縮刷版2002年6月中旬号


【6月20日】 早朝にかけて大阪メロン争奪戦。オレンジのマークが輝く緑になった頃合をうまく捉えてリンクを辿り、カテゴリー争奪戦へとのぞんで何度かのシステムビジーを乗り越えてどーにかこーにか座席を確保したものの、最後の最後に認証サーバーだか決済サーバーだかのビジーを喰らうとゆー罠にひっかかること2度、3度。それでもあきらめずにトップページからすでに暗記してしまったクレジットカードの番号を叩き込み、マップ画面から幸いにしてメロンを確かめリンクを辿り最大の難関のカテ線も突破してシステムビジーの罠もすりぬけて、明け方近くによーやく1枚、今大会の事実上の順準決勝と言える(当たり前だ)大阪は長居で6月22日に開催される「セネガルVSトルコ」の試合のカテゴリー1のチケットを確保する。雀がピーチク鳴いていた。

 メインだかバックだか分からないけどセンターラインを眼前に見るほぼ中央のブロックのそれもひとケタ列目ってゆー席がどーしてこの期に及んで取れてしまうのか、って謎はすなわちスポーツ貴族な方々につきまとう数々の噂が現実になって知らない場所からチケットがわらわら湧いて出てきたか、あるいは日本が登場するだろー見通しに喚起していた経済貴族な方々がはるか宮城でついた溜息に吹かれてひらひらと良い席が降ってきたかわ分からないけれど、カードもよく分からないまま買わされる博打より悲惨な前売りでもって完売させるのが原則のJAWOCの非民主的なスタンスを、あの手この手で崩して堂々と間際に最高な席を売ってみせたバイロム社の老獪ぶりパンクぶりに、今はちょっぴり感謝してる。お陰で行くか現時点では未定だけど3試合も正価で見られることになった訳だし。

 そりゃ欲を言ったら静岡の「イングランドVSブラジル」の方がカードとしては黄金で、是非にも見たかったけど時折生った静岡メロンの争奪戦に敗れてしまったなから仕方がない。それでも今大会で台風の目的な存在とも言え、90年代にカメルーンが起こして今なお語り草になっているアフリカの風の、21世紀版って奴にまみえられるってことだけでも、行って見て置いて損はないって思ってる。あの感動のフランス撃破の翌日に日比谷公園でセネガルの民芸品を買って応援な気持ちを表しておいただけに、そんな彼らを生で見られる日が来たことに今は感謝。そー言えば「週刊新潮」で福田和也さんが最近の日本代表を応援する人たちを「土人」呼ばわりしてたけど、末尾に22日の長居のチケットを買ったってゆーから当然やっぱり見に来るんだろーな。日本代表が出なきゃ見ない、なんて言ったらそれこそ流行りにだけのって祭りだと騒ぐ「土人」ってことになるからね。

 ってことで22日はゆらゆらと関西に行って長居で試合を見て寄るは吉本がプロデュースしたとかゆー難波のホテルで雑魚寝して、翌日は京都で開催されるってゆーアミューズが仕掛ける芸術家オーディションの選考展示会を見物します。場所は京都文化博物館別館ホール。時間は午前10時から。並べた作品を審査員と一般の人が採点していくって感じのオーディションになってるとかで、村上隆さんが3月に開いた芸術家の卵たちの即売イベントを通じたオーディション「GEISAI」に似た感じだけど、今回は即売はなさそーだからむしろ「東京都現代美術館」でサブイベントとして開かれた「芸術道場」に近いかな。芸能プロダクションのアミューズが何故にアーティストのオーディション? って謎はあるけど「明和電機」だってソニー・ミュージックエンタテインメントのオーディションから出て今は確か吉本興業がマネジメントしてたりする訳だから、コンテンツ至上の時代にアートだって物によってはビッグなビジネスになるってことを見越してのことなのかも。東京と違った空気を持った人が出展してくれていることに期待。近隣のアート好きな人も除いてみると面白いでしょー。

 「ナンバー」の6月28日週刊文春臨時増刊版は宮城での「トルコ戦」に敗退したことを踏まえた日本代表の総括が冒頭からずらずら。その巻頭に金子達仁さんがフィーチャーされてて、なるほど「ナンバー」から生まれたスター・ライターではあるけれどここんとこ”トルシェ憎し”的なニュアンスの文章が目立ってちょい辟易させられてただけに、またぞろ被虐的な記事で感動に浸りたい人の気持ちを逆撫でしてるのかな、なんて思って読んだらこれがなかなかに冷静で、不快な気持ちにはそんなにならずむしろ納得しながらたどっていくことが出来た。敗戦から数日経って気持ちにな落ちつきが出たことに加えて当日夜に行われた韓国の試合があまりに激烈で日本代表の失敗がささいなことに思えるよーになってしまったことがあるのかも。

 日と韓の違いについては金子さんもしっかり触れていて、「韓国がやったのは『これが韓国だ』という戦いだったとしたら、日本がやったのは『これがトゥルシェだ』というサッカーだった。そのことが私を強烈に打ちのめした」って文章を通して韓国代表のひとつベクトルを同じにして勝利へと向かい突き進む凄さを紹介しつつ、ひるがえって日本代表に足りない何かを感じさせよーとしている。それがすなわち苛烈なリーダーシップで選手を統率しよーとしたトゥルシェへの批判と取れないこともないけれど、むしろそーしたトゥルシェの元でひとつ目標に向かって戦う意志を固められなかった日本代表の面々への、覚悟の及んでいなさを指摘しているよーにも思える。

 宮城での「トルコ戦」、言われているよーに選手に安閑とした空気が漂っていて、それが1次リーグとは違った西澤の1トップにアレックスをサイドで攻撃陣として投入する布陣をトゥルシェに取らせたんだとしたら、改めるべきは監督ではなくやっぱり戦う者としてのスピリッツ、ってことになるんだろー。問題はそれをこーやって醸成するかなんだけど、勝てた試合を落としても「よくやった」とどっかの新聞社の社長が文章を綴って1面に堂々掲載させてしまうくらいに国民に妙な達成感が出てしまっていたりする訳で、その辺りを改善していくためにはやっぱり宮城でサポーターたちが選手に喝を入れておくべきだったんだろー。ヒディングが抜けても前へ前へと吶喊するスピリッツを作り上げた韓国はそれが永劫維持されるにに比べると、トゥルシェが残した戦術では、監督が後退した後では果たして継承されるかどーか未定。バラバラに解体されてしまいスピリッツのなくなった日本に果たしてドイツへと行く力はあるだろーか。やっぱり3試合でも見ていて良かったってことになるのかな。


【6月19日】 多分おそらく今日あした明後日あたりに、山と出てくるだろーW杯便乗論調を牽制しておく意味でも考えておきたいことをちらりほらり。可能性としたらひとつはあれか、スタジアムでも外でも山ほどの「日の丸」に「君が代」が溢れかえっている状況を見て、過去の不幸な歴史と結びついて忌避されがちだと言われる「日の丸」に「君が代」だって本当はみんな受け入れてるんだ、ってなライティーな言説だろーけどこれはまあ、ユニフォームとかタオルマフラーっていった「ブルー・ジャパン」の応援グッズと感覚的に差がなかったりするんでライティーが称揚するのもレフティーが眉を顰めるのも、どっちも考えすぎってことになる。サッカーの日本代表の試合以外でここまで国旗国家が盛り上がるのってないところから考えると、単なるツールでしかないんだろーね。

 そーした「日の丸」「君が代」論争は毎度まいどの事で一種の風物詩とも言えるけど、こっちの言説はもーちょっと滑稽かも。「国民の代表」として戦い歴史的な勝利をおさめつつも決勝トーナメントで散った日本代表チームに向かって、この沈滞する日本の経済政治社会にやれば出来るんだってな感じの勇気を与えてくれてありがとう的な賛辞を送りつつ、これを見習って私たちも頑張ろうなんてやる奴で、チームの為とか仲間のためとか、応援してくれる人たちのためには頑張ろうって気にはなってもそれはあくまでサッカーとゆースポーツを通してのこと、讃えるんならまずはそーしたサッカー選手としての頑張りであり結果とゆーのが筋であるにも関わらず、そーしたことにはまるで触れずに、サッカー日本代表をニッポンのサラリーマン戦士になぞらえて語って見せる、中小企業経営者の社員向け朝の訓令的な陳腐さには、怒りを超えて苦笑が漏れる。

