“アニーよ銃をとれ ★★★
ANNIE GET YOUR GUN
1950年アメリカ映画)

制作:アーサー・フリード
監督:ジョージ・シドニー
脚本:シドニー・シェルダン
出演:ベティ・ハットン、ハワード・キール、ルイス・カルハーン

    

ミュージカル映画の傑作のひとつ。
この映画が傑作と成り得たのには、主役アニーを演じたベティ・ハットンの存在なくしてはあり得ないと思っていましたが、改めて確信します。
ベティ・ハットンの歌声はちょっと低音ですが、その分ドスが効いているといった風で、まさに迫
力充分。その迫力があってこそ讃美するべきミュージカルなのです、この作品は。

そう感じるについては、当初主役の予定だった、ジュディ・ガーランドと比較してみるとよく判ります。ジュディ・ガーランドは言うまでも無くミュージカル映画の実力スター。しかし、ベティ・ハットンに比べると声を高音で、可愛らしいという感じがどうしても否めない。ベティ・ハットンのような迫力は、彼女が演じた画面からは伝わってきません。
本DVDには、ジュディ・ガーランドが演じた2場面が収録されており、比較できるのが魅力。
本映画は、当初ジュディ・ガーランド主役でクラインク・インしたのだそうですが、ジュディ・ガーランドの体調不良、バッファロー・ビル役のフランク・モーガンの急死という事情から、キャストを変更して再度クランク・インしたそうです。
本作品については、ヒットした故の結果論ということはありますけれど、インディアン・スー族のブル酋長の養女になった祝宴のミュージカルシーンを観ても、ガーランド主役時の華麗気味の演出より、ベディ・ハットン主役時の迫力あるシーンの方が優っている、というのは紛れも無い事実です。

なお、ストーリィの主人公となるアーニー・オークリーは、実在の人物。
1860年に生まれ。後にバッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショーに入団し、同じ一座の花形スターだったフランク・バトラーと結婚、1928年に死去しています。
1935年に「アーニー・オークリー」という題名で映画化。さらに1946年、エセル・マーマン主役でブロードウェイ・ミュージカル化。この舞台でエセル・マーマンが歌ってヒットしたのが、「
ショウほど素敵な商売はない」というポピュラーになった名曲だそうです。
そして、ミュージカル映画となったのが、1950年の本作品。
西部劇ショーを背景にしていますから、画面に登場する人数も多く、スケールの大きなミュージカル作品です。だからこそ、ベティ・ハットンの迫力ある歌声・ダンスがぴったりなのです。


2004.01.02

 


 

to 映画note Top     to クラシック映画 Index