縮刷版2002年9月下旬号


【9月30日】 眼鏡っ娘が眼鏡っ娘が眼鏡っ娘が眼鏡っ娘がハアハアゼエゼエ。なんて感じに心臓をバクバクさせただろー人が日本全国に早朝で2000万人、昼の再放送時で840万人はいたあろーと類推されるNHKは朝の連続テレビドラマ「まんてん」の第1回放送。誰もがヒロインの宮地真緒さんが見せてくれるだろースレンダーなのにグラマラスとちゅーメリハリの利いた肢体に注目していた中で、人混みの中にひょろりと登場した儚げで可憐な眼鏡っ娘の姿に朝の眠気は吹っ飛び昼の飲みかけていたコーヒーは口から吹き出され、誰なんだ何なんだどういう存在なんだそれにしてもあの巨大な眼鏡はいただけないってな感想を、瞬時に頭いっぱいに閃かせたに違いない。

 根っからのアイドリアンならチラリと見ただけで誰かを判別したんだろーけどあいにく、「モーニング娘。」の新メンバーが未だに分からないていたらくな身では即座に名前が出てこず調べるとををこれは。たぶんだけど「ヴァニーナイツ」で「ミニスカポリス」な永井流奈さんでありました、って並べると足あげキックもバンバンだった「ヴァニーナイツ」のどこが儚げだ、見せることが仕事以外の何ものでもなかった「ミニスカポリス」のどこが可憐だと言われそーだけど、いずれの番組でもどちらかと言えばおとなしめのキャラで目立ってた口なんで格好こそ変わっても同じキャラクターを引きずっていると思ってそれほどはずれてない。できれば同じ格好でもご登場願いたいところ。眼鏡かけるのも忘れずに。

 乳揺れが乳揺れが乳揺れが乳揺れがフウフウヒイヒイ。なんて感じももちろん健在。Tシャツ姿で屋久島の自然を走るテンポに沿うよーに、満天こと宮地真緒さんの大き過ぎず洗濯板でもない胸山が上へ下へと振動する姿を見ているうちに、ブラウン管の奥から疾走して来た波紋が目を撃ち脳をかき混ぜ朝の眠い目昼の爛れた目を離さない。走るシーンでは1枚だったTシャツが森の奥へと出かけて川に飛び込むシーンでは2枚重ねになっていたのは卑怯千万とゆーより他にないけど、岸からあがった時の張り付き具合はまあそれなりな再現度だったんで、NHKにしてはよくやったとここは素直に誉めておきたい。だけど次回はちゃんと1枚で泳がせるんだぞ、柄ものじゃなく白の無地Tならなお良いぞ。

 乳ぽろり乳ぽろり乳ぽろり乳ぽろり乳ぽろり。なんだけど嬉しさよりも気持ちの悪さがやっぱり先に立ってしまった「機動警察パトレイバー」の劇場映画第3弾「ウィステッドサーティーン」。乳ぽろりってのはもちろん最後に出てくるシーンなんだけど、先だって購入したDVDに入っていたライナーを読んでいたら、とり・みきさんの手になるマンガに高山文彦総監督が手がけた初乳揺れがあれだったって話が書かれてあって、思わずご愁傷様と手を合わせてしまった。本編も見たけど2回はしんどいんで今回は最初からオーディオコメンタリーを聴取。メンバーは出渕裕さんと脚本のと・みきさんとゆうきまさみさんで、これに火浦功さんも加わればそのまま気分が80年代中期の「日本SF黄昏(おうごん)時代」へと引き戻されそーな気もしたけれど、「トリガーマン」が忙しいのか「パトレイバー」とは無関係だからなのか(こっちだろ)火浦さんはおらず。それでもそれぞれに達者な話しぶりで作品への関わり方や意見なんかを繰り広げてくれて、先だって見た「ロフトプラスワン」でのDVD発売記念イベントにも増してDVDを見る参考になった。

 とにかく複線と隠喩のオン・パレードだった「パト3」。DJの回すターンテーブルにも冴子の義父が庭の池の鯉に餌を蒔くシーンにもちゃんと意味づけがあって、撮れば映る実写と違って描かなきゃ絶対に映らないアニメーションならではの作画の心意気ってものを思い知らされる。途中出てくるアイパッチ野郎のパッチがシーンによって代わっているのはそーゆーネタが好きなとり・みき脚本ならではの醍醐味、ってのは嘘だけどそーゆー嘘をコメンタリーでついてくれてたり、工事現場で出てくる「オジギビト」に言及してくれていたりして、とり・みきマニアな人にも楽しめるトラックになっている。もーひとつ監督とか絵描さんのオーディオコメンタリーも入っているけどこちらは未聴。シーンの解釈でとりさんたちと違った部分もあるそーなんで、何を言うのかを楽しみに聴いてみよー、そのうちいつか。

 どこのパチンコ屋の開店前風景だろー、なんて思ってしまった北海道での偽装肉購入金返還サービスで起こった大混乱のニュース映像。もちろん人に上下はないし人が見かけによらないってことも一部に真実ではあるけれど、それでもやっぱりどう見ても誰が見ても日頃スーパーへと出向いて何万円から何十万円も肉とか買いそーもない、髪型は短かったりチリチリに丸まってたりして服装は体育に適していそーで、けれども靴は運動には向いてなさそーなサンダル雪駄な風体の人たちばかりが詰めかけは社員や警備員と悶着を起こしている光景には、謙虚で正直で他人を思う心がつよく恥を何より嫌う人間の美徳ってものからミッシングリンクで隔てられた、新人(ホモ・ヤンキィス)って存在が世界には登場してたんだなー、なんて文化人類学的にもエポックメイキングなものを見てしまう。インタビューに答えたヒップホップな兄ちゃんが2万とか3万とか肉、スーパーで買ったと善人にも信じてしまえる人はきっと、旧人(でもホモ・サピエンス)として文字どおり弱肉強食の憂き目を食らうだろー。この場合食ってないっぽい方が勝った訳だけど。


【9月29日】 深夜の「当虚ヴェルディ1969vs名古屋グランパスエイト」の録画中継までの繋ぎと思って見始めた「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」のDVD。途中、温泉の独白シーンまで、マッハ軒のハリアーのシーンまで、廃墟となった友引町でのメガネの長科白まで、ってな具合に区切りを付けよーとはしたんだけど、その次に来る山場なり見たいシーンなりラムなりさくらなりしのぶなり竜ちゃんの姿が見たくなる罠にはまってテレビに切り替えられず、結局「責任とってね」の名科白に続く落下とそしてアバンタイトルまで一気に見てしまい、おまけに最初の方だけ聴こうと決めて始めた池田憲章さん司会による押井守監督や千葉繁さんらのオーディオコメンタリーがまた面白く、これまた最後のシーンまで一気に聴いてしまった。最近が劇場でだって2回りしなくなったのに。これが好きってことなのだ。

 しかし聴いて驚いた「ビューティフルドリーマー」の真実。夢邪鬼との決戦にのぞんだ面堂とさくらのシーンで使われたトリックが実はコンテ切ってる時にパッと思いついてやっちまったことだったらしー。子豚の尻のついているマルシーのマークが最後まで意味不明だったり合宿所と化したあたるの家で出される素麺が緑色の茶蕎麦になっていたりするのはまあ、伏線を張ろうとして尺の関係で失敗したんだろーとか塗り間違えたんだろーといった想像も出来るけど、面堂さくらのシーンはどんでん返しの面白さを見せるために最初からキッチリと計算して作ったんだろーと信じていただけにとっても意外。それでも破綻させずにピタリと着地させて見せるあたりが一種の才能って奴なんだろー。

 謎も判明。あたるが水たまりに消える通学場面で風鈴が飛び交う幻想的なシーンを見たしのぶが路上に立ちすくんでいる姿を窓から見おろしている人間は実は「見おろしている人」らしー、つまりたいして意味はなかったってことで。音楽が場面にピタリと合っているのは押井さんが星勝さんにそー頼んで作ってもらったからだとか、水族館のシーンでラムがポンチョを着ているのは押井さんがそれを気に入っていたからだとか、聞けば目から鱗のコメントが多数あって聞き始めたらそれこそ一気は確実。他の押井作品への言及もあって例えば「パトレイバー」ではしのぶさんの科白に榊原良子さんが違和感を訴えてしばらく押井さんと間柄が気まずくなったって話に、押井さんらしさ榊原さんらしさを覚える。