 まあ、経営者が社員の失態激励に使うだろー分にはそれはそれでニッポンらしー光景かもって思えるけれど、これをたとえば言論の府で仕事をしているよーな人が堂々と、それも手前の媒体を使って言ったとしたら、それはそれでキモチワルイことかも。あなたたちに感動しましたって言いたいならそれは私信として手紙にしたためればいいことだし、そこにニッポンのサラリーマンの頑張りをなぞらえたいなら論説なり、1面コラムのよーな感じで場所を括って示すがのスマートってもの。これが例えばNHKで会長が出てきてニュースの途中に延々と「感動した」「サラリーマンも頑張ろう」なんてやったらいらぬお節介だと顰蹙を買いこそすれ、そのとーりですと同調する人なんているはずがない。公器の私物化、売名行為って糾弾されるのがオチだろー。

 幸いにして今のメディアの人にはそーした矜持があるから、ナベツネさんだって1面で「感動した」なんて書かない(巨人ファンなんでどのみち言わないけど)し、書くとしてもまだこれからが本番なW杯が終わった後に総括として書くのが良識にかなう。韓国の頑張りを入れれば共同開催の大会の神髄を表すものとしてなおスマートかも。とかここでこーして言ってることも、あるいはW杯での日本代表の活躍にかこつけたメディア批判で便乗商売と大差ないんで、言うのもこのあたりで止めいしておこー。ともかくここしばらくのメディアに注目、その便乗ぶりから言論人としてだったり、メディアそのものの品性知性の多寡が見えて来ますから。

 新海誠現象、海を越える。って言うのが正しいのかそれとも影響とゆーよりはシンクロニシティーに近いのか悩むところだけど、ひとりパソコンの向かってしこしこと作った短編のアニメーションを引っ提げ内外のフェスティバルに参加しては評判を得て、次へのステップを掴むって新海誠さんがなしとげたパターンをそのまま韓国でやっていた人が、19日まで東京で開催されてた「ショートショートフィルムフェスティバル」って短編映画ばかりを世界中から集めて上映するイベントに登場。キム・ジュンキさんて今はまだ29歳の若いクリエーターの人で、作った「Lighthouse Keeper」って作品は、島にある街の明かりを夜になると灯してあるく人を描いていて、辛く厳しいこともある人生の、それでも精一杯生きていく素晴らしさみたいなものを考えさせてくれる内容になっている。

 2Dっぽいアニメじゃなく完全に3DCGのアニメだけど、1年半くらいかけて音楽以外は全部ひとりで作ったそーで、その素人目には高く見えるクオリティといー、お話しが醸し出す雰囲気の清冽さといー、新海さんと相通じるものを感じるし、そもそも当人の訥々として作品作りに対して純粋そーな感じがこれまた新海さんと共通。アニメーションが好きで好きでいつかアニメ作りに関わりたいと思っていたものの若いうちには果たせず、ゲームの学校を出て入った会社でパソコンとか触りつつそれでも夢捨てられず、折良く高性能化が進んで値段も手頃になったパソコンを使ってアニメ作りを始めたのは数年前。ついには仕事も辞めてしまい、今は仕事をしていた時にある程度まで貯めたお金を元にして、ひとりアニメを作っては映画祭とかで見てもらって、次のステップへと至る道を探している。

 あまりなシンクロニシティぶりに、キムさんに「日本にはインディペンデントでアニメを作ってDVDにしたら売れちゃった人がいますけど」って聞くと「知ってます『ほしのこえ』ですね、映画祭でいっしょになりました」って答えが帰ってきて、「いつか自分もそれくらになりたい」って話してくれて、新海さんの評判の広がり具合にちょっと驚く。かく言うキムさんだって、こーして招待されたりいろいろな賞を獲得してたりする作品を作っているんだから、ある程度はスポンサーのメドがついて創作に没頭できる環境にあるのかと思ったらそーでもなく、聞くと普通の映画は国策ってこともあってショートフィルムも含めて結構な数が作られていて、それに対する政府の支援もあるけど短編のアニメに関してはその辺りがまだ不十分で、もちろん食べられるだけの仕事にはまだ至っていないとか。とはいえ遠からずブレイクするだろー可能性は高そーで、そのアニメへの純粋で凄烈で真摯な姿勢がこれからどんな作品になって現れて来るのかが、今から楽しみで仕方がない。唾つけたっと。

 こちらはすでに大御所の感すら漂う北村龍平も、同じ「ショートショートフィルムフェスティバル」のこっちはクロージングとなる上映会に登場。セガとかアミューズとかが関わって、フジテレビが誇る映画プロデューサーで今はアミューズに出向中の河井信也さんが手がける「Jam Films」って気鋭の監督ばかり7人をピックアップしてショートショートを作らせる企画に最年少として参加しているもので、他に居並ぶ堤幸彦さん、飯田譲治さん、望月六郎さん、行定勲さん、岩井俊二さん、篠原哲雄さんっていった面々を見るだけで、どんな作品が出てくるのかって期待を膨らませずにはいられない。

 そんな凄腕ばかりの中で最年少で、公開されたメジャーな映画がひとつもない(「VERSUS」はメジャーって言わないよね)にも関わらず、日本をすっとばしてハリウッドから熱い視線を送られているクリエーターだけあって、北村監督、すでにバリバリな存在感を見せている。7本あるうちで完成している2作品をとりあえず見てもらおうってワールドプレミアなレイトショーに、飯田譲治監督の「コールドスリープ」と並んで上映された「the messenger」は、「VERSUS」とはまた違った雰囲気ながらも「[VERSUS」以上の高いテンションに溢れた作品に仕上がっていて、見ればおそらく万人がスゲェと感銘を受けるころだろー。飯田監督の「コールドスリープ」がどんな作品だったか忘れるくらいに。

 女殺し屋の話、ってとりあえず言っておくとして、それだったらやっぱり「VERSUS」顔負けのガンアクション、ブレードバトルが繰り広げられるアクション&バイオレンスな作品だろーと思って見ていると、いつまで経ってもアクションシーンが始まらない。だったら退屈かとゆーとさにあらず、どのシーンを切り取っても写真作品として通用するものを作るんだ、ってな意気込みでのぞんだそーで、なるほどその言葉どーりに全編これ名シーンとゆーハイテンションな作品に仕上がっている。

 これが初演技とゆー主演の魚谷佳苗さんの顔を真正面からとらえてしばらく見せるシーンとかがあるんだけど、微妙な表情の震えがストーリーとの関わり、その中で彼女が与えられた役割にピタリとハマる演技になっていて、見ているとぐいぐいと画面に引き込まれる。企画が持ち上がって割と短時間で上げたシナリオだそーだけど、キャラクターにしろ設定にしろ幅を広げられそーで、短編ドラマの連作なんかになっていったら面白いかもって思ったけど、何ら前振りのないなかでポンと投げ出された、状況が見えず先もまるで分からない、1つの短編とゆー限定されたシチュエーションだからこそ、、出せるテンションってことかもしれないでその辺りは微妙。ただそれでも魚谷さん演じる「メッセンジャー」とゆーキャラは1作で捨てるには押しすぎるんで、そこは持ち前のバイオレンスにアクションが飛び交う北村組ならではのエンターテインメントとして、作っていって頂ければちょっと嬉しいかも。坂口拓さんも出てまーす。


【6月18日】 ここんとこ1回飛ばしくらいで見ているアニメ版「あずまんが大王」。やっぱほら、サッカーW杯がやってるとついつい、テレビに見入ってしまって今大会にやたらと多い番狂わせゲームとかに使う神経も多くって、目とか頭とか疲れてしまって真夜中までとても起きてらんなくなってしまう。あと早朝からネットにアクセスしてチケット取ろーと頑張った反動が出てしまうとか。取れた試しがないんだけど、他の誰かが取ってるって思うだけでもー、いてもたってもいられず早起きしてしまうんだよね、遠足前の子供みたいだね。

