縮刷版2003年11月中旬号


【11月20日】 「t.A.T.u」に行くしりょんりょん広末涼子さんの「飛龍伝」も見る予定とビッグなアーティストに触れまくり(どこがビッグだ)な12月だけど、セガから届いた「Sakura Cafe ミニミニライブショウ開催」ってのに妙に惹かれて応募しよーかどーしよーかと悩む昨今。出演するのはいわずとしれた「真宮寺さくら」こと横山智佐さんで唄うのは「恋愛の才能」、だったら嬉しいけれどキャラが違うんでそれはなくって唄うのは「さくら」がテーマになった歌の数々で、想像すれば唱歌の「さくらさくら」とかとか森山直太郎の「さくら」とか、松田聖子さんの「チェリーブラッサム」とか(古過ぎ)が思い浮かぶけど、もしかしたら「桜」が出てくるってことで「恋愛の時空」なんかも唄ってくれたら嬉しいかも、って「天地無用!」な人しか分からないけど。でも合唱曲だから無理か。けど藤枝あやめかえで姉妹が参加すればオッケーか。コクリコでも良いのかな。やってくれないかなあ(やりません)。

 オープンの時に行った記憶から考えると「Sakura Cafe」、あの広さなら席なんか少々悪くって石丸電機のイベントスペースに負けない間近さで歌を聴けるってことになりそー。これで「ゲキテイ」なんかやった日には床が抜けるかもしれないけれど、「桜」がテーマじゃジャンプするよーな自体にはならないだろーから体力のないおっさんでも安心して行けるかな、って行く気なのか?

 もっとも誰でも参加できる訳じゃなく、A席はペア8組16人までで値段は2人分6000円、B席は26人までしか座れず値段は1人3000円、あとC席とは言いながらも内実は立ち見で40人まで募集の1500円のクラスがあって、足すと1回82人までしか参加できないイベントになっているらしー。日時は12月21日で第1回から4回目まで都合4回開催の予定。30日必着で往復はがきで希望座席とか書いて応募する必要があって多い場合は抽選でどの回かの指定も不可。2人ペアのA席なんて当たった日にはそれこそかぶりつきで横山さんの歌を楽しめそー。耳に凄まじ……素晴らしい唄を聴きたいファンは是非に応募してみては如何。

 宇川直宏さんは聞いたことあるかなあ、グルーヴィジョンズは「チャッピー」だったっけ、常磐響さんはエロっぽ写真な人でリリー・フランキーさんは美女が野球するイラストレーターだったよね、なんてそれなりに耳に覚えのあるとはいっても決して超絶メジャーってほどでもない、現代のあちらこちらで活躍しているアーティストの人たちを起用するとはオーエムシーカードも頑張ったなあ、なんてことをオーエムシーカードが作った「Jiyu!da!限定アーティストカード」の案内を読みながらつらつら。ほかにく「クレージーケンバンド」とか五木田智央さん、五月女ケイ子さんなどなど計10組のアーティストのデザインしたカードが1組につき3000枚だけ発行されるとか。

 世界に3000人しか持てないカードってことであるいは後に世界的なアーティストとなった暁には、プレミアムなんかついて取り引きされるよーになるのかも。でもカードなんでオークションに出すのは難しいのかな。「ガンダム」とか「ギャラクシーエンジェル」とかアニメ系のカードはちょっと、って人でも持って格好は良いから持ってみたい人は12月1日オープン予定の専用ホームページから申し込んでみては如何。

 また押し掛け女房かい。美少女同居シチュエーションかい。羨ましい。なんて思いながら嬉野秋彦さんの新刊「蘭堂家の人々」(集英社スーパーダッシュ文庫、590円)をチェック。あの冷徹で金に汚く戦えば強い蘭堂栄子ちゃんの家族は父親が百戦錬磨の傭兵で母親がコンツェルんの社長で妹はバウンティハンターとして世界をまたに大活躍、ってのは蘭堂違いだしそもそもそんな設定はないんで却下。戻って「蘭堂家の人々」は、父を早くに喪い祖父母と暮らしていたもののその祖父母も半年前に亡くしてしまった少年のところに、世界をまたに活躍している天才科学者らしー母親の紹介だといって美人な家政婦さんが送り込まれて来て大慌て。それだけならまだしも学校に行く途中にごっつんこした美少女が実は家政婦さんの妹でおまけに自分の遠い親戚だと聞かされさらに、家政婦の姉といっしょに蘭堂家に住み込むことになったというからもー驚き。そんな旨い話があるものかって思ったものの家政婦さんが持っていた手紙が確実に母親の筆跡だったことも手伝って、少年は2人を受け入れかくして羨まし過ぎる同居生活がスタートする。

 ところがやっぱりタダモノではなかった美少女2人。科学者の母親が持って逃げたとゆー研究を狙ってはるばる日本へとやって来た謎の一味の繰り出す攻撃に、見かけは単なる美少女の2人とさらに別の中華風な美少女が、不思議な力を発揮し向かって少年を危機から護ろーとする。いったい彼女たちは誰なのか。そもそも人間なのか。科学者の母親はいったい何をしているのか等々の謎の答えが明らかにされ、かくして少年1人に美少女3人とゆー羨ましくも妬ましい同居生活が本格的に幕を開ける。3人の原形になった部分を深く考えると何とも相姦な香りが漂うけれど、原形はともかく今はまったく独立した個性を持った3人の美少女なんで気にしない。そんな個性がこれからどんな形で発揮され、それが気弱で優しい少年をどー導いていくのかに注目しながらこれからの展開を楽しんで行くことにしよー、って続くのか? 続くだろーね、終わってないし。


【11月19日】 お菓子の国からキラキラ。ちょっと違う。けど自由が丘に関してはお菓子の国で正解なよーで、東急自由が丘駅の南口から東急ストアの横を抜けて突き当たったら右へ行きすぐ左へと入った場所に、岡田不動産って地元の企業が新しく商業ビルの「ラ・クール自由が丘」ってのを作って中に集客施設としてナムコが、「池袋餃子スタジアム」なんかでもやった有名店を集めたフードテーマパークってのを開発。そのテーマとして選ばれたのがスーツすなわお菓子で、「自由が丘スイーツフォレスト」って名付けられたその場所には、聞けば驚きの名店が出店しては食べれば驚きのスイーツを売ってるらしー。いやちゃんと取材に行ったんだけどスイーツに関してはノーチェックだったんで何が有名で何が珍しいのかさっぱり分からなかったんだけど。「ブルータス」で予習していけば良かったかな。

 まず驚きらしーのが「パティシエステージ」ってことでカリスマなパティシエが来場しては手ずからスイーツを作り食べさせてくれるコーナー「パティシエステージ」に、先陣を切って登場する大山栄蔵さん。誰? って誰でも思うだろーけどもらった資料を読むと成城あたりで知らない人はいない店で、そこで修行をして独立した人の中から大勢のカリスマ・パティシエが出ている「マルメゾン」って店のお店とか。つまりは今全盛のスイーツブームのルーツに位置する偉い人らしく、オープニングに先だって行われたセレモニーでも並み居るパティシエをバックに従え、センターで「パティシエの鉄人」よろしく腕組みをして立っていた。なかなかな貫禄でどちらかって言うとイタリア料理のシェフっぽい顔立ちの人だったけど、作り出すスイーツはどれもゴージャスで甘そうで、なるほどスーパーパティシエと呼ばれ讃えられる人だって印象を受ける。

 同じ「パティシエステージ」で大山さんの向こうを張るのも同じ「マルメゾン」出身で今は田園調布で店を構える若林実さんの「ルージュ ブランシュ」。なかなかな有名人らしーけどそれがわざわざ出張っては限定メニュー「ノワール」ってのを作り大山さんと”師弟対決”しているそーで詳しい人が見ればもーそれだけで感動的な光景って言えそー。僕にはさっぱり分からない。海原雄三と山岡士郎が並んで調理しているってこと? この2店だけでも凄いのに西麻布にある日本で唯一らしースフレ専門店の「ル スフレ」が出るわ創作菓子が有名で弁当のお重みたいな外見なのに梅干しから蟹の爪からすべてがお菓子で出来てる「おかじゅう」を売ってる「シリアルマミー」とか、三つ星レストランなんかで出していたデザート(デセール)をその場で楽しむスイーツとして完成させた「Q.E.D.パティスリー」とかも出ているそーでなるほど資料を読む程に、凄い所なんだと思えて来るけど凄い所だと思わせるのがプレスリリース。真実は詳しい人が言ってその目と舌で確認するのが良さそー。会長の人も自分の舌でソフトクリームを食べてたし。

