縮刷版2003年7月下旬号


【7月31日】 ペンギンくんはずっとずっと人気ものでした。ちょこちょこと歩いたり、ぱたぱたと羽根をうごかすかわいらしいしぐさで、小さいこどもからおじいちゃん、おばあちゃんまでどんな人からも好かれ愛される動物でした。動物園のペンギンのコーナーには朝から晩までおおぜいの人が集まって、ペンギンくんが歩いたり泳いだりする姿にきゃあきゃあと声をおくっていましたし、キャラクターになったペンギンくんにも、たくさんのファンがすぐにできてグッズはいつも大ヒットしていました。子供たちが喜ぶ声を聞いてペンギンくんはしあわせでした。でもこのごろちょっぴり、ペンギンくんはなやんでいます。どうもペンギンくんの人気がおっこちているようなのです。

 きょうもペンギンくんはこどもたちの喜ぶ声が聞きたいと、横浜市にある「パシフィコ横浜」にやって来ました。「おもちゃみらい博」という、去年までは「おもちゃショー」として開かれていたイベントが、あたらしく誰でも入れるイベントとして場所も「東京ビッグサイト」から変えて開かれるようになったもので、会場には朝はやくからおかあさん、おとうさんに連れられたおおぜいのこどもたちが、新しいおもちゃ、かっこいいおもちゃ、かわいいおもちゃを遊びに来ていました。

 はじまりを合図するイベントの場所にもこどもたちはいて、ステージの前にすわってイベントが進むのを待っていました。そんなイベントの場所に、ペンギンくんもやって来ました。じつはそのイベントで、いろいろなところで活躍しているキャラクターたちが集って、こどもたちにあいさつすることになっていたのです。ずっとむかしからこどもたちの人気ものだったペンギンくんも、こどもたちが喜ぶ姿を見たいと思ってに、ステージのそばまで行きました。でも、そこでペンギンくんはたちどまってしまいました。仲間に入れてもらえなかったのです。

 「ペンギンくんはどこのテレビに出てるんだい?」。マスクをかぶったライダーがいいました。「ペンギンくんは変身できるのかい?」。恐竜をつれたヒーローが聞きました。「ピカピカピカッ!(電気も発射できないのに来ちゃダメッ!)」。黄色い電気ねずみが鳴きました。「なんにもできないペンギンくんを見たい子供なんてもういないよっ!」。集まっていたキャラクターたちがいっせいに叫びました。テレビになんか出てません。変身もできません。怪獣じゃないのに電気なんか発射できるわけありません。そんなペンギンくんを喜ぶ子供なんていやしないとキャラクターたちはいうのです。

西に東に移動もたいへん、なのに仲間はずれのペンギンくんを見かけたら子供は言ってあげよう、「テレビに出てる?」  テレビで知っているテーマソングにのって次々にステージの上にあらわれるキャラクターたちに、子供たちが大歓声をおくっている姿を、ペンギンくんはステージの横から見ていました。そこに入りたくっても、ペンギンくんにはテーマソングなんてありませんから。「おもちゃみらい博」がいよいよ幕をあける入り口で、キャラクターたちが入ってくる人たちをお迎えするイベントがあるというので、そっちなら大丈夫だと思ってペンギンくんもえっちらおっちらかけつけました。でもやっぱり入れませんでした。顔がパンでできたヒーローや、ほんとうは高校生なのにみかけは小学生の探偵たちがならんで、入ってくる人たちに愛想をふりまいている姿を、ちょっぴり離れた場所で見ていました。ぼくはもうだめなのかなあ。ペンギンくんは悲しくなりました。そっと背中をむけて、とぼとぼと歩いていました。

 その時です。「ペンギンだあ」。小さな子供たちがよってきて、ペンギンくんの毛がはえた背中をさわりました。羽根に手をそえてあくしゅしようとしました。テレビを見ているこどもたちばかりじゃないのです。大人たちはテレビに出ているキャラクターじゃないと喜ばれないと思いこんでいます。だからただのペンギンくんを仲間はずれにしようとしました。でも、太った黄色いねずみに耳のないネコ型の青いロボットに黒いブリーフのロボットなんて、テレビのなかでの活躍くを知らなければただのへんな生き物です。ペンギンくんは違います。見ればだれだって好きになるその愛らしい姿、そのかわいらしいしぐさ。すなおでまっすぐな子供たちにとって、ペンギンくんはむかしも今も人気ものだったのです。ペンギンくんは嬉しくなりました。そしてこれからも、子供たちの喜ぶ顔を見るために、いっしょうけんめい頑張ろうと心にきめました。良かったね、ペンギンくん。おしまい。

 なんて複雑にして深淵な物語を、開会式のステージ横で所在なげにたたずんでいて、開場時の入り口でも出迎えるヒーローヒロインのキャラクターを遠目に場内でたちどまっていた、コナミが仕込んだペンギンの着ぐるみを見ながら思って涙した「おもちゃみらい博」で朝から取材。去年までは業者向けの展示と一般向けの展示を同じ開場でやっていたものを、一般向けだけ分離して開くよーになった第1回目で、トレードショウとしての意味はもたずかといって物販イベントとしては「東京キャラクターショー」とか「次世代ワールドホビーフェア」ほどでもないイベントに、どれだけの観客が何を求めて集まるのかが開幕前の興味のポイントだったけど、出展する側もその辺をいろいろと考えた上でとにかく大勢の人に遊んでもらえるイベントとして位置づけたよーで、各社とも新製品をアピールするってよりは実際にさわれるよーなブースの作り方をして、朝から大勢やって来ていた子供たちに応えていた。

 たとえばタカラだとうにょうにょと動く犬たちを床にいっぱい並べて自在にさわれるよーにしていたし、コナミのブースでも「マイクロIr」のシリーズを戦車もトレインもフォーミュラも、いっぱい並べて操縦できるよーにしていて、どんな感じなのかを試せるよーにしていた。なるほどこーしたデモンストレーションのイベントはメーカーによってはいろいろとやられているけれど、それほど広くない玩具売り場の店頭だとプレーできる人数も限られて商品のアピールにつながらない場合もある。「おもちゃみらい博」はだから、玩具売り場ではむずかしかっためいっぱいのデモンストレーションを、それもメーカーの垣根をこえて一カ所で1度に行えるよーにしたイベントって位置づけがあって、来られる人って限度はあるけどそれなりな意味と役割を持っているって言えそー。去年までの「東京おもちゃショー」ではこーゆーこと、出来なかったからね。

 個人的に圧巻だったのはトミーのブースで日本列島を再現した超巨大な「プラレール」のジオラマに、超高層の「トミカ」のタワーは広い会場だからこそのスケール感で見る人と大人も子供も感動させていたみたい。バンダイのブースは扱っているアイテムが多いせいかブースを細かく仕切って展示していた関係で、中に人がたまって動きがとりにくかったけど、さわれる商品も多く用意してあって実際に触れてその面白さ(&面白くなさ)を体験できるよーになっていて、これだったら是非に買ってみたい(買わんで良い)と思わせるきっかけになったかも。それはタカラも同様で、おそらくはザビックスのシステムを使ったテレビにつなげて遊ぶゲーム機は、入っているゲームの出来の良さと面白さで、これなら1台あってもいいかと思わせてくれた。いやホント、面白いんだから。

 そーいった感じにすでにある商品に触れてもらうイベントって性格から新商品はあんまりなかったんだけど、なかでセガトイズだけは新製品を会場で発表。その名も「ネコット(仮称)」はかつてその高額さとそしてそのつり上がった目の形の薄気味悪さで、唐沢なをきさんの漫画のネタにもされたオムロンの猫ロボットの技術をライセンス供与された上に、セガトイズならではのデザイン力とそして玩具だからこそのコストダウン力を注いで開発されたペットロボ。そーいえばどことなく目の動きにあのオムロンの猫型ロボットの雰囲気を受け継いでいるよーな気もするけれど、見た目の猫らしさは天と地ほどの開きがあってセガトイズの製品はなかなかになかなかの出来。おまけに動いた時の仕草は猫そのものといった感じで、これを29800円で作ってしまえるあたりにセガトイズの底力を感じる。これを最初っから出していればオムロンもいろいろ言われずに済んだのになあ。でもネタにもならなかったからあれはあれで良かったのかも。来年春頃発売予定。


【7月30日】 クールでキュートでコケティッシュ、でも怒らせるとちょっぴりこわーいスレンダーガールのバロットちゃんと、ある時は金色ネズミ、あるときは手袋、そしてまらある時はハンドガン、しかしてその実体は喋って踊れるスーパー・ウェポンのウフコックくんがコンビを組んで街のそこかしこに出没しては、人気のスポット話題のエリアを紹介しちゃうローカル情報番組「マル得! スクランブル」もいよいよ今週で最終回。今回は先週から続いてカジノでのブラックジャックの楽しみ方を、街で1番のディーラーさんから教えてもらっちゃいまーす。

 なんて陽気な話だったらどれほど気も楽だっだろーと思いつつ読んだ冲方丁さん「マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust −排気−」(早川書房、680円)はルーレットの女性ディーラーを討ち果たし、ブラックジャックの手練れの男性ディーラーをもうち負かして進むバロットの前に、最終兵器ともいえる超絶凄腕ディーラーのアシュウレイが登場しては連戦連勝で立ちふさがり、バロットに激しいプレッシャーをかける。もっともそこは蘇ってはウフコックってゆー相棒も得たバロット、話し合いまた自らの意志も探っては最善の道を選び取る中で成長を遂げ、目的を果たした上でいよいよ最終決戦へと突き進む。

 第1巻で見た圧巻のガンアクションが今再び見られるかって期待には実はそれほど応えてくれてなくて、そーした方面への進化を求めていた見には”期待外れ”ではあったけど、延々と続けられるからこそ段階を踏んで動くギャンブルの奥深さが、その神髄までしっかりと描けたカジノでの息詰まる攻防戦の描写といー、そこでの勝負の中で自問自答しながらだんだんと強くなっていくバロットの姿といー、そんなバロットを支えるウフコックの優しげな様といー、読んで得られるとてつもない心の喜びがあったんで、むしろこれで良かったんじゃないかって気に今はなっている。エンディングもまああっさりと終えて大団円を迎えたこの物語、だけどあまりに強烈なキャラクターたちが命を持って動き出し始めている感もあって、作者の人にはその行動に何らなかの出口を与えて頂いて欲しいところ。きっと書いてくれると期待しつつ今回のハヤカワでの大成功を喜ぼう。でもMJの「カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド」もちゃんと書いてね、こっちもとっても面白いんだから。

