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1.盆まねき 2.博物館の少女 |
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「盆まねき」 絵:高橋和枝 ★★☆ 野間児童文芸賞 | |
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毎年夏になると、なっちゃんの家には笛吹山のおじいちゃんから一通の手紙が届きます。 お盆の行事の最中、ちょっとした機会になっちゃんは、ヒデじいちゃん、ミチおばあちゃんにお話をねだります。第1章から第3章までは、そんな章。利口ななめくじ、うさぎたちのいる月の田んぼ、河童と、いずれも不思議でファンタジーな話ばかり。 親族が大勢集まっての賑やかなお盆、語られる“お話”を聞く楽しさ。そして読者によっては勿論“お話”自体の魅力。 盆まねき/1.おじいちゃんの話8/12−ナメクジナメタロウ/2.フミおばちゃんの話8/13−月の田んぼ/3.大ばあちゃんの話8/14−かっぱのふしぎな玉/4.8/15−盆踊りの夜/もうひとつの物語 |
「博物館の少女−怪異研究事始め− A Girl at the Museum」 ★★ | |
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読み始めからワクワクする楽しさを感じた作品。 刊行時見送っていたのですが、思い直して読んで良かったァ。 明治16年、大阪の古物商<花宝堂>の娘だった花岡イカル・13歳は、両親が相次いで死去したことから、母親の遠縁だという大澤老夫婦を頼って東京にやって来ます。 その大澤夫婦の孫だというトヨの案内で上野の博物館に出掛けたイカルは、幼い頃のイカルを知っているという館長の田中に出会い、その目利きの力を評価され、博物館の古蔵で怪異研究を引き継いだという織田賢司(通称「トノサマ」)の助手として雇われることになります。 さっそく台帳と収蔵品を突き合わせる作業をすることになったイカルは、黒手匣という寄贈品が無いことに気づきます。 何者かによる盗難か? そしてその黒手匣、何やら曰くのある品物らしい。 何時の間にかイカル、その事件に巻き込まれ・・・。 孤児となった少女、でも目利きの力はなかなかのもの、事件解決に大きく貢献するというストーリィ、明治の世という背景もあってすこぶる魅力的。 さらに、トヨは河鍋暁斎の娘のとよ、田中館長は「博覧男爵」の田中芳男、そしてイカルが仕えることになる織田賢司は織田信長直系の末裔であり実在の人物であるというのですから、楽しくなってくるのも当然という処。 明治の世を切り開いていく少女の成長&冒険譚(アンやパレアナを彷彿とさせる処あり)。次作以降が楽しみです。 |