 自分はと言えば写真撮影に時間を奪われ次の予定もあったんで何も食べずに退散。まあ食べても味なんてフルフラフルールなフルールのケーキも藤田屋の大あんまきもきよめ餅も、ダイナゴンもなごやんもをちこちも今井の甘栗も、全部が美味しく食べられる人間なんでスイーツの善し悪しなんて分からなかったんで気にしない。でも備前屋の淡雪だけは苦手だったなあ。そんな自由が丘から兜町へと向かってナムコの決算。会長の人がスイーツを嗜み食文化の素晴らしさをアピールしている一方で、財務の人は「太鼓の達人」と「ソウルキャリバー」のお陰でとてつもなく良くなった決算数字をアピールして、西で東で万々歳な所を見せていた。一時はヒット作がまるでなくなってそろそろヤバい、なんて話も持ち上がってそれがセガとの合併なんて話にもなったけど、1本2本とヒットが続くだけで決算数字も雰囲気も、ガラリと代わってしまうのがエンターテインメントな会社の良いところ。ことばは悪いけど博打のよーな企業がだから毎年どころか四半期ごとにそれなりな数字を求められる公開会社であるのも妙だけど、それをプレッシャーにして毎年毎月ヒット作を生み出せば困ることはないって気持ちを持って、日々精進に励んでいるんだと理解しよー。とりあえず、良かった良かった。

 藤田俊哉選手なかなか。後ろから飛び込んでボールを奪うわサイドに開いてボールを受けるわ中央に切れ込んでシュートを打とうとするわと強豪のカメルーンを相手に八面六臂の活躍を見せていろんな場所に顔を出していた中田英寿選手と合わせると、ピッチに立っていた10人のうちの6人までが藤田選手と田中選手だったーよーな気さえした。いなかったのはアレックス選手と柳沢選手か。そんな1番切れてた藤田選手を1番に代えるわはるばる遠くから来てもらった鈴木隆行選手を使わないでJリーグで別の意味でキレまくってる大久保嘉人選手を使うわといった相変わらずにガチガチな選手交代ぶりを見せるジーコ監督の采配は、見ていて意外性がなく面白くない上に、それでも圧倒的に強ければ良いんだけど相変わらずの得点から遠いゲームを繰り広げてしまう”安定”ぶり。とりあえずはアジアの1次予選は戦えてても、リードされたり同点になっていて、是が非でも点が欲しいて場面で必要な戦法戦術を試すでもない態度はやっぱり将来にぼんやりとした不安を抱かせる。藤田選手が中村俊輔選手だったら、とか思うと、なあ。大活躍した藤田選手だって今は良くても本番のドイツ大会で使えるか微妙だし。ともあれ本気の強豪相手に引き分けられたことだけは僥倖で、この守備力を活かしつつどこまで前を作れるか。東アジア選手権での得点ラッシュを期待しつつ見よー。


【11月18日】 経営トップにいる妻と開発トップにいる夫が頑張ってもり立ててきた会社の中間決算説明会で、これまで夫婦げんかはしたことがあるのかと尋ねたアナリストがいてアナリストの世界もゆとりが出来たなあと慨嘆、割におおらかな新聞記者と違ってアナリストって、損益計算書から貸借対照表からセグメント情報から何から何までこと細かに分析した上で、重箱の隅を顕微鏡でのぞきながらミクロ単位でほじくり返すくらいの執拗さが求められる存在だって思っていたから。経営は人のするもの、その人の心までをも知って将来性を分析するってことなのかな。アナリストの試験にサイコロジーが出るのも近い?(出ませんってば)

 柴田よしきさんの新刊「蛇 ジャー」の下巻を読む。猿が……ラーメン天国の時計を奪うのか、ってゆーかラーメン天国の懸賞っていったい何なんだ? 竜にさらわれた甥っ子を捜して少女がボーイフレンドの少年といっしょに竜の尻尾に捕まり時代を超えて琵琶湖の周囲を行き来するうちに、自然を愛する心を育んでいくって基本ストーリーの周囲で謎のカメラマンが動き回り、そのカメラマンに引きずり込まれる形で青年がやっぱり竜につかまり時代を超えたりするロマンチックでファンタスティックな物語なんだけど、合間合間に妙に細かいディテールとかが挟み込まれて読んでいてなんだか俗っぽいってゆーか賑やかな印象を受ける。

 そのひとつが猿が時計を奪う場面。上巻で喋った(何故喋るのか、って必然性もよく分からないけど)猿が出てきて時代を超えてきた少女がお菓子を上げようとさしのべた手から腕時計を奪うんだけど、そこで猿が出てくる必然が上巻で出てきたからってことから演繹的に出した感じがある上に、奪う腕時計がラーメン天国のプレゼントでしかもらえない時計だってことを奪われた少女が強調する描写があって、何でまたそーゆー由来を付けたんだろーって想像したくなったけど、小難しさとは逆の気安さが展開から浮かび上がって気持ちを和ませる効果もあったりするから気にしないで受け入れよー。物語自体も僕が勝手に付けた”娯楽伝奇”のキャッチに恥じず、愉快に進んでラストもすんなりとまとまったんで善哉。オチまでついて楽しい時間を過ごすことができました。こーゆーの書かせると柴田さん、上手だなあ。

 大久保嘉人選手けちょんけちょん。といっても締め切りの関係でセルジオ越後御大はまだ触れていなくって、発売されたサッカー週刊誌では「週刊サッカーマガジン」2003年12月3日号では武智幸徳さんのコラムに触れられていたくらいだけど、その内容のシビアさといったらなかなかで、読んだ大久保選手がいったいどんな印象を抱いたのかを聞いてみたいけどそーゆーのってやぶ蛇って言うんでしょ、ちょっとやれません、おそぎゃーし。武智さんの言葉で目を引くのは「『代表の試合では自重する』という弁護・反論もあるだろう。が、私は信じない。そういう厳しさは普段の試合、普段の練習、普段の生活までさかのぼって首尾一貫しないと見につかないと思うからだ」という下りで、実に当たり前のことなんだけどこれに思い至らないで妙な擁護をしたり見て見ぬ振りをする人たちの多い現実が、めぐりめぐって練習試合親善試合で厳しさを発揮できないまま、本番で悲惨な目にあう可能性を伺わせてもなお動かない状況を招いてしまっているんだろー。大久保選手はキャプテンが説教してもキャプテンを説教するのはいないんだよなー。明日はどんな惨状になるのかなー。

 セカンドチャンスには応募しても絶対に当たらないだろーと確信している「トヨタカップ」を諦めきれずに「ローソン」のロッピーをひっくり返したけれどやっぱり無駄で売り切れで、仕方なくやっぱり売り切れになってた筈の広末涼子さん主演、と言って良いのかあるいは筧利夫さん主演とすべきなのか微妙な「つかこうへいダブルス2003」のうちの後から始まる「飛龍伝」を検索したら何故か土曜日の夜の公演があまっててラッキーとだぼハゼのよーに飛びつく。席は2階で遠くだけどそこはスポーツ観戦用に購入した双眼鏡を持って激しいアクションの中、揺れるのかあんまり揺れないのか微妙な広末さんの胸板とかを遠くから眺めることにしよー。つか作品と言えばうろ覚えの記憶だと銀座のセゾン劇場で藤谷美和子さんのを見たよーに覚えているけどあれは「新幕末純情伝」だったっけ。とにかく迫力の肉体&声帯言語で圧倒されたことだけは覚えている。そんな過激な劇にりょんりょんはちゃんとついて行けるのか。千秋楽間近なんで弱体化してそーな気もするなー。喘ぐ声で喘ぎ声ってのもまたオツだけど。


【11月17日】 「アカルイハダカ」ならぬ「アルカイダ」が日本を狙ってるって話が伝わって東京証券取引所での決算発表に行きたくなくなる。だって一応はニューヨークとロンドンに並ぶ証券市場として世界経済の一翼を担っている場所、麻痺すれば日本経済のみならず世界に与える影響もそれなりにあったりする訳で、銀行とか証券会社とかがいっぱい入っているニューヨークの世界貿易センタービルを狙った手口を引っ張れば、狙われるかもしれないリストに入って兜町は不思議じゃない。