 流行ってるっぽいことに後先考えず突っ込んで行っては、バサバサっとまとめて記事にしてしまうバイタリティーで、「FOCUS」が潰れた今も「FRIDAY」と双璧でその存在感を堅持している「FLASH」が最新の号で一般向けのメディアではほとんど唯一と言って良いほど女子サッカーに反応。それが12日の国立競技場でのプレーオフから受けた感銘からなのか、それとも特集されているスポーツ企画に絡めたものなのかは分からないけれど、特集の方が1ページに何人も並べるスタイルと取っているにも関わらず、女子サッカー関連の記事はYKK東北フラッパーズに所属する大部由美選手のことが何と見開き2ページに渡って取り上げられていて、取り上げが編集者も編集者ならゴーサインを出した編集長も編集長だと、その英断に遠くから拍手喝采を贈る。

 単にスポーツ美少女(28歳)ってことで取り上げられていただけでもこの分量なら感動なのに、記事は大部さんが移り変わったチームをズラリと並べて女子サッカーが置かれている苦境を伝える内容になっていて、自意識が多分にこめられた文章で雑感なんかも混ぜながら状況を場当たりチックに書き流しては満足感に浸っている人の割に増えて来ているスポーツグ専門ラフィック誌に、本来だったらやって欲しい企画を申し訳ないけれどそれほど期待のしていなかったグラビア中心の週刊誌で見せられて、驚くと同時に御託とかじゃなくフットワークとノリが命の週刊誌の良さを思い出す。もちろん週刊誌でも長くやっていると先例と形式にだんだんと絡み取られていくんだけど、そこは番手争いをせずにグラビアでまず売る「FLASH」だったからこそ、可能だった隙間狙いのクリーンヒットだったのかも。

 それにしても遍歴している大部さん。90年に日興証券ドリームレディースで「Lリーグ」の頂点を極めていたにも関わらず、その後の不況でチームもリーグ全体も衰退の一途を辿り遂には日興証券も99年で休部。移ったOKIは半年で廃部となってさあどーしよーかと考えて移った東北はYKK東北フラッパーズでプロじゃなく社員として昼間は働き夜に練習して夜中に還ってご飯を食べる、企業スポーツの選手中でも厳しい方の環境でプレーしている話が紹介されていて、どーしてこーなってしまったんだろー、最初が良すぎたのかそれとも企業に依存し過ぎた体制に問題があったのか単に景気の問題か、いろいろと理由を考えてみたくなる。

 それでも大部さんは”まだ良い方”でこれがクラブチームだと選手は平日はアルバイト、夜は練習で週末はバスに揺られて試合会場入りって暮らしをシーズン中は続ける羽目になる。「FLASH」には日本女子代表の仕事先も書かれてあるけど2年連続「Lリーグ」MVPの酒井與恵さんほか日テレ・ベレーザのメンバーはだいたいが「よみうりランド内でのアルバイト」が仕事とか。観覧車を回しているのかな。それともアシカの世話をしているのかな。もしかして「仮面ライダー」に入ってキックをしてたりして。

  日本の女子サッカーの沈滞ぶりについては先週出た「スポーツヤア」の72号に詳しくて、女子登録者の数が1万9717人しかいない日本に対して米国では右肩上がりを今なお継続。北中米の合計で女子登録者は実に1000万人にも及んでて、欧州ですら300万人もいたりして、1国だけどはいえ世界でも屈指の経済大国にしてこの人数はいったいどーゆーことだってな暗澹とした気になって来る。さらに驚くのが12歳から16歳のサッカー人口。女子はわずかに28チームがあるだけで、人数もたったの580人しかいないらしー。11歳くらいまでは男女いっしょに遊んでいても、中学校に入ってサッカーができず辞めてしまう人材を、どう確保しどープレー環境に浸らせ上の世代へと引き継ぐか、ってことをしないと、右肩下がりは急落となって10年後にとんでもない事態を引き起こしそー。

 その意味であの感動のプレーオフは大きな意味があったよーで、なるほど勝利の翌日に日本サッカー協会に企業のサポートとゆー「花」はまるで届かなかったそーだけど(何故支援しないんだろ?)、その姿に打たれた女の子たちとゆー「芽」はいっぱい出てきたって「スポーツヤア」の記事は書いている。今また「FLASH」に記事が出て新しい「花」や「芽」につながる可能性も出てきた訳で、この流れを断ち切らないためにも是非に日本女子代表には、ワールドカップでの活躍をお願いしたい所だし、メディアにはその姿を刻一刻と日本に届けてやって頂きたい所。「美白のロベカル」「ファンタジスタ」とあだ名付けも小うるさいTBSでもこの際許すんで是非に。


【7月29日】 ビービービービーワーニングワーニング、テレビ東京より異常電波探知、パターンは……手抜き? それとも時間切れ? 真夜中に珍しく生で見た「LASTEXILE」は絵がいつか見た時よりもさらにのっぺりとしてキャラクターの顔に表情がなく動きに躍動感がなく、まるで紙人形を動かしているよーな絵柄でもって演じられる鬱々としたドラマに気持ちも真夜中以上に暗くなる。可愛くてちょっぴりおしゃまなアルの描写がこの絵じゃ台無し。ふっくらとしているはずのソフィアの軍服では着痩せしていた胸が柔らかさもない巨大な2つのボールにしか見えなかったりするのにもガッカリ。揺らせば良いってものじゃないけど揺れなさ過ぎるのも困ったなあ。

 お話の内容で言うなら自らの与えられた立場に還って生きていくことを決めたソフィアに最後の決戦へと挑む決意を固めたアレックス、そしてヴァンシップ乗りとしての誇りを思い出し、自分たちの蒔いた種から生まれたヴァンシップ乗りたちの危機に鬱々悶々とした日々を改め戦いに身を投じていくクラウスとラヴィのペアとゆー、キャラクターたちにとっても物語にとっても大きな転機となる重要な回だっただけに、もっと真っ当な絵でもってもっと流れるよーな心理描写・情景描写をやって欲しかった。ここで踏ん張れないのが日本の自転車操業的アニメーション制作現場の限界なのかなあ。ポイントになる回から先に作って間をテキトーに埋める、なんてことも出来ないから仕方がないのかなー。出来るならリテイクかけてDVD化してもらいたいんだけど。

 サンケイスポーツの不思議系サッカー記事がしばらくなりを潜めていると思ったら、今度はスポーツニッポンが超絶無比な不思議系の記事を掲載してくれて朝から頭が外郎になってぶよよんぶよよんと揺れまくる。何でも引き分け続きで優勝戦線に乗り切れなかった名古屋グランパスエイトのズデンコ・ベルデニック監督をファーストステージで解任して、後任にルイス・フェリペ・スコラーリかエメルソン・レオンの前と前々ブラジル代表監督を引っ張ってくるそーで、聞いてなるほどこれまでゴードン・ミルン監督にアーセン・ベンゲル監督にカルロス・ケイロス監督にジョアン・カルロス監督といった外国人の著名どころを引っ張ってきた名古屋フロント、良くやるなあと思ったかと言えばまるで全然思わないし思う訳がない。

 だってそもそもフェリポンさん、現役ポルトガル代表監督じゃん、今まさに黄金世代から新世代へと切り替えを行い新しい時代のポルトガル代表を築き上げようと頑張って、それなりの評価を得ているにも関わらず、その仕事を途中で放り出して世界でも辺境の日本の大いなる田舎、弱小ではないけれど強豪と呼ぶには差し障りのある名古屋グランパスエイトの監督に、いったいどーやったら就任してくれるのか知りたいところ。金か? 10億円くらい積むのか? 積んでも来やしねーだろー。つまりはそんな立場にフェリポンがあると知っている人なら、とてもじゃないけど書ける内容の記事じゃないにも関わらず、書かれおまけにデスクのチェックもすり抜けて載ってしまった裏にどんなカラクリなり、思惑があるのか知りたいところだったりする。

 前ブラジル代表監督って肩書きは書いても現ポルトガル代表監督って肩書きを書いてない理由も含めて。デスクも記者も知らなかった? まさかそんなことはないだろー。やっぱり後期に名古屋を混乱させたい思惑が働いているのかな、ライバル企業がスポンサーってことでカルロス・ゴーンあたりが煽っているのかな。エメルソン・レオンについては可能性は皆無とは言えないだろーし現に、いつだったかの週刊サッカー誌でいつかまた日本のJリーグのチームを率いてみたいって言っていたから、リベルタドーレス杯の決勝で敗れてしまった今なら誘えば来てくれそーな気もするけれど、一方でブラジル選手権の方は3位につけていたりする訳で、ここで解任されるとも考えにくいだけに現時点では眉に唾して見てみたい。

 いずれにしても守備に関しては組織を重んじたフェリポンに、あのラモス選手が嫌うくらいに規律を重んじたレオンをもってして「南米路線に切り替え」ってゆーのも微妙なところ。”ブラジル出身=南米的=自由奔放”とかって直結して思考しがちなメディアの事大主義も、そろそろ考えた方が良さそーなんだけど、それで改まるくらいならそもそも「フェリポン名古屋入り」なんて出る筈ないから無理なんだろーな。言ってる側からユヴェントスが欧州王者なんて書いてるし。今は21世紀だぜ。バッジョもプラティニもロッソネロなんか着てないぜ。もしかして「セリエAチャンピオン=世界チャンピオン」だったりするのかな、だとすれば今はローマ帝国時代なのかもな。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーションアウォード」が開催されるってんで「新高輪プリンスホテル」へと行ってあれれと首をひねる広い会場にどっちゃりと食べ物が積まれ大きなステージがしつらえられた中に、大勢の人が歩いて歓談しているのが「プレイステーションアウォード」だった筈なのに、会場に並べられているのは椅子で楽団もなければ演出もなく、アカデミー賞すら追い落とそうってな感じで力を入れていた表彰制度もできないくらいに厳しい状況にゲーム業界があるのかと勘ぐってしまいたくなった。折しも昨日発売された「CESAゲーム白書」が、ゲーム市場は初めて対前年比で2ケタ減って大きく落ち込んだって内容だったばかりだし。

