|
1984年福島県生、上智大学外国語学部フランス語学科卒、同大学大学院グローバルスタディーズ研究科地域研究専攻博士前期課程休学中。学部在学中にミャンマー難民に出会い、民主化運動や人権問題に関心を抱き研究、NGOでの活動に没頭。大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系の難病を発病。1年間の検査期間と9ヵ月間にわたる入院治療を経て、現在も都内某所で生存中。 |
●「困ってるひと」● ★★ |
|
2012年06月
2011/12/30
|
大学院生の時に突然、身体中に異常が発生。病院をいくつも回るが原因不明。ようやく見つけた某大学附属病院に入院できたものの、原因は特定できず、麻酔がきかなくなった身体を切り刻む検査は痛い、痛ぁーい、と何度も絶叫する程。 ようやく病名が確定したものの、だからといって治療による改善は進まず、一進一退。そのな絶望の淵に何度も落とされた大野更紗さんの闘病&サバイバル日記。 元々活気溢れる突進力を備えた人柄なのでしょう。自らの目を覆いたくなるような症状を養成ギブスとかM:Iとか、コミカルかつ客観的に描き出していますが、むしろそういう風を装わないととても書いていられない病状だった、という気がします。とくに「おしり大虐事件」は凄絶! 単なる闘病記ではありません。実家の両親が住むのは福島県の山の中、お金を稼ぐのに必死で働いているという状況でとても看病を求めることはできず。症状の辛さゆえに主治医に心も身体も頼りっきり、そして病院外の雑用は友人・知人に頼りっきりになりますが、ある時ガツン!という思いを味わうことになります。 といって相手が悪いとも言えず、だからといって大野さんが悪いとも言えず。 ビルマ難民を支援していた身がいつしか難病難民。だれも頼れなくなった時、その時人間が頼るのは何か・・・。本書は社会問題も考えさせられる内容です。 とにかく内容は、読んでもらうしかありません。 そして読んだ後には、大野さん、どうぞ今もご無事で、少しでも良くなっておられますように、と祈る気持ちになります。 ※本書は病室から高野秀行さんに「何か書いてみたい」とメールしたのがきっかけで、ウェブマガジン「ポプラビーチ」に22年08月から23年04月にかけて連載されたものの単行本化とのこと。 絶望は、しない−−−わたし、難病女子 わたし、何の難病?−難民研究女子、医療難民となる わたし、ビルマ女子−ムーミン女子、激戦地のムーミン谷へ わたし、入院する−−医療難民、オアシスへ辿り着く わたし、壊れる−−−難病女子、生き検査地獄へ落ちる わたし、絶叫する−−難病女子、この世の、最果てへ わたし、瀕死です−−うら若き女子、ご危篤となる わたし、シバかれる−難病ビギナー、大難病リーグ養成ギブス学校入学 わたし、死にたい−−「難」の「当事者」となる わたし、流出する−−おしり大虐事件 わたし、溺れる−−−「制度」のマリアナ海溝へ わたし、マジ難民−−難民研究女子、援助の「ワナ」にはまる わたし、生きたい(かも)−難病のソナタ わたし、引っ越す−−難病史上最大の作戦 わたし、書類です−−難病難民女子、ペーパー移住する わたし、家出する−−難民、シャバに出る わたし、はじまる−−難病女子の、バースディ あとがき |