 おまけに今は中間決算の発表が詰まってて東京証券取引所の周囲は発表に来た企業の偉い人たちが使う黒塗りのハイヤーが取り囲んでギッシリ。仮にどっかで「アルカイダ」が黒い車を調達してきてトランクにぎっしりと火薬を詰めて、他の車に紛れさせて止めておいても午後の発表がピークを迎える時間だったらあんまり気が付かれないかもしれない。運転手さんがいないとそれでもまずいけど、共に自爆する気だったら乗ったまんまでもオッケーだからなー。ただしやっぱり通常は日本人が運転手のとおろを髯面なアラブの人とかインドネシア方面の色黒な人とかが乗っていたら分かるんで、これから出向くときにはそんな雰囲気の人がハンドルにしがみついていないかを確認しよー。でも日焼けした千葉真一かもしれないし……髯な運転手とサーファーな運転手は立ち入り禁止だ(ちょっぴり本気)。

 髯といったら柳ジョージさんと高橋ユキヒロさんと並んで髯が似合う、よーな気がする上田正樹さんが「週刊朝日」の2003年11月28日号に登場していてそれも「夫婦の情景」ってコーナーに登場して妻の人が女性サックスプレーヤーとしてつとに知られた朝本千可さんだったと今さらながらに知って仰天。どっかで耳に入っていたかもしれないけれど改めて見るまではっきりとは気付かなかったよ驚いた。おまけに上田さん実はメジャーなレーベルを辞めていて今は朝本さんがエグゼクティブプロデューサーを勤めるインディーズなレーベルの「A.M.Sレコーズ」からアルバムなんかをリリースしているそーで、天下の上田さんをしてそーゆー環境に置かれざるを得ない音楽業界の状況なんかに思いを馳せる。

 ヒットが出せないんでリストラされただけ、って見られる可能性もあるけれど、上田さんの場合は売れないからクビになったってんじゃなく、自分のやりたい音楽をやるには現在のメジャーなレーベルでは難しくなったってことが理由で、辞めるくらいだったら自分たちで出そうってことで朝本さんがレーベルを立ち上げ流通から何から手がけることになったんだとか。そー言えば前にインタビューした平沢進さんも既存のメジャーレーベルでは出来ないことが多くって、自分でレーベルを立ち上げたって言ってたっけ。それでちゃんとライブもやり、アルバムも出し「ロフトプラスワン」でイベントまでやってしまうんだから(チケット即完売は凄い)決してインディペンデントなアーティストが売れてないってことはない。

 世界に轟くシンガーの上田さんなり、平沢さんががやりたいことをやれない状況に関して言えば、むしろ売る側や聴く側にどこかに問題があるのかもしれないけれど、かといって上田さんに関しては、そのアルバムを聴いたのって90年代の半ば当たりが最後だったから、こっちとしてもあんまり大きいことは言えない。まあこーして改めて近況を知った今、何をどんな声で唄っているのか聴きたいところ。8月にスタンダードな曲を唄ったアルバムが出ているそーなんでちょっと聴いてみよー。朝本さんの艶が出たサックスも聴けるらしーし。

 ふらりと立ち寄ったレコード屋で懐かしい「ジェネシス」ライブDVDが2880円の格安で売られているのを見つけてふらふらと買ってしまう。ヴァージンレコーズから出た英国盤だか米国盤のよーで地域コードとかどーなってるか不安だったけど物によって”リージョンフリー”な初代「プレイステーション2」でかかるかもしれないと購入。帰って普通のDVDビデオプレーヤーで再生できたんでリージョンフリーな商品だったみたいでひと安心。こーゆー値段でライブのDVDがガンガンと出てくれるとどんどん買ってしまいそー、だってアルバム1枚より安くておまけに絵まで付いているんだから。

 サッカーの聖地「ウェンブリースタジアム」を会場に何時だろう、1987年辺りに開催されたライブらしくリードボーカルを務めるフィル・コリンズの頭にはそり込みこそあるもののまだ毛がふさふさと生えててそれも長髪なのがほほえましい。曲は「Mama」から始まって「Abacab」「Domino」と流れて名曲「That’s ALL」へと続く曲の演奏も迫力なら歌声も感動的。でもってバリーライトに彩られたステージの模様も昔に洋楽番組で見た記憶のまんまに格好良く、ライブが出たら欲しいバンドのリストのトップに「クイーン」「ポリス」と位置するだけのことはあったと改めてみて確信する。今でこそ珍しくもなくなった自在な角度で動き回るスポットライトのシャワーだけど当時はここん家くらいしかやってなかったんだよなー。フィル・コリンズの「ジェネシス」ファンなら買って損なしの名盤。ピーター・ガブリエルな「ジェネシス」好きには関係ないけど。


【11月16日】 「トヨタカップ」のチケット奪取に敗北する。フンだマラドーナもダレッサンドロもいないボカとサッキが監督じゃないA・C・ミランなんて見たくもないやいっ、とか負け惜しみを言いつつ電車を乗り継いで「大宮サッカー場」で開催されたLリーグの上位リーグ「さいたまレイナスFCvs日テレ・ベレーザ」を見物に行く。一番高い席が1万5000円もしやがる「トヨタカップ」にくらべて何しろ無料でサッカーの試合を見られるってのが最高だけど、それはおいても先週ベレーザが伊賀フットボールクラブくノ一に敗れたため、ここまで3チームが勝ち点で並んでるため日テレにとっては是が非でも勝って1歩抜け出したい相手。それだけに試合も真剣勝負になるんじゃないかって期待もあって、はるばる大宮まで出向いた次第。でも1時間半とかで到着したからもしかすると「横浜国際陸上競技場」なんかよりも近いかもしれない。

 初見参の大宮はピッチが近い上にメインスタンドがやや高めに設置してあって見やすいことこの上ないスタジアム。椅子もメインスタンドは1人1つづつのタイプになってて、同じサッカー専用でも「西が丘サッカー場」よりはるかに良い環境でサッカーが見られるのが実に嬉しい。ピッチが遠い「駒沢陸上競技場」や「駒場スタジアム」よりも良い感じ。ただ折角の好環境にも関わらず、同じ日に東京ヴェルディ1969の試合が組まれていたこともあってかそれとも別に用事があってか、サンバ隊は来ずいつも駆け付ける太鼓&コールの面々の太鼓を叩かない1人が来ていただけで試合中、その1人が叫ぶだけの応援になってしまったのは寂しいところ。ピッチで叫ぶ酒井與恵選手の声とか良く聞こえたのは有り難かったんだけど、毎度おなじみレイナスの田口禎則監督の怒鳴り声に審判のジャッジを大笑する声を響かせ過ぎたのはちょっと残念。太鼓は届いていたんで叩けば良かったのに。

走る麻美、こねる弥生、後方には與恵もひかえてベレーザの中軸はタレント揃い  試合はうーん、どっちかと言えばベレーザが攻めてる感じがあったけどサイドからするどく崩していくいつものパターンがあんまり見られなかったこととか、トップ下に入った小林弥生選手のキレがどうにも今ひとつに見えたこととかが原因してか決定的なシーンをそれほど作るまでには至らなず、逆にパスミスを奪われゴール前で決定的なシーンを作られたりしたんだけどミスった酒井選手がぐるりと回ってゴール前で果敢にディフェンスして事なきを得たりして、0対0のまま前半は終了。後半はベレーザの荒川恵里子選手がキーパーと1対1になる場面なんかも作ったんだけど蹴り切れないのか日本代表を務める山郷のぞみ選手が上手いのか、止めて相手に得点を許さない。

 決め手を欠く状況を打開しよーと思ったのか動いたベレーザは若さと美貌を兼ね備えた未来のスターフォワードと勝手に妄想している山口麻美選手を投入してスリートップにして一気呵成の攻めに出る。164センチだかの身長を埃ながらも若さ故か生来からか、柔らかいタッチと素早い動きでサイドを走り中央を突破してゴールへと迫るものの決定には至らず、あまつさえスピードならピカ1の荒川選手が負傷退場する状況にツートップに戻して攻撃を組み立てていった終盤も間際、後ろからのパスに反応して飛び出した山口選手が迫るキーパーの脇をすり抜けるゴールを決めて先取点。そしてこれが決勝点となってベレーザが勝ち点3をもぎ取った。いや凄い。やっぱり未来のスター選手だまみたんは。