 幸いにして「メキシコVSアメリカ」も「ブラジルVSベルギー」も片方の強さが目立って見ていて安心できてあんまり疲れなかったってこともあってか起きていられて見られた「あずまんが大王」は……普通かな、水着もないしブルマーも出ないし大阪はしゃべらへんしゆかり先生はキレてないしよみもあんまし怒ってない。三バカの神楽が無神経な親切ぶりを発揮するエピソードも榊さんの決死の猫可愛がりもそれはそれで楽しいんだけどやっぱね、日常っぽいシチュエーションのなかで日常っぽくも思えるんだけど実際にはそんな奴ぁいねー的ギャグが爆発している話が好きなんで面白かったんだけどちょい眠かった。巻が進むにつれて原作もキレてた部分よりもほのぼのっとした感じが濃くなってった感じがあるから(受験ネタとか)、時系列どーりに進むアニメもそれで仕方がないんだろー。まーそれでも今春屈指の出来ってことには違いないんで残り何話かは頑張って見届けることにしよー。全何回だったっけ。

 決戦当日。街には朝っぱらから青いジャージがあふれてて、総武線も秋葉原から代々木方面へと向かう路線に船橋駅の時点ですでに一10人程度、青いジャージ野郎がいたりしてまさかこれから宮城へ向かうんだろーか、なんて羨望の感情に爆発しそーになったけど、思い返せばこの路線、つながっている先にあるのは千駄ヶ谷「国立霞ヶ丘競技場」。本番ほどではないけどそれなりに過酷な争奪戦を乗り越えゲットしたチケットを手にもって、これが4回目になる「パブリックビューイング」って奴を見に行く人たちだと気づいて僕といっしょだと安心する。

 いやそれほど安心もしてられない。そもそもが宮城にだって間に合いそーな時間にこれだけ国立に行く人がいるってことは、それだけ行列も長くなるってこと。前回、「チュニジア戦」をとばした「ロシア戦」で経験した1時間の大行列を超えそーな雰囲気に、仕事の合間にちょいのぞこーかって程度の見方は今回無理かもって心配いになる。とはいえ天気は雨でときおり土砂降りになる行列には最悪のコンディション、いくらブームとはいえ日曜日だった「ロシア戦」の時よりは人数も減って当然だろー、なんて楽観的になっていたら甘かった。どんな土砂降りも厭わず合羽に身を固めた人たちで「国立霞ヶ丘競技場」はどの門の前にも長蛇の列で、ブームとか雰囲気って奴は人間にどんな苦労も厭わせなくなるんだってことを改めて実感する。こーゆーの見ちゃうとやっぱり年輩の人とか戦前の提灯行列、思い出しちゃうんだろーなー。

 応援の盛り上がりぶりは確実に前の回を上回っているよーで、合羽を着ている関係で遠目には白っぽく見えるスタンドが一斉にうにょうにょと動く雰囲気は1個の生物のよー。ジェンカよろしく左右にレッツキッス(スキップはしあいけど)と移動するアクションがスタジアムの一点から広がってやがて観客席全部を包んだ瞬間の迫力たるや、過去に見たどんんなライブ映像もかなわないくらいの迫力で、日本人がこれほどまでに一体化できるイベントが果たして次に来るんだろーか、でもってその中に身を置くことが出来るんだろーかと、試合の結果を知ってしまっている今、寂しさ混じりの感情でちょっと思っている。オリンピックは種目が多すぎるしそもそもしばらく日本に来ない。「W杯バレー」じゃちょっとパワー不足。「パンパシフィック水泳」? テレ朝だけ盛り上がってなさいっての。やっぱあれしかないかなあ、「阪神優勝」。

 あるいは次回「ドイツ大会」の日本戦に合わせた「パブリックビューイング」でもあれば、似た状況になるかもしれないけれど、国内の身近な場所でやってるって感覚が切断されてしまっても盛り上がれるか分からないし。あと時差の関係でイベントが開けるかどーかも微妙だし。早朝でも真夜中でもやって頂ければ嬉しいんだけど、住宅もあるんで無理だよね、やっぱ。「パブリックビューイング」のほうは上からは大粒の雨が降り懸かり、時折吹きすさぶ横からの風に雨を通さない合羽でも流石に寒く、おまけにディフェンダーのミスからピンチになった挙げ句の失点を挽回できそーもない今までにもよくあった展開に、身だけでなくって神経も縮んでしまって30分ほどだけ見物して退散、戻って会社で見た後半も攻めながら得点できないパターンにこれが今の日本代表なんだと妙に納得してしまう。

 夜に放映された「韓国VSイタリア」の試合を見てそんな納得感もさらに増量、あいてがイタリアだからって臆せず向かっていく闘争心と、そんな心を支えるドリブルにしてもトラップにしてもパスにしても何してもしっかりしている技術とが合わさってこそのチーム力なんだってことが伺えて、中田英寿選手がいった「足りない何か」の手がかりなんかも感じられた。いらないパスとかないしもらってとめてそれかわ渡すなんて緩慢さもほとんどない、行ったり来たりのジェットコースター・サッカーは目に楽しく面白く、あんまり見たことないけど「セリエA」の優勝争いがかかったダービーマッチを見ているよーな感じさえ受けた。

 最後はデルピエロを引っ込めてまで守りに入ったイタリアと、負けたら終わりと自覚して5フォワードでとっかんした韓国との気迫の差がブラウン管から漏れて来て、よほどスピーディーなカウンターでもしないとイタリア、ちょっとってゆーか絶対に勝てないってね、って気もして来たからね。ポルトガルを破りイタリアを葬り去って次はラテン3番勝負の大トリ「スペイン戦」。このテンションを下げなければホームの利ってこともあって勝てそーな気もしてきたし、そこを抜けた先に待っているだろードイツにだってプッシュ、プッシュで勝てちゃいそー。でもってラストは日本を敗ったトルコに日本に代わって横浜の地で雪辱を果たしてくれるとゆーウツクしいシナリオに、ファイナルのチケットを持っている人たちは今から期待で胸ふくらませましょー。僕は3位決定戦「ドイツVSブラジル」で我慢しますから。


【6月17日】 臨戦態勢、ってことで「カンピオーネ」も「B&Dスポーツ」も「サッカーショップKAMO」も日本代表のジャージはオフィシャル、レプリカともに完売状態に近くって、明日の対トルコ戦に合わせて着よーと思って慌てて探しに走った人たちが、ジャージ難民と化しては池袋から代々木から原宿から渋谷へと南下しては再び泣きながら北上していた模様。お台場の「グランドーム」は稼ぎ時のこの時期に「パレットタウンサンウォーク」「ヴィーナスフォート」もろとも休館とゆー体たらく。分かっていなさぶりに施設の将来への不安を覚える。続け「NEO・GEO」に、って奴?

