高橋秀実(ひでみね)著作のページ


1961年神奈川県横浜市生、東京外国語大学モンゴル語学科卒。テレビ番組制作会社勤務を経て、ノンフィクション作家。「ご先祖様はどちら様」にて第10回小林秀雄賞、「「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー」にて第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

 


      

「不明解日本語辞典 ★☆


不明解日本語辞典

2015年11月
新潮社刊

(1400円+税)

2018年06月
新潮文庫化



2015/12/27



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何気なく日常的に使っている日本語の中に、立ち止まってその意味をよく確かめてみようとすると戸惑う、といった言葉が幾つもあります。
本書はそんな日本語の数々について考察を巡らせた、
「辞典風エッセイ」との由。

題名に
「不明解日本語」とありますが、本書を読んで取上げられた日本語が明解になったかというと、不明解のままというのが本音の処。
考えれば考える程不明解になっていく、言葉は元来不明確なものと覚悟を決めるしかない気分になっていきます。
何しろ言葉とは生き物、話し言葉の内に使っているうちに意味も変わって来るものですから。
そんな風に悟ったことで、本書を読んだ意味があるのかもしれません。

本書の中で特に関心を引かれたのは
「リスク」という言葉。今や職場では氾濫していると言って過言ではない言葉ですが、その持つ意味は所詮「言い訳」に過ぎないという著者の言葉には、一刀両断するような痛快さと共に納得感を覚えます。
他に、
「適当」「論理」「仕事」「景気」の篇に興味引かれますし、「つまらない」「すみません」「しあわせ」という言葉については成る程なぁと思いつつ、だからといって何も解決しないなぁと感じるのは、言葉というものの奥深さでしょう。

ふと立ち止まって日本語について考えてみたくなった方に、お薦め。

はじめに−言えば言われる/あ/いま/うそ/えー/きく/ちょっと/ちがう/っていうか/なに/意見/リスク/社会/普通/適当/論理的/存在/才能/出世/景気/健康/秘密/信/つかれ/つまらない/スッキリ/すみません/すき/こころ/しあわせ/バカ/日本/私/おわりに−不明解の理由

 


  

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