半田 滋著作のページ


1955年栃木県宇都宮市生、東京新聞編集局社会部勤務。93年防衛庁防衛研究所特別課程修了。92年より防衛庁取材を担当。

 


             

●「自衛隊vs.北朝鮮」● 

  

  
2003年8月
新潮新書刊

(680円+税)

 

2003/10/08

日本の近海に出没する不審船を拿捕することもできない自衛隊なのに、それが何故海外の危険地域に出かけてようとするのか、というのは私のかねてからの疑問。
しかし、本書を読むと、それとは別の意味から、現在の自衛隊という存在に危惧の念を抱かざるを得ません。
戦争をするかどうかと、戦力をもつかどうかとは別の問題と思いますが、日本ではそれが一体として論議されてきました。戦力不所持というのは確かに理想論ですが、現実の北朝鮮をとりまく危機的状況をみるに、そんなことはもう言ってられないというのが事実でしょう。

本書は北朝鮮による危機勃発を仮定し、自衛隊の危機対応能力を検証した著書ですが、上記とは別の意味で、改めて自衛隊の存在に懸念を抱いてしまいます。
それは、がんじがらめに法律に縛られ、主体的かつ迅速な対応ができないこと、自衛隊のみでは何らの行動もできない事実、そしてそれ故に米国の軍事構想の中に取り込まれてしまっている、ということ。
中途半端故に国を守れないなどというようなことは、本末転倒というほかありません。
各シュミレーションを読む都度、理想論だけではどうにもならない、現実の危機を感じざるを得ません。

震える日本列島:情報を集めろ/狙われる原発、米軍基地/日本海で経済制裁
開戦前夜:在留邦人救出計画/なだれ込む難民/とめどない米軍支援
戦争:日米韓の共同訓練/恐怖の弾道ミサイル/北朝鮮軍の実力
宿命の迷走:日本を守ったのか

  


  

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