“ローレライ” ★★☆
(2005年日本映画)

監督:樋口真嗣
原作:福井晴敏
脚本:鈴木智
出演:役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢、
※阿川佐和子

 

福井晴敏の力作「終戦のローレライ」の映画化。
原作が大長編だっただけに時間の限られた中で映画作品にまとめあげるのは至難の技と思えましたが、お見事、原作そのままによく纏め上げられています。

ソナーを耳とするならそれは“目”といわれる最終兵器“ローレライ”を搭載した伊507号潜水艦は、秘密任務を与えられ、単独で南太平洋のテニソン島へ向かいます。原爆を搭載した爆撃機の行動を阻止するというのがその任務。
しかし、出航後、細見艦長ら乗組員は、思わぬ事態に遭遇することになります。それは、“ローレライ”の正体、米海軍との秘密取引....

原作と比較してローレライ、少女パウラを描く部分が相当に割愛されたのはやむを得ないこと。そのため、(原作を読んでいれば良くわかりますが)パウラの抱いてきた哀しみを本映画で知ることはできません。惜しまれる部分です。それでも、パウラの存在感は明確に描き出されていて、本ストーリィのうえでは全く支障ありません。
何よりも、最初から最後まで一貫して在る緊迫感、そして使命を果たそうとする男たちの熱い思いが見事に描かれているからです。

戦争ものは余り好きではありませんが、男たちの熱い思いに感動させられた映画は本当に久しぶり。
なお、潜水艦<伊507>の戦闘シーンは、相当に見応えあります。

どうぞお見逃しなく。そしてできれば原作も読んでもらえると嬉しい。

2005.08.25

    
→ 原作:「終戦のローレライ
   


  

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