“めがね” ★★
(2007年日本映画)

監督:荻上直子
脚本:荻上直子
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、橘ユキコ、中武吉、荒井春代、吉永賢、里美真利奈、薬師丸ひろ子

   

不思議な作品だなぁ・・・。

南の島にやってきたタエコ、彼女が予約を入れていたのは小さな民宿ハマダ。
このハマダが不思議。タエコは客の筈なのに、朝食・夕食は民宿の主人ユージや正体不明の女性サクラと一緒。さらに島で生物の教師をしているらしい若いハルナまで加わり、まるで家族団らんの場に迎え入れられたような具合。
おまけにタエコが目覚めると、足元にはサクラが座っていて、御飯ですよ、と声をかけるのが常。
この宿は何かオカシイと、タエコが宿を変えようとするのも無理ないところ。

この宿は何故こんな風なのか、タエコはどんな女性で何故こんな何もない島に、何を求めてやってきたのか。ストーリィは当然それを語っていくものだろうと思うのですが、最後までそれは全く・・・・語られない(幕切れ、観ていた人の殆どは唖然としていたかもしれません)。

何か不思議な作品なのですけれど、それでも気分は好く、楽しい。
タエコが何もせず、日がな一日海辺で海を眺めている姿、それが一番印象に残ります。
画面いっぱいに広がる青い海、南洋の海らしく明るく透き通っていて、とてもきれいです。寄せる波の音がとても快い。まるで、海の心地よい香りまで感じられるようです。

題名の「めがね」、ストーリィのうえで眼鏡に関わる部分はなく、登場人物が一様に眼鏡をかけている、というぐらいか。
でも、眼鏡ぐらい、南洋の島に似つかわしくないものもないのではないでしょうか。試しに眼鏡を外してみたら、何か違うものが見えてくるのかもしれません。

※「かもめ食堂」に続き、食事風景が楽しそうです。
 そしてそれよりもっと楽しそうなのは、さくら考案という“メルシー体操”。
 とても気持ちが良さそうなんです。それをもたいさんが実に綺麗に演じるところがお見事。さすが役者だなぁ。

2007.09.22

 

※ これまでに観た荻上直子(おぎがみなおこ)監督作品

 ・バーバー吉野  ・恋は五・七・五!  ・かもめ食堂

          


  

 to 映画note Top     to 最近の映画 Index