“ショウほど素敵な商売はない ★★
THERE'S NO BUSINESS LIKE SHOW BUSINESS
(1949年アメリカ映画)

制作:ソル・C・シーゲル
監督:ウォルター・シーゲル
脚本:ラマー・トロッティ
出演:エセル・マーマン、マリリン・モンロー、ドナルド・オコナー、ミッツイ・ゲイナー

    

1946年のブロードウェイ・ミュージカル「アニーよ銃をとれ」で、エセル・マーマンが歌ってヒットした「ショウほど素敵な商売はない」という唄をそのまま題名にしたミュージカル。
そのエセル・マーマンがそのまま主役のモリー・ドナヒューを演じているのですから、その唄あってこそのこの作品と言って良いのでしょう。

ストーリィは、ボードビリアンのドナヒュー一家の変転を描いたもの。
最初は夫婦2人のショーでしたが、子供が3人生まれ、後のドナヒュー五人組として舞台を湧かせます。
ところが、長男は神父を志して舞台を離れ、末っ子のティムは新人歌手への失恋と事故から出奔、父親もその行方を探して家を離れてしまう。今や舞台に出ているのは、母親モリーと娘ケイティの2人だけという末路。
しかし、ニューヨークの名劇場が閉鎖される最後の舞台に、一家5人がきしくも勢揃いして、久々にドナヒュー五人組が観客の前に姿を披露するというフィナーレ。ショウほど素敵な商売はない、と皆が納得するかのように、主題曲が歌われます。

ミュージカルといっても、歌・踊りはショー場面が殆どなので、ちょっと物足りないところがあります。ダンスはもっぱら、「雨に唄えば」のドナルド・オコナー、「南太平洋」のミッツィ・ゲイナー依存というところでしょう。
そのミッツィ・ゲイナー、とても若々しい。また、軽快な踊りでキュートなところが嬉しい。本作品では脇役ですが、私としてはこのミッツィ・ゲイナーの唄と踊りを観れることが、本作品に惹かれる理由のひとつです。
このドナヒュー一家のライバルともなり、波乱要因を引き起こした新人歌手ビッキー役を演じるのが、マリリン・モンロー。M・Mのショー場面もありますが、普通のミュージカル感覚からいうと、異質であると言わざるを得ない。それでも何とも言えない存在感のあるところが、このM・Mという女優の特性であると、認めざるを得ません。

※なお、ドナヒュー一家がその最後に彩りを添える劇場が、ヒッポドローム。この劇場、一昨日観た「踊る大紐育」で、フランク・シナトラがここを見物したいと言って、女性のタクシー運転手から「もう何十年も前に無くなった」と呆れられる場所なのです。こんな偶然があると、楽しくなります。

本作品は、1949年度アカデミー・ミュージカル音楽賞を受賞。


2004.01.03

 


 

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