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1.天平の女帝 孝謙称徳 2.帆神 3.さまよえる神剣 |
1. | |
「天平の女帝 孝謙称徳」 ★★ | |
2018年06月
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玉岡かおる作品、機会をみて読んでみようとずっと思っていたところで、奈良京・天平時代を描く歴史小説の新刊。 |
「帆 神−北前船を馳せた男 工楽松右衛門−」 ★★ 新田次郎文学賞 | |
2023年12月
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播州高砂の漁師の息子、しかしその胆力と創意工夫力で頭角を現し、日本の海運業に画期的な「松右衛門帆」をもたらした実在の人物、工楽松右衛門の生涯を描いた長編ストーリィ。 玉岡かおる作品、これまでも気持ちは惹かれるものの中々読むに至っていなかったのですが、江戸期の海運業が舞台ということですっと手が出た次第です。 各章、松右衛門が成長し活躍の舞台を広げていく、その舞台となる場所を副題にしており、それがストーリィ展開の上で解かりやすい。 そしてもうひとつ、各篇の冒頭で、松右衛門と関わりを持つことになる女性の視点から、松右衛門との出会いまでが描かれている処が面白い。 前半は水主、船頭と出世していくビルドゥングス・ロマン、海洋冒険小説という趣きあり。そして後半になると、創意工夫をもって日本の海運業に寄与していく海運ビジネス小説という趣きです。 もちろん、松右衛門の成功は、その周囲にいる仲間たちの協力があってのことですが、それに負けず劣らず、千鳥、津祢、八知といった女性たちの活躍も見逃せません。 また、広くこの時代を眺めると、進取の精神を備えた海商たちに比較して、武士たちの硬直性が対照的に浮かび上がります。 その処は、日本の政治、とくに自民党の硬直性への批判ともい感じられます。 何はともあれ、松右衛門という懐の大きな人物を描いたストーリィとして充分面白いうえに、いろいろな見所のある作品です。 1.金毘羅船−播州高砂浦の巻/2.唐船−兵庫津の巻/3.千石船−浪華の巻/4.北前船−越後出雲崎の巻/5.異国船−恵土呂府の巻/6.蒸気船−鞆の浦の巻 |
「さまよえる神剣(けん)」 ★★ | |
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冒頭に登場するのは、後鳥羽上皇。北条義時との<承久の変>に敗れ、隠岐へ配流された悲劇の人物。 何故こんな憂き目に遭うことになったのか。それは、帝の証しとなる<三種の神器>の内、天叢雲剣(草薙剣)がなかったからではないか。 そこから始まり、帝に忠誠を尽くす若い武士=小盾有綱が命を受けて、草薙剣を探し出す旅に出ます。 その有綱の相棒となるのが、名刀匠の一番弟子である伊織。さらに、瀬戸内の島にある尼寺で暮らしていた、不思議な能力を持つ少女=奈岐が加わり、二人の旅に加わります。 いわば、三人による歴史ロードノベル、と言って良いでしょう。 草薙剣は、壇ノ浦の戦いで義経に敗れ、祖母の二位の尼が抱いて安徳帝と共に海の底に沈んだ筈。しかし、草薙剣と安徳帝は海に沈まず、実は密かに土佐山中へ逃れたのか。 草薙剣の行方を追うと言いつつ、実際は平家の落人たちを追う旅物語となります。 実はその処、私が読む前に予想した展開と大違い。 つい表紙絵から、カッスラー“ダーク・ピット”シリーズの時代小説版というような、歴史ファンタジー&活劇を期待してしまっていたようです。 しかし、予想とは全く異なりましたが、平家の落人たちが辿った変遷、それぞれの物語は興味深く、十分面白いものでした。 そして最後、有綱たちが辿り着いた真実とは・・・。 読了後、胸に残った思いは、帝(天皇)とはどのような存在であるべきものなのか、ということ。 それは、この歴史物語に留まるものではなく、現在の皇室問題にも繋がる問題だと思う次第です。 プロローグ/1.帝の巻/2.臣の巻/3.山の巻/4.神の巻/5.海の巻/エピローグ |