 スター候補って意味ならレイナスからも山口選手と歳は同じで若さは十分、ビジュアルもコロコロッとした感じで山口選手とは違った愛くるしさを持った伊藤知沙選手も投入されて前線から中盤からかけ回ってするどい動きを見せてくれたんだけど時間もなく得点はできず。ただ走りの良さとボールタッチの良さは歳に似合わずなかなかで、このまましっかりと成長していってくれた暁に、日本代表入りして山口選手とツートップなんか組んでくれると「まみたん&ちさりん」でビジュアル的にも戦力的にもなかなかの前線が出来上がるんじゃなかろーか。ともかくも勝利はしたけど1得点だけで対象した伊賀に田崎ペルーレFCのおそらくは後塵を拝する形になってるベレーザにはちょっと厳しい状況。来週は大阪での試合みたいで行けないけれど30日は平塚でYKK東北女子サッカー部フラッパーズを迎えた試合みたいなんで行って見て来よー。来週はまたも大宮で「さいたまvs田崎」かな。川上直子山本絵美の最強ウイングコンビが縦横無尽にピッチを切り裂く様とそして、ちさりん伊藤砥知沙選手の小狸ダッシュを見て来るぞ。

 行きつ戻りつする電車で柴田よしきさんの新刊「蛇 ジャー」(徳間書店、895円)の上巻なんぞをペラペラ。猿が……喋るのか。いや驚きはそればっかりじゃなくって全編がごくごくありきたりな伝奇物を想像していた目に驚きを与えてくれる展開にあふれていて、こりゃ楽しい、いや楽しいって思いながらめりめりとページをめくってしまう。兄嫁に子が出来たことで兄かあも母親からもかまってもらえず拗ねていた娘が甥っ子なんか生まれてこなければ良いと宝ヶ池でつぶやいたのがすべての始まり。子を亡くして落ち込んでいた竜に聞かれてしまってわかった願いをかなえてやろうとやってきた竜が生まれた赤ん坊をさらって行ってしまう。娘はしまったと思いあれは気の迷いだったと言ってもあとの祭り。だからといって諦められない娘は竜に帽子をとられたという、妙な理由で竜を追う写真家の男や同級生の少年といっしょに竜を追ってあちらこちらを飛び回る。

 竜がピンク色しているのは序の口で、竜の尻尾につかまるとそのまま時間を超え空間を移動してしまうって設定になっていて少年も、娘もともに昔の伊吹山の山頂へと連れていかれてしまうんだからまず驚き。加えて竜には昔の綺麗だった琵琶湖を2人に見せてやろうって腹づもりもあるよーで、そんなエコロジカルな展開も織り交ぜられながら物語は時間を超えた2人を追い、写真家までもが時間を超えて竜の謎へと迫っていく。そこで出会うのが喋る猿なんだけど、どーして喋るのかは物語を読んでのお楽しみ。とにもかくにも最初っから伝奇と身構える気持ちをすかし吹き飛ばすよーな豪快かつ斬新な展開が繰り返されるんで、読む方も構えずすべてを受け入れる気持ちで「炎都」シリーズにも通じる柴田よしきさんお得意の”娯楽伝奇”を楽しんでみては、如何。楽しいぞー。

 「トヨタカップ」に敗北したんで浮いたお金で「babamania」ってグループの新譜「Jungle Live’n」とそれから大貫妙子さんのとてつもなく古いアルバムのカップリング「GreySkies/Sunshower」を買う。両者に脈絡はまったくありません。babamaniaはちょっと前に千葉テレビでやってたテレビ神奈川の音楽番組にゲストで出ていた時に放映されたライブの様子が格好良かったのと、男女のツインボーカルの片方をやってるMARIって子の顔立ちの良さとそれを上回る声の良さに惹かれてファンになってしまったのが理由。メインボーカルで名前のとおりに元気いっぱいなGENKIとの掛け合いは、音楽自体のテンポの良さも相まって耳に実にハッピーに響く。ライブで見てみたいグループだけどこっちに若さがないのが辛いところ。もらった非売品のクリップで我慢しよー。大貫さんは昔っからのファン。LP版も持っていたけど何故か無性に「振り子の山羊」と「When I Met Grey Sky」とインストゥルメンタルの「Breakin’ Blue」(坂本龍一さんのキーボードプレイがナイス)が聴きたくなったんで購入した次第。こーゆーことって、あるよね。


【11月15日】 「シネプレックス10幕張」「東京ゴッドファーザーズ」。これで2回目。最初の時は次から次へと起こる奇蹟の行方をわくわくしながら追いかけるのに精一杯だったんで、あんまりと良く見入れなかった背景とか動きとかを今回は、じっくり見よーと行ったけどやっぱり本筋の面白さセリフ回しの巧みさに目と耳が引きつけられてしまって、完全には絵に注意を向けきれなかったのが心残りで再々度の鑑賞を決意する。次はやっぱり新宿で見るべきかなー、封切館なのに場末っぽさが漂うあの劇場で。

 それでもいくつか確認できた、背景にいろいろと仕込まれていた「顔」をイメージしたビルとか窓とか室外機の配置は最後の病院をロングで俯瞰するシーンを究極に、向こうから画面が語りかけて来たりにらんできたりするよーな印象を醸し出してて不思議な感じを与えてくれる。これを実写でやろーとしても絶対に無理だけど、かといって絵であからさまに描いたら漫画っぽさが増すだけで、リアルさを追求しつつもこっそりと要素を忍び込ませて雰囲気として浮かび上がらせるにとどめる美術なり、絵描きの腕の巧みさに恐れ入る。あと改めて見たキャラクターの表情の、実に漫画的ってゆーかアニメ的ってゆーか、デフォルメばりばりな感じによくぞこれをリアルな頭身と背景の中で描き動かし切ったものだと感心する。これがあったからこそハナちゃんお長台詞も作れたんだろーなー。

 赤ん坊を抱えゴミの集積場から後ろ姿で歩き去るハナちゃんの無理にお尻をふりふりさせる歩き方とか、ギンちゃんミユキと並んで走る時の脇を閉じて両手を顔の横において小さく振る走り方とか、オカマっぽさをオーバーだけどそれと分かるよーに描いてみせているのにも感心。「千年女優」でも千代子が月だかの上を宇宙服着て歩いていくシーンの後ろ姿でお尻の形や歩き方に、キャラクターじゃない人間の女性っぽさをちゃんと出していたのが目についたけど、人間の形や動きをじっくりと観察した上で、それをパッと見で分かるよーな形や動きを持った絵にする作業がなおいっそう、出来ていたよーに改めて感じる。老人と女性とガキとオカマとヤクザとオヤジの動きを描き分けるアニメ、って日本じゃそんなにないからなー、ってかガキしか出てこないアニメでそこまで動きの描き分けが要求されていないってこともあるけれど。

 思ったことあれこれ。行き倒れかけていた老ホームレスの格好が最初はギンちゃんの格好と同じに見えて仲間と離れひとり酔いながら行き倒れる可能性に思いを馳せていたギンちゃんの、将来を暗示したものかって思えてヒヤッとしたけど物語を通して過去に向き合い未来もつかんだギンちゃんが、あーなるとも思えないだけにきっとギンちゃんに代わって神様が、罪も汚れも全部持っていってくれたんだろーと理解。おそらくはガキどもを撃退して祝儀袋を取り返したものの傷だらけになったギンちゃんに声をかけた天使はやっぱり可愛かった。墓場で酔っぱらったギンちゃんを演じた江守徹さんの酔っぱらってもむにゃむにゃとはならずちゃんと声が細かい部分まで聞こえる演技に感動、やっぱ凄いよこの人は、「ハリー・ポッターと賢者の石」の朗読CDも買っちゃうよ。石丸博也さん加藤精三さんの両ベテランの演技の仕方声の強さにも感銘。かくも完璧に近いアニメーション映画に欠けているものがあるとしたらそれはギャグに笑い感涙にむせぶ観客か。朝とはいっても8人じゃーなー。場面場面で大笑いがわき起こる劇場で見たいなあ。それが劇場映画の醍醐味って奴なのに。

 京葉線で有明へと向かって「東京ビッグサイト」で始まった「デザインフェスタ」を見物。同じ西館(にし・やかた)でも1階でやるよーになって場所が広くなり吹き抜け部分も使われるよーになって出展者数がぐっと増え、なおいっそうの規模拡大が図られているよーで、イベントとしての厚みが増してきた感じ。このまま発展していけば「コミケ」までとは言えないまでもアートやファッションに意欲を燃やす人たちの年に2回のお祭りとして認知され、何万人って観客を集める東京の名物になるんじゃなかろーか。同じアート系イベントなら村上隆さんが頑張っている「GEISAI」もあるけれど、メディアの目がどーしても50万ドルスターの村上さんを頂点に、そこからイベントの質も発掘された新しい才能も見よーとしている感じがあって、お祭りっぽさが出ないのが難しいところ。オーディションとしての性質はそれがシステムとして組み込まれている「GEISAI」の方が強いけど、出展者数で勝る「デザインフェスタ」もこれでなかなか発掘のし甲斐がありそーで、作品が当たって大もうけするスターが出ればひっくり返る可能性もあるのかも。

