部の言葉から即座に犯人を言い当てたものそれは一件落着ではなくすべての始まりで、事件の解決のお礼をブロワ警部に送られた船の中から見つかった招待状を見て、一弥とヴィクトリカの2人は殺された占い師が誘われていたとゆー客船でのクルージングに代わりに出向いて、そこで恐ろしい経験をすることになる。このあたりはちょっぴりオカルティックかも。でも謎解きの本線は合理的だからやっぱりミステリーか。

 顔はビスクドールのよーに可愛らしく、なのに性格は我が儘で考える時とかは手にパイプを持ってタバコをふかす大人びた所もあるヴィクトリカの突き抜けたキャラがいかにも過ぎるけど、エンディング近くで示される彼女が塔にずっといる理由あたりからその特異性にもいろいろ裏がありそーな感じで、続くかもしれないシリーズでその辺も含めた恐ろしくって哀しい、かもしれない物語を楽しみつつ待とう。コワモテのナースで金色のブラジャーをしている通称「ザ・ゴールデンブラジャー」の話ももっと聞かせて。


【1月8日】 早起きして夜中に録画しておいた「十兵衛ちゃん2 シベリア柳生の逆襲」を見る。ビデオと違ってHDDレコーダーは綺麗だなあ。前の「十兵衛ちゃん ラブリー眼帯の秘密」もほとんど録画して見てたけど安いビデオだったんで朝見るとどれもがザラザラな質感で、それが頭にスタンダードになっていたんで今回、HDDレコーディングで見た新作が、とてつもなくクオリティアップしたのかと思ってしまったよ。

 オープニングでけったを漕ぐ菜の花自由のふくらんだ太股の眩しさむっちりむうにいぶりに目が、眩んでしまって朝から血圧急上昇。微睡む頭も1発でクッキリと晴れました。目覚めに珈琲代わりに「十兵衛ちゃん2」。とは言え絵とは違ってクオリティには影響が出ない音楽とか、動きの部分では前の変身シーンの音楽なり、戦闘シーンの迫力なりがこちはくっっきりと頭に残っていて、重ねて比べてそれこそ佐伯日菜子黒井ミサと同様に、前の印象を新作が一気に覆い隠したとは断言できないのが現時点での印象だったりする。

 まあその辺は前作に引き続いての2代目十兵衛の頑張りと、新登場の柳生フリーシャちゃんって新キャラの、露わな太股を大地に踏ん張り腰を入れて切りまくるアクションの2枚重ねで、見る方を惹き付けていってくれると期待しよー。その上で3月だかに出る1作目のDVD−BOXを買って見直して、改めて比べつつ2作目も捨てたもんじゃないと納得することにしよー。でもエンディングに流れる「少女隊」の歌声にやっぱり「ラブリー眼帯の秘密」に心が触れるんだ、きっと。

 まさしく「流行のネタをこれでもかとばかり詰め込」(大森望さん評)んだ話しだった「第2回このミステリーがすごい!大賞」受賞作の柳原慧さん「パーフェクトプラン」は、母親の虐待に会ってる子供を見るに見かねて引っ張ってきた女性を見て男たちが思いついた”誘拐劇”って基本線に、代理母の問題があり幼児虐待の問題があって、株価操作の事件があってES細胞の知識にウイルスの知識にハッキングの知識も盛り込まれ、さらにはデイトレーディングにひきこもりにホスト遊びに親子の相剋学歴への不審といった要素も加わって話が作られていて、読めば実にさまざまな知識が得られてちょっぴり得した気分にはなれる。

 問題はそーしたてんこ盛りが物語の上で果たして適切かどーかって部分なんだけどうーん、半分ぐらいを犯罪者すれすれな男や女が集まりちょっとした正義感も後ろに持ちながら誘拐をしかけてまんまと大金をせしめて懲罰も行えて”これにて一件落着”とばかりに大岡裁きの快感を味わえたかもしれないんだけど、そこに横入りのハッカーがいて美人刑事もいて話をさらに別の方向へと引っ張ってしまって、プラスアルファのどこへ連れて行かれるか分からない楽しみを与えてくれた一方で、予感的中を喜びたい気持ちをかわされちょっぴり戸惑う。

 誘拐事件に絞りつつ被疑者たち容疑者たちがともに背負った過去なり事情を深く描きそれが今にどーつながっているかを描き上げればあるいは高村薫さんばりの重厚なミステリーになった可能性もあるし、同様にひとつの事件を主軸に関係する人たちの入れ替わり立ち替わり登場してはのっぴきならない状況へと発展していき最後に悲劇なり、喜劇なりにつながれば奥田英朗さんばりの軽妙なミステリーとして人気を博したかもしれない。どちらかと言えば「パーフェクトプラン」は後者に近いけど、本来の誰も損せず犯罪ですらない誘拐事件って主軸とはずれた部分で人のドラマが描かれそれがクライマックスになってしまっているのはやっぱり気になる。

 とはいえ「あの手この手で先を読ませぬストーリーテリング」(香山二三郎さん)、「気になって気になって、ページを繰る手を止められなかった」(茶木則雄)、「先が読めない」(吉野仁)と選考委員の人たちが選んだ理由に挙げている特色は文句なしに存在するんで、読み出せば最後まで一気は確実。希代の読み手たちすら驚かせどきどきさせたその”異質ぶり”を堪能してみてはいかが。1月22日発売予定。授賞式はもー終わったのかな。業界でも最高クラスの賞金を手にした人の顔を確かめいざって時にお金を借りに行こーと思ってたんだけど。今がいざって時なのは内緒だ。

 昼にコンピュータエンターテインメント協会の新年パーティーに出て食事は摂らず突っ立ってた久多良木健ソニー・コンピュータエンタテインメント社長の背後霊をしたり「週刊わたしのおにいちゃん」が目茶売れしている出版社の人にすごいものを考えましたねと賞賛を贈ったり同じ目ん玉な会社の偉い人にちょっとしたとんでもない状況になっている某社への応援をお願いしたり知った人たちと始まった新作アニメの評価を話し合ったりしてから帰って記事を書き、次に日本印刷産業連合会の新年パーティーに出て獅子舞と鏡割りを見物して正月気分を味わい、さらに渋谷へと回ってエンターブレインの新春パーティーに出て、ここで始めて真っ当にいろいろなものを食べてお腹に詰め込んで詰め込みすぎてのたうちまわる。正月らしー1日。エンターブレインは出し物に縁日があってその案内を冬だってのにビキニな女の子たちがしていて近寄って目にも見る。三角がふくらみが谷間がはみ尻が。今年も良いことがありそーです。