 驚きだったのは「天使の卵」が最初はコンビニを舞台にした話だったってこと。けど天野嘉孝さんのキャラを見た瞬間にこれはコンビニでは無理だと断念してあーいった作品になったとか。お陰で売れず押井さんはしばしの潜伏期間に入る羽目となる。考えると天野さんも罪作りな人だったんだなー。けどコンビニが舞台になった所でボロアパートが舞台でオヤジが食ってばかりな「迷宮物件」みたいに「天使の卵」がなっても売れたかどーかは怪しい所なんで、潜伏も仕方がなかったってことなのかも。コンビニ舞台でリメイクするなら実写かな、ってコメントも出たけど直後に実写だとあんな役柄をこなせる女の子がいないって話になって、さらにポーランドだったらいるぞって話に及んだ辺りに「Avalon」での懲りずポーランドでまだまだ映画を撮るんだってな意欲が感じられてゲンナリ……いやガッカリ……違う期待大。ポーランドにコンビニってあるのかどーか知らないけど。

 起きて「ぴたテン」最終回は、まあるく収まるハッピーエンドでまあ良かったってことで。次回から始まる「ギャラクシーエンジェル」の予告のバックで流れてた曲と唄っていた人は何で誰なんだ。家にいると時間を無駄に潰すだけなんで鞭打って「東京都現代美術館」へ。すでに見た「横尾忠則」は放っておいて地下でやってた「QUOBO ベルリンのアート展」(800円)って奴を見たけどまあ、それなりな現代美術が並べてあるくらいでとてつもない啓示は受けず。ターンテーブル4台並べた上にいびつな形のレコード盤を置いてノイズっぽい音をそこから流しているのをヘッドホンで聴くって趣向は、ターンテーブルのスイッチ操作とかによって音が変わる面白さはあるけど聴こえて来る音自体に意味がある訳じゃないし、何かを暗喩してる風体もさほどない。

 アドルフな人とかのメッセージを切り刻む、ってなあからさまなまでのメッセージ性がある作品がだったら良いかって言われれば違うけど、並べました流しました聴かせましたって”状況”から何が浮かび上がるかってゆーと別に何もなく、どう解釈したら良いものかと悩む。解釈しなくても感じるフォルムなりパフォーマンスってのもあるんだけど。傾いてるらしービリヤード台で好きに玉突を遊んでね、ってなアートは美術館でビリヤードを公然と出来る楽しみはあるけど台の傾きが弱いのかバンキングしても大きく球が流れるってことがなく、メッセージが持つ意味がそれほどと伝わって来ない。あるいは傾いてもないのに「傾いた」ってタイトルをつけてプレーヤーの気持ちを不安がらせたり見る人の思考を混乱させたりするのが目的のアートだったのかな、”言葉を信じちゃいけないよ”って具合な。

 プロジェクターで解像度を思いっきり下げてブロックパターンになてしまった映像をさらに解像度下げたりまた上げたりするアートもあって「クイズ ヒントでピント」を思い出す。メガネを取っても動いているものが人間なのか掃除機なのか分からない。象印賞はあきらめた。床に一部穴あきな状態で何かを敷き詰めた上を紙か何かで覆ってある作品は、一部にあいた穴が踏み抜かれていて試合後に芝生の剥がれたサッカー場の様。廃屋となった家を土足で歩いてぶち壊しまくって溜飲を下げる感じに似た楽しさもあるけど、たいがいの場所が踏み抜かれてしまっていたのが残年至極。初日に着たかったなー、サッカースパイクで。

 早売りで「ヤングキングアワーズ11月号」、栄えちゃんが栄えちゃんが栄えちゃんが栄えちゃんが栄えちゃんが。家宝にします。「アニメージュライブラリー Vol.1 ほしのこえ」(徳間書店、2500円)。パッケージ版も持っているけど絵コンテついてるし帯が都知事なんで購入、だけどいつ言った言葉なんだろ、「この知られざる才能は、世界に届く存在だ」って。ってゆーか都知事が「知ってる」アニメ界の才能って誰なんだろ。ところで「Vol.1」ってあるけど「2」は決まっているのかな。個人的には「ジブリ美術館」でやってる短編とか収録した奴が欲しいんだけど、美術館限定にしたいっぽいみたいなんで無理だろーなー。「DAICON3or4オープニングアニメ」でも良いけど、無理さは「ジブリ美術館」の比じゃないからなー。


【9月28日】 逆転くらって負けやがったみたいなんで名古屋グランパスエイト、はるばる「東京スタジアム」へと東京ベルディ1969との試合を見に行ったらきっとストレス溜まっただろーなー行かなくて正解だったかもなー、なんてことを今さらだけど思ったりしたのはこちらもはるばるな「埼玉スタジアム」で開催された、「浦和レッドダイヤモンズvs清水エスパルス」の試合がそれなりに緊張感のある内容で楽しめたのと、目当てにしていた先のワールドカップでの韓国代表でイタリアに負けないイケメンぶりを発揮した、あだ名はテリウスらしーアン・ジョンファン選手のプレイを生でしっかりと見られたから。試合開始前の練習に現れたアン・ジョンファン選手はなるほど言われるだけあって他の清水の選手の誰をも押しのけてトップに立てるイケメンぶり。その顔を近くで見よーとエスパルスサポだけじゃなくレッズサポの女の子も通路を塀際まで進んではパチパチやっていて、その関心の持たれ方の大きさがうかがえた。

 もちろんこれがどこぞの腐れ外国人みたく高い金を取り鳴り物入りで入団したもののまるで全盛期のよーなパフォーマンスを見せられず(例=リネカー)、とっとといなくなったりすること確実な出来だったら「東京スタジアム」以上に徒労感も溜まっただろーけれど、後半しばらくしてから登場して来たアン・ジョンファン選手、いきなり善戦へとなかなかなパスを見せては好機を演出してみせる。守勢で単調だったエスパルスの動きにちょっとばかりのスパイスを利かせたよーに見え、これがワールドカップで4位に入った人間の存在感なのかと感心する。練習の時はキャプテンって責任感もあってか伊東選手がずっと相手をしていたけれど、蹴るボールの勢いとか相手のいる場所へと届く精度とかはなかなかなもので、派手にトラップしたり勢い良く蹴っている割には軽さが見える他の選手のボールの挙動とは、ちょっと違っているよーに感じられた。世にこれを贔屓目と言うんだが。

 試合の方はをいえば相変わらずなイエローカード出まくりな内容で、流れがぶちぶちと切られて見ていてもストレスが溜まる。やってる選手はもっとストレスが溜まっただろーなー。セカンドステージに入って見た試合のこれでほとんどの試合で退場者が出ている印象があって、審判のカードプレゼンター的ジャッジがここの所、行き過ぎてるんじゃないかと思えて来たけど、一方ではディフェンスだったら相手をつかむは押しのけるはとあからさま過ぎるディフェンスを見せ過ぎだし、攻める方も足出されたとか引っ張られたとかってな反則にいちいちすっころび過ぎ。オフェンスとディフェンスとジャッジの三位一体でゲームをつまらなくしている観すらあって、どーやったら改まるんだろーかと考えてもどこから手を付けて良いのか分からず妙案が浮かばない。意識変えるしかないんだろーけど、容易には変わりそーもないしなー。歴史積み上げるしかないのかなー。

 さてアン・ジョンファンはテレビで見ていた時よりもずいぶんとがっしりした体型で、足なんかもふくらはぎが伊東選手なみに太くって流石はイケメンでもヒディングに鍛えられた韓国代表の一員と感嘆する。体も結構分厚かったけどこれはブランクがあった関係で脂肪で球体化したのかもしれない。動きの方は他との連携がまだあんまりとれてないんでどこにどう動いたら良いのか見えてない感じもあって、ボールがなかなか回ってこない。ただ存在感への警戒感も強かったよーで、ゴール前でアン・ジョンファン選手をしっかりとマークしていた所に後ろから飛び込んで来た別の選手にパスが回ってエスパルスに点を取られてしまう場面もあったんで、まずは獲得成功といったところだろー。もっともあの場面、たぶん本当は自分でシュート撃ちたかったんだろーね、正面でフリーに近かったんだぜ。

 帰宅して今日の「湘南ベルマーレvsアビスパ福岡」が「ブロッコリーサンクスデー」だったとして、名古屋グランパスエイトの試合に行けなかった以上な後悔が背筋を走る、でじこたちと写真取りたかったよー。去年にすでに見ているからまー良いんだけど。景気のちょっと悪いブロッコリーだけど揶揄でもイメージとして定着して来てるんで、ここで引けばかえって反発も食らうし痛くもない腹を探られるんで、来年もこのままスポンサーを続けて来年もそのまた来年も「ブロッコリーサンクスデー」を開催してやって頂きたいところ。いっそ乗っ取ってプラクティスは「デ・ジ・キャラット」で試合用は「ギャラクシーエンジェル」を胸に張り付けてしまおーぜ。ホームがミルフィーユでラック沢山、アウェーがミントで陰謀たっぷり、どちらも勝利は確実だ。サードはフェイントでノーマッド、相手が狙って蹴り入れて来るからペナルティ頂きまくりでやっぱり勝利、選手は命がけだけど。

