佐野眞一著作のページ


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947年東京生、出版社勤務を経てノンフィクション作家。主著は「性の王国」「遠い山びこ」「巨怪伝」「旅する巨人」(大宅賞受賞)、「東電OL殺人事件」等。

 


             

●「だれが「本」を殺すのか」● ★★

  

 
2001年02月
プレジデント社

2004年06月
新潮文庫刊
上下

(各667円+税)

 

2004/06/28

 

amazon.co.jp

本をとりまく危機的状況を、書店、取次、出版社等々幅広く、克明に取材した渾身のルポタージュ。
単行本時の内容を<捜査編>とし、文庫本において<検死編>が追加されています。
本が好きな人間なら無視できない、知っておきたいという問題がここには語られています。

図書館が無料貸本屋として、また新古書店ともいうべきブックオフの存在が、本が売れなくなっているという一原因として批判されている状況も、本好きなら自ずと知っています。
しかし、本好きからすると発刊数の多過ぎることも問題。そしてすぐ本が書店店頭からなくなってしまうことも。
私自身、手許に残しておきたいという本は買って所蔵しているものの、売ってしまう本も多いし、図書館のヘビーユーザーでもあります。既に本棚は一杯でこれ以上持てないし、持っておきたいという本は少ない。多くの本を読もうと思えば、図書館を利用するほかない。書店に目当ての本がなければネット書店も使うし、読み捨て本ならブックオフも利用する。

もはや、本が売れなくなっている原因を特定の問題に帰することは不可能。あらゆるところに問題の根があると言えます。
本書の内容を要約して伝えることなどとてもできません。関心を引かれたなら、まず読んでみてください。

<捜査編>
本の悲鳴が聞こえる!/書店:「本屋」のあの魅力は、どこへ消えたのか/流通:読みたい本ほど、なぜ手に入らない?/版元:売れる出版社、売られる出版社/地方出版:「地方」出版社が示す「いくつかの未来図」/編集者:「あの本」を編んでいたのは、だれか/図書館:図書館が「時代」と斬り結ぶ日/書評:そして「書評」も、消費されていく/電子出版:グーテンベルク以来の「新たな波頭」/「本」の生死をわけるもの
<検死編>
蔵書の死/読者の死と著者の死/書店の死と雑誌の死/「本」の復活を感じさせる小さな予兆

  


  

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