 もっとも今日は本来が戦略説明を旨にした「プレイステーション・ミーティング」だった訳で、椅子に座ってSCEIの担当者から説明を聞くってのが本来的な姿だったりして、パーティーもアイドルの出演もないのが普通だと思えば、昼ご飯を抜いてかけつけたことを悔しがるのは筋違いってもの。そこは大人なんで顔には出さず、始まった下期に期待の作品とか、来年の冬に発売するらしー「PSP」のスペックの説明なんかを聞く。期待のソフトでは「バイオハザード」のオンライン版とか「グランツーリスモ4」とかロングセラーの続編なり新機軸が発表になってて話題になりそー。コーエーの発表では「真・三國無双」に続くソフトだってことで散々っぱら期待を持たせた上で示された新作が、「戦国無双」だったことになるほどと思いつつもそれがどーしたってな拍子抜け的気分が浮かぶ。

 そりゃあって欲しいタイトルだけど、いかにも出そうって内容だけに驚きがないんだよねー、むしろ第二次世界大戦の提督が手に銃剣を持って切り結びあう「提督無双」とか出せば、内容が面白いかどーかはともかくユーザーとジャーナリストの意表だけは突けたのに。それより期待はナムコの「塊魂」ってソフト。フン転がしよろしく小さい球体を転がして、フィールド内のさまざまな物、あらゆるものをくっつけていく”だけ”のゲームなんだけど、ピンポン玉的な球体がみるみるふくれあがって子供も猫もウミガメもくっつけて、見上げる程の大きさに成長していく様を見ていると、単純なんだけどそれだけに奥深い楽しみ方が出来そーな予感がする。最後は地球をくっつけ太陽をくっつけ銀河をくっつけて宇宙規模にまで成長する、のかどーかは知らないけれどとりあえず楽しみ。

 「PSP」についても細かいスペックの発表があって、やれワイヤレスLANが付くだの7・1チャンネルのサウンドになるだのポリゴンじゃなく曲面で立体を描く方式も使えるだの「プレイステーション」よりはむしろ「プレイステーション2」に近い性能が出ているだのと、聞く人が聞けば驚嘆の半導体テクノロジーが盛り込まれるって話が久多良木健社長によって延々と語られたけど、嬉々としてスペックを語るその一方で、そんなスペックが世界にいったいどんな楽しみをもたらすのか、SCEIは「PSP」でどんなエンターテインメント的世界を見せたいのかっていったソフト的なビジョンはやっぱり説明されず、どこか置いてけぼりな感じを受ける。続編が多いだの発売時期が年末に重なりすぎるだの、SCEJの偉い人がソフトメーカーに注文をつけていたけれど、だったらプラットフォームホルダーとして、どんなエンターテインメント世界をその上に作り上げたいのかをもーよっと明確に、指し示してくれたら付いていこう、支持していこうって気にもなるのに。SCEIが示せないならソフト会社のクリエーターの人たちに、あの性能あのスペックならこんなゲームこんなコンテンツを作るってビジョンを聞かしてもらいたいもの。「ファミ通」あたりに期待するか。


【7月28日】 仙台へと行って帰る電車でグレッグ・イーガン「しあわせの理由」(山岸真編・訳、早川書房)を読了、科学をよりどころとした突拍子もないアイディアを繰り出す上にそこから生まれる人間のドラマなり哲学的な思考なりを描いて見せるってゆー、イーガンならではの要素にあふれた短編ばかりが収録されているんで読めば、イーガンっていーじゃん(この言葉きっと1万回くらい使われている可能性大)って思える人が結構出そー。思うのはイーガンがまずアイディアを考えそこから生まれるドラマなり思想へと筆を進めていくのかそれとも、ドラマや思想から遡ってそれらを提示するにふさわしい設定のアイディアを科学から引っ張り出して来るのかっていった創作上のプロセスで、ともすればどちらかに偏りがちな人の多い中、両方のバランスを程良くとって優れた作品にまとめあげる手腕を支える秘密として、是非にも聞いてみたいところだったりする。

 もちろん短編だからってことも含めおいてバランスのとられ過ぎがともすれば圧倒的な人間のドラマなり、あるいは驚天動地のアイディアとして読む人をめくるめくエンターテインメントの楽しみの中へと引っ張り込む、バカとも時に呼ばれるパワーとは対極の印象を全体から感じさせてくれて、それがある層には熱烈に支持されることにはつながっても、海外文学のエンターテインメント作品並に1冊訳せば1年遊んで暮らせるくらいの売り上げを、イーガンにあげさせないことにもなっているよーな気がする。だからといってたとえばマイケル・クライトンとか、あるいはスティーブン・キングとかってな引きもたっぷりにページを次へと繰らせて楽しませる物語をイーガンにも書いてもらって、ベストセラーのトップに何週間も名前を連ねさせて欲しいかとゆーと微妙なところ。それで持ち味が減殺されてしまっては元も子もないし。なので山岸さんには今しばらく、良質の海外文学の紹介者としてその世界が世間に受け入れられるまでの間を頑張って翻訳し続けていって頂きたいもの。ファンはその間でもずっと支え続けますから。きっと来年も星雲賞は間違いなしだし。賭けてもいーです。景品は家で眠ったままの「ちよ父」でどーだ。

「痛がりません、勝つまでは」が女子サッカーのモットーです。ってか男子だってそーだろ?  仙台での「日本女子代表vsオーストラリア代表」の試合を見ていて感じたのは男子とか、Jリーグみたく当たり負けて倒れて痛がっていつまでも倒れたままでいる人が少ないってことで、豪州女子代表はそれでもプレー中に3人ばかり、倒れて外に出た人がいたけど日本代表に限っては気づいたうちではほとんどゼロ。身長で158センチしかない酒井與恵選手なんかボランチってことでキーパーからのパントとか、相手ディフェンダーから蹴り返されたボールを競ったりして何度も倒されていたけれど、その度にすぐに立ち上がってはポジションへと戻って走り出す、その姿に感動すら覚えてしまった。

 スピードとかパワーが男子とは違うんで当たった時の痛さも違うのかもしれないけれど、その分鍛えられ方も男子の方が上にあったりする訳だからどっちもどっち。その上でことプレーの流れから判断すると、倒れた相手を気遣ってボールを蹴り出す行為が試合の流れを止めて気持ちを殺いだりするケースが割に目につくよーになった男子の試合に対して、倒れてもすぐ起きあがっては戦列に加わるった人が多かったため、流れがほとんど止まらなかった昨日の仙台での試合の方が、現実のスピードもパワーも男子に及ばないとは言え、”体感”としてのスピード感はあったよーに思えたし、何より試合への気持ちののめり込み方が、何度もシュートチャンスがあったってことも加わってかなり高かった。

 もちろん本当に動けなくなるくらいのハードでリアルな接触はあるし、我慢した結果が選手生命に関わる重大事に発展する可能性もあるから事は、ケース・バイ・ケースで考えなくっちゃいけないだろー。ただやっぱり、鍛えられているアスリートが接触プレーでいつまでも倒れたまんまってのは見ている人の精神的な健康にポジティブではないし、その時は痛がっていても5分後には全力疾走とかしている様を見るにつけ、流れを止めて気持ちを萎えさせるよーなプレーはエンターテインメントの演じ手として、避けて頂きたいってのが本音のところ。細かいプレーで笛をふきまくる審判とか流れを止める要因は他にも幾つかあれど、出来るところから頑張って欲しいって割にクリーンで(といっても見ていて豪州女子代表、突き飛ばすわ引っ張るわとラフなプレーは結構あった。もちろんそれでも日本女子代表はすぐに起きて戦列復帰、偉いなあ)スペクタクルな試合を観客に、見せて下さいお願いです。とりあえずは来週の「ジェフユナイテッド市原vs浦和レッドダイヤモンズ」で是非に(痛がって倒れた奴はあとでグラウンド10周とか言って)。

 ビデオ撮りしていた「住めば都のコスモス荘」をやっと見る、いや素晴らしい、とくにヒヤシンス。エーデルワイスが主役を張った回でその生い立ちから近況から得意技まで語られて見所はたくさんあったけど、ピエールとはぐれてネルロイドガールにも撃破されてひとり土手をはいずりまわるヒヤシンスが、近寄ってきた子供に舌付きだして威嚇する場面の動きの良さとか、どーにかこーにかコスモス荘へとたどりついたところで力尽き、音無響子さんよろしく掃除をする栗華さんの微笑みと食べ物の誘いにどーにかこーにか返事をする場面の演技の力尽きぶりとか、隅々まで手を抜かない作り手と演じ手の強いポリシーが感じられて見ていて気持ちが良かった。

 エーデルワイスが作ったコアラもどきに下から突き上げる形で蹴りを放ったネルロイドガールの迫力たっぷりの作画&動画とか、本筋でも見所たっぷりだった回。鈴雄に瑠璃が「コーチになって」と言う流れがちょい、唐突っぽさも感じたけれど(だって鈴雄、リンゴの皮むきの腕前見せてないし)そこはそれ、設定をおさえつつ尺を意識して入れ替えつつも、しっかりと説明を行いキャラの関係性を築きストーリーを進めていっているんで良しとしよー。次回はいよいよヒヤシンス=沙由里と鈴雄との絡み、だったっけ? ともあれ今夏スタートのアニメで1番期待を違わず最後まで走ってくれることを願うばかり。2番期待が何かは秘密だ(とゆーよい存在しない可能性が大)。オギワラさんは相変わらず良い味出してました。こちらも期待。

 日本出版販売から届いた新刊速報なんかをペラペラ、おお笹本祐一さんの「宇宙へのパスポート2」が朝日ソノラマから8月下旬に刊行か、今回は何がネタになっているのかな。京極夏彦さんは「姑獲鳥の夏」が2600円で刊行、って一体何だろー、豪華本? 愛蔵本? フィギュア付きのボックス仕様? 京極手袋(晴明紋入り)セット? 分からないけど単に単行本化だとしたら、やっぱりページのまたぎはなしになっているだろーから書き直しも相当にあるのかな。ミステリーだと8月5日に「光文社文庫」から「江戸川乱歩全集」が全30巻でリリース開始。最初は「孤島の鬼」と「大暗室」で児童向けも含まれているのが特徴みたい。1000円を切るんでこれで揃えて今ふたたびの20面相な世界に浸り直すか。でも買って積み上げているうちに最初の巻がどこかに埋もれてしまう可能性大。ボックス仕様で早めに出して欲しいなあ、BDバッジ付きで。


