黒川伊保子著作のページ


1959年長野県生、奈良女子大学理学部物理学科卒。(株)リサーチ代表取締役。
メーカーでAI研究に携わった後、ことばの感性の研究を始める。気持ちよいと感じることばに男女の違いがあることを発見、独自のマーケティング論を拓く。「妻のトリセツ」等著書多数。

 


   

「共感障害−「話が通じない」の正体− ★★
 (文庫:「話が通じない」の正体−共感障害という謎−)


共感障害

2019年04月
新潮社
(1000円+税)

2022年03月
新潮文庫



2019/05/26



amazon.co.jp

「空気が読めない」という言葉をよく聞くようになりましたが、職場でも<気が利かない>、<自分で考えてさっさと行動しない>という社員について困ったものだなぁと思うことが度々ありましたが、「共感障害」という問題があるのだそうです。
表題を聞いて、これはもう無視できないと、読んだ次第。

そうした問題点、今までは性格の問題かと思っていましたが、本書によると脳の個性、機能に関わることなのだそうです。
即ち、脳の認識フレームの有り様に違いがあるのだという。

この認識障害、最近増えている傾向にあるとのこと。
確かに、「新人類」とひとまとめにして言われる中にこうしたタイプは潜んでいると思います。

我々年代なら当然に自分で学んで覚えるだろうと思っていることが、できない。それ故に叱る。
それなのに認識障害がある故に、何を叱られているのか理解できない。だから「言ってくれなかったじゃないですか」という反論をしてしまう。
上司は扱いに困り、苦しみ、当人はパワハラを受けたと感じてしまう。
両人にとって不幸である、という著者の言葉には同感です。

認識障害が問題だといっても詮無いこと。そういう問題があるということを踏まえてどう指導していくかを学ぶことも必要。
本書の意義はそこにあるように思います。

なお、著者の黒川さんも、自ら「自閉症スペクトラム」であり、認識障害のところがあると語っています。
私自身も振り返ると、そういう面は確かになくはないなぁ。
見て見ぬふりをするより、しっかり直視する、いろいろな問題においてそういうことが大事になった時代だと思います。
勉強になりました。

はじめに−「話が通じない」は、心ではなく脳の問題である/1.脳が違えば、見ているものが違う/2.共感障害とは何か/3.共感障害と生きる/おわりに−「共感障害」の発見

         


     

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