2002年10月
扶桑社刊
(1200円+税)
2003/02/01
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著者の境さんからメールをもらい、興味を惹かれて読んだ一冊。
ニューヨークで6年間もホームレス生活を送った境さんの体験記です。
6年間もホームレスというとちょっと驚きますが、本書を読むと成る程なぁと思います。それは、ホームレスの人達をバックアップする仕組みが、アメリカ社会にきちんとあること。
「スープ・キッチン」(ホームレスや貧しい人たちに無料で食事を提供する施設)等の擁護施設があちこちにあるそうで、アメリカ社会の懐の深さを改めて感じます。
境さんがホームレスとなった理由は、ドラッグに浸かって家賃を滞納し、強制退去させられた為。強制退去は厳しい措置ですが、それができるのは、一方でホームレスを支援する仕組みがあるからこそなのかもしれません。
国内のホームレス体験記に、佐江衆一「横浜ストリートライフ」がありますが、それと比べると、すべて割り切ったような解放感があるのが印象的。
なお、境さんがホームレスを止める契機となったのは、パン・ハンドリング(物乞い)での経験とのこと。人々は、単にお金を恵むのではなく、そこには温かい励ましの心が篭っていたと言います。感動を禁じえない部分です。
僕らはみんな生きている!/我が良き友よ/ホームレス暮らしの手帖/脱・どん底
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