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●「ドン・キホーテの食卓」● ★★ |
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1987/06/16 |
セルバンテス「ドン・キホーテ」の副読本とも言うべき価値十分にある一冊。 「ドン・キホーテ」の中でこれだけ食べもののことが語られているとは、思いもよりませんでした。 けれども、考えてみれば、この作品を書くようなセルバンテスであってみれば、人生の達人とも言うべき眼はあったろうし、さすれば人生最大の道楽ともいえる食べもののことに優れた洞察力があったというのも当然のかもしれません。 と言いつつ、本書の著者自身、かなりの奇人と言わざるを得ません。なにしろ「ドン・キホーテ」の幻のテープを追ってみたり、片田舎のアナウンサーを探し求めたりと、かなり面白い人物である。とても学者とは思えない。 「第一章」は茄子の話。 茄子から生まれた「ドン・キホーテ」(ラ・マンチャの茄子漬け、マルマグロ風の漬け方とうまい食べ方、おすすめ店)/あなたとならば「パンとタマネギ」/豚が明かすドン・キホーテの素性(コシード(煮込み)の作り方)/ドン・キホーテは何を食べて狂ったか(ガスパーチョ・マンチェゴの作り方) |
1991/12/06 |
(再読) 「ドン・キホーテ」に親しむのに格別の案内書ともなる一冊ですし、著者の人を喰ったような語り口が面白い。 「ドン・キホーテ」の物語の背景には、ユダヤ教やイスラム教信者のいわゆる“モリスコ”蔑視が17世紀急速に高まり、排斥が行われた事実があるという。 本書で荻内さんは、「ドン・キホーテ」をあらゆる角度から分析してみせる。 ※なお、前編が「才智あふるる【郷士】ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」であるの対し、後編は「才智あふるる【騎士】ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」になっているという。 |