図書館の新刊棚にあるのを見つけ、借出した一冊。
ただし、私にとって藤子不二雄は、それ程熱中した漫画家ではありません。今では、娘が熱中している“ドラえもん”の作者という存在。
“藤子不二雄”=藤本弘(藤子・F・不二雄)+我孫子素雄(藤子不二雄A)であることは、今更言うまでもないことですが、この漫画家の息がとても長い。私の思い出では「海の王子」「シルバークロス」に遡ります。ただ、当時の私の漫画志向はスーパーヒーローもの。ですから、記憶に強く残るのは「白いパイロット」「伊賀の影丸」「サブマリン
707」「サイボーグ 009」等々。その点、藤子不二雄漫画には物足りなさがありました。
本書の面白さのひとつは、漫画の辿った時代変遷を知ることにあります。渦中にいると判らなかったものが、こうして時代の流れに沿って説明されると、良く理解できます。ヒーローもの、仮面もの、SF、ロボット、ギャグ、パロディと。
もう一つ興味を惹かれるのは、藤本さん(F)と我孫子さん(A)の違いが、キャラクターの違いに留まらず、志向、画の点でも対称的であったこと。(私の場合、A作品をむしろ好んでいたようです。)
これだけ長く、多様なジャンルの漫画を書き続けてきた秘密は、2人の漫画家がひとつのペンネームを使っていたからこそ、という思いを改めて強くします。
その内情を詳しく知るには、本書を読むのが一番。そんな一冊です。
※懐かしい藤子不二雄漫画のキャラクター(抽出)
海の王子、シルバークロス、ロボケット、オバケのQ太郎、フータくん、忍者ハットリくん、怪物くん、パーマン
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