 ヤングアダルトとしては全然間違っていない神代明さんって人の「世界征服物語 コマの大冒険」(集英社スーパーダッシュ文庫、648円)なんだけど、これが「第1回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞作」だと言われるとちょい、悩ましいものを感じてしまう。祭りの縁日で手にした不思議な書物、開けた次の瞬間、主人公の少女は自分がファンタジックな世界へと来ていて魔王の復活とゆー役割を背負わされたことを知る。聞くほどにありがちな設定で最近でも豪屋大介さん「A君(17)の戦争」(富士見ファンタジア文庫)なんてものがあって面白かったし、この「世界征服物語」もありがちだからこそ読んで楽しめるよーにはなっていて、飛ぶよーにページを繰ることができた。

 キャラクターにもそれぞれに妙味があって言動立ち居振る舞いが読む人を楽しませてはくれるけど、問題は新人が新人賞に応募する作品としてこーしたありがちな設定をバリエーションの変化程度で書いて良いものかって点と、そーした作品を大賞として選んで良いのかって点。画期的な新人を賞とゆープレミアムを付けて世に送り出せるチャンスなんだから、これはと思う設定のこれはと思う新人によるこれはと思う作品を無理にでも選び叩き出した方が後にいろいろと得をするんじゃないか、ってな思いが浮かぶ。もっともそーした作為を超えて楽しませる要素を持ち賞に価する内容を持った作品だって「世界征服物語」が言えたりするのかも。個人的にはそーかもしれないと思えたけれど、本当にそーかは読んだ人が読んだなりに判断を。ティレク欲しー。


【9月27日】 世は安倍晴明が大はやりで小説マンガ映画に限らず謎本占い本の類まで出まくっているけど、オフィシャル度で言ってこれに勝る本はないんじゃないかってのが登場、何し「晴明神社編」ってんだから他のどこがどんなに素晴らしい晴明本を出してきたってかなわない。もっとも得てしてオフィシャルな奴ほど中身スカスカだったりスタンス一方的だったりしてオモシロくないってのも相場なんだけど、この本「安倍晴明公」(講談社、2800円)に関しては実に態度がニュートラルっていうか、むしろ雑食性に近い赴きすらあって、ごくごく真っ当な陰陽道成立に関する論文もあれば、巷間に流布するスーパー陰陽師ヒーローとしての晴明像の形成に深く関わった作家4人の対談もあったりと、1冊でもってさまざまな角度から「安倍晴明」ってものに斬り込んでいる。

やっぱ最初に眼が向くのは荒俣宏さん夢枕獏さん岡野玲子さん京極夏彦さんの当代「陰陽師物」流行貢献者御四家ってゆーか四天王ってゆーか、バリュー実績ともに頭ひとつふたつみっつばかり抜け出した人たちによる座談会。この4人が顔を揃えるのは初めてのことらしく場所も「晴明神社」とふるってて、そんなためもあってが皆さんそれぞれに陰陽師絡みの話に手を染め始めた経緯から、陰陽師なり晴明が今、何で流行っているのかどうして必要とされているのかって辺りをてらいも気取りもなく話してくれている。まあ「晴明さん」の御前で嘘はつけないだろーけど。岡野さんが晴明のことを話す時に本殿へと顔を向けないで手で指し示したって状況説明が重ねて出てくることで、何か理由があって岡野さんが直視を否定していることを示唆したかったのか、単にモノグサな所を指摘したかったのか判然としないのか気になるところ。あんな美人が顔を向けると神棚から飛び出してくると心配でもしたのかな。でも荒俣さんを見たら晴明でもとっとと踵を返すと思うけど。

雀荘に賭麻雀禁止とかゴルフ場にオリンピック禁止とか張ってあるよーなもんか  巨人の優勝に冷や水をぶっかけるためのイヤガラセとか言われればなるほどそんな可能性もまんざら否定できないのは、過去に記事の盗用だとか社員の不祥事だとかをめぐる報道合戦グループ対抗戦をいろいろと繰り広げてきた間柄だったりするからなんだけど、経緯はともかく事実としてはやっぱりマズかったとしか言えない「東京ドーム」による暴力団関係者へのチケット優先販売問題。報道だと無料提供していたってあるけど会見ではちゃんと正価で販売してましたって担当役員が言っていたから、とりあえずは優先販売ってことにしておくけれど、それだって普通に買おうと思えばなかなかに苦労する巨人戦のチケットを、株主にしたって多すぎる枚数渡していたとあっては、その関係を問われ相手の素性に鑑みた不適切さを指摘されても仕方がない。

 興行ってのはそういうもんだって意見もない訳じゃないし頭ごなしに否定はできないけれど、「東京ドーム」ってのが上場企業である以上、でもって92年に暴対法が施行されている以上はやっぱり昭和20年代30年代的感覚のなあなあぶりはマズかった。庭に堂々と「不正なのはいけないと思いますbyまほろ」なんて旗を立ててたりするくらいだし。ところでそーやって渡ったチケットっていったいどんな使われ方をしたんだろー、やっぱり毎試合舎弟に手下を動員しては応援に行っていたんだろーか、只でもらったんなら金券ショップに流せばそれなりにサヤも抜けるんだけど定価で買ってちゃ設けは少ないはずだし、前庭で売ろうにも優勝争いをしていた今年ならともかく去年までじゃあ人気も薄々でプレミアムすら着かずかえって持ち出しになっただろーし。誰に渡したかってことよりどう使われたかってことを是非に、築地大手町ともども突っ込んでやって下さいな、ああ今日もドアをガンガン叩いてチケット売りややって来る、おまけは新聞半年だ。

 8月の日比谷野外大音楽堂での講演は見逃してしまったんではるばる八王子へと出向き「いちょうホール」なんてメルヘンな名前の場所で開催された鳥肌実さんの立会演説会「我が闘争」を見物に行く。何か全国各地を大行脚中で露出しまくっているだけにどれだけの来場者があってどんな人たちが来ているのかに興味があったけど、着くと会場は若い男性とおまけに女性で長い列。それも渋谷原宿代官山で遊んでいそーな格好の人たちが大半。同じアングラな感じを持っていても小劇場の公演を見に行くよーな演劇マニアの人たちとは、たぶん確実に一線を画しているよーな雰囲気があって、どーゆー回路がめぐってのそーゆー層への人気になっているのかを調べてみたくなる。あるいはサッカー日本代表の試合にワラワラと集まっては日の丸を降り君が代を歌って暴れてみるぷちナショな気分に支えられての人気とか。

 そんな空気を読んでか鳥肌さん、冒頭からワールドカップ絡みのネタをふりまくふりまく。急増ナショな輩への批判をぶったかと思えば監督がフランス人であることに憤ってみせたりと、ワールドカップとナショナリズム的な論調から指摘されそーなことをだいだいのところあげつらっては、ナショナリズムにはまってるんじゃないんですボクたちワタシたちはナショナリズム的な状況を楽しんでいるだけなんです的な若い世代の気分を、一身に引き受けて笑わせてくれる。まあそんな似非ナショナリストを具現化した鳥肌実さんを「いちょうホール」満杯もの人が見に訪れ楽しんでいる光景そのものをもって、ぷちナショだのと感じ取る人とかもいるんだろーけど。でも実際そーなのかも。どっちやねん。

 あと八王子ってことで信濃町と並ぶくらいに色濃い例の話題について、どれだけのことを言うのかにも興味があったけど、言うには言ったもののとてつもなく突っ込んでの発言はさすがになくって、もしかして会場にもいたかもしれない地元大学生からのブーイングとかは起こらなかった。激しくはなくても1言でだって八王子というお膝元でやってしまえるのはさすがと言えばさすがなもの。次は是非に信濃町のホールでもってやって頂きたい。タイムリーな話題では北朝鮮絡みのものもあって例えば平壌の空港に降り立った小泉純一郎首相には是非にタラップから降りたって大地に「日の丸」を刺して欲しかったとかそんな感じ。真正面からど真面目に演説するってよりはどこか中年おっさんのボヤき風口調な芸風なっていて、過激さをオブラートにくるみ狂気さを薄れさせてしまった感もあって、もっと居丈高に莫迦いって欲しいかもとか思ったり。サッカー日本代表のユニフォームと戦術に対する提言は秀逸でした、黒いユニフォームで胸には大きな菊のご紋、頭角刈りもしくはパンチでパンツのかわりに六尺をしめ足は福助の地下足袋な中田英寿に戸田宮本稲本小野ほかが横一線に並んで突撃して来たらイタリアもイングランドもドイツだって逃げるよ、オリバー・カーン以外は。