【1月7日】 ピカチュウ詣で。の道中を「週刊文春」2004年1月15日号で初笑い。「近田春夫の考えるヒット」で評判になりまくってる日本ブレイク工業の社歌が取り上げられているんだけど、その紹介の言葉が”プログレッシブ歌謡曲”ってなっていて、一体プログレ歌謡って何なんだと「プログレッシヴ・ロックの哲学」なんて著書も出しててプログレに詳しい巽孝之さんとか、プログレ大好きな「ロッキング・オン」の渋谷陽一さんに聞いてみたくなる。

 ってかどう聴けばあれが「プログレッシブ歌謡」ってジャンルに括れるんだろー。スパロボ系アニソン以外には聴けないあれを。さらに近田さん。「要するにマニアの人が作ったパロディの歌謡ポップス」とも言ってていて、なるほどスパロボ系アニソンをパクったって言えるかしれないけれど揶揄とか諧謔とかいったニュアンスを持つパロディではなく、社業を表すに相応しい楽曲として借りてきたオマージュに近いパクり方であって、少なくとも「マニアの人が作ったパロディ」ではない。

 「評価されたのは何といっても、その作り込みのレベルの高さ」とも言っていてなるほど「レベルの高さ」には同意できるけど、評価された理由には解体業ってガテンな会社がアニソン風の社歌を作ったとゆーギャップがまずあって、その上で聴くと割に真っ当な楽曲、面白さ炸裂の歌詞が飛び出してきて、ロボットアニメを見て育ち、アニソンに慣れ親しみ育った人たちをして「やられた」って思わせた所にあるよーな気がする。オマージュの本気ぶりって言い換えても良い。

 オタな人にしか分からないだろー例文のオンパレードに笑いつつ描かれたイラストに萌えつつ嗜む「もえたん」を「スポーツニッポン」が紹介した時に、そーした”匠の目”的な視線からの評価を意図的なのか分からなかったのか、まるで無視して単にエロっぽさエキセントリックさをのみ取り上げたのとある種、通じるところもある近田さんの捉え方だけど、おじさん中心の読者に向けて「ガキのエロ本」的な紹介を「スポニチ」が意識的に行った可能性はあっても、「プログレッシブ歌謡」「マニアの人が作ったパロディの歌謡ポップス」と「日本ブレイク工業 社歌」を評価するのはやっぱり軸がズレ過ぎてるって言えそー。編集の人とか誰も言わなかったんだろーか。今や「週刊新潮」すら上回っておじさん的媚的感性が蔓延している雑誌だけに編集部員も誰も気づかなかったのかも。

 豆腐みたいな真四角なビルでピカチュウの親玉に見えた後で折角だからと最近富に賑わっているだろースポットを見物しておこーとバスで「一条戻り橋」へと向かって「晴明神社」を参拝。3年だか昔にも行ったけどその時には工事中で客足もそれほどでもなかった神社が大通りから繋がる参道脇に専門の陰陽師グッズショップができていたり、脇に大規模な土産物屋が出来ていたりしてちょっぴり観光地化が進んでいて、当時も結構あった陰陽師ブームが映画のヒットなんかも受けて更に大きなものになって来てるんだなー、なんてことを強く実感させられる。

のぞけば誰もが野村萬斎、な訳ねえ  神社の中も改装が進んでいて前は社殿の前に並べてあった有名な人たちの絵馬が脇の休憩所だかの上にずらりと並べてあって枚数も5倍くらいに増えていて、「ローリー寺西」とか「浜村淳」とか書かれた絵馬もあって参詣する有名人も増えてるんだってことを知る。東京の有名ラーメン屋ですら及ばない程の来場率かも。その休憩所には観光地に定番の顔の部分が抜かれた絵看板なんかもあってそこに顔を入れれば貴方も安倍晴明って感じになってて、いくらブームとは言えちょっと勘違いしている部分もあるんじゃないのかな、なんて疑問を抱く。けどまあいつまでも続く人気じゃなし、同じく京都が舞台の「新撰組」が大河ドラマもあって人気を奪う可能性もあるだけに、今を春とみていろいろ試してみるのも良いのかも。式神石像? いいんじゃないっすか。

 キックボードに貼ってあった交通安全の護符が剥がれてしまったんで新しいのを購入。五芒星が描かれているシールで張ると3倍のスピードが……出ません、事故は防げるかも。帰宅してHDDに撮り溜めしてあった新番組「エコエコアザラク 眼」を見ていて同じ五芒星が出てきて、重なる時には重なるものだなーと奇縁を感じる。憑かれてる? かも。

 「エコエコ」大好きな”エコエコロジスト”をかねてより標榜はしていても、佐藤嗣麻子さん監督バージョンではなく清水厚さんとかが異様なカメラワークで撮ったりしていた映像の中でパワフルな眼差しを見せつけてくれた佐伯日菜子さんバージョンの「エコエコアザラク」を至高にして究極と捉えているんで果たして、新しい「エコエコ」に馴染めるかって心配したけど、短いカットで黒井ミサと探偵とモデルの3者が事件に遭ったり起こしたりするエピソードを重ねながら、とりあえずそれぞれの立場やら能力やらを紹介する構成の妙と、おそらくは小中千昭さんが仕込んでいるんだろー魔術や魔女の描写の確かさに感心して、1話にして惹き付けられてしまった。

 時代も変わって佐伯ミサでは膝まであったスカートも新しい上野なつひさんのミサだと膝のはるか上に裾が来る短い丈になっていて(でも靴下はルーズじゃないし白でもない)、にょっきりとのぞいた脚のまぶしさに目が眩む。それ以上に最後まで哀しみを背負って戦っていた佐伯ミサとは違って、自らを魔女と言って怪奇なる存在を相手にする上野ミサの活躍ぶりが格好良く、モデルの女が見せた謎の力がおそらくは絡んで来るんだろー展開の中で、どんな戦いぶりを見せてくれるのかがとりあえずは楽しみで仕方ない。かの伊藤郁子さんデザインとゆーミサ専用“ビケちゃん”バックの掴みもオッケー。これ、売り出さないかな。5000円でも1万円でも買うぞ。


