日高敏隆著作のページ


1930年東京生、東京大学理学部動物科卒。東京農工大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、現在は総合地球環境学研究所所長。著書多数。


1.もっとウソを!

2.春の数えかた

 


     

1.

●「もっとウソを!−男と女の科学の悦楽−(竹内久美子共著) 

 

 
1997年1月
文芸春秋刊

2000年7月
文春文庫

(448円+税)

  
2001/06/01

日高・竹内お2人の師弟コンビによる対談6篇を収録。
竹内さんの他の著書(「浮気人類進化論」)のことや、科学に対するお2人の基本的な考え方が紹介されているので、竹内さんの著書を読む際の副読本として最適な1冊だと思います。対談なので、読み易く、理解し易いのが有り難いところです。
お2人が強く主張しているのは、一般的に科学というと難しく、面白くないものにされてしまっているけれど、実はとても面白いものなんだ。そして、突拍子も無い、面白い発想こそが実は科学にとって価値があるんだ、ということです。
そのエッセンスが詰まっているのが、第3章「科学とはウソをつくことである」であり、具体的に奇人としか思えない有名な科学者たちを紹介しているのが、第5章「かくも素敵な奇人たち」です。
本書を読めば、もっと竹内さんの本を読みたくなること、請け合いです。

「赤の女王」と性の進化/若い女はなぜダイエットに走るのか?/科学とはウソをつくことである/浮気人類進化論の誕生/かくも素敵な奇人たち/男の思想はどうして決まる?

      

2.

●「春の数えかた」● ★★     第50回日本エッセイスト・クラブ賞

  

 
2001年12月
新潮社刊

(1300円+税)

2005年2
新潮文庫化

2002/08/10

新潮社の宣伝誌「波」に連載中のエッセイをまとめた一冊。
著者が動物学者であるだけに、そこは自然界の生物、昆虫らを題材にして、四季それぞれのこと、自然界の不思議さも交えて、語られています。

読んでいて、ふと懐かしいような楽しさを感じる。
何故だろうと考えると、子供時代に蝶々やセミなどを近所で追い回した頃の雰囲気を、本書の中に感じるからです。
昆虫らを追いかけながら、不思議に感じたこと、好奇心をもったこと、等々。
私は東京の23区内(と言っても外れの方)で生まれ育ちましたが、子供の頃には蝶やセミが沢山いて、夏の夜にはカナブンが飛び込んできたり、近所でヤゴ(トンボの幼虫)さえ捕ることができたのです。
そんな楽しさが、本書には沢山詰まっています。
本書の題名は、最終章の題名をとったものですが、内容から言えば「季節の数えかた」という方が相応しいだろうと思います。

  


  

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