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「八重山日和り−北木山夜話−」 ★★ |
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「北木山(ほくぼくさん)」とは、八重山の異称とのこと。 八重山列島の首島である石垣島生まれの筆者が、祖父母や両親を始めとする親戚らが見聞きしたこと、自ら出会ったこと等々の可笑しな事柄を小話としてまとめた一冊。 滑稽譚だけでなく、八重山人脈に関わる事々、または八重山高校の甲子園出場を目指す応援話等々、八重山や沖縄にまつわる小話が満載です(東京での話もありますけど)。 いいなぁ。とにかく読んでいて楽しい。 どんなに楽しい気分が味わえるかというと、まるで八重山にいるような気分、と言いたい。 のんびりと気儘で大らかな感じ。どんなことがあっても許してしまいそうな、気宇壮大な気分にもなってきます。 本書に収められている小話をひとつ紹介しますと、勘違い・間違いの事例。 お葬式で普通の人とは逆の所作をやった人がいたのだとか。 香炉でくすぶっている抹香を取って、それを香箱に置いたのだそうです。3回も繰り返して。顔をしかめながらも「アチチ」とは言わなかったそうです。 そんな愉快な話が幾つも収められていて、心から笑えます。 好きだなぁ、八重山の人たち。 ※2009年沖縄タイムス社出版部から刊行された「北木山夜話」を増補改訂したもの、とのこと。 |