 しかしまあ、何とゆーか全体主義ってゆーかすさまじいばかりの販売状況。「日本代表のジャージが売り切れになる日が来るなんて思わなかったー」と感慨深げに話す店員もいたほどで、日本代表の強さもさることながらお膝下で開催してるってことの強さを感じる。単なる流行ってのが8割くらいなんだろーけれど、それを知らない相手チーム、街を歩いてもスタジアムに行っても青一色の日本代表への応援ぶりに、欧州とかでアウェーで戦って感じる”殺意”めいたものを日本人にも勝手に抱いて、プレッシャーに潰れていくんだろー。明日はきっと街中のそれこそ高速道路から路地裏から獣道まで、青いジャージを着た人たちで真っ青に埋め尽くされるはず。でもって韓国代表の試合がある夜はソウルが赤い人たちでいっぱいになるんだな。

 聞くと現時点では代表のジャージは製造元のアディダスにも在庫がまるでないそーで、これだけ売れてるんだから鋭意製造中だとは思いたいけど、問題は明日の対トルコ戦の結果次第では作った青いジャージの売れ行きがピタリと止まってしまう可能性があること。不謹慎ではあるけどだからといってビジネスの人たちはそんな部分まで折り込んでおかなくっちゃいけない訳で、おそらくはどっちにどー転ぶかを見極めていたりするんじゃなかろーか。作ったは良いけど明日でうち止めなんてことになったら目もあてられないし。そのあたり本当にマジにどーなってしまうんだろー。メキシコに勝ったアメリカよりもスウェーデンに勝ったセネガルよりも日本ってトルコに勝つ可能性って高いんだろーか。一次リーグとはまるで違った緊張感に身をよじらせながら明日は午後を過ごすことになりそー。生きて夜を迎えられることを、それも喜びの夜を迎えられることを今は切に祈ってます。

 内容と権威は両立するか、って命題についてあんまり深く考えたくないなー、とか思いつつ「第3回日本SF新人賞」の佳作入選となった坂本康宏さんの「歩兵型戦闘車両ダブルオー」(徳間書店、1800円)をパラパラ。バブルの余韻の中で獲得した予算を消化すべく製造された歩兵型戦闘車両すなわち合体ロボットに登場することになった社会的な落ちこぼれさんたちに小役人たちが、次々と現れては街をピンチに陥れる謎の怪物たちと戦う話で、それ自体は興味をそそられる題材ではあるものの、かといって斬新とか新鮮とかいった印象もそれほと受けず、それでも小松左京さんを始め重鎮がズラリな新人賞の受賞作である以上はきっとそこかしこに捻りなり、圧倒的なメッセージがこめられているんだろーと思って読み進めている。結論は。

 悪くはない、とは思うもののかといって突出して凄いって感じもなく、端的に言えばよく書けていてドシロウトたちがロボットに乗り組み訓練の果てに大地に立つ、なんて特撮パロディっぽい設定ながらも(「ぽちょむきん」とか「ダイテンジン」とか)キャラの出し入れでもって読ませるテクはあるよーで、読んでいる間は楽しめた。とは言うものの、圧倒的なリーダビリティーのある話ってことだったらそれこそヤングアダルトのレーベルの中に山ほどあるし、そんな中に多感な青少年が知恵を学んだり勇気を抱いたり心を癒されたりするテーマやエピソードが盛り込まれているのも数多い。比べて「歩兵型戦闘車両ダブルオー」が突出しているとも思えないにも関わらず、出自が出自ってことでおそらくは「戦後・日本・SF」の成果として正史の中に語り継がれていくんだろーと思うと、不思議な気持ちになる。

 そーした立ち位置が良いかってゆーとこれまた微妙で、個人的には中間小説系の例えば「小説すばる新人賞」なんかに応募されてくる、SFじゃないんだけどちょっとヘンな話として読まれた方が、広がっていくよーな気がする。それこそ文中で立ち上がったロボットに呆然とした、特撮を見て育った自衛隊員のよーな気持ちで、ある種の夢が本の中とはいえ現実になって明示され、誰もが共通してもっている特撮番組へのシンパシーをくすぐられる感覚に訴えつつ、リストラとか、失恋とかモラトリアムといった20代、30代が直面している問題の解決に、単純だけど光明を与えている作品として、SFなんて気にもしてないサラリーマンとかフリーターが手に取り読むよーになってくれた方が、内容からしてシアワセのよーに思うんだけど、果たして届くかどーか。SF系な人で一般メディアに書評欄を持っている人にかかってます。

 お台場で開幕した「フィットネス&ヘルスケア2002」にコナミが出展してるんで見物、見た目はエアロバイクなんだけど全面のモニターにツール・ド・フランスっぽい自転車レースのCG画像が映し出されて、プレーヤーは、ってゆーかフィットネス中の人は画面に映し出されている集団を追い上げてライバルを目指すってシチュエーションで、ペダルを漕ぐことになる。試した訳じゃないけれど、後ろから見ていて追い抜くたびに前を走っていた先取が燃え上がっては消えていく展開に、妙な達成感が得られるよーで面白い。いずれ来るだろー肉体のシェイプアップってことよりも、目先の達成の方が人間やっぱり嬉しいものなのかな。忍耐力の落ちている現代人はこーしたプチ達成を細かくつないで引っ張っていく方が分かりやすくて良いのかも。宗教だってほら、修行の果てに地獄行きを免れる奴なんかより、順に階梯を試験とか寄進とかで上がっていくタイプの奴に人気が集まっている訳だし。この辺ちょっと調べてみたいところ。やらないけど。


【6月16日】 6月16日付け「スポーツニッポン」に悩む。馳星周さんのコラムでこう書かれてる。「わたしは彼が叫ぶほどに日本が強くなったとは思わない。日本代表の力が伸びたこと以上に、ベルギー、ロシア、チュニジアが本来の力を発揮できなかっただけだと思っている。なぜか? 日本が戦ったのがホームだからだ。ホームの魔力が対戦相手に重圧をかけたからだ」。そーかもしれない。けれどもだったら韓国だって同様に、ってゆーか日本以上の激しい応援に、日本以上の魔力が働いたのかもしれない。にも関わらずそーした可能性はまるで考慮に入れないで、「はるかに過酷な組み合わせの中でベスト16に勝ち上がった」ことと「日本をはるかに凌駕するサッカーを披露して勝利を掴んでいた」ことをのみ持ち出して韓国チームの凄さを讃えている。何か不公平のよーな気がして仕方がない。

 現実、韓国のチームのパフォーマンスが良かった訳だから論旨としては決して的はずれではないのかもしれないけれど、でもやっぱりどこかに日本代表を、ってゆーかトルシェ監督の力量を、ヒディングに比して低く見ようとしているよーに読める、ってゆーか多分そー言いたいんだろー。なんだかなあ。どーしてそんなに斜に構えて不安を煽りたがるんだろー。まあいい、裏表紙から数えて近い場所に配置されたコラムってことが、松崎菊也さんじゃないけどサッカーを斜に見て辛口の意見を書いて欲しいって媒体の意志を示していて、馳さんもそれに存分に応えてるんだって分かるから。選手上がりでもないし、サッカージャーナリストでもない馳さんの、それがベストなポジションだし。

 でもなあ。表からめくって2枚目の、一般紙だったら社説とか置いてありそーな場所にあるコラムがどーして金子達仁さんの、印象ばかりが連ねられたコラムなのかがよく分からない。長くサッカーを見てきた人だから、同じゲームを見ていても僕たちなんかよりはるかに詳しく、中身を理解しているんだと思うけど、そーしたプロが感じたポイントってのが、具体的な形ではまるで提示されていなくって、なぜあのチームは勝ちあのチームは負けたのか、ってことがちっとも伝わってこなくって、次に自分がゲームを見るときの参考にならない。唯一「チームの勢い、運といったものが大切になる」ってことが分かるくらいか、ってそれ別にサッカーだけの話じゃないじゃん、テニスにだってラグビーにだって将棋にだって言えるじゃん、「4番先取すればタイトルを奪取できる『名人戦』で大切なのは、順位戦から勝ち上がって来た勢いと、そしてその勢いに相手がミスをしてしまうという運だ」とかって。それでご飯たべられるんだったら、明日からでも将棋ライターになれそーだな。

 思うんだけどたとえセンセーショナリズムが横行してても、現場の記者にはサッカー取材何十年ってベテランもいるだろー。新聞で言うなら社説を書く論説委員クラスの人が巻頭に堂々の論陣をはるでもなく、プロとしての経験があって戦術について深い洞察を行えるし実際のゲームを見てポイントを指摘できる目を持った元選手なり現役選手の指摘を置くでもなしに、印象を根拠も並べずにつづった雑感を巻頭に置いてしまうスポーツ新聞の思う「スポーツ」って何なのか、ってことをちょっと考えてみたくなる。人に取材してドラマを紡ぎ出すことにかけては当代一、二の金子さんにはやっぱり選手と素人の僕たちをつなぐ良き媒体であって欲しいんだけど、自分を意見を開陳する快感に目覚めてしまった今となってはもー無理なのかもしれないなー。

