“踊らん哉” ★★★
SHALL WE DANCE
(1937年アメリカ映画 RKO)

監督:マーク・サンドリッチ  
音楽:アイラ&ジョージ・ガーシュイン
主演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース

 

(再)
ちょうど「フレッド・アステア自伝」を読んでいる最中。
自伝を読めば映画も観たくなる、というのは当然のことでしょう。
幸い、先日レンタルビデオ店で本作品のDVDを借りたばかりのところ。早速観てみました。
最初に観たときはアステア&ジンジャー・ロジャースの作品を観始めたばかりのところでしたが、今はもう既に幾つかの作品を観ています。
その目からみても、本作品はやっぱり良い。アステア&ロジャース・コンビの作品の中でも代表的な傑作といって良いでしょう。
まず、ストーリィも良い。きれいなラブ・コメディです。そして、2人のダンスも素晴らしいのですが、そこにユーモアがあるところがいい。
姉のアデールとともに舞台で繰り広げたミュージカル・コメディをそのまま取り込んだところに、本来のアステアを見る思いがします。

ジンジャー・ロジャースとの次のダンスは、ただ素晴らしいというだけでなく、ユーモラスでかつ2人のコンビの良さが存分に発揮されているという点が魅力いっぱいです。
・バレエダンサーのピーター(アステア)にタップが躍れるのかというリンダ(ロジャース}の疑いの目の前でペトロフが見事なタップを踏み、思わずリンダが引きこまれて楽しそうに踊るシーン。
・取材攻勢から公園に逃れたピーターとリンダの2人が、ローラースケートを穿いて滑りかつ躍るシーン。
※ピーターの前から去ってしまったリンダを思い、大勢の女性ダンサーにリンダの恰好をさせかつリンダそっくりのマスクを被らせて、ピーターが踊るシーン。このアイデアはお見事!

2007.02.17

 
(当初)
フレッド・アステア・ファンにとっては、たまらなく嬉しい映画です。
何と言って
も、全盛期のアステア、それも名コンビと言われたジンジャー・ロジャースと組んでの作品なのですから。
今まで見たアステアの代表作としては、
恋愛準決勝戦”“イースター・パレードですが、それらにおけるアステアのダンスは、軽やかで洒落たものという印象でした。ところが、この作品を観てびっくりしました。全盛期のアステアの踊りとは、こんなにスピーディで切れ味鋭いものだったとは!
設定も何もかも古〜いという本作品ですが、全盛期のアステアの踊りを観れるだけで充分な面白さがあります。
そして、ジンジャー・ロジャースと組んだダンス・シーンは見事!という一言に尽きます。タップダンスで、男性と女性が組んでこれほど一対として踊るというものは、他に観た記憶がありません。別々に踊るというのであれば、いくらもあるようには思うのですが。
That's Entertainment”のような、場面的に観るのでは、まったくこんな素晴らしさは味わえません。やっと、アステアとジンジャー・ロジャースのコンビニよる作品を観れたということで、陶然とする思いです。

ストーリィは、ロシア人舞踏家という名目のペトロフことピータース(アステア)と、タップダンサーのリンダ・キーン(ロジャース)のロマンス・コメディー。イギリスからアメリカに帰国する船旅で2人は道連れになりますが、2人が極秘結婚をしていたと誤った記事が書かれたことから、騒動に巻き込まれることになります。
追い詰められた2人が、とにかく一度結婚してすぐ離婚しようと合意するストーリィとか、ホテルの2部屋をうまく使った場面構成とかも、なかなか楽しいものです。とくに一流ホテルのフロア支配人・セシルの使い方が面白い。優雅さが売り物だった筈なのに、騒動に巻き込まれ焦燥し、挙句は喜劇的役柄にまで落ちてしまうというのが、巧妙な演出です。そして、それ以上に、2人のタップ・ダンス、ローラ・スケートを使ってのダンス・シーンが素晴らしいのは言うまでもないことです。

なお、アステア&ロジャースの名コンビによる作品は、本作が7作目とのこと。できれば他の作品も是非観てみたいものです。

2000.09.24

  


 

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