【9月26日】 3時間だけ寝て起きて「藍より青し」、が見たかった訳じゃないけど「チャンピオンズ・リーグ」の「ゲンクvsレアル・マドリッド」が始まるまでまだ時間があったんでしばらく見物する。厳格な家の娘と身分違いな幼なじみの少年との砂糖菓子のよーな純愛物にしか見えないんだけど、アニメ化される程の人気ってことは原作を読むともっとドキドキだったり或いはエロエロだったりする展開があったりするんだろーか、そんな期待を胸にアニメを見た人たちってどー捉えているんだろーか。イベントとか行くとグッズ結構売れてるみたいだからアニメも全然オッケーなよーだけど、だとしたら時代はやっぱり純愛を求めているってことなのか。原作読むか、やっぱり。

 さて試合、レアル凄過ぎ、あのゴール前のフットサルかビーチサッカーかってな狭いエリアでのボールさばきに余裕すら感じてしまった。ゲンクも最初の頃こそカウンターでゴール前までは行っていたけどボールを奪われるとそこから始まるレアルの攻撃が波状とゆーより他にないくらいの厚さでもって繰り広げられて、一流の試合の美麗さ攻撃的サッカーの華々しさってものを見せつけてくれる。こんなんが毎週でも見られる「リーガ・エスパニョーラ」って良いなあ、スペイン人になりたいなあ、でも「プレミアリーグ」も捨てがたい、イングランド人になりたいなあ、でも残念ながらの日本人は「東京ヴェルディ1969vs名古屋グランパスエイト」の試合に襟引かれつつ、日本デビューらしーアン・ジョンファンを見に明日は久々の「埼玉スタジアム」へと「浦和レッズvs清水エスパルス」を見に行く予定。「Be The Reds」売ってないかな、でも「Be The Reds」じゃーどっちを応援しているか分からんな。

 ゲラだとかさばるんで単行本が出るのを待って買って一読して素晴らしいとうなった飛浩隆さん「グラン・ヴァカンス 廃園の天使1」(早川書房、1600円)。いやまだ最初の1行を読んだだけなんですけど、その一文「無き砂の浜へ、硝視体(グラス・アイ)をひろいにいこう」からひろがる砂と結晶と海と空のビジョンに、タイトルだけ読んで思ったバラード「ヴァーミリオン・サンズ」なんかとも重なるものを感じて格好良いぜと吠える。「ヴァーミリオン・サンズ」が本当に格好良い小説なのかは中身読んでないんで格好良いのか知らないけど。ともかくも表紙の砂と海と空と雲のビジュアルなんかにも引っ張られ、純粋で純朴な登場人物たちによって繰り広げられる甘いラブロマンスに主人公たちの成長物語かと思って読み始めた本編が、ほどなくしてとてつもない話だと分かって世界がグニャリと歪む感覚を味わう。

 人が来なくなって1000年が経ったとかいう電脳空間にしつらえられた仮想世界で毎日が夏休みってな感じの暮らしを続けるAIたちがいたんだけど、その日も冒頭の1行のよーに砂浜へ硝視体って仮想世界で不思議な力を作り出す効力を持った物質を広いに行ったところ、巨大な蜘蛛があらわれて世界を”食べ”始めたから大騒ぎ。蜘蛛は1匹じゃなく何匹も出てきて大暴れしてその世界のほとんどを消してしまう。残されたAIたちを町にあるホテルへと篭って蜘蛛と戦うことになるんだけど、どこから来たのか分からない謎の存在に操られた蜘蛛にAIたちは一人またひとりと敗れていく。

 仮想空間のリゾートにしてもそこで働く人間様へのご奉仕第一なAIにしてサイバーパンクに「京美ちゃん」に「BOOMTOWN」を経てきた2002年の今となっては驚くべき斬新なガジェットにはなり得ないけど、ひとしく同じこの現実世界を舞台にしても小説が宇宙を構成する分子の数ほどバリエーションを持ち得ているのと同じで、仮想空間にAIとゆー同じ世界同じパーツを使って作者は、食われ消され捻られ深いされてい仮想世界のイメージとゆーのをひとつには見せてくれて身に戦慄をくれる。それと仮想世界そのものの存在意義とゆー仕掛けもつくってくれていて、愕然とする気持ちと同時に登場人物としではなく読者(ゲスト)としての昏い好奇心が擽られる。

 舞台となったエリアがあって別に違うエリアもあって干渉したりされあったりってな状況は、パラレルワールド物なんかにも通じる面白さがあるし時間と空間が錯綜する状況もタイムトラベル物と重なる楽しさがある。ただ、しょせんは電脳空間の中でだけで起こっている、よーに見える「廃園の天使」シリーズは、清新だったり残酷だったり美麗だったりするビジョンを見せてはくれるけど、それがどーしたAIがどーなろーと知ったことかい、ってな感覚もうっすらとだけど呼び起こさせて、ややもすると崩壊と闘争のビジョンを楽しむだけに終わらせかねない。その辺で、これから出てくるだろー連作が、物語を電脳空間でだけの諍いに終始させず、現実世界に生き、本を読んでる読者にも刺さるよーな影響力を持ったものになって、広がっていってくれることを期待しよー。

 続いて倉阪鬼一郎さんの「内宇宙への旅」(徳間デュアル文庫、505円)を読む。表紙の人が誰だか話題になっているけど勿論倉阪さん本人に生き写しなので読んでファンになった人はこの絵を手にイベント会場パーティー会場カラオケ屋さんなんかで探すと良いでしょー、黒い羽根もちゃんと背負ってます。それはそれとして本編、いや凄い、何が凄いって倉阪さんが恐怖小説とかじゃなく田中宇さんの「タリバン」なんかを読んでいたことで、その唐突さにきっと後で内宇宙でビンラディンが踊るのかそれとも大仏が爆破されるに違いない、とか思っていたけど別にただ読んだだけみたい。単にベストセラーだったから買っただけなのかなー、それともキャラを変えてアフガンが舞台の冒険小説でも書くのかな。


【9月25日】 秋葉原で久々にDVD漁り、といっても昔みたくのべつまくなしに新作を買える程の余裕もないんで(サッカー行き過ぎ)とりあえずは「機動警察パトレイバー」の劇場版第3作のボックス入りとそれから「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」を買うにとどめて残る本命「あずまんが大王」については最終回の様子を見てから考えることにする、でもたぶん買うんだ。「ビューティフルドリーマー」は当時の劇場パンフレットが縮刷でおまけについてて見ると当時の広告なんかが掲載されてて下敷きノート缶ペンケースカセットインデックスステッカーのセットが1880円と18年前にしてはなかなかな値段。そんでもってそんなよーなものを買ってたりした我が身の動物化への前兆も思い出されてちょっとだけ胸が痛くなる。

 けれどもまあ、そーやって注ぎ込んだ金が後のアニメ関連ビジネスの隆昌に幾ばくかの効能をもたらしたものと思えば痛みも軽くなる。そう思わなければキャラクター商品なんて買えないよ。納屋橋の東宝会館だかにあったアニメショップに通っていろいろ漁ったなー。あの店はいつまであったんだろ。あとパンフレットの最後のページにビデオの広告が出ていて発売が劇場公開と同時とあって、当時ってそーゆーウィンドー管理がされていたのかと驚愕、14000円は今のレンタル向けと変わらないから高いとは思わないけど、借りるなじゃない買うためのビデオだとしたら今にして思えばやっぱり高め。何本くらい売れたんだろー。ベータ2のバージョンとか持っている人がいたらきっとお宝だね。VHDとかは出てたのかな。

 DVDといえばパイオニアLDCから届いたリリースだといよいよ「少林サッカー」が11月22日に発売の見通し。メイキング映像の入ったデラックス版が3800円で、これよりやすい普通版があるかと思うとそーじゃないのが謎だけど、松定食しかない料理屋のメニューみたいなもんだと理解しておこー。豪華版に当たる「足球箱」は特典映像入りディスクに加えて「魔の手」の着ていたトラックスーツ付き、だとどれほどか嬉しかったし少林チームの着ていた道着風ユニフォームならなお良かったんだけど、とりあえずは「少林隊レプリカTシャツ」ってのが付くんで11人で買って皆で着てチームを作ってみてはいかが。何がどうレプリカなのかは知らないけれど、Tシャツなんて着てたっけ、少林隊。もっともこんなおまけも10月25日発売「フレッシュ・ゴードンDVD−BOX」の特典には負けそー。何と「特製ロケット・フィギュア」付き。「フレッシュ・ゴードン」のロケットが何かを知っている人には爆受けのアイティムだことでしょー、夜だって使えるヨ。