【7月27日】やっと出たたいよぉぉぉぉぉぉぉ、だけど今日はお預けして早朝から新幹線で仙台へ。つまりは結局宣言どーりに「日本女子代表vsオーストラリア女子代表」を見に行くことにしたもので、前に行く行くと言って結局行かなかった韓国の大邱での「FIFAワールドカップ3位決定戦」の二の舞になって、狼野郎と蔑まされるのもこれで少しは避けられるってものだろー。懸念は地震の影響で試合そのものが中止になっていたりすることだったけど、まずは行くことが日本女子代表に対する誠意って奴。行って張り紙を見て呆然とするのも後年に語れるネタになるから、気にせず初の仙台旅行と決め込んで一路仙台へと向かう。

 2時間ちょっとで到着した仙台は駅前の陸橋が津田沼駅とか町田駅っぽかったけどサイズが3倍くらいあるあたり、さすがに東北でも最大規模の都市だなあって実感を抱く。地震で被害を受けた様子はなく、宮城県北部では揺れても他の地域ではあんまり揺れない地震なんだってことを理解する。とりあえず食事でもと思い本屋でグルメガイドなんぞをペラペラ、なるほど牛タンが1番人気だってことを知り、だったらどこへ向かうかを考え牛タン発祥の店が良かろーと思い、徒歩で仙台駅からアーケードの下を抜けて店のある方へと適当に向かう。現地で今度はコンビニに入ってガイドブックをチェックして、位置を確認して向かうとすでに長蛇の列が。並んで待つのも気が引けたんで、ちょっと離れた「伊達の牛たん本舗本店」で1・5人前を塩を味噌のミックスで頂く。

 麦とろご飯がついて牛テールのスープがつく定番の定食は値段もそれなりにするけれど、量はしっかりとあってお腹がいっぱいになるくらいで、お代わり可だったけどそれはしなくて済むくらいだったのはありがたい。味は牛タンだった、としか。だってあんまり食べたことないんだもん。東京にも「ねぎし」がチェーンで店をひろげているけれど、どーせ薄々のペラペラな肉なんだろー、だったら「松屋」で牛カルビ定食でも食べていた方が安くてお腹もいっぱいになるからと敬遠していたから、これだけのボリュームがあるんだったらもっと食べても良かったかもと後悔、したけどでも仙台だからこその分厚さで、東京だとやっぱり薄い千枚漬けの牛タンになってしまうのかも。

 時間があったんでアーケードを散歩。勾当台公園でなにやら「DATE ROCK」って聞くも勇ましいタイトルのイベントが開かれていたんでしばらくの間見物する。地元のアマチュアミュージシャンとかファッション学校の生徒とかが出ては作品を披露する学園祭っぽいノリのイベントだったけど中に1グループ、気になる歌声とサウンドのバンドがあってどーゆー来歴なんだろーと興味を持つ。見た目クラスであんまり目立たない優等生っぽい風貌の少年(でも26歳らしー)がボーカリストとギター(レスポールだあ)を演っててベース(リッケンバッカーだあ)はちょっとだけヒップホップ入った少年で、あとドラムスがいる3人組の「ストロボ」ってバンドで、分厚いサウンドで鳴るギターに乗って時に朗々と、時に切々と発せられるボーカルの雰囲気が実に良く、出たばっかりのアルバムがあるそーなんで是非に1枚を思って近所の「タワーレコード」と「HMV」を探したけれど見つけられず、もしかして仙台ですっげー人気なのかもと考える。単に置いてなかっただけなのかな、でも東京でも買えそーなんで渋谷の「タワレコ」をのぞいて来よー。

 時間も押してきたんで地下鉄に乗って泉中央駅へ。去年の「ワールドカップ日韓大会」では辺境の「宮城スタジアム」へと上がる片側の拠点にもなった駅らしーけど日本代表の試合にはカスりもしなかったんで来たのは今日が初。はるか山上にあるらしー「宮城スタジアム」とは対称的に駅から徒歩で5分のところにある「仙台スタジアム」は、トラックのないサッカー専用のスタジアムでピッチをぐるりと囲んだスタンドの上にはすべて屋根がつけられていて、規模をコンパクトにしてトラックをなくした「味の素スタジアム」って印象を持つ。試合がとっても見やすい上に椅子もベンチじゃなく独立したタイプの広くて快適な椅子で、こんなスタジアムで試合が見られるんならベガルタ仙台も、「宮城スタジアム」なんて使うはずねーよなって確信する。あの後いったいどれくらいの試合が「宮城スタジアム」で行われたんだろーと思うと、釈然としない気持ちを抱く市民がいるのもよく分かる。

「行くわよ弥生ぃ」「まかせて與恵ぇ」。同じチームの2人の間を美しいパスがつながっていく。女子サッカーって素晴らしい。  そんなスタジアムに集まった観衆はえっと3000人くらい? メインスタンドをまあそれなりに埋め尽くし、バックスタンドの方にもちゃんと入ってもちろんゴール裏にはどこからでもかけつけて来る応援団が陣取って、精一杯のコールと手拍子をする中で行われた「日本女子代表vsオーストラリア女子代表」の試合は、どちらかと言えば日本が効果的にサイドチェンジを使いサイドから中央へと折り返す攻撃を使い、こぼれて来た所をボランチがこまめに拾って左右に振って再びの攻撃につなげる分厚い攻めでオーストラリア女子代表を圧倒していた感じ。一昨日に1試合したばかりのオーストラリアにはやっぱり疲れが残っていたのか、展開にあんまりスピードがなく日本代表のディフェンスを突破できず、前半はほとんど危ない所もなく終了する。

 もっとも攻めてはいても最後の1押しが出来ないのは日本女子代表も同様で、小林弥生選手がヘディングをしても荒川恵理子選手が中央を切り裂いてキーパーの逆をついて流し込んでもマウスをわずかにずれてしまって得点にならず。後半はボランチの酒井與恵選手が果敢にトップへと上がって押し込もーとしたり、こぼれたところをループしたりと大活躍をしたものの、日本の1・3倍ってな感じのサイズを持ったオーストラリア女子代表の最終ラインを突破できず、結局0対0の引き分けに終わってしまった。1点でも決まっていれば「ワールドカップ女子USA大会2003」の出場を争ったメキシコ女子代表と同様に、プチンと切れてしまっただろーけど、そこはオセアニアでもトップの実力でランキングは日本とどっこいどっこい、女子の本場となりつつあるアメリカでプレーする選手もいるチームだけに、抑えるところは抑えボールを回しゴール前へと放り込んでは反撃して来て、最後まで気の抜けない試合になった。

 それでも2試合引き分けのオーストラリアに対して韓国に勝ってる日本が結局は大会では優勝を飾ることができて、まずはおめでとうといったところ。同等に実力を持ったチームを相手に内容で圧倒できたってところで、存分に自信を抱けた大会になったんじゃなかろーか。注目は酒井與恵選手は”別格”だから除外するとしてフォワードで圧倒的なテクニックを見せてくれた荒川恵理子選手が相当にやってくれそーな予感、だけど1人で頑張り過ぎるのが難で、ペアを組む大谷未央選手なり、トップ下の小林弥生選手なりを使ってスピードでディフェンスの裏から突っ込むよーなプレーも見せて欲しい気もする。澤穂希選手が入る本番なら米国で知名度抜群な澤選手をおとりに出来るのかな。川上直子選手と山本絵美選手の両名は今日もお疲れさま。サイドを巧みに崩して良いクロスを何本も何本も挙げてました。そこに身長180センチの大林素子選手がいれば……バレーボールよりサッカーで金メダルを狙おーと日本サッカー協会は全国を行脚すべきだね。

 ウーマン・オブ・ザ・マッチはやっぱり荒川恵理子選手かなあ、小林弥生選手も相手の足下にあるボールを何度もかっさらっては攻撃へとつなげる仕事をし、中盤からサイドから動き回って攻撃を組み立てる仕事をしたって意味で功績は大。あと誰だったっけ、相手の決定的とも思える突破をゴールマウス前でくい止めボールをサイドへけり出した山岸靖代選手も十分にMVPの資格がある。酒井選手とボランチを組む宮本ともみ選手はオーストラリア代表の監督の目も引いただけあって果敢にボールに食らいつく動きで貢献。もちろん酒井與恵選手も隙間を埋めてボールを左右にさばき、時に攻撃にも絡む動きで攻めに守りに効いてたから資格あり。うーん、だったら全員がウーマンズ・オブ・ザ・マッチってことで。ちなみにマン・オブ・ザ・マッチはレプリカユニフォームに絵の具が何かで手書きで「6 KOBAYASHI」の字を書いていた、僕の前に座っていた君だ。これほどまでに熱烈なファンがあと1万人、いれば女子サッカーももっと活発になるのになあ。可能な限り応援しよー。でもアメリカはさすがに行かない。行かないと思う。思うけど。


【7月26日】 たいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。ってか地震だよ、それも宮城県。仙台市はちょっと外れているけれど、27日に「仙台スタジアム」で開催されるサッカー「日本女子代表vsオーストラリア女子代表」の対戦を、女子サッカーに下世話な関心だけじゃないスポーツとしての未来を感じているんだってことを身をもって証明するために、はるばる東京の地よりはせ参じ見物しよーと思っていた矢先だけに果たして、行って無事に試合を見らるのか、それより以前にちゃんと東北新幹線が走るのかがやっぱり心配になってしまう。

 だいたいがスタジアムってのは避難場所になっているから見ていて大地震が起こっても大丈夫だとは思うけど、そもそも到着できなければ見たくても見られない訳で、いかんともしがたい理由で行けない可能性があることだけはここに断っておかないと、後で日寄ったとか言われてグラウンド10周をイビチャ・オシム監督に言いつけられてしまうんで、とりあえずはそーゆーこともあると予防線を張っておこー。

