“プライドと偏見” ★★★
PRIDE & PREJUDICE
(2005年イギリス映画)

監督:ジョー・ライト
原作:ジェーン・オースティン
脚本:デボラ・モガー
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、ロザムンド・パイク、ジュディ・デンチ
、キャリー・マリガン

 

ジェイン・オースティン名作の映画化。
かつて放映されたBBCドラマの「高慢と偏見」は原作に忠実な作りで見応えありましたが、映画となるとどうなのか。それでも、オースティン・ファンとしては代表作の映画化は嬉しい限りです。

観た感想をひと言でいうと、満足!
あの長篇小説を、2時間余という上映時間の中で見事にまとめ上げた、と言えます。
ただ、前半はとにかく展開が早い。あれよあれよと言う間にもうここまで進んでしまったのか、という具合。原作を読んでいる者からすると、追いついていくのも大変、というのが正直なところ。
しかし、後半に入ると展開の早さなどまるで気にならず、どっぷりストーリィの中に嵌り込みました。
思うに2時間余という上映時間はドラマとしてちょうど良い長さなのでしょう。これ以上長いと映画としてはだれてしまうのかもしれません。その中で治めようとすれば、あの展開の早さは仕方ないことでしょう。早いが故にかえって一生懸命観ない訳にはいかないという緊張感がもたらされているようです。

原作は、ジェーンとビングリー、主人公エリザベス(リジー)とミスタ・ダーシーという2組の結婚までを中心ストーリィとしつつ、人間の面白さを存分に描き出している点に魅力があります。リジーの両親であるベネット夫婦、シャーロットとミスタ・コリンズ、キャサリン・ディ・バーグ夫人等々。
その面白さを2時間余の中で十分に描くのは到底無理。中途半端にそれを追わずにさらっと描き飛ばし、ストーリィをリジー中心に絞ったところが、本映画の切れ味の良さに繋がっています。
その分リジー役キーラ・ナイトレイの出来如何が重要になっているのですが、彼女は見事にその期待に応えてくれている。
若々しく元気で機知に溢れ、感情豊かなリジーを瑞々しく演じたキーラ・ナイトレイが、とにかく素晴らしい。今が旬の若手女優の魅力が存分に発揮されています。きっと彼女の代表作になることでしょう。

なお、この物語はリジーとミスタ・ダーシーが重要人物。キーラ・ナイトレイのリジーに比べてダーシーの存在感がもうひとつ弱かったのが残念なところ。
一方、原作にはない映画のシーン。工夫されていて楽しかった。とくに、コリンズとの場の後、家から飛び出て駆け出していくリジーを追って、ミセス・ベネットまで駆け出していくシーンはきっと忘れられないでしょう。

上記は原作ファンの感想。原作を知らずに観た方の感想はまた違うものと思いますが、大いに楽しめることには変わらないでしょう。
オースティン・ファンとしては、これを機に原作を読んでもらえれば嬉しい限りです。

 
2006.01.27

  
→ 原作:「
高慢(自負)と偏見

 


   

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