 今回については時間もなかったんでスターの芽を見つけるまでには至らなかったけど、例えば森博嗣さんの「ZOKU」の表紙を描いている人とかが出ていて新作を展示していたりして、なるほどスターになりかけている人も出展しているんだってことは確認できた。あと雨に佇む少女の叙情性が心にキュンと来る大畑伸太郎さんの作品も展示されていて、写真とかで見てはわからない背景の筆遣いなんかが確認できて面白かった。色を塗り重ねているだけのよーな粗いタッチが離れるとちゃんと街の夜景になるんだよなー、画家って凄い。Tシャツ屋では毎度おなじみ「ちくわぶ」が出ていたけれど冬に向かってTシャツもないんで今回は遠慮。不審船の写真を並べまくったデザインのTシャツは是非に「船の科学館」あたりで売ってもらいたいもの。通路を踊りながらヒット曲をブカブカドンドンやりなが練り歩いていたブラスバンドの一群が陽気で楽しげで見ていて笑みがこぼれる。商売には邪魔かもしれないけれどブースの人も別に怒るでもなくいっしょに騒いでいるのはこれがお祭りだから、なんだろー。「GEISAI」じゃー絶対に見られそーもないもんなー。

 「スポーツ・ヤア」の80号は巻頭でセレッソ大阪・大久保嘉人選手が特集されていて中でインタビューに答えてこんなことを言っている。質問は「それでも、Jリーグでは13枚のイエローカードをもらっていますが」。答えて曰く。「次の瞬間、大久保は語気を強めた。自分自身の怒りを込めながら『分かってますよ。そんなの分からんかったら、アホじゃないですか』」。分かってやっているならアホ以下ってことになるのかな、それって一体何なのかな。行けなかったけど夜の千葉テレビで見た「ジェフユナイテッド市原vsセレッソ大阪」はジェフのフリーキックの場面で何か言ったらしー大久保選手が2枚目のイエローで退場に。ベンチから「離れろ離れろ」って言われているのに近寄っていって暴言を吐くなんて、例え審判が拙すぎるといっても問題だろー。ストイコビッチ選手も来日当時は結構、問題を起こしたけれどここまで頻繁だったっけ。ただ監督が替わりチーム状態が良くなってストイコビッチ選手も立ち直った所があるんで大久保選手も監督が替わりチームが強くなったら更正してその才能を発揮するのかも。あるいは鹿島アントラーズに行けば小笠原満夫選手の影で目立たなくなるのかも。今日も今日とてユ・サンチョルをレッド送りにしたし。


【11月14日】 チェリーボーイ・ミーツ・ガール、とでも括ればその作品に通底するニュアンスをおおよその範囲で語れそーな気がして来たのは、滝本竜彦さんを大フィーチャーした「九龍」の第6号に掲載されてる滝本さん原作の漫画とそれから、超絶久々になる純小説の短編を読んだからで、興味津々で突き進みたい一方で、虚勢を張って遠目に眺める積極性と消極性、前進と逃避がない交ぜになった感情を女の子に対して抱いているチェリーボーイっぽい心理とか雰囲気が、いずれの作品のいずれの主人公の少年からも漂っていたからで、そんなところが未だなかなか健全か不純かはともかく明るいことには違いない男女交際へと至っていない、けれどもいずれはそーなりたい希望を抱いているか、そーなる可能性に思いを馳せている少年たちに、滝本さんが大受けする理由になっているのかも、なんて考える。夢も希望も昨日に捨てて諦めるためだけに生きている当方にはもー、まぶしくって羨ましくってねたましくって仕方がないんだけど。

 短編はとにかくタイトルが超格好良い。「メタフィジカル・マルチまがい」だなんて聴けば実に耳に強く響くタイトルで、おまけに胡散臭さと妖しさと、そしてちょっぴりの切なさも漂っていて、それだけで開いてみたい読んでみたいって気にさせられる。内容の方はと言えば前述のよーに実に真っ当な滝本竜彦作品で、ひきこもり気味な青少年が誘われ言ったセミナーでマルチまがいの目に遭うんだけど、それがちょっぴりマルチとは違って後に尾を引いて諦めきれない感情に胸を掻きむしらされそーになる。表紙にも登場のボンデージなボディスーツに革のコートを羽織った三つ編みの少女の、妖艶さが紙一重な感じで表皮のすぐ裏側へと押し込められ、中から弾け出よーとしている瑞々しさに頭くらくら。冬コミあたりでこんなコスプレしてくれる美少女が出たら良いけど、でも冬は寒いぞお。

 タイトルの巧さについては編集長の島田一志さんが滝本さんに行っているインタビューでも触れられていて、現在鋭意執筆中なのかどーかは知らないけれど、是非に順調に書かれていて欲しい「別冊文藝春秋」に掲載予定の長編「僕のエア」ってタイトルに「ああ、いいタイトルだ。やっぱ、滝本さんはタイトルの付け方もセンスありますよね」って島田さんが感心している。タイトルだけ見ればありきたいりかも、って思えるけれどそれはエアがスノーボードとかスケボーとか、フリースローラインから飛ぶダンクシュートだったらの話。滝本さんの場合、「エア」は「エア」でも「エア・ギタリスト」の「エア」だそーで、CDをかけながらヘッドバンキングしてジョー・コッカーばりの”見えないギター”をかき鳴らす、パフォーマンスに憧れプロのエア・ギタリストになりたいと目論む少年の物語に付けるタイトルとしては、やっぱりセンス抜群と言って言い過ぎではないだろー。しかし一体どんな話なんだ。

 戻ってイダタツヒコさん描く滝本竜彦さん原作の漫画「山田さんの夏」も切なさに胸掻きむしらされる佳作。男女交際なんて無縁そーな3人組の中学生がむつみ合う高校生の男女をのぞきに行った森の奥でUFOから出て来た宇宙人が美少女に変身する場面を目撃する。その少女は夏休み明けに彼らと同じクラスに転校して来て、そのまま何もないクラスメートとしての中学生活を過ごし卒業とともに別れやがて10年の時が過ぎる。そこに忘れていた山田に関する話題が舞い込んで来て、抱いていた夢はかなわず希望も薄れ現実に絶望していた元少年に、輝いていた過去を思い起こさせる。希望を抱かせ立ち直らせたかあるいは絶望の淵へと鎮めたかは読んでのお楽しみ、とゆーか読んでもきっと読む人ごとに違った未来が見えそー。迷いを抱く少年少女に迷いを嘆く元少年少女に過去を、今を、未来を考えさせる物語って言えそー。ダブルタツヒコ、やってくれたぜまったくもう。あとインタビューで知った滝本竜彦さんデビューの経緯に僕は12へぇ、貴方は何へぇ?