 殺意、とそれは呼ぶのが相応しい感情が芽生えたのは、渋谷にある「カンピオーネ」の通りに面した店じゃなくって郵便局の手前の路地にあるユニフォームショップでの店頭でのこと。相も変わらず日本代表のジャージはオフィシャルな奴もレプリカもともに背番号入りは完売状態で、中田が欲しい稲本になりたいバットマン大好き鶏サイコーな奴らがガックリと方を落としつつ、それでも1つ2つと買い求めているレジに並んでいた小僧が、店員に向かっていうには「トルコ戦のチケットがあるんですけど店に置きませんか、売りたいんです」と言い始めたから驚いた。

 あの幻のトルコ戦、18日の平日の昼間のそれも宮城の山奥なんて、恐竜の発掘だったらまだしも世界が注目しているイベントを、とてもやる時間でも場所でもないけどそれでもやっぱり行ってみたいこの目でしっかと見届けたいと思っていただけに、すぐさま「いくらなの」と聞こうとしたらその時は遅く、すでに後ろに並んでいた別の兄ちゃんが「いくらなの、何枚あるの」って聞いたんで、耳を向けたら「1枚1万円以上」なんてリーズナブルな価格を出しておまけに12枚もあるなんて言い始めたからなお吃驚。どこで手に入れたんだ、なんてことはさておきすぐさま「だったら買うぞ」と叫ぼーと思った次の瞬間、すでに事情を察していたらしー店員の人が「宮城じゃないですよ、国立のパブリックビューイングのチケットです」と言ったのを聞いて怒髪が天を衝いた。

 1枚3000円のチケットだ。昨日の朝に全国のコンビニエンスストアとかで売り出して早々と完売したって奴だ。「チケットぴあ」だと確か1人12枚まで買えたチケットを、その小僧は限度いっぱいまで買ったにちがいない。でもって今日、それをまるまる売りさばこーとしている訳だ、それも正価の3倍以上の値段で。まあいいさ。いや本当はよくないけれど、何か物事が動く時に小利口にふるまってはさもしく莢を抜く奴がいるのがこの資本主義社会、軽蔑はするけどそれができてしまうシステムである以上、存在自体を認めない訳にはいかない。

 けれどもだ。サッカーをこよなく愛する人が集まっているだろー「カンピオーネ」の店頭で、宮城は無理でも聖地・国立でファンといっしょに応援したいと願っていたものの果たせずチケットを購入できず、落ち込んでいる人がいるかもしれない場所で、絶対にやっていけないことをこの小僧はやろーとした。手前の金儲けのためにパブリックビューイングのチケットを大量にゲットし、サッカー好きに違いない店員に「こういうのも置いておいた方がいいんじゃないかと」と持ちかけ、買いすぎたんで正価で良いです、なんてファンならではの互助精神なんてカケラも見せず、3倍以上の値段で売りさばこうとした。その無神経ぶりは極刑に値する。その罪は万死に匹敵する。これがもうちょっと大勢人の集まっている時間帯だったら、この小僧、きっとフクロになってたね。

 それにしてもこの「パブリックビューイング」、試合はないけどそれでも私たちは聖地・国立で応援するんだ的な考えの、酔狂なファンの多かった最初の試合の頃に比べると、2試合目、3試合目(はパスしたから伝わって来た話からの想像)と回を重ねるにつれて、やや過激化しているよーな印象もしないでもない。あるいは歯止めの利かなくなった熱さと取れなくもない場の雰囲気だけじゃなくって、前段のイベント全体に邪(よこしま)な空気が漂い始めていて、どうして東京でW杯が見られないんだ、どうしてチケットが取れないんだとゆー嘆きをバネに、だったらオレたちがかなえてやろーじゃないかと企画して実行に移してしまった、その心理の根底にある純粋さが黒く塗りつぶされよーとしている。このまま行けばとおからずスタジアムの中なり外で問題が起こって、盛り上がりかかったサッカーへの興味に水を差す可能性は大。とはいえ何が出来る訳でもないのがはがゆいところで、せめていらない「パブリックビューイング」のチケットを、タダとは言わないけれど正価で頒布するくらいの心意気って奴を、日本が頑張っている時くらいは日本に住む者として、見せてやってはどーだい、小僧。


【6月15日】 世界規模のエンターテインメントを見ることで人が何故これほどまでに熱中するのかを学んでちょ、って感じで午後3時半からの「日本VSチュニジア戦」の放映を社内で解禁どころか皆でいっしょに見たらしートミー、正しいです。バンダイも社長の人がノってるらしくてこれまた解禁、どちらもW杯公認のオフィシャル玩具とか出してなかった会社だから、あるいは世の熱中ぶりから次こそは何をどーしてもキャラクターグッズとかの権利を穫れってハッパを暗にかけているのかも、

 もっとも、正直言うなら今大会のキャラクターのえっと「トン」「チン」「カン」だったっけ、それとも「ブー」「フー」「ウー」? 間もなく会期も終わろーとゆーのに名前の一向に覚えられないブサイクなあのキャラクターなんて、手を出さなくって大正解。文具だかの会社には潰れちゃったところもあった訳で、よく見もせずに世界で人気のスポーツなんでそのスポーツに関連するキャラクターも人気が出るなんて、根拠もない口車に乗せられた身の不幸を今頃きっと嘆いていうることだろー。でもって口車野郎は巨大なビルをぶっ建てるって寸法、これが”サッカービジネス”って奴か。

 気分的にはサッカーおよびW杯の人気ってのはまずサッカーがベースにあってその周辺に近いところから関連商品なんかも売れていってるみたい。際だっているのは日本代表のジャージで、先週あたりから「カンピオーネ」とか「B&Dスポーツ」と回ってみると、半月前には山積みだったジャージが背番号入りはレプリカについては軒並み完売状態で、オフィシャルの方は背番号入りもやっぱり同様。残っているのは多くがオフィシャルの無番号って奴でそれでも見ている間に間に売れていくって状況には、日本代表の大活躍って状況から生まれる同調圧力だとは言ってもやっぱり凄いものがある。背番号入りTシャツの売れ方もすさまじくってやっぱり現在品切れ中。「ヤンボ」「マンボ」「チンボ」入りのTシャツなんて誰にも見向きもされてないのに。

 背番号で面白かったのは、買いに来ていた普段はJリーグとか見そーもないセヴンティーン風な女性2人が背番号なしのジャージを見て「番号ないのってせつなくない?」ってティーン口調で喋っていたこと。単に同じジャージってだけじゃない、選手ってリアルな存在につながる線があってこその行為のベクトルなんだってことが伺えて、こーしたイベント絡みのグッズを作る上で参考になる。あと同じ2人組がレプリカ風Tシャツが今日入るけど背番号7のしか入らないって聞いて「1番いらない」って喋っていたのに爆笑、中田選手が苦手にされているのか単に流行りには乗りたいけれどその中でも個性を出したかったってことなのかは分からないけど、昨日得点して存在感をアピールしたにも関わらずのこのぞんざいな扱いぶりに、W杯が終わったあと飛び出すだろー中田稲本が大流行って口車には、よく考えてから乗ってみるのが吉かも。バブルヘッド人形とか作りすぎて余らせないよーに。宮本バブルヘッドwithアイマスクは欲しいけど。

 人気といえば聖地「国立霞ヶ丘競技場」で日本代表の試合を見ながら大騒ぎする「パブリッキュビューイング」も大人気なよーで、今日朝に発売された前売りチケットをめぐって本当の試合のチケットほどではないけど結構な争奪戦が繰り広げられた模様。午前10時の売出しだからって近所のデパートにあったはずの「チケットぴあ」にいくと影も形も見えず、これは店じまいかとあきらめてその足で「ファミリーマート」へ。ところが店頭のキオスク端末はレシートを打ち出すペーパーが切れていて、入れ替えるからと言われて待っている間に後ろに似たよーな人の行列ができかけてこれは品切れもありえるかと焦る。挙げ句に取り寄せないと紙は入れ替えられないってコンビニにあるまじき体たらくを見せられて唖然。キレかかったけどカルシウムを飲んでて多少は苛立ちが抑えられていることもあって、飛び出し駅の反対側にある「ファミマ」まで速歩でかけつけると。

