菜穂子著作のページ


1981年山形市村山市生、横浜国立大学教育人間科学部卒。卒業後は実家がある山形に戻り就農を決意。2007年国立ファーム有限会社入社、同年女子大生プロジェクトを開始。09年農業生産法人国立ファーム株式会社山形ガールズ農場を設立、代表取締役に就任。

山形ガールズ農場WEBサイト
     


     

●「山形ガールズ農場!−女子から始める農業改革−Yamagata Girls Farm」● ★★


山形ガールズ農場!画像

2012年03月
角川書店刊
(1429円+税)

  

2012/04/04

  

amazon.co.jp

最初に本書を知った時の印象は、サークル活動の延長のような農業仕事ではないか、というもの。
スミマセン、そう思った私が浅はかでした。
私の予想をはるかに越えて、山形ガールズ農場は、真摯に日本の農業改革を志向した試みなのでした。

農業従事者の高齢化、農民票の堅守、戸別所得補償、何が何でも自由化反対、そんな政治のどこに日本農業の未来があるのかと、ずっと懸念を感じていました。
その点、家族でなんとかやっていける農業ではなく、人も技術も循環していく成熟した農業ビジネス、女子大生たちの就職先として農業が当たり前の選択肢になること、というテーマは共感するところ大です。
また、何故“女子”なのか?という点。その清新な発想には、頭が下がるばかりです。
・女子が農業をやりたいと思うと、農家の娘なら婿取り、そうでないなら農家への嫁入りと、選択肢は極めて低くおまけにそれは極めて重い。女子への門戸を低くするためには、法人ビジネス化しかない。
・また、おしゃれを意識して、農業のカッコよさを演出する。
こうした視点は私が想像もしていなかったこと。
 
女子の視点に立つことによって新たな面が見える。ワーキングウーマン、キャリアウーマンという言葉の広がりと共に、仕事や生活の面でもいろいろな変化が生じてきたのは事実でしょう。
一方、一次産業では確かにそうした変化は生まれにくかったと思います。
そうした意味を含めての“女子から始める農業改革”、女子だからできる農業改革ということ。

農業だからといってただ作っていれば良いというものではない。外の世界を見ることもなしに何もしないでいたらダメになってしまう、真に慧眼です。
従来の枠組みから一歩踏み出そうとした試みに拍手。応援したい気持ちでいっぱいになります。
ちと違った角度から農業を考えてみる上で、本書はお薦め!

 
女子大生、農業に目覚める/あきらめなければ変えられる!農業の世界/誕生!山形ガールズ農場/「女子」ならではの米づくり、野菜づくり、商品開発/山形ガールズ農場、新たな可能性/「ビジネスとしての農業」のこれから

      


   

to Top Page     to エッセィ等 Index