 里見プロデューサー、って響きに一介のヒラ記者として眩しさを感じながら「ギャラクシー・エンジェル」の第三期アニメーション製作記者発表会を聞く。テレビ大阪とかランティスとかブロッコリーとかバンダイビジュアルといった製作陣の挨拶と第1話の上映と声優陣による挨拶が行われた発表会の印象をひとことでいうと蘭花・フランボワーズ役の田村ゆかりさんが蘭花さんに負けず劣らず可愛かったってことで、次が蘭花・フランボワーズ役の田村ゆかりさんが死ぬほど美しかったこと、その次もやっぱり蘭花・フランボワーズ役の田村ゆかりさんが吃驚するほど見目麗しかったことだったりして、その次もそのまた次もさらに次も田村ゆかりさんのゴージャスで神々しく綺麗で眼福だった様の描写が続いたりするのはつまりそれほどまで田村ゆかりさんが素晴らしかったってことです。ともかくも田村ゆかりさんの可愛さでもって「ギャラクシー・エンジェル」は大成功間違いなしと確信。フォルテ・シュトーレン役の山口眞弓さんの凛々しさももちろん貢献するけれど。

 「ギャラクシー☆ばばんがBang!」って聞くも楽しみなタイトルの歌が流れるオープニングが見られなかったのは残念だけど、本放送がその分楽しみになるから良しとしよー。本編の方は今ふたたび、じゃなく三度な「エンジェル隊」の紹介ストーリーって感じで、テンポよく小気味よく展開しては笑いもたっぷりに見せつけてくれて、小じっかりした絵の質とともに相当な期待を抱かせる。サエキトモさん三瓶由布子さんがあてる新キャラのココモ・ペイロー&マリブ・ペイローの妙さもなかなか。とはいえそこはやっぱり主役5人の圧倒的過ぎる存在感にはまだ及んでないんこれからの展開の中でどーゆー使い方をされるのかに注目して起きたい。三瓶さんまだ沢城みゆきさん同様に制服組な方なんだそーで、使われまくった挙げ句の大成長を果たした沢城さんに続いて頂くためにもシナリオライターの人は是非にたっぷりに使って差し上げて下さいな。

 平谷美樹さんの新刊「呪海」(光文社、848円)は前作のジュブナイル風な「君がいる風景」(平谷美樹、朝日ソノラマ、495円)から一転の伝奇ホラー。東北のとある村を舞台に穢れをはらおーとする神主一家と溜まりに溜まってパワーを増した穢れとの生死をかけたバトルが演じられる、っておおまかにいえばそんな感じで、そこに人形の持つ不思議で不気味な特性とか、東北にかつて栄えた古代文明の遺した怨嗟とかいったものが絡んで、おどろおどろしい雰囲気を醸し出している。背筋が凍る恐さってのとはちょっと違うかも。原因と結果の交錯する展開がチカラワザっぽかったり、やっちゃいけないって言われたことを平気でやる間抜けなキャラが出てきたり、主役の少年がイヤボーンだったりして、物語としてのツクリモノっぽさも感じたけれど、父ちゃん婆ちゃん兄ちゃんたちの念ほとばしるバトルシーンのスペクタクルな感じは悪くない。「薫子」の東北での事態への絡み方が1読では判然としなかったんで再読してバランスとか確かめたい。法印空木って得体の知れない霊能力者は他にも出ているキャラなのかな。本編ではちょっと立場が謎過ぎ。


【9月24日】 そうそう「NTTインター・コミュニケーション・センター」で開催中の「ダムタイプ:ヴォヤージュ」って展覧会には今のダムタイプを音楽とか音響の面から支えている池田亮司さんのしなくインスタレーション「db」ってのも展示してあって、広間の脇で整理券をもらって壁面に映し出されるダムタイプのパフォーマンス映像を見ながらしばらく待っていると、案内の人が呼び出してくれてそれから隅にある無音室へと招かれて、そこで体験できるよーになっている。無音質で椅子に座って体験する真っ暗闇の中でのいろいろな出来事は例えるなら「未来世紀ブラジル」のよーで、自分とゆー存在が壊され溶かされかき混ぜられたあげくに蒸発させられるよーな気分を味わえる。

 苛烈で高圧の暗闇で終わらず静謐な夢幻の世界へと誘われそこで見せられる虚空のビジョンがなかなかに感動的、ってゆーか物理的に結構なプレッシャーを受けるんで、心臓とか悪い人だけじゃなく目にそれほどの自信がない人もよくよくの心構えが必要かも。休日の昼でも14番目とかで15分も待たずに入れたんで、平日だったら行けばスンナリと体験できるかも。10月27日の閉幕が近づくとそれでも「大恐竜博」みたく混みそーなんで(なぜ7月とかに行かないのだ皆さんは)月内に早めに見ておくのが吉かも。個人的には1度で結構なんで次は見られなかった「pH」とか「OR」とかのビデオを1日でも滞在して全部見よう。もちろん1人でだ(威張れることではない)。

 「ファミリーマート」のネット予約に敗北したのに続いて「イープラス」でもビジーの連続で接続できない間に全部もっていかれるとゆー屈辱を味わってのたうちまわった夜を越えて気持ちはちょっとだけ持ち直す。サッカー日本代表の試合は所詮無縁だとゆーことなんだろー。mottomo ジャマイカ相手のホームでの親善試合で小野選手も来ない可能性が大な試合、見たって「ワールドカップ」ほどには感動できないだろーからテレビで充分だい、渡邊恒雄横綱審議会委員長だって「稽古総見はテレビで見たから良いんだいっ」って言ってるし。ええ負け惜しみですとも。

 寝て何とか平静さを取り戻し、会社に行って仕事をしていると東京証券取引所で元リキッドオーディオ・ジャパンで今はサイバー・ミュージックエンタテインメントって名前になった会社がまたしても社長を交替するって発表の案内が届いたんで見物に行く。東証マザーズ第一号として大騒ぎの中に株式を上場してからこれで6人目の社長とゆーから、今年のコンサドーレ札幌とか去年のFCパルマの監督よりもはるかに多いトップの交代数で、なのにまるで業績が上向かずむしろ悪くなるばかりって状況が続いてただけに、今回も同様のババヌキ交代劇かなー、なんてことを最初のういてゃ考える。

 ところが蓋を開けるとこれが全然大違い、イエイイエイエイエイーなレナウンの元社長だった人を新しい社長に迎えてそれから、CDの販売だけじゃなく衣料品とかブランド品のネットを使った流通支援ビジネスなんかをたち上げるって聴いて、会社が一大変革を遂げよーとする強い意志を満天下に示したんだととりあえずの所は理解する。業容だけじゃなく社名も変えるったんだからその”本気(マジ)度”の相当なものだってことも伺える。ネットを使ったCDとかの販売に使っているプラットフォームのどこをどう発展させたらそーゆービジネスが出来るよーになるかは分からないけれど、とりあえずの所は新社長の人はレナウン時代に培ったノウハウやら人脈やらを活用し(社長までやってるんだから相当なものだろー)、あちらにブランド物を売りたいとゆーメーカーなり問屋なりがあってこちらにブランド物を引き取って販売したいとゆー小売なりがあって、その間を結ぶルートが過去にはなかった状況を踏まえて、売りたい人と買いたい人とを繋ぐ情報ツールを使って品物の円滑な流通の促進に寄与しよう、ってことを最大の目的にしているみたい。

 ヴァージン諸島経由で私募の転換社債を7億5000万円分も発行して誰かに引き受けさせて財務のピンチを乗り切っってことで、すでに過去のさまざまに因縁のあった会社の手を放れて、独自路線を突っ走ろーっと腹を括った感じがする。今までの腰掛け的漬け物石的な旧タイプの人材活用と違って当人がやる気満々なだけに、あるいは「まだあったのその会社」的扱いから脱して業界に独自な地位を築けるかも。問題まだまだ山積だけど1つの会社が消える忍びなさに比べれば全然マシなんで、是非に頑張って頂きたいところ。それにしてもこんな会社を欲しがり人材も採りたがる謎のオーナーって誰なんだろー、謎だなー。