 さっきの店で後ろに並んで弱々しげに「ほかの『ファミマ』ってどこにありますかー」と聞いていた女の子(眼鏡っ娘)が先にかけつけていてキオスク端末を操作中。歩く足には自信があったけどそれより先に駆けつけた体力に関心すると同時に、やっぱりあんまりJリーグとか見ていなさそーな人でも駆けつけたくなるほど「パブリックビューイング」ってゆー、日本代表でありサッカーでありW杯といったものに直結した「商品」にこそ人気が集まるんだってことを実感する。そーいえばまだ行ってないんだけど代々木の「NIKE」のイベント会場ってどんななんだろー。オフィシャルなアディダスに対抗してのイベントだけどお客とか入っているのかな。会場で試合が見られるとか契約している有名選手がときどき来てたとかってんなら盛り上がってて不思議はないけど、オープンしてこの半月あまり、それほどの賑わいだって情報があんまり伝わって来てないんだよなー。明日ちょっとのぞいてみるか、買ったばかりの「アディダス」履いて。


【6月14日】 とゆー訳で静岡へ。大阪へ、っていかないところが貧乏人で持つべき友だちもいなくってチケットなんてまったくカケラも回ってこない身の哀しさではあるけれど、ネットであっても自力でゲットできたってだけでも個人的には溜飲の下がる思いなんで気にしない、そんなには。これから試合も少なくなって大分での試合を除けば(まだ売ってるけど流石に遠くて行けません、前日福岡泊まり当日も福岡帰参で月曜朝羽田って手も考えたけど金がなあ)競争率も上がってゲットはさらに困難になるだろーけど、夜中のネットを頑張ってせめて埼玉静岡横浜のどれかは手に入れて、真剣勝負のさらに血走った奴をこの目で見てみたい。そうそう3位決定戦もちゃんと取ってあったんだ、問題は飛行機と列車の確保だけど日本とか出ることになったらチャーターで無泊2日のツアーとか出来ないかなあ。

 道々「スポーツ・ヤア!」のスペシャル増刊号第2号をペラペラ、なるほどトルシェ監督がどーしてベルギー戦で前半にロングボールを多様したかを自分で解説していて、選手の声とかからすでに伝わっていたことだけど改めて聞いてなるほどちゃんといろいろ考えている監督なんだってことが伺える。これはデイリーじゃない「サッカーダイジェスト」で確かセルジオ越後さんが「高校サッカーみたいだ」ってプレイスタイルだけみて酷評してたけど、トルシェの説明を聞いた後でもやっぱり同じよーに「高校サッカーみたいで見苦しい」って言うのかな。言いそうだな、トルシェのやることなすことケチつけるのが好きなタイプの人だし、金子達仁さんと双璧で。

 例えば「ナンバー」6月19日号で金子さん、ロシア戦で宮本選手が良かったことを挙げて「私の見る宮本は、トゥルシェ監督の要求にもっとも忠実に応えようとしている選手だった。だが、この日の宮本は違った」ってあたりから広げてどーも日本は監督の締め付けを離れて自在に活躍したからこそ勝てたんだ、従ってトゥルシェは無能だってなニュアンスを醸し出そーとしているけど、そーした修正だってもちろんトゥルシェ監督も含めて決めたことだろーか、らその意味でトゥルシェの采配がカケラも入ってないってことはないだろー。「トゥルシェはトゥルシェでなくなり、選手はトゥルシェから自立し始めている」って書くけど原則があってこそ応用は生まれるもので、無定見だった所に基本線を作ってバリエーションを現出せしめたって意味でやっぱり、自立に見えてもそれはトゥルシェ采配の域内、言うなれば釈迦の掌中なんじゃなかろーか。

 解任の記事をとばして未だに謝罪の意志のカケラも見せてない朝日新聞といーセルジオ金子といー(あとラモスさんも)、どーしてそんなにトゥルシェが嫌いか。決勝トーナメントに連れていってもなやっぱり「選手の自立が」なんて言うんだろーか。だとしたらいらないじゃん監督。その点、同じ「ナンバー」の6月19日号に掲載のアーセナル、ベンゲル監督のコメントはトルシェがどーしてその戦術を採用したかを踏まえてそれでも「確かにリスクは最小限だったかもしれません。でもその戦い方は、日本人の性格や性質の逆をいくものだったと思います」って根性とか見栄えじゃなく戦術的な理由のある否定の仕方をしている。やってた前半で点をとられなかったこと、後半の終盤に相手が疲れて得点を重ねられず引き分けで1点をとりあえずは確保できたことなんかを勘案すると、とてつもなく間違った戦術でもなかった気がするけれど、欧州トップのチームを率いる監督の目だけにあるいはあーいった戦術をとらなくても、守備陣が十分に守り切れたって映ったのかも。どっちが正解なんだろ。トゥルシェとベンゲルの対談、見てみたいなー。

 とか思っているうちに掛川駅へ。ここが久保嘉晴の故郷かなんて別に思わず駅を降りてシャトルバスへと向かって乗り込み揺られることえっと何分だったっけ、時間的にはそれほど長くはなかったんだろーけれど、駅前でさえそれほど賑わっていないところがどんどんと茶畑が連なる山間部へと分け入ってしまい、本当にこんな山奥にサッカーのできる平地があるんだろーかと心配になる。それはまあいらぬ心配だったよーでしっかりと巨大なサッカー場に体育館が眼前へと現れたけれど、これが例えばイタリアとかの大会だったら多くが街中に近い場所にあるスタジアムで試合をしただろーと想像できるから、「鹿島スタジアム」をのぞけばJリーグのチームすら、日本だとそれほど使わない不便な場所の巨大なスタジアムがこんなにもあちらこちらに必要だったんだろーか、なんて懐疑も浮かぶ。もっともあれだけの大人数が街中に参集しては騒ぐ可能性なんかを考えると、管理しやすい山間部のスタジアムの方が、工事を請け負う土建屋さんにとってだけじゃなく、多方面にメリットがあったのかも。

 正直言って最高にクールなスタジアムだった「レコバ静岡」は、懸念された雨振りもなくって持っていったカッパが無駄になったのは残念として、そもそもがほとんどの席で傘とかいらない作りになっていて、これがワールドスタンダードなのかな、って見て興奮する。見た場所も上層とはいえ「カテゴリー1」だけあってグラウンドのセンターラインとゴールラインの中間あたりで、ひとめでグラウンド上が見渡せる観察には絶好の場所だったんで、こんなに良い場所を間際にまで売り残している関係者の腹のうちを探りたくなって来る。おまけに酷い空席で、座っていたすぐ前の3列分、約80席がまるまる空いててさらには横のプレステージ・チケットを持って座っていた場所からやや上に上がったシートも数列分がまるまる空いてて、欲しくても取れなかった人なんかを想像するにつけ、責任者への憤りも激しく増す。大分もガラ好きになりそーだなー。責任者でてこいっ。

ドイツ大会は塀の中から応援します  試合の方はとえば結果も出ているベルギーの3点に対してロシア2点でロシアの1次リーグ敗退だった訳だけど、この前の日本戦の時でも片鱗の見えた華麗なボールさばきでもって相手に襲いかかるロシアの特徴が出ていたよーで、ロングボールを放り込んではゴール前で高さでもって相手ゴールを脅かす恐さをよく日本は耐えたものだと感じ入る。ベルギーも同様で華麗なパス回しから最後はドンピシャリで決めてみせる格好良さを見せてくれて、よくもまあこんなチームの1つには勝ったしもう1つにも同点で終わったなーと改めて日本代表の”強さ”を感じる。期待に違わずベスト16に韓国と同様入った訳で強さは実績でもって証明されただろー。これでも文句をつけるのが「ナンバー」ジャーナリストっ奴だろーけど。

