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2.分別と多感 5.エマ 6.説きふせられて 7.美しきカサンドラ−ジェイン・オースティン初期作品集− 8.サンディトン−ジェイン・オースティン作品集− 9.ジェイン・オースティンの手紙(新井潤美編訳) |
●「ノーサンガー・アベイ」● ★★☆ |
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1997年10月 2009年09月
1998/06/14
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この作品の特徴は、当時人気の高かったゴシック・ロマンスのパロディという点にあります。そのため、当時の小説情勢を知らないと、その可笑しさは判りにくいかもしれません。 ストーリィは、キャサリンとヘンリー・ティルニーとの間の恋愛ごと+α。その点、どんな展開になるのやら予想もつかなかった「自負と偏見」「エマ」のような面白さは、欠いています。 (07.05.12再読) |
※TVドラマ化 → 「ノーサンガー・アベイ」
●「分別と多感」● ★★ |
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1996年06月
1996/07/07
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“いつか晴れた日に”という邦題で映画化されたことがきっかけで訳出された作品。映画は、95年度アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞したとか。 本作品は、分別のある姉エリナと多感な妹マリアンという、ダッシュウッド姉妹がそれぞれ結婚に至るまでの物語です。
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2008/01/03
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11年ぶりに中野康司さんの新訳で再読しました。 前回読んだときの感想を読み直すと、よくもまぁここまでけなしたかと思うのですが、それはオースティン作品への期待の大きさに対する反動だった故。 でも基本的な感想は、今回も前回とそう変わりません。 上記の物足りなさがあるとはいえ、本作品はやはり面白い。 |
●「自負と偏見(or高慢と偏見)」● ★★★ |
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1963年06月 1997年07月
1970/09/02
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高校に入ったばかりの頃、S・モーム「世界の十大小説」によりこの作品を知りました。それを契機に読んだところその面白さに夢中になり、以後読書にのめり込むすべての原因となった、私にとっては記念碑的小説です。 ストーリィは単純、そして普遍的なものです。即ち、5人姉妹を抱えたベネット家の結婚物語。 本作品中には数多くの人物が登場しますが、いずれも人間らしい欠点を抱えていて個性的、かつどんな世の中にも必ずいそうな人物ばかり。主人公といえその例外ではありません。それらはすべて作者の人間観察力の鋭さあってのもの。 登場人物たちが繰り広げるストーリィは、ユーモラスで心ゆくばかりに楽しいものです。 モームの言うとおり、まさに世界文学における傑作と言って間違いない作品です。 ※この作品は「高慢と偏見」という題でも訳されていますが、なんといってもこの中野好夫訳(新潮文庫版)がお薦めです。 |
※映画化 → 「プライドと偏見」
●「マンスフィールド・パーク」● ★★★ |
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1978年10月
1978/11/26
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主人公であるファニー・プライスは、家が貧乏だったため、
10歳の頃から伯母の嫁ぎ先である富裕なバートラム男爵家で養育されます。 ファニーという主人公は、どちらかというと陰気で、常に隅に引っ込んでいて周囲の人々を冷たく観察している、という風があります。したがって、余りに好きになれるタイプの主人公ではありませんが、作者の手により、後半ではかなり面目をほどこされています。 |
※TVドラマ化 → 「マンスフィールド・パーク」
●「エ マ」● ★★★ |
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1965年04月 中公文庫化
1973/03/11
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11年ぶり、5回目の読書です。つい「自負と偏見」と比べてしまい、その面白さにはるかに及ばないと思ってしまうのですが、両作品を比較するのは正しいことではないでしょう。作者の狙いが、この2作の間では違うのですから。 |
●「説きふせられて」● ★★★ |
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1968年05月
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准男爵で気位が高く見栄っ張りだけれど、経済的面では追い詰められているエリオット家の次女アン・エリオット、27歳が主人公。 といっても、オースティンのこれまでの作品のような華やかさは見られません。アンとウェントワースいずれとも、既に若くもなく、経済的に恵まれているわけでもない。また、一度人生の挫折を味わっていること、アンの中に後悔の念があることが、その理由となっています。 舞台がケリンチ館、アンの妹の嫁ぎ先アッパークロスの田園、そして海岸保養地のライムと変化に富むところが、地味であるストーリィの一方で、本作品の楽しみとなっています。 |
●「美しきカサンドラ−ジェイン・オースティン初期作品集−」● ★ |
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2000/09/10
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“初期作品集”として刊行されたものは、オースティンが12歳から18歳までの6年間に書かれた断片・短篇・中篇等の計21篇を3巻にまとめたものだそうです。本書に収録された19篇は、そのうち第1・2巻に収録された作品だそうです。 第1巻:フレデリックとエルフリーダ/ジャックとアリス/エドガーとエマ/ヘンリーとイライザ/ハーリー氏のおかしな体験/サー・ウィリアム・モンタギュー/クリフォード氏の想い出の記/美しきカサンドラ/アミーリア・ウェブスター/訪問/謎/三姉妹/「断片」/哀れみに寄せる頌詩 |
●「サンディトン−ジェイン・オースティン作品集−」● ★★ |
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1998/10/10
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初期の2作品+未完2作品等を収録した一冊。 「ワトソン家の人々」は、この作品集の中で私が一番気に入った作品です。作者自ら執筆を中断したのですが、主人公エマ・ワトソンがとても魅力的です。若くて美人で、しかも冷静な判断力としっかりとした決断力を持っています。さらに他人に対する思いやり、優しさも充分に併せ持っている。こう書くとあまりに優等生過ぎて嫌味に思われるかもしれませんが、彼女にそんな風は少しもありません。放埓な美男子の誘いをきちんとあしらうあたり、小気味良さがあって、とても楽しくなります。私にとってエマ・ワトソンは「自負と偏見」のリジー以上に魅力ある主人公です。それだけに未完がとても残念。 「サンディトン」は、作者の亡くなる直前まで書かれていた作品です。サンディトンとは、海辺のリゾート地として新たに開発されている架空の町。そこを訪れた主人公はシャーロット・ヘイウッド。架空の町にいろいろと個性的な人物を集めてのストーリィは、なかなか複雑でコミカルなものになるものだったように思われます。「エマ」の推理小説風と、ディケンズの個性的人物群による戯画風を合わせたような、そんな作品に発展する筈だったのではないでしょうか。 イブリン/キャサリンあるいは東屋(未完)/ある小説の構想(構想の梗概のみ) /ワトソン家の人々(未完)/サンディトン(未完) |
●「ジェイン・オースティンの手紙」● ★★ |
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2004/07/16
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ジェイン・オースティンの書簡集となれば、オースティン・ファンとしては嬉しい限りなのですが、本書は約
500頁と読みでたっぷり。 ジェイン・オースティン(以下「JA」)という女性の実像は、「自負と偏見」のリジーが一番近いのではないかとかねてより思っていましたが、本書を読んの印象もその通り。活気があり、かなりはっきりした物言いをする女性だったらしい。 |