 試合に関してはこと日本女子代表の選手たちについては、地震国・日本で生まれ育って慣れている上に、重心の安定性に全体としてポジティブな体躯を持ったプロアスリートたちだから安心できるとして、慣れない上に2度、3度と強烈な奴を喰らったオーストラリア女子代表が果たしてトップコンディションを維持しているかが心配。例え買っても地震のおかげなんて言われるともったいないんで、せめて今晩は地震のないなかをグッスリと眠ってもらって明日の試合に備えてやって頂きたい。重ねて明日の天気と環境を祈ろう。

 まるで揺れなかった千葉は船橋で快適な目覚めをしてから着替えて渋谷へ。先週はオープンを見物に行った「ウェンディーズ ジュラシック・パーク・インスティテュート・ツアー」に関連して、渋谷で一大デモンストレーションが行われるってんでせっかくだからと見物に行く。週末ごとの駆り出されは仕事だと思うと腹も立つけど(代休なんてとれません、1面を2・5人で埋めてる新聞なんで)珍しいものを見物に行くと思えばそこは天下の”出没家”、行ってこの目でしかと見ない訳にはいかないのです。

 さて到着した渋谷駅前スクランブル交差点、そこで一体何が行われるかと言えばそれは去年の6月の感動の再来、ってことになるのかな。去年の6月と言えば日本は「FIFAワールドカップ日韓大会」のまっただ中にあって日本中が熱病に浮かされたよーに日本代表を応援していた時期。渋谷の街にもブルーの日本代表のユニフォームを着た人たちが溢れかえって、日本代表が勝利した晩に今も語りぐさとなっている大騒ぎを繰り広げた。

先週は「Q−CAR」を走らせ今週は渋谷ハイタッチ、来週はどこで何をやるのか「JPIT」は。  あれから1年と1カ月。渋谷駅前には午前10時半を過ぎたあたりから黒い色に「ジュラシック・パーク・インスティテュート・ツアー」のロゴの入った人たちがどこからともなく集まり始めた。最初は数人づつでたむろしコロニーを形成していたけれど、予定時刻の午前11時になるとその数はハチ公のいる広場で150人、反対側の「スターバックス」前で150人前後にふくれあがって、先頭で看板を持った人の出す合図を今か今かと待ち受ける。ザッと見るに渋谷にふさわしい若いカップルも居れば年輩の夫婦もいれば一家4人の家族連れもいたりして、いったいどこで集めて来たのかを不思議に思えるほどに構成がバラけていいる。

 そんな人たちがじわり、じわりと交差点の前へと集まり待ち受けた青信号、「GO」の看板が上がると同時にハチ公前広場と「スターバックス」前の歩道から奇声を挙げて横断歩道を渡り始めては、中央付近でハイタッチを繰り広げる。自発的に生まれ群衆と化した「ワールドカップ」の時の熱気とはまるで違うものだけど、その光景は目にも懐かしく、ひとつのアピールの方法として「渋谷交差点でハイタッチ」が定着して来たんだな、って印象を受ける。でも通行人にはちょっとめーわくだったかも。

 雨も心配されたんで予定されていた1000人の仕込みにちょっと届かず交差点いっぱいに黒Tシャツ軍団が広がるってことにはならなかったし、本当だったら上の3面あるスクリーンに「インスティテュート・ツアー」の宣伝が流れる予定だったものが手違いからから流れず、迫力はちょっと減殺されてしまった感じ。あとどーしても一瞬で終わってしまうんで見ている方としては「ワールドカップ」の時ほどの圧倒感を受けなかったけど、これが新聞だと群衆の写真が1枚載るだけだし、テレビでも流れて5秒の映像をいっぱいに使えるくらいの尺はあるんで、宣伝って割り切ればそれなりに使える手法なのかもしれない。

 老若男女の黒Tシャツ軍団に交じって赤ビキニ黒ビキニのコンパニオン系の女性も歩いて目を引かれたけれど、これを拡大させて全員が水着のギャルがどこからともなく集まりスクランブル交差点でパイタッチを繰り広げながら嬌声を挙げれば注目されること間違いなし、ただし何の宣伝なのか分からなくなる可能性が大だけど。あるいはスタン・ハンセンを100人集めて一斉に渡らせ中央でウエスタン・ラリアットを交わさせるとか1万匹の猫を集めて交差点でいっせいに放つとか(それは犯罪)。

 やっと見た「LASTEXILE」はソフィアさんが役立たずでドッコイ。あのキッツイ性格は別に軍人の家系だからじゃなくって生来のお姫様気質がまんま出ただけだと判明したけど、軍服姿だからこそ似合っていたその性格が胸もドッカンなあの衣装をまといながら出るとちょっぴり違和感も生まれてしまう。もっともそのギャップが逆に異例な存在と心をくすぐったりするんだけど。不思議なのは1国の帝都の上空にまで敵艦隊が進入しては王城を空爆してしまうってことで、油断していたってそこまでの侵攻は許さないはずだろーと首をかしげたくなる。それとも騎士道が今に残る世界では艦隊で本拠地に空爆をするのは外道と思われていたのかな。ともあれ新しい環境へと移ったソフィアさんがこれからどんな扮装でもってどんな檄を飛ばしてくれるのかに期待。すっかり性格の温くなってしまったタチアナさんにも今いちどの復活を期待。アル目立ってねえ。


【7月25日】 もはや永遠に太陽は姿を現すことはないのではとすら思えてさえ来た夏に似合わない曇天に、今日もきょうとて「ボクらの太陽」のプレーを封印しつつ天を見上げてため息をつく。たいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。そんな暗くて鬱な気持ちも午後になって一変、孫孫ブラザーズがガッチリと手を組んで作った「BBゲームズ」が、いよいよ今日からスタートするってんで開かれた記者会見に、あのりょんりょん広末涼子さんが出席するってんで早くからかけつけ椅子に座って視線を舞台に固定する。途中まぶしさでは弟に譲る孫孫ブラザーズの挨拶なんかもあったけど耳に聞こえず目に入らず、待ち続けること数10分の後に現れたりょんりょん広末涼子さんは、先月だったかの求人情報サイトの会見で見たばかりだったにも関わらず、変わらぬオーラと無邪気さいっぱいの笑顔を周囲に振りまいてくれて、見ているだけで気持ち癒され心トキメかされて鬱な気持ちも雲散する。

 もっともそんな広末涼子さんが、どーして登場することになったかを説明されて気分は再びちょっとだけ鬱へとゲージ振幅、とゆーのも今回の登場は、別に「BBゲームズ」ってゆーオンラインゲームのポータルサイトをアピールするためのものではなく、その背後に控えて世間をブロードバンドの世界へと誘惑し続けている「ヤフーBB」のイメージガールに選ばれたって発表で、発表会でも例の北はもしかすると稚内から南はひょっとすると与那国島まで津々浦々に蔓延っているんじゃないかとすら思えるくらい、あちらこちらで見かけるパラソル隊よろしく中にモデムが普通だったら入っている赤い袋を手に持って、写真撮影に収まっていて明日の新聞とか来週のワイドショーにはそんな姿が掲載なり映し出されて、津々浦々に「りょんりょんがPRしてるんだったらもらってやっても良いかも」って思う純朴な老若男女を発生させてしまうんじゃないかと頭に複雑な思いがよぎる。

 なんて言いつつこれがもし、本当に広末涼子さんが街頭で直に手渡ししてくれるんだったらもらってしまいそーになるのも事実で、さすがは天下の「ヤフーBB」、うまいところをついて来たもんだとひとしきり感心する。NTTドコモが広末さんのCMで携帯電話の顧客を伸ばしたのを真似たかな。仲の悪さでは犬猿が犬猫なNTTグループで一世を風靡したタレントを呼んで来るってあたりにも孫兄のしたたかさがちょっと見え隠れ。ちなみに広末さんは直後に始まった「BBゲームズ」のオープンを記念するオンラインゲームのイベントにも出席して愛想を振りまいていて、そこでもその愛らしさに絆された純真無垢な青少年が大量に出たかもしれない。その場で手渡しさせれば1万人は登録会員を増やせたかもね、「ヤフーBB」。

 それにしても段取りの悪さは「BBゲームズ」を発表した帝国ホテルでの会見の時からも続いていて、「東京国際フォーラム」の上での会見の後で時間割を見て移動した地下のホールで本当だったら待つこと10数分だったはずなのに、何故か20分過ぎても30分過ぎても始まらず苛立ちが募る。おまけに会場は地下で光の射さない場所であるにも関わらず、明かりをほとんど着けない薄暗さで、あるいはその方がハッキリと画面が見えるからって配慮があったかもしれないけれど、関連イベントとして上のアトリウムで開かれていた、インテルが主催のオンラインゲームのデモンストレーション会場は、燦々と射す光の下でもクッキリと見える液晶画面に向かって大勢がオンラインゲームを楽しんでいたくらいだから、本会場の薄暗さが余計のこと気になった。電力不足に対応した節電だったりしたのかな。けど来てくれたお客さんには失礼って気がするなー。

 失礼なのはメインステージでの広末さんを招いてのオープニングが後ズレした関係で、周囲に作られたステージもスタートがすべて遅れてしまったことで、薄暗い会場の中で唯一ステージ上に明かりのついたメインステージで延々と「ヤフーBB」を宣伝するトークショーが続く間、本来のオンラインゲームって何だろー、もしかして面白いものなのかなって思って来たお客さんが、何の説明も受けないまま定時になっても始まらないステージを見ながら待ちぼうけを喰わされていて、これで本当にオンラインゲームのファンになってもらおうって気があるのかと、ちょっと首をひねりたくなった。

 加えて言うなら「東京ゲームショウ」みたくプレイラブルなパソコンとかが何台も置かれて、自由にゲームをプレイできるのか、って思い込んで行った会場には、そーいった什器なんてまるでなくあったのは一部のステージの前に並べられた数10台のパソコンだけ。自由にさわれるでもなくイベントの進行に応じて利用されるものだったりして、来場者が自由にオンラインゲームに触れて楽しむにはちょっと壁があったかもしれない。もっとも大勢の人で1番にぎわっていたのが中央に作られた方形のブースでそこに寄ってパンフレットとかグッズとか、ROMとかをもらえば後は家でアクセスして楽しむって人がいたのかもしれず、なるほど外でイベントを見るよりも、家でネットを介してコンテンツに触れ人とコミュニケーションを楽しむオンラインゲームらしーイベントだったのかもしれない。ってことはアクセスしたサイトではド派手な祭りが行われていたのかな。だとしたらこれで孫孫ブラザーズ、オンラインゲームのことを分かっているって言えるのかも。恐るべし。