 青山で電気自動車の「Q−CAR」が「ドミノピザ」の宅配用に納車されるってんで見物に行く。機動力が取り柄の3輪スクーターで細い路地も渋滞もすいすいと抜けて高速配達するのが宅配ピザってことになるなら、小回りは利くと言っても幅はスクーターより広くって、渋滞にハマったら抜けられそーもない「キューノ」では30分以内の配達も時々失敗そしーだけど、ドミノピザっぽい色に塗り分けられてる上に正面にペロリと舌を出した口が描かれていて愛嬌のある車だけに、これで配達してもらえるんだったら30分がちょっとくらい遅れても許してしまえそー、かどーかはやっぱり受け取る人の気持ち次第か、だいだい外まで言って「キューノ」で来たかを確認する人なんてそんなにいないだろーし。

 それにしてもお互いにメリットのありそーな今回のコラボレーション。日本に宅配ピザって事業を持ち込んで話題を集めた「ドミノピザ」にとって目立つ電気自動車で宅配を始めるってことは新しい話題につながるだろーし、「Q−CAR」を納めたタカラにとっては街中を頻繁に走る電気自動車が増えればそれだけ人の目に付く機会が増えて、口コミでも何でも関心を広げる大きなチャンスになる。まさに一挙両得って奴。今はまだ2台だけど20台30台を増えていけばそれだけ話題の範囲も広がりそーで、人気も膨らんで今はまだ買える「キューノ」も遠からず買えなくなるってことになるのかな。だとしたら今のうちに買っておくのが良いのかな、「ハローキティキューノ」なんて乗ってたら絶対に目立つのに。ってかまだ売り切れてないのかな。ちなみに電動ハイブリッド自転車の限定版で昔懐かしいヤマハのオフロードバイクを模した「B PLUS DT」はまだ残っているとのこと。こっちなら減らされたと言え冬のボーナスで手が出そーだし、買っちゃおーかなどーしよーかな。


【11月13日】 「アニメイト」で「月刊ニュータイプ」を買ってもらったパンフレットの「きゃらびぃ」68号は表紙がフリヒラな格好でしゃがんだ田村ゆかりさんでちょっぴりのぞく白い膝小僧がとってもキュート。でも目は寄り目。下の方に「ふぁーすとらいぶ」の案内が載ってて日付は12月28日で場所はお台場の「Zepp Tokyo」で年末のコミケ初日に押し掛けた人が夜に巨大な買い物袋とか下げた格好で集まりそーな予感。前日は確か大宮ソニックシティでブロッコリーのライブが行われることになっているんでマニアには懐の厳しい年末になりそー。田村さんは両方を掛け持ちかと思ったらブロッコリーの方はエンジェル隊が新谷良子さんかないみかさん山口真弓さんの3人で沢城みゆきさんはD.U.Pに入ってるから出ないのは田村さんだけの模様。沢城さん見たくて田村さんも見たい人は両方行け、ってことなのかそーなのかそーしよー、って行く気か? ロイヤル席の抽選に申し込むのか?

 人は過ちを繰り返してより間抜けになっていく。なんて言ってしまってしっぺ返しも怖いけど、それにしても電子出版をめぐって起こるハードの先陣争いとそれを追従していく出版業界の動きを見るに付け、根本的なところで「本を読むってどーゆーこと?」って議論がすっとばされている気がして何だかなあ、って思えて仕方がない。9月の頭に電子書籍ビジネスコンソーシアムってところが中心になって新しい電子出版のビジネスを立ち上げるって発表して、松下電器産業が「シグマブック」なる専用端末を展示して「さあこれなら今まで電子出版が苦手だった人でも喜んで手に取るよーになるでしょう」的なアピールがされ、て辟易としたばかりだけど、今日は松下と言えば対抗馬として必ず出しゃばって来るソニーが新しい電子書籍用端末なんてものを発表し、そこにコンテンツを提供する会社も立ち上げるって発表したからもう大変。VHS対ベータのビデオ争いから最近ではDVDレコーダにも及ぶ2社の規格争いが、こんなところにも現れてしまったと見ていてやるせない気持ちになって来る。

ハードは新しくなってもやることは一緒、じゃ「デジタルブック」は超えられない  なるほど講談社と新潮社ってゆー大手出版社を出資者に集め社長には名物編集者としてつとに知られる筑摩書房取締役の松田哲夫さんをそおままの肩書きで社長に迎えた新会社「パブリッシングリンク」なんてものを設立して、コンテンツの方は万全だって姿勢を打ち出している。松田さんは「本とコンピュータ」って雑誌でデジタル出版なんかについても考えてきた人だけに、それなりの成算もあっての登壇って思えて思えないこともないけれど、会見で出てきた話だけだと紙で読む本を上回って専用端末で本を読むメリットがあるよーにはとても受け止められず、本が好きで本を読む人たちにどこまで受け入れられるのかって疑問が浮かんで来る。紙ですら本を読まなくなった世代には言わずもがな。500円の文庫すら買わない人がおそらくは何万円もする専用端末を買ってまで本を読むとはとてもじゃないけど思えない。「デジタルブック」の失敗からなーんにも学んでない。

 もっともいろいろと新しいアイディアは盛り込まれているよーで、例えばコンテンツを販売じゃなくレンタルにするって発想は、いきなり買うにはヘビーな本をちょっとつまんで読んで面白ければ買うって読書のスタイルを作ったり、あるいは家にあるけど閉まってしまって出てこない本の一部分をつまんで読み返すというう読書スタイルを作ることが念頭にあるよーに伺われる。紙の本とゆーのが一方に厳然としてあって、こっちには手軽に楽しめる電子出版ってものがあって、相互に補完しながら「出版」とゆービジネスなり文化をもり立てていこうって考えがあるのかもしれない。それはそれで面白いんだけど、だったらなおのこと専用端末なんているんだろーかと思えてしまう。既にあるPDAで本は読めるし携帯電話でだって本は読める。「ゲームボーイアドバンスSP」があって「PSP」も出てくる携帯ゲーム機でもコンテンツが見られるよーになっている昨今、充電の必要なこれらの機械にさらに加えて”本しか読めない”機械を持ち歩く余裕は少なくとも僕にはない。面倒くさい。

 それでも例えば、朝に通り過ぎる駅でホットスポットみたいな場所に立ってネット上をブラウジングしながら読みたい本をあっとゆー間にダウンロード、通勤電車でペラペラと読んであとは網棚ならぬ勝手に消えるのを待つとかいった具合に、購入時の手軽さが保証されれば買おうって気にもなる。なおかつそこまでして読んでみたいコンテンツが抱負に用意されることが実現したら、専用端末だって持って悪くもないかなって気もしないでもない。読んでいて楽しんでいた漫画がことごとく終わったり月刊の方へと移ってしまった「少年マガジン」から「ネギま」だけどか「スクールランブル」だけとかいったつまみ食いが出来れば雑誌なんて買わずに専用端末へとダウンロードして読むだろー。星慎一さんの1000以上あるショートショートが毎朝1編づつ、配信されるんだったら毎朝の味気ない通勤もちょっとは面白くなって来る。

 そーいった「本を読む」ってことがどんなことでそれに対して「パブリッシングリンク」が行うサービスがどーゆーことをしてい行くのか、って部分から説明があれば未来にも希望が抱けるんだけど、並んだソニーの人が手に専用端末を持ってその性能の良さをアピールしながら「ゲゲゲの鬼太郎」を画面に映し出している状況を見るに付け、電子出版に相応しいコンテンツとは何か、電子出版を楽しむライフスタイルとはどんなことか、っていった議論を脇においてまずはハードでのデファクト争いで大手を抱き込み、勝利を目指すんだ、ってハードメーカー主導の構図が前面に出てしまって気持ちが淀む。「eペーパー」を表示装置に使った端末はなるほどコントラストもクッキリしていて、反射光でも十分に見られる水準にあるけれど、ページを繰る時に残る残像は目に鬱陶しい。それもいずれ改善されるだろーけどだからといって専用端末でわざわざ本を読むメリットは、紙と同等のクオリティにあることでは決してない。まあそこは名編集者をトップに仰いで5億円近い資本金で立ち上げるビジネスだけに、これから出てくるだろー施策に期待を寄せつつお手並みを見させて頂くことにしよー。

 「月刊ニュータイプ」を読んでいてあの名作アニメーション「パタリロ」がよーやくやっとDVD−BOXになることを知る。買おう。まだ学生だった自分に平日夕方からの放映を学校から速攻で帰宅して見入った記憶が今もくっきりと残ってて、白石冬美さん曽我部和之さん藤田淑子さんといった超絶豪華なメンバーの織りなす可笑しくって格好良い演技に酔いしれたものだった。途中から「ぼくパタリロ」に題名が変更になったのは題名だけじゃいったい何の話か分からなかったからなのかな。値段も目茶高って感じじゃないし特典もそれなりで楽しそー。問題があるとすれば劇場版で原作的にもアニメ映画的にも面白かった「スターダスト計画」の扱いがどーなるか、ってことで出来ればボックスにまとめて欲しかったけど別で出るならそれはそれで。しかしそれにしてもアニメ化から20年が経ってしまっているとは改めて驚き、僕も歳をとったなあ。それより原作が未だに続いていることが驚き。魔夜峰央さんは歳をとらないのか。