 せっかくなんでロシアの登場に相応しいTシャツをってことで「ちくわぶ」謹製の「muneo」ってTシャツを着込んでロシアの応援にいそしむ。我が子とのよーに強く深く気にかけていたロシアのちょっぴり不甲斐なかった戦いにさてはて何をどー思ったことやら。Tシャツを見た外国の人が誰1人として「ムネオ」の立場なり事情を踏まえて話しかけて来たってこともないってことで、ロシアで有名人と自称する鈴木宗夫代議士の海外での評価がそれなりにその程度のものだったってことも見えて読んでて参考になった。問題は結果としてロシアが負けたのがメタルなムネオのせいだったのかっていう部分。選手に聞いてみたくなって来た。「どぅーゆーのーむねお?」、いかん英語だ。


【6月13日】 ゴォーーーーールゥ!、って真夜中なのに踊りだしたくなったのは、インターネットでのW杯チケットの申し込みによーやく成功したから、ってすでに韓国の大邸で開催される「ドイツVSブラジル」による3位決定戦をネットでゲットしたりはしてるんだけど、国内で開催される試合にやっぱり行って見たかったってのが今この時期にこの国で暮らしている人間の正直な本音。その意味で日本で開催される予選リーグだけど決勝リーグの進出がかかったガチンコ勝負を目の当たりに出来ることは、末代まで語ってやりたくなる僥倖ってことになる。

 おっとどのカードか言うのを忘れてた、日付は6月14日で時刻は午後の3時半、ってゆーとあれかい大阪で開催の「日本VSチュニジア戦」かいって羨ましいぜこの野郎、って怒り紛れに聞かれそーだけど、今さらこの語に及んでプラチナどころかダイナモンド級のお宝チケットを手に入れるのは困難。なので当然ながカードはその裏番にあたる「ロシアVSベルギー戦」ってことになる。日本とチュニジア戦の結果にもよるけどともに決勝トーナメント進出の可能性が残っているチームだけに、得失点差なんかも考えて真っ向からぶち当たって行ってくれるはず。問題は席がホームかアウェーか判然とせずどっちに応援グッズを持っていけば良いのか分からないことだけど、それはそれ、方や「赤い悪魔」と言われたベルギーにこなた赤で世界を埋め尽くそーとした国、上から下まで真っ赤っかにしていけばどっちにすわってどっちを応援しても、総括くらうことはないだろー。国家どっちもよく知らねー。

 出版取次会社で決算説明会、ずいぶんと売上を減らしてるんだけど話によれば送本を結構絞ったってことで、売れない本を書店に送っては返品のためにトラックを走らせて運送費を出す無駄がなくなって利益面にも効果が出てるし返品率だって書籍だけなら減少気味なんだけど、どーゆー基準でそーした送本カットを行っているのかが見えないだけに、一律カットで減らしているのかそれともよく言う中小零細の冷遇めいた話がまたぞろ出てきているんだろーか、はたまた取次に送る本の売れ行きなんかを吟味する能力があって細かく設定しているんだろーかと想像する。現実的には全体的な絞り込みってのがやりやすそーだけど、どーでも良さげな本とか平積みになっていたりする傾向を見ると、音楽CDとかといっしょにここでも弱肉強食な売れるもの売れそーなものと売れないもの売れそーもないものとを分け隔てする傾向が出てきているのかも。売れる本しか作らず売れる本しか送らず売れる本しか置かない出版取次書店の連鎖がもたらす未来、ちょっと凄いかも。

 話していて気になったのは、2年とか3年くらい前に結構切迫感をもって語っていた新古書店の問題よーするに「ブックオフ問題」を以前ほど気にしているよーに感じられなかったこと。売上が喰われてしまうって心配も最初の頃はあって現実にコミックの売上に影響が出ていたりしたんだけど、ここに来て市場全体に下げ止まり感が出ていて利益については上向き基調、コミックだって決して悪い状況じゃなく、今では新古書店問題といったら新刊書店での万引き問題とほぼセットで語られるよーになってる模様。つまりは新刊書店でごっそりと抜き、警備も突破して店の前から車で逃走しては新古書店へと持っていって売りさばくんだとか。まるでテレビの銀行強盗ドラマを見ているよーだけど手に持って走るのが本ってあたりがちょっと文化的(そんなことはない)。あまりの狂暴化に書店の人たちの多くが現在、護身術の研鑽にはげみ合気道を学び少林寺拳法を体得しては向かってくる万引き犯を魔の手で止め、旋風脚でなぎはらっては鉄の肌で包み込んでるそーな(こんなこともない)。

 コミックスに関してはやっぱり出てすぐ読みたいってのと、あと最近は新刊にいろいろおまけを付けて新古書ではあんまりおいしくないよーにしていることもちょっとは貢献しているのかもしれないかも。あと書籍にしても大ベストセラーに現在ただいまなっている本って案外「ブックオフ」とかには出回って来ないもので、ちょっと前、ベストセラーで書評を書かなきゃいけなくなって家のどこかに埋もれている本を掘るより早いと新古書店に出向いて探したけれどこれがない。すぐに売れてしまったんだろーとも思うけど、欲しい人の欲求に常に応えられるだけの球数がそろえづらいって分、いつでも手に入る新刊書店の方に逆に脚が向く、なんて可能性もあるいはあったりするのかもしれない。図書館で借りると決めている人は3カ月でも待つ人だから「ブックオフ」とか使わないだろーし。

 ちょっと前の本を掘りに行くにはこれほど便利なところはなくって、自己啓発書の類だったりタレント本あったりとかについては宝庫になっているんだけど、初速が肝心な本なんで旬を過ぎればあとは読んでいるのが恥ずかしいと思えてしまうだけに、新古書店に山と積み上がったところで売れるってものでもない。売れないからいらない、って言えれば良いんだけどそれを言えないのが何でも買いますな新古書店のポリシーだったりするんで引き取るしかない。二束三文で買いたたいたってそれだって処理にいろいろコストはかかる訳で、そんな細かい積み重ねが、結果として広いし数も抱負だけど、色がなくって平板な新古書店の当方が感じる雰囲気になっているのかも。

 とはいえ先日寄った原宿の店は上から下まで人がぎっしりで、神田村に来るスノッブな人とかハイソな人の多いABCばかりじゃなくって、表参道原宿竹下通りで遊ぶ若い人たちも本(と漫画)が嫌いじゃないんだってことも感じられた。死蔵されてた本を掘り返して広いフィールドへと配本しなおしたって意味で価値のあるビジネスモデルだったって言えそーで、あとはひたすら拡大路線を突っ走ってユニクる(ユニクロする、の意)のか、それとも立ち止まって中身の充実にシフトして新刊書店との共存共栄を図るのか、そのあたりを考えていくことになるんだろー。少なくとも現状だと、安く本が買えるからいーじゃん、ってな社会の支持をひっくり返してしまいかねない、万引きの温床って切り口が幅をきかせるよーになりかねないんで、そのあたりも踏まえた対応が新古書店には必要になって来るのかも。見て万引き本を分かる装置って、ないのかな。書店でバーコードスキャン時にワクチンを接種しないとバクテリアが活性化して融けてしまう本とか出てくるのかな(売れない本は棚で融けるのか)。


【6月12日】 我やっぱり敗北す、って書いてて何だかとっても虚しくなってきたW杯チケット奪取日記。しばらく前ならボタンを押した数だけ取れてたこともあったみたいだけど、そーゆー事態が相次いできっと問題になったよーで、システムの方にもちゃんと改善が入ってた模様。最後手前のページがちゃんと行ききらないとチケットは取れたことにはならないみたい。朝日新聞の夕刊でついつい胸躍らせた人もおそらくは全国に大勢いただろーけど、電話で聞くなりチケットセンターの窓口にいくなしりて得た「ゼロです」の声に、がっくりと肩を落としたんだろー。とはいえそこはこうと決めたことにはストーカーのごときしつこさを見せる小生、今晩も1時間置きに起きてはネットにアクセスして、緑ランプのカードを押しては固まる画面に歯がみすることになるんだろー。原稿? 何だったっけ。