【1月6日】 映像ソフト業界の賀詞交換会があったんで取材に行くと会長で角川な人が用事で遅れて来るとかで副会長で東宝な人が挨拶。聞くと去年のビデオ市場はだいたい3400億円くらいになったとかで前年からだと5%くらいの伸びで落ち込みが目立つゲーム市場に比べてその元気ぶりに驚く。要するにDVDビデオが売れたってことなんだろーけど1本あたりの値段はハリウッドプライスとか1本勝ったら1本タダとかって感じにどんどん安くなっているにも関わらず、全体の金額が上がっているのはちょっと凄い。本数ベースだったら一体どんな増加率になるんだろー。

 価格の低下で気軽に買いやすくなったってことに加えてDVDプレーヤーの世帯普及率が20%だか30%だかって感じに上がってきたこもあるそーで、これに「プレイステーション2」とかパソコンってなDVDビデオを見られる機器も含めた世帯普及率となるとおよそ4割とかそんなもんになるとか。「PS2」が出た時にとりあえずDVDプレーヤーとして買うって人が多かったって話があったけどそんな「とりあえず」派はDVDプレーヤーが安くなった今も変わらずいるんだろー。

 そんな人が年に1本とか2本ゲームを遊ぶ一方で、月1本とかDVDを買って見ていたとしたらなるほど、ゲーム市場が伸び悩む理由ってのも分かるかも。ハリウッドが200億円とか300億円とかかけて作って世界で500億円とか稼ぐ面白さを持っているにも関わらずDVDになったら2000円の映像ソフトに、例え異質な楽しみ方があるとはいっても数億円から数十億円のゲーム、それも楽しみ所を絞られがちなゲームのそれも5000円とかするパッケージが対抗するのはキツいってことなのか。ゲームにはゲームとしてユーザーを引きつけるものがあるんだけど価格に評判で比べられると、ねえ。映像再生だって可能な「PSP」もこっちはこっちで携帯ゲーム市場からユーザーを根こそぎ奪ってモバイルムービー市場を拓き映像ソフト業界を潤わせたりするのかな。コンテンツの取り込み具合も含めてちょっと関心。「E3」辺りの動きが楽しみ。

 ジャズダンスみたいな踊りとゴスペルみたいな歌で悪霊を鎮める職能の人を登場させて退魔師物が大隆盛している中にちょっぴり目新しさを円山夢久さんは「Little Birds Fly」(電撃文庫、570円)で感じさせてくれたけど、一方で幽霊をそれはもーくっきりを見られる能力を持った少年が、出会うを幸いと幽霊(のなぜか美少女に美人ばっかり)を説得しては成仏させていく話もあって、退魔師物といってもこれでなかなかに幅広くって奥深いもんだと感じる日々。そのうち歌えて踊れて弁も立って霊能力も抜群、なのにお金でお引き取り願う退魔師なんてのも出てくるかも。ほら地獄の沙汰も何とやらって言いますし。

 さてその説得系同情系退魔師物として登場した今田隆文さんの「アストラル」。イラストも含めて好評だった1巻に続いて登場した第2巻「アストラル2」(電撃文庫、590円)でもやっぱり相変わらずに自爆例とかお盆でかえってきた幽霊が、主人公の少年にあれこれ頼み事をしては解決してもらうストーリーに、果たして美少女に美人と知り合いになれて羨ましいと思うべきなのか、それとも見たくもないのに付きまとわれて大変と憐れむべきなのかちょっと迷う。幽霊でも良いからお近づきになりたい? そーゆー人も多いかも、例えば「もえたん」読者界隈。

 地縛霊って言ったら普通は、付きまとわれたらそのまま祟られ地獄だか煉獄だかへと引きずり込まれる恐い存在に描かれるんだけど、そこは優しさ親切さで霊を鎮める主人公が出てくる物語だけあって、地縛霊も物事をわきまえていて主人公を祟るとか迷惑をかけるとかせず、物語をちゃんと感動的な方向へと持っていってくれる。加えて2巻目では明るくって健康的でパワフルに見えてその意志のパワフルさが変わった方向へと出て主人公を惑わせて、けどやっぱりそのパワフルさでもって自助してしまう美少女なんかも登場して、展開に目新しさを与えてくれている。

 さらに新登場のそんなパワフル美少女が、主人公の眼鏡っ娘(おお!)の妹(おおおっ!)の美少女(おおおおおっ!)と主人公を挟んであれやこれやするよーになって話に幽霊さんとの出会いに別れといった従来からの興味に加えて、ラブコメチックな展開とゆー新しい興味を与えてくれている。とは言えほのぼのとしてしっとりとして哀しいけれど嬉しくなる殺伐とした世の中に珍しくも必要な物語だけに貴重なんで、「みゆき」系のラブコメ路線もほどほどにして本来の説得系同情系退魔物として楽しませて欲しいもの。期待して次を待とう。明日は京都。


【1月5日】 梅津泰臣キャラが梅津泰臣動きで廃屋の中銃撃戦を繰り広げる不思議なアニメーションが始まったんでHDDに録画しながら最後まで見入る。「MEZZO」は梅津さんがアダルト向けに作ったOVAを一般向けに作り直した作品みたいで、何でも屋みたいな少女に青年に中年の3人組が受けた依頼をこなす仮定で襲われ大変な目にあった果てに、悲しくも美しいエンディングにぶつかるって趣向は、同じ少女の銃撃戦でも重さに暗さのあった「NOIR」とはちょっと違って、底抜けに明るくって元気良くって楽しめる。広川太一郎さんにちょっと仰天。滑らかさが滞っているよーな声だったけどやっぱもー歳、なのかなあ。お尻に胸がぼややーんなキャラ作画とリアルっぽさ抜群な銃撃戦動画は最高。このクオリティが続けば伝説になりそーな作品だけど果たして如何に。

 思い出した1月4日付け「スポーツニッポン」で例の「萌える英単語 もえたん」(三才ブックス、1143円)が取り上げられていたんだけど、その取り上げられ方がいかにもおっさんメディアらしーってゆーか「もえたん」が狙ってる辺りを意識的に外しているよーな感じで、この紹介で果たしてどこまで「もえたん」の微妙にアレゲな特質を伝えられたんだろーか、そもそもそーゆー部分を分かって取り上げたんだろーかってな悩みを抱く。