 見るべきものもほとんどないんで抜けだし有楽町線で池袋へと出て新しくセガが出店したダーツバーを見物。前に渋谷にオープンした時に行って今は社長になってしまった小口久雄さんの顔とか見かけた記憶があるけれど、今回はその時ほどは混雑してなかった上に場内も渋谷の1・5倍とかあって広々としていた関係で、あちらこちらをなめ回しながら見物することが出来た。置かれてあるエレクトリックダーツはえっと12台だったっけ、14台だったっけ、結構な数あるんで渋谷よりは待たなくてもプレーできそー、だけどその分お客さんもたくさん来るから一緒なのかな。場所は池袋でセガといえばな「GIGO」じゃなく、東急ハンズの真向かいにある虎のいるビルの上ってのがちょっと意外、下のパチンコ屋の「サントロペ」ってどちらかといえばナムコと仲の良かった会社って記憶していて、そんな上に出店したってあたりにこちらはこちらでアミューズメントの新機軸を生み出し育てて行こうってゆー、ヤングなセガ首脳陣の意気込みなんかが伺える。さてどんな具合になりますやら。ところでダーツってまだ人気なの、昔のプールバー人気って2年とか保たなかったよーに思うけど。

 せっかく池袋へと来たんで「ゲーマーズ」を見物、お客はそこそこいたけど何故か「でじこや」にだけは人がいない。小中学生に売りたいキャラクターをこんな場所で売ってはやっぱりマズいんじゃなかろーか、エロ漫画屋の真上なんだもんなー。「ウイッチハンター・ロビン」のDVDの新巻を買って向かいの「くまもと桂花ラーメン」でラーメン1杯。ここん家のはスープの旨さもさることながら、麺が異様に固いのが特徴で人によっては仲間で煮えてないって怒り出す人もいそー。その意味では世界3大芯入り麺としてイタリアのアルデンテにゆであがったスパゲティと、そしれ我らが名古屋の名物、味噌煮込みうどんに並ぶ存在って言えるかも。名古屋人にはちょっと懐かしく嬉しいラーメンです。

 ことサッカーの記事に関してはその羊頭狗肉ぶりがいつも目に染みて痛いサンケイスポーツだけにあんまり信じたくはないんだけど、オシム語録DVD化って記事だけは、ジェフユナイテッド市原のイビチャ・オシム監督に惹かれその一挙手一投足に見入り発せられるすべての言葉に頭を垂れるオシミストとし信じたいし実現して欲しい気が120%。本じゃなくDVDってあたりに一体どーやって収録するのか、そもそもオシム監督の発言なんてテレビカメラがちゃんとすべて抑えているのかって疑問もあるけれど、そこはそれ、ワールドカップの試合を全部アニメーションで収録したDVDが出た前例もあるだけに、松戸の等身大ガンダムよろしく巨大な着ぐるみでもって再現されたオシム監督が身振りてぶりを交えて喋る演技にキャプションなり、音声をかぶせれば一丁上がりってことなのかも。でもって着ぐるみの中にオシム監督本人が入っていたら面白さは150%。だったらなおのことタイトルも「魚でも肉でもない」にすれば面白さ280%なんだけど。一体何のDVDだと思い迷って買ってしまう調理人とか出そー。


【7月24日】 今日もお日様に出会えず「ボクらの太陽」は、引きずった棺桶を太陽エネルギーで始末できないままの状態がすでに1週間近くも続いて、中のヴァンパイアにカビが生えかかって来た模様。たいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。週末もまた雨か……。そんなシケった中を品川駅から彼方に出来た「品川インタシティー」へと出向いてまだあったのかと驚きの人もいるだろー「Xbox」の戦略説明会を見物する。思えば渋谷は「Q−FRONT」の上でビル・ゲイツ会長が自らデモンストレーションを行ってから幾年月、世間ではその存在をまるで忘れかけているよーに見えるけど、そんな日本を後目に海外では絶好調が続いているよーで、その余勢を駆っていよいよ再び日本でも本格侵攻を始めようってハラらしー。

 その切り札となるのが「Xbox Live」、ってこれもすでに今年の1月から日本でサービスが開始されたにも関わらず、目立った話を聞かなかったりするサービスだけど、この秋には新しいバージョンへと突入するよーで、気軽にボイスチャットなんかして今は懐かしい「パーティーライン」的な楽しみ方を出来るよーになるらしー。あと肝心のソフトの方でも唯一っぽかった「ファンタシースターオンライン」に続く国産オンラインゲームの期待の新星「トゥルーファンタジーオンラインライブ」が、着々と完成に近づいて来ている模様で、そのジャパニメライクにころころとしたキャラクターの可愛さと、内容のおもしろっぽさで発売前から結構な評判を巻き起こしているみたい。

 発表会ではその世界観なんかを見せるデモ映像が流されたんだけど、面白かったのは普通だったら顔の上とかにフキダシとかが開いたり、あるいは下に別のウィンドウが開いてキーボードによって打ち込まれた文字が、まさしく「チャット」的に流れていくものが、このソフトではボイスチャットの機能をまんま使って音声による会話が流れるよーになっている点。なるほどボイスチャット自体は昔からあるから別に珍しくもないんだけど、ことこのゲームのよーにファンタジックでアニメライクなキャラクターたちが喋っているってゆー画面上の見かけで、現代人の半ばなれ合った普段着の会話が交わされると、そこに妙に不思議な空気が浮かび上がって来てしまう。まるで例えになってないけど、ローレンス・オリビエなんかが出ているよーな外国人たちによるシェークスピアの舞台でセリフが全部渋谷とか、六本木界隈での合コンで交わされる若い人たちの口調になっているって感じか。

 ファンタジー調のRPGって言えば半ば当然のよーにファンタジーにふさわしい口調でファンタジーの雰囲気を壊さない用語とかが用いられたセリフが映し出されるなり、声優によって演じられてプレーする方もそれを半ば必然として受け止めていただけに、「トゥルーファンタジーオンラインライブ」のよーなものを見てしまうと、まずは違和感が先にたってしまう。もっともしばらく見ているうちに、こーゆーのもあっても悪くないなって思ええて来るから人間の先入観もいー加減なもの。恥ずかしさとかが先に立って誰もプレーしたがらないと最初は開発の人も思っていたそーだけど、実際に出来上がってきてみると意外な面白さがあって、今はもーこれが1番だと思っているってゆーのも理解できる。

 「パーティーライン」だと電話だから相手の顔が見えなかったけど、「トゥルーファンタジーオンラインライブ」の場合だと、見えなかった相手の顔がキャラクターとして目の前に現れる訳で、おまけにいっしょにどこかを旅したり出きるってことで、ゲームを介した新しいコミュニケーションがそこに生まれそー。もはやコミュニケーションツールと化したゲームが台頭し、ボイスチャットによる会話がデファクトになってしまった暁には、舞台が古代だろーと未来だろーと時代劇の世界だろーとお構いなしにダチ口調の会話が交わされながら進んでいくゲーム(「ねえねえ信長ぁ」「なにー?」ってな感じで進む「信長の野望」とか)が中心になって、上手いとか可愛いとかいった理由で使われていた声優さんの立場が狭くなっていってしまう可能性もあるのかも。あるいはボイスチャット式のオンラインRPGで素人さんでも良い声をした人が人気になって行くとか。だったらちょっと興味あるなあ、顔はともかく声にはほんのちょっとだけ自信があるから。

 戻って原稿を入れてから渋谷のクラブへと回って「インベーダーゲーム」の25周年を記念するパーティーを見物。思い返せば中学生の時に一大ブームを引き起こし、学校の近所の市場にできたゲームセンターに大勢のガキどもが集まってプレーしていたのを横目に知らん顔をしていたものの、1年くらい遅れて誰もプレーしなくなった頃に何故かハマって、人が集まらなくなって寂れていたゲームセンターで好きなだけ(お金が続く限りはだけど)プレーしよーとしたものの、そこは反射神経皆無の悲しさよ、1面をクリアできたのがわずかに1回だけとゆー体たらくで、自分にはゲームの才能がないと諦めさせ、後の「ファミリーコンピュータ」へも食指を伸ばさせないまま、活字の世界へと回帰させるきっかけになったのがこの「インベーダーゲーム」だった。

 つまるところ、別に自分的に何か今につながる影響を受けたエポックメイキングな存在ではないけれど、それでもやっぱり記憶には強く刷り込まれていたよーで、一流のミュージシャンがインベーダーのサウンドをサンプリングするなりして作った楽曲が流れて中にインベーダーならではの音が響くと、あの時代が思い浮かんで背筋に震えが走ってしまう。あとインベーダーのあの妙な形もやっぱり目に強くイコンとして残っているよーで、これから出て来るらしーインベーダーがデザインされたTシャツとか靴なんかを見ると、やっぱりアンテナがピクっと反応してしまう。インベーダー・コラボの「G−SHOCK」はちょっと欲しいぞ。クラブでのイベントは音楽とかダンスが中心だったけど、夏には渋谷の大きなビジョンを使って「インベーダー大会」なんかも開かれるそーで、巨大なビジョンに映し出されたインベーダーをナゴヤ撃ちで華麗に撃滅する様とか見て懐かしさに浸りたい。だからプレーする人はナゴヤ撃ち必須ね。

 そうか辞めてたんだ烏賀陽弘道 さん、って別にまるで一切の面識はないんだけれど、「AERA」とかでよく見る名前でサブカルっぽい記事を結構書いている人だったんで、その活動に興味を抱いてどんな記事を次に書くんだろーと関心を持って見ていた。何でも6月30日付けで退職したそーで、その経緯がホームページに延々と綴られていて、読んでその内容のなかなかな苛烈さに、結構な居場所があって結構な対価を得て結構な仕事をしているよーに端では見えても、内実はいろいろあるんだなー、なんてことを思う。朝日新聞社の内情とか新聞が抱える問題とか、いろいろ興味をそそられる”檄文”ではあるけど、それはそれとして目についたのが40歳で選択退職を選んだって部分で、中堅としてバリバリとやっている人の流出を認めるよーな制度を、天下の朝日新聞が導入していたってことに驚く。景気悪いんだなあ、どこも。それにしても規定の4倍の退職金ってどのくらいなんだろー。1年は遊んで暮らせる額なのかな。それだけもらえるんだったら今すぐにでも辞表に熨斗紙を付けて宅急便で送りつけるんだけど。