 「デイリーサッカーダイジェスト」を買う日々。前日のどんな遅くに開かれた試合の写真でも翌日の昼前にはしっかりと雑誌の形になって刷られていたりするスピードに、あれは確かロサンゼルス五輪の時だったっけ、どっかの印刷会社と文藝春秋の「ナンバー」が組んで、日本と米国に専用回線をひいて現地に写真をデジタルにスキャンする拠点を設置して、撮った試合の結果を電送してそれでも翌々日の発売によーやく間にあった程度で、画質も決してグラフ雑誌レベルじゃなかった時代を思い起こして、デジタルの世界は秒進日歩なんだなー、ってことを改めて思い知る。今だと現地でデジカメで撮ってネットで本社に転送してトリミングして印刷会社に電送すればもう、ほとんど組み上がってしまうらしーからなー。翌朝に出す新聞に速度じゃまだまだ及ばないけど及ぼうとゆー気を出すより雑誌レベルの濃い内容を翌日昼前に読めるってことの方が読者にとってはより重要。通り一編の記事しか載らない新聞が向かう未来の厳しさってのも、こーゆー所からのぞいていたりする。ボーナス下がる訳だわ。

 いや驚いた。マジで驚いた。ナンシー関さんが亡くなったって話が伝わって来るにつれて何とまあはや送りの人生だよと家族でもないけど悲嘆にくれてみたくなる。もちろん写真なんかで見る体型に伝わってくる出不精なエピソードから相当に、体系的体力的に厳しい状態にあっただろーことは想像できるけど、だからといって外に出ないって訳じゃなくって現にしばらく前、どっかの書店で新刊のサイン会が開かれるって案内を読んで行こーかなって思った記憶もあって、運動不足と不摂生ごときで倒れるほどではないって思ってたし、今もやっぱり思ってる。あるは相当に悪い部分でもあったのかな。書き手としての凄みは改めて言うまでもなくって、おもねらず媚びずかといって情緒的な毛嫌いでもってこきおろすこともなく、テレビとか芸能界で活躍する人たちのダメっぷりを見事な消しゴム版画といっしょに毎週毎月毎日綴って来たことひとつとっても、他のコラムニストたちではその足下にも及ばないってことが分かる。「週刊朝日」と「週刊文春」のライバル誌に確か連載を持ってるんだから、この人は。この穴をどう作ろうかって下世話な関心もあるけれど、今はともかくその活躍を讃えつつ、ご冥福を祈ることにしよー。棺桶には消しゴム1万個とか入れないのかな。焼くとガスが出るからダメなのかな。

 「ゆーこん」こと「第41回日本SF大会」からプログレスが届く、ふーん13番目だったんだ、登録。ぶばばばっばっと参加者リストを見るとあああの人だ、ああこの人もってゆー名前も混じっているけれど、大半は当然ながら知らない人たちばっかりで、世の中にはこんなにSFを愛していてはるばる出雲まで神無月でもないのに出かける酔狂な人が大勢いるんだってことにちょっとばかり嬉しくなる。数えた訳じゃないけど女性も結構多そうで、場所がスパ・リゾート(温泉だよ)ってこともあって期待するのは混浴露天風呂での月を愛でながらのハダカノオツキアイって奴だけど、こっちは良くても向こうにしてみればトッティでもバティでもベッカムでもないブヨブヨなプクプクなんて勘弁どころか排撃したいってのが心情だろーから、残り1カ月と短い時間を有意義につかってせめて代表合流直後の稲本程度には体を絞って参加しよー。で混浴なの? 露天なの?


【6月11日】 体調優れず頭まわらず原稿も滞ってて申し訳ない日々、おまけに梅雨入りで気持ちも沈み勝ちなところに半分だけど朗報が飛び込んで来てちょっとだけ持ち直す。聞くと決済のためのボタンを押したら途中で固まってもチケットがちゃんと取れていたりすることがあるそーで、だとしたら明日のクロアチアが出てくる試合のチケットも、あるいは取れているかもしれないけれど、何度か固めた記憶があるからあるいはとんでもない数のチケットと、とんでもない額の請求書をまとめて手に入れてしまった可能性もあって喜んでいいのやら悲しんでいいのやら。どっちにしても確認してみないと分からないんで明日にでも「東京国際フォーラム」の発券所に行って確認のしよー。原稿も書きます今日明日中には。

 生きているのか死んでいるのか分からないけど、厳然としてそこに在ることには違いのないマイクロソフトの家庭用ゲー向き「Xbox」だけど、そんなゾンビ状態から復活を狙ったネット戦略を日本でもいよいよ発表するってんで「恵比寿ガーデンプレイス」へと向かう。発売に向けてまだ多少は盛り上がっていたころに比べると、場所も小さくなったし集まって来た人の熱気もどことなく沈滞化しているよーに見えたけど、そこはそれ、現在好評開催中のW杯に関心が取られているから「Xbox」なんぞに構っていられないってことなのかも。まあ目立ち過ぎると後で落ち込んだ時のギャップも大きいから、ひっそりと生んで知らないうちに大きく育った方が良いのかも。知らないうちに消えている? それもあるかな。

 いやいや「マイクロソフトは世界でいちばんしつこい会社」と偉い人がいうよーに、過去数々の場面で本気(とかいてマジと読む)を見せてトップのタマをとってきた企業。今のところはまだまだ本気で「Xbox」を考えているよーで、発表会でもそんな本気さがプライシングなんかに現れていた。何でも6800円でスターターキットが買えるそーで、中にはボイスチャット用のマイクデバイスとドライバーソフト、そして何とあの「ファンタシー・スター・オンライン」がバンドルで付いて来てしまうとか。ソフトだけの値段でだっておかしくないところの大盤振舞。オンラインゲームの分野でタマをとろうと企むソニック組、とゆーかセガ一家のこれもやっぱりマジって奴なのかも。

 さても「Xbox」版の「PSO」、今までのよーな会話を選択したりキーボードで打ち込むって作業がいらなくってマイクで喋りながらプレイできる点が特徴で、デモでも中裕司さんとマイクロソフトの人が喋りながら集団プレーにいそしんでいた。となると問題になるのが女性キャラを使う男性プレーヤーへの対応。美少女を動かす人が野太い声で喋っていたら興醒めするのは必至だけど、そこのところはやっぱりちゃんと考えてあるよーで、声を変換して違和感がないよーにする仕組みを現在考え中だとか。開発段階の変換はちょっと機械的っぽかったけど、そこは頑張ってちゃんと女声に聞こえるよーなプログラムを搭載してやって頂きたいもの。あとこれは勝手な妄想だけど、「エフェクト野沢雅子」とか「エフェクト山田康雄」とかってエンジンも乗せてもらえたら最高、出てくるキャラが全部野沢声で「オラ」とか自称したり、全部ルパン声で「ふーじこちゃーん」とか挨拶したらきっと楽しいゲーム時間を過ごせると……思わないか。

 もちろんこれ1本で勝ち上がれるほど家庭用ゲーム機の世界は甘くないのは承知しているらしく、マイクロソフトもサードパーティーも続々と対応ソフトを投入してはまくりにかかりたい移行。ジャンが鳴った時点で周回遅れにされかかっているよーなゲーム機に差せる可能性なんてあるの、と聞かれれば昨日だったらダメかもと応えていたところだけど、今日現在只今の心境は「絶対にある」に変わってます。根拠? それはテクモから発売される素晴らし過ぎなソフトのせい。あの「デッド・オア・アライブ」に登場する美少女キャラが夏の浜辺でビーチバレーをするソフト、とゆーコンセプトを聞けばもう分かるでしょー、大胆なビキニ姿で跳ね回る美少女たちってだけでも存分に興味をそそられるけど、そこはさすがは「デッド・オア・アライブ」、テクモが誇る群ならぬ胸制御エンジンがここぞとばかりに駆動して、ジャンプしてアタックしてコートに降りて来た時の動きを、妄想どーりに画面の中に現出させているよーに見えた。問題はムービーじゃなくって実際のゲームでどこまでクオリティが出てるかってことだけど、そこは世界最高峰の描画能力を持つ「Xbox」、かならずや期待に応えてくれるだろー。「Xbox」、勝ったな。


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