 だいたいが紹介されているコーナーが宅配では付いてこないよーなエッチページの「性界アトランダム」って場所で「ロリ女高生とABC…H」なんて見出しまでついていて、どっちかってゆーとエロ本扱いされてる感じでこんな不謹慎な本で英単語を勉強している最近の子供はまったくもう、ってな印象を自分たちのエロ好きは棚に上げて前途有望な若者たちの密やかな楽しみを、奪い虐げにかかるんじゃないかって心配が浮かんでしまう。

 もちろんそーゆー「2次元ヒロインの可愛らしい挿絵と、パンチラを始めとするエッチな挿絵が、同書には随所に登場する」ことに惹かれた人もいない訳じゃないだろーけど、そればっかりじゃないのがこの「もえたん」の偉大なところでつまりは単語に上げられた例文が、原典をアニメとか漫画とか習俗といった知る人すなわちオタクこそ知る事柄に求めてある部分で、これは「ガンダム」から来た例文だな、って感じ入ったりこれは一体何から来た例文なんだ、って悩んだりするのが大きな楽しみ所だったりする。

 にも関わらず「スポーツニッポン」が取り上げら例文は「僕はほっそりした妹の体を抱きしめた」なんて原典もへったくれもなく、これが基本と思った「スポーツニッポン」の読者には、「もえたん」ってのは近親相姦の禁忌に触れそーな淫靡さを発する例文ばかりで埋め尽くされた、一種のエロ本かもって印象を抱かせかねない。なるほど「エキセントリックなものばかり」かもしれない例文だけど、それから欲望を喚起される人は「もえたん」本来の読者にはごく希で、エロゲーなりアニメなりって原典があることを知ってほくそ笑む人の方が圧倒的なんじゃなかろーか。

 「居候の天使に前触れもなく撲殺されるので、彼は怯えていた」じゃあ普通の人では、驚くことはできてもほくそ笑みはできないだろー。けれどもそれを解釈入りで紹介してこその「もえたん」の神髄、なんだけどそれでもこーゆー場所にじわり、っと浸透しては存在を知ってもらい、読む人の奥底に眠っていたアニメに漫画にゲームといったものへの情愛を、今再び蘇らせてアニメに漫画にゲームへの支持へとつなげる効果もない訳じゃないんで、憤らず眉も顰めず生暖かい視線で今回の記事を見送ろー。

 地元ってことで市立船橋が登場した高校サッカーの準々決勝を見守り勝ってくれ、勝って次も勝ち抜いて国見と国立霞ヶ丘競技場で対決してくれ、そーでないと見に行く気力も失せるからって念波を発していたもののそこは地の果て「柏の葉」。届かず市立船橋は鬼門ともいえるPK戦へと突入してはその鬼門ぶりを遺憾なく発揮して、サドンデスになった6人目ではずして万事休す。国立を目前にして敗退を余儀なくされてカレン・ロバート選手の高校サッカーも同時に終わってしまった。

 これで国見まで負けたら決勝どーしよーかと懸念していたもののそこはカレン・ロバート選手よりも代表歴では上の平山相太選手が活躍したよーで、見事勝ち抜き国立のピッチに立つ可能性を残して先に期待を持たせた。もちろん次の試合に勝たなくちゃいけないんだけどそこは決勝にわんさを人を集めたい高校サッカーの神様が、国見を後押ししては立派に決勝の舞台へと彼らを導き僕たちは高い癖に足技も上達の一途をたどる平山選手を、決勝戦で見せてくれることになると信じたい。父の出身地の鹿児島も鹿児島実業が残っているんで地元贔屓もまだ可能。となれば決勝は「国見vs鹿実」なんてのを期待しよー。ゲスト解説はカレンさん、とか。


【1月4日】 ハワイで水着姿になった根本はるみさんの、そのとてつもなさに一体これは何んだんだろうと驚嘆しつつ、そんな根本さんがKONISHIKIさんと対峙した場面に、あるいは今度はボブ・サップとのリベンジは止めて「イエロー・キャブ軍団vs曙」にしてくれたら見る方もやる方(の特に曙さん)も楽しい試合になるんじゃないかと思いつつ、それだったらやっぱり西島大介さん提案の小倉優子さんvs杏さゆりさんの水着での試合の方が良いかもなんて妄想しつつ、仮眠を取ろうと布団に潜って気付いたら朝の7時で笑う。

 まる半日を潰して貪ってしまった惰眠に、今日1日を原稿書きにあてる羽目となったことに気付いてあるいは行けたら行こうと楽観していた井原正巳さん引退試合in国立霞ヶ丘競技場行きはあっけなく断念。まあ北澤豪選手引退試合に比べて行きたい気持ちは半分で前売りも買ってなかったから諦めも早かったんだけど。偉大な選手でも華がない、ってのが今日まで引退試合が長引いた理由、なんだろーなー井原選手。真面目っぽさが取り柄も一長一短。

 頑張ろうと思いながらもついつい伸びた手がリモコンに触れてテレビをオン。久々に見た「デ・ジ・キャラットにょ」が全然「デ・ジ・キャラットにょ」じゃなく「ぱにょぱにょデ・ジ・キャラットにょ」になってて一体何が起こったんだろーかと年替わりのこの間に、戦わされただろー「デ・ジ・キャラットにょ」の路線をめぐる丁々発止のやりとりに思いを馳せる。「視聴率いまいちじゃん」「だったら変えます」「子供に受けたいねえ」「ぱにょにしましょう」「オッケー」ってなものだったかもしれないけれど。

 昨年末の日曜日はだいたいLリーグを見物に稲城とか大宮とか平塚とかいった地方のグラウンドまではるばる出向いていたから、「プリエール」が退場して新しいオープニングになってしばらく経ってからの「デ・ジ・キャラットにょ」はほとんど見てなくって変化にはまるで気付かなかったけど、その間にミ・ケ・キャラットも登場して着々と布石が打たれていたのかな。「まねきねこ商店街」の妙な一員が織りなすドタバタとはこれでおさらばな可能性も高いけど、前半プリセンス学園で後半商店街のパターンで行ってくれる可能性もないでもないからその辺に期待しつつ前半はお子さまの純粋な気持ち、後半は大きなお子さまのすれっからした気持ちで愛でていくことにしよー。