【7月23日】 オーケー、分かった、見に行かせて頂きます、仙台スタジアム、サッカー「日本女子代表vsオーストラリア女子代表」の対戦を。去年の「FIFAワールドカップ日韓大会」から1周年なんかも記念しつつ開催されることになった3カ国対抗の代表戦、すでに日本代表と韓国代表の試合が行われて日本が先の「女子ワールドカップ2003USA大会」の予選で敗れた韓国に5対0の大差でリベンジを果たしたにも関わらず、スポーツ新聞は今日の「U−22代表」の試合に向けた話がメインだったり、あるいはサンケイスポーツのよーにアディダスが新しいシューズを開発したってな話をトップに持って来ては”フル”代表の女子の試合をまるで無視してくれやがったりと、ろくな扱いがされていない。一般紙でも結果だけした載せないところもあったりで、12日にあれだけ大騒ぎしていたにも関わらず、わずか10日で関心を大きく後退させてしまっている。

 なるほど「週刊サッカーダイジェスト」の2003年8月5日号で加部究さんがコラム「サッカーを究める」で、「 残念ながら女子の試合には『代表ブランド』が、まだあまり感じられない」と書いているよーに、男子の試合を直前に控えてスポーツ新聞がそっちに目を向けたくなる気持ちも分からないではないけれど(シューズ云々は論外だけど)、続けて加部さんが「だが本来は、未知の可能性だけを頼りに若い”代表”たちを必要以上に持ち上げるよりは、現実に国を代表して戦っている大人の代表にスポットを当てる方が、正しいマスメディアのあり方、なんだろうな……」と吐露しているよーに、せめて段1つ分は上げて昨日の試合を紹介して欲しかったのが正直なところだったいるする。

 もちろん加部さんが末尾につけた「……」が意味する、道義的には正しいんだけど商業的にはいかがなものかって部分も含み置く必要もあるから難しいんだけど、だからこそサッカー専門メディアには、来週発売の号で大会の様子を是非に詳細に伝えて頂きたいもの。なんて要望する以上はやっぱり行ってこの目で見るしかないのが人間ってもの、なので頑張って仙台まで行かせて頂くつもりです、でも雨降ったら分からない……、遠いしなあ、うーん。

 ちなみに今週発売の号では「週刊サッカーダイジェスト」がワールドカップの展望を紹介した後で日テレ・ベレーザの所属する日本代表の酒井與恵選手と小林弥生選手の2人に何と見開きでインタビューを刊行、ユニフォーム姿じゃない私服姿で試合の時みたいに顔張りつめてない表情が見られて貴重です。あとセルジオ越後さんもワールドカップ出場を喜びつつ、協会に地盤沈下対策を要望してくれていて心強い限り、だけどセルジオさんの要望って届くとは限らないからなー、監督問題ひとつにしても。「週刊サッカーマガジン」はディフェンダーの要として頑張った大部由美さんが登場、カラーでその容色を見せてくれてます。こちらも貴重。

 あと「週刊サッカーマガジン」はえのきどいちろうさんがコラムの「サッカー茶柱観測所」で12日のメキシコ女子代表との試合について触れていて、かなりの絶賛ぶり。まず手元に残ったチケットを「これは宝物である」なんて書き、「瞬発力は男子に見劣りする。けれど技術・戦術の水準はとんでもなく高い。特に56分、山本絵美がクライフターンから上げた左足のクロス、そして澤穂希の勝機を逃さぬヘディング先制点には本当にしびれた」と見ていたからこそのコメントを残して内容を高く評価している。

 「ひたむきにカバーリングに走る女子代表のスタイルは感情移入しやすいものだった。僕はボランチの酒井與恵に気持ちを重ねていた」ってな感じに日本が誇るボランチに着目するなんては、女子サッカー初心者とは良いながらもなかなかの見巧者ぶり。「忘れていた原点のようなものを見せてもらった気がする」というえのきどさんには是非に、ワールドカップまでの間に日本で行われる女子の代表の最後の試合も見てもらって、マスメディアが黙殺する中で少しでも世の関心をそこへと集めてやって頂きたいもの、だけどやっぱり遠いんだよなー、仙台は。

 とゆーわけでローソンチケットで27日の試合のチケットを購入してから”代表”の試合を見物に「国立霞ヶ丘競技場」へ。前も確か大雨だった韓国戦は今回もやっぱり大雨だったけど、前と同じく屋根のある場所に席がとれててそのことだけは得した感じ。だってねえ、あんな試合をびしょ濡れの中で見たら腹、立ちまっせ。まず走れない。パスを回せない。はたいたりさばいているよーに見えるけど何のことはない、囲まれて出す場所がみつからない中を横とか後ろとかに責任転嫁気味にパスしているだけで、前へと向かってゴールへと近づこうって意欲がまるで見えない。

 たまに前へと出してもその辺に人がいるんだろーと思い込んで後は何とかしてくれよって感じで出すパスなんで届かず韓国代表に奪われ即座のカウンターを喰らう繰り返し。その韓国はフォローもしっかりとあってサイドから中央へと折り返すなり切れ込んではゴール前へと持っていく形が出来ていて、明らかにチャンスは韓国の方が多かった。そこでシュートへと持ち込めば良いのになぜかさらにサイドへと降ってしまうパターンが多かったのが慎重すぎるとゆーか技巧に走り過ぎるとゆーか手数を重ねすぎるとゆーか、意外性はあるんだけどその分に時間がかかりズレも増えてゴールに至らなかったのは問題で、そのあたりセンターフォワードの強引にシュートへと持っていくどん欲さと、それを決める決定力が今後の課題になっていくんだろー。

 日本はそれ以前の問題で、大久保選手へとボールが入らず入ってもゴールを決められない、まるでA代表の病がそのままU−22にも伝染してしまったよーな状況で、いよいよ正念場って気がして来た。なのにメディアは専用カメラを作るとかいった相変わらずのバカ騒ぎぶり。見なかった地上派の中継がいったいどんな感じだったのか、見れば怒り心頭に達するから見なくて幸せではあったけど、でもちょっぴり興味がある、やっぱり「美白のロベカル」だったのか、「スピードスター」に「スーパーサブ」に「森崎ツインズ兄(弟だったっけ)」だったのか。やっぱり一度全員を、ジェフユナイテッド市原の練習へとたたき込んで罰走に罰走を重ねさせては慢心ってゆー心の脂肪を燃焼させた方がいいと、「走れ、走れ、走れ」なオシムの主義を心から支持する「オシミスト」としては想うのであった。勝って楽観するでもなく、負けて悲観するでもない、ひたすらにスピード感があってスペクタクルで圧巻な様に頭を真っ白にされ歓喜の渦へと叩き込まれる「オシミスティック」なサッカーが見たい。仙台では女子代表はそんな試合を見せてくれるかな。


【7月22日】 今日も曇りで「ボクらの太陽」はお預け。たいよーーーー。それはさておき例えばの話、ドイツで活躍している高原選手が試合で相手ディフェンダーに囲まれ得点が出来なかったことについて聞かれて日本語で「手を焼きました」と言ったのを、通訳の人が「大変でした」とかって意味を訳すんじゃなく、直訳でドイツ人記者に伝えたとしたら「タカハラは怒りを気持ちを相手の選手の手に火を付けたいくらい憎いといった意味で表現した」なんて分析して書くんだろーかどーなんだろーか。

 あるいは監督との仲違いが噂されていた中田英寿選手が監督との話し合いを経て残留を決めたとして、直後に日本語で「監督とは腹を割って話して理解し合いました」と言ってそれを通訳の人がそのまま直訳してしまったら、新聞は「ナカタは監督の憤りに対して切腹をして詫びた」と捉えてそう書くんだろーか、なんてことを先日のジェフユナイテッド市原のオシム監督が残した「魚でも肉でもない」って引き分けについて語ったコメントに関する各社の報道ぶりから考える。

 あるいは試合直後だったらあるかもしれないけれど、よもや翌日とかになってから「ナカタは切腹していないじゃないか」と突っ込んだり、「手を焼くとは神への冒涜ではないのか」と怒って聞いたりはしないだろー。だから日本のメディアも体勢が「魚でも肉でもない」とオシム監督が言ったコメントをドイツ語の慣用句に照らし合わせて「どっちつかず、って言ったんだなあ」と理解してみせるんだろーと思っていたら、こともあろーに翌日の会見でその真意(だから真意なんかないってば、たぶん)を尋ねてそこに含まれている(いないって、たぶん)哲学的な意味を引き出そーとしたメディアがあったみたい。

 もしも外国人から「”腹を割る”とはどの程度まで刀を差し込むことか」と真顔で聞かれたら日本人だって困るだろーし、ゆったりとプレーしているよーに見せて突然動き出して得点を決めた選手が「猫を被ってました」と言ったコメントに「猫を被るとは猫の持つ魔力を全身に採り入れるという意味か」と突っ込まれればやっぱり困ってしまうだろー。それと同じ気持ちにオシム監督もなったのか、「魚でも肉でもないとは豆腐くらいのもの」って答えていたよーだけど、そんな言葉をまたまた捉えて「ケムにまいていた」と記事にしてしまうメディアの微妙さに、言語が違う人とのコミュニケーションの難しさなんかを感じてしまう。ってか少しは調べてみよーよメディアの人も。そんなんだから「ショーザフラッグ」で戦争へと引っ張り込まれてしまうんだよ。

 マニュアル派カタログ派のイケナイ所は見た目のデザインなり感性が忌避したい気持ちを放っても、マニュアルとかカタログの御託とゆーか釣書みたいな文章でものの来歴が説明されると途端に転んでしまう所で、ナイキがアパレルサプライヤーとなって始めて手がけたユヴェントスのユニフォームの、とりわけアウェーのユニフォームがこともあろーにピンク色で、そのサーモンともハムともつかない甘ったるい色にこれはどーやったって街着にはならないだろー、だから買うのは絶対によそーと思っていたのに、ナイキジャパンから届いたリリースで実はピンクはユヴェントスが創立当初に来ていたユニフォームの色であって、今回のはそれを復活させたものだと説明されているのを読んだ途端、かくも伝統的なカラーを着ずして何がファンか(別にファンじゃないけど)と手のひらを返したよーに、決意してしまうから始末に負えない。

