鈴木 遥著作のページ


1983年神奈川県生、京都文教大学文化人類学科卒、奈良女子大学大学院住環境学(建築学)専攻修士課程修了。2001年から6年間で全都道府県120地域以上の
古い街並みをまわり、京都、奈良を中心に様々な町並み保存活動や建築物の記録活動に携わる。雑誌の編集ライターをする傍ら、ミニコミ誌の発行も手掛けている。

 


     

●「ミドリさんとカラクリ屋敷」● ★★


ミドリさんとカラクリ屋敷画像

2011年05月
集英社刊
(1500円+税)

  

2011/08/09

  

amazon.co.jp

屋根から電信柱が突き出ている家があったら・・・・そりゃあ、仰天するでしょう。
著者がそんな奇妙な家を発見したのは16歳の時だという。実家のある
神奈川県平塚市でのこと。
それから1年余り、高校3年の終盤に至って初めて、著者はその屋敷の家主を訪ねたのだそうです。

その相手が
ミドリさん、当時87歳。そしてその奇妙な家=著者曰く“カラクリ屋敷”を設計したのもミドリさん自身だという。
それから10年余り、ミドリさんと交流しながら、ミドリさんのルーツも訪ねることまでした、著者とミドリさんの交流の記録が本書です。

ヴァイタリティに溢れ、トンチも利いているというミドリさん自身の人生も、隠し通路があったりしてまるで忍者屋敷のようと著者が言うところのミドリさんの屋敷も、まるで物語のように面白い。
それに勝るとも劣らず面白いのは、一軒の奇妙な家への興味から始まって、ミドリさんのルーツを見極めるため出身地の北海道新潟村へ、さらにはミドリさんの実母の出身地である新潟県まで訪ねていった著者の行動ぶりにあります。

物語のように面白いミドリさんの人生とそのカラクリ屋敷+それと良いコンビである著者の行動ぶりが楽しめる、魅力溢れるノンフィクション。
なお、本書は第8回開高健ノンフィクション賞次点作品だそうです。

  


   

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