 べちべちと原稿を打ちながらも飽きてしまって読書に逃避。草上仁さん「スター・ダックス」(朝日ソノラマ、1238円)は天才的な詐欺師が犯罪を国家的な産業にしよーと目論む王様の企みにはまって王国の命運をかけたプロジェクトのメンバーにさせられてしまってスリに恐喝に誘惑の天才たちとチームを組んで、ある星へと乗り込み金持ちから財産を巻き上げる仕事に挑む。繰り出される妨害も次々に起こる障害も何のその、映画「スティング」よろしく仕掛けをめぐらせカモを追いつめていくストーリーはなるほど緻密に練られて感心する。流石は金融に関連する仕事をしていた人だけある。

 とは言え先物だの何だのが絡む「スティング」の何百倍と難しい仕掛けは一読では理解できず派手さもなくって読み込むのが結構大変。強敵をハメて胸をスーッとさせられる映画「大逆転」程にはどんでん返しのカタルシスも至ってない感じがあって、人によっては面白くっても万人受けするのはちょっと難しいかも。カジノシーンのリアリティたっぷりな丁々発止が受けた冲方丁さん「マルドゥック・スクランブル」みたいな受け方はしないかな。して欲しいけど。登場人物では「端正」で形容される容姿を持った女性官僚のジェシカ・ストイコノブナ・ギョンに惚れ。小菅久美さん描くジェシカ最高。こんな女性に叱られたって人、多いよね。

 半日かけて原稿を仕上げて夕飯。中田英寿選手のボローニャ移籍を記念して買い置きのフェデリーニを茹でイトーヨーカ堂の100円ミートソース缶にミンチを加えカーネルコーンも混ぜてソースにしてボロネーゼを作って丼で貪り食う。安上がりで腹一杯になる。 台所が綺麗になって自炊が出来るよーになった分、作りすぎて食い過ぎて太る可能性が出てきたのがちょっと困ったかも。

 それにしてもメディアの不思議。これまでボランチをやらされたら「トップ下追放」と書き立てたのにボローニャで練習時代でボランチをやったら「司令塔に復帰」(スポーツニッポン1月4日号)だと。いつからスポーツ新聞の定義が「トップ下=司令塔」から「ボランチ=司令塔」になったんだ? ってかトップ付近のファンタジスタよりも中盤の底で組み立てるレジスタは昔から立派に司令塔だったのに、今になって独自でこだわってきた基準をすり替え中田礼賛に走るスポーツ新聞の意図は一体何だろー。よーやく分かって来たんだと言えれば良いんだけど、高校サッカーは得点を決めた石井選手じゃなくってやっぱりカレン・ロバート選手にフォーカスだからなあ。ボランチもといレジスタに定着した中田への記事スタンスに注目。


【1月3日】 さらに桜坂洋さん「よくわかる現代魔法」(集英社スーパーダッシュ文庫、638円)。なぜかサイン入り。ドジっ娘のこよみが自分を変えたいと押入の奥から発見されたチラシに書かれてあった魔法学校とやらを尋ねたらすでにそこは普通の家になってて 、口の悪い少年と美人のお姉さんが出てきてすでに学校ややってないけど現代魔法だったら教えられるとゆーことで教わることになったもののそこはドジっ娘、金だらいを発言させる魔法くらいしか発動できない。

 そんな最中にソロモンだかゆーパソコンのプログラムに仕込まれていた魔法が発動しまくるピンチになって美少女魔法使いの弓子が出張るものの相手は強く大変な目に。そんな場所に居合わせたこよみは果たして世界を救うことができるのか。なんて話と言えば言えるんだけど苦労と努力と天然の果てに少女が魔法使いとして進歩している感動のドラマを脇に置いて、天然ぶりを発揮して妙なリアクションを返すこよみのキャラクターとか金だらいを落としてみせるギャグ的なシチュエーション、そしてコンピュータのプログラムに魔法のコードを重ね合わせて口で呪文を唱えるんじゃなく、CPUで高速に無限にコードを実行させることで魔法を発動させる設定の現代っぽさが絡み合って、「よくわかる現代魔法」を実に飄々としてスタイリッシュで面白可笑しい作品にしている。

柏で100人なら国立に1万人のカレンギャルズが押し寄せそー。負けるな相太ギャル  進みすぎた科学は魔法と変わらないってスリランカの山に住む仙人が大昔に言ったとか言わないとかあったよーにコンピュータなんんてプログラムって呪文で動かす魔法の箱。そんな特質をとりあげ魔法話へと持っていった、過去に山とありそーでなかったアイディアを特徴的なキャラクターと独特のセリフ回しに筋立ててでもって小説に仕立て上げた作者に拍手。何をしている人か知らないしどーして秋葉原のそれも「K−BOOKS」にサイン本が山だったのかは知らないけれど書いて書ける作家って感じでますますの活躍に続編を期待しお願いしたいところ。今度は1万メートルから直径1万メートルの金たらい落としを見たいなー。

 もしかしたらドイツかあるいはその次の大会のエースとして大活躍をしてくれるだろー人物の、若い時代の活躍ぶりを見ておかないと一生の悔いになりそーだってことで、寝起きの頭をしゃんとさせて、東武野田線を船橋駅から乗って柏駅へと向かいそこからバスに乗り継いで、柏でも彼方の「柏の葉公園」で開かれた高校サッカー「市立船橋vs青森山田」の試合に登場するカレン・ロバート選手を見に行く。去年の同じ時期には同じ市立船橋でもディフェンダーの大久保裕樹選手ばかりが取り上げられて、前線で奮闘していたカレン・ロバート選手は将来期待の1人に過ぎなかったんだけどわずか1年で大会の目玉どころか日本サッカー界の救世主然として語られ女子からはもてはやされる存在に、なってしまったのには予想はしていたけどでも驚いた。

 何しろ柏でも彼方にあってJリーグでも客足の遠のいている「柏の葉競技場」に集まった人の数1万2000人弱。それも普段は絶対にサッカー場なんかに行きそーもないミニスカートの女子高生が山といて、そんな彼女たちがフェンスに張り付いてピッチに出てくるカレン・ロバート選手を出待ちしている様を見るにつけ、こーゆー人たちがカレン・ロバート選手目当てにJに足を運ぶよーになったら会場ももっと華やいで良い感じにになるんだろーと妄想する。来年の磐田スタジアムは楢崎正剛選手を見に集まる名古屋グランパスエイトギャルで賑わう瑞穂を上回る黄色い嬌声に包まれるのかな。

