マーカス・デュ・ソートイ著作のページ


Marcus du Sautoy 1965年生、オックスフォード大学数学研究所教授、王立協会リサーチャー。2010年、大英帝国勲章を受章。

 


    

「知の果てへの旅 ★★
 原題:"What We Cannot Know"       訳:冨永 星


知の果てへの旅

2016年発行

2018年04月
新潮社刊
(2700円+税)



2018/05/18



amazon.co.jp

新潮クレスト・ブックスだからと、いつものように迷わず図書館にリクエスト。ところが連絡が来て借出してみたら、何とこれは科学や数学に関する書。
私が普段手を出すような類の著書ではないし、かなり大部とあって読み切れるかなぁーと不安にも感じたのですが、たまにはこうした本を読んでみるのもいいかなと、挑戦してみた次第。

人間の知に果てはあるのか、というのが本書のテーマ。
具体的には、宇宙に果てはあるのか、人間の意識とはどこにあるのか、等々と。
何故こうした本が書かれたかというと、著者のソートイ、「一般への科学啓蒙のための教授職」である
“シモニー教授職”の2代目に選ばれたことがきっかけだそうです。

科学の始まりから最先端の科学まで、一般人にも判り易く書いたといってもそこはそれ、やはり高度な説明は多分にあります。
ですからそこは最初から降参、書かれていること全てを理解するというのではなく、ざっと読んでエッセンスをつかめればそれで充分、という気持ちで読み通しました。
理解が十分及ばないものの、適宜飛ばし読みしながらの読了であるものの、それはそれで意外にも、結構面白く読めました。

東野圭吾作品にも登場するピエール・シモン・ラプラスが早々と登場。しかし、すぐにポアンカレらの「カオス理論」により早々とその論は打ち破られた、という印象です。
それでも、次々と知は深く、深く追及され、新たな事実が明らかになっていく。こうしてみると、謎は順次明らかにされていき、神様の登場する余地などないと思えてくるのですが、それはそうでもないらしい。

人間にとって知の果て=知ることのできない領域はあるのかどうか。そしてそれは、神は存在するのかどうかという命題にもかかわって来るらしい。
しかし、知の果てがあるかどうかなど、そこに行き着くのは相当先の未来であるとしか言いようがありません。
それまで、神は神として存在していて良いのではないか、と思います。

※冒頭で、英国の外交官だったサミュエル・ピープスのサイコロを使った賭けの話が出てきたり、映画「スター・トレック」ミスター・スポックの名前が出てきたり。これなら、読み通せるかもしれないと、思った次第です。

0.知らないということがわかっているもの/1.カジノで手に入れたサイコロ/2.チェロ/3.壺入りのウラニウム/4.切り貼りの宇宙/5.腕時計/6.チャットボットのアプリ/7.クリスマス・クラッカー

 



新潮クレスト・ブックス

   

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