 原田宗典さん安西水丸さん薄井ゆうじさn筒井ともみさん角田光代さんパパイヤ鈴木さんといった面々の名前がズラリと並んでいる割には「ダ・カーポ」並に薄っぺらく小さい体裁に一体どーゆー類の雑誌なんだろーと買ってしまった「NAMAHON」(アクセス・パブリッシング、350円)は、文芸誌の「文藝」の小説部分とコラムあたりを薄く薄ーくしたよーな感じになっていて、コラムはまだしも小説はショートショート並に短い枚数しかなくって読んでなかなかにフラストレーションが溜まる。霞流一さんの「サル知恵の話」なんて長編探偵小説って銘打ってあるけどページ数で10ページしかない連載が「長編探偵小説」になるまで続くとしたら、一体どれくらいの号を重ねなくてはいけなくなるんだろー。同様に長編ファンタジーって銘打たれた小林泰三さんの「世界城」なんて6ページしかないんだぜ、1年連載されたって中編だってきつい量しか溜まらない。それでもそれを越える号を出す自信があるんだとしたら、文芸誌受難の時代に何か画期的なノウハウなりとてつもないパトロンなりを持っていたりするのかも。こっちも誰が仕掛けてんのか知りたいなー。


【9月23日】 メタファーメタファーってお前はメタファー村の住人か、なんてことをデス高のアジシオ太郎だったら言って思いっきり突っ込んだに違いない村上春樹さん待望とやらの新刊「海辺のカフカ 上・下」(新潮社、上下各1600円)は、得体の知れないシチュエーションだけど裏にきっと何かあるんだぜ的な村上春樹さんならではの手法が冒頭からそれこそエンディングまでびっちりと使われているのみならず、文中にまで「迷路のメタファー」だの「彼らが生きることの深いメタファー」だのとメタファー尽くしで、物語とかオチとか伏線とかメッセージとか期待してはいけませんだって全部メタファーなんだから、ってなアピールが最初から最後までコテコテに練り込んであるよーで読む手にも正直力が入らない。

 もちろん読んで面白いことは面白く、某茶髪ピアス芥川賞作家がごくごく最近になって発表した、メタファーともレトリックとも無縁とばかりに愚直に情景描写を積み重ねた挙げ句、とてつもない分量になってしまって書店の平台を埋め尽くし資源も相当に無駄にしているだろーと想像される某作品に比べれば、はるかに起伏に飛んだストーリーでしかも分かりやすく読んで勉強になるところも多くって、流石に伊達に歳はとってないぞ村上春樹さん、ってな気持ちにさせらる。けど家出した少年が自分の母親とおぼしき女性と邂逅し姉とおぼしき女性とも出会っていろいろとする一方で、猫を話せるけれど頭はそれほどな老人が何かに導かれて出奔しては入り口の石とやらを探したりする話の結局はすべてが推理小説的には明らかにされないもどかしさに、メタファーの小難しさを知りこれから出てくるだろー攻略本、じゃない謎本とかを買って読まなくっちゃいけないのかなー、なんて考えて「やれやれ」って気持ちにさせられる。

 山梨の森で起こった事件も、向かった先が四国である理由もそこで少年が迷い込む場所もジョニー・ウオーカーさんもカーネル・サンダースさんも、イメージとして何かしらを暗に指し示しているよーな空気はあるけどイメージだけって感じもしないでもなく読んでいて落ちつかない。タイトルからして何かしらのメタファーなのかもしれないけれど、浅学でカフカなんてまるで読んでなかったりする身には、それ自体が持つ意味性がまるで浮かんでこず本編の内容と照応させても全然意味がわからない。散りばめられたキーワードから浮かび上がって来るイメージを大切にすれば良いんだよ、メタファーの裏まで読なかくたって構わないんだよって仮に言われたとしても、四国にジョニー・ウォーカーに降る魚にカーネル・サンダースじゃあ珍奇すぎて俗っぽすぎて湧くイメージに深みが出ない。もしかすると思わせぶりっぽさを極力避ける意味で陳腐ともいえるキーワードを散りばめたのかな。久々の村上体験で暗喩と直喩の間合いを取りにくくなっている可能性もあるんで、今後出るだろー謎本攻略本の類とか待ってもう一度読み返してみよー。しかし何故にドラゴンズ?

 こちらはメタファーであっても一向に構わないアートに演劇な世界に属する作品なんだけど、「海辺のカフカ」なんかよりはるかにストレートに意味が伝わって来るよーな気がしたダムタイプの展覧会を初台にある「NTTインター・コミュニケーション・センター」へと見に行く。新しいものは「ヴォヤージュ」ってインスタレーションぐらいで、真っ暗な広い部屋の中央にしつらえられた細長い板の上を流れていく映像とゆー作品の詳しく意味するところは不明でも、移ろう時の流れ記憶の変遷めいたものを感じさせてくれるって部分でそれなりな役割は果たしているんじゃなかろーか。ビデオ上映されている過去の作品群については浅田彰さんを筆頭にシンパな人アートな人からの言及がたくさんあって意味を辿りやすい上に、表現自体がシンプルなんでこれも意味を探りやすい。カーネル・サンダースもジョニー・ウォーカーも出てないし。

 1本あたりで60分とかするパフォーマンス映像を全部見るには時間も気力もないんで、とりあえず見ておきたかった「S/N」って作品を最初から最後まで観賞、95年にHIV感染から来た敗血症によって死去した古橋悌二さんが、自身のHIV感染をカミングアウトしつつジェンダー人種セクシャリティ国籍その他のあらゆる差別への反意を訴えた作品だけに、古橋さん本人が出演しているオリジナルな映像だろーと想定されるビデオを見られたのはなかなかに貴重な体験で、顔をドラァグクイーン風に塗りながら訥々と正直に自身のセクシャリティやHIV感染への意識やらと語っていく中で、事態を悲劇として受け止めるんじゃなくかといって既成概念に即した「真実の愛」の結果として陶然とするでもなく、いけなかったことはいけなかったと言ってセーフ・セックスの必要性をさらりと訴える内容が、緩んでいたとはいっても依然偏見の根強かった94年95年96年当時の世界に大きな力を与えただろーことは想像に難くない。

 リアルなカミングアウトじゃなく差別的な風潮への風刺を意味してHIVボジティブって設定にしたって発表時のレビューがネットを掘ったら出て来たけれど、それで充分に成立していた所に当人が亡くなってしまってきっと驚いたことだろー。ただあまりに衝撃的過ぎてそれ以降にあのポジションに無関係の誰をはめてもパフォーマンスのインパクトが弱くなってしまわざるを得ない面もあったりして、多々あるダムタイプの作品の中でもアート文脈的な評価のしづらくなっている観も。今となっては無理だけど発表時にまっさらな頭で見て感じたかったなあ。それとして冒頭から背広姿で登場してはリポーター風の演技でHIVポジティブをカミングアウトする多分古橋さんだろー人の顔や関西よりの言葉がまるでナインティ・ナインの岡村隆史さんを想起させたんだけ。どこれって間違っているんだろーか、それとも有名な話なんだろーか。

 中盤以降で鏡に向かって化粧しながら喋る古橋さんのアップになった顔とか訥々とした喋り見るにつけますますナイナイ岡村と重なってしまった僕は吉本に毒されているのかもしれない。あと演じられている激しい動きもさまざまな舞台装置も音楽も、格好良いって分かっているんだけどそれより先に出まくる白猫の三角に揺れない双房へと目がいってしまうのもちょっと情けない。「pH」での机の上で繰り返し3人の女性が足を上げて股を広げて転がる動きの陶然ながら見えまくる白、「S/N」での茶巾絞りにされた女性のへそまでまくれたスカートの下に着用された丸みを包む三角、同じく「S/N」での潜望鏡みたいな丸いスクリーンに流れるよーに映し出される大小さまざまなレーズン甘食に、ぐぐっと目が惹き付けられてしまうのはやっぱり僕がアートの神髄を理解していないからなんだろー。精進せねば。

 すっかり話を忘れてて、姉妹編と言われても最初のうちはどこがどうつながるんだろーかと記憶を探りながら読んだ岩本隆雄さんの「鵺姫異聞」(朝日ソノラマ、600円)は戦国時代を舞台に起こった「鵺姫伝説」から数年後とゆー過去にプロジェクトシティから飛ばされてしまった田中隆が、宇宙そのものを危機に陥れそーな事態を回避するために「鵺姫伝説」の関係者を探して旅をするって展開で、「星虫」以来おなじみだったいろいろな人物の正体が明らかになったりしてシリーズに親しんで来た人なら楽しめる1冊に仕上がっている。前作もそーだし「イーシャの舟」も同様に、プロジェクトのメンバーたちの奮闘による未来の救済に向かって進む物語ってよりは救済はひとつの確定事項として、そこへと至るために過去にどんな積み重ねがあったのかって話ばかりが書かれている気がしないでもないけれど、いろいろな必然さまざまな偶然の積み重ねによって未来は開けたんだってことを確認する意味あいを感じさせるって効果は発揮してるんで、これはこれで良いのかも。できればリニアに進む時空間の中でプロジェクトシティに集った才人たちの葛藤に奮闘も読みたいところ。眼鏡っ娘純ちゃんの頑張りなんかとくに、ね。