 ギャルの嬌声は別にして新聞テレビもカレン・ロバート選手一色なのは不思議とゆーか気持ち悪いとゆーか。去年だってちゃんと活躍していたのに今年になって急に持ち上げ始める、これがいわゆる日本独自の「スター・システム」って奴なんだろーとけどそこで潰れる選手のごまんといた中で、見目では大久保嘉人選手を100倍上回っていると断言できるにも関わらず、未だ飄々として気取らない雰囲気を傍目には見せてくれいているカレン・ロバート選手、きっと試合でも昨年ど同様に華麗なプレーを見せてくれるだろーと想像してたら案の定、走り中へと放り込み左右に散らす冴えた足技を披露してくれてやっぱりタダモノじゃないって印象を強く抱く。

 もっとも目立てば目立つほどマークも厳しくなるのがサッカーの常で青森山田のディフェンダーに挟まれ囲まれ思うに任せない状況がしばし。そんな中でも抜けだしヘディングを打ってバーにあてたりシュートを放ってキーパーにキャッチされたりと、得点にはならなかったけど得点機を自ら作り出す凄さは見せてくれたのは流石とゆーか。彼をひとり囮にして周囲に凄い選手が集まるプロの世界に入ればあるいは、それなりの活躍を見せてくれるかもしれないし逆に別の選手が囮になった隙間を持ち前の足技で、抜けだし得点をゲットしてくれる姿がいっぱい見らるかもしれない。

カレンばかりが市船じゃねえ、とばかりに飛び込みシュートの石井選手、でも新聞はカレンがトップに来るんだよなー  徹底して守備を固めて快足フォワードとウイングによるカウンターを狙った青森山田の攻撃をカレン・ロバート選手と並んで注目されてる増嶋竜也選手をハメとしたディフェンス陣が守りきるものの前線では得点を得られず市立船橋にとって鬼門のPK戦かと思った後半も38分頃、クリアが上がった所を誰かがヘッドで前へと放り込んだ所に走り込んできた選手が一閃、足を振り抜き1点を奪って勝負有り。残る時間をしのぎきって昨年優勝の市立船橋がベスト8へと駒を進めて国見との決勝に近づいた。こーなると決勝まで残って昨年以上の盛り上がりの中でカレン・ロバート選手と平山相太選手のぶつかり合いを見たいもの。なので準々決勝準決勝はちゃんと勝ち抜け市立船橋。国見もね。

 行き帰りの電車で円山夢久さんの「Little Birds Fly」(メディアワークス、570円)を読了、呪文だの霊能力だので魔を退ける陰陽師物退魔物が大流行している中で、恨みを持ちながら死んだ人間の魂が変化した「ゴースト」を歌と踊りの力でもって鎮める「バード」なる職能の人々を主役に据えていているのが珍しくも革新的。おまけに物語はそんな「バード」を養成するスクールってのがあってそこに通う少年たち少女たちが悩み苦しみながらも1つ成長していくストーリーになっていて、読みながら自分も成長していく気持ちを感じられる。

 秀才で学業はなかなかでおまけにダンスもそこそここなすものの満点ではなく80点止まりで、「ゴースト」を鎮めるのに必要な感動を呼び起こすにはあと一歩とゆー修身は、それでも自分の殻を突き破りたいと「バード」を養成するスクールに通っている。そんな修身の従姉妹が電車の事故で死んで「ゴースト」となって、修身と同じスクールに通って演技の勉強をしていた俳優の更紗への思いを遂げよーとやって来ては、やっぱり同じスクールに通って更紗にあこがれを寄せる少女たちを巻き込んで事件を起こす。死んだ従姉妹を成仏させ且つスクールの同級生も救いたいと頑張るものの、そこは万年80点の修身に果たして「ダンサー」への道は開かれるのか。「ゴースト」を相手にすることを頑なに拒否する更紗のこれからも含めてシリーズ化に期待大。


【1月2日】 午前9時半ぐらいを開店の目安に歩いて3分の西武百貨店船橋店まで出向いて初売りに参画、すでに数百人が並んでいる行列の後ろについて10数分を待っていよいよ開いた店内をエスカレーターで9階まで歩き上って、アウトドアの店で「ジャック・ウルフスキン」の1万円の福袋を獲得してとっとと引き上げる。3年連続。これと「天皇杯」があるから実家には帰省しなかったりする。親孝行に勝る福袋有り。

 開いて内側にフリースのインナーが付いた完全防水の極地対応型ジャケットが入っているのを見て今年の勝利を確信する。冬場のサッカー観戦とかに役立ちそー。とりあえずは1月末の全日本女子サッカー選手権あたりか。来年末あたりに仕事にあぶれて電気とめられてもこれ着ていれば凍死しなくても済むな。ほかにTシャツとフリースのアウタージャケットが入っていてまずまず。残る1点が一昨年にも入っていたのとほぼ同じプルオーバーの薄手のアウターだったのがちょい残念だったけど、これは実家の弟へのお年玉替わりに使えば良し。帰省して甥っ子にお年玉とかやるのに比べれば旅費もかからず余り物で済ませられるからかえって安上がりってことで。

 引き上げてからは昼食にラーメンを茹でて油の浮き出た残り物の天ぷらを乗せて朝昼兼食。正午過ぎから始まった高校サッカーで地元市立船橋のカレン・ロバート選手が華麗にオーバーヘッドキックを決めたか決めなかったかした辺りを見たか見ないかするうちに微睡みが本格的な眠りへと変わってそのまま就寝する。有意義な正月2日の今日の出来事でした……じゃあ流石に人間として終わってるんで夕方に起き出してひたすらに読書する。

 まずは深見真さん「パズルアウト」(富士見ミステリー文庫、540円)。体裁が変わって全面イラストのそれも萌え系全開って感じになって店頭で同じ傾向の角川スニーカー文庫を制圧しよーと画策している節があるのは承知だけど、中身の方もこれまたスニーカー当たりともろ重なりそーな多感な少年少女が読んでグッと来ること請負な、人間の精神状態を顕在化させてはイジって戻して治療する「象徴心理療法士」なる能力の少年が主役となって起こる事件に挑みこれを解決していく展開になっている。

