白石昌則著作のページ

 


 

●「生協の白石さん」● ★★
 白石昌則+東京農工大学の学生の皆さん

 

 
2005年11月
講談社刊
(852円+税)

2008年04月
講談社文庫化

  

2005/11/21

 

amazon.co.jp

電車男と並び、ネット社会の賜物だなァと思う一冊。
東京農工大学にある学生生協。その生協に学生たちから要望等を伝える「ひとことカード」への回答を担当していたのが、生協職員の白石さん。
生協と全く無関係な要望、悩み、珍問にも誠実でユーモアある回答がなされていたところ、そのやりとりがいつのまにかネット上に掲示され、注目を集めるようになったとのこと。

「単位がほしい」という無茶苦茶な要望もあれば、恋の悩みまで寄せられる。悩み事相談所ではないゾと言いたくなることもきっとあるでしょう。
それでも、学生たちの「ひとこと」を真正面に受け留めて誠実かつユーモラスに、時には軽く叱咤激励しながらも生協職員という本分を忘れない回答ぶりは、思わず喝采したくなるほど。
そんな見事さがあるからこそ、ネット上で評判になったに違いありません。
ただし、終始一貫して穏やかという訳ではなく、途中には多少の苛立ちも混じったと思われる箇所もあります。そんな箇所があることもまた、人間味が感じられてさらに白石さんへの親しみが増すというもの。
自分だったらこんな風に回答することができるかなぁと思えば、甚だ自信がない。だからこそ、穏やかなユーモアを発揮できる白石さんのような人には憧れてしまうのです。

どんな本かちょっと読んでみようという程度であれば立ち読みで十分かもしれませんが、打てば響くユーモラスな雰囲気を味わってみたいと思うなら、是非お茶を飲みながら少しずつ読んでみることをお勧めします。決して私のように一気呵成に読んだりなさいませんように。
※なお、
「そばをいっぱいうるには」「学長の日程」には、思わず声を上げて笑ってしまいました。

  
※ブログ → 「がんばれ、生協の白石さん!

 


 

to Top Page     to エッセィ等 Index