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31.雨が降ったら 32.きよくしぶとくやかましく 33.町は今日も |
【作家歴】、ビオレタ、月のぶどう、みちづれはいてもひとり、架空の犬と嘘をつく猫、大人は泣かないと思っていた、正しい愛と理想の息子、夜が暗いとはかぎらない、わたしの良い子、希望のゆくえ |
やわらかい砂のうえ、彼女が天使でなくなる日、どうしてわたしはあの子じゃないの、ほたるいしマジカルランド、声の在りか、雨夜の星たち、ガラスの海を渡る舟、タイムマシンに乗れないぼくたち、カレーの時間、川のほとりに立つ者は |
白ゆき紅ばら、わたしたちに翼はいらない、こまどりたちが歌うなら、いつか月夜、雫、そういえば最近、リボンちゃん、ナモナキ生活はつづく、世界はきみが思うより、ぬすびと |
| 「雨が降ったら On a Rainy Day」 ★★ | |
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思うようにはならなかった人生、でも、頑張るしかない。 そんな女性たちをふと励ましてくれたのは、老女のスノさんが営み、中年息子の若葉太志が手伝っている<わかば洋傘店>。 「雨が降ったら、傘をさせばいい」。 その言葉は、何でもかでも頑張ろうと意気込む必要はない、という意味でしょうか。 ・「初佳は傘を洗う」:初佳、48歳。離婚して一人暮らし。娘・息子はそれぞれ独立。娘の聖菜が何か悩み? ・「走れ杏子」:杏子、43歳。離婚して一人暮らし。USJが好きで年間パスポート購入。 ・「みつほとクリームソーダ」:みつほ、47歳、独身。馴染みの喫茶店でクリームソーダを食べるのが楽しみ。 ・「ソノミーとテルミー」:苑美、46歳。家事、子育て、パート働きに奮闘。何故自分にだけしわ寄せ? ・「美禰子は遠くへ」:美禰子、45歳。実母が死去し一人ぼっちに。ソノさんは叔母、太志は従弟。 どの女性たちの気持ちも、頑張りも、わかる、わかるよぉ、という感じ。 その辺り、寺地さんの柔らかさと優しさと、筆運びの美味さが感じられて気持ち良く、かつ楽しい。 でもちょっと気づくと、男性が除外されていると感じます。 男性だって、自分の所為ではないことで同様の状況にあることはある筈なのですが、まぁ本作は女性たちにエールを送る作品でしょうから、仕方ないか。 朝/1.初佳(もとか)は傘を洗う/2.走れ杏子/3.みつほとクリームソーダ/昼/4.ソノミーテルミー/5.美禰子は遠くへ/夜 |
| 「きよくしぶとくやかましく」 ★★ | |
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寺地はるな作品としては、コミカルな一作。 冒頭篇では、えっ、ホラー?と驚かされますし、最終篇ではなにやらファンタジー? そしてエピローグでは少々ゾッとさせられますし。 そんな展開は、寺地さんの悪戯心の為せることでしょうか。 そのうえで、本作をどうひと言で言い表せばいいのか、というと少々悩みます。 あえて言うならば、世間体やしがらみで我慢してきた者たちが、ついにその思いを破裂させる、という連作ストーリー。 どれもほんのちょっとしたドラマですけど、まさに題名どおり。面白く、痛快。そして少々おとぎ話的。 舞台は、どこにでもあるような田舎町、白日(しらび)町。 当然ながら町内会があり、その下に青年団、婦人部、子ども会、老人という下部組織がある。 そういった組織にすんなり入り込み、何の不満もない人はいいですけれど、面倒な繋がりを嫌がる人もいるでしょうし、特に女性たちは何かと男性たちのルールに従わせがち。 本作で中心となるのは、婦人部第二班に属する四人の女性:淑子(73歳)、はな恵(67歳)、美鈴(54歳)、江南(46歳)+江南の夫である万亀雄(マキオ)。 たまには思っていることを言葉や行動に出し、笑い合い、気持ちをすっきりさせることも必要でしょう。きっと神様もそれを応援してくれるはず。 ・「海亀のささやき」:噂の的になっている老夫婦・・・。 ・「たぬきの夢」:えっ、死体? その横で4人はお茶会を。 ・「三匹のおおかみ」:行きたくない青年団の慰安旅行。後から車で追いかける男たちの珍道中。 ・「蛇のまなざし」:参加者は成人男性限定の大綱引き、はな恵が自分もやりたいと言い出し・・・。 ・「おやすみこひつじ」:子ども会での噂話。それって・・・ プロローグ.白日町老人会−海亀のささやき/1.白日町婦人部−たぬきの夢/2.白日町青年団−三匹のおおかみ/3.白日町大綱引き−蛇のまなざし/エピローグ.白日町子ども会−おやすみこひつじ |
| 「町は今日も」 ★★☆ | |
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自治会の傘下にある<子ども会>。役員は4人で毎年持ち回り。 しかし今回、引越、病気、怪我といったハプリングが重なり、会長である剣崎さん(子三人)が孤軍奮闘状態に。 少しでもその援けになろうと、主人公の奥園千緒(娘一人)は、子ども会役員をわざわざ名乗り出て引き受けます。 その千緒、夫である光晃が言うように、ちょっとお節介かつ、人が好い。そうでもなければ、役員って引き受けませんよねぇ。 いざ子ども会役員を引き受けると、様々なトラブルに直面することになり、悪戦苦闘。さらに自治会とも無縁でいられず、クセのある自治会長である長門と剣崎の毎度毎度の対立に巻き込まれたり、等々。 自治会内、つまり同じ町に暮らす人々との付き合いは、どうあるべきか、というのが本作のテーマ。 人によって考え方、習慣も異なれば、外国人も住民として加わってくれば、昔のようにまとまっていくのは中々難しいよなぁ、と思うところ。 それでも、町内付き合いがなくなる、不要になるということはありませんから、そこな模索していくしかないのかもしれません。 その答えは理屈で出せるものではない。実際の出来事を積み重ねながら、あれこれ考えていく。善人、あるいは悪人と決めつけることはできない、というのが寺地さんの示唆。 千緒自身、完全無欠な人間ではないし、いろいろな出来事、様々な人との絡み合いによって、ひとつの考え方が導かれていく。 そうした人物、展開描き方が、寺地さん、実に上手い! 登場人物どの人にも是非があり、それぞれの人物がそれなりに愛おしく感じられる(なお、例外一人あり)ところが好いなぁ。 類稀な、町での暮し物語。 お薦めです。 第一話/第二話/第三話/第四話/第五話 |
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