 事件が起こって犯人を捜すってフォームはなるほどミステリーかもしれないけれど、「ミステリー文庫」と銘打つほどにはミステリーっぽくないのはまあ他のシリーズと同様か。哲学用語を駆使し心理学の知識を繰り出しながら人間の心に潜む竜を手なずけ御しつつ治療していく場面が、合っているかどーかはともかく切れがあって面白い。言葉に強制的なニュアンスを無意識に含ませ喋り相手を服従させる力を持ち、それでライトノベル系作家を自殺に追い込んだ評論家には果たしてモデルはいるのかな。

 象徴心理療法士の少年に友人を救ってもらったことをきっかけに、彼に付きまとうよーになった少女がこれまた自分の不安定な心を手にした人形に一部仮託して、腹話術士よろしく喋らせバランスを取っている不思議系で、傍目には異様に見える彼女に対し優しく見守るのか引いて見過ごすのかは曖昧だけどともかく無関心を装うのが人間の良くも悪くもある部分だったりするのにも関わらず、一人漫才だの腹話術野郎だのと面罵する少年のキャラクターがありそーでなかった感じ。「漫才師っていうな」と腹話術で返す少女も少女だけど。屹立した2人を使っていろいろなパターンで治療していく展開を書けそーで、ほのめかされた2人の過去とか含めて楽しませてくれそー。期待。

 待望の、と言って良いんだろー高野和さん「七姫物語 第二章 世界のかたち」(電撃文庫、570円)は7つに割れた都市国家のひとつの姫として流れ者から成り上がった将軍と宰相の2人組に擁立された少女カラスミが、まずは1つの国を統合して姫をひとり放逐した第一章からの続きで、身分を隠して出歩き回るカラスミが街で見聞したこと出会った人々を通して世界がどうなっているのか、人々が姫をどう思っているのかを知っていく展開になっている。

 とりあえず動き始めたものの未曾有の戦乱へと至ることはなく、群雄割拠する国々がそれぞれに思惑を持ちながら対峙しているとゆー状態になっていて、バトルもなければ謀略も表向きには現れずのんびりとした口当たりになっているけど、拮抗から少しづつ崩れ始めたバランスがやがてもたらす混乱を想像した時、こののんびりとした空気がかえって貴重で儚いものに思えてジンワリとさせられる。「永年、永年、こうしていたい気がする。でも、出来ない。だって、季節は変わる。やがて、雪解けの水が激しくなって、凍風が過ぎて、山野に戻って、それから、春の花」(271ページ)。カラスミは優しくあり続けられるか。足元を見失わずに居続けられるか。注目したい。そして願いたい、世界が優しく統べられんことを。

 さらに三雲岳斗さん「導士さまといっしょ」(電撃文庫、550円)。「リベリオン」だの「I.d.」だの、同じ文庫でも続くシリーズがあり他でも「ランブル・フィッシュ」とかやっているにも関わらずの新刊に仕事を絞ったら、なんて声も出そーだけど「i.d.」にピンと来ず「リベリオン」もパターンとして他に沢山のサンプルがあって真剣には読んでなかったりする身には、出てくるキャラがどれも突飛で内容も明るく滑らかな「導士さまといっしょ」は、同様にキャラが特徴的でロボットバトルって読み所もあって、世界観にも深さ広さがある「ランブル・フィッシュ」ともども優先的に書いて欲しい作品って気がしてる。

 未来、機械と融合して人間を襲う「獣」を精霊の力を借りて撃退した人類が、最初に精霊を呼び出して「獣」を撃退した始祖の魔女とゆー少女を守るべく、漂道流哉って名のひとりの導士の少年とエスカリボルグ、じゃなかったアルバ・マキシマってゆー精霊の力を取り込みパワーにかえる武器「エレメンタル・エンジン」を過去へと送り込む。なぜか普段は超絶ドジっ娘って格好をしているアルバ・マキシマの設定も設定なら、守銭奴気味で高飛車なところもある始祖の少女の設定も設定で、癖ありまくりなキャラクターたちに挟まれて、超絶美形と居丈高な性格を持ちながらも仕事には真面目な導士の少年が、武器を振るい群がる敵を撃退していく様が格好良い。

 のっけからヒロインの死なんて場面があってシリアスさに目が覚めるけど、「ターミネーター」ばりなシリアス設定かと思った物語が最後の方でくっつくの邪魔するのといったラブコメチックな設定へとズレまくってしまう部分も個人的には好感。やっぱり頭使わず気持ちも曇らせずに読めるシリーズとして是非に続けていって欲しいところ。始祖がイブなら流哉ってやっぱり……だよね。それに気付いた2人がどんなリアクションを見せるのかにも興味。血を見るね、きっと。


【1月1日】 思い起こせば2002年の8月に「小川直也vsマット・ガファリ」とゆー、世紀に残る摩訶不思議な試合をそれも自腹を切って生で見ている人間なんで、メディアが煽り立てての前評判が無惨な結果に終わろーともまるで気にならないんだけど、それでも天下の横綱が心機一転、格闘家としてデビューを飾るって場面をこの目で見るために、名古屋に帰省しよーかとちょっとでも考えだけに、結果として起こったガファリ選手に勝らずとも劣りまくりな惨状に、帰らず「天皇杯」があるからと関東に踏みとどまった自分の運の良さに感謝したくなった。

 なるほど打撃とは無縁のアマレス出身選手に比べればまだ、ぶちかましだのつっぱりだのといった”打撃”を受けて来た経験のある相撲取り出身だけに、「K−1」リングに登った曙太郎選手、相手のパンチを真っ向から受けてもひるまず逆に突っ張り突き押しとプッシュプッシュな技を見せては相手となったボブ・サップ選手を追い込んでくれるかも、なんて期待したのが今となってはやっぱり大が幾つも付くほど甘かった。

 前に出るのが基本の相撲取りだけあってその巨体でぐいぐいと押しては身長差体重差のあるボブ・サップ選手を追いつめたかに見える場面もあったけど、いつにも増して体を絞って日本マット初登場の時みたくスリムになっているよーな感じがしたボブ・サップ選手の、練習を積んだのかこれまでのただ腕を振り回すだけじゃなくちゃんと相手を射抜くパンチを喰らってダウンし9カウントで起きあがったけどまた喰らって前のめりにダウン。あまりのあっけなさにテレビに向かって金返せ、って叫びたくなった。1銭も払ってはいないけど。

