“小川の辺”　★
（2011年日本映画）

監督：篠原哲雄
原作：藤沢周平
脚本：長谷川康夫、飯田健三郎
出演：東山紀之、菊地凛子、勝地涼、片岡愛之助、尾野真千子、松原千恵子、藤竜也

　　　

最近藤沢周平さんの時代小説短篇の映画化が相次いでいるのですが、本作品もその一つ。
「海坂藩大全(上)」に収録された一篇、同名の「小川の辺」が原作なのですが、私としてはあまり記憶に残っていない作品。

妹の夫である親友・佐久間森衛の上意討ちを命じられた戊井朔之助、奉公人の新蔵と共に行徳を目指しますが、懸案は気が強くて自らも直心流を扱う妹・田鶴の存在。朔之助が佐久間を打ち取ろうとすれば、剣を取って刃向ってきても不思議ない、ということ。

見所の一つは、海坂藩を背景にした、野の美しさが描かれていること。
一方、ストーリィとしては今一つ。最初から最後まで、何でこんなにまで重たい作品にしてしまったのか、という点。
藤沢周平作品は、暗いストーリィであってもどこかに軽やかさがあるのが特徴であり魅力なのですが、その軽やかさを押し殺してしまった観があります。

そもそも田鶴という女性、面白さがあって良い筈なのに、演じた菊地凜子もまた気の強さばかりを前面に出していて、その意地っ張りな面白さが描き出されていません。
惜しまれるところです。

2011.07.02

　　　　　

　　

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