彬子(あきこ)女王著作のページ


1981年、三笠宮寛仁親王殿下の長女。学習院大学卒業後、オックスフォード大学で在外の日本美術コレクションの調査・研究にあたり、女性皇族として初めて博士号を取得。京都産業大学日本文化研究所研究員・國學院大學特別招聘教授等を兼任。

 


   

「京都 ものがたりの道 ★★


京都 ものがたりの道

2016年11月
毎日新聞出版
(1400円+税)



2017/10/31



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京都の街はタイムカプセルのよう、と彬子さまは言う。
“時”のカケラが街のそこかしこに埋もれているから、と。
「さあ、京の道へ、時間旅行に出かけよう」という言葉から始まるエッセイ集。
そんな言葉掛けに、冒頭からワクワクと心が弾みます。

その言葉に載せられたように、京都のあの通り、この通りと散策する本エッセイはとても楽しい。
あそこは随分前に行ったことがある、こっちはこの前に行ったばかり、と読みながら思い出す所も多々ありますけれど、場当たり的に訪ねただけで、通りを辿るという発想はなかったなぁ、とつい残念になります。
あの通り、この通りと、本書を手にいつかそんな京都の街歩きをしてみたい、と胸の内に刻んでおくことにしよう。

我々一般人の街歩きと彬子さまの街歩きはちょっと違うのかもしれない、とも思います。
皇族ということで一般人とは違った人や歴史との繋がりがあるように思いますし、気儘な散策といってもお一人でできる訳ではないようです。
外にいるときはいつも皇宮警察の警衛官(側衛官)が側にいて、京都ともなると京都府警の担当警官も加わるそうです。
ただ、護衛といっても子供の頃から側にいてそれが当たり前になっているので、家族のような親近感があるのだそうです。
また、皇宮警察の警官ともなると、警護技術だけでなく教養も求められるそうですから、京都散策のうえで頼もしい付き添いなのかもしれません。

各章の冒頭に挿入されている地図を見比べながら、彬子さまと京都の通りをあちらこちらと辿り、楽しい時間を一緒に過ごした気分になります。彬子さまの率直で飾り気のない文章のおかげも大きい。
現実にはとてもあり得ないことですから、尚のこと楽しき哉。

はじめに/さあ、京の道へ、時間旅行に出かけよう/京都の道を辿ると、それあh歴史をひもとくのに似ている/道はときにふしぎなおとぎ話をも生み出す/あとがき

         


     

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