【9月22日】 およそ過去に類例を見ない超常的スポーツ根性格闘バトルに陶然として酔いしれた「真拳勝負」(ソノラマ文庫、495円)からだいたい9カ月くらいになるんだったっけ、その熱さみなぎる筆運びに次作への期待が膨らんでいた松谷雅志さんに登場した待望の第2作「鋼鉄忍法帖」(ソノラマ文庫、514円)は、前作のようなくそまじめに莫迦を見せてくれた猪突猛進なパワーを受け継ぎながらもそのパワーを、莫迦な方向ではなく世界の理とゆー人智をこえたものに対して向ける人々の、エナジーとエナジー、想いと想いをぶつけ合う物語へと叩き込んでは、善と悪ととのどちらも正しくて間違っているという、真理にまで迫ってみせるとゆー大技の炸裂で読み終えてその才に感嘆させられる。

 場所は本能寺、あの織田信長が明智光秀によって攻めらるとゆーシーンから始まった物語が指し示すのは、光秀の謀反を撃退して天下を取り日本を平定したあと、欧州遠征をkうあだて遠く中国の西域へと攻め込んでは楼蘭で没したとゆー信長のプロフィール。なるほどそーゆー歴史改編がどんな世界を招いてみせるのかを示す一種のシミュレーションノベルなんだなと想ったらそーでなく、小説の世界ではどーやら光秀の謀反が信長によって撃退されるのが、架空でもパラレルでもない「正しい歴史」として誰からも認識されているらしいってことが浮かび上がってくる。

 さらに歴史を改変しよーと企む異能の力を持った者たちが、最初こそ同様に異能の力を使って歴史を護ろうと頑張るする者たちによって悪と見なされ、読者にもそー想わせていたものが、話の進捗に応じてだんだんと立場が逆転して、良い方はどっちで悪い方はどっちなのかが容易に判断のつかないよーになって来て、立場の差異による”正義”の根拠なりについて考えさせられる。ラストのラストで示される、正義なんてもののなんて主客が変わればコロリとひっくり返させるんだってことを想わせるエンディングもなかなかに哲学的で、「伊賀の影丸」か「JOJOの奇妙な冒険」か、なんて想わせる異能異形の者たちによるバトルの激しさ新しさにも注目したい所。絶対的な歴史への実は相対的でしかない事実を感じさせ、諦めず進もうと頑張る強い意志を読みとらせる力作。ラストはラストで泣かせます。

 とりたてて世間を震撼させるよーな大ヒット作を送り出した訳でもないし出せば10万枚は確実な定番タイトルを持っている訳じゃないけど、微妙なところでアニメ好きするファンの心理をズキッと刺すタイトルを地道に送り出し続けた結果たどりついた、10年とゆー年月の振り返って見るに実に豊穣だったことが改めて確認された「パイオニアLDC」のアニメーション事業参入10周年記念イベント「MAIDEN FRIGHT」。高い天井に座り心地の良い椅子に最高の音響といった豪奢さにここにいていいんだろうかとちょっとだけ臆した「文京区シビックホール」のロビーに、ズラリと並んだ、「魎呼」に「砂沙美」に「神崎あかり」に「岩倉玲音(くまパジャマつき)」に我が心のイコンであるとの判定が下った「ハンドメイド・メイ」ほか多数の美少女キャラクターの等身大フィギュアをながめるにつけ、まだその言葉がはっきりとは定まっていない時代から生み出して来た”萌え”の多さ濃さ強さに感嘆する。よくもまあこんなにも。いじゃうじゃと。ぴちぴちと。ぼいんぼいんと。

 生み出して来たのはキャラクターだけじゃなくそれに絶対に欠かすことのできない声優さんたちも同様で、御大の域に達しながらも最前線で飛ばす高田由美さんに新鋭だと思っていたらすっかり風格が出てきていた水野愛日さんを司会に迎えて始まったイベントの、出てくる声優さんたちのことごとく女性人気声優さんたちばかりな状況に、「声優ブーム」なんてものがあったのかなかったのかは知らないけれどここん家だけは確実に、お仕事を作りキャラクターのスキンを被せて声優さんたちの人気を盛り上げることに、多大な貢献をして来たんだなー、なんてことも考える。書き出せば山本麻里安さんに川澄綾子さんに折笠富美子さんにほか沢山。よくもまあこんなにも沢山の声優さんたちがいるものだと思う一方で、ここに集まった人たちですら一握りに過ぎず、さらに大勢の女性声優さんたちが活動出来ているアニメ界の制作量で言う活況ぶり。「アニメ大国」ニッポンはまだまだ滅びません。

 何しろかの桃井はるこさんだって、立派に1枚看板となって華々しくも重々しく声優界にデビューを果たし、イベントにも登場して来るんだから面白いとゆーか何とゆーか。「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」の主演声優として高田さん水野さんが仕切る舞台に乱入しては堂々のトークを披露してみせるその姿に、人材を逃さず取り込み更なるパワーを与えて世に送り出す回路としてのアニメの力を見たり見なかったり。もちろんしっかりと活動して来た桃井さんの力もあってのものなんだろーけれど。それにしても舞台に「小麦ちゃん」の格好で出てきた桃井さん、暗喩ではない文字通りの”風格”が出ていて遠目にもなかなかの”迫力”でした。いやなかなかに。

 イベントの方は作品の先行試写が何本もあって間をつなぐトークに歌も充実していて(元「PEARL」のSHOTAさんみられたし、って田村直美さんね)4時間があっとゆー間。まずは見た「ぷちぷりユーシィ」は10歳の姿で成長が止まってしまった安達祐実さん……じゃないユーシィちゃんが自分の夢をかなえてくれそーなティアラをゲットするために、他の候補たちと何とかプリンセスを目指すとゆー内容で、「プリンセスメーカー」の赤井孝美さん描くでこっぱちな元キャラが只野和子さんによって丸く可愛くアレンジされていて、画面いっぱいにかけまわるそのでこ……じゃない肢体に大きくなんてならなくて良いんだよ、そのままでずっといて良いだよと訴えかけたくなる。育ての親のお父ちゃんもきっとそう思っているに違いない。

 オープニングのテンポの良さはなかなか。監修ってところに庵野秀明さんの名前が入っていたけど爆発もメカもない作品のどこにどーゆー関わり方をしているのか知りたいところ。こころって娘の鼻眼鏡がズリ落ちる所かな、体力なさげなこころにちゃんと体力なさげな動きをさせている辺りにも感嘆。少女の成長物語ってゆーお話の見た目の真っ当さはガイナックス作品にはちょっと珍しい部類に入るかも、まほろさんに「えっちなのはいけないと思います!」とさんざんっぱら言われたから自粛したのかな、とか言ってその「まほろまてぃっく」はシリーズ2作目「もっと美しいもの」に入ってますますえっち増量中みたいで、銭湯のシーンでは先っぽまでバッチリな双房(一部甘食)の数々に「えっち上等!」と心で喝采を鳴らす。これじゃあ地上波でなくても仕方ないね。

 こちらではオープニングの絵コンテを担当の庵野さんの冴えが、どの辺にあるのかはアニメ分析な人に任せたいけどスカート姿の女性が下から向かって来て上へと飛んでくシーンでの、当然なまでの白猫の三角な描写辺りはやっぱり趣味なのかそれともアーティストとしての必然なのか。本編については新キャラ続々登場で前作すらろくに見ていない身にはなかなかに不明なところがあるけれど、銭湯と並んで見所なんだろー戦闘シーンでの迫力とかはさすがなもので、これも見ていた20数分がたちまちのうちに過ぎてしまった。ヒットからいよいよブーム化も間違いなし。これからの「パイオニアLDC」の10年を支えるアニメになることで御座いましょう。

 だったらこれまでの10年を支えたアニメは? ってことで催されたファンへの人気投票は、3位にすでに「まほろまてぃっく」が入っていて次代を担うチャンピオンとしての風格をすでに漂わしている感じ。今の人気が割に反映されやすい人気投票だたらあるいはトップを取るかも、なんて思ったけれどそこはやっぱり10年を名実ともに支えた実績からだろー、「天地無用!」が堂々の1位を獲得。出演者の名前を見た時に、”現役”として「まほろまてぃっく」に関わっている高田由美さんを除くといわゆる「天地ファミリー」の名前がまるでなく、未来に開いたイベントだけど過去には背を向けるのかな、シリーズも余所に移ったことだし、なんて思ったけれどラストにしっかり折笠愛さんを壇上に呼んでは、グランドフィナーレに名曲「恋愛の時空」を出演者一同で大合唱するサービスを見せてくれて、感激のうちに長丁場だったイベントを終えることができた。味だなあ。

