立川談春著作のページ


1966年東京都生、落語家。84年立川談志に入門し、97年真打昇進。林屋彦六賞、国立演芸場花形演芸会大賞、彩の国拾年百日亭若手落語家シリーズ大賞等々、多数受賞。2006年東京・池袋で「談春七夜」と銘打った七夜連続独演会を敢行、話題を呼ぶ。08年「赤めだか」にて講談社エッセイ賞を受賞。

 


 

●「赤めだか」● ★★       講談社エッセイ賞




2008年04月
扶桑社刊
(1333円+税)

 

2009/04/13

 

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高校を中退して立川談志に入門した談春さんの、入門から真打昇進に至るまでの、前座〜二ツ目時代を語った噺家青春記、と言うべきエッセイ。

それにしても破天荒です。
ご本人だけでなく、同時代の門下であった談々(三代目朝寝坊のらく)
、関西(談坊)、志らくを初め、他の兄弟子たちも。
立川談志、自ら推薦した弟子が真打昇進不合格となり、それを怒って師匠の柳家小さんと袂を別って落語協会を脱退、立川流を立てる。
弟子たちがいずれも破天荒なのは師匠=談志の噺家としての行き様と無縁ではないでしょう。
その意味で、本エッセイは談春さんの無鉄砲でもあった若き日を語ると同時に、立川流の若き時代を語る一冊にもなっています。
後者の部分も充分興味深い。
談志師匠、弟子たちに勝って破天荒であると同時に、自分自身の言葉で語れる落語の世界観を持っているという点が凄いと思います。

なお、談志門下の噺家が書いた本を読むのはこれが3人目。最初は立川談四楼、次いで立川志らく、そしてこの談春。
何故こうも談志門下の噺家は本を書くのか?、書けるのか?
それは、落語協会の中でサラリーマン的に昇進していくのではなく、自分自身の力で一人立ちできない限りどうにもならないという、師匠の突き放したような哲学の下で育ってきたからではないかと思う次第。
門下3人の書いた本の中で、立川流という独自の存在を感じることができるエッセイです。

「これはやめとくか」と談志は云った。/新聞配達少年と修業のカタチ/談志の初稽古、師弟の想い/青天の霹靂、築地魚河岸修業/己の嫉妬と一門の元旦/弟子の食欲とハワイの夜/高田文夫と雪夜の牛丼/生涯一度の寿限無と五万円の大勝負/
特別篇その一:揺らぐ談志と弟子の罪−立川流後輩達に告ぐ/特別篇その二:誰も知らない小さんと談志−小さん、米朝、ふたりの人間国宝

 


  

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