 だいたいがコールを受けてリングに上がった時点ですでに全身から汗が噴き出し辛そーな感じ。わざわざこの試合のためだったとしたらこれほど失礼なこともなかったかもと、今にして思えるスティービー・ワンダーを招いてのアメリカ国家演奏の時も、これまたサップ選手がこれまたいつにも増して冷静沈着な面もちだったのに比べて曙選手は右に左に体を揺らして落ち着きがなかったんで、結果が出た時も案の定とゆーか必然とゆーか、ともかく順当の結末でこれから一体、どこをどーすればサップ選手と互角に戦えるまでになるんだろーかと、その行く末が他人事ながら心配になって来た。

 同じメーンでも「PRIDE」は桜庭選手とノゲイラ選手の刺すか刺されるかといった緊張感に溢れるもので結果は桜庭負けでも見ていて面白かったし、「イノキボンバイエ」に至っては藤田和之選手がボクサー相手に寝技20秒までなんて規制をかけられてもそれを逆手にとってスタンディングで相手を締め落とす野獣ぶりを見せてくれてこまた最高最良の試合。これらに対してキャスト話題性とも3つの大会のトップを行ってた「K−1」のメーンの体たらくは、それを嫌って止めたと著書で佐竹雅昭選手が書いていたよーに、真剣勝負を旨としていた「K−1」の話題先行内容無視化のひとつの現れだったりするんだろー。次に繰り出されるのはおそらくは「ボブ・サップvsマイク・タイソン」だろーけど双方反則からドロー、ってな結果が見え隠れしてしまう試合をさてはて、どー団体が口八丁で盛り上げそれをメディアがどんな手八丁でもり立てていくのか、そっちを注目して今後の展開を見て行くことにしよー。国家演奏が誰なのかも含めて。今回がスティービー・ワンダーなら次はマイケル・ジャクソンか?

 崩れ落ちる本の下敷きになって目覚める新年。らしいと言えばらしい幕開けに今年もきっといろいろ本にまつわる仕事が来るだろーことを願いつつ崩れ落ちた本を片づける。これもらしいと言えばらし過ぎる。外に出て文庫本より薄い年賀状の束を見つつ溜息をつきつつ天気を確かめ雨ではないけど曇天で寒そうなことを確認して「21世紀らくだ」を評判のユニクロのヒートテックインナーの上は長袖下はロングタイツを着込みその上からフリースのタートルにカバーオールを着込みダウンのロングコートを羽織って「天皇杯」が開催される「国立霞ヶ丘競技場」へと駆け付ける。道中「スポーツニッポン」を買って開いたら金子達仁さんが「今年は名古屋に注目」と書いていて言ったことが真逆になる通称「カネコの法則」に今年の名古屋グランパスエイトの優勝はないものと早諦める。イルハン・マンシズを93カ月後には誰も覚えてないって? どこがだい。

掃除で捨てて撮り直したチケットはバックスタンド上段で見やすさ抜群、これぞ怪我の功名か、勿体なかったけど  思っていたより風がなくって過ごしやすい気温の中、左右にブルーとピンクが陣取り大盛り上がりを見せる競技場で始まった「セレッソ大阪vsジュビロ磐田」は流石に百戦錬磨のジュビロだけあって中盤をつなぎ押し上げ切れ込みクロスを入れてシュート、といった形を何度も見せてくれて全体的にセレッソをポゼッションで圧倒。対するセレッソも大久保嘉人選手が中央に左右にと走るんだけど中盤がずっぽりと抜けてしまった感じの中を自分の所までボールが届かず届いてもすぐに囲まれ奪われる展開に、多少の苛立ちを見せ始めてこれは出るか大久保必殺の”ダブルイエロー”が、なんて不謹慎な期待も浮かんだけれどそーなる以前に大久保選手がボールを持つ場面が極端に少なく、セレッソに得点の匂いがまるで漂わない。

 それでもカウンター気味に押してボールを回して最後に大久保選手が絡む場面が何度かあったってことは、それだけ決定機に近いところに彼がいる現れって言えなくもなく、後ろに巧い選手がいればきっとフォワードとして生きて来るんだろーと、最後まで気持ちを抑えて戦い終戦後にはひとりピッチにしゃがみこみ、その後もユニフォームの裾で涙を拭う純なところを見せてくれたことも含めて、将来に期待してやりたくなった。たとえ前半に途中で上げたソックスを後半下げっぱなしにしていても。やっぱり海外に出た方が良いのかなあ。

 試合は中山雅史選手が投入されたことで前線に動きが出来たのかジュビロの攻めにスピードが出て、そーした中でグラウ選手がグラウ選手らしー絶妙のポジション取りでゴール前の混戦を叩き込んで1点。そこでサポーターの方へと向かって例のTシャツパフォーマンスを延々とやってイエローカードをもらったのが、後にセレッソの選手を掴んで倒して2枚目をもらいレッドとなって退場へと至る伏線になって、その後にもしもセレッソが巻き返したらある意味”戦犯”になった可能性もあったけど時間帯として遅かったのが幸いして、ジュビロがそのまま逃げ切り「ジュビロ磐田」としては初となる「天皇杯」を獲得した。

 最後の最後で1つタイトルを取れたんだから、リーグが前後半とも優勝できなかったからとオランダから藤田俊哉選手を別に呼び戻さなくたって良かったんじゃない、なんて思えたけれど前半にセレッソ相手に攻めあぐねた辺りを見るにつけ、機動力としてやっぱり藤田選手が必要なのかも。若手で期待の成岡翔選手も案外に埋没してたしサイドの西紀寛選手も今ひとつ、だったからなー。新しく加わるカレン・ロバート選手と藤田選手で組むトップ下の機動力に今年は期待か。グランパスはほら、カネコの法則で既に諦めているんで。

 帰りがけに去年も言った下総中山にある「法華経寺」とその奥にある「鬼子母神」に初詣。なるほど会社こそヤバげにアレげな状況となってそのせいで年収は去年どころか一昨年より少ないとゆー由々しき自体へと陥り、未来があるかとゆーとこれがまるで不透明だったりするんだけど、一方で「鬼子母神」で買った厄除けのおかけが身代わり札の恩恵か、崩れ落ちる全集に潰されず病院に行くよーな大病をまるでせず、怪我もせずに1年を過ごせたこともあって、体こそ資本の身でありそれがなおいっそう強くなる可能性もあったりする今年を無事に乗り切るためにも、立ち寄っておくのが吉と判断したもの。会社運恋愛運はダメでも健康運とせめて金運くらいは欲しいなあ。


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