【11月12日】 「限定」って言葉への耐性のなさにかけては世界に誇れるくらいに弱々で、最近でも「GEISAI2」に行っては村上隆さんのフィギュアが入った「村上隆のSUPERFLATMUSIUM」を並んで1箱買い、同じものの別バージョンが出るといってはオープンしたばかりの「森美術館」へと出向いて1箱買い、といった具合に年甲斐もないあたふたぶりを発揮していたりする。「アルフレックス」の侍フィギュアも随分と積み上がったし。それでもとりあえずはオタク関係に限定されている分、値段に篦棒なものがないのが幸いで、これがファッションアイティムのコラボレートモデルになるとスニーカーで3万円とか、ジャケットで6万円とか平気でするから困りもの。懲りだたら財政破綻は確実だけど、幸いにしてそーしたお洒落なアイテムの売っている場所へと出向 いてショップに入って恥ずかしくない服装がないんで、最初っから手を出さずに済んでいる。

 ところがここに新たに登場したコラボレーショングッズがくせ者で、なるほど方や今敏監督の最新アニメーション映画「東京ゴッドファーザーズ」のキャラクターグッズって側面を持ってはいるけれど、こなた「NARCOTiC」ってゆー”ドラゴンアッシュやゆずなどのCDジャケットを手がけるグラフィックデザイナー・河原光氏が立ち上げた”ブランドとのコラボレーションってことになっているものだから、売っている場所が東京はお洒落の殿堂・猿楽町でショップも「GDC」ってオープン時には行列も出来たほどの人気のショップ。勢い来る客も若くてスリムでハンサムで、スタイルも良くってお金もいっぱい持ってる人たちばかりと想定され、アニメグッズが欲しいからってそんな場所へとお洒落な人の波を渡って行ってお洒落な店員さんを相手に商品を購入するだけの気力体力が湧いてこない。

 とはいえそこは素晴らしきアニメ「東京ゴッドファーザーズ」へ敬意を捧げたいって意とそれから、もしかするとアカデミーなんとかを「東京ゴッドファーザーズ」が獲って関連グッズにもスポットが集まりプレミアムが付く、なんて邪な妄想も浮かんで背中を押してくれて代官山からお洒落な店が軒を連ねる通りを抜けて、絡まれもせず憐れまれもせずに無事、店へとたどり着いては目的の商品を目でチェック、想像していたよりストールは短く帽子も「ジープキャップ」ってゆーから何かと思ったら覆面タイプの目出し帽で、普段はあんまり身につけられそーもないけど来年元旦のサッカー「天皇杯」に行くんで寒さ避けにはちょうど良さそーなんでまとめて購入する。せっかくなんで「天皇杯」まで待たずに12月のサッカーに着用していく可能性もあり。それより前だと日曜日に「ロフトプラスワン」で開かれる「アニメスタイル」のイベントかな、地下の部屋に胡乱な目出し帽人間がいたらそれが僕だ。

 その「東京ゴッドファーザーズ」を「月刊ニュータイプ」の2003年12月号では見開きでフィーチャー、美術監督の池信孝さんとそれから今監督の2人に背景とか美術についての勘所なんかを聞いていて、あの濃密な背景がただ単にリアルさを追求するだけでなく、本編の中にどーゆー意図でもって使われるかまで考え抜かれて描かれているんだってことが分かる。昔のアニメなんかだと開く扉、動く物ってのはあからさまにセルの質感で描かれていてほかは単なる書き割りになっていたけれど、「そのカット内で手に取るかもしれない臨場感が欲しい」ってゆー今監督の要望なんかも容れて「東京ゴッドファーザーズ」の美術は描かれているんだとか。雪の描き方ひとつにもこだわり抜かれた画面が醸し出すリアル感はなるほど努力と苦労の賜で、CGばかりがリアルさの頂点だと思いがちな人たちに、手書きとコンピューターの融合が醸し出すリアルさってものの凄さを知らしめる金字塔的な作品になりそー。それはそれとして「ニュータイプ」の版権イラストの小西賢一さん描くミユキ、美少女過ぎ。

 「月刊ニュータイプ」2003年12月号ではもーひとつ重要な、そして大勢の怒髪を天に衝かせそーな記事が掲載されてて読んで僕自身も想像の怒髪を逆立ててみせる、実際には見えないけどね。かねてよりその敬愛ぶりをハイブリッドエッセイ「超人計画」に登場するキャラクターに託して表明していた滝本竜彦さんが敬愛の対象となった綾波レイを演じた林原めぐみさんと紙上で堂々の対談を果たし、なおかつ身近に寄り添って記念写真まで撮影してもらっていてもー羨ましいったりゃありゃしない。こちらを見つめる滝本さんの目もどことなく喜びに踊っているよーな感動に酔っているよーな緊張に泳いでいるよーな。それにしても写真の林原さん、なかなかに胸板が垂直に似た形状だなあ、それもそれで大好きです。

 本文の方ではいつもながらにぐるぐると自分の小説のこととか、最近書けなくなっていたことを語り才能が枯渇してしまんだあ、って悩んでるんだけど、そんな悩みを林原さんがあっさり「枯れちゃったら休めばいいじゃん。才能って、枯れるからホンモノなんじゃないかなって思うな」と言って肯定してしまっていて目から鱗の衝撃を受ける。そーか枯れたら休めば良いんだ。ほかにも「でも無駄も大事でしょ」「(2年は)長いかな? こういう仕事って、余力を残さずすべてを出し切るから受け入れられるんだと思う」って感じにスランプになろーと悩んでいよーとお姉さん平気よ受け入れるわ、なんて感じの優しい言葉のオンパレード。それでも「家に帰って反省します」と我が身の至らなさに思いを馳せる滝本さんに「私はとっても楽しかったから、そんなことしちゃ『ダメ、ゼッタイ』」と決めのセリフも鮮やかに決めて見せた林原さんの”愛”を浴びてきっと滝本さん、1カ月くらいは浮いた気分でいたんだろーなー。そんな成果がこれから続々と出てくるだろー漫画の原作や小説やエッセイに反映されているだろーことに期待。しかしそれにしても。羨ましい。生声「ダメ、ゼッタイ」を録音してパソコンで再生しまくってるのかなあ。


【11月11日】 「種」はどこまで続くのか。すでにしてテレビ放映は今秋で終わって後発の「鋼の錬金術師」の人気もそれなりだったりするんだけど、「機動戦士ガンダムSEED」の人気の根強さはやっぱり相変わらずで、今も真夜中に再放送なんかが行われていたりして、再放送なんて滅多に行われなくなった昨今に異例とも言える扱われぶりに驚いていたらこれまた何と、年末に「機動戦士ガンダムSEED FESTIVAL」なんてものが開かれることになってるみたいで、冬の「国立代々木競技場第一体育館」を埋め尽くした少女や自称少女の喚声の凄まじさを想像するに、行間近で嬌声に浸り全身の細胞を震わせてみたいもんだと思えて仕方がない、けどさすがにおっさん1人で覗く勇気は……。「有明コロシアム」の「テニスの王子様」のイベントも状況は同様だったけど取材だったからなあ。

 人気があるなら商売ショーバイ、ってことでバンダイの関連商品の投入も未だに堅調な模様。この24日から「SEED」のキャラクターが入ったハガキをプリントできるCD−ROMがセットになった”玩具菓子”ってのを全国のコンビニエンスストアとかスーパーとかで発売する予定で、キラがアスランな女性にわんさと売れちゃいそー、ってかパッケージに描かれているのが男キャラ2人ってところにそもそもがそーゆー方面で「SEED」は人気になったんだ、って認識を制作側がちゃんと認識して、だったらそーゆー方面に向けて「SEED」関連商品は出せば売れるんだろー、ってことを了解していることが伺える。うまい鉱脈掘り当てたもんだ。

 ロボットアニメでキャラクターグッズって言ったら対象は少年(含む元)で「SEED」だったらフレイかラクスがカガリってあたりが昔ながらの発想では前面に出てきた可能性が大。20歳前でハマーン・カーン様LOVEだった当方にとっては25歳のマリュー・ラミアスだって全然オッケーなんだけど、それはさておき「WING」あたりから「ガンダム」にも広まっていた「や」が「を」で「い」な空気が大爆発した今となっては、そーゆー方面で商品がガンガンと出てくる可能性は低そーなんで、ここは気持ちを切り替え美少年の美少年とメカとハロ、なんて組み合わせを愛でるマインドを育めるんならそーするし、出来なくってもCD−ROMには入っているだろー女性キャラのイラストを引っ張り出して、ちびりちびりと楽しむことにしよー。

