高橋美夕紀作品のページ


1976年埼玉県生。立教大学中退後、編集プロダクションのスタッフとして4年間、編集・ライターとして活躍。1999年独立し、数多くの企業広告に携わる一方で幅広く雑誌に執筆するほか、単行本の企画・構成・執筆まで行う。処女小説「クールス」は、新人作家として異例ながら刊行前から映画化が決定。

 


      

●「KOOLS クールス」● ★☆

 

  
2005年2月
講談社刊

(1500円+税)

 

2005/03/14

主人公は平凡なOL、サエ24歳。彼女が普通とちょっと違うところは、男性よりも女性が好きであるということ。しかし、それは異常なこととして、彼女はそれをずっと隠してきた。
そんなサエに転機が訪れたのは、上司に連れられてゲイバーに行ったことから。その後一人でレズバーに出入りするようになったサエは、自分と同じ気持ちを抱く女性が多くいることを知り、漸く落ち着ける場所を見い出します。サエが現在の恋人・トモコに出会ったのも、そのバーでのこと。
そんな主人公サエが、トモコやレズバーの女主人ヒロコらレズビアン仲間とソフトボールチームを結成し、練習に汗を流しながらお互いの仲間意識を高めていくという、青春恋愛風ストーリィ。

メンバーには、バイセクシュアルの女性もいれば、性同一性障害に苦しんでいる女の子(いや男?)もいる。マイノリティーとして悩んだり苦しんだりしているのは、何もサエだけのことではなかったのです。
個性豊かな面々が集まって、時には和気藹々と、時にはスポ根風に猛練習に明け暮れる様子は、見る(読む)からに楽しい。
ビアンとソフトボールという予想外の組合せが新鮮かつ爽快。それに加え、同じビアン仲間であるという開放感と安らぎが広がって、気持ちの良いストーリィに仕上がっています。
同じビアン小説といっても、濃密な愛を描いた中山可穂さんの小説とは相当に違う。

本作品は映画化決定済とのことですが、いかにも映画向きなストーリィ。青春映画も随分と幅が広がったものです。
なお、題名かつチーム名のKOOLとは、Kiss Only One Lady(生涯あなた一人だけを愛する)の略とのこと。

 ※映画「クールス」製作委員会 → www.kools.jp

 


   

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