 実を言うなら伊達男揃いのサッカー選手が着てもやっぱり似合わないピンク色のユニフォームには御託も蘊蓄も超えて微妙な気持ちを誘発する部分があるんだけど、そーなったらなったで今度は天の邪鬼的な気持ちがむくむくと持ち上がってはピンク上等、街でもリゾートでも着てやろーじゃん、って感じになってしまうから困ったもの。果たして下にはどんなカラーのパンツを合わせて頭にどんな色の帽子を被るれば多少はそれなりに見えるかとか、考えるほどに挑戦意欲がむくむくと湧いて来る。

 白黒の縦縞がお腹と背中の途中で切れてしまう今年のホームのユニフォームも、出して着るケースの多い街着では合わせにくさはピンクと同様かそれ以上、なんでここはサッカー雑誌やファッション雑誌が企画して、日本が誇るカリスマスタイリストたちに、ユヴェントスをどー着れば街で格好良く見えるのかを提案させてやって頂きたいもの、格好良いモデルじゃなくって普通のおじさんが着てそれなりに見えるってのが良いなあ、でもそれは無理だよなあ。

 久々に「週刊将棋」の2003年7月23日号を買ったら、まだC2クラスって順位戦では最下位のクラス(さらにフリークラスってのが下にあるけどこれは別格なんで除外)にいる山崎隆之5段が20連勝とかしてるってニュースが載っていて、未だに羽生善治竜王・名人に佐藤康光棋聖を双璧に郷田三浦丸山久保といった当たりを若手のトップクラスと思い込んでいた頭を刷新される。たぶん目にはしていただろーけど正直言ってノーチェック気味だった棋士で、チャイルドブランドが提唱されておよそ15年、確実に世代交代は行われているんだなーと実感する。といってもやっぱり羽生竜王・名人は最強のまんまなんだけど。

 ともあれ山崎5段、実際に竜王戦のクラスでも5組だから下から数えた方が速い序列だった人なんだけど、その竜王戦で決勝トーナメントに入って来ている以上はフロックじゃない実力、若手ばかりをなぎ倒して星を重ねたんじゃない実力を持った人なんだろーと考えられる。ルックスもまずまずだし、上がってくれば郷田真隆9段との対決なんかに女性ファンとか(いるのか?)群がって華やかな場面とか見られそー。とりあえずは棋王戦のトーナメントで佐藤棋聖を破り、竜王戦のトーナメントで杉本昌隆6段を抜いて谷川浩司王位をどうさばくかを見て、伸びる実力か留まる実力かを勘案しよー。

 その「週刊将棋」で女流プロ第1号となった蛸島彰子女流5段の半回顧録的な連載「夢置いてひたすら一つ道 女流棋界の歩み」がスタート。男性の世界とはまた違った成立過程を経て、今もそれなりな位置づけを持って棋界に存在し続けている女流棋士の成り立ちとそしれ紆余曲折を、草創期からつぶさに見てきた人の連載だけに史料的な価値もありそーで、ちょっと続けて読んでみたい気がしてる。女流と言えばやっぱりさけて通れないのが林葉直子さんのことで、後にいろいろあったけれど女流棋士としてはその美貌のみならず、実力の面でも高い評価を受けていた彼女をどう振り返り、どう通史の中に位置づけるのかにちょっと関心が及ぶ。果たして書くか、それともスルーか。日本将棋連盟の会長が中原誠永世十段だったりするだけに、日本将棋連盟発行の媒体でさてはてどこまで書けるやら。ちょっと注目。


【7月21日】 太陽が昇らず「ボクらの太陽」が今日も出来ないジメジメとした梅雨の休日を、日本で最大規模のSFオフ会であるところの「第42回日本SF大会」に行くでもなしに、家へと引きこもって寝たり寝たり起きたり寝たりしながら安易に過ごす人生の無駄使いを幸せと勘違いする男子ひとり。微睡みの中でハッと気づくと、そんな社会性のない引きこもり君をスナック感覚で助けるべく、ヘストン・ワールドなるところから正義と平和の使者としてやって来た「ラジカル・レヴィ」が寝ているボクを跨ぐよーに立っては何だって悩み事を解決してくれるとゆーから、お引き取りを願ったら聞いてはくれず聞く耳も持たず、仕方がないので学園にはびこるロシア番長をやっつけてくれと頼んだら、「トカレフマカロフケレンコフ、ヘッケラーコックで見敵必殺ゥ!」と叫ぶ呪文も軽やかに、どこからか取り出したトゥーハンドでもってロシア番長一家を根こそぎやっつけてくれたとさ、めでたしめでたし。最近の魔法少女の使う魔法ってハードボイルドだなあ。

 とか巻末のおまけ漫画に感涙感銘感動しながら読んだ広江礼威さん「ブラック・ラグーン2」(小学館、533円)は商社の名代で参じたは良いものの上司によってあっけなく切り捨てられそーになった若手商社マンの岡島緑郎ことロックの海賊、じゃなかった運び屋稼業もどーにか板について来たよーで、今日も今日とて以来を受けて東シナ海だかどこだかに沈んだUボートからナチスドイツのお抱え画家が描いた絵を1枚、潜って拾ってかえって来いって指令が下って二丁拳銃を使わせたらナンバーワンかと恐れられている魔法は使わない美少女ガンマンのラジカル・レヴィことレヴェッカと、ツーマンセルでUボートへと向かったもののそこで昔とった何とやら、商社マンだった頃のまだ人間らしい心情がポロリと出てしまって死体を横目に鉄十字勲章とか拾い集めるレヴィを諫めてしまって、余計なお世話と怒ったレヴィから手痛い反撃を喰らう。

 サラリーマンは辞めたと言い、レヴィやダッチ、ベニーたちアウトローな一味へと身をゆだねてはみたものの、どこかに引きずる真っ当な思考が彼女と彼らが火傷しそーな思いをしながら生きている日々とのズレを生じさせてお互いの間、とくにレヴィとの間に波風を立てる。”どっちつかず”の自分に悩むロックは果たして「ブラック・ラグーン号」の本当の仲間になれるのか。それは過去の自分をすべて捨て去り金と力がすべてと割り切ってみせることなのか。とりあえずの答えは収録されたエピソードの2話目で出されはするけれど、だからといってロックはどちらかの道を選んだって訳ではなく、”どっちつかず”の自分を自分と信じ、そこから歩き始める意志を固める。

 はなるほど”どっちつかず”は弱さの表れかもしれないけれど、そんな弱さが時には力にもなり得るかもしれない場合だってあるから分からない。発売中の最新号でもそんなロックのどっちつかずの弱さが冷え切った心をちょっとだけ動かす場面もあるだけに、ハードボイルドな奴らでいっぱいの物語の中で、ロックの”どっちつかず”がこれからどんな可能性を(もちろん不可能性もだ)見せてくれるのかを気にしつつ、続きを読んで行こー。撃てど吹き飛ばせど死なないターミネーター・メイドと世に評判、掃除をやらせれば人からビルからすべてを綺麗さっぱり片づける天下無敵の眼鏡っ娘メイド、「マジカルメイド・ロベルタちゃん」の今再びの登場を心待ちにしながら(出ねーよ)。

 ”どっちつかず”と言えば昨日行われた「Jリーグ」の首位攻防戦「ジュビロ磐田vsジェフユナイテッド市原」の試合後に、市原のイビチャ・オシム監督がインタビューで「引き分けどうよ」と聞かれて「魚でも肉でもない」って答えた話が割に話題になっていて、スポーツ新聞なんかを見るとスポーツニッポンは「オシム監督は難しい言い回しでスコアの意味を表現した」とその意味を図りかねていたり、デイリースポーツのよーに「勝ち点3というメーンディッシュを逃したことを悔しがった」と解釈していたりと様々な捉え方があったみたいだけど、ネットに接続できる環境にいるとそーした言葉が実はドイツ語の慣用句か何かではないと気づく人がいて、本当にそーなのかを調べる人がいて、立ちどころに「ドイツ語慣用句直訳集」なんてページを探し出して来ては、「魚でも肉でもない=どっちつかず、中途半端」って意味があるんだと理解させてくれるからありがたい。

 どーしてそーゆー意味になるのかってところであるいは記者の人たちが直感でとらえた「メーンディッシュではないから」といった理由があるのか、はたまた単純にどちらでもないならどっちつかずとしか言いようがないってことで使われるよーになったのかは分からないけれど、すでに慣用句となっている以上はたとえば「ホーリー・カウ=聖なる牛」が「ホームラン、やったぜ」とアメリカで使われているのと同じよーに、そこに魚なり肉といった具体的な食品から想起されるメーンディッシュといった深淵な意味はなく、純粋かつ単純に「どっちつかずだねえ」と言ったと見るのが良いのかも。もっとも締め切り間際でネット接続なんて悠長なことをスポーツ新聞の記者はしてられないから、ここは「ズボンの上に座る」ことをしてないと批判はせず、「網の上で踊る」よーな締め切りまでの時間の間でいろいろ考えた上で導き出した意味に敬意を払っておくことにしよー。

 ビデオでやっと見た「住めば都のコスモス荘 すっとこ対戦ドッコイダー」の第2話はモグモックル署長の秘書のオギワラさんが実にいい味を出しててファンになる。それはそれとして送り込まれたドクターーマロンフラワー以外のA級犯罪者は、サディスティックな女王様のヒヤシンスを演じる三石琴乃さんがどんな感じか気になっていたけど聞いてすぐさま三石さん、って気づくよーな声にはなっておらず(ムチでしばいてお仕置きよ、とか言わないし)耳にそれほど違和感を覚えず演技を聞きまた見ることが出来た。ドッコイダーのパンチ1発でフンサイされてしまうくらいに弱よわなゴーレムしか作れないエーデルワイスがどーしてA級犯罪人と呼ばれるくらいに宇宙を震撼させられたのか、とか時々した凶悪な動物を呼び出せないヒヤシンスがやっぱりどーしてA級犯罪人として捕らえられたのか、とか気になる所は多々あるけれどそーゆーもんだってのが火浦功さん以来の教えだから、気にせずいよいよ集結したドタバタな奴らのドタバタな日々を楽しむことにしよー。出来れば栗華さんの出番をもーちょっとだけ多めに。


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