 それにしても”玩具菓子”の世界は日進月歩。フィギュアが入っているくらいなら当たり前で、ちょっと前からCDシングルが入るよーになってはレコード店で売れるCDシングルなんかとは比べ物にならないケタ数でもって、発行枚数を押し上げていたりするし今度はCD−ROMも登場。お菓子さえ付いていればコンビニだろーとスーパーの食遺品売場だろーと置いてもらえるってメリットを、存分に活かして新しい市場を切り開こうってしている。さらにはDVDビデオなんかも登場って話が出てきて凄い時代になったもんだと感嘆に浸る。

 発売するのはやっぱりバンダイで、東宝の映画「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」の公開を前にプレミアム映像が収録されたDVDソフトがセットになってカードも入って申し訳程度にラムネ菓子も入ったパッケージ「at Live! DVD ゴジラ×モスラ×メカゴジラ」なんてものを12月1日に投入するとか。収録時間は実に31分。見られるのはこのDVDだけってゆー小美人の「モスラの歌」のクリップも入っているらしく、マニアならずとも買っておきたい逸品かも。CD−ROMにDVDビデオまでセットになって、さてこれを上回るインパクトを持った”玩具菓子”ってのがこの先あるんだろーかと考えてみたけれど、大きさはそれなりで値段もそこそこって制約を踏まえるとこれでなかなか難しい。良いアイディアが浮かべばヒットにつなげられるってことで、菓子メーカーも企画会社もコンビニも、いろいろ知恵を絞って来ることになりそーでちょっと楽しみ。美少女との交際権、ってなると盛り場の自販機に既にあるからダメかな(それ以前に公序良俗違反です)。

 「Xbox」入り”玩具菓子”、なんてものがあったら買うけど値段が1万円以上もするからまず無理で、そもそもが家庭用ゲーム機で最大の大きさを誇る「Xbox」を菓子にセットで売るのは無理なんで最初から却下。とはいえそれくらいまでして売りたいって思いにきっとマイクロソフトもあふれているんだろー、”玩具菓子”ではないけれど、ソフト2本にDVDビデオ再生キットもセットにして19800円なんて値段の「プレミアムパック」ってのと、本体だけなら16800円ってのをこの20日から市場に投入するそーで、現行24800円なんて値段じゃちょっと手が出ないって思っていた人の購入意欲をくすぐり……くすぐる……かもしれない。ってゆーかすでに値段が安ければ売れるってゆーレベルを通り抜け、ゲーム機を選ぶ眼中からデフォルトで除外されているっぽいハードだけに、冬の商戦でどんなことをしても同じく値下げした「プレイステーション2」や、新作ソフトがわんさと出てくる「ゲームキューブ」を越えるのはちょっと難しいんじゃなかろーか。

 ジョーム大浦さんから数えていったい何人目くらいになるんだろー、マイクロソフトで「Xbox」事業の面倒を見る人の話だと、それでもやっぱり今頑張る姿勢を見せておかないと、次世代機になった時に協力してくれるソフトメーカーもいなければ買ってくれるお客さんもいなくなってしまうってゆー悪循環に陥る可能性が大。それはセガなんかが負け続けた揚げ句にハードを最後には退いてしまってマニアをがっかりさせたのと似た構図だったりする訳で、未だ”勝つ”意欲満々のマイクロソフトがその轍を踏むわけにはいかないってことらしー。その意気や良し、ではあるんだけどやっぱり日本市場に限って言えば、新作ソフトが売られている場所すら分からなかったりするくらいに(「雪風」の実物を見たことがない)扱われ方もマイナーなら、売る気もそれほど感じられないのが現状。ここと果たして新しく来た責任者の人がどこまで変えて行けるのか、年末商戦への取り組み具合も含めて様子を観察して行こー。

 新木場にあるシネマコンプレックスの夜興行でよーやくやっと「スカイハイ 劇場版」を鑑賞、3人しかお客がおらず座っている場所から誰もいない状況で真正面に視界いっぱいに広がるスクリーンでもって釈由美子さんのアップになる顔、顔、顔を拝める光栄に良くして死んでも良いって気になったけど、普通に死んでも”怨みの門”にはたどり着けないしそこで出会えるイズコが釈ちゃんって保証がないのは映画を見れば明快なんで、とりあえず2時間をほぼひとりじめ出来たことを喜び夢に記憶から引っ張り出して喜ぶことにしよー。でも出てくるのが直前に流れたホラー映画の予告編のお化けだったらやだなあ、天井から逆さにぶら下がって追っかけてくる奴。

 イズコが釈ちゃんとは限らない、ってのはつまりは今回の劇場版で釈ちゃんは最初はイズコじゃないってことで、教会の控え室、ウエディングドレスに身を包んだ釈ちゃんが、入ってきた夫となる男性に向かって後でと言って切り替わった礼拝堂の場面で、待ち受ける男性に向かってゆっくりと歩を進める釈ちゃんのぽっかりとくり抜かれた胸から流れるのは真っ赤な血。実は男性は刑事でしばらく前から続出していた心臓を奪われ殺される事件を担当していて、その日も直前まで同じ事件の捜査をしていて明けてかけつけたんだったけど、今度は自分のフィアンセが同じ事件でもって殺害されてしまうことになったのだった。慟哭する男性を後目に釈ちゃんが向かったのは殺された人がたどり着くとゆー”怨みの門”。そこで出会ったイズコとゆー女性から、「スカイハイ」でおなじみの3つの選択を迫られることになった。

 映画は自分が殺されたことで怨みに燃えるフィアンセの刑事を止めよーとする釈ちゃんと、そんな釈ちゃんの声も届かず暴走していく刑事の動きを中心に進んでいく感じ。やがて事件の犯人が現れ、彼が悪魔をこの世に蘇らせるために釈ちゃんたちの心臓を抜き取ったことが分かって事件は犯人を止めよーとする刑事たちと闇の力をまとって突き進む犯人、そして”怨みの門”を守るイズコも加わっての激しいバトルへと突き進んでいく。テレビ版の「スカイハイ」をまるで見てなかったんでどーゆー関係にあるのかは不明だけど、パンフレットなんかを読むとテレビシリーズでイズコを辞めた釈ちゃんのその後を描いているってことで、蘇ってまた殺されてしまうあたりにふんにゃかしている割には薄幸な人だって釈ちゃんに同情してしまいたくなる、ってそれは役の話か。

 北村龍平さんが監督ってことで全編ハイスピードなアクションか、って思いもしたけどどちらかといえば「JamFilms」に収録されている「messenger 弔いは夜の果てで」で見せた静と動とか組み合わさった緊張感のあるお話作りになっていて、アクションの積み重なりだと飽きてしまう人でも楽しめそー。サービスなシーンにちゃんと配慮されているのも特徴で、岡本綾さん演じる女性編集者が遅刻して見つからないよーに床を這って歩くシーンなんて、お尻の感じ太股もの感じ胸元の感じの素晴らしさに目がスクリーンから離せなくなってしまいから要注意。アクションシーンも「VIRSUS」だと男どうしの銃撃戦で「あずみ」だとスパッツだったから迫力はあってもお色気はなかったものが、「スカイハイ」では剣を使った格闘を演じるキャラクターのうち3人が女性ってことで、太股ちらちら見せながら剣を振り回す場面がいっぱいあってこれまた目を離せない。ドラマもちゃんとあってアクションも楽しめるって意味でこれまでの北村さんの監督作品では1番一般受けをしそーな感じかも。2時間近くを最後までわくわくしながら楽しめました。

 俳優ではアップになるだけで頬もほころぶ釈ちゃんはさておいて、悪魔的な笑いを浮かべた表情と迫力のアクションを見せてくれた大沢たかおさんおさんがやっぱり存在感でピカ1か。それと「messenger」で「おまえはもう死んでいる」的メッセージを届ける謎の女を演じてた魚谷佳苗さんが今度はミニスカートで刀を振り回すアクションシーンを演じてみせてくれていてこれまた最高、笑わず怒らずただひたすらに冷徹さを貫くな表情も併せて強く印象に残る。そんな彼女と戦う霊能者・秀芳を演じている女優が最初は誰か分からなくって、声とアヒル口から工藤静香さん? なんて一瞬思ったけれど調べて菊池由美さんだと判明、「まほろまてぃっく」にも出ている人だけど、顔を出しての演技もばっちりならアクションも全然オッケーで、魚谷さんの刀を足で壁に押しつけ止めるシーンでのにょっきりのぞいた太股に、目が眩んでしまった。セリフ回しの洒脱さといー、これから凄い女優になって行きそー。次にどんな作品に出るのかは知らないけれど、とりあえずは「まほろまてぃっく」でどんな声を出してたかをチェックだ。


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