 3位「まほろ」で1位「天地」なら2位は? もちろん我らが「ハンドメイド・メイ」……ではなく当然のよーにs「serial experiments lain」が獲得、その引きずるよーな人気の底堅さを改めて証明する。いや個人的には当然なんだけどそう思う人が世の中にそんなにもあふれていたってのは正直言って驚きで、あるいはネットの神さまがネットから投票でも操作したんじゃないかって勘ぐりたくさえなった。1位にしないあたりはやっぱり「天地!」へのリスペクトってことで。その「lain」を仕掛けた上田プロデューサーに安倍吉俊さんの新作「灰羽連盟」はプロモーション用DVDで見て感じた暗く重たい感じが声とか入ってお話もついて来て軽減され、明るさとコミカルさも出てきたよーで先に期待。地上波なんで真夜中(早朝)だけど頑張って見よー。期待らしー「L/R」はなあ、ルパンがビバップでナジカな後にどこまでメカと車とダンディズムで客を引っ張れるかって辺りが鍵になりそー、えっちあんまり無さそーだし。「月姫」はまだ分かんないや。


【9月21日】 「ハンドメイド・メイ」以外の何になるというのだ、SF者が。それはさておき今日も今日とて「東京ゲームショウ2002」を見物、某恐竜ランドが午前9時半の時点ですでに入場30分待ちの大盛況になっているのを横目に「幕張メッセ」の本開場は開場した館内へと歩く人たちの速度の速いことはやいこと。ギッシリの行列だったら考えられないほどのスムーズさで、早朝から並んででも早く入ってゲームまみれになりたいって人の昔に比べて減ってしまったんだろーか、なんてことを様子を見て思う。同じイベントでも先月の「コミックマーケット」「ワンダーフェスティバル」のどれもが開場から入場まで軽く1時間はかかっていたからなあ。「C3」も物販に鍵ってはそんな状態だったし。

 長時間並んででも入場したい人はつまりそこでしか買えないもをとかを求めてやって来る人たちで、「ゲームショウ」の場合は一足早く見られてもいずれは発売さっるものだから別に朝っぱらから並んでまで来なくたって良いし、いっそ全然来なくたってネットとか、情報誌とかでガンガンと情報は入って来るからあとは自分の目で見た触ったってアドバンテージを得たい人とか、各ブースにいる谷間や谷間や谷間な人たちをその目で見て触り……これは厳禁、見て撮りに行きたいって人とかにとってくらいしか、意味がなくなって来てしまったのかもしれない。ただしコンパニオンに関しては不景気でイベントが減ってしまっているからなのか、どこのブースも上玉を揃えてあって見ておく価値はかつてないほど高まってるんで、それだけでも行く意味はあるだろー、ゲーム関係ないじゃん。

 物販についても「東京ゲームショウ」だからって特別な商品を出す体力も各社に欠けて来ているのか、これって商品は見あたらなかったけどそれでも一部のブースについては、朝から結構な行列が出来ていたんで市場はそれなりにあって、そこに突っ込める商品なりコンテンツを持ってる会社はまだまだ生きて行けるのかも。コナミなんてとうの昔に終わったと思ったのに「ときめきメモリアル」関連は未だなかなか元気で、とりわけ今回は「ガールズサイド」関係の商品とか、「幻想水滸伝」関係の商品とかを買い求めに来る婦女子が長蛇の列を作ってて、オトコノコのお店だと思ってた「こなみるく」にちょっと転機が来ている感じ。主力のゲームソフトに超絶的な目玉が少ない昨今、ふたたびの「ときめもブーム」が経営を救うのか。

 経営がいまひとつになってしまった「ブロッコリー」の方も物販だけなら大行列はまだまだ健在。さすがに「でじこ」関連のコーナーは空いていたけど新作も近いらしー「アクエリアン・エイジ」絡みのコーナーについてはこれまた1時間待ちくらいの長蛇の列で、テレホンカードのコーナーもやっぱりそれなりな大行列。他の物販と比べてもちょいケタ違いって感じはあって、先を見通し過ぎた人員の採用で増えた固定費と、遅れまくったゲーム開発のせいで増えた開発費が改善されれば業績的にはまあそれなりに、それなりの数字を残せそーな気もして来た。あとはゲームの「でじコミュニケーション」がどれくら売れるかだけど、見たところ面白そーではあるものの、「でじこ」じゃない人にはどれだけ訴求するのかが不透明なのがちょい懸念。こーゆー時にアニメがちゃんと放映されてればアピール度もまた違ったのに。またやんないかなあ、ちゃんとした(凶悪な方の)「でじこ」のアニメ、TBSじゃなくてもいいじゃんか。

 行列をクリアして目当ての商品を買って出口から出てくるお客さんのひとりひとりにカードをわたす木谷高明社長の姿を発見、朝からごくろう様ですが、どれだけの人が社長の人と気づいたんだろー、けどさすがに「社長」って書かれたたすきをかける訳にもいかないからなあ、台に乗ってギターの弾き語りをやるならまだしも、ってそれじゃあ仁井谷さんだよ。物販では引き続き「ぷちこ」の抱き枕が気になったけどやっぱり値段がネックになって見送り決定。代わりといっちゃー何だけど、「ギャラクシー・エンジェル」関連のグッズコーナーで販売していた、いよいよご登場の「ノーマッド・クッション」って奴を1つだけ買って会場を後にする。前面だけじゃなく背面もちゃんとプリントされた優れもので、殴れば芍薬蹴れば牡丹な心地になれるらしー。どんな気持ちだ。

どうして棒で球をひっぱたく野蛮なスポーツにのめりこめるんですかねえ、人間って、ねえヴァニラさん  折角なんで近所で開催されてた「千葉ロッテマリーンズ」と「西武ライオンズ」の試合会場へと持ち込んで、もしかしたらこの日に日本でのホームラン記録を塗り替えるかもしれないカブレラ選手にバットでひっぱたいてレフト最上段へと運んでもらおーかと思ったけれど、内野席からですらフリーバッティング中のゲージは遠く声かけられず断念。だったら歩いていたカモメのマスコット人形に踏みにじってもらおーかと思ったけど、その虚ろな目で見られるとちょっとだけ情も湧いたんで、季節はずれの直射日光にさらして暑さに苦しめるだけにとどめ置く。ふかふかになってしまったぞ。クッションだから仕方がないか。

 試合の方はこの日に勝てばライオンズの優勝が決まるとあって珍しく結構な入り。1塁側の内野席を求める人の行列よりも3塁側を買おうとする人の列が長かったあたりにホームとはいえ世間的にはマイナーなマリーンズの哀しみを見る。けど外野席に陣取る応援団は以前にも増して迫力満点で、ラッパに合わせてプラスチックのメガホンを叩きながら「かっとばせー」とやる今の野球に一般的な、けど個人的にはやかましくってうっとうしい応援方法をとらず基本的に鳴り物は手拍子であとは人間の出す声が頼り、あと調子を合わせる太鼓があって時々トランペットをならすくらいのマリーンズの応援のまとまりの良さ見た目の新しさに、ちょっとだけ野球の応援が好きになる、ってゆーかこれ、まるでサッカーのJリーグの応援スタイルだよなー、長い紐を背負ってジャンプしまくる人たちとかもいたし。

 しかしマジック1にまで来て昨日は勝てず優勝を今日へと持ち越したライオンズ、なのに初回にマリーンズに2点をとられ以後も追加点を重ねて来る相手に対して先発の小野選手をうち崩せないまま無得点。最後もウォームアップに腕を前に後ろにぐるぐる回す格好が妙におかしいけれど投げると150キロを超える剛速球をぶぶん投げ込むシコースキーにピシャリと押さえられ、今日の球場での胴上げを見に来ていたお客さんたちに寂しいところを見せてしまった。せめてカブレラのホームランでもあれば良かったんだけどそれもなし。試合の方は拙攻もなければ凡プレーもなく締まってたし、何よりラストに面白いものを見られたんで楽しめたことは楽しめた。

 2度も目前で優勝を確定できなかっったライオンズ、明日こそは自力で優勝を果たしたかっただろーけど、そんな空気の読めない「福岡ダイエーホークス」が「東京ドーム」で「日本ハムファイターズ」に勝てずライオンズの優勝決定。明日の試合はこれで消化試合となってしまった訳で見る興味もちょっと失せてしまった、って声優の大イベントを蹴ってまで行く気は最初からなかったんだけど。残る期待はカブレラのホームラン記録ってことになるのかな、けど今日1本も出なかったんで新記録のために1日に3本打つのはちょっと難しそー。せめて2本を打ってタイ記録まで作ってもらって、残る試合に新記録の達成を期待しよー。出来れば目の前で見たいもの、神戸と福岡じゃー見に行けないんで月